(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】診断装置、サーバ、及び診断方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
G05B23/02 302S
(21)【出願番号】P 2022526911
(86)(22)【出願日】2021-05-18
(86)【国際出願番号】 JP2021018740
(87)【国際公開番号】W WO2021241315
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】P 2020090733
(32)【優先日】2020-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小泉 和弘
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159991(JP,A)
【文献】国際公開第2013/051101(WO,A1)
【文献】特開2020-067730(JP,A)
【文献】特開2019-185422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機器の異常を学習して前記異常の分類学習モデルを生成するサーバと、通信可能に接続される診断装置であって、
前記産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、
取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断部と、
前記機器診断部により前記産業機器が異常と診断された場合、前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類部と、
前記分類部の分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成部と、
前記機器診断部の診断結果、及び前記分類部の分類結果の少なくとも1つに基づいて、前記サーバに前記センサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、前記センサ信号を前記サーバに送信する送信部と、を備え、
前記分類部は、前記センサ信号に基づいて少なくとも前記産業機器の異常が分類付けできない、又は予め設定されたサンプル数より少ない異常の場合、前記センサ信号を未知のデータと分類し、
前記ラベル情報生成部は、前記センサ信号が未知のデータと判定されたタイミングで、前記センサ信号に対するラベルを生成し、
前記送信部は、未知のデータと分類された前記センサ信号
及び前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルのみを前記サーバに送信する
診断装置。
【請求項2】
前記機器診断部は、予め正常時のセンサ信号の特徴を学習し、正常時の特徴からの乖離の度合いに基づいて前記産業機器の異常を検知する1クラス分類器である、請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記分類部は、前記送信部により送信された前記センサ信号及び前記ラベルに基づいて前記サーバにより生成された前記分類学習モデルを前記サーバから取得する、
請求項1又は請求項
2に記載の診断装置。
【請求項4】
前記分類学習モデルは、前記サーバが前記診断装置から新たなセンサ信号を受信する度に更新され、
前記分類部は、更新された前記分類学習モデルを用いて、前記産業機器の異常の分類を行う、請求項
3に記載の診断装置。
【請求項5】
前記送信部が前記センサ信号を送信する場合、前記センサ信号の送信を促すユーザインタフェースを表示部に表示する表示制御部をさらに備える、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の診断装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記機器診断部の診断結果、及び前記分類部の分類結果の少なくとも1つを前記表示部に表示する、請求項
5に記載の診断装置。
【請求項7】
産業機器から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで前記異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできない前記
異常を示すセンサ信号の分類を学習して前記分類学習モデルを更新するサーバと、通信可能に接続される診断装置であって、
前記産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、
取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断部と、
前記機器診断部により前記産業機器が異常と診断された場合、前記サーバに前記センサ信号
のみを送信する送信部と、
前記サーバから取得された前記センサ信号に対する分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成部と、を備え、
前記ラベル情報生成部は、前記送信部により
前記サーバに送信された前記センサ信号が
少なくとも前記産業機器の異常が分類付けできない、又は予め設定されたサンプル数より少ない異常の場合に、未知のデータと判定された分類結果を前記サーバから受信したタイミングで、前記
センサ信号に対するラベルを生成し、
前記送信部は、生成された前記
センサ信号に対するラベルを前記サーバに送信する、診断装置。
【請求項8】
請求項1から請求項
6のいずれか1項に記載の診断装置と通信可能に接続されるサーバであって、
前記診断装置から受信されたセンサ信号を用いて前記産業機器の異常を学習して前記分類学習モデルを生成し、生成した前記分類学習モデルを前記診断装置に送信する分類モデル学習部
を備えるサーバ。
【請求項9】
請求項
7に記載の診断装置と通信可能に接続されるサーバであって、
前記診断装置から受信されたセンサ信号を用いて前記産業機器の異常を学習して前記分類学習モデルを生成する分類モデル学習部と、
前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類部と、
を備えるサーバ。
【請求項10】
産業機器の異常を学習して前記異常の分類学習モデルを生成するサーバと、通信可能に接続される診断装置による診断方法であって、
産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、
取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、
前記産業機器が異常と診断された場合、前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類ステップと、
前記分類ステップの分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成ステップと、
前記機器診断ステップの診断結果、及び前記分類ステップの分類結果の少なくとも1つに基づいて、前記サーバに前記センサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、前記センサ信号を前記サーバに送信する送信ステップと、を備え、
前記分類ステップは、前記センサ信号に基づいて少なくとも前記産業機器の異常が分類付けできない、又は予め設定されたサンプル数より少ない異常の場合、前記センサ信号を未知のデータと分類し、
前記ラベル情報生成ステップは、前記センサ信号が未知のデータと判定されたタイミングで、前記センサ信号に対するラベルを生成し、
前記送信ステップは、未知のデータと分類された前記センサ信号
及び前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルのみを前記サーバに送信する
診断方法。
【請求項11】
産業機器から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで前記異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできない前記
異常を示すセンサ信号の分類を学習して前記分類学習モデルを更新するサーバと、通信可能に接続される診断装置による診断方法であって、
産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、
取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、
前記産業機器が異常と診断された場合、前記サーバに前記センサ信号
のみを送信する送信ステップと、
前記サーバから取得された前記センサ信号に対する分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成ステップと、を備え、
前記ラベル情報生成ステップは、
前記サーバに送信された前記センサ信号が
少なくとも前記産業機器の異常が分類付けできない、又は予め設定されたサンプル数より少ない異常の場合に、未知のデータと判定された分類結果を前記サーバから受信したタイミングで、前記
センサ信号に対するラベルを生成し、
前記送信ステップは、生成された前記
センサ信号に対するラベルを前記サーバに送信する、診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、診断装置、サーバ、及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械やロボット等の産業機器の診断(故障の予知や検知等)を行う診断装置がある。当該診断装置では、診断精度向上等の機能改善のためにユーザの産業機器に配置されたセンサが測定した測定値のセンサデータを、産業機器の製造元や販売元等のベンダが回収する必要がある。
この点、対象装置の現在の動作に対応するコンテキスト情報と、当該動作において検知された音響データ等の検知情報と、を学習装置に送信し、同一又は類似であるコンテキスト情報にそれぞれ対応する検知情報から生成されたモデルを結合する学習装置から、送信したコンテキスト情報に対応するモデルを取得し、検知された検知情報と、取得されたモデルと、を用いて、対象装置の動作が正常か否かを判定する技術が知られている。例えば、特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、産業機器のセンサデータをベンダのサーバ等に常時アップロードすることは困難である。すなわち、産業機器のセンサデータの容量は一般的に大きく、全データをアップロードするとネットワーク帯域を圧迫してしまう。また、セキュリティの観点から産業機器は、外部ネットワークに常時接続されていないケースが多い。
また、センサデータに対するラベル付(アノテーション)が必要な場合、対象データ数が多いとユーザの負荷が増えるという問題もある。
【0005】
そこで、ベンダでの機能改善に影響が大きいデータのみを選別し、選別されたデータをサーバにアップロードすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の診断装置の一態様は、産業機器の異常を学習して前記異常の分類学習モデルを生成するサーバと、通信可能に接続される診断装置であって、前記産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断部と、前記機器診断部により前記産業機器が異常と診断された場合、前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類部と、前記機器診断部の診断結果、及び前記分類部の分類結果の少なくとも1つに基づいて、前記サーバに前記センサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、前記センサ信号を前記サーバに送信する送信部と、を備える。
【0007】
(2)本開示の診断装置の一態様は、産業機器から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで前記異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできない前記センサ信号の分類を学習して前記分類学習モデルを更新するサーバと、通信可能に接続される診断装置であって、前記産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断部と、前記機器診断部により前記産業機器が異常と診断された場合、前記サーバに前記センサ信号を送信する送信部と、前記サーバから取得された前記センサ信号に対する分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成部と、を備え、前記送信部は、前記ラベルを前記サーバに送信する。
【0008】
(3)本開示のサーバの一態様は、(1)の診断装置と通信可能に接続されるサーバであって、前記診断装置から受信されたセンサ信号を用いて前記産業機器の異常を学習して前記分類学習モデルを生成し、生成した前記分類学習モデルを前記診断装置に送信する分類モデル学習部を備える。
【0009】
(4)本開示のサーバの一態様は、(2)の診断装置と通信可能に接続されるサーバであって、前記診断装置から受信されたセンサ信号を用いて前記産業機器の異常を学習して前記分類学習モデルを生成する分類モデル学習部と、前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類部と、を備える。
【0010】
(5)本開示の診断方法の一態様は、産業機器の異常を学習して前記異常の分類学習モデルを生成するサーバと、通信可能に接続される診断装置による診断方法であって、産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、前記産業機器が異常と診断された場合、前記センサ信号と前記分類学習モデルとに基づいて前記産業機器の異常の分類を行う分類ステップと、前記機器診断ステップの診断結果、及び前記分類ステップの分類結果の少なくとも1つに基づいて、前記サーバに前記センサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、前記センサ信号を前記サーバに送信する送信ステップと、を備える。
【0011】
(6)本開示の診断方法の一態様は、産業機器から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで前記異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできない前記センサ信号の分類を学習して前記分類学習モデルを更新するサーバと、通信可能に接続される診断装置による診断方法であって、産業機器に配置された少なくとも1つのセンサにより測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、取得された前記センサ信号に基づいて前記産業機器が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、前記産業機器が異常と診断された場合、前記サーバに前記センサ信号を送信する送信ステップと、前記サーバから取得された前記センサ信号に対する分類結果に基づいて、前記センサ信号に対する前記産業機器の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、前記ラベルを生成するラベル情報生成ステップと、を備え、前記送信ステップは、前記ラベルを前記サーバに送信する。
【発明の効果】
【0012】
一態様によれば、ベンダでの機能改善に影響が大きいデータのみを選別し、選別されたデータをサーバにアップロードすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1実施形態に係る診断システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【
図2】診断装置の診断処理、及びサーバの収集処理について説明するフローチャートである。
【
図3】診断装置の取得処理、及びサーバの学習処理について説明するフローチャートである。
【
図4】第2実施形態に係る診断システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
【
図5】診断装置の診断処理、及びサーバの収集処理について説明するフローチャートである。
【
図6】サーバの学習処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の第1実施形態について、図面を用いて説明する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る診断システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、診断システム1は、産業機器10、診断装置20、及びサーバ30を有する。
【0015】
産業機器10、診断装置20、及びサーバ30は、LAN(Local Area Network)やインターネット等の図示しないネットワークを介して相互に接続されていてもよい。この場合、産業機器10、診断装置20、及びサーバ30は、かかる接続によって相互に通信を行うための図示しない通信部を備えている。また、産業機器10、診断装置20、及びサーバ30は、図示しない接続インタフェースを介して互いに直接接続されてもよい。
【0016】
産業機器10は、当業者にとって公知の工作機械や産業用ロボット等であり、センサ11を含む。産業機器10は、図示しない制御装置からの動作指示に基づいて動作する。なお、図示しない制御装置は、産業機器10が工作機械の場合、数値制御装置であり、産業機器10がロボットの場合、ロボット制御装置である。また、図示しない制御装置は、産業機器10に含まれてもよい。
【0017】
センサ11は、産業機器10に含まれるモータ、当該モータに取り付けられた主軸やアーム等の可動部(図示しない)の可動に関する状態を測定する。センサ11は、測定した測定値であるセンサデータを含むセンサ信号を、診断用データとして利用されるために診断装置20に出力する。センサ11は、任意のセンサにより実現できるが、例えば、加速度センサ、AE(Acoustic Emission)センサ、温度センサ、電流計、電圧計等のセンサにより実現することができる。
また、センサ11により測定されるセンサデータには、サーボ制御のフィードバックのデータ(速度フィードバック、及びそこから計算されるトルクコマンド)を含んでもよい。
なお、
図1では、センサ11は1つとしたが、これに限定されない。例えば、産業機器10には、同じ種類のセンサデータを測定する複数のセンサ11が配置されてもよく、互いに異なる種類のセンサデータを測定する複数のセンサ11が配置されてもよい。
【0018】
<診断装置20>
診断装置20は、制御部21、及び表示部22を含んで構成される。また、制御部21は、センサ信号取得部211、機器診断部212、分類部213、送信部214、表示制御部215、及びラベル情報生成部216を含む。
【0019】
表示部22は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置である。表示部22は、後述する表示制御部215の制御指示に基づいて、後述する機器診断部212により診断された産業機器10の診断結果、及び後述する分類部213により分類された産業機器10の異常の分類結果を表示する。また、表示部22は、表示制御部215の制御指示に基づいて、診断装置20に含まれるキーボードやタッチパネル等の入力装置(図示しない)を介して、後述する送信部214によるセンサデータの送信の指示をユーザから受け付けるユーザインタフェースを表示してもよい。
【0020】
<制御部21>
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは診断装置20を全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って診断装置20全体を制御する。これにより、
図1に示すように、制御部21が、センサ信号取得部211、機器診断部212、分類部213、送信部214、表示制御部215、及びラベル情報生成部216の機能を実現するように構成される。RAMには一時的な計算データや表示データ等の各種データが格納される。また、CMOSメモリは図示しないバッテリでバックアップされ、診断装置20の電源がオフされても記憶状態が保持される不揮発性メモリとして構成される。
【0021】
センサ信号取得部211は、産業機器10に配置される少なくとも1つのセンサ11により測定された測定値(センサデータ)を含むセンサ信号を取得する。センサ信号取得部211は、取得したセンサ信号を機器診断部212、分類部213、及び送信部214に出力する。
【0022】
機器診断部212は、取得されたセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する。
機器診断部212は、例えば、One Class SVM(Support Vector Machine)(以下、「1クラスSVM」ともいう)、ガウス混合モデル等の1クラス分類器である。機器診断部212は、例えば、産業機器10の稼動状態が同一又は類似における産業機器10の正常時のセンサデータの分布を学習し、正常時のセンサデータの分布からのずれ(すなわち、乖離の度合い)をもって異常と判断する。
なお、以下では、産業機器10の稼動状態に関する説明を省略するが、実際は、産業機器10の稼動状態(コンテキスト情報)別に1クラス分類器が生成され、産業機器10の稼動状態(コンテキスト情報)別に産業機器10に対する診断が行われてもよい。
【0023】
具体的には、1クラスSVMの手法による1クラス分類器は、センサデータを2つのクラス(集団)に分類する分類学習モデルであるSVMを応用した手法である。SVMは、2クラスのデータ間の距離(マージン)が最大となるようにクラスが定められた学習データを分類する超平面を求め、前記超平面を利用して、判定対象のセンサデータをどちらかのクラスに分類する。そして、1クラス分類器は、学習データとして正常データの1クラスのみを用い、学習データのクラスとそれ以外とを分類する超平面を求め、求めた超平面を利用してセンサデータを分類する。その結果、1クラス分類器は、センサデータの空間で、学習データの幾つかを通って学習データの大半を囲むことができる識別境界を作成して、前記識別境界によって、判定対象のセンサデータを正常か異常かのどちらかに分類する。
換言すれば、正常時の学習データに基づく1クラス分類器である機器診断部212は、センサデータが学習データの正常のクラスに分類されるか否か、すなわち、診断対象の産業機器10が正常か異常かを診断することができる。機器診断部212は、診断結果を後述する分類部213、送信部214、及び表示制御部215に出力する。
【0024】
分類部213は、機器診断部212により産業機器10が異常と診断された場合、センサ信号と後述する分類学習モデルとに基づいて産業機器10の異常の分類を行う。
具体的には、分類部213は、後述するように、例えば、異常Aiの学習データに基づく分類学習モデルとしての1クラス分類器をサーバ30から取得(ダウンロード)し、取得した1クラス分類器を追加する。分類部213は、追加した1クラス分類器とセンサデータとを用いて、センサデータが異常Aiの学習データのクラスに分類されるか否か、すなわち産業機器10の異常が異常Aiか否かを判定する。なお、iは1からnの整数であり、nは1以上の整数である。
すなわち、分類部213は、機器診断部212により異常と診断された産業機器10のセンサデータに基づいて、診断対象の産業機器10の異常を分類する。例えば、分類部213は、後述するサーバ30により生成された既知の異常Aiそれぞれの学習データに基づく1クラス分類器を用いて、センサデータが異常Aiの学習データに適合するか否かを判定することで、産業機器10の異常が異常Aiか否かを判定する。一方、分類部213は、異常A1から異常Anのいずれでもないと判定した場合、当該センサデータを未知のデータと判定してもよい。
そして、分類部213は、分類結果を送信部214、表示制御部215、及びラベル情報生成部216に出力する。
【0025】
なお、分類部213は、異常Aiと判定した場合でも、判定された異常Aiに対応するセンサデータの数が予め設定されたサンプル数より少ない場合、当該センサデータを未知のデータと判定してもよい。
また、分類学習モデルがニューラルネットワークの学習済みモデルの場合、分類部213は、ニューラルネットワークの出力層(ソフトマックス関数)の値が全てのクラスに対して予め設定された所定値以下の場合に、未知のデータと判定してもよい。
また、分類学習モデルが既知の異常A1から異常Anの全クラスのデータを入力として学習された1クラス分類器の場合、分類部213は、当該1クラス分類器の出力が予め設定された閾値に対して大きい、又は小さい場合に、未知のデータと判定してもよい。
【0026】
また、分類部213は、既知の異常Aiそれぞれの学習データに基づく1クラス分類器をサーバ30から取得し、取得した1クラス分類器とセンサデータとを用いて、産業機器10の異常を分類したが、これに限定されない。例えば、分類部213は、後述するサーバ30における機械学習により生成された、例えば、SVMや決定木等の分類器をサーバ30から取得し、取得したSVMや決定木等の分類器とセンサデータとを用いて、産業機器10の異常の分類を行ってもよい。
また、分類部213は、後述するサーバ30にとって既知の異常A1から異常Anのデータか、未知のデータか、に分類する1クラス分類器でもよい。
【0027】
送信部214は、機器診断部212の診断結果、又は分類部213の分類結果、若しくは両方の結果に基づいて、サーバ30にセンサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、センサ信号をサーバ30に送信する。
具体的には、送信部214は、機器診断部212により産業機器10が異常と診断され、分類部213によりセンサ信号のセンサデータが未知のデータと分類された場合、当該センサデータを含むセンサ信号をサーバ30に送信すると判断する。そして、送信部214は、センサ信号をサーバ30に送信する。
すなわち、送信部214は、分類部213によりサーバ30にとって未知のデータと判定されたセンサデータのセンサ信号のみをサーバ30に送信することで、ネットワークの負荷や、ユーザの負荷を低減することができる。
【0028】
表示制御部215は、送信部214がセンサ信号を送信する場合、データ送信が必要なタイミングで、センサ信号の送信をユーザに対して促すユーザインタフェースを表示部22に表示する。
具体的には、表示制御部215は、例えば、送信部214がセンサ信号を送信するタイミングで、「データをサーバ30へ送信してください」等のメッセージと、「送信」ボタンと、を含むユーザインタフェースを表示部22に表示してもよい。
また、表示制御部215は、機器診断部212の診断結果、分類部213の分類結果、又は両方の結果を表示部22に表示してもよい。
【0029】
ラベル情報生成部216は、分類部213の分類結果に基づいて、センサ信号に対する産業機器10の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、送信するセンサ信号に対するラベルを生成する。
具体的には、ラベル情報生成部216は、例えば、分類部213により未知のデータと判定されたセンサデータを送信部214が送信するタイミングで、「主軸ベアリングの破損」、「ガイド摺動面の劣化」、又は「工具破損」等の異常部位と異常現象とを組み合わせた形式で産業機器10の異常の内容を示すラベルを生成する。
また、ラベル情報生成部216は、例えば、診断装置20の入力装置(図示しない)を介し、産業機器10が異常となった時刻に発生した異音、振動等のユーザの入力に基づいて、ラベルを生成してもよい。
また、ラベル情報生成部216は、ユーザにラベル入力を促す画面を表示部22に表示し、ラベルを入力させてもよい。
また、ラベル情報生成部216は、ラベル付加対象のデータの取得時刻の、(他の)センサ信号、機器動作状況、環境状況等を基にラベルを生成してもよい。
なお、ラベルの形式は、異常部位と異常現象とを組み合わせた形式に限定されず、他の形式でもよい。
【0030】
<サーバ30>
サーバ30は、例えば、コンピュータ装置であり、図示しないネットワークを介して、診断装置20との間で通信を行う。
図1に示すように、サーバ30は、分類モデル学習部31を有する。
サーバ30は、分類モデル学習部31の機能ブロックを実現するために、CPU等の演算処理装置を備える。また、サーバ30は、アプリケーションソフトウェアやOS(Operating System)等の各種の制御用プログラムを格納したHDD等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAMといった主記憶装置も備える。
【0031】
そして、サーバ30において、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェアやOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェアやOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェアやOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、サーバ30が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、本実施形態の機能ブロックは実現される。つまり、本実施形態は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
なお、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、サーバ30の各機能が実現されてもよい。
【0032】
分類モデル学習部31は、例えば、診断装置20により未知のデータと判定されたセンサデータ及びラベルを診断装置20から受信する。分類モデル学習部31は、受信したセンサデータ及びラベルを、サーバ30に含まれるHDD等の記憶部(図示しない)の記憶領域のうちラベルの内容に対応した記憶領域に記憶する。
そして、分類モデル学習部31は、例えば、ラベル毎の記憶領域のうちセンサデータの数が予め設定された所定のデータ数以上となった場合、学習データとして当該記憶領域のセンサデータの1クラスのみを用い、新たな異常An+1としてのクラスとそれ以外とを分類する超平面を求める、求めた超平面を利用してセンサデータを分類する1クラス分類器の分類学習モデルを新たに生成する。そして、分類モデル学習部31は、新たに生成した異常An+1を分類する分類学習モデルを診断装置20に送信する。
なお、分類モデル学習部31は、異常An+1のセンサデータとラベルとの組を訓練データとして受け付け、受け付けた訓練データを用いて、教師あり学習を行うことにより、入力層におけるセンサデータの入力に対して、出力層で異常An+1である確率(ソフトマックス関数)を予測するニューラルネットワークの学習済みモデルを構築してもよい。
また、分類モデル学習部31は、例えば、SVMや決定木等の分類器を生成してもよく、サーバ30にとって既知の異常A1から異常Anのデータか、未知のデータか、に分類する1クラス分類器を生成してもよい。
【0033】
<診断装置20の診断処理、及びサーバ30の収集処理>
次に、診断装置20の診断処理、及びサーバ30の収集処理に係る動作について説明する。
図2は、診断装置20の診断処理、及びサーバ30の収集処理について説明するフローチャートである。
【0034】
ステップS11において、センサ信号取得部211は、産業機器10のセンサ11により測定されたセンサデータを含むセンサ信号を取得する。
【0035】
ステップS12において、機器診断部212は、ステップS11で取得されたセンサ信号のセンサデータに基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する。
【0036】
ステップS13において、分類部213は、ステップS12で産業機器10が異常と診断された場合、センサデータに基づき産業機器10の異常を分類する。
【0037】
ステップS14において、表示制御部215は、診断結果及び分類結果を表示部22に表示する。
【0038】
ステップS15において、送信部214は、ステップS12の診断結果、又はステップS13での分類結果、若しくは両方の結果に基づいて、センサ信号の送信可否を判断する。センサ信号を送信すると判断した場合、処理はステップS16に進む。一方、センサ信号を送信しないと判断した場合、処理はステップS11に戻る。
【0039】
ステップS16において、ラベル情報生成部216は、ステップS13で未知のデータと判定されたセンサデータに対するラベルの生成タイミングを判断し、センサデータに対するラベルを生成する。
【0040】
ステップS17において、送信部214は、表示部22に表示されるユーザインタフェースの「送信」ボタンがユーザにより押下されると、ラベルが付加された未知のデータのセンサデータのセンサ信号をサーバ30に送信する。そして、処理はステップS11に戻る。
【0041】
ステップS31において、サーバ30の分類モデル学習部31は、ステップS17で送信されたラベルが付加された未知のデータのセンサデータのセンサ信号を、診断装置20から受信し、受信したセンサデータ及びラベルをサーバ30の記憶部(図示しない)の記憶領域のうちラベルの内容に対応した記憶領域に記憶する。
【0042】
なお、診断装置20は、センサ信号の取得に係る処理と、未知のデータのラベル生成及び送信に係る処理とを、順序に沿って時系列的に行ったが、並列的あるいは個別に実行してもよい。
【0043】
<診断装置20の取得処理、及びサーバ30の学習処理>
次に、診断装置20の取得処理、及びサーバ30の学習処理に係る動作について説明する。
図3は、診断装置20の取得処理、及びサーバ30の学習処理について説明するフローチャートである。
【0044】
ステップS51において、分類モデル学習部31は、
図2の収集処理により収集されたセンサデータが予め設定された所定のデータ数以上か否かを判定する。収集したセンサデータが所定のデータ数以上の場合、処理はステップS52に進む。一方、収集したセンサデータが所定のデータ数より少ない場合、処理はセンサデータが所定のデータ数以上となるまでステップS51に待機する。
【0045】
ステップS52において、分類モデル学習部31は、所定のデータ数以上収集されたセンサデータ及びラベルを用いて機械学習を行うことで、新たな異常An+1として分類する分類学習モデルを生成する。
【0046】
ステップS53において、サーバ30の分類モデル学習部31は、新たな異常An+1を分類する分類学習モデルが生成された旨のメッセージを診断装置20に送信する。
【0047】
ステップS41において、診断装置20の分類部213は、新たな異常An+1を分類する分類学習モデルが生成された旨のメッセージを、サーバ30から受信したか否かを判定する。メッセージを受信した場合、処理はステップS42に進む。一方、メッセージを受信していない場合、処理はメッセージを受信するまでステップS41に待機する。
【0048】
ステップS42において、分類部213は、サーバ30から生成された分類学習モデルをダウンロードし取得する。
【0049】
なお、サーバ30の学習処理はミニバッチ処理を例示しているが、ミニバッチ処理に替えてバッチ処理又はリアルタイム処理に置き換えてもよい。
【0050】
以上により、第1実施形態に係る診断装置20は、産業機器10のセンサ11により測定されたセンサデータを含むセンサ信号を取得し、取得したセンサデータに基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する。診断装置20は、産業機器10が異常と診断した場合、センサデータに基づいて産業機器10の異常を分類する。診断装置20は、分類によりセンサデータが未知のデータと判定された場合、前記センサデータをサーバ30に送信可と判断し、サーバ30に送信する。
これにより、診断装置20は、ベンダでの機能改善に影響が大きい未知のデータのみを選別し、選別された未知のデータをサーバ30にアップロードすることができる。そうすることで、診断装置20は、ネットワークの負荷を低減することができる。
また、診断装置20は、選別されたサーバ30にアップロードする未知のデータに対するラベル付け(アノテーション)を行うことで、ユーザ負荷を低減することができる。
以上、第1実施形態について説明した。
【0051】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。
第1実施形態では、診断装置20は、センサ11からのセンサ信号に含まれるセンサデータを用いて産業機器10が正常か異常かを診断し、産業機器10が異常と診断された場合、サーバ30によって生成された分類学習モデルとセンサデータとを用いて産業機器10の異常を分類し、センサデータが未知のデータと判定された場合に、当該センサデータをサーバ30に送信した。これに対して、第2実施形態では、診断装置20Aは、センサ11からのセンサ信号に含まれるセンサデータを用いて産業機器10が正常か異常かを診断し、産業機器10が異常と診断した全てのセンサデータをサーバ30Aに送信し、送信したセンサデータのうちサーバ30Aにより未知のデータと判定されたセンサデータに対するラベルを生成してサーバ30Aに送信する。
すなわち、第2実施形態では、診断装置20Aは、取得したセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断して、産業機器が異常と診断された場合、センサ信号をサーバ30Aに送信し、サーバ30Aから取得した産業機器10の異常に対する分類結果に基づいて、センサ信号に対するラベルの生成タイミングを判断してラベルを生成し、生成したラベルをサーバ30Aに送信する点が、第1実施形態と異なる。
こうすることで、診断装置20Aは、ベンダでの機能改善に影響が大きい産業機器10が異常と診断したデータのみを選別し、選別されたデータをサーバ30Aにアップロードすることができる。
以下に、第2実施形態について説明する。
【0052】
図4は、第2実施形態に係る診断システムの機能的構成例を示す機能ブロック図である。なお、
図1の診断システム1の要素と同様の機能を有する要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
図4に示すように、第2実施形態に係る診断システム1は、産業機器10、診断装置20A、及びサーバ30Aを有する。
【0053】
産業機器10は、第1実施形態の場合と同様に、当業者にとって公知の工作機械や産業用ロボット等であり、センサ11を含む。産業機器10は、図示しない制御装置からの動作指示に基づいて動作する。
【0054】
センサ11は、第1実施形態の場合と同様に、産業機器10に含まれるモータ、当該モータに取り付けられた主軸やアーム等の可動部(図示しない)の可動に関する状態を測定する。センサ11は、測定した測定値であるセンサデータを診断装置20に出力する。
【0055】
<診断装置20A>
診断装置20Aは、制御部21a、及び表示部22を含んで構成される。また、制御部21aは、センサ信号取得部211、機器診断部212、送信部214a、表示制御部215、及びラベル情報生成部216aを含む。
なお、第2実施形態では、第1実施形態の分類部213に対応する機能は、後述するサーバ30Aの分類部32として実現される。すなわち、第2実施形態に係る診断装置20Aは、センサ11により測定されたセンサデータを用いて産業機器10に発生した異常の分類を行わない。
また、表示部22は、第1実施形態における表示部22と同等の機能を有する。
【0056】
<制御部21a>
制御部21aは、第1実施形態の制御部21と同様に、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)メモリ等を有し、これらはバスを介して相互に通信可能に構成される、当業者にとって公知のものである。
CPUは診断装置20Aを全体的に制御するプロセッサである。CPUは、ROMに格納されたシステムプログラム及びアプリケーションプログラムを、バスを介して読み出し、前記システムプログラム及びアプリケーションプログラムに従って診断装置20全体を制御する。これにより、
図4に示すように、制御部21aが、センサ信号取得部211、機器診断部212、送信部214a、表示制御部215、及びラベル情報生成部216aの機能を実現するように構成される。
【0057】
センサ信号取得部211、機器診断部212、及び表示制御部215は、第1実施形態におけるセンサ信号取得部211、機器診断部212、及び表示制御部215と同等の機能を有する。
【0058】
送信部214aは、機器診断部212により産業機器10が異常と診断された場合、サーバ30Aにセンサ信号を送信する。
すなわち、送信部214aは、機器診断部212により産業機器10が異常と診断されたセンサデータのセンサ信号のみをサーバ30Aに送信することで、ネットワークの負荷や、ユーザの負荷を低減することができる。
そして、送信部214aは、後述するように、送信したセンサデータが未知のデータとサーバ30Aにより分類された場合、後述のラベル情報生成部216aにより当該センサデータに対して生成されたラベルをサーバ30Aに送信してもよい。
【0059】
ラベル情報生成部216aは、送信部214aが送信したセンサ信号に対する分類結果を後述するサーバ30Aから受信した場合、受信した分類結果に基づいて、センサ信号に対する産業機器10の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、ラベルを生成する。送信部214aは、生成されたラベルをサーバ30Aに送信する。
具体的には、ラベル情報生成部216aは、送信部214aが送信したセンサ信号のセンサデータが未知のデータと判定された分類結果をサーバ30Aから受信したタイミングで、「主軸ベアリングの破損」、「ガイド摺動面の劣化」、又は「工具破損」等の異常部位と異常現象とを組み合わせた形式で産業機器10の異常の内容を示すラベルを生成する。
また、ラベル情報生成部216aは、例えば、診断装置20の入力装置(図示しない)を介し、産業機器10が異常となった時刻に発生した異音、振動等のユーザの入力に基づいて、ラベルを生成してもよい。
また、ラベル情報生成部216aは、ユーザにラベル入力を促す画面を表示部22に表示し、ラベルを入力させてもよい。
また、ラベル情報生成部216aは、ラベル付加対象のデータの取得時刻の、(他の)センサ信号、機器動作状況、環境状況等を基にラベルを生成してもよい。
なお、ラベルの形式は、異常部位と異常現象とを組み合わせた形式に限定されず、他の形式でもよい。
【0060】
<サーバ30A>
サーバ30Aは、第1実施形態のサーバ30と同様に、コンピュータ装置であり、図示しないネットワークを介して、診断装置20Aとの間で通信を行う。
図4に示すように、サーバ30Aは、分類モデル学習部31及び分類部32を有する。
サーバ30Aは、分類モデル学習部31及び分類部32の機能ブロックを実現するために、CPU等の演算処理装置を備える。また、サーバ30Aは、アプリケーションソフトウェアやOS等の各種の制御用プログラムを格納したHDD等の補助記憶装置や、演算処理装置がプログラムを実行する上で一時的に必要とされるデータを格納するためのRAMといった主記憶装置も備える。
【0061】
そして、サーバ30Aにおいて、演算処理装置が補助記憶装置からアプリケーションソフトウェアやOSを読み込み、読み込んだアプリケーションソフトウェアやOSを主記憶装置に展開させながら、これらのアプリケーションソフトウェアやOSに基づいた演算処理を行なう。また、この演算結果に基づいて、サーバ30が備える各種のハードウェアを制御する。これにより、第2実施形態の機能ブロックは実現される。つまり、第2実施形態は、ハードウェアとソフトウェアが協働することにより実現することができる。
なお、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、サーバ30Aの各機能が実現されてもよい。
【0062】
分類モデル学習部31は、第1実施形態の分類モデル学習部31と同等の機能を有する。ただし、第2実施形態に係る分類モデル学習部31は、生成した分類学習モデルを後述する分類部32に出力する。
【0063】
分類部32は、産業機器10が異常と診断され診断装置20Aから受信したセンサ信号のセンサデータと、分類モデル学習部31により生成された分類学習モデルと、を用いて、産業機器10の異常の分類を行う。
具体的には、分類部32は、第1実施形態の分類部213と同様に、例えば、分類モデル学習部31により生成された異常Aiの学習データに基づく1クラス分類器と、受信したセンサデータと、を用いて、受信したセンサデータが異常Aiの学習データのクラスに分類されるか否か、すなわち産業機器10の異常が異常Aiか否かを分類する。
すなわち、分類部32は、診断装置20Aにより異常と診断された産業機器10のセンサデータに基づいて、産業機器10の異常を分類する。例えば、分類部32は、分類モデル学習部31により生成された既知の異常Aiそれぞれの学習データに基づく1クラス分類器を用いて、受信したセンサデータが異常Aiの学習データに適合するか否かを判定することで、産業機器10の異常が異常Aiか否かを判定する。一方、分類部213は、異常A1から異常Anのいずれでもないと判定した場合、対応するセンサデータを未知のデータと判定する。
そして、分類部32は、分類結果を診断装置20Aに送信する。
【0064】
なお、分類部32は、いずれかの異常Aiと判定した場合でも、判定された異常Aiに対応するセンサデータの数が予め定めたサンプル数より少ない場合、当該センサデータを未知のデータと判定してもよい。
また、分類学習モデルがニューラルネットワークの学習済みモデルの場合、分類部32は、ニューラルネットワークの出力層(ソフトマックス関数)の値が全てのクラスに対して予め設定された所定値以下の場合に、未知のデータと判定してもよい。
また、分類学習モデルが既知の全クラスのデータを入力として学習された1クラス分類器の場合、分類部32は、当該1クラス分類器の出力が予め設定された閾値に対して大きい、又は小さい場合に、未知のデータと判定してもよい。
【0065】
<診断装置20Aの診断処理、及びサーバ30Aの収集処理>
次に、診断装置20Aの診断処理、及びサーバ30Aの収集処理に係る動作について説明する。
図5は、診断装置20Aの診断処理、及びサーバ30Aの収集処理について説明するフローチャートである。
【0066】
ステップS61において、センサ信号取得部211は、第1実施形態におけるステップ11と同様の処理を行い、産業機器10のセンサ11により測定されたセンサデータを含むセンサ信号を取得する。
【0067】
ステップS62において、機器診断部212は、ステップS61で取得されたセンサ信号のセンサデータに基づいて産業機器10が異常か否かを診断する。産業機器10が異常の場合、処理はステップS63に進む。一方、産業機器10が正常の場合、処理はステップS61に戻る。
【0068】
ステップS63において、送信部214aは、ステップS62で産業機器10が異常と診断されたセンサデータをサーバ30Aに送信する。
【0069】
ステップS71において、サーバ30Aの分類部32は、ステップS63で送信されたセンサデータを診断装置20Aから受信する。
【0070】
ステップS72において、分類部32は、ステップS71で受信したセンサデータに基づき産業機器10の異常を分類する。
【0071】
ステップS73において、分類部32は、ステップS72で分類した分類結果を診断装置20Aに送信する。
【0072】
ステップS64において、診断装置20Aの表示制御部215は、分類結果をサーバ30Aから受信する。
【0073】
ステップS65において、表示制御部215は、第1実施形態におけるステップ14と同様の処理を行い、診断結果及び分類結果を表示部22に表示する。
【0074】
ステップS66において、ラベル情報生成部216aは、ステップS64で受信した分類結果に基づいて、ステップS63で送信されたセンサデータが未知のデータとサーバ30Aにより分類されたか否かを判定する。センサデータが未知のデータと分類された場合、処理はステップS67に進む。一方、センサデータが未知のデータでない、すなわち異常A1から異常Anのいずれかのデータと分類された場合、処理はステップS61に戻る。
【0075】
ステップS67において、ラベル情報生成部216aは、サーバ30Aにより未知のデータと分類されたセンサデータに対するラベルの生成タイミングを判断し、センサデータに対するラベルを生成する。
【0076】
ステップS68において、送信部214aは、表示部22に表示されるユーザインタフェースの「送信」ボタンがユーザにより押下された場合、ステップS67で生成されたラベルをサーバ30Aに送信する。そして、処理はステップS61に戻る。
【0077】
ステップS74において、分類モデル学習部31は、ステップS72で未知のデータと分類されたセンサデータのラベルを診断装置20Aから受信し、受信したセンサデータ及びラベルをサーバ30Aの記憶部(図示しない)の記憶領域のうちラベルの内容に対応した記憶領域に記憶する。
【0078】
なお、診断装置20Aは、センサ信号の取得に係る処理と、未知のデータのラベル生成及び送信に係る処理とを、順序に沿って時系列的に行ったが、並列的あるいは個別に実行してもよい。
また、サーバ30Aは、ステップS71からステップS73の処理と、ステップS74の処理とを、順序に沿って時系列的に行ったが、並列的あるいは個別に実行してもよい。
【0079】
<サーバ30Aの学習処理>
次に、サーバ30Aの学習処理に係る動作について説明する。
図6は、サーバ30Aの学習処理について説明するフローチャートである。
【0080】
ステップS81において、分類モデル学習部31は、第1実施形態におけるステップ51と同様の処理を行い、
図5の収集処理により収集されたセンサデータが予め設定された所定のデータ数以上か否かを判定する。収集したセンサデータが所定のデータ数以上の場合、処理はステップS82に進む。一方、収集したセンサデータが所定のデータ数より少ない場合、処理はセンサデータが所定のデータ数以上となるまでステップS81に待機する。
【0081】
ステップS82において、分類モデル学習部31は、第1実施形態におけるステップ52と同様の処理を行い、所定のデータ数以上収集されたセンサデータ及びラベルを用いて機械学習を行うことで、新たな異常An+1として分類する分類学習モデルを生成し、生成した分類学習モデルを分類部32に出力する。
【0082】
なお、サーバ30Aの学習処理はミニバッチ処理を例示しているが、ミニバッチ処理に替えてバッチ処理又はリアルタイム処理に置き換えてもよい。
【0083】
以上により、第2実施形態に係る診断装置20Aは、産業機器10のセンサ11により測定されたセンサデータを含むセンサ信号を取得し、取得したセンサデータに基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する。診断装置20Aは、産業機器10が異常と診断した場合、取得したセンサ信号をサーバ30Aに送信する。診断装置20Aは、サーバ30Aにより送信したセンサデータに対して未知のデータと判定された場合、センサデータに対するラベルを生成し、生成したラベルをサーバ30Aに送信する。
これにより、診断装置20Aは、ベンダでの機能改善に影響が大きい産業機器10の異常と診断したデータのみを選別し、選別されたデータをサーバ30Aにアップロードすることができる。そうすることで、診断装置20Aは、ネットワークの負荷を低減することができる。
また、診断装置20Aは、送信した産業機器10の異常と診断したデータのうち、サーバ30Aにより未知のデータと判定されたデータに対するラベル付け(アノテーション)を行うことで、ユーザ負荷を低減することができる。
以上、第2実施形態について説明した。
【0084】
以上、第1実施形態及び第2実施形態について説明したが、診断装置20、20A、及びサーバ30、30Aは、上述の実施形態に限定されるものではなく、目的を達成できる範囲での変形、改良等を含む。
【0085】
<変形例1>
第1実施形態及び第2実施形態では、診断装置20、20Aは、産業機器10と異なる装置として例示したが、診断装置20、20Aの一部又は全部の機能を、産業機器10が備えるようにしてもよい。
あるいは、診断装置20のセンサ信号取得部211、機器診断部212、分類部213、送信部214、表示制御部215、及びラベル情報生成部216の一部又は全部、又は診断装置20のセンサ信号取得部211、機器診断部212、送信部214a、表示制御部215、及びラベル情報生成部216aの一部又は全部を、例えば、サーバが備えるようにしてもよい。また、クラウド上で仮想サーバ機能等を利用して、診断装置20、20Aの各機能を実現してもよい。
さらに、診断装置20、20Aは、診断装置20、20Aの各機能を適宜複数のサーバに分散される、分散処理システムとしてもよい。
【0086】
<変形例2>
また例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、診断装置20、20Aは、1つの産業機器10と接続されたが、これに限定されず、複数の産業機器10と接続されてもよい。
【0087】
<変形例3>
また例えば、上述の第1実施形態及び第2実施形態では、サーバ30、30Aは、1つの診断装置20、20Aと接続されたが、これに限定されない。例えば、
図7に示すように、サーバ30Bは、産業機器10A(1)-10A(m)毎にサーバ30Bの分類モデル学習部31により生成された分類学習モデルを記憶し、ネットワーク60に接続されたm個の診断装置20B(1)-20B(m)と分類学習モデルを共有してもよい(mは2以上の整数)。これにより、新たな産業機器、及び診断装置が配置されても分類学習モデルを適用することができる。
なお、診断装置20B(1)-20B(m)の各々は、産業機器10A(1)-10A(m)の各々と接続される。
また、産業機器10A(1)-10A(m)の各々は、第1実施形態及び第2実施形態の産業機器10に対応し、互いに同じ機種でもよく、互いに異なる機種でもよい。診断装置20B(1)-20B(m)の各々は、第1実施形態の診断装置20、又は第2実施形態の診断装置20Aに対応する。サーバ30Bは、第1実施形態のサーバ30、又は第2実施形態のサーバ30Aに対応する。
【0088】
なお、第1実施形態及び第2実施形態における、診断装置20、20A及びサーバ30、30Aに含まれる各機能は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせによりそれぞれ実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0089】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(Non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(Tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(Transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は、無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0090】
なお、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0091】
以上を換言すると、本開示の診断装置、サーバ、及び診断方法は、次のような構成を有する各種各様の実施形態を取ることができる。
【0092】
(1)本開示の診断装置20の一態様は、産業機器10の異常を学習して異常の分類学習モデルを生成するサーバ30と、通信可能に接続される診断装置であって、産業機器10に配置された少なくとも1つのセンサ11により測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部211と、取得されたセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する機器診断部212と、機器診断部212により産業機器10が異常と診断された場合、センサ信号と分類学習モデルとに基づいて産業機器の異常の分類を行う分類部213と、機器診断部212の診断結果、及び分類部213の分類結果の少なくとも1つに基づいて、サーバ30にセンサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、センサ信号をサーバ30に送信する送信部214と、を備える。
この診断装置20によれば、ベンダでの機能改善に影響が大きいデータのみを選別し、選別されたデータをサーバにアップロードすることができる。
【0093】
(2) (1)に記載の診断装置20において、分類部213は、センサ信号に基づいて少なくとも産業機器10の異常が分類できない、又は予め設定されたサンプル数より少ない異常の場合、センサ信号を未知のデータと分類し、送信部214は、未知のデータと分類されたセンサ信号をサーバ30に送信してもよい。
そうすることで、診断装置20は、サーバ30にとって未知のデータと判定されたセンサデータのセンサ信号のみをサーバ30に送信することで、ネットワークの負荷を低減することができる。
【0094】
(3) (1)又は(2)に記載の診断装置20において、機器診断部212は、予め正常時のセンサ信号の特徴を学習し、正常時の特徴からの乖離の度合いに基づいて産業機器10の異常を検知する1クラス分類器であってもよい。
そうすることで、診断装置20は、センサデータに基づいて産業機器10の異常を容易に診断することができる。
【0095】
(4) (1)から(3)のいずれか記載の診断装置20において、分類部213の分類結果に基づいて、センサ信号に対する産業機器10の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、ラベルを生成するラベル情報生成部216をさらに備え、送信部214は、センサ信号及びラベルをサーバ30に送信してもよい。
そうすることで、診断装置20は、サーバ30にとって未知のデータと判定されたセンサデータのセンサ信号のみに対してラベル付けことで、ユーザの負荷を低減することができる。
【0096】
(5) (4)に記載の診断装置20において、分類部213は、送信部214により送信されたセンサ信号及びラベルに基づいてサーバ30により生成された分類学習モデルをサーバ30から取得してもよい。
そうすることで、診断装置20は、センサデータに基づいて産業機器10の異常を容易に診断することができる。
【0097】
(6) (5)に記載の診断装置20において、分類学習モデルは、サーバ30が診断装置20から新たなセンサ信号を受信する度に更新され、分類部213は、更新された分類学習モデルを用いて、産業機器10の異常の分類を行ってもよい。
そうすることで、診断装置20は、分類の精度を向上させることができる。
【0098】
(7) (1)から(6)のいずれか記載の診断装置20において、送信部214がセンサ信号を送信する場合、センサ信号の送信を促すユーザインタフェースを表示部22に表示する表示制御部215をさらに備えてもよい。
そうすることで、診断装置20は、ユーザの所望のタイミングでセンサ信号をサーバ30に送信することができる。
【0099】
(8) (7)に記載の診断装置20において、表示制御部215は、機器診断部212の診断結果、及び分類部213の分類結果の少なくとも1つを表示部22に表示してもよい。
そうすることで、ユーザは産業機器10に異常が発生したか否か、及び発生した異常を確認することができる。
【0100】
(9)本開示の診断装置20Aの一態様は、産業機器10から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできないセンサ信号の分類を学習して分類学習モデルを更新するサーバ30Aと、通信可能に接続される診断装置であって、産業機器10に配置された少なくとも1つのセンサ11により測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得部211と、取得されたセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する機器診断部212と、機器診断部212により産業機器10が異常と診断された場合、サーバ30Aにセンサ信号を送信する送信部214aと、サーバ30Aから取得されたセンサ信号に対する分類結果に基づいて、センサ信号に対する産業機器10の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、ラベルを生成するラベル情報生成部216aと、を備え、送信部214aは、ラベルをサーバ30Aに送信する。
この診断装置20Aによれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0101】
(10)本開示のサーバ30の一態様は、(1)から(8)のいずれかに記載の診断装置20と通信可能に接続されるサーバであって、診断装置20から受信されたセンサ信号を用いて産業機器10の異常を学習して分類学習モデルを生成し、生成した分類学習モデルを診断装置20に送信する分類モデル学習部31を備える。
このサーバ30によれば、ベンダでの機能改善に影響が大きいデータのみを受信することができる。
【0102】
(11)本開示のサーバ30Aの一態様は、(9)に記載の診断装置20Aと通信可能に接続されるサーバであって、診断装置20Aから受信されたセンサ信号を用いて産業機器10の異常を学習して分類学習モデルを生成する分類モデル学習部31と、センサ信号と分類学習モデルとに基づいて産業機器10の異常の分類を行う分類部32と、を備える。
このサーバ30Aによれば、ベンダでの機能改善に影響が大きいデータのみを受信することができる。
【0103】
(12)本開示の診断方法の一態様は、産業機器10の異常を学習して異常の分類学習モデルを生成するサーバ30と、通信可能に接続される診断装置20による診断方法であって、産業機器10に配置された少なくとも1つのセンサ11により測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、取得されたセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、産業機器10が異常と診断された場合、センサ信号と分類学習モデルとに基づいて産業機器10の異常の分類を行う分類ステップと、機器診断ステップの診断結果、及び分類ステップの分類結果の少なくとも1つに基づいて、サーバ30にセンサ信号の送信可否を判断し、送信可と判断した場合、センサ信号をサーバ30に送信する送信ステップと、を備える。
この診断方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【0104】
(13)本開示の診断方法の一態様は、産業機器10から取得される異常を示すセンサ信号を入力することで異常を分類する分類学習モデルを備えるとともに分類付けできないセンサ信号の分類を学習して分類学習モデルを更新するサーバ30Aと、通信可能に接続される診断装置20Aによる診断方法であって、産業機器10に配置された少なくとも1つのセンサ11により測定された測定値を含むセンサ信号を取得するセンサ信号取得ステップと、取得されたセンサ信号に基づいて産業機器10が正常か異常かを診断する機器診断ステップと、産業機器10が異常と診断された場合、サーバ30Aにセンサ信号を送信する送信ステップと、サーバ30Aから取得されたセンサ信号に対する分類結果に基づいて、センサ信号に対する産業機器10の異常の内容を示すラベルの生成タイミングを判断し、ラベルを生成するラベル情報生成ステップと、を備え、送信ステップは、ラベルをサーバ30Aに送信する。
この診断方法によれば、(1)と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0105】
1 診断システム
10 産業機器
11 センサ
20、20A 診断装置
21、21a 制御部
211 センサ信号取得部
212 機器診断部
213 分類部
214、214a 送信部
215 表示制御部
216、216a ラベル情報生成部
22 表示部
30、30A サーバ
31 分類モデル学習部
32 分類部