(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】液体供給物の処理のためのプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20240709BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20240709BHJP
C02F 1/04 20230101ALI20240709BHJP
F28D 9/00 20060101ALI20240709BHJP
F28F 3/10 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F28F3/08 311
B01D1/00 Z
C02F1/04 A
F28D9/00
F28F3/10
(21)【出願番号】P 2022516124
(86)(22)【出願日】2020-09-04
(86)【国際出願番号】 EP2020074709
(87)【国際公開番号】W WO2021048005
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-03-11
(32)【優先日】2019-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・スロート
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534906(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1146105(KR,B1)
【文献】特表2022-531257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
B01B 1/00 - 1/08
B01D 1/00 - 8/00
C02F 1/02 - 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器であって、当該熱交換器は、複数の連続して配置された熱交換プレートであって、それぞれの熱交換プレートが、第1の長手方向端と、前記第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、前記第1の長手方向端と前記第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸と、を規定する熱交換プレート、を有するプレートパッケージを備え、前記中心軸が、前記プレートを、前記第1の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第1の部分と、前記第2の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第2の部分とに分割し、前記プレートパッケージは、交互の順序で配置された第1のプレート隙間および第2のプレート隙間を規定し、それぞれのプレート隙間は、各プレートの第1の長手方向端および第2の長手方向端に沿って延在するガスケットで囲まれている、プレート式熱交換器において、
それぞれの熱交換プレートが、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における前記蒸発セクションと前記凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
前記プレートにおける前記第1および第2の部分の前記蒸発セクションと前記分離セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記蒸発セクションから前記分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
前記プレートにおける前記第1の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記分離セクションから前記凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
前記プレートにおける前記第2の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションの間のアクセスを防ぐガスケット要素と、
前記分離セクションと前記第2の通路との間に配置され、前記第1の長手方向端から前記中心軸に向かって延在し、前記分離セクションと前記第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、
をさらに規定していることを特徴とし、
前記熱交換プレートが、前記第2の長手方向端に隣接して配置される冷却媒体用のポートを備える、プレート式熱交換器。
【請求項2】
前記分離セクションと前記第2の通路との間の流れ面積が、前記第2の通路の流れ面積と比較して10%~30%低減されていることを特徴とする、請求項1に記載のプレート式熱交換器。
【請求項3】
前記フローガイド要素が、前記第1の長手方向端に沿って前記ガスケットの一部を形成していることを特徴とする、請求項1または2に記載のプレート式熱交換器。
【請求項4】
前記フローガイド要素が、三角形の形状を有していることを特徴とする、請求項3に記載のプレート式熱交換器。
【請求項5】
前記フローガイド要素が、前記分離セクションに向かって丸みを帯びた形状を有していることを特徴とする、請求項4に記載のプレート式熱交換器。
【請求項6】
1つおきのプレート隙間が、前記凝縮セクションを冷却するための冷却セクションおよび/または前記蒸発セクションを加熱するための加熱セクションを規定していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項7】
前記中心軸に向かって延在する前記第2の長手方向端にさらなるフローガイド要素が存在することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項8】
前記分離セクションおよび前記フローガイド要素が、前記第1のプレート隙間および前記第2のプレート隙間の両方に設けられていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項9】
前記熱交換プレートは、前記プレート隙間間の連通のために前記第1および第2の通路に開口部を備えていることを特徴とする、請求項8に記載のプレート式熱交換器。
【請求項10】
前記熱交換プレートは、凝縮液用のポートを備え、前記第2の通路のポートに対する前記中心軸に対して対称に配置されていることを特徴とする、請求項9に記載のプレート式熱交換器。
【請求項11】
それぞれの熱交換プレートは、隆起および谷を形成する分離セクションにおいて波形に形成され、それにより、隆起が前記プレートの反対側の谷に対応し、それにより、それぞれのプレートにおいて、隙間間の隆起が谷に落ち、逆もまた同様であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項12】
前記凝縮セクションおよび蒸発セクションがそれぞれ、対向するプレートの対向する隆起が接触点で接触する交差する波形パターンを有する熱交換領域を規定していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項13】
前記蒸発セクションおよび前記凝縮セクションは、対向するプレートと一緒に交差する波形パターンを形成する斜めの角度を有する谷および隆起を規定する波形に形成されていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器。
【請求項14】
前記液体供給物が海水であることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の熱交換器の使用。
【請求項15】
液体供給物の処理のためのプレート式熱交換器用の熱交換プレートであって、前記熱交換器が、間にガスケットを備えた複数の連続して配置された熱交換プレートを有するプレートパッケージを含み、
当該熱交換プレートが、
第1の長手方向端、前記第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端、および前記第1の長手方向端と前記第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、前記プレートを、前記第1の長手方向端と前記中心軸との間に平行に延在する第1の部分と、前記第2の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、前記供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における前記蒸発セクションと前記凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
前記プレートにおける前記第1および第2の部分の蒸発セクションと分離セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記蒸発セクションから前記分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
前記プレートにおける前記第1の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記分離セクションから前記凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
前記プレートにおける前記第2の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間のアクセスを防ぐための要素と、
前記分離セクションと前記第2の通路との間に配置され、前記第1の長手方向端から前記中心軸に向かって延在し、前記分離セクションと前記第2の通路との間の流れ面積を低減させるためのフローガイド要素と、
を規定していることを特徴とし、
前記第2の長手方向端に隣接して配置される冷却媒体用のポートを備える、熱交換プレート。
【請求項16】
液体供給物の処理のためのプレート式熱交換器用のガスケットであって、前記熱交換器が、間にガスケットを備えた複数の連続して配置された熱交換プレートを有するプレートパッケージを含み、
当該ガスケットが、
第1の長手方向端と、前記第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、前記第1の長手方向端と前記第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、前記ガスケットを、前記第1の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第1の部分と、前記第2の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における前記蒸発セクションと前記凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
前記ガスケットにおける前記第1および第2の部分の前記蒸発セクションと前記分離セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記蒸発セクションから前記分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
前記ガスケットにおける前記第1の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記分離セクションから前記凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
前記ガスケットにおける前記第2の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションの間のアクセスを防ぐガスケット要素と、
前記分離セクションと前記第2の通路との間に配置され、前記第1の長手方向端から前記中心軸に向かって延在し、前記分離セクションと前記第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、
を規定しており、
前記第2の長手方向端に隣接して配置される前記熱交換プレートの冷却水入口ポートおよび冷却水出口ポートをそれぞれ密閉し、前記分離セクションおよび前記凝縮セクションから分離することを特徴とする、ガスケット。
【請求項17】
複数の熱交換プレートを設けることにより、海水などの液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器の製造方法であって、
それぞれの熱交換プレートが、
第1の長手方向端と、前記第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、前記第1の長手方向端と前記第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、前記プレートを、前記第1の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第1の部分と、前記第2の長手方向端と前記中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における前記蒸発セクションと前記凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
前記プレートにおける前記第1および第2の部分の前記蒸発セクションと前記分離セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記蒸発セクションから前記分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
前記プレートにおける前記第1の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間に配置され、前記蒸発した供給物が前記分離セクションから前記凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
前記分離セクションと前記第2の通路との間に配置され、前記第1の長手方向端から前記中心軸に向かって延在し、前記分離セクションと前記第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、
を規定し、
前記熱交換プレートが、前記第2の長手方向端に隣接して配置される冷却媒体用のポートを備え、
当該製造方法が、
前記熱交換プレートを、それぞれのプレートの間にガスケットを有するプレートパッケージに連続して配置するステップであって、前記プレートパッケージが第1のプレート隙間および第2のプレート隙間を交互の順序で配置し、それにより、ガスケット要素が、前記プレートの第2の部分の前記分離セクションと前記凝縮セクションとの間のアクセスを防止し、それぞれのプレート隙間が、それぞれのプレートの第1および第2の長手方向端に沿って延在する前記ガスケットによって囲まれるようにする、ステップ、
を含んでなることを特徴とする、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器、液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器用の熱交換プレート、液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器用のガスケット、および液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器を製造する方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換プレートの1つまたは複数のプレートパッケージがプロセスの主要コンポーネントを形成する海水淡水化装置は、長年にわたって製造されてきた。スウェーデン国特許第464938号明細書には、円筒形の容器に入れられたプレートパッケージを含むそのような淡水化プラントが開示されている。熱交換プレートには蒸気用のポートがないが、代わりに、プロセスの種類に応じて、熱交換プレートの外側のスペースが蒸気の1つまたは複数の流路として使用される。容器は実質的に円筒形の圧力容器である。いくつかのプレートパッケージを含む大規模なプラントでは、これらはシリンダの長手方向に配置され得る。複数のコンテナをプラントに含めることができない場合に、ある程度、コンテナはプラントのサイズを制限している。
【0003】
出願人企業は、数年前から、プレートパッケージ内で蒸発、分離、凝縮が行われるタンクのない淡水発生器を製造してきた。詳細は、アルファラバルコーポレートABに割り当てられた国際公開第2006/104443号公報に記載されている。この文献は、脱塩用のプレート式熱交換器を開示している。熱交換器には、熱交換器内に交互の順序で形成された第1のプレートと第2のプレートとの隙間が存在する。第1のプレート隙間は、蒸発セクション、分離セクション、および凝縮セクションを形成し、第2のプレート隙間は、加熱および冷却セクションを形成する。蒸発セクションは、海水などの液体供給物を蒸発させるために使用され、分離セクションは、蒸発した供給物を蒸発していない供給物から分離するために使用され、凝縮セクションは、蒸発した供給物を凝縮するために使用される。加熱セクションは蒸発セクションを加熱し、冷却セクションは凝縮セクションを冷却する。分離セクションは、両方のプレート隙間の間、つまり、第2のプレート隙間の加熱セクションと冷却セクションとの間にも広がっている。上記の熱交換器の利点は、海水の処理全体がプレートパッケージで行われるため、コンテナが不要なことである。
【0004】
上記のプレート式熱交換器は、中央に配置された加熱流体用、冷却流体用、および淡水用のポートを有し、熱交換プレートの中心軸を中心に蒸気用および供給物用のポートが対称的に配置されている。このように、必要なプレートタイプは1つだけである。第1および第2のプレート隙間は、2つの異なるガスケットを使用し、熱交換プレートを向かい合わせに配置することによって形成される。このようにして、対向するプレートの波形は、十字型のパターンを形成する。
【0005】
中央に配置されたポートと熱交換プレートの端に隣接するポートは、熱交換プレートの幅に沿って最大6つのガスケット要素が必要になることを意味する。ガスケットは、プロセスに使用できない熱交換プレート上のスペースを占有する。ガスケットの幅は、大規模な熱交換器の場合と小規模な熱交換器の場合とでほぼ同じになる。大型の熱交換器の場合、ガスケットが占めるスペースはごくわずかだが、小型の熱交換器の場合はかなりのスペースになり得る。
【0006】
小型船に搭載して使用できる小型淡水発電機の必要性が高まっている。上記のように淡水発生器のサイズを縮小する場合に、ガスケットは基本的に同じ量のスペースを占有する。これにより、大型の淡水発電機と比較して、小型の淡水発電機の面積効率が低下する。これは、適切に動作するために大きな熱交換領域を必要とする凝縮器にとって特に問題である。
【0007】
上記の問題の1つの解決策は、特に凝縮器の中央に配置されたポートを省略し、すべてのポートを熱交換プレートの端に配置することである。凝縮器のそのような設計の一例は、出願中の欧州特許出願第19171723号明細書に示されている。ポートは、ポートを同じ相対位置に保ちながら、個々のプレートを裏返す、つまり中心軸を中心に180度回転できるように、中心軸に対して対称に配置され得る。ポートおよびガスケット溝を中心軸に対して対称に保つことにより、1つのプレートタイプのみが必要になる。
【0008】
冷却流体用のポートを中央に配置することで、蒸発した供給物の通路をプレートの両端に隣接して配置できるが、ポートを端に配置することは、プレートの反対側が冷却液および凝縮器の凝縮液のポートに使用されるため、分離器から凝縮器への蒸発した供給物のための1つの通路のみがプレートの一方の端に隣接して配置され得ることを意味する。したがって、蒸発した供給物の流れは、分離セクションで非対称になる。実験およびシミュレーションは、流れの大部分が蒸発セクションと凝縮器との間の最短経路をとるため、それによって分離器内の流れの分布が悪影響を受けることを示している。これにより、蒸発していない流体、つまり液滴が蒸発器から凝縮器に持ち越され得る。
【0009】
したがって、本発明の目的は、上記の問題を回避する液体供給物の処理のための技術を提供することである。
【0010】
米国特許第8646517号明細書には、ポート穴の近くに変位したガスケットを備えたガスケットを有する熱交換プレートが記載されている。
【0011】
中国実用新案第203820488号明細書は、内部突起のあるフィールドガスケットを示す脱塩プレートについて説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】スウェーデン国特許第464938号明細書
【文献】国際公開第2006/104443号公報
【文献】欧州特許出願第19171723号明細書
【文献】米国特許第8646517号明細書
【文献】中国実用新案第203820488号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的は、液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器であって、熱交換器は、複数の連続して配置された熱交換プレートであって、各熱交換プレートが、第1の長手方向端と、第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、第1の長手方向端と第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸と、を規定する熱交換プレート、を有するプレートパッケージ、を備え、中心軸は、プレートを、第1の長手方向端と中心軸との間に延在する第1の部分と、第2の長手方向端と中心軸との間に延在する第2の部分とに分割し、プレートパッケージは、交互の順序で配置された第1のプレート隙間および第2のプレート隙間を規定し、各プレート隙間は、各プレートの第1の長手方向端および第2の長手方向端に沿って延在するガスケットで囲まれており、各熱交換プレートは、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における蒸発セクションと凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
プレートにおける第1および第2の部分の蒸発セクションと分離セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が蒸発セクションから分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
プレートにおける第1の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が分離セクションから凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
プレートにおける第2の部分の分離セクションと凝縮セクションの間のアクセスを防ぐガスケット要素と、
分離セクションと第2の通路との間に配置され、第1の長手方向端から中心軸に向かって延在し、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、をさらに規定する、プレート式熱交換器による、第1の態様において実現される。
【0014】
蒸発セクションはプレートパッケージの下部に配置されており、凝縮セクションはプレートパッケージの上部に配置されており、分離セクションは蒸発セクションと凝縮セクションとの間に配置されている。蒸発セクションと分離セクションとの間の第1の通路により、蒸発した供給物が蒸発セクションの全幅から上向きに流れることが可能になる。したがって、第1の通路は、長手方向の端間の距離の大部分、すなわち、中心軸で分割されたプレートの両方の部分に延在する。第1の通路の横に、蒸発していない供給物用の通路がある。
【0015】
分離セクションと凝縮セクションとの間の第2の通路は、プレートの第1の部分のみに延在する、つまり、長手方向の端の第1の部分にのみ隣接する。プレートの第2の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間の流体アクセスは、ガスケット要素によって防止される。これは、ポートを端に隣接して配置し、上記のように中央に配置されたポートを回避するためである。したがって、蒸発していない供給物は、第1の長手方向端で分離セクションと凝縮セクションとの間に延在する第2の通路に入り、中心軸に位置する熱伝達領域で凝縮する。凝縮液は、プレートの反対側の第2の長手方向端にある凝縮液ポートに集められる。凝縮セクションの伝熱領域は、第2の通路の位置を除いて分離セクションから密閉されている。
【0016】
フローガイド要素は、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積を減少させるために、距離の少なくとも一部を第1の長手方向端から中心軸に向かって延在し、これにより、蒸発した供給物の流れが第2の端に向かってより多く流れ、流れが第1の通路と第2の通路との間の最短経路をたどることを防ぐ。これにより、分離セクション内の流れがより均一に分散され、蒸発していない供給物が凝縮セクションに持ち越されることを防ぐ。分離セクションは、第1および第2の通路の位置と、蒸発していない供給物の出口通路とを除いて、ガスケットによって閉じられる。
【0017】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積は、第2の通路の流れ面積と比較して10%~30%低減されている。
【0018】
上記の値により、分離セクション内の流れの分布が改善するが、流れ面積が減少するため、許容可能な圧力が増加する。
【0019】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、フローガイド要素は、第1の長手方向端に沿ってガスケットの一部を形成する。
【0020】
好ましい実施形態では、フローガイド要素はガスケットの一部である。単純で安全なフローガイド要素を確立することとは別に、この解決策は、ガスケットのプレートへの位置合わせおよび固定を支援するという追加の利点を有する。あるいは、フローガイド要素はプレートに押し込まれてもよい。
【0021】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、フローガイド要素は三角形の形状を有する。
【0022】
このようにして、フローガイド要素の真下から第2の通路に近づく蒸発した供給物の流れは、中心軸に向かう方向に導かれ、流れが最短経路をとることを防ぎ、分離セクションにおける流れの分布を改善することができる。
【0023】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、フローガイド要素は、分離セクションに向かって丸みを帯びた形状を有する。
【0024】
このようにして、フローガイド要素の真下から第2の通路に接近する蒸発した供給物の流れは、第2の通路に入る前に、第2の長手方向端に向かって横方向に流れるようにさえされ得る。これにより、第1の通路と第2の通路との間の流れ距離がさらに広がり、流れが第2の長手方向端に向かって流れるため、分離セクションにおける流れの分布が改善される。
【0025】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、1つおきのプレート隙間が、凝縮セクションを冷却するための冷却セクションおよび/または蒸発セクションを加熱するための加熱セクションを規定する。
【0026】
加熱セクションは、蒸発セクションに対してプレートの反対側に配置され、冷却セクションは、凝縮セクションに対してプレートの反対側に配置される。加熱セクションは蒸発セクションを加熱し、冷却セクションは凝縮セクションを冷却する。
【0027】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、中心軸に向かって延在する第2の長手方向端にさらなるフローガイド要素が存在する。
【0028】
好ましくは第2の長手方向端でガスケットの一部を形成しているさらなるフローガイド要素は、第1の長手方向端のフローガイド要素に対して対称性を可能にする。
【0029】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、液体供給物は海水である。
【0030】
プレート式熱交換器は、給水として海水を使用し、淡水を生成する淡水発生器であり得る。
【0031】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、分離セクションおよびフローガイド要素は、第1のプレート隙間および第2のプレート隙間の両方に設けられる。
【0032】
次に、分離セクションは、蒸発セクションと凝縮セクションとの間、および加熱セクションと冷却セクションとの間の両方に設けられる。蒸発した供給物がプレート間を流れることを可能にするために、プレートに開口部が設けられる。
【0033】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、熱交換プレートは、プレート隙間の間の連通のために、第1および第2の通路に開口部を備えている。
【0034】
第1の通路の開口部は、蒸発した供給物が蒸発セクションの反対側のプレート隙間に入ることを可能にし、第2の通路の開口部は、蒸発した供給物が凝縮セクションを収容するプレート隙間に戻ることを可能にする。
【0035】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、熱交換プレートは、冷却媒体用および凝縮液用のポートを備え、第2の通路のポートに対する中心軸に対して対称に配置される。
【0036】
上記のように、典型的には、凝縮セクションの反対側を流れる冷却媒体の入口および出口ポート、ならびに凝縮液の出口ポートは、第2の通路のプレートの反対側の端にある蒸気開口部に対応する。
【0037】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、各熱交換プレートは、隆起および谷を形成する分離セクションにおいて波形に形成され、それにより、隆起がプレートの反対側の谷に対応し、それにより、各プレートにおいて、隙間間の隆起が谷に落ち、逆もまた同様である。
【0038】
凝縮セクションと蒸発セクションとの熱交換領域は、通常、交差する波形パターンを有し、反対側のプレートの反対側の隆起が接触点で接触するが、分離セクションは、対向するプレートが接触せず、通常、互いに落下する横方向に配向された谷および隆起と接触しないように構成され得、蒸発しない供給物を捕らえることができる蛇行する流路を確立する。
【0039】
上記の目的は、液体供給物の処理のためのプレート式熱交換器用の熱交換プレートであって、熱交換器は、間にガスケットを備えた複数の連続して配置された熱交換プレートを有するプレートパッケージを含み、
熱交換プレートが、
第1の長手方向端、第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端、および第1の長手方向端と第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、プレートを、第1の長手方向端と中心軸との間に平行に延在する第1の部分と、第2の長手方向端と中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における蒸発セクションと凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
プレートにおける第1および第2の部分の蒸発セクションと分離セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が蒸発セクションから分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
プレートにおける第1の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が分離セクションから凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
プレートにおける第2の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間のアクセスを防ぐための要素と、
分離セクションと第2の通路との間に配置され、第1の長手方向端から中心軸に向かって延在し、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積を低減させるためのフローガイド要素と、
を規定する、熱交換プレートによる第2の態様において実現される。
【0040】
第2の態様による上記の熱交換プレートは、好ましくは、第1の態様によるプレート式熱交換器で使用される。
【0041】
上記の目的は、液体供給物の処理のためのプレート式熱交換器用のガスケットであって、熱交換器は、間にガスケットを備えた複数の連続して配置された熱交換プレートを有するプレートパッケージを含み、
ガスケットは、
第1の長手方向端と、第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、第1の長手方向端と第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、ガスケットを、第1の長手方向端と中心軸との間に延在する第1の部分と、第2の長手方向端と中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における蒸発セクションと凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
ガスケットにおける第1および第2の部分の蒸発セクションと分離セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が蒸発セクションから分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
ガスケットにおける第1の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が分離セクションから凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
ガスケットにおける第2の部分の分離セクションと凝縮セクションの間のアクセスを防ぐガスケット要素と、
分離セクションと第2の通路との間に配置され、第1の長手方向端から中心軸に向かって延在し、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、
を規定する、ガスケットによる第3の態様において実現される。
【0042】
第3の態様による上記ガスケットは、好ましくは、第1の態様によるプレート式熱交換器において、第2の態様によるプレートと一緒に使用される。
【0043】
上記の目的は、複数の熱交換プレートを設けることにより、海水などの液体供給物を処理するためのプレート式熱交換器の製造方法であって、
各熱交換プレートが、
第1の長手方向端と、第1の長手方向端に平行に延在する反対側の第2の長手方向端と、第1の長手方向端と第2の長手方向端との間で実質的に中央に延在する中心軸であって、プレートを、第1の長手方向端と中心軸との間に延在する第1の部分と、第2の長手方向端と中心軸との間に延在する第2の部分とに分割する、中心軸と、
供給物を蒸発させるための蒸発セクション、供給物を凝縮するための凝縮セクション、および蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための分離セクションであって、長手方向における蒸発セクションと凝縮セクションとの間に配置される、分離セクションと、
プレートにおける第1および第2の部分の蒸発セクションと分離セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が蒸発セクションから分離セクションに流れることを可能にする第1の通路と、
プレートにおける第1の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間に配置され、蒸発した供給物が分離セクションから凝縮セクションに流れることを可能にするための第2の通路と、
分離セクションと第2の通路との間に配置され、第1の長手方向端から中心軸に向かって延在し、分離セクションと第2の通路との間の流れ面積を減少させるためのフローガイド要素と、
を規定し、
製造方法が、
熱交換プレートを、各々のプレートの間にガスケットを有するプレートパッケージに連続して配置するステップであって、プレートパッケージが第1のプレート隙間および第2のプレート隙間を交互の順序で配置し、それにより、ガスケット要素が、プレートの第2の部分の分離セクションと凝縮セクションとの間のアクセスを防止し、各プレート隙間が、各プレートの第1および第2の長手方向端に沿って延在するガスケットによって囲まれるようにする、ステップ
を含む、プレート式熱交換器の製造方法による第4の態様において実現される。
【0044】
第3の態様による上記の方法は、好ましくは、第2の態様によるプレートおよび第3の態様によるガスケットを使用して、第1の態様によるプレート式熱交換器を製造するために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明によるプレート式熱交換器の側面図である。
【
図2】熱交換プレートおよびガスケットの正面図である。
【
図3】熱交換プレートおよびガスケットの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明のプレート式熱交換器10の側面図を開示している。以下の説明では、海水の淡水化に関する用途が説明されている。つまり、供給物は海水である。ただし、本発明は、供給物が海水であることに限定されず、他の任意の処理、例えば、液体の蒸留にも言及し得ることに留意されたい。プレート式熱交換器は、多数の圧縮成形された熱交換プレート12を含み、これらは、互いに平行に、そしてそれらがプレートパッケージ14を形成するように連続して提供される。プレートパッケージ14は、フレームプレート16と圧力プレート18との間に提供される。
【0047】
熱交換プレート12の間に、第1のプレート隙間20および第2のプレート隙間22が形成される。第1のプレート隙間20および第2のプレート隙間22は、各第1のプレート隙間20が実質的に2つの第2のプレート隙間22に囲まれ、各第2のプレート隙間22が実質的に2つの第1のプレート隙間20に囲まれるように、プレートパッケージ14において交互の順序で提供される。プレートパッケージ14内の異なるセクションが、各プレート隙間内のガスケット(図示せず)によって互いに区切られていることにより、第1のプレート隙間20は、第1のタイプのガスケット(図示せず)を含み、第2のプレート隙間22は、第2のタイプのガスケット(図示せず)を含む。プレートパッケージ14、すなわち熱交換プレート12とそれらの間に提供されるガスケット(図示せず)は、それ自体が知られている方法で概略的に示された締め付けボルト24によって一緒に保たれる。
【0048】
プレートパッケージ14は、冷却水入口導管26、冷却水出口導管28、および淡水出口導管30に接続されている。冷却水は通常、海水であり、したがって、冷却水によって吸収された熱を回収するために、冷却水出口導管28は、海水入口導管32に接続されている。プレートパッケージ12は、加熱流体入口導管34および加熱流体出口導管36にさらに接続されている。加熱流体は、供給物、すなわち、海水入口導管32を通ってプレートパッケージ14に入る海水を蒸発させるために使用される。加熱流体は、船のエンジンからのジャケット水などの加熱水であってもよい。凝縮された淡水は、淡水出口導管30を通ってプレートパッケージ14を出る。
【0049】
図2は、本発明による、符号12aで規定された熱交換プレートの前面、およびプレート式熱交換器の第1のタイプのガスケット38を図示している。
【0050】
それぞれの熱交換プレート12aは、第1の長手方向端40と、第1の長手方向端40と実質的に平行な反対側の第2の長手方向端42と、上端44と、上端44の反対側に位置する下端46とを有する。熱交換プレート12aは、長手方向端40、42の間で実質的に中央に長手方向に延在する中心軸48をさらに規定する。中心軸48は、プレートパッケージが通常の使用位置にあるときに実質的に垂直に延在する。
【0051】
熱交換プレートは、下端46に隣接し、供給物、すなわち海水を蒸発させるための蒸発セクション50aと、上端44に隣接し、蒸発した供給物を凝縮するための凝縮セクション52aと、蒸発した供給物と蒸発していない供給物とを分離するための、蒸発セクション50aと凝縮セクション52aとの間に位置する分離セクション54aと、を含む。蒸発した供給物が蒸発セクション50aから分離セクション54aを経由して凝縮セクション52aに流れることを可能にするために、蒸発セクション50aは、第1の通路56を介して分離セクション54aに接続されており、分離セクション54aは、第2の通路58を介して凝縮セクション52aに接続されている。第2の通路58は、第1の長手方向端40に隣接してのみ延在し、ガスケット要素38cは、第2の通路58の外側、すなわち第2の長手方向端42に隣接して、分離セクション54aと凝縮セクション52aとの間の流体アクセスを提供するように設けられている。
【0052】
蒸発セクション50aおよび凝縮セクション52aは、熱交換プレート12aを通る熱伝達を増加させるために、対向するプレートと一緒に交差する波形パターンを形成する斜めの角度を有する波形を規定する谷および隆起である。第1のプレート隙間は、熱交換プレート12aの間に配置された第1のタイプのガスケット38を有する2つのプレート12aを向かい合わせに配置することによって形成される。プレート隙間を形成する2つのプレート12aは同一であるが、熱交換プレート12aの1つは中心軸46を中心に180度回転している。このようにして、熱交換プレート12aの波形は、対向する隆起が十字型のパターンを形成し、接触点で互いに接触するように配置され得る。
【0053】
分離セクション54aは、第1の通路56を介して蒸発セクション50aから蒸発した供給物を受け取り、蒸発した供給物を蒸発していない供給物から分離する。これは、蛇行する流路を形成する互いに落下する平行な横方向の隆起と谷とによって作られている。蒸発した供給物は、第2の通路58を経由して凝縮セクション52aまで続く。
【0054】
熱交換プレート12aは、第1の通路56に配置された1つの細長い下部蒸気ポート60を規定し、蒸発セクション50aからのいくらかの蒸発した供給物が、平行分離セクションを含む反対側のプレート隙間に通過することを可能にする。さらに、3つの上部蒸気ポート62、64、66は、蒸発した供給物が熱交換プレート12aを通過して凝縮セクション52aに到達することを可能にするために、第1の長手方向端40に隣接する第2の通路58に配置される。
【0055】
第2の長手方向端42に隣接して位置するのは、冷却水出口ポート68、冷却水入口ポート70、および淡水出口ポート72である。冷却水入口ポート70は冷却水入口導管と連通しており、冷却水出口ポート72は冷却水出口導管と連通しており、凝縮セクション52aから凝縮された供給物を収集する淡水出口ポート58は淡水出口導管と連通している。ポート62、64、66および68、70、72は、中心軸48を中心に対称に配置されている。
【0056】
蒸発セクション50aに隣接して中央に位置するのは、加熱流体入口ポート74であり、加熱流体出口ポート76が提供される。加熱流体入口ポート74は、加熱流体入口導管と連通しており、加熱流体出口ポート76は、冷却水出口導管と連通している。さらに、蒸発セクション50aに海水を供給するための海水入口導管に接続された供給入口ポート78は、下端46に隣接して中央に配置されており、分離セクション54aから流れ落ちる非蒸発供給物を収集するための2つの出口ポート80、80´は、下端46に隣接する供給入口ポート78の反対側にあるが分離されている。
【0057】
第1のタイプのガスケット38は、熱交換プレート12aを取り囲み、蒸発セクション50a、分離セクション54a、および凝縮セクション52aを規定する。冷却水入口ポート68、冷却水出口ポート70、加熱流体入口ポート74、および加熱流体出口ポート76は、互いに密封されており、そして、本プレート隙間内において、ガスケット38により、蒸発セクション50a、分離セクション54aおよび凝縮セクション52aから密封されている。
【0058】
上部蒸気ポート62、64、66は、サイズおよび形状がそれぞれ冷却水入口ポート68、冷却水出口ポート70および淡水(凝縮液)出口ポート72に対応し、それらは中心軸18を中心に対称的に配置されている。このようにして、熱交換プレートは、6つのポート62、64、66、68、70、72の構成を変更することなく、中心軸18を中心に回転させることができる。このようにして、中央に配置されたポートは、中央に配置されたポートを有する場合と比較して大きくすることができる凝縮セクション52aから省略され得る。淡水(凝縮液)出口ポート72は、ガスケット要素38cによって分離セクション54aから分離されている。
【0059】
分離セクション54aと第2の通路58との間に、フローガイド要素82が設けられている。フローガイド要素は、第1の長手方向端40においてガスケット38によって形成され、中心軸48に向かって延在する。フローガイド要素82は、分離セクション54aから第2の通路58への蒸気の流れに対する障害物を形成し、第1の通路から分離セクションへの蒸気の流れを第2の長手方向端42に向ける。流れ面積は、フローガイド要素82において第2の通路58と比較して低減される。これは、蒸気の流れが第2の長手方向端42に向かってより長い経路をとるように強制し、流れが第1の通路56から第2の通路58への直接経路をたどることを防ぐ。したがって、フローガイド要素82は、分離セクション54a全体に流れを均一に分配することを可能にすることによって、蒸発していない供給物が第2の通路58に持ち越されるリスクを低減する。あるいは、フローガイド要素82は、プレート自体の一部として作製され得るが、好ましくは、ガスケットはまた、ガスケットを端部に固定するのを助けるフローガイド要素82として使用される。対応するフローガイド要素82´を第2の長手方向端42に設けることができる。
【0060】
図3は、本発明によるプレート熱交換器の熱交換プレート12bおよび第2のタイプのガスケット38bの背面図を示している。したがって、熱交換プレート12bは、中心軸46を中心に180度回転していることを除いて、熱交換プレート12aと同じである。ガスケット38bは、蒸発セクションの反対側の加熱セクション52aと、凝縮セクションの反対側の冷却セクション52bとを規定するように配置されている。冷却水入口ポート68および冷却水出口ポート70は、冷却セクション52bと連通しており、一方、加熱流体入口ポート74および加熱流体出口ポート76は、加熱セクション50bと連通している。冷却セクション52bおよび加熱セクション50bは、それぞれ、他のポートに対して密閉されている。冷却セクション52bは、反対側の凝縮セクションを冷却するように配置され、加熱セクション50bは、反対側の蒸発セクションを加熱するように配置されている。冷却セクション52b、加熱セクション50bの両方において、流れは、完全な熱伝達面を覆うために18度回転する流路に沿って案内される。背面は第2のプレート隙間を形成する。
【0061】
熱交換プレート12bの裏側はまた、加熱セクション50bと冷却セクション52bとの間に分離セクション54bを含む。蒸発した供給物は、第1のプレート隙間の第1の通路から下部蒸気開口部60を介して導入される。分離セクション54bは、反対側のものと同じように機能し、蒸発した供給物と蒸発していない供給物を分離する。蒸発した供給物は上部蒸気開口部62、64、66を通って第2の通路に流れるが、蒸発していない供給物は出口80、80´に流れ落ちる。
【0062】
分離セクション54bはまた、反対側と同じ目的のためのフローガイド要素82を含む。フローガイド要素82は、分離セクション54bから第2の通路58への蒸気の流れに対する障害物を形成し、第1の通路から分離セクションへの蒸気の流れを第2の長手方向端42に向ける。流れ面積は、フローガイド要素82において第2の通路58と比較して低減される。これは、蒸気の流れが第2の長手方向端42に向かってより長い経路をたどるように強制し、流れが下部蒸気開口部60から上部蒸気開口部62、64、66への直接経路をたどることを防ぐ。したがって、フローガイド要素82は、分離セクション54b全体に流れを均一に分配することを可能にすることによって、蒸発されていない供給物が上部蒸気開口部に持ち越されるリスクを低減する。あるいは、フローガイド要素82は、プレート自体の一部として作製され得るが、好ましくは、ガスケットはまた、ガスケットを端部に固定するのを助けるフローガイド要素82として使用される。対応するフローガイド要素82´を第2の長手方向端42に設けることができる。
【符号の説明】
【0063】
10 プレート式熱交換器
12 熱交換プレート
12a/12b 熱交換プレート前面/熱交換プレート背面
14 プレートパッケージ
16 フレームプレート
18 圧力プレート
20 第1のプレート隙間
22 第2のプレート隙間
24 締結ボルト
26 冷却水入口導管
28 冷却水出口導管
30 淡水出口導管
32 海水入口導管
34 加熱流体入口導管
36 加熱流体出口導管
38a/38b/38c 第1のタイプのガスケット/第2のタイプのガスケット/ガスケット要素
40 第1の長手方向端
42 第2の長手方向端
44 上端
46 下端
48 中心軸
50a/50b 蒸発セクション/加熱セクション
52a/52b 凝縮セクション/冷却セクション
54a/54b 分離セクション
56 第1の通路
58 第2の通路
60 低部蒸気開口部
62/64/66 上部蒸気開口部
68 冷却流体入口
70 冷却流体出口
72 淡水(凝縮水)出口
74 加熱流体入口
76 加熱流体出口
78 供給物入口
80 非蒸発供給出口
82 フローガイド要素
(´)は、異なる実施形態における同様の特徴を示す。