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特許7518170集電体が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】集電体が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20240709BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/1395 20100101ALI20240709BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALI20240709BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/66 A
H01M4/1395
H01M10/0585
H01M4/38 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022538857
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2021005120
(87)【国際公開番号】W WO2021221388
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】10-2020-0050794
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チョン・ピル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ギ・ボム・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・チャン・イ
【審査官】小森 利永子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/210791(WO,A1)
【文献】特開2019-164906(JP,A)
【文献】特開2009-026491(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111063862(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109860521(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第110190287(CN,A)
【文献】特表2016-517611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0105007(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110660969(CN,A)
【文献】特開2004-259483(JP,A)
【文献】Fei Zhao et. al,Entrapping Lithium deposition in lithiophilic reservoir constructed by vertically aligned ZnO nanosheets for dendrite-free Li metal anodes,Nano Energy,2019年,62,pp.55-63
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/13-4/62
H01M 4/64-4/66
H01M 10/052-10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム二次電池用負極であって、
負極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一面にコーティングされたリチウム親和物質(lithiophilic material、LPM)を含み、
前記リチウム親和物質は前記負極集電体にコーティングされたコーティング物質の熱処理生成物として金属または金属酸化物のうちの少なくとも1種を含み、
前記リチウム親和物質がコーティングされた負極集電体の表面に酸化物層が形成され、
前記リチウム親和物質の表面でリチウムプレーティング(Li plating)がなされ、
前記コーティング物質は、HAuCl、HPtCl、AgNO、AuCl、AuCl、K(AuCl)、AuBr、PtCl、PtCl、AgCl、AgCN及びCuClを含む金属塩、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属、及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上であり、
前記リチウム親和物質が島状に存在する、リチウム二次電池用負極。
【請求項2】
前記リチウム親和物質は、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上である、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項3】
前記負極集電体は、前記リチウム親和物質がコーティングされなかった表面に酸化物層が形成された、請求項1または2に記載のリチウム二次電池用負極。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法であって、
1)負極集電体を準備する段階と、
2)負極集電体の少なくとも一面にコーティング物質をコーティングする段階と、
3)前記段階2)の負極集電体を熱処理する段階と、
を含む、リチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項5】
前記熱処理によって前記コーティング物質のリチウム親和性が高くなる、請求項4に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項6】
前記コーティングする段階は、浸漬(Immersing)、スピンコーティング(Spin Coating)、ディップコーティング(Dip Coating)、スプレーコーティング(Spray Coating)、ドクターブレード(Doctor Blade)、溶液キャスティング(Solution Casting)、ドロップコーティング(Drop Coating)、物理蒸着(Physical Vapor Deposition;PVD)、または化学蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)によって遂行する、請求項4または5に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項7】
前記熱処理は50℃~500℃の温度で遂行する、請求項4から6のいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理の時間は1分~360分の範囲内である、請求項7に記載のリチウム二次電池用負極の製造方法。
【請求項9】
請求項1から3のうちのいずれか一項に記載のリチウム二次電池用負極を含む、電極組立体。
【請求項10】
前記電極組立体は、正極、分離膜、及び負極が順次積層されるモノセル(mono-cell)、または負極、分離膜、正極、分離膜及び負極が順次積層されるバイセル(bi-cell)である、請求項9に記載の電極組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2020年4月27日付の韓国特許出願第2020-0050794号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容はこの明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は集電体が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法に関し、具体的には、負極集電体の表面のうちリチウムプレーティングがなされる部分を広げるために、負極集電体の表面にリチウム親和物質を導入することにより、リチウムデンドライトが負極の特定部分で形成されることを防止することができるリチウム二次電池用負極及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
再使用が可能であり、高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池は、化石燃料の使用を画期的に減らすのみならずエネルギーの使用による副産物が発生しないので、環境に優しい特性を有する新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
前記リチウム二次電池は、ウェアラブル(wearable)デバイスまたはポータブル(portable)デバイスに適した高エネルギー密度を有する動力源及び電気自動車のような高出力電力源としても脚光を浴びている。よって、作動電圧及びエネルギー密度が高いリチウム二次電池に対する研究がもっと活発に行われている。
【0005】
リチウム二次電池の作動電圧及びエネルギー密度は、電極活物質、電解液の種類、及び電極合剤層のローディング量などによって変わることができる。正極活物質としては、リチウムコバルト複合酸化物、リチウム含有マンガン複合酸化物などが使われ、負極活物質としては、リチウム金属(Lithium metal)、炭素系物質、シリコンなどが使われる。前記リチウム金属はエネルギー密度が高い利点があるが、空気中の水分と反応すればLiOH、LiO、LiCOなどの副産物が発生する問題がある。
【0006】
リチウム金属が電解液と反応して発生する副産物は電池の性能を著しく落とし、内部短絡を引き起こすこともできる。
【0007】
さらに、前記リチウム金属を負極に使用する場合、電池の充放電過程でリチウム金属の表面にリチウムデンドライト(dendrite)が形成される。前記リチウムデンドライトが成長して分離膜を貫けば、微細ショートが発生するなど、リチウム二次電池の寿命が縮むだけでなく、安全上に致命的な問題が発生することがある。
【0008】
したがって、特許文献1は、リチウム金属負極の安全性を向上させるために、リチウム金属の表面にジアクリル系モノマーを用いて架橋高分子保護薄膜を形成することにより、リチウム金属電極と高分子電解質との間の界面特性を向上させるリチウム高分子二次電池を開示する。
【0009】
しかし、前記保護薄膜は電池の駆動によって電極表面から容易に剥離されるので、リチウムデンドライトの成長を防止する効果を充分に得にくい。
【0010】
特許文献2は、集電体と保護層との間にリチウム金属を含む電極活物質層を含み、前記保護層は熱伝導物質を含み、充放電中に電極表面の熱分布が均一に維持されてリチウムデンドライトが均一に成長するリチウム二次電池用電極に関するものである。
【0011】
それにもかかわらず、特許文献2は正極と対面する負極の表面でリチウムデンドライトが成長して微細ショートが発生する問題を解決することができていない。このように、リチウム金属負極は、高エネルギー密度及び高電圧という利点にもかかわらず、リチウムデンドライトの成長のため依然として現業に適用されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】韓国登録特許第0425585号公報
【文献】韓国公開特許第2019-0013630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は前記のような問題を解決するためのものであり、リチウム二次電池用負極の表面のうち特定の部分で成長したリチウムデンドライトが正極と接触してショートが発生することを防止するために、負極集電体にコーティングされたコーティング物質が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような目的を達成するための本発明によるリチウム二次電池用負極は、負極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一面にコーティングされたリチウム親和物質(lithiophilic material、LPM)を含み、前記リチウム親和物質は前記負極集電体にコーティングされたコーティング物質の酸化生成物として金属または金属酸化物のうちの少なくとも1種を含み、前記リチウム親和物質がコーティングされた負極集電体の表面に酸化物層が形成される。
【0015】
前記リチウム親和物質の表面でリチウムプレーティング(Li plating)がなされることができる。
【0016】
前記コーティング物質は、HAuCl、HPtCl、AgNO、AuCl、AuCl、K(AuCl)、AuBr、PtCl、PtCl、AgCl、AgCN及びCuClを含む金属塩、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属、及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上であることができる。
【0017】
前記リチウム親和物質は、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上であることができる。
【0018】
前記負極集電体は、前記リチウム親和物質がコーティングされなかった表面に酸化物層が形成されることができる。
【0019】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用負極の製造方法を提供し、前記方法は、具体的には、1)負極集電体を準備する段階と、2)負極集電体の少なくとも一面にコーティング物質をコーティングする段階と、3)前記段階2)の負極集電体を酸化処理する段階とを含む。
【0020】
前記酸化処理によって前記コーティング物質のリチウム親和性が高くなることができる。
【0021】
前記コーティングする段階は、浸漬(Immersing)、スピンコーティング(Spin Coating)、ディップコーティング(Dip Coating)、スプレーコーティング(Spray Coating)、ドクターブレード(Doctor Blade)、溶液キャスティング(Solution Casting)、ドロップコーティング(Drop Coating)、物理蒸着(Physical Vapor Deposition;PVD)、または化学蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)によって遂行することができる。
【0022】
前記酸化処理は50℃~500℃の温度で熱処理する過程で遂行することができる。
【0023】
前記酸化処理時間は1分~360分の範囲内であることができる。
【0024】
また、本発明は、前記リチウム二次電池用負極を含む電極組立体を提供する。
【0025】
前記電極組立体は、正極、分離膜、及び負極が順次積層されるモノセル(mono-cell)、または負極、分離膜、正極、分離膜及び負極が順次積層されるバイセル(bi-cell)であることができる。
【0026】
前記電極組立体は、負極集電体の両側面にリチウム親和物質がコーティングされたリチウム二次電池用負極を含むことができる。
【0027】
もしくは、前記電極組立体は、第1面にリチウム親和物質がコーティングされ、第2面にリチウム親和物質がコーティングされなかった負極集電体を含み、前記第2面が分離膜を挟んで正極と対面するように配置されることができる。
【0028】
また、本発明は、前記電極組立体を電解液または固体電解質とともに電池ケースに収容するリチウム二次電池を提供する。また、本発明は、前記リチウム二次電池を単位セルとして含む電池モジュールまたは電池パックを含む。
【発明の効果】
【0029】
以上で説明したように、本発明による集電体が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法は、負極集電体の表面全体に分散されるようにリチウム親和物質がコーティングされるので、負極集電体の表面全体でリチウムプレーティングがなされることができる。よって、核生成電位(nucleation potential)が低くなり、多数のリチウム核が形成されることができる。
【0030】
また、リチウム親和物質が広く分布するので、リチウム核が特定の領域で垂直方向に成長する比に比べて、多数のリチウム核で追加的にプレーティングがなされる比が増加することができる。したがって、負極集電体の表面でリチウムプレーティングが局部的になされてリチウムデンドライトが成長することを防止することができる。
【0031】
また、負極集電体のうちリチウム親和物質がコーティングされなかった部分も酸化処理されるので、前記リチウム親和物質がコーティングされなかった負極集電体の表面もリチウム親和性に改質される。よって、局部的にリチウムプレーティングがなされることを一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】実施例1で製造された負極表面の写真である。
図2】実施例1で製造された負極のSEM写真である。
図3】実施例2で製造された負極のSEM写真である。
図4】実施例3で製造された負極のSEM写真である。
図5】比較例1で製造された負極表面の写真である。
図6】比較例1で製造された負極のSEM写真である。
図7】比較例2で製造された負極表面の写真である。
図8】比較例2で製造された負極のSEM写真である。
図9】比較例3で製造された負極表面の写真である。
図10】比較例4で製造された負極表面の写真である。
図11】比較例5で製造された負極表面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施することができる実施例を詳細に説明する。ただ、本発明の好適な実施例に対する動作原理を詳細に説明するにあたり、関連した公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにする可能性があると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0034】
また、図面全般にわたって類似の機能及び作用をする部分に対しては同じ図面符号を使う。明細書全般で、ある部分が他の部分と連結されていると言うとき、これは直接的に連結されている場合だけではなく、その中間に他の素子を挟んで間接的に連結されている場合も含む。また、ある構成要素を含むというのは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0035】
また、構成要素を限定するか付加して具体化する説明は、特別な制限がない限り、すべての発明に適用することができ、特定の発明に限定されない。
【0036】
また、本発明の説明及び請求範囲全般にわたって単数で表示したものは、別に言及しない限り、複数の場合も含む。
【0037】
また、本発明の説明及び請求範囲全般にわたって“または”は、特に言及しない限り、“及び”を含むものである。したがって、“AまたはBを含む”は、Aを含むか、Bを含むか、及びA及びBの両者を含む3種の場合を全部意味する。
【0038】
また、すべての数値範囲は、明らかに除くという記載がない限り、両端の値とその間のすべての中間値を含む。
【0039】
本発明によるリチウム金属を含むリチウム二次電池用負極は、負極集電体及び前記負極集電体の少なくとも一面にコーティングされたリチウム親和物質(lithiophilic material、LPM)を含み、前記リチウム親和物質は前記負極集電体にコーティングされたコーティング物質の酸化生成物として金属または金属酸化物のうちの少なくとも一つを含み、前記リチウム親和物質がコーティングされた負極集電体の表面には酸化物層が形成されることができる。
【0040】
前記コーティング物質はその自体がリチウム親和性を有する物質であることができ、または、酸化処理の前にはリチウム親和性がないが酸化処理の結果として生じたコーティング物質の酸化生成物がリチウム親和性を有する物質であることができる。
【0041】
前記コーティング物質自体がリチウム親和性を有する物質の場合には、前記酸化処理によってリチウム親和性が一層高くなることができる。または、これとは違い、酸化処理によるリチウム親和性の増加が小さいものも含む。
【0042】
また、前記負極集電体は酸化処理によって表面に酸化物層が形成された状態のものであり、前記負極集電体は前記酸化物層の形成によってリチウム親和性に変性される。具体的には、前記負極集電体が銅素材からなる場合には、酸化処理によって形成された銅酸化物層によってリチウム親和性が一層増加することができる。
【0043】
例えば、前記コーティング物質は、HAuCl、HPtCl、AgNO、AuCl、AuCl、K(AuCl)、AuBr、PtCl、PtCl、AgCl、AgCN及びCuClを含む金属塩、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属、及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上であることができる。
【0044】
具体的には、前記金属塩は、硝酸塩(Nitrate)及び塩化物(Chloride)であることができる。
【0045】
前記リチウム親和物質は前記負極集電体にコーティングされたコーティング物質の酸化生成物であり、Au、Ag、Pt、Zn、Si及びMgを含む金属、及びCuO、ZnO、CoO及びMnOを含む金属酸化物のうちのいずれか1種以上であることができる。
【0046】
前記リチウム親和物質に含まれる金属は、酸化しにくい性質があるので、酸化処理によって金属酸化物になってから再び還元したものであり、酸化処理の前にコーティング物質と同じ状態を有することができる。よって、コーティング物質に金属が含まれる場合には、酸化処理によるリチウム親和性増加の効果が低いことがある。
【0047】
しかし、前記金属はリチウム親和物質に相当するので、前記金属でリチウムがプレーティングされる。
【0048】
一方、前記金属の中で、酸化処理にもかかわらず酸化しにくい金属は貴金属に相当するものが多いので材料費が増加し得る。特に、前記貴金属の粒子サイズが小さい場合には、加工のための費用がさらに必要であるので、費用増加の幅が一層大きくなる。よって、前記金属塩を用いて前記貴金属を得ることができるので、コーティング物質として金属塩を使うことによって材料費を節減することができる。
【0049】
前記コーティング物質に金属酸化物が含まれる場合にも、既に酸化物状態であるので、前記酸化処理によってリチウム親和性の差が大きくはならない。
【0050】
しかし、前記コーティング物質に金属塩が含まれる場合には、酸化処理によって前記金属塩がリチウム親和性の金属に変わるので、酸化処理の前と後にリチウム親和性の差が大きくなることがある。
【0051】
前記負極集電体は、銅、ニッケル、ステンレススチール、アルミニウム、またはこれらの合金を含むことができる。
【0052】
具体的には、前記負極集電体は、銅、ニッケル、ステンレススチール、アルミニウム、リチウムまたはこれらの合金からなるホイル(foil)形態を有することができ、前記負極集電体上に負極合剤をコーティングし、乾燥及び圧延することで負極を製造することができる。
【0053】
一般に、前記負極にリチウム金属を使う場合、高エネルギー密度及び高出力の利点があり、前記リチウム金属は金属状態のリチウムで、他の金属と合金された状態ではない純粋リチウムを意味する。しかし、前記リチウム金属は負極の表面にリチウム核を形成し、前記リチウム核が樹枝状のリチウムデンドライトとして成長して分離膜を貫いて内部短絡を引き起こす危険が高い。
【0054】
したがって、本発明は、コーティング層が形成された負極集電体を酸化処理する方法により、表面にリチウム親和物質がコーティングされた負極を提供し、負極集電体の表面全体でリチウムプレーティングがなされる形態を提示する。
【0055】
具体的には、前記リチウム親和物質はリチウムとの反応性が高い物質であり、前記リチウム親和物質上でリチウムプレーティング(Li plating)がなされる。本発明は、負極集電体の表面に前記リチウム親和物質になるコーティング物質をコーティングして酸化処理するので、前記リチウム親和物質が負極集電体の表面の核生成電位を低めて多数のリチウム核が形成できるようにする。すなわち、負極集電体の表面の特定領域で垂直方向にリチウム核が成長する比に比べて、広く分散されている多数のリチウム核で更なるプレーティングがなされる比を増加させることにより、リチウムデンドライトが負極集電体の表面のうち特定の部分で垂直方向に成長することを防止することができる。
【0056】
また、本発明は、前記コーティング物質が塗布された負極集電体を酸化処理するので、前記コーティング物質の酸化生成物であるリチウム親和物質のリチウムに対する親和性が向上するだけでなく、リチウム親和物質がコーティングされていない負極集電体部分も酸化してリチウム親和性を有する金属酸化物層が形成される。このような酸化処理によってリチウムプレーティングがなされる部分を負極集電体の表面全体に拡張することができる。
【0057】
前記負極集電体の形態は、表面に微細な凹凸が形成されているか形成されていないフィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態を使うことができる。
【0058】
前記負極集電体の厚さは特に限定されないが、5μm~30μmの厚さが好ましく、10μm~20μmの厚さがより好ましい。仮に、前記負極集電体の厚さが30μm超過であれば電極の体積当たり容量が減少する問題があり、5μm未満であれば電極製造の際に折れ現象が発生する問題がある。
【0059】
本発明で、電極活物質層は選択的に含むことができる。すなわち、本発明の負極は、負極活物質層なしにリチウム親和物質がコーティングされた負極集電体のみを含むことができ、またはホイル形態の負極集電体と電極活物質層とを含むことができる。
【0060】
前記負極活物質は、例えば、炭素材、リチウム合金、リチウム金属複合酸化物、リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)及びこれらの組合せからなる群から選択された1種以上を含むことができる。ここで、前記リチウム合金はリチウムとの合金化が可能な元素を含むものであり、前記リチウムとの合金化が可能な元素としては、Si、Sn、C、Pt、Ir、Ni、Cu、Ti、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、またはAlであることができる。
【0061】
前記負極活物質層の厚さは5μm~40μm、より詳細に10μm~20μmであることができる。
【0062】
本発明で、負極集電体上に負極活物質層を形成する方法は特に限定されなく、当該分野に知られたた方法を使うことができる。例えば、前記負極活物質層は、負極集電体上に乾式または湿式工程で蒸着またはコーティングして形成することができる。
【0063】
前記リチウム親和物質は、前記負極集電体上で全体的に分散されて位置するが、部分的に負極集電体が露出されるようにリチウム親和物質が凝集して島状に存在することができる。
【0064】
一具体例で、前記リチウム親和物質は、前記負極集電体の全体面積を基準に5%~100%の範囲で分布することができ、詳細には10%~90%の範囲で分布することができ、より詳細には30%~80%の範囲で分布することができる。また、さらに詳細には、前記リチウム親和物質は、前記負極集電体の全体面積を基準に50%~70%の範囲で分布することができる。
【0065】
前記リチウム親和物質の面積が、負極集電体の全体面積を基準に5%より小さい場合にはリチウム親和物質の分布面積が少なくてこれによる効果を得にくく、全体面積を基準に、100%より大きい場合には余剰リチウム親和物質を導入したものなので、エネルギー密度が低下する問題があるので好ましくない。
【0066】
ただ、本発明は、負極集電体全体を酸化処理するので、リチウム親和物質がコーティングされない部分もリチウム親和性に改質される特徴がある。よって、リチウム親和物質コーティング面積が同一であり負極集電体を酸化処理しない場合と比較すると、より広い領域でリチウムプレーティングがなされることができるので、負極集電体の表面で局部的にリチウムプレーティングがなされることを防止する効果を一層向上させることができる。
【0067】
一具体例で、前記負極集電体として銅集電体を使う場合、酸化処理によって前記負極集電体の表面に形成された金属酸化物層は銅酸化物であることができ、前記銅酸化物が形成されることにより、酸化処理前の銅集電体に比べてリチウム親和性が向上する。
【0068】
本発明は前記リチウム二次電池用負極の製造方法を提供する。具体的には、前記方法は、負極集電体を準備する段階、前記負極集電体の少なくとも一面にコーティング物質をコーティングする段階、及び前記負極集電体を酸化処理する段階を含むことができる。
【0069】
前記リチウム親和物質をコーティングする方法は特に限定されなく、例えば、浸漬(Immersing)、スピンコーティング(Spin Coating)、ディップコーティング(Dip Coating)、スプレーコーティング(Spray Coating)、ドクターブレード(Doctor Blade)、溶液キャスティング(Solution Casting)、ドロップコーティング(Drop Coating)、物理蒸着(Physical Vapor Deposition;PVD)または化学蒸着(Chemical Vapor Deposition;CVD)によって遂行することができる。
【0070】
前記酸化処理は50℃~500℃の温度で熱処理する過程によって遂行することができる。詳細には、前記酸化処理温度は80℃~400℃の範囲であることができ、より詳細には、前記酸化処理温度は150℃~300℃の範囲であることができる。
【0071】
前記酸化処理温度が50℃より低い場合には酸化処理時間が非常に長くなるので工程性が低下する問題があり、前記酸化処理温度が500℃より高い場合には酸化度を調節しにくい問題があるので好ましくない。
【0072】
前記酸化処理時間は1分~360分の範囲内であることができ、詳細には5分~180分の範囲内であることができ、より詳細には10分~60分の範囲内であることができる。
【0073】
前記酸化処理時間が1分より短い場合には酸化度を制御するのに困難があるので好ましくなく、前記酸化処理時間が360分より長い場合には長い酸化処理時間によって工程性が低下する問題があるので好ましくない。
【0074】
ただ、前記酸化処理の温度と時間は互いに連関性がある要素であるので、温度が高い場合には時間を短く設定し、温度が低い場合には時間を長く設定するなど、前記酸化処理の温度及び時間を調節することができる。
【0075】
例えば、100℃で熱処理しながらも300℃で1時間の酸化処理したものと同じ効果を得るためには、1時間以上の時間が必要であることができる。
【0076】
本発明は、前記リチウム二次電池用負極を含む電極組立体を提供する。前記電極組立体において、前記リチウム二次電池用負極の負極集電体はリチウム親和物質がコーティングされた第1面とリチウム親和物質がコーティングされなかった第2面とを含み、前記第2面が分離膜を挟んで正極と対面するように配置される。
【0077】
前記正極は、例えば正極集電上に正極活物質を含んでいる正極合剤を塗布してから乾燥させることで製造され、前記正極合剤は、必要に応じて、バインダー、導電材、充填材などを選択的にさらに含むこともできる。
【0078】
前記正極集電体は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも高い導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムまたはステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使うことができる。また、前記正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0079】
前記正極活物質は電気化学的反応を引き起こすことができる物質であり、リチウム遷移金属酸化物として2種以上の遷移金属を含む。例えば、1種またはそれ以上の遷移金属に置換されたリチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物;1種またはそれ以上の遷移金属に置換されたリチウムマンガン酸化物;化学式LiNi1-y(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、B、Cr、ZnまたはGaであり、前記元素のうちで1種以上の元素を含む。0.01≦y≦0.7である)で表現されるリチウムニッケル系酸化物;Li1+zNi1/3Co1/3Mn1/3、Li1+zNi0.4Mn0.4Co0.2などのようにLi1+zNiMnCo1-(b+c+d)(2-e)(ここで、-0.5≦z≦0.5、0.1≦b≦0.8、0.1≦c≦0.8、0≦d≦0.2、0≦e≦0.2、b+c+d<1である。M=Al、Mg、Cr、Ti、SiまたはYであり、A=F、PまたはClである)で表現されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物;化学式Li1+x1-yM’PO4-z(ここで、M=遷移金属、好ましくはFe、Mn、CoまたはNiであり、M’=Al、MgまたはTiであり、X=F、SまたはNであり、-0.5≦x≦+0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.1である)で表現されるオリビン系リチウム金属ホスフェートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
前記導電材は、通常正極活物質を含む混合物総重量を基準に、1重量%~30重量%添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を引き起こさないながら導電性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カーボン;天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サマーブラックなどのカーボンブラック;炭素纎維や金属纎維などの導電性纎維;フッ化炭素、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などを使うことができる。
【0081】
前記バインダーは活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合に役立つ成分であり、通常正極活物質を含む混合物の総重量を基準に、1重量%~30重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリビニリデンフルオライド。ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などを挙げることができる。
【0082】
前記充填材は電極の膨脹を抑制する成分であり、選択的に使われ、当該電池に化学的変化を引き起こさないながらも纎維状材料であれば特に限定されるものではない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系重合剤;ガラス纎維、炭素纎維などの纎維状物質を使うことができる。
【0083】
本発明による電極組立体は、正極と負極との間に介在される分離膜を含む。
【0084】
前記分離膜は、高いイオン透過度及び機械的強度を有する絶縁性薄膜が使われ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、及びポリエチレンナフタレートからなる群から選択されたいずれか1種または2種以上の混合物からなる多孔性基材であることができる。
【0085】
以下では、本発明の実施例を参照して説明するが、これは本発明のより容易な理解のためのものであり、本発明の範疇がそれによって限定されるものではない。
【0086】
負極の製造
<実施例1>
銅(copper)集電体とコーティング物質を含むコーティング溶液を準備し、前記銅集電体上に前記コーティング溶液を滴下した後、3,000rpmで1分間スピンコーティングしてコーティング層を形成した。
【0087】
前記コーティング溶液は、エタノールにHAuClを10mg/mlの濃度に溶解したものを使った。
【0088】
前記コーティング溶液がコーティングされた負極集電体を300℃で60分間熱処理することにより、前記銅集電体とコーティング物質が一緒に酸化処理された負極を製造した。
【0089】
このような方法により、前記負極集電体はコーティング物質がコーティングされた部分だけではなくコーティング物質がコーティングされなかった部分もリチウム親和性に改質される。
【0090】
実施例1で製造された負極表面の写真を図1に示し、前記負極のSEM写真を図2に示す。
【0091】
<実施例2>
前記実施例1で、コーティング溶液のHAuClをHPtClに変更したことを除き、前記実施例1と同様な方法で負極を製造した。実施例2で製造された負極表面の写真を図3に示す。
【0092】
<実施例3>
前記実施例1で、コーティング溶液のHAuClをAgNOに変更したことを除き、前記実施例1と同様な方法で負極を製造した。実施例3で製造された負極表面の写真を図4に示す。
【0093】
<比較例1>
表面にリチウム親和物質コーティング及び熱処理を遂行しなかった銅集電体を準備して負極として使った。比較例1で製造された負極表面の写真を図5に示し、前記負極のSEM写真を図6に示す。
【0094】
<比較例2>
前記実施例1で、熱処理を遂行しなかったことを除き、実施例1と同様な方法で負極を製造した。比較例2で製造された負極表面の写真を図7に示し、前記負極のSEM写真を図8に示す。
【0095】
<比較例3>
LPMがコーティングされなかった銅集電体を300℃で60分間熱処理して負極を製造した。比較例3で製造された負極表面の写真を図9に示す。
【0096】
<比較例4>
LPMがコーティングされなかった銅集電体を300℃で360分間熱処理して負極を製造した。比較例4で製造された負極表面の写真を図10に示す。
【0097】
<比較例5>
前記実施例1で、熱処理時間を60分から360分に延ばしたことを除き、前記実施例1と同様な方法で負極を製造した。比較例5で製造された負極表面の写真を図11に示す。
【0098】
図1図11を参照すると、銅集電に何らの処理を遂行しなかった比較例1の負極を示す図5及び図6と、銅集電体にLPMコーティングを遂行した比較例2の負極を示す図7及び図8とを比較すると、図7の負極は表面に丸い形態のLPMコーティングが形成され、拡大図でも表面に金(Au)がコーティングされたことを確認することができる。
【0099】
実施例1は比較例2に加えて熱処理をさらに遂行した状態であり、実施例1の負極の表面を示す図1及び図2と比較例2の負極の表面を示す図7及び図8とを比較すると、負極集電体の表面にコーティングされたLPM物質である金と果集電体が酸化して外観の色相に差が発生したことを確認することができる。
【0100】
実施例2で製造された負極のSEM写真である図3を参照すると、負極集電体の表面にPtが分散された状態でコーティングされた形態を確認することができる。ただ、負極集電体の表面状態によってPtが不均一に分散されることができる。
【0101】
しかし、酸化処理過程によって負極集電体の表面に酸化物層が形成されるので、Ptが不均一に分散された負極集電体の表面もリチウム親和性に改質されることにより、リチウムプレーティングがなされる部分を拡大することができる。
【0102】
実施例3で製造された負極のSEM写真である図4を参照すると、負極集電体の表面状態によって部分的に群集が形成されてはいるが、Agが負極集電体の表面全体にコーティングされて負極集電体とともに酸化して改質された状態であることが分かる。
【0103】
比較例3で製造された負極である図9を参照すると、実施例1で製造された負極に比べて負極集電体の外周部がもっと巻かれた状態であり、熱処理によって表面が酸化した。
【0104】
比較例4で製造された負極である図10と比較例5で製造された負極である図11とを参照すると、酸化処理時間があまりにも長くて形態が変形され、表面が部分的に取り離されるか剥ぎ取られた。
【0105】
このように、比較例4及び比較例5で製造された負極は集電体として使えない状態であるので、下記のショート発生実験を遂行しなかった。
【0106】
ショート発生実験
前記実施例1から実施例及び比較例1から比較例3で製造された負極を使ってコイン電池(coin cell)を製造した。
【0107】
正極形成用スラリーの製作のために、正極活物質としてNCM811、導電材としてカーボン、バインダーとしてポリビニリデンフルオライドを95:2:3の重量比で混合した。
【0108】
前記正極形成用スラリーをアルミニウム集電体上に厚さ20μmになるようにドクターブレードを用いて塗布した後、120℃で4時間真空乾燥させた。
【0109】
前記真空乾燥結果物に対してロールプレスで圧延工程を遂行して3mAh/cmの正極を製造した。
【0110】
液体電解質を製造するために、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比(体積%)が3:7になるように混合した混合物に、リチウム塩としてLiPF1M、ビニリデンカーボネート0.5体積%、及びフルオロエチレンカーボネート1体積%を追加した。
【0111】
前記液体電解質と前記正極と負極とを用いてコイン電池(coin cell)を製造し、前記コイン電池(coin cell)を下記のような条件で充放電しながらショートが発生する充放電回数を測定して下記の表1に記載した。
【0112】
充電条件:CC(定電流)/CV(定電圧)、4.25V、0.5C、0.1C 電流遮断(current cut-off)
放電条件:CC(定電流)条件3V、0.5C
【0113】
前記ショートが発生する充放電回数は、前記充放電条件で寿命評価を遂行しているうち、遮断(cut-off)電圧に到逹しなかったにもかかわらず、電圧が上昇せずに一定電圧が維持されるかまたは電圧が低くなる時点を意味する。
【0114】
【表1】
【0115】
前記表1を参照すると、負極集電体にLPMコーティングを遂行し酸化処理を遂行した場合、ショートがめったに発生しないことが分かる。
【0116】
また、酸化処理を遂行しなかった場合においてLPMコーティングを遂行しなかった場合には、LPMコーティングを遂行した場合より短絡が容易に発生し、負極集電体上にLPMコーティングを遂行せずに負極集電体に酸化処理のみを遂行した場合(比較例3)は、LPMコーティングを遂行したが酸化処理を遂行しなかった場合(比較例2)より早く短絡が発生することが分かる。よって、負極集電体を酸化処理するよりはLPMコーティングを遂行することがリチウム二次電池の寿命を延ばすことができ、安全性も向上させることができることが分かる。
【0117】
前記比較例4及び比較例5では、酸化処理時間があまりにも長くて集電体の形態維持が難しいか、表面層が分離されて集電体として使えない状態になった。
【0118】
したがって、300℃のような高温で酸化処理を遂行する場合には360分より短い時間酸化処理を遂行することが好ましいことが分かる。
【0119】
本発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば前記内容に基づいて本発明の範囲内で多様な応用及び変形の実施が可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0120】
以上で説明したように、本発明による集電体が酸化処理されたリチウム二次電池用負極及びその製造方法は、負極集電体の表面全体に分散されるようにリチウム親和物質がコーティングされるので、負極集電体の表面全体でリチウムプレーティングがなされることができる。よって、核生成電位(nucleation potential)が低くなり、多数のリチウム核が形成されることができる。
【0121】
また、リチウム親和物質が広く分布するので、リチウム核が特定の領域で垂直方向に成長する比に比べて、多数のリチウム核で更なるプレーティングがなされる比が増加することができる。よって、負極集電体の表面でリチウムプレーティングが局部的になされてリチウムデンドライトが成長することを防止することができる。
【0122】
また、負極集電体のうちリチウム親和物質がコーティングされなかった部分も酸化処理されるので、前記リチウム親和物質がコーティングされなかった負極集電体の表面もリチウム親和性に改質される。よって、局部的にリチウムプレーティングされることを一層抑制することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11