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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】中性亜鉛マンガン二次電池および電解質
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/36 20100101AFI20240709BHJP
   H01M 4/02 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 50/449 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/403 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/417 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/414 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/491 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 50/77 20210101ALI20240709BHJP
   H01M 4/60 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20240709BHJP
【FI】
H01M10/36 A
H01M4/02 A
H01M50/449
H01M50/46
H01M50/403 D
H01M50/417
H01M50/414
H01M50/491
H01M50/489
H01M4/66 A
H01M50/77
H01M4/60
H01M4/58
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022515806
(86)(22)【出願日】2019-12-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-16
(86)【国際出願番号】 CN2019124731
(87)【国際公開番号】W WO2021047085
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-04-27
(31)【優先権主張番号】201910857338.1
(32)【優先日】2019-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503190796
【氏名又は名称】中国科学院大▲連▼化学物理研究所
【氏名又は名称原語表記】DALIAN INSTITUTE OF CHEMICAL PHYSICS,CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】李 先鋒
(72)【発明者】
【氏名】謝 聡▲きん▼
(72)【発明者】
【氏名】張 華民
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105336971(CN,A)
【文献】特開平03-274680(JP,A)
【文献】特開2000-077093(JP,A)
【文献】特開昭63-124375(JP,A)
【文献】特開2014-010999(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105390697(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108428926(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109037794(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/36-10/38
H01M 4/02
H01M 4/66
H01M 50/409-50/491
H01M 50/77
H01M 8/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、正極電解質、負極電解質を備える中性亜鉛マンガン二次電池であって、
前記正極電解質と前記負極電解質とは同一組成を有し、前記正極電解質と前記負極電解質のいずれも亜鉛イオンとマンガンイオンを含む水溶液であり、
前記水溶液中の陰イオンは酢酸イオンを含み、
前記正極電解質と前記負極電解質のPH範囲は4~6であり、
前記正極電解質及び負極電解質の調製工程は、マンガン塩及び亜鉛塩を水に共溶させて亜鉛塩とマンガン塩の混合水溶液を形成し、所望の前記正極電解質及び負極電解質を作成し、
前記マンガン塩は、酢酸マンガン又は/及び塩化マンガンであり、
前記亜鉛塩は、酢酸亜鉛又は/及び塩化亜鉛であり、
正極活物質は酢酸マンガン又は/及び塩化マンガンであり、
負極活物質は酢酸亜鉛又は/及び塩化亜鉛である、
ことを特徴とする中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項2】
前記正極電解質及び負極電解質中の、
前記亜鉛イオンのモル濃度が0.1~1.5Mであり、
前記マンガンイオンのモル濃度が0.1~1.5Mであり、
前記酢酸イオンのモル濃度が0.1~6Mであり、
塩化物イオンのモル濃度が0~3Mである、
請求項1に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項3】
前記正極電解質及び負極電解質には、さらに支持電解質を含み、
前記支持電解質は、KAc、KCl、KSO、NHCl、又は(NHSOのうちの一種或いは二種以上から構成され、濃度は1~3Mである、
請求項1又は2に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項4】
前記マンガン塩と前記亜鉛塩とのモル比は0.5:1~3:1であり、
前記酢酸イオンと前記マンガンイオンとの比率は6:1~1:1である、
請求項3に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項5】
記正極及び負極はすべて炭素フェルトを基底としており、
正極における前記基底の片側又は両側の表面に塗装又は浸漬方式によって活性炭を担体して複合多孔質電極を製造され、
前記活性炭の材料はカーボンブラック、カーボンナノチューブ、又はケッチェンブラック(登録商標)のうちの一種又は二種以上から構成され、積載量は2~20mg/cmである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項6】
前記正極と前記負極との間に隔膜をさらに備え、
中性亜鉛マンガン二次電池の膜材料は、基底に高分子樹脂を塗布した多孔質複合膜であり、
前記複合膜基底はPES、PVC、PSF、又はPEのうちの一種或いは複数種のポリマーで製造された多孔質膜であり、
前記正極に近い側の多孔質膜表面に高分子コーティング層がコーティングされ、
前記高分子樹脂はSPEEK、PBI、又はNafion(登録商標、テトラフルオロエチレンとペルフルオロ[2-(フルオロスルホニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]の共重合体)のうちの一種或は二種以上で構成され、
前記複合膜基底の孔径は10~50nmで、気孔率は30~60%である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項7】
充放電過程において電池は液固相転換を起こし、
充電過程において、前記正極の電化学反応はMn2+がMnOを生成し、生成されたMnOは多孔質電極に堆積し、前記負極はZn2+が単体Znを生成して多孔質電極に堆積し、
放電過程において、前記正極のMnOはMn2+に溶解され、前記負極に沈積するZnはZn2+に酸化される、
請求項1に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項8】
前記中性亜鉛マンガン二次電池は、亜鉛マンガン蓄電池又は亜鉛マンガンフロー電池を含み、そのうち、
前記亜鉛マンガン蓄電池の構造は順に、正極と、負極と、隔膜と、正極電解質と、負極電解質とを含み、
前記亜鉛マンガンフロー電池は、一個の単電池又は二個以上の単電池のストリング及び/又は並列に接続されたスタックからなり、前記単電池は、正極端板と、正極集電体と、正極と、膜と、負極と、負極集電体と、負極端板と、正極及び負極電解質を備えた正負極電解質タンクと、ポンプとを含む、
請求項1~7のいずれか1項に記載の中性亜鉛マンガン二次電池。
【請求項9】
正極電解質及び負極電解質は同一組成を有し、前記正極電解質及び負極電解質のいずれも亜鉛イオンとマンガンイオンを含む水溶液であり、
前記水溶液中の陰イオンは酢酸イオンを含み、前記電解質のPH範囲は4~6であり、
前記正極電解質と前記負極電解質中の前記亜鉛イオンのモル濃度は0.1~1.5Mであり、
前記マンガンイオンのモル濃度は0.1~1.5Mであり、
前記酢酸イオンのモル濃度は0.1~6Mであり、
塩化物イオンのモル濃度は0~3Mであり、
前記マンガンイオンと前記亜鉛イオンのモル比は0.5:1~3:1であり、
前記酢酸イオンと前記マンガンイオンの比率は6:1~1:1である、中性亜鉛マンガン二次電池用電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学の分野に属し、具体的には、多金属非担持水素化精製触媒及びその製造方法、並びに軽油留分の超深度水素化脱硫脱窒素プロセスにおける応用に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの大量利用は深刻な環境汚染をもたらしており、再生可能エネルギーの開発利用は上記問題を解決する鍵である。しかし、再生可能エネルギーの不連続不安定は再生可能エネルギーの直接利用を困難にするため、エネルギー貯蔵技術を利用して再生可能エネルギーの連続供給を実現することが鍵となる。亜鉛系電池は、低コスト、良好な電気化学活性、及び高いエネルギー密度により、大規模エネルギー貯蔵において有望な電池技術となっている。亜鉛系電池の一種である亜鉛マンガン電池は、現在最も広く利用されている一次電池であるが、対応する二次電池の開発には大きな制約がある。これは、主にサイクル中に正極材料が不安定になることや、充放電中に材料構造が崩れるからである。現在多く研究されている正極材料はマンガンの各種酸化物であり、電解質は亜鉛塩を含む水溶液であり、負極は亜鉛片/亜鉛箔である。充放電時の正極の電気化学反応は亜鉛イオンの埋込-脱離であり、負極は亜鉛イオンの堆積-溶解である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】中国特許公開CN105336971A
【文献】中国特許公開CN101677135A
【文献】中国特許公開CN105280964A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以前、文越華らは「水系亜鉛マンガン二次電池」(CN105336971A)を開示したが、電池の正極は亜鉛イオンとマンガンイオンの共埋込みとマンガンイオンの酸化析出反応であり、埋込脱離式の反応は正極材料構造の変化と崩壊を引き起こし、電池のサイクル寿命が短い。さらに、程杰らは、「亜鉛マンガンフロー電池」(CN101677135A)についても開示し、当該電池の正極反応は、MnOおよびMnOOHの固-固相転移に基づくものである。しかし、この正極材料の構造安定性は非常に悪く、電極活物質の利用率は非常に低い。また、アルカリ環境下で亜鉛負極のデンドライト問題は深刻で電池のサイクル寿命を更に制限した。最も重要なのは、上記2種類の亜鉛マンガン電池の正極反応が単電子移動であり、電池の比容量が比較的低いことである。以前、発明者が属する部門の張華民らは「亜鉛マンガン二次電池」(CN105280964A)を開示し、その正極はMn2+とMnOの固液相転換であるが、当該体系は強酸性電解質を使用し、亜鉛負極に対する腐食性が強く、また、MnSO体系電解質は充電中にMn3+(式(1))を生成するに従って、不均化副反応としてMnO(式(2))を生成し、電池の容量減衰が深刻である。
【数1】
【数2】
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は以下の具体的な技術的解決手段を採用する。
本発明に係る中性亜鉛マンガン二次電池は、亜鉛マンガン蓄電池又は亜鉛マンガンフロー電池を含む。そのうち、亜鉛マンガン蓄電池の構造は順に、正極と、負極と、隔膜と、正極電解質と、負極電解質とを含み、亜鉛マンガンフロー電池は、一個の単電池又は二個以上の単電池のストリング及び/又は並列に接続されたスタックからなり、前記単電池は、正極端板と、正極集電体と、正極と、膜と、負極と、負極集電体と、負極端板と、正および負の電解質を備えた正および負の電解質タンクと、ポンプとを含む。また、正極電解質と負極電解質とを含み、正極電解質と負極電解質とは同一組成を有し、いずれも亜鉛イオンとマンガンイオンを含む水溶液であり、水溶液中の陰イオンは酢酸イオンを含み、電解質のPH範囲は4~6であり、好ましくはPH=5である。
【0006】
電池を充電すると、正極電解質中のMn2+が多孔質電極上にMnOとしてその場で堆積し、負極電解質中のZn2+が単体亜鉛に還元され、放電反応が上記反応の逆反応となる。
【0007】
正・負極電解質(正極電解質及び負極電解質)の調製工程は、マンガン塩と亜鉛塩を水に共溶して亜鉛塩とマンガン塩の混合水溶液を形成し、所望の正・負極電解質を作成する。マンガン塩は酢酸マンガン又は/及び塩化マンガンであり、亜鉛塩は酢酸亜鉛又は/及び塩化亜鉛であり、正極活物質は酢酸マンガン又は/及び塩化マンガンであり、負極活物質は酢酸亜鉛又は/及び塩化亜鉛である。
【0008】
正・負極電解質中の、亜鉛イオンのモル濃度は0.1~1.5M、好ましくは0.5~1.2M、より好ましくは1Mである。マンガンイオンのモル濃度は0.1~1.5M、好ましくは0.5~1.2M、より好ましくは1Mである。酢酸イオンのモル濃度は0.1~6M、好ましくは3~5M、より好ましくは4Mである。塩化物イオンのモル濃度は0~3M、好ましくは0.5~2M、より好ましくは1.5~2Mである。
【0009】
電解質の中には、さらに支持電解質を含み、支持電解質は、KAc、KCl、KSO、NHCl、又は(NHSOのうちの一種或いは二種以上から構成され、支持電解質の濃度は1~3Mである。
【0010】
マンガン塩と亜鉛塩のモル比は0.5:1~3:1、好ましくは0.8:1~1.5:1、より好ましくは1:1である。酢酸イオンとマンガンイオンとの比率は6:1~1:1、好ましくは3:1~5:1、より好ましくは4:1である。
【0011】
上記正極と負極はすべて炭素フェルトを基底としており、その片側或は両側表面に活性炭を塗布して複合多孔質電極を製造され;活性炭の材料はSuper P、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、又はケキンブラックのうちの一種或は二種以上から構成され、好ましくはSuper Pであり、塗布量は2~20mg/cm、好ましくは10~15mg/cm、より好ましくは12mg/cmである。
【0012】
亜鉛マンガン二次電池の膜材料は、基底に高分子樹脂を塗布した多孔質複合膜であり、複合膜基底は、PES、PVC、PSF、またはPEのうちの一種或いは複数種のポリマーで製造された多孔質膜であり、正極に近い側の多孔質膜表面に高分子コーティング層がコーティングされ、高分子樹脂は、SPEEK、PBI、又はNafionのうちの一種或いは二種以上で構成され、そのうち、基底材料はPEポリマーであることが好ましく、コーティング高分子樹脂は、Nafion樹脂であることが好ましく、複合膜基底の孔径は10~50nmであり、気孔率は30~60%である。
【0013】
充放電過程において電池は液固相転換を起こし、充電過程において、正極の電気化学反応はMn2+がMnOを生成して、生成したMnOは多孔質電極の上に堆積して、負極はZn2+がZn単体を生成して多孔質電極の上に堆積する。放電過程において正極のMnOはMn2+に溶解し、負極に堆積したZnはZn2+に酸化される。
【0014】
亜鉛マンガン二次電池は、亜鉛マンガン蓄電池又は亜鉛マンガンフロー電池を含む。そのうち、亜鉛マンガン蓄電池の構造は順に、正極と、負極と、隔膜と、正極電解質と、負極電解質とを含む。亜鉛マンガンフロー電池は、一個の単電池又は二個以上の単電池のストリング及び/又は並列に接続されたスタックからなる。単電池は、正極端板と、正極集電体と、正極と、膜と、負極と、負極集電体と、負極端板と、正・負極電解質を備えた正負極電解質タンクと、ポンプとを含む。
【0015】
中性亜鉛マンガン二次電池用電解質であって、正・負極電解質の組成は同じで、いずれも亜鉛イオンとマンガンイオンを含む水溶液であり、水溶液中の陰イオンは酢酸イオンを含み、電解質PH範囲は4~6で、好ましくはPH=5であり、正・負極電解質中の亜鉛イオンのモル濃度は0.1~1.5Mで、好ましくは0.5~1.2Mであり、より好ましくは1Mであり、マンガンイオンのモル濃度は0.1~1.5Mで、好ましくは0.5~1.2Mであり、より好ましくは1Mであり、酢酸イオンのモル濃度は0.1~6Mで、好ましくは3~5Mであり、より好ましくは4Mであり、塩化物イオンのモル濃度は0~3Mで、好ましくは0.5~2Mであり、より好ましくは1.5~2M、マンガン塩と亜鉛塩のモル比は0.5:1~3:1で、好ましくは0.8:1~1.5:1であり、より好ましくは1:1であり、酢酸陰イオンとマンガンイオンの比は6:1~1:1で、好ましくは3:1~5:1であり、より好ましくは4:1である。
【発明の効果】
【0016】
1、 従来の亜鉛マンガン電池と比較して、革新的に正極電解質に酢酸イオンを添加し、酢酸イオンの配位作用により、正極のMn2+を酸化過程でMnOとして電極に堆積(析出)させ、還元過程で可逆的にMn2+に変換することができ、液固相変換の反応機構(式(3))を実現することができる。
【数3】
【0017】
正極の電極反応は可溶のMn2+とMnO固体との溶解析出反応であり、この反応は可逆的な二電子反応(理論容量:616mAh/g)であり、電池の比容量が大幅に向上する。
【0018】
2、本開示に係る発明の酢酸イオンを添加したマンガン塩の電気化学反応機構は、酢酸イオンを含まないマンガン塩とは全く異なる。酢酸イオンを含まない電解質の酸化プロセスは、実質的に2段階の反応である。まず、充電過程において、Mn2+が酸化されてMn3+(式(1))となり、その後、Mn3+が不均化されてMnO(式(2))が生成される。不均化して生成したMnOは電極表面に極めて不均一に分布し、電極表面との接触力が弱いか又は未接触であり、さらには部分的に電解質中に遊離し、電池放電過程で完全な放電を実現することが困難であり、正極にMnOの蓄積が現れるため、電池のサイクル寿命が短いことが、研究において明らかになった。
【0019】
3、酢酸イオンを添加した後の電解質の溶解-析出メカニズムは従来の埋込み-脱出(e.g.Zn2+/H)式反応による構造崩壊の問題、循環過程における正極材料の構造の転換若しくは崩壊が発生して、電池の寿命を制限することを効果的に回避することができる。しかし、上記の亜鉛マンガン二次電池の正極反応は析出-溶解型反応であり、イオン埋込み等による構造破壊が回避され、電池のサイクル寿命が大幅に向上される。
【0020】
4、正極の塗装(コーティング)炭素材料の改質は炭素繊維表面の粗さを効果的に向上させ、正極に堆積するMnOの結晶性及び炭素繊維基底との接触力を改善することで、二酸化マンガンが電極の炭素繊維に均一且つ緻密に堆積するあることを促進する。従って、正極の堆積面容量が高く(20mAh/cm)なると同時に、電池のサイクル安定性はさらに向上される。
【0021】
5、本発明の亜鉛マンガン系は中性であり、負極の亜鉛デンドライトの問題が大幅に緩和され、電解質は環境にやさしい。
【0022】
6、高分子をコーティングした複合膜を使用することで、充電中に正極で生成したCHCOOHが負極で堆積した亜鉛に対して腐食することを効果的に回避することができ、電池のサイクル安定性とクーロン効率の向上に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】亜鉛マンガン二次電池(フロー電池と蓄電池を含む)の構造図である。
図2】実施例1で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は、0.5M酢酸マンガン、0.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂(Nafion)をコーティングとする)である。
図3】実施例2で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は、1M酢酸マンガン、1M塩化亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図4】実施例3で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は、1.5M酢酸マンガン、1.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(ベース膜としてPE、コーティングとしてPBI樹脂)である。
図5】実施例4で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は、1M塩化マンガン、1M塩化亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図6】実施例8で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClと2M KAcである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図7】実施例9で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛+0.5M塩化亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図8】実施例10で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛+1M塩化亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図9】実施例11で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClとした。PHを1に調整し、電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図10】実施例14で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。PHを14に調整し、電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量を12mg/cmとした。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、コーティングなし)である。
図11】実施例15で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能である。電解質の組成は1M硫酸マンガン、1M硫酸亜鉛であり、支持電解質は1M硫酸カリウムである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極はカーボンフェルト電極であり、電極にはコチェンブラックが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図12】比較例17で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M塩素であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は4mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図13】実施例20で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池の充放電グラフとサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は20mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図14】実施例21で組み立てた亜鉛マンガンフロー電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛とし、支持電解質は2M KClとした。電池の動作電流密度は40mA/cm、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(ベース膜はPES、コーティングはナフィオン樹脂)
図15】実施形態24によって組み立てられた蓄電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cm、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、SPEEK樹脂をコーティング層とする)である。
図16】亜鉛マンガン蓄電池の実施例2で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は1M酢酸マンガン、1M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は20mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図17】亜鉛マンガンフロー電池の比較例1で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は0.5Mの硫酸マンガン、0.5Mの硫酸亜鉛であり、支持電解質は0.5MのKSOである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図18】亜鉛マンガン蓄電池の比較例2で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は0.5M酢酸マンガン、0.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は20mA/cmであり、電極にはコーティングが施されていない。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、ナフィオン樹脂をコーティングとする)である。
図19】亜鉛マンガン蓄電池の比較例3で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は0.5M酢酸マンガン、0.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmである。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、コーティングなし)である。
図20】亜鉛マンガン蓄電池の比較例4で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は0.5M酢酸マンガン、0.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度は40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmであり、電解質のPHを1とした。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、コーティングなし)である。
図21】亜鉛マンガン蓄電池の比較例4で組み立てられた電池のサイクル性能図である。電解質の組成は0.5M酢酸マンガン、0.5M酢酸亜鉛であり、支持電解質は2M KClである。電池の動作電流密度を40mA/cmであり、電極にはSuper Pが塗布されており、積載量は12mg/cmであり、電解質のPHを9とした。膜材料は複合膜(PEをベース膜とし、コーティングなし)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示に係る発明をより明確にするために、添付の図面に基づいて、以下の実施例を例に説明する。ここで、実施例及びその説明は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではない。
【0025】
実施例1~24は単電池で組み立てられた亜鉛マンガン液流電池であって、当該単電池は、正極端板と、正極集電体と、フレーム付きカーボンフェルト正極と、膜と、フレーム付きカーボンフェルト負極と、負極集電体と、負極端板と、正及び負の電解質を備えた電解質タンクと、及びポンプと、を順に含む。電解質流速は10mL/min(分)、充電電流は40mA/cm、電池の遮断条件は時間遮断、充電遮断時間は10~30mins(分)、安全電圧は2.3Vに設定され、放電電圧は0.1Vである。
【0026】
電極面積は48cm、カーボンフェルト厚さは5mm、圧縮率は30%である。
【0027】
【表1】
【0028】
図3(実施例2)は、最適条件(酢酸アニオンとマンガンイオンの割合が4:1、亜鉛イオンとマンガンイオン濃度は1M)における電池のサイクル性能-容量保持率のグラフであり、図2(実施例1、0.5MMnAc、0.5MZnAc)に比べて高濃度電池の面容量が大幅に向上し、電池のエネルギー効率も比較的高い。しかし、飽和濃度に近い図4(実施例3、1.5MMnAc、1.5MZnAc)では、1.5Mの亜鉛イオンとマンガンイオン濃度による電解質の粘度が大きすぎるため、電池のエネルギー効率はわずかに低下しているが、電池のエネルギー密度は最も高い。
【0029】
実施形態2を基に、他の実施形態から以下のことが分かる:
酢酸イオンとマンガンイオンの濃度比を調整し、酢酸イオンとマンガンイオンの割合が低い場合の図5(実施例4、酢酸イオンとマンガンイオンの比1:1)では、酢酸イオンはマンガンイオンに対して一定の配位効果を有するが、完全ではないため、少量のマンガンイオンが存在し、MnOを完全に生成することができず、部分的にMn3+を生成して不均化反応が発生し、その分効率も面容量もやや低い。しかし、酢酸イオンの濃度が非常に高い時に図6(実施例8、酢酸イオンとマンガンイオンの比は6:1である)、過量の酢酸イオンの配位はまた電池正極の動力学を制限して、電池効率と面容量の降下を引き起こす。したがって、酢酸イオンとマンガンイオンの比は4:1であることが好ましい。
【0030】
マンガンイオンと亜鉛イオンの濃度比を変えて図7(実施例9)、図8(実施例10)では、亜鉛イオンの含有量を増加させて濃度比を2:3または1:2にすることにより、電解質のイオン濃度は飽和に近く、電界下でのイオンの移動速度は遅くなり、電池の効率は明らかに低下し、同様に過剰な亜鉛イオンは電池の容量に対して明らかな向上がなく、マンガンイオンと亜鉛イオンの比は1:1であることが好ましい。
【0031】
電解質のPHを4(実施例11)(図9)、4.5(実施例12)、5(実施例13)、5.5(実施例14)(図10)に調整することにより、電解質中の酢酸イオンとマンガンイオンの配位効果は、最適PH=5の条件下に比べてわずかに弱まり、電解質中のマンガンイオンはMn3+の生成に伴う傾向を有する可能性があるため、電池の効率、面容量ともにわずかに低下する。
【0032】
コーティングされたSuper Pをケッチェンブラックに置き換えると図11(実施例15)に示すように、後者は炭素繊維との結合力が弱く、炭素繊維表面へのMnOの析出(堆積)に不利であるため、電池の面容量が低下する。Super Pの含有量を低減する図12(実施例17)では、電極表面の粗さが著しく低下し、二酸化マンガンに対応する堆積面容量や結晶性も著しく低下するため、電池のエネルギー効率も著しく低下する。Super Pの含有量を20mg/cmまで高める図13(実施例20)では、Super Pの含有量が高すぎるため、カーボンフェルト電極の気孔率が大幅に低下し、二酸化マンガンの堆積空間が減少するため、電池の面容量の低下が深刻であり、電池の効率も低下し、電極コーティングはSuper Pであり、面容量は12mg/cmであることが好ましい。
【0033】
電池のベース膜をPESに交換すると、図14(実施例21)に示すように、電池の効率と面容量が低下したが、これは主にPESベース膜が中性イオンの導通に不利であり、電池の分極が深刻であり、それに応じてエネルギー効率が低下したことによる。
【0034】
図14と同様に、コーティング層をSPEEKに交換した後の図15(実施例24)も、電池内の支持電解質の導通が困難となり、電池の性能低下が深刻であり、ベース膜がPEであり、コーティング層がナフィオン(Nafion)であることが好ましい。
【0035】
実施例25~27は、単電池組立の亜鉛マンガン蓄電池に関するものであり、亜鉛マンガン蓄電池の構造は正極と、負極と、隔膜(セパレータ)と、正極電解質と、負極電解質とを順に含む。電池性能試験:電解質の流速は10mL/min、充電電流は40mA/cm、電池の遮断条件は時間遮断:充電遮断時間は10~30minsであり、安全電圧は2.3Vに設定され、放電電圧は0.1Vである。電極面積は48cmであり、カーボンフェルト厚さは5mm、圧縮率は30%である。
【0036】
図16(蓄電池の実施例26)は、蓄電池の最適条件における性能を示し、当該蓄電池は比較的高いエネルギー効率および面容量を得ることができる。
【0037】
比較例1~5は、単電池で組み立てられた亜鉛マンガンフロー電池であり、当該単電池は、正極端板と、正極集電体と、フレーム付きカーボンフェルト正極と、膜と、フレーム付きカーボンフェルト負極と、負極集電体と、負極端板と、正、負電解質を充填した電解質タンクと、ポンプとを順に含む。電解質の流速は10mL/min、充電電流は40mA/cm、電池の遮断条件は時間遮断である:充電遮断時間は10~30minsであり、安全電圧は2.3Vに設定され、放電電圧は0.1Vである。電極面積は48cm、カーボンフェルト厚さは5mm、圧縮率は30%である。
【0038】
正極電解質中の酢酸イオンを完全に除去すると、電池の正極は深刻な不均化副反応を伴って大量のMn3+を生成し、電池の面容量と効率が大幅に低下する(比較例1、図17)。また、膜電極上のコーティングを除去すると、正極の電気化学反応の過程で生成した酢酸イオンが膜を透過し、負極の腐食析出した亜鉛につながり、電池のクーロン効率が低下し、電池の安定性も大幅に低下する(比較例2、図18)。一方、正極電極上のコーティングを除去すると、炭素繊維の表面が平滑であるため、正極上で生成した二酸化マンガンは基板との接触力が弱く、結晶性も悪く、沈殿物の脱落を引き起こすため、電池の面容量と効率が低下する(比較例3、図19)。正極の電解質のPHを強酸性まで下げると、正極電解質中の酢酸イオンはHと酢酸を形成し、Mn2+と配位することがないため、正極は充電過程で大量のMn3+を生成し、明らかな不均化副反応を伴うため、電池の面容量も効率も低い(比較例4、図20)。一方、正極電解質のPHを強アルカリ性に高めると、マンガンイオンが水酸化物沈殿を生成するため、電池性能が劣る(比較例5、図21)。
【0039】
【表2】
【表3】
【0040】
本発明の中性亜鉛マンガン電池は、中性亜鉛マンガンフロー電池および蓄電池を含む。蓄電池の構造は主に:正極と、負極と、電解質と、及び隔膜と、を含む。一方、対応するフロー電池は、上記構成に加え、正負極のポンプと、配管と、及びタンクなどを含む。フロー電池と蓄電池の両構造において、正極と負極の材料はいずれも多孔質カーボンフェルトであり、膜材料は高分子材料である。このうち、蓄電池では多孔質の電極に電解質を貯蔵し、一方、フロー電池では、正・負極電解質はポンプと管路を介して正極と負極に流動し、最終的にタンクに戻ることにより、電極室とタンクの間で電解質を循環させることが実現される。また、正・負極電解質は特定組成の亜鉛塩とマンガン塩の中性溶液であり、電極と集電体に対して腐食性がなく、充電過程において、正極のMnOは直接α-MnOに酸化され、放電過程において、MnOは溶解してMn2+になる。これは、従来の亜鉛マンガン二次電池の埋込-脱離機構(メカニズム)とは異なり、この溶解-堆積機構により、サイクル中の材料構造の崩壊問題を回避することができ、電池のサイクル寿命が大幅に改善されることができる。また、この反応は二電子移動であり、電池のエネルギー密度を大幅に向上させることができる。
図1
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