(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】抗菌粒子
(51)【国際特許分類】
C11D 3/48 20060101AFI20240709BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240709BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20240709BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20240709BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20240709BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240709BHJP
D06M 13/165 20060101ALI20240709BHJP
D06M 13/463 20060101ALI20240709BHJP
D06M 15/09 20060101ALI20240709BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20240709BHJP
D06F 35/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
C11D3/48
C11D3/50
C11D1/62
C11D3/40
C11D17/06
C11D3/37
D06M13/165
D06M13/463
D06M15/09
D06M15/53
D06F35/00 Z
(21)【出願番号】P 2022520931
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2020120565
(87)【国際公開番号】W WO2021082902
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-04-05
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】サラーム、アマニー・ダーリナ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、クリスティン・レドリック
(72)【発明者】
【氏名】ルジャンドル、デボラ
(72)【発明者】
【氏名】井川 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ヂァオ、プ
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05286492(US,A)
【文献】国際公開第2019/025216(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0175945(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0169532(US,A1)
【文献】特開平11-166197(JP,A)
【文献】特開2008-156565(JP,A)
【文献】特表2012-533568(JP,A)
【文献】特開2019-073724(JP,A)
【文献】特開2018-076615(JP,A)
【文献】特表2002-528653(JP,A)
【文献】特開2014-136690(JP,A)
【文献】特開平05-310507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の抗菌粒子を含む組成物であって、前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、
a)前記粒子の総重量に対して、25%~99%の水溶性担体と、
b)ジフェニルエーテル抗菌剤と、を含み、
前記水溶性担体は、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記組成物が、粒子状洗濯洗剤組成物であり、
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、10mg~250mgの質量を有する、組成物。
【請求項2】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、0.01%~3%、好ましくは0.02%~2%、より好ましくは0.05%~1%、最も好ましくは0.1%~0.5%の前記ジフェニルエーテル抗菌剤を含み、前記ジフェニルエーテル抗菌剤が、好ましくは、4-4'-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェニルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記ジフェニルエーテル抗菌剤が、より好ましくは、4-4'-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、30%~95%、より好ましくは40%~94%、最も好ましくは50%~93%の前記水溶性担体を含み、前記水溶性担体が、1,000~20,000ダルトン、好ましくは1,500~15,000ダルトン、より好ましくは2,000~13,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を特徴とするポリエチレングリコールである、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、0.1%~30%、好ましくは0.5%~20%、より好ましくは1%~15%の香料を更に含み、前記香料が、好ましくは、遊離香料、プロ香料、カプセル化香料、香料マイクロカプセル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され、前記香料が、より好ましくは、遊離香料と香料マイクロカプセルとの組み合わせを含み、最も好ましくは、前記各抗菌粒子における遊離香料と香料マイクロカプセルとの重量比が、1:5~20:1、好ましくは1:2~10:1、より好ましくは1:1~5:1、最も好ましくは1.5:1~3:1である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、5%~45%、好ましくは10%~40%、より好ましくは15%~35%の第四級アンモニウム化合物を更に含み、前記第四級アンモニウム化合物が、18~60、好ましくは20~60のヨウ素価を有する親脂肪酸化合物から形成され、前記第四級アンモニウム化合物が、好ましくは、エステル第四級アンモニウム化合物であり、前記第四級アンモニウム化合物が、より好ましくは、ジ-(タローイルオキシエチル)-N,N-メチルヒドロエチルアンモニウムメチルサルフェートである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、0.5%~10%、好ましくは1%~5%のカチオン性ポリマーを更に含み、前記カチオン性ポリマーが、好ましくは、カチオン性多糖類であり、前記カチオン性ポリマーが、より好ましくは、トリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー四級アンモニウム塩である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、前記各抗菌粒子の総重量に対して、0.0001%~1%、好ましくは0.001%~0.5%、より好ましくは0.005%~0.1%の着色剤を更に含み、好ましくは、前記着色剤が、染料、顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記複数の抗菌粒子のそれぞれが、
i)球形、半球形、圧縮された半球形、円筒形、円板、円形、扁豆形、楕円形、立方体、矩形、星形、花形、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形状、好ましくは、前記香料粒子のそれぞれが、半球形又は圧縮された半球形の形状を有すること、及び/又は、
ii)3mm~10mm、好ましくは4mm~9mm、より好ましくは5mm~8mmの最長寸法、及び/又は、
iii)1~5、好ましくは1.5~4、より好ましくは2~4のアスペクト比、及び/又は、
iv)0.5g/cm
3~0.98g/cm
3、好ましくは0.7g/cm
3~0.95g/cm
3、より好ましくは0.8g/cm
3~0.9g/cm
3の範囲の密度、
を特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記複数の抗菌粒子が
、前記粒子状洗濯洗剤組成物の総重量に対して、0.05%~30%、好ましくは0.1%~20%、より好ましくは0.5%~15%、最も好ましくは1%~10%の範囲の量で前記粒子状洗濯洗剤組成物中に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記粒子状洗濯洗剤組成物が、10%~99.9%、好ましくは20%~95%、より好ましくは30%~90%、最も好ましくは40%~80%の洗剤粒子を更に含み、前記洗剤粒子のそれぞれが、好ましくは、10重量%~90重量%の、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される界面活性剤を含む、請求項
1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
衣料品を処理するための方法であって、
a)洗濯機に衣料品を提供する工程と、
b)前記衣料品を、前記洗濯機の洗浄サブサイクル中に、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物と接触させる工程と、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スルーザウォッシュ洗濯添加剤及びそれを含む布地処理組成物。
【背景技術】
【0002】
消費者製品は、その本来の意図される機能に加えて、抗菌作用に対するユーザニーズに対処するために発展してきた。例えば、抗菌洗濯洗剤製品は、布地を洗濯すると同時に布地の抗菌作用を有するので、ユーザによって所望される。現在、例えば、ジフェニルエーテルなどの多種多様な抗菌剤は、抗菌効果をもたらすために消費者製品製剤で使用することが知られている。
【0003】
しかし、洗濯洗剤の状況においては、布地への抗菌剤の所望される有効性を達成することが困難である。特に、洗浄サイクル中に、組み込まれた抗菌剤を含む活性成分の大部分は、最終的に、洗浄溶液と共に洗い流される。そのため、洗濯洗剤から放出される抗菌剤は、洗浄された布地に少量しか付着しないことがある。抗菌剤のこのような付着率の低さを補うために、製造業者は洗濯洗剤製品中の抗菌剤の濃度を高める必要があり、このことは、コストの増加につながるだけでなく、洗濯プロセス中に洗い流されて環境に放出される抗菌剤の量が増えることによる環境問題にもつながる。
【0004】
更に、例えば、ジフェニルエーテル等の特定の抗菌剤は、抗菌効果をもたらすために液体洗濯洗剤配合物で使用することが知られている。しかし、固体の粒状洗濯洗剤製品の場合、このようなジフェニルエーテル抗菌剤、特に4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(通常、「Dichlosan」と呼ばれている、又はBASFから商品名「Tinosan(登録商標)HP 100」で市販されている)は、液体洗濯洗剤製品と同じ濃度レベルで提供された場合、残念ながら抗菌の有効性が低いことが分かっている。このような抗菌の有効性の低さを補うためには、このような抗菌剤は、液体洗濯洗剤製品よりも著しく高い濃度レベルで粒状洗濯洗剤製品に提供される必要があり、コスト的にも厳しいものとなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、コスト及び環境への影響を最小限に抑えつつ、全体的な抗菌効果を維持又は改善するために、洗濯プロセス中の抗菌剤の送達効率及び付着率を改善することが引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の抗菌粒子を含む組成物であって、当該複数の抗菌粒子のそれぞれが、(a)当該粒子の総重量に対して、25%~99%の水溶性担体と、(b)ジフェニルエーテル抗菌剤と、を含み、当該複数の抗菌粒子のそれぞれが、約1mg~約1gの質量を有する、組成物を提供する。
【0007】
同じ量の抗菌剤を提供する場合、本発明の抗菌粒子に配合することで、粉末又は液体の洗濯洗剤製品に添加する場合と比較して、より高い抗菌の有効性を発揮することができる。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このような抗菌粒子は、洗濯プロセス中に洗浄液中への抗菌剤の制御された/持続的な放出を提供すると考えられている。このような制御された/持続的な放出は、洗濯プロセスの後の段階で洗浄液のpHが低くなり、特定の抗菌剤(例えば、特に4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル)がより低いpHでより良い布地の付着を示す場合に、特に有利である。
【0008】
更に、単独で布地処理製品として提供される場合、本発明のこのような抗菌粒子により、投入の自由度が広がり、抗菌剤をより効果的に送達することができる。消費者は、洗濯洗剤製品中の界面活性剤又は他の洗浄活性物質とは別に、必要に応じて、抗菌剤を多めに、又は少なめに投入することを選択することができる。また、消費者は、洗濯プロセスの特定の段階、例えば、洗浄後又はすすぎサイクル中に本発明の抗菌粒子を添加して、このような抗菌剤の布地への付着率を高めることを選択することができる。
【0009】
また更に、本発明のこのような抗菌粒子は、洗剤粒子も含有する粒子状洗濯洗剤組成物に容易に組み込むことができる。粒子状洗濯洗剤組成物は、通常、液体洗濯洗剤組成物よりもかなり高い平衡pHを有しており、このような高pH環境は、上述した特定の抗菌剤の付着には有益ではない。この問題を解決するために、粒子状洗濯洗剤組成物を再配合して平衡pHを下げることが可能であるが、このような再配合に伴うコスト及び複雑さは大きい。したがって、本発明の抗菌粒子は、シンプルでより費用効果の高い代替の解決策を提供する。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このような抗菌粒子中の水溶性担体は、典型的な粒子状洗濯洗剤製品の高pH環境から抗菌剤を隔離するように機能し、それによってこのような抗菌剤の付着率を改善すると考えられる。
【0010】
また更に、このような抗菌粒子に香料成分が含まれている場合、驚くべきことに、改善された清浄作用及びより良い悪臭抑制作用が観察される。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このような粒子に含まれる抗菌剤が香料成分と相互作用して、このような香料成分(特に香料マイクロカプセル)の放出プロファイル及び布地への付着を改善すると考えられる。
【0011】
本発明のこれらの及びその他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の種々の実施形態の特徴及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される特定の実施形態の例を含む、以下の記述から明らかになるであろう。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。本発明の範囲は、開示される特定の形態に限定されることを意図せず、また本発明は、「特許請求の範囲」により定義されるような本発明の趣旨及び範囲に当てはまる全ての変形形態、等価物、及び代替物を網羅する。
【0013】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0014】
本明細書で使用するとき、特許請求項において使用される「a」及び「an」などの用語は、特許請求される又は記載されるもののうちの1つ以上を意味すると理解される。用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、「含有している(containing)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含んでいる(including)」は全て、非限定的であることを意味する。
【0015】
「抗菌粒子」という用語は、水溶性担体中に1種類以上の抗菌剤を含む粒子を指す。
【0016】
「アスペクト比」という用語は、香料粒子の最短寸法に対する最長寸法の比を指す。例えば、このような香料粒子が半球形又は圧縮された半球形の形状を有する場合、アスペクト比は、香料粒子の高さに対するベース径の比である。
【0017】
「粒子状洗濯洗剤組成物」という用語は、固体の粉末状又は粒状洗濯洗剤組成物、好ましくは、流動性のある粉末状又は粒状洗濯洗剤組成物、例えば、布地用の万能洗浄剤又はヘビーデューティー洗浄剤、並びに漂白活性化剤、すすぎ助剤、添加剤、前処理製品などの洗濯助剤を指す。
【0018】
「洗剤粒子」という用語は、界面活性剤、ビルダー、漂白活性化剤、酵素、ポリマー、キレート剤、柔軟剤、泡抑制剤、泡促進剤、増白剤、移染防止剤などの1つ以上の洗浄活性物質を含む粒子を指す。好ましくは、このような洗剤粒子は、1つ以上の界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含む。
【0019】
「から本質的になる」という用語は、組成物が、列挙された成分以外の成分を約10%未満、好ましくは約5%未満含有することを意味する。
【0020】
更に、用語「実質的に含まない(substantially free of)」又は「実質的に含まない(substantially free from)」は、指定の材料が0重量%~約1重量%、好ましくは0重量%~約0.5重量%、より好ましくは0重量%~約0.2重量%の量で存在することを意味する。用語「本質的に含まない」は、指定の材料が、0重量%~約0.1重量%、好ましくは0重量%~約0.01重量%の量で存在し、より好ましくは分析的に検出可能な濃度で存在しないことを意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、全ての濃度及び比は、特に明記しない限り、重量に基づくものである。本明細書における全ての温度は、別途指示のない限り、摂氏(℃)である。本明細書における全ての条件は、特に明記しない限り、20℃及び大気圧下である。特に明記しない限り、ポリマーの分子量は全て、重量平均数分子量により決定される。
【0022】
抗菌粒子
本発明の組成物は、複数の抗菌粒子を含み、当該複数の抗菌粒子のそれぞれが、(a)当該粒子の総重量に対して、約25%~約99%の水溶性担体と、(b)ジフェニルエーテル抗菌剤と、を含み、当該複数の抗菌粒子のそれぞれが、約1mg~約1gの質量を有する。
【0023】
好ましくは、当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約0.01%~約3%、好ましくは約0.02%~約2%、より好ましくは約0.05%~約1%、最も好ましくは約0.1%~約0.5%の当該ジフェニルエーテル抗菌剤を含む。
【0024】
本発明のジフェニルエーテル抗菌剤は、ハロゲン化又は非ハロゲン化のいずれかであり得るが、好ましくはハロゲン化である。好ましい実施形態において、ジフェニルエーテル抗菌剤は、式(I):
【0025】
【化1】
(式中、
各Yは、塩素、臭素、又はフッ素から独立して選択され、好ましくは塩素又は臭素、より好ましくは塩素であり、
各Zは、SO
2H、NO
2、又はC
1~C
4アルキルから独立して選択され、
rは、0、1、2、又は3であり、好ましくは1又は2であり、
oは、0、1、2、又は3であり、好ましくは0、1又は2であり、
pは、0、1、又は2であり、好ましくは0であり、
mは、1又は2であり、好ましくは1であり、
nは、0又は1であり、好ましくは0である)のヒドロキシルジフェニルエーテルである。
【0026】
上記の式(I)の定義において、0は無を意味する。例えば、pが0である場合、zは式(I)に存在しない。各Y及び各Zは、同一であり得る又は異なり得る。一実施形態において、oは1であり、rは2であり、Yは塩素又は臭素である。この実施形態では、1つの塩素原子がベンゼン環に結合すると同時に臭素原子及び他の塩素原子が他のベンゼン環に結合する、あるいは、臭素原子がベンゼン環に結合すると同時に2つの塩素原子が他のベンゼン環に結合する、ことがあり得る。
【0027】
より好ましくは、ジフェニルエーテル抗菌剤は、4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル、2,4,4’-トリクロロ-2’-ヒドロキシジフェニルエーテル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、当該ジフェニルエーテル抗菌剤は、より好ましくは4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルである。
【0028】
上記に開示されたジフェニルエーテル抗菌剤に加えて、製剤の不安定化を招く濃度で存在しないことを条件に、他の抗菌剤も存在してもよい。その中でも、有用な更なる抗菌剤はキレート剤であり、特に、硬水中のグラム陰性微生物の耐性を低減させる上で有用である。酸性殺生物剤も存在してもよい。
【0029】
また、本発明の複数の抗菌粒子のそれぞれは、上記のジフェニルエーテル抗菌剤に加えて、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約25%~約99%、好ましくは約30%~約95%、より好ましくは約40%~約94%、最も好ましくは約50%~約93%の当該水溶性担体を含む。
【0030】
水溶性担体は、短時間、例えば約10分未満で洗浄液に可溶である材料であり得る。水溶性担体は、水溶性無機アルカリ金属塩、水溶性アルカリ土類金属塩、水溶性有機アルカリ金属塩、水溶性有機アルカリ土類金属塩、水溶性炭水化物、水溶性ケイ酸塩、水溶性尿素、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0031】
アルカリ金属塩は、例えば、リチウムの塩、ナトリウムの塩、及びカリウムの塩、並びにこれらの任意の組み合わせからなる群から選択されてよい。有用なアルカリ金属塩は、例えば、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ金属ヨウ化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属重硫酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属一水素リン酸塩、アルカリ金属二水素リン酸塩、アルカリ金属炭素塩、アルカリ金属一水素炭素塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属乳酸塩、アルカリ金属ピルビン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属アスコルビン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0032】
アルカリ金属塩は、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウム、重硫酸カリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸一水素カリウム、酢酸カリウム、クエン酸カリウム、乳酸カリウム、酒石酸カリウム、ケイ酸カリウム、カリウム、アスコルビン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
【0033】
アルカリ土類金属塩は、マグネシウムの塩、カルシウムの塩など、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。アルカリ土類金属塩は、アルカリ金属フッ化物、アルカリ金属塩化物、アルカリ金属臭化物、アルカリ金属ヨウ化物、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属重硫酸塩、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属一水素リン酸塩、アルカリ金属二水素リン酸塩、アルカリ金属炭素塩、アルカリ金属一水素炭素塩、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ金属クエン酸塩、アルカリ金属乳酸塩、アルカリ金属ピルビン酸塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属アスコルビン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。アルカリ土類金属塩は、フッ化マグネシウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、リン酸一水素マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸一水素マグネシウム、酢酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、酒石酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、アスコルビン酸マグネシウム、フッ化カルシウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸一水素カルシウム、酢酸カルシウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、酒石酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アスコルビン酸カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0034】
無機アルカリ金属塩及び無機アルカリ土類金属塩などの無機塩は、炭素を含まない。有機アルカリ金属塩及び有機アルカリ土類金属塩などの有機塩は、炭素を含む。有機塩は、アルカリ金属塩又はソルビン酸のアルカリ土類金属塩(即ち、ソルビン酸塩(asorbate))であってよい。ソルビン酸塩は、ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸マグネシウム、ソルビン酸カルシウム、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0035】
水溶性担体は、水溶性無機アルカリ金属塩、水溶性有機アルカリ金属塩、水溶性無機アルカリ土類金属塩、水溶性有機アルカリ土類金属塩、水溶性炭水化物、水溶性ケイ酸塩、水溶性尿素、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物質であってよい、又はそれを含んでよい。水溶性担体は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、乳酸カルシウム、水ガラス、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、デキストロース、フルクトース、ガラクトース、イソグルコース、グルコース、スクロース、ラフィノース、イソマルト、キシリトール、氷砂糖、ざらめ糖、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。一実施形態では、水溶性担体は、塩化ナトリウムであってよい。一実施形態では、水溶性担体は、食卓塩であってよい。
【0036】
水溶性担体は、重炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カルシウム、塩化ナトリウム、スクロース、マルトデキストリン、コーンシロップ固体、コーンスターチ、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、タピオカデンプン、粘土、ケイ酸塩、クエン酸カルボキシメチルセルロース、脂肪酸、脂肪族アルコール、水素化獣脂のグリセリルジエステル、グリセロール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される物質であってよい、又はそれを含んでよい。
【0037】
水溶性担体は、水溶性有機アルカリ金属塩、水溶性無機アルカリ土類金属塩、水溶性有機アルカリ土類金属塩、水溶性炭水化物、水溶性ケイ酸塩、水溶性尿素、デンプン、粘土、水不溶性ケイ酸塩、クエン酸カルボキシメチルセルロース、脂肪酸、脂肪族アルコール、水素化獣脂のグリセリルジエステル、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0038】
水溶性担体は、二糖類、多糖類、シリケート、ゼオライト、カーボネート、サルフェート、シトレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。
【0039】
水溶性担体は、水溶性ポリマーであり得る。水溶性ポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、変性PVA;ポリビニルピロリドン;PVA/ポリビニルピロリドン及びPVA/ポリビニルアミンなどのPVAコポリマー;部分加水分解されたポリ酢酸ビニル;ポリエチレンオキシドなどのポリアルキレンオキシド;ポリエチレングリコール;アクリルアミド;アクリル酸;セルロース;メチルセルロース、エチルセルロース及びプロピルセルロースなどのアルキルセルロース系材料;セルロースエーテル;セルロースエステル;セルロースアミド;ポリ酢酸ビニル;ポリカルボン酸及び塩;ポリアミノ酸又はペプチド;ポリアミド;ポリアクリルアミド;マレイン酸/アクリル酸のコポリマー;デンプン、変性デンプンを含む多糖類;ゼラチン;アルギネート;キシログルカン;キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、マンナン、グルコマンナン及びガラクトグルコマンナンなどのその他のヘミセルロース系多糖類;並びにペクチン、キサンタン、及びカラギーナン、ローカストビーン、アラビア、トラガカントなどの天然ガム;並びにこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。一実施形態では、ポリマーは、ポリアクリレート、特にスルホン化ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー;並びにアルキルヒドロキシセルロース系材料、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、変性カルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートを含む。更に別の実施形態において、水溶性ポリマーは、PVA;PVAコポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC);及びこれらの混合物から選択されてよい。
【0040】
水溶性担体は、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール/ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール/ポリビニルアミン、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、アルキルセルロース系材料、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、多糖類、デンプン、加工デンプン、ゼラチン、アルジネート、キシログルカン、ヘミセルロース性多糖類、キシラン、グルクロノキシラン、アラビノキシラン、マンナン、グルコマンナン、ガラクトグルコマンナン、天然ガム、ペクチン、キサンタン、カラギーナン、ローカスビーン、アラビック、トラガカント、ポリアクリレート、スルホン化ポリアクリレート、水溶性アクリレートコポリマー、アルキルヒドロキシセルロース系材料、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、変性カルボキシ-メチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコールポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0041】
水溶性担体は、以下からなる群から選択される材料を含み得る;式H-(C2H4O)x-(CH(CH3)CH2O)y-(C2H4O)z-OH(式中、xは、約50~約300であり、yは、約20~約100であり、zは、約10~約200である)のポリアルキレンポリマー;式(C2H4O)q-C(O)O-(CH2)r-CH3(式中、qは、約20~約200であり、rは、約10~約30である)のポリエチレングリコール脂肪酸エステル;式HO-(C2H4O)s-CH2)t)-CH3(式中、sは、約30~約250であり、tは、約10~約30である)のポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル;及びこれらの混合物。式H-(C2H4O)x-(CH(CH3)CH2O)y-(C2H4O)z-OH(式中、xは、約50~約300であり、yは、約20~約100であり、zは、約10~約200である)のポリアルキレンポリマーは、ブロックコポリマー又はランダムコポリマーであり得る。
【0042】
水溶性担体は、以下を含み得る:ポリエチレングリコール;式H-(C2H4O)x-(CH(CH3)CH2O)y-(C2H4O)z-OH(式中、xは、約50~約300であり、yは、約20~約100であり、zは約10~約200である)のポリアルキレンポリマー;式(C2H4O)q-C(O)O-(CH2)r-CH3(式中、qは、約20~約200であり、rは、約10~約30であるポリエチレングリコール脂肪酸エステル;及び式HO-(C2H4O)s-(CH2)t)-CH3(式中、sは、約30~約250であり、tは、約10~約30である)のポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテル。
【0043】
水溶性担体は、式H-(C2H4O)x-(CH(CH3)CH2O)y-(C2H4O)z-OH(式中、xは、約50~約300であり、yは、約20~約100であり、zは、約10~約200である)のポリアルキレンポリマーの粒子を約20重量%~約80重量%含み得る。
【0044】
水溶性担体は、式(C2H4O)q-C(O)O-(CH2)r-CH3(式中、qは、約20~約200であり、rは、約10~約30である)のポリエチレングリコール脂肪酸エステルの粒子を約1重量%~約20重量%含み得る。
【0045】
水溶性担体は、式HO-(C2H4O)s-CH2)t)-CH3(式中、sは、約30~約250であり、tは、約10~約30である)のポリエチレングリコール脂肪族アルコールエーテルの粒子を約1重量%~約10重量%含み得る。
【0046】
好ましくは、水溶性担体は、ポリエチレングリコール、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールポリオキソアルキレン、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールエーテル、硫酸ナトリウム、デンプン、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。より好ましくは、水溶性担体は、ポリエチレングリコール(PEG)であってよい。PEGは、粒子が、本明細書にて開示した範囲の質量を有するときに、洗浄サイクル中に溶解するのに十分水溶性であることができるため、粒子を作製するのに用いるのに便利な材料であることができる。更に、PEGは、融解物として容易に処理され得る。PEGの融解温度の開始は、PEGの分子量の関数として変化し得る。PEGは比較的低コストであり、多くの異なる形状及びサイズに形成され、非封入香料の拡散を最小限に抑え、水によく溶解し得る。PEGは、様々な重量平均分子量で入手可能である。本発明の特に好ましい実施形態において、水溶性担体は、約1,000~約20,000ダルトン、好ましくは約1,500~約15,000ダルトン、より好ましくは約2,000~約13,000ダルトンの重量平均分子量(Mw)を特徴とするポリエチレングリコール(PEG)である。特に適したPEGは、BASFからPLURIOL E 8000という商品名(商品名に8000と入っているが、重量平均分子量は9000)で市販されているが、他のPLURIOL製品も適している。
【0047】
好ましくは、しかし必ずしもではないが、当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約0.1%~約30%、好ましくは約0.5%~約20%、より好ましくは約1%~約15%の範囲の量の1つ以上の香料成分を更に含む。本発明の抗菌粒子に香料成分を組み込むと、驚くべきことに、そして予想外に、いかなる粒子にも組み込まれていない香料成分、又は水溶性担体を含むが抗菌剤を本質的に含まない粒子に組み込まれた香料成分と比較して、清浄作用及びより良い悪臭抑制作用が改善されることが発見された。いかなる理論にも束縛されるものではないが、抗菌剤が存在することにより、香料成分と相互作用して、このような香料成分(特に香料マイクロカプセル)の放出プロファイル及び布地への付着を改善し得ると考えられる。
【0048】
当該1つ以上の香料は、好ましくは、遊離香料、プロ香料、カプセル化香料(すなわち、デンプン、シクロデキストリン、シリカ、ゼオライト、又は粘土などの担体材料によって運ばれる香料)、香料マイクロカプセル、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。好ましくは、本発明の抗菌粒子は、香料マイクロカプセル(PMC)、特に破砕性PMCを含む。本発明の目的のために、「香料マイクロカプセル」又はPMCという用語は、香料マイクロカプセル及び香料ナノ粒子の両方を包含する。一実施形態では、PMCは、Appleton,Quest International,International Flavor&Fragrances又は他の好適な提供元から市販されているメラミン/ホルムアルデヒドシェルを含む。好ましい実施形態では、PMCのシェルは、PMCが布地に付着する能力を高めるためにポリマーでコーティングされる。本発明の抗菌粒子は、当該抗菌粒子のそれぞれの総重量に対して、約0.1%~約20%、好ましくは約1%~約15%、より好ましくは約5%~約10%の香料マイクロカプセルを含み得る。特に好ましい実施形態において、当該抗菌粒子のそれぞれは、遊離香料及び香料マイクロカプセルの組み合わせを含む。より好ましくは、当該各抗菌粒子における遊離香料と香料マイクロカプセルとの重量比は、約1:5~約20:1、好ましくは約1:2~約10:1、より好ましくは約1:1~約5:1、最も好ましくは約1.5:1~約3:1の範囲である。
【0049】
好ましくは、しかし必ずしもではないが、当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、追加の布地柔軟化作用を提供するために、第四級アンモニウム化合物を更に含む。具体的には、第四級アンモニウム化合物は、洗浄中に本発明の抗菌粒子から放出されると、洗浄液から布地の繊維に付着して、消費者に柔らかさの感覚を提供する。例えば、当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約5%~約45%、好ましくは約10%~約40%、より好ましくは約15%~約35%の第四級アンモニウム化合物を含み得、当該第四級アンモニウム化合物は、約18~約60、好ましくは約20~約60のヨウ素価を有する親脂肪酸化合物から形成される。好ましくは、第四級アンモニウム化合物は、エステル第四級アンモニウム化合物であり、より好ましくは、ジ-(タローイルオキシエチル)-N,N-メチルヒドロエチルアンモニウムメチルサルフェートである。
【0050】
上述した第四級アンモニウム化合物に加えて、本発明の抗菌粒子は、カチオン性ポリマーを更に含み得、このカチオン性ポリマーは、第四級アンモニウム化合物の布地への付着を促進し、その布地の柔軟化性能を高めるように機能する。当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約0.5%~約10%、好ましくは約1%~約5%のこのようなカチオン性ポリマーを含み得る。カチオン性ポリマーは、好ましくはカチオン性多糖類であり、より好ましくはトリメチルアンモニウム基で置換されたエポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー四級アンモニウム塩である。より好ましくは、当該各粒子における第四級アンモニウム化合物とカチオン性ポリマーとの重量比は、約3:1~約30:1、任意に約5:1~約15:1、任意に約5:1~約10:1、任意に約8:1の範囲であり得る。理論に束縛されるものではないが、第四級アンモニウム化合物の質量分率及びカチオン性ポリマーの質量分率は、カチオン性ポリマーからの補助を成し得て、処理される布地へ第四級アンモニウム化合物の十分なレベルの堆積を堆積させる。
【0051】
消費者に好まれる美的外観、又は特定の成分若しくは利点を強調する視覚的キューを提供するために、当該複数の抗菌粒子のそれぞれは、当該各抗菌粒子の総重量に対して、約0.0001%~約1%、好ましくは約0.001%~約0.5%、より好ましくは約0.005%~約0.1%の1つ以上の着色剤を更に含み得る。着色剤は、染料、顔料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択されてよい。好ましくは、着色剤は、抗菌粒子に、青色、緑色、黄色、オレンジ色、ピンク色、赤色、紫色、灰色などからなる群から選択される色を付与する。
【0052】
本発明の抗菌粒子は、水溶性又は水分散性の充填剤、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、糖、デンプン、変性セルロース、シリカ、ゼオライト、粘土などを更に含み得る。好ましくは、粒子のそれぞれは、当該各粒子の総重量に対して、約0.1%~約7%の粘土を含み得る。より好ましくは、粘土はベントナイトである。
【0053】
本発明の抗菌粒子は、界面活性剤を実質的に含まないか、又は本質的に含まないことが特に好ましい。なぜなら、このような界面活性剤が存在することにより、抗菌剤の水への溶解又は分散を速め、布地への付着を減少させる可能性があり、これは本発明の状況では望ましくないからである。より好ましくは、本発明の抗菌粒子は、任意の洗浄活性物質を実質的に含まないか、又は本質的に含まない。
【0054】
本発明の抗菌粒子は、好ましくは、当該抗菌粒子のそれぞれの総重量に対して、約10%未満、任意に約8%未満、任意に約5%未満、任意に約3%未満の水を含む。これらの範囲の含水量を減らすこと、又は有することにより、一層安定した粒子がもたらされると考えられている。水の質量分率が減るほど、粒子は一層安定すると考えられている。
【0055】
本発明の抗菌粒子のそれぞれは、約1mg~約1g、好ましくは約5mg~約500mg、より好ましくは約10mg~約250mg、最も好ましくは約15mg~約125mgの質量を有する。
【0056】
当該粒子は、錠状、ピル状、球状などに形成され得る。これらは、球形、半球形、圧縮された半球形、円筒形、円板、円形、扁豆形、楕円形、立方体、矩形、星形、花形、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される任意の形状を有し得る。扁豆形とは、レンズ豆の形状を指す。圧縮された半球形は、同じ半径を有する半球形の湾曲よりも、曲面の湾曲が平均して少なくなるように少なくとも部分的に平らな半球形状に対応する形状を指す。圧縮された半球形粒子は、約2.0~約5、あるいは約2.1~約4.5、あるいは約2.2~約4のアスペクト比(すなわち、基部と直交するその高さに対するその基部直径の比)を有することができる。楕円形状粒子とは、最大寸法及び最大寸法に直交する二次寸法を有する粒子を指し、最大寸法と二次寸法との比は、約1.2より大きく、好ましくは約1.5より大きく、より好ましくは約2より大きい。好ましくは、本発明の抗菌粒子は、半球形又は圧縮された半球形の形状を有する。
【0057】
好ましくは、当該抗菌粒子は、約3mm~約10mm、好ましくは約4mm~約9mm、より好ましくは約5mm~約8mmの最長寸法、及び/又は約1~約5、好ましくは約1.5~約4、より好ましくは約2~約4のアスペクト比を特徴とする。
【0058】
本発明の好ましいが必須ではない実施形態において、本発明の抗菌粒子は、水よりも低い密度を有しているので、水に浮くことができ、洗浄中に消費者がより気付くことができる。例えば、このような抗菌粒子は、約0.5g/cm3~約0.98g/cm3、好ましくは約0.7g/cm3~約0.95g/cm3、より好ましくは約0.8g/cm3~約0.9g/cm3の範囲の密度を有し得る。
【0059】
本発明の複数の抗菌粒子は、異なる形状、サイズ、質量、及び/又は密度を有することができる。
【0060】
独立型粒子状製品における抗菌粒子の使用
粒子状製品、特に粉塵ではない微粒子は、多くの消費者によって好まれる。粒子状製品は、消費者がパッケージから洗濯機に直接、又は洗濯機の投入区画に容易に投入することができる。あるいは消費者は、パッケージから、1つ以上の投入用のしるしを任意に備える投入カップに粒子状製品を投入し、次いで当該粒子を洗濯機の投入区画に、又はドラムに直接投入することができる。投入カップが使用される製品では、粒子状製品は、液体製品よりも汚れにくい傾向がある。
【0061】
上述した複数の抗菌粒子は、消費者が洗濯機に投入するのに便利な、スルーザウォッシュの布地処理用の独立型粒子状製品として提供することができる。独立型粒子状製品は、本発明の抗菌粒子から本質的になり得るか、又は、抗菌粒子に類似した他の粒子、例えば、界面活性剤をほとんど若しくは全く含まない、又は抗菌粒子と同様のサイズの香料粒子、柔軟剤粒子、漂白剤粒子などを含み得る。独立型粒子状製品は、洗剤組成物のパッケージとは別のパッケージで提供され得る。洗剤組成物のパッケージとは別のパッケージに抗菌粒子を入れることは、使用する洗剤組成物の量とは関係なく、消費者が、投入する抗菌剤の量を選択できるという点で有益であり得る。これは、消費者に、ニーズに応じて抗菌剤の使用量をカスタマイズする機会を与え、それによって結果として生じる抗菌作用を与えることができ、これは消費者にとって非常に価値のあるメリットとなる。
【0062】
抗菌粒子を含む粒子状洗濯洗剤製品
本発明の好ましいが必須ではない実施形態において、本発明の抗菌粒子は、洗剤粒子も含む粒子状洗濯洗剤組成物中に存在する。好ましくは、複数の抗菌粒子は、当該粒子状洗濯洗剤組成物中に少量の部分として、例えば、当該粒子状洗濯洗剤組成物の総重量に対して、約0.05%~約30%、好ましくは約0.1%~約20%、より好ましくは約0.5%~約15%、最も好ましくは約1%~約10%の範囲の量で存在する。
【0063】
粒子状洗濯洗剤組成物は、当該粒子状洗濯洗剤組成物の総重量に対して、約10%~約99.9%、好ましくは約20%~約95%、より好ましくは約30%~約90%、最も好ましくは約40%~約80%の範囲の量の洗剤粒子を含み得る。本発明の洗剤粒子は、界面活性剤、ビルダー、漂白活性化剤、酵素、ポリマー、キレート剤、柔軟剤、泡抑制剤、泡促進剤、増白剤、移染防止剤などの1つ以上の洗浄活性物質を含み得る。洗剤粒子は、噴霧乾燥粒子及び/又は凝集粒子及び/又は押出粒子であり得る。このような洗剤粒子は、界面活性剤粒子(界面活性剤凝集体、界面活性剤押出物、界面活性剤ニードル、界面活性剤ヌードル、界面活性剤フレークを含む);ポリマー粒子(例えば、セルロース系ポリマー粒子、ポリエステル粒子、ポリアミン粒子、テレフタレートポリマー粒子、ポリエチレングリコールポリマー粒子など);ビルダー粒子(例えば、炭酸ナトリウムとケイ酸ナトリウムとのコビルダー粒子、リン酸塩粒子、ゼオライト粒子、ケイ酸塩粒子、炭酸塩粒子など);充填剤粒子(例えば、硫酸塩粒子など);移染防止剤粒子;染料固着剤粒子;漂白剤粒子(例えば、過炭酸塩粒子、特に、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、ホウケイ酸塩、又はこれらの任意の組み合わせでコーティングされた過炭酸塩などのコーティング過炭酸塩粒子、過ホウ酸塩粒子、遷移金属漂白触媒粒子又はオキサジリジニウム系漂白触媒粒子などの漂白触媒粒子、予形成過酸粒子、特に、コーティング予形成過酸粒子、並びに漂白活性化剤と過酸化水素の供給源と任意で漂白触媒との共漂白粒子など);漂白活性化剤粒子(例えば、オキシベンゼンスルホネート漂白活性化剤粒子及びテトラアセチルエチレンジアミン漂白活性化剤粒子など);キレート剤粒子(例えば、キレート剤凝集体);色相染料粒子;増白剤粒子;酵素粒子(例えば、プロテアーゼ小球、リパーゼ小球、セルラーゼ小球、アミラーゼ小球、マンナナーゼ小球、ペクチン酸リアーゼ小球、キシログルカナーゼ小球、漂白酵素小球、クチナーゼ小球、及びこれら酵素のいずれかの共小球など);粘土粒子(例えば、モンモリロナイト粒子、又は粘土及びシリコーンの粒子など);凝集剤粒子(例えば、ポリエチレンオキシド粒子など);ワックス粒子(例えば、ワックス凝集体)から選択されてよい。
【0064】
好ましくは、このような洗剤粒子は、当該洗剤粒子の総全重量に対して、約10%~約90%、好ましくは約15%~約80%、より好ましくは約20%~約70%の界面活性剤を含む界面活性剤粒子である。より好ましくは、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。最も好ましくは、本発明の洗剤粒子は、アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含む。
【0065】
本発明の洗剤粒子は、約250μm~約1000μm、好ましくは約300μm~約950μm、より好ましくは約400μm~約850μmの中央重量粒径(Dw50)を特徴とし得る。好ましくは、このような洗剤粒子は、白色又は淡色の外観を有し、一方、抗菌粒子は、洗剤粒子と視覚的に対照的になるように、青色、緑色、黄色、オレンジ色、ピンク色、赤色、紫色又は灰色を有する。
【0066】
前述の抗菌粒子及び洗剤粒子に加えて、本発明の粒子状洗濯洗剤組成物は、1つ以上の洗剤成分を含み得る。適切な洗剤成分としては、アニオン性洗浄界面活性剤、非イオン性洗浄界面活性剤、カチオン性洗浄界面活性剤、双性イオン性洗浄界面活性剤、両性洗浄界面活性剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む洗浄界面活性剤;カルボキシレートポリマー、ポリエチレングリコールポリマー、テレフタレートポリマーなどのポリエステル汚れ除去ポリマー、アミンポリマー、セルロース系ポリマー、移染防止ポリマー、イミダゾールとエピクロロヒドリンとの縮合によって生成される縮合オリゴマーなどの染料固定ポリマー、任意に1:4:1の比率で、ヘキサメチレンジアミン誘導体ポリマー、及びこれらの任意の組み合わせを含むポリマー;ゼオライト、リン酸塩、クエン酸塩、及びこれらの任意の組み合わせを含むビルダー;炭酸塩及び/又はケイ酸塩を含む緩衝剤及びアルカリ源;硫酸塩及びバイオ充填剤材料を含む充填剤;漂白活性化剤、有効酸素の供給源、予形成過酸、漂白触媒、還元漂白剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む漂白剤;キレート剤;光漂白剤;色相剤;増白剤;プロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼ、キシログルカナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、マンナナーゼ、漂白酵素、クチナーゼ、及びこれらの任意の組み合わせを含む酵素;粘土、シリコーン、第四級アンモニウム布地柔軟剤、及びこれらの任意の組み合わせを含む布地柔軟剤;ポリエチレンオキシドなどの凝集剤、デンプンにカプセル化された香料アコード、香料マイクロカプセル、香料充填ゼオライト、ケトン香料原料とポリアミンとのシッフ塩基反応生成物、ブルーミング香料、及びこれらの任意の組み合わせを含む香料;ソープリング、ラメラ審美粒子、ゼラチンビーズ、炭酸塩及び/又は硫酸塩のスペックル、色土、及びこれらの任意の組み合わせを含む審美剤;並びにこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0067】
本発明の好ましい実施形態において、粒子状洗濯洗剤組成物は、このような組成物の総重量に対して、約1重量%~約40重量%、典型的には約2重量%~25重量%、又は更には約5重量%~約20重量%、又は8重量%~15重量%の範囲の量の1つ以上のビルダー(上記の炭酸塩を含まない)を含む。本明細書で使用されるビルダーは、例えば、洗浄溶液中の「遊離」カルシウム/マグネシウムイオンを除去又は低減して、洗浄液の硬度を「軟化」又は低減することによって、界面活性剤の洗浄効率を増強又は改善することができる任意の成分又は構成成分を指す。
【0068】
このような粒子状洗濯洗剤組成物は、比較的低濃度のリン酸塩ビルダー、ゼオライトビルダー、及びケイ酸塩ビルダーを有することが特に望ましい。好ましくは、合計で最大15重量%のリン酸塩ビルダー、ゼオライトビルダー、及びケイ酸塩ビルダーを含む。より好ましくは、このような粒子状洗濯洗剤組成物は、組成物の総重量に対して、0重量%~約5重量%のリン酸塩ビルダー、0重量%~約5重量%のゼオライトビルダー、及び0重量%~約10重量%のケイ酸塩ビルダーを含み、これらのビルダーの総量は、10重量%以下になる。更により好ましくは、粒子状洗濯洗剤組成物は、組成物の総重量に対して、0重量%~約2重量%のリン酸塩ビルダー、0重量%~約2重量%のゼオライトビルダー、及び0重量%~約2重量%のケイ酸塩ビルダーを含み、これらのビルダーの総量は、5重量%以下になる。最も好ましくは、粒子状洗濯洗剤組成物は、組成物の総重量に対して、0重量%~約1重量%のリン酸塩ビルダー、0重量%~約1重量%のゼオライトビルダー、及び0重量%~約1重量%のケイ酸塩ビルダーを含み、これらのビルダーの総量は、2重量%以下になる。組成物は、他の任意の補助ビルダー、キレート剤、又は概ね、例えば隔離、錯化、沈殿、又はイオン交換などによって溶液からカルシウムイオンを除去する任意の材料を更に含み得る。特に、組成物は、25℃の温度で、0.1Mのイオン強度において、少なくとも50mg/gのカルシウム結合容量と、少なくとも3.50のカルシウム結合定数logK Ca2+とを有する材料を含み得る。
【0069】
本発明の粒子状洗濯洗剤組成物は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、及び硫酸カリウムからなる群から選択される1つ以上の固体担体を含み得る。好ましいが必須ではない実施形態において、このような粒子状洗濯洗剤組成物は、約20重量%~約65重量%の塩化ナトリウム及び/又は約20重量%~約65重量%の硫酸ナトリウムを含む。粒子状洗濯洗剤組成物が濃縮形態である場合、このような組成物中の塩化ナトリウム及び/又は硫酸ナトリウムの総量は、例えば、約0重量%~約60重量%の総量になり得る。
【0070】
抗菌粒子の使用方法
本発明の抗菌粒子は、機械洗浄又は手洗いで布地を処理して、抗菌作用と、任意に、改善された布地の清浄度及び悪臭抑制作用とを提供するのに特に有用である。これらにより、消費者が洗浄、特に洗浄サブサイクルを通じて抗菌作用を得ることを可能にする。洗浄サブサイクル中に抗菌作用を提供することにより、消費者は、洗濯機の開始前又は直後に、洗剤組成物及び抗菌粒子を単一の場所、例えば洗浄槽に入れることのみを必要とする。
【0071】
衣料品を処理するための方法は、洗濯機に衣料品を提供する工程を含み得る。衣料品は、洗濯機の洗浄サブサイクル中に、本明細書にて開示した複数の抗菌粒子を含む組成物と接触する。粒子は、洗浄サブサイクルの一部として提供される水に溶解し、液(liquor)を形成することができる。粒子の溶解は洗浄サブサイクル中に生じ得る。
【0072】
洗濯機は、運転サイクル内に、少なくとも2つの基本サブサイクル、即ち洗浄サブサイクル及びすすぎサブサイクルを有する。洗濯機の洗浄サブサイクルは、最初に洗浄槽を水で充填又は部分的に充填する際に開始する洗濯機のサイクルである。洗浄サブサイクルの主な目的は、衣料品から汚れを除去又は浮かせ、洗浄液にこの汚れを懸濁させるというものである。典型的には、洗浄液は、洗浄サブサイクルの終わりに排出される。洗濯機のすすぎサブサイクルは、洗浄サブサイクルの後に起こり、汚れをすすぎ洗いすることを主な目的とし、任意に、衣料品から洗浄サブサイクルに提供される何らかの有益剤を有する。
【0073】
この方法は、任意に、衣料品を、洗浄サブサイクル中に,アニオン性界面活性剤を含む洗剤組成物と接触させる工程を含み得る。ほとんどの消費者は、洗浄サブサイクル中に洗浄槽に洗剤組成物を提供する。洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤、並びに任意に香料、漂白剤、増白剤、色相染料、酵素などを含むがこれらに限定されない他の有益剤を含むことができる。洗浄サブサイクル中、洗剤組成物と共に提供された有益剤を、洗浄槽に配置された衣料品と接触させる、又は該衣料品に適用する。典型的には、洗剤組成物の有益剤は、水及び有益剤の洗浄液に分散される。
【0074】
洗浄サブサイクル中、洗浄槽は、水で充填されてもよく、又は少なくとも部分的に水で充填されてもよい。抗菌粒子は水に溶解し、粒子の構成成分を含む洗浄液を形成することができる。任意で、洗剤組成物が使用される場合、又は抗菌粒子が粒子状洗濯洗剤組成物に配合される場合、洗浄液は洗剤組成物の成分及び溶解粒子の成分を含み得る。粒子は、衣料品が洗濯機の洗浄槽に配置される前に、洗濯機の洗浄槽に配置することができる。粒子は、衣料品が洗濯機の洗浄槽に配置された後に、洗濯機の洗浄槽に配置することができる。粒子は、洗浄槽を水で満たす、若しくは部分的に満たす前に、又は、洗浄槽を水で満たすことが完了した後に、洗浄槽に配置することができる。
【0075】
衣料品を処理する方法の実施において、消費者により洗剤組成物が用いられる場合、洗剤組成物及び粒子は個別のパッケージで提供され得る。例えば、洗剤組成物は、ボトル、サッシェ、水溶性パウチ、投入カップ、投入ボール、又は洗濯機に関連するカートリッジから提供される液体洗剤組成物であり得る。粒子は、非限定例として、カートン、瓶、水溶性パウチ、投入カップ、サッシェなどの、個別のパッケージから提供され得る。洗剤組成物が、粉末、水溶性繊維状基質、水溶性シート、水溶性フィルム、水溶性フィルム、固体洗剤組成物を担持する水不溶性繊維ウェブなどの固体形態である場合、粒子は、固体状洗剤組成物と共に提供することができる。例えば、粒子は、固体洗剤組成物及び粒子の混合物を含有する容器から提供され得る。任意に、水溶性繊維状基質、水溶性シート、水溶性フィルム、水溶性フィルム、固体洗剤組成物を担持する水不溶性繊維ウェブである、洗剤組成物で形成したパウチから粒子を提供することができる。
【0076】
抗菌粒子の溶解し、布地の処理に使用する洗濯液は、洗浄される布地に対して最も適するように選択されるpH値、例えば、約5~約11、好ましくは約8~約10の広い範囲のpHを有し得る。水温は、好ましくは約5℃~約100℃の範囲である。水と布地との比は、典型的には、約1:1~約30:1である。洗浄液は、40リットル以下の水、又は30リットル以下、又は20リットル以下、又は10リットル以下、又は8リットル以下、又は更には6リットル以下の水を含み得る。洗浄液は、0リットルを超えて15リットルまで、又は2リット以上12リットル以下、又は更には8リットル以下の水を含み得る。希釈洗浄条件の場合、洗浄液は、特に手洗い条件の場合、150リットル以下の水、100リットル以下の水、60リットル以下の水、又は50リットル以下の水を含み得、すすぎの回数に依存し得る。
【0077】
典型的には、洗浄液1リットル当たり0.01Kg~2Kgの布地を洗浄液に投入する。典型的には、洗浄液1リットル当たり、0.01Kgから、又は0.05Kgから、又は0.07Kgから、又は0.10Kgから、又は0.15Kgから、又は0.20Kgから、又は0.25Kgから、1.8Kgまで、又は1.6Kgまで、又は1.5Kgまで、又は1.3Kgまで、又は1.1Kgまで、又は0.9Kgまで、又は0.7Kgまで、又は0.5Kgまでの布地を洗浄液に投入する。
【0078】
抗菌粒子の生成
好都合に融解物として処理することができる担体の場合、回転成形(rotoforming)プロセスを使用することができる。融解キャリアと粒子を構成する他の材料との混合物は、例えばバッチプロセス又は連続混合プロセスで調製される。融解混合物は、例えば、幅750mm、長さ10mのベルトを有する、Sandvik ROTOFORM 3000のロートフォーマに圧送することができる。ロトフォーミング装置は、回転シリンダーを有することができる。シリンダーは、機械横方向に10mm間隔、及び機械方向に9.35mm間隔に設定した直径2mmの孔を有することができる。シリンダーは、ベルトの上約3mmに設定され得る。ベルト速度及びシリンダーの回転速度は、約10m/分に設定され得る。融解混合物は、回転シリンダーにおける開口部を通過させ、回転シリンダーの下に設けられた移動コンベアに堆積させることができる。
【0079】
融解混合物を移動コンベア上で冷却し、複数の固体粒子を形成することができる。冷却は、周囲冷却によってもたらされ得る。任意に、冷却は、コンベアの下側に常温水又は冷水を吹き付けることによってもたらされてよい。
【0080】
粒子が十分に凝集性になったならば、更なる加工及び又はパッケージングのために、粒子をコンベアからコンベア下流にある加工装置に移してよい。
【0081】
任意に、粒子は気体を含めて提供することができる。このような気体の吸蔵(occlusion)、例えば空気の吸蔵は、洗浄中に粒子がより迅速に溶解するのを助けることができる。気体の吸蔵は、非限定的な例として、融解した前駆材料にガスを注入し、混合物を粉砕することによってもたらすことができる。
【0082】
粒子は、他のアプローチを使用して作製することもできる。例えば、造粒又はプレス凝集が適切であり得る。顆粒化において、粒子の構成材料を含有する前駆体物質を、回転式混合道具により圧密化し均質にして、顆粒化して粒子を形成する。実質的に水を含まない前駆材料について、多種多様なサイズの粒子が作製され得る。
【0083】
圧縮アグロメレ-ションにおいて、粒子の構成材料を含有する前駆体物質を、圧力をかけて、かつ剪断力の影響下において圧密化して可塑化し、均質化した後に、形成/形状化プロセスにより、圧縮アグロメレ-ション機から放出する。プレス凝集技術としては、押出、ローラ圧縮による成形、ペレット化、及び錠剤化が挙げられる。
【0084】
粒子の構成材料を含有する前駆体物質を、遊星ロール押出成形機、又は同方向回転若しくは逆回転スクリューを有する2軸押出機に送達することができる。バレル及び押出造粒ヘッドは、所望の押出温度に加熱され得る。粒子の構成材料を含有する前駆体物質を、圧力をかけて圧密化し、可塑化して、押出成形機ヘッド内の多孔押出しダイを通して、糸の形態で押出し、切刃を使用してサイズ決めすることができる。押出ヘッダの穴径は、適切にサイズ決めされた粒子を提供するために選択されてよい。押出された粒子は、球形整粒機(spheronizer)を使用して成形されて、球状の形状を有する粒子を提供することができる。
【0085】
任意に、押出及び圧縮工程は、例えば、Amandus Kahl,Reinbek,Germanyから入手可能なフラットダイペレット化プレスなどの低圧押出機で実施されてもよい。任意に、押出及び圧縮工程は、Hosokawa Alpine Aktiengesellschaft,Augsburg,Germanyから入手可能なBEXTRUDERなどの低圧押出機で実施されてもよい。
【0086】
粒子は、ローラ圧縮による成形を用いて作製され得る。ローラ圧縮による成形において、粒子の構成材料を含有する前駆体物質を、2個のローラ間に導入し、2つのローラ間で、圧力をかけてロールし、圧縮化物のシートを形成する。ローラは、前駆材料に対して高い線圧を提供する。ローラは、前駆材料の加工特徴に応じて、所望に応じて加熱又は冷却され得る。圧密物のシートは、切断によって小片に分割される。小片は、例えば、球形整粒機を使用することによって更に成形され得る。
【0087】
試験法
本明細書に記載及び特許請求される本発明を完全に理解し得るには、本発明の香料粒子、洗剤粒子、及び粒子状洗濯洗剤組成物の特性を決定するために、以下の技術を使用する必要がある。
【0088】
試験1:抗菌試験
試料の粒状洗濯洗剤組成物の抗菌の有効性を以下のようにして測定する。
試験する粒状洗濯洗剤組成物(例えば、15.29g)の各定義された試料を、342mg/Lの水硬度レベルで1Lの水に溶解させる。このような水は、0.034gのCaCl2と0.139gのMgCl2・6H2Oを1Lの脱イオン(DI)水に溶解することによって形成される。溶液をマグネチックスターラーで約4分間混合した後、日本洗剤・石けん公正取引協議会(Japanese Detergent and Soap Fair Trade Council)が発行した「洗濯洗剤の除菌試験法(Degerming Test Method for Laundry Detergent)」に記載されているように、洗浄タンブラーの露光室に265mlのかかる溶液を分注する。
【0089】
別個に、ステンレス鋼のスピンドルは、直径約1/16インチのステンレス鋼ワイヤの単一の連続片を曲げて、それぞれ長さ約2インチの3本の水平延長部を作り、それを長さ約2インチの2本の垂直部で連結して作られている。スピンドルは、布製のバラストを巻き付けるための担体として使用される。
【0090】
次に、約300gの綿布を、約1.5gの炭酸ナトリウムと約1.5gの非イオン性湿潤剤を含む3Lの蒸留水又はDI水で1時間煮沸して洗い流す。その後、湿潤剤によって形成された泡の視覚的な痕跡が全てなくなるまで、沸騰水と次に冷水で布地をすすぐ。その後、布地の水を切り、周囲温度で少なくとも24時間風乾させる。次に、洗い流して乾燥させた布地を、それぞれ幅約2インチ、重さ約15±0.1gのストリップに切断する。次に、このような綿布ストリップの一片を取り、その片方の端を上記のステンレス鋼スピンドルの外側の水平延長部に固定する。この綿布ストリップは、十分な張力でスピンドルの3本の水平延長部の周囲に、布地ストリップ全体がスピンドルに巻き付くまで約12~13周巻き付けられる。ステープル又はピンを使用して、布地ストリップの緩い端を固定することができる。その後、布地が巻き付けられたスピンドルは、上述の洗浄タンブラーの個々の露光室で、又は露光室とは別に、殺菌され得る。スピンドルを露光室に配置する前に、スピンドルに巻き付けられた布地と露光室の両方が乾燥している必要がある。
【0091】
その後、布地が巻き付けられたスピンドルを、前述の265mlの洗浄溶液を含有する洗浄タンブラーの露光室に入れる。その後、露光室を約60rpmの速度で約20分間撹拌する。20分間の撹拌後、布地が巻き付けられたスピンドルを約2分間回転乾燥させ、洗浄溶液を廃棄する。続いて、布地が巻き付けられたスピンドルをすすぐために、前述の新たな硬水を265ml、同じ露光室に分配する。露光室を同じ撹拌速度で更に3分間撹拌した後、布地が巻き付けられたスピンドルを再び約2分間回転乾燥させ、その後、すすぎ溶液を廃棄する。布地が巻き付けられたスピンドルを、前述と同じ手順でもう一度すすぎ、回転乾燥させる。
【0092】
続いて、綿布ストリップをスピンドルから外し、周囲温度で一晩空気乾燥させる。次に、乾燥させた綿布ストリップを2cm×2cmの正方形に切断し、このような綿布を10枚重ねて1つの試験片を形成する。その重さは約0.40±0.05gである。
【0093】
その後、このような試験片を、日本工業規格(JIS)L1902-2015規格の8.1項に記載されている「静菌活性評価法(Bacteriostatic Activity Evaluation)」に供する一方、8.1.4.5.2項に従って菌数を算出する(8.1.4.5.3項に記載されているATP量の算出に代えて)。
【0094】
試験2:溶解速度試験
「溶解速度試験(Dissolution Rate Test)」は、粒子の溶解速度を測定するために使用される。
【0095】
この試験は、室温(25℃)で400mlの透明なガラスビーカーに400mlの脱イオン水を加えた後、約1gの試験粒子を脱イオン水に分散させることによって行われる。ストップウォッチを使用して、粒子が完全に溶解する前に必要な合計時間をカウントする。
【0096】
試験3:粒子のアスペクト比
非球形粒子の場合は、ノギスを使用して粒子の最長寸法と最短寸法を測定することができる。データのばらつきを抑えるために、通常10個の粒子を測定し、平均結果を使用することができる。本明細書における粒子のアスペクト比は、以下の式を用いて算出される:アスペクト比=最長寸法/最短寸法。
【0097】
試験4:香料ブルーム及び布地清浄度試験
溶解ヘッドスペースカウント(Dissolving Head-Space Count)試験は、香料のブルームと布地の清浄作用の改善を実証するために使用される。これは、消費者が洗濯物を処理するために粒子を使用するときに起こり得る条件と多くの点で類似している。
【0098】
溶解ヘッドスペースカウント試験法では、試験対象の粒子を蒸留水に入れ、水面上のヘッドスペースで空気中に移行した香料原料(PRM)の量を、様々な時点でカウントとして測定する。溶解ヘッドスペースカウントの測定は、7100 Ultra Fast GC Analyzer MicroSense5 ZNOSEと付属ソフトウェアMicroSenseバージョン5.37(Electronic Sensor Technology,Newbury Park,California,USA.から入手可能)を用いて行う。この機器システムは、ガスクロマトグラフセンサ、空気圧制御、及びサポート電子機器を含む小型の高速ガスクロマトグラフである。ガスクロマトグラフセンサは、6ポートのバルブとオーブン、予備濃縮トラップ、短いガスクロマトグラフカラム、及び表面弾性波検出器をベースにしている。ラップトップコンピュータをベースにしたシステムコントローラは、システムを操作し、データを分析し、ユーザーインターフェースを提供する。ZNOSEの使用方法の詳細は、7100 Ultra Fast GC Analyzer Operation Manual MicroSense 5に見ることができる。溶解ヘッドスペースカウント試験を行うために、ZNOSEを以下の設定にする:5ps2a1b_35(DBSカラム);1秒のポンプ試料時間;0.5秒のデータ収集;カラムの温度範囲は40℃~180℃、5℃ /5ccの速度で昇温;表面弾性波検出器は35℃に設定される。合計20gの25℃の脱イオン(DI)水を、清潔な40mlの試料瓶(VWR scientific cat.#EP 140-40Cなど)に添加する。試験粒子の合計0.040g又は試験粒子の0.040g分を、試料瓶の20gの水に加えて、DI水中の2.0mg/mLの濃度で試験粒子材料の試料を提供する。試験粒子材料を添加した後、厚さ3mmのPTFEシリコンセプタムを試料瓶に固定し、カーボンフィルタに取り付けた別のニードルと共に、ZNOSEインレットニードルを直ちに試料瓶のヘッドスペースに挿入する。90秒ごとにZNOSEの測定を行い、22℃~27℃の周囲室温で、試料又は瓶を一切撹拌せずに、少なくとも45分間測定を続ける。各PRMのヘッドスペースカウントは、90秒の測定時点ごとに記録される。所与の時点で報告された溶解ヘッドスペースカウントは、その時点でヘッドスペースにおいて検出された全てのPRMのカウントの合計である。
【0099】
溶解ヘッドスペースカウントは、考慮される特定の香料原料のヘッドスペースにおける濃度の関数である。ヘッドスペースのカウントが多いほど、ヘッドスペース内の香料の濃度が高くなる。
【実施例】
【0100】
本明細書に記載の実施例は、本発明を例示することを意味するが、本発明の範囲を制限又は他の方法で規定するために使用するものではない。
【0101】
実施例1:抗菌粒子
以下は、本発明による例示的な抗菌粒子A~Eである。
【0102】
【表1】
1BASFからTinosan(登録商標)HP100として提供される。1,2-プロピレングリコールの溶液中に4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルを30%含有している。本明細書で提供される濃度は、純粋な活性レベルであり、原料レベルではない。
2C18不飽和DEEHMAMS(ジエチルエステルヒドロキシエチルメチルアンモニウムメチルサルフェート)EVONIK製。ヨウ素価は約42である。
3ダウケミカルから入手可能なポリマーPK。重量平均分子量400kDa、電荷密度0.18、及び無水グルコース(anydroglucose)繰り返し単位当たりの窒素の平均重量パーセント0.28%のカチオン性ヒドロキシエチルセルロースである。
【0103】
実施例2:粒子状洗濯洗剤製品中の抗菌粒子
実施例1の本発明の抗菌粒子を、以下の配合物I~Vの粒子状洗濯洗剤製品に組み込む。
【0104】
【表2】
1実施例1の本発明の抗菌ビーズA~Eのいずれか1つ又はこれらの混合物。
【0105】
実施例3:抗菌ビーズに組み込まれた場合の抗菌剤のより高い付着率を実証する比較試験
本発明の抗菌粒子を含む本発明試料(試料A)が提供される。粒子(抗菌剤を含まない)及び別の抗菌剤(粒子に組み込まれていない)を含む比較試料(試料B)も提供される。
【0106】
具体的には、試料Aには、13.42グラムのPEG9000と、0.08グラムのTinosan(登録商標)HP100によって形成された13.5グラムの抗菌粒子が含まれている。試料Aの抗菌粒子は、以下の手順で作成される:
・PEG9000の材料を75℃のオーブンで一晩かけて予備溶融する;
・250mLビーカーで溶融PEG9000材料を計量する;
・同じビーカーで4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの抗菌剤を計量する;
・ビーカーを85℃の水浴に入れる;
・ビーカー内の内容物をブレンダ(4ブレードの撹拌機)で250RPMの速度で10分間混合する;
・混合物をビーズ型に移す;
・型内の混合物が冷えて固化するように、型を室温で放置する;
・固化した抗菌ビーズを型から回収する。
【0107】
試料Bには、別々に、13.42グラムのPEG9000粒子と、0.08グラムのTinosan(登録商標)HP100が含まれている。試料BのPEG9000粒子は、以下の手順で形成される:
・事前に溶融した材料であるPEG9000を75℃のオーブンで一晩かけて予備溶融する;
・型とスクレーパーを75℃のオーブンで予熱する;
・溶融したPEG9000材料を予熱した型に移す;
・型内の溶融したPEG9000材料が冷えて固化するように、型を室温で放置する;
・固化したPEG9000ビーズを型から回収する。
【0108】
次に、試料Aと試料Bを使用して、次の洗濯条件に従って、それぞれ布地を処理する。
洗濯機:Haier Dual Agitation TLA 1466
洗浄サイクル:溶解2分/浸漬10分/洗浄15分/すすぎ4分*2/回転乾燥
積載サイズ:CW98(綿)4枚(新しい綿:新しいポリエステル8:2)を含む合計1.7kg
硬度:9gpg Ca:Mg=4:1
HMI:Fe:Cu:Mn 6:1:4
水温:25℃
【0109】
各洗濯物から4枚のCW98綿(10×10cm)を吊るして乾かし、4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの付着分析を行った。
【0110】
具体的には、ASE(Accelerate Solvent Extraction)を用いてメタノールを使用することにより、布地から4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルを抽出する。約3gの布地を正確に計量し、スチール製のASEチューブに充填した後、抽出溶媒としてメタノールを使用して、100℃、2000psiで5分間の抽出プロトコルを実行する。抽出した内容物を集め、25mlのフラスコに移し、メタノールで容量を調整した後、更に50:50のメタノール:水を加えて25倍に希釈し、注入試料を準備する。
【0111】
次に、注入試料をC18カラム上で勾配逆相高速液体クロマトグラフ(HPLC)分離にかけ、ネガティブモードで多重反応モニタリング(MRM)条件下で作動するタンデム質量分析計(MS/MS)により定量する。LC-MS/MS試験は、注入試料5ulを注入し、それをWaters Acquity UPLC C18カラム上で、3分間で70%移動相A(1%ギ酸水溶液)/30%移動相B(メタノール中の0.1%ギ酸)から、5%移動相A/95%移動相Bまでの勾配で分離し、最終勾配を更に3分間維持することによって実施される。抗菌剤4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルがネガティブMRMモードで検出される。m/zが253>142のイオン対は、定量移行として使用され、253>125のm/zは同定用として使用される。
【0112】
検量線作成のために、0.5g/ml~500ng/mlの範囲でスパイクされたマトリックス標準を注入する。注入試料中の4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの濃度は、検量線の重み付け(1/x2)された二次回帰を用いた逆算によって求められる。
【0113】
試料Aと試料Bで処理した布地への4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの付着結果は以下のとおりである。
【0114】
【0115】
上記の結果は、4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルを粒子に組み込んだ場合と、個別に添加した場合では、4-4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテルの付着率が有意に高いことを示している。
【0116】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0117】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとは見なされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとは見なされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0118】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。