(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】衣類処理装置の窓パッキン及び衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
D06F 37/12 20060101AFI20240709BHJP
D06F 25/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
D06F37/12 Z
D06F25/00 A
(21)【出願番号】P 2022543495
(86)(22)【出願日】2020-12-29
(86)【国際出願番号】 CN2020140603
(87)【国際公開番号】W WO2021143509
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】202010051986.0
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514114622
【氏名又は名称】青島海爾滾筒洗衣机有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】520148792
【氏名又は名称】海爾智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】劉凱
(72)【発明者】
【氏名】呂佩師
(72)【発明者】
【氏名】許升
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109306597(CN,A)
【文献】特開平11-128586(JP,A)
【文献】特開2004-052710(JP,A)
【文献】米国特許第04315815(US,A)
【文献】実開昭55-165923(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/126418(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/12
D06F 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類処理装置の窓パッキンであって、
前記窓パッキン(1)は、衣類処理装置の前部に垂直に設置されることを特徴とし、
前記窓パッキン(1)
は、襞で形成される凹溝(2)
構造を周方向に含み、衣類処理装置の乾燥風口(4)
は前記窓パッキン(1)の上部に位置する凹溝内に設けられており、乾燥風を底部の凹溝(2)まで案内する風路(41)を形成するよう、
前記窓パッキン(1)の周方向に設けられる前記凹溝(2)
の一部を覆う導風部(3)が前記乾燥風口(4)から前記窓パッキン(1)の底部に向かって延設されていることを特徴と
し、
前記導風部(3)における前記窓パッキン(1)の底部に近接する一端は、凹溝の溝底(22)に向かって屈曲して設置され、前記乾燥風口(4)は前記窓パッキン(1)の上部に近接する前記凹溝(2)内に設けられており、前記導風部(3)における前記乾燥風口(4)に近接する一端は前記乾燥風口(4)に向かって屈曲して設置され、
前記導風部(3)における前記乾燥風口(4)に近接する一端は屈曲して前記乾燥風口(4)まで延伸しており、乾燥風は前記導風部(3)により分割され、
前記導風部(3)における前記乾燥風口(4)に近接する一端には、前記乾燥風口(4)に向かって屈曲する遮断部(34)が設けられており、前記遮断部(34)は、前記乾燥風口(4)の給風方向とは反対の側に設けられており、
前記導風部(3)は、窓パッキン(1)の周方向に沿って設置されており、且つ、いくつかの突出リブと凹溝が交互に並んでいるコルゲート構造(33)を含み、前記突出リブと凹溝の延伸方向は、前記乾燥風口(4)から出る乾燥風の送風方向と一致しており、
前記導風部(3)には、凹溝(2)に面する側に前記コルゲート構造(33)が設けられていることを特徴とする窓パッキン。
【請求項2】
周方向が密閉された前記風路(41)を構成するよう、凹溝の開口(21)
の内側に、窓パッキン(1)の上部に設けられる前記乾燥風口(4)から前記窓パッキン(1)の底部まで、
前記窓パッキン(1)の周方向に沿うように前記導風部(3)
が設置されて一体となっていることを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項3】
前記窓パッキン(1)には
、前記風路(41)を構成するよう、凹溝の開口(21)の上方に掛接される導風部(3)が前記乾燥風口(4)から前記窓パッキン(1)の底部まで
前記窓パッキン(1)の周方向に延設されていることを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項4】
前記導風部(3)は、凹溝の開口(21)の両側における前記窓パッキン(1)と一体的に成型されるシール(31)であり、前記シール(31)は、前記乾燥風口(4)から下方に向かって前記窓パッキン(1)の底部まで延伸し、且つ前記乾燥風口(4)に近接する箇所において前記凹溝(2)に伸入するよう設置されて
いることを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項5】
前記導風部(3)は、凹溝の開口(21)の両側における前記窓パッキン(1)に掛接されるバリア(32)であり、前記バリア(32)は、前記乾燥風口(4)から下方に向かって前記窓パッキン(1)の底部まで延伸し、且つ、前記乾燥風口(4)に近接する箇所おいて、遮蔽部(34)を介して凹溝の溝底(22)に接続され
ていることを特徴とする請求項1に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項6】
前記バリア(32)における前記凹溝(2)に面する側の中央部には、凹溝の開口(21)に嵌入するコルゲート構造(33)が設けられており、前記コルゲート構造(33)の両側は、凹溝の開口(21)の両側における前記窓パッキン(1)に掛接される平面であることを特徴とする請求項5に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項7】
前記乾燥風口(4)の給風方向と反対の側には、ユーザが前記バリア(32)を着脱するために、前記遮断部(34)に接続される接続部材が設けられていることを特徴とする請求項
5または6に記載の衣類処理装置の窓パッキン。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1項に記載の窓パッキンを含むことを特徴とする衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類処理装置の技術分野に属し、具体的には、衣類処理装置の窓パッキン及び衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多機能衣類処理装置に対する消費者ニーズの増加に伴って、洗浄や乾燥等の機能を兼ね備えた製品の人気が高まっている。しかし、機能の増加に伴って、衣類処理装置内の一部の構造には、従来設計に限定しているにも関わらず、新たな課題が発生している。例えば、ドラム洗濯機の観察窓における窓パッキンは、洗浄終了後に水や泡が凹溝構造の底部に残留するが、凹溝は開口が狭いことから、自然乾燥や風乾燥では短時間のうちに残留水を除去することができない。
【0003】
従来技術では、窓パッキンの凹溝構造を改良しており、底部に排水口を追加することで残留水を部分的に排出可能としている。しかし、凹溝内に存在する泡については、排水口からの除去が容易ではない。
【0004】
上記に鑑みて、本発明を提案する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来技術の瑕疵を解消するために、周方向の一部の凹溝が導風部で覆われており、乾燥風を残留水及び泡部分まで案内する風路が形成された衣類処理装置の窓パッキンを提供することである。本発明で提供する構造は、通風量を増加させることで、窓パッキン底部の凹溝内に溜まった泡及び残留水を短時間のうちに除去可能であり、使用普及に適している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明で採用する技術方案の基本思想は以下の通りである。
【0007】
本発明は、衣類処理装置の窓パッキンを提供する。窓パッキン1の襞で形成される凹溝2内には、衣類処理装置の乾燥風口4が設けられている。また、乾燥風を底部の凹溝2まで案内する風路41を形成するよう、前記凹溝2を覆う導風部3が乾燥風口4から窓パッキン1の底部に向かって延設されている。
【0008】
上記の方案において、前記窓パッキンは、衣類処理装置の前部に垂直に設置されており、襞で形成される凹溝構造を周方向に含む。前記凹溝は開口幅が小さく、且つ窓パッキンの中心軸に面して設置されている。そのため、窓パッキンの底部に位置する凹溝は開口が上向きに設置され、洗浄終了後には、内部に残留水や泡が溜まることが多い。これを長期間にわたり処理しなければ、その部分に垢が溜まって洗浄が困難となり、洗浄槽内に異臭が発生してしまう。従来技術の一部の方案では、乾燥風口を凹溝内に設置してはいるが、開口が存在するため、乾燥風が開口をそのまま通過して洗浄槽空間に進入してしまい、底部の凹溝に溜まった残留水を強力に風乾燥することができない。これに対し、本発明では、窓パッキンの凹溝をベースとし、前記凹溝を部分的に覆う導風部を設計している。これにより、導風部と凹溝の双方で乾燥風を案内可能な風路を包囲することで、底部の凹溝に対する強力な風乾燥を実現する。また、凹溝の一部を覆う導風部を採用しているため、乾燥風は、底部の凹溝を風乾燥したあとは導風部によって遮断され続けることがなく、洗浄槽内の空間を引き続き風乾燥することも可能である。
【0009】
本発明の更なる方案は、次の通りである。周方向が密閉された前記風路41を構成するよう、凹溝の開口21が、乾燥風口4から窓パッキン1の底部まで、前記導風部3と一体的に成型及び設置されている。
【0010】
上記の方案において、本発明の導風部は、凹溝の開口の両側と一体的に成型可能であり、周方向が密閉された風路を形成する。密閉された風路は大きな圧力に耐えることができ、乾燥風の速度を上昇調節可能なことから、底部の凹溝に対する強力な風乾燥が実現される。
【0011】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記窓パッキン1には、半密閉の前記風路41を構成するよう、凹溝の開口21の上方に掛接される導風部3が乾燥風口4から窓パッキン1の底部まで延設されている。
【0012】
上記の方案では、部分的に密閉された凹溝を有する窓パッキンを製造するためには新たな金型を使用せねばならず、コストが増加することを考慮した。そこで、本発明は、更に、凹溝の開口の上方に掛接される導風部構造を提供する。前記導風部は、凹溝に対し非密封状に接続されるが、窓パッキンと異なる材質を使用してもよいし、窓パッキン構造のサイズの違いに応じて異なる規格の導風部を選択してもよいため、使用の柔軟性が向上する。また、この方案の導風部は、窓パッキンに対し取り外し可能に接続し得るため、不使用との使用形態にも対応し得る。
【0013】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記導風部3は、窓パッキン1の径方向において凹凸状をなすコルゲート構造33を含む。好ましくは、前記導風部3には、凹溝2に面する側に前記コルゲート構造33が設けられている。
【0014】
上記の方案において、前記コルゲート構造は導風部の表面を平坦ではなくすため、導風部を通過する乾燥風に乱流が発生して、凹溝内及び洗浄槽内の空間の至る所に及ぶ。前記コルゲート構造は、更に、当該構造に付着する泡の表面張力を増大させて、泡の破裂を促すことが可能である。好ましくは、導風部のうち凹溝に面する側にコルゲート構造を設置しているため、風路内の乾燥風の風圧を更に上昇させることができ、風路内及び風路出口部分における残留水や泡に対する強力な風乾燥が実現される。
【0015】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記導風部3のコルゲート構造33は、窓パッキン1の軸方向における断面がコルゲート状をなしている。
【0016】
上記の方案において、コルゲート構造は、窓パッキンの軸方向における断面がコルゲート状をなしている。即ち、前記コルゲート構造は、窓パッキンの周方向に沿って設置されており、且つ、いくつかの突出リブと凹溝が交互に並んでいる。前記突出リブと凹溝の延伸方向は、乾燥風の送風方向と一致しているため、乾燥風に対する案内作用が強化される。
【0017】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記導風部3における窓パッキン1の底部に近接する一端は、凹溝の溝底22に向かって屈曲して設置される。また、前記乾燥風口4は、窓パッキン1の上部に近接する凹溝2内に設けられている。前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端は、前記乾燥風口4に向かって屈曲して設置される。好ましくは、前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端は屈曲して乾燥風口4まで延伸しており、乾燥風は前記導風部3により分割される。より好ましくは、前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端には、前記乾燥風口4に向かって屈曲する遮断部34が設けられている。前記遮断部34は、乾燥風口4の給風方向とは反対の側に設けられている。
【0018】
上記の方案において、前記導風部は、底部の凹溝に近接した時点で凹溝の溝底に向かって屈曲するよう設置されている。これにより、前記風路は、出口部分の内径が小さくなるため、この箇所で乾燥風の圧力が増大し、出口部分の残留水や泡に対する強力な風乾燥が形成される。また、前記乾燥風口は窓パッキンの上部に近接して設置され、風路を通じて窓パッキンの底部から送風する。これにより、窓パッキンに水が吹き付けられたときに風口から飛散するとの事態を回避可能となる。また、給風量を増大させて窓パッキンの風乾燥を加速するのにも有利である。
【0019】
上記の方案において、前記導風部は一定の厚さを有しており、当該導風部における乾燥風口に近接する一端を前記乾燥風口の中央部に合わせて屈曲させて設置している。これにより、導風部の端部が乾燥風を分割可能となり、一部の乾燥風が風路に流入して底部の凹溝に対し風乾燥を実施する一方、残りの風路に流入しない乾燥風は、窓パッキンの凹溝の開口と導風部のコルゲート構造に沿って洗浄槽内に進入する。本発明の別の実施形態において、導風部における乾燥風口に近接する一端は、凹溝に向かって屈曲することで遮断部を形成している。前記遮断部は、乾燥風を全て風路内に案内するために、乾燥風口の給風方向とは反対の側に設けられている。乾燥風は、風路を通過して底部の凹溝の風乾燥を実現したあと、洗浄槽内の空間に進入して風乾燥を行う。
【0020】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記導風部3は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1と一体的に成型されるシール31である。前記シール31は、乾燥風口4から下方に向かって窓パッキン1の底部まで延伸し、且つ乾燥風口4に近接する箇所において凹溝2に伸入するよう設置されている。好ましくは、前記シール31は、乾燥風口4の給風方向とは反対の側で凹溝2に伸入し、遮断部34を形成している。前記遮断部34は、窓パッキン1の底部の凹溝2に対し密封状に設置される。
【0021】
上記の方案において、導風部は窓パッキンと一体的に成型される。即ち、前記導風部は、凹溝の開口の両側における窓パッキンと一体的に成型されるシールである。前記シールは、乾燥風口に近接する箇所で屈曲し、凹溝に伸入するよう設置されている。一の実施形態において、シールにおける乾燥風口に近接する一端は、前記乾燥風口の中央部に合わせて屈曲して設置されるため、シールの端部が乾燥風を分割可能である。別の実施形態では、乾燥風を完全に風路内に案内するために、シールにおける屈曲して凹溝に伸入する部分に遮断部が形成されている。よって、この場合、前記遮断部は凹溝の底部に密封状に接続される。前記シールにおける窓パッキンの軸線に向かう面は、凹溝の開口両側における窓パッキンに対しフラットに設置される。即ち、前記シールは凹溝内に隠匿状に設置されると解釈可能である。
【0022】
本発明の更なる方案は、次の通りである。前記導風部3は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1に掛接されるバリア32である。前記バリア32は、乾燥風口4から下方に向かって窓パッキン1の底部まで延伸し、且つ、乾燥風口4に近接する箇所おいて、遮蔽部34を介して凹溝の溝底22に接続される。好ましくは、前記バリア32における凹溝2に面する側の中央部には、凹溝の開口21に嵌入するコルゲート構造33が設けられている。コルゲート構造33の両側は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1に掛接される平面である。
【0023】
上記の方案において、導風部は、凹溝の開口の上方に掛接されるバリアである。前記バリアは、乾燥風口に近接する箇所で凹溝に伸入するよう設置される。乾燥風を完全に風路内に案内するために、前記バリアにおける屈曲して凹溝に伸入する部分には遮断部が形成されている。よって、この場合、前記遮断部は凹溝の底部に接続される。好ましい実施形態において、バリアにおける凹溝に面する側にはコルゲート構造が設けられている。また、バリアにおけるコルゲート構造の両側には、窓パッキンに掛接される平面が保持されている。この実施形態において、コルゲート構造は、凹溝の両側壁に締り嵌め可能である。これにより、バリアと凹溝との係接が実現されるため、接続の堅牢度が強化される。前記バリアにおける窓パッキンの軸線に向かう面は、凹溝の開口両側における窓パッキンから突出するよう設置される。即ち、前記バリアは凹溝の上方全体を覆うと解釈可能である。
【0024】
本発明の更なる方案は、次の通りである。乾燥風口4の給風方向と反対の側には、ユーザが前記バリア32を着脱するために、前記遮断部34に接続される接続部材が設けられている。
【0025】
上記の方案において、導風部は、前記遮断部を介して接続部材に取り外し可能に接続される。また、上記の着脱は、様々な接続方式で実現可能である。例えば、前記接続部材を凹溝の溝底から突出するピン構造とし、遮断部をピン構造に対し挿接可能なホールとして、挿抜により導風部と接続部材との着脱を実現してもよい。
【0026】
本発明は、更に、上記の窓パッキンを含む衣類処理装置を提供する。
【0027】
上記の方案において、前記衣類処理装置は、洗浄、乾燥等の機能を兼ね備えており、洗濯機、衣類乾燥機又は洗濯乾燥一体機のいずれか又はそれらの組み合わせから選択される。乾燥付きドラム洗濯機の場合を例示すると、ファンが洗浄槽の上方エリアに設置されており、風路を通じ、下方に向かって窓パッキンの上部の凹溝における乾燥風口に接続されている。乾燥風は、風路に沿って窓パッキンの凹溝及び洗浄槽に相次いで吹き込むか、パッキンの凹溝及び洗浄槽内に同時に吹き込んだあと、洗浄槽の後側に設けられる送風口から排出される。前記送風口には、泡漏出防止構造が更に設けられている。
【発明の効果】
【0028】
上記の技術方案を用いることで、本発明は従来技術と比較して以下の有益な効果を有する。
【0029】
1.本発明で提供する衣類処理装置の窓パッキン構造には、窓パッキンの凹溝を部分的に覆う導風部構造が設置されている。これにより、乾燥風を窓パッキンの底部まで案内する風路が形成されるため、底部の残留水及び泡に対するクリーニング効果が向上する。
【0030】
2.本発明で提供する衣類処理装置の窓パッキン構造の導風部にはコルゲート構造が設けられている。前記コルゲート構造により、導風部の表面は平坦でなくなるため、導風部を通過する乾燥風に乱流が発生して、凹溝内及び洗浄槽内の空間の至る所に及ぶ。前記コルゲート構造は、更に、当該構造に付着する泡の表面張力を増大させて、泡の破裂を促すことが可能である。
【0031】
3.本発明で提供する衣類処理装置の窓パッキン構造では、導風部における乾燥風口に近接する一端が前記乾燥風口の中央部に向かって屈曲しており、導風部自体の厚さを利用して乾燥風の分割及び案内を実現する。これにより、一部の乾燥風が風路に流入して底部の凹溝に対し風乾燥を実施する一方、残りの風路に流入しない乾燥風は、窓パッキンの凹溝の開口と導風部のコルゲート構造に沿って洗浄槽内に進入する。
【0032】
以下に、図面を組み合わせて、本発明の具体的実施形態につき更に詳細に述べる。
【0033】
図面は、本発明の一部として本発明の更なる理解のために用いられる。また、本発明の概略的実施例及びその説明は本発明の解釈のために用いられるが、本発明を不当に限定するものではない。なお、言うまでもなく、以下で記載する図面は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的労働を要さないことを前提に、これらの図面から更にその他の図面を得ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明における衣類処理装置の窓パッキンの断面構造の概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における窓パッキンの導風部の概略構造図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例2における窓パッキンの導風部の概略構造図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施例3における窓パッキンの導風部の概略構造図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例4における衣類処理装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
説明すべき点として、これらの図面及び文字記載は何らかの方式で本発明の構想の範囲を制限するとの意図ではなく、特定の実施例を参照して当業者に本発明の概念を説明するためのものである。
【0036】
本発明における実施例の目的、技術方案及び利点をより明瞭とすべく、以下では、本発明の実施例にかかる図面を組み合わせて、実施例の技術方案につき明瞭簡潔に述べる。なお、以下の実施例は本発明を説明するためのものであって、本発明の範囲を制限するものではない。
【0037】
本発明の記載において、説明すべき点として、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「内」、「外」等の用語で示される方向又は位置関係は、図示に基づく方向又は位置関係であって、本発明の記載の便宜上及び記載の簡略化のためのものにすぎず、対象となる装置又は部材が特定の方向を有し、且つ特定の方向で構成及び操作されねばならないことを明示又は暗示するものではない。よって、本発明を制限するものと理解すべきではない。
【0038】
本発明の記載において、説明すべき点として、別途明確に規定及び限定しない限り、「装着する」、「連なる」、「接続する」との用語は広義に解釈すべきである。例えば、固定的な接続であってもよいし、取り外し可能な接続であってもよいし、一体的な接続であってもよい。また、機械的な接続であってもよいし、電気的な接続であってもよい。更には、直接的な連なりであってもよいし、中間媒体を介した間接的な連なりであってもよい。当業者であれば、具体的状況に応じて本発明における上記用語の具体的意味を解釈可能である。
【0039】
図1~
図5に示すように、本発明は、衣類処理装置の窓パッキンを提供する。前記窓パッキンは、周方向の一部の凹溝が導風部で覆われており、乾燥風を残留水及び泡部分まで案内する風路が形成されている。本発明で提供する構造は、通風量を増加させることで、窓パッキン底部の凹溝内に溜まった泡及び残留水を短時間のうちに除去可能であり、使用普及に適している。
【実施例1】
【0040】
本実施例では、衣類処理装置の窓パッキンを提供する。窓パッキン1の襞で形成される凹溝2内には、衣類処理装置の乾燥風口4が設けられている。また、乾燥風を底部の凹溝2まで案内する風路41を形成するよう、前記凹溝2を覆う導風部3が乾燥風口4から窓パッキン1の底部に向かって延設されている。
【0041】
本実施例において、前記窓パッキンは、衣類処理装置の前部に垂直に設置されており、襞で形成される凹溝構造を周方向に含む。前記凹溝は開口幅が小さく、且つ窓パッキンの中心軸に面して設置されている。そのため、窓パッキンの底部に位置する凹溝は開口が上向きに設置され、洗浄終了後には、内部に残留水や泡が溜まることが多い。これを長期間にわたり処理しなければ、その部分に垢が溜まって洗浄が困難となり、洗浄槽内に異臭が発生してしまう。従来技術の一部の方案では、乾燥風口を凹溝内に設置してはいるが、開口が存在するため、乾燥風が開口をそのまま通過して洗浄槽空間に進入してしまい、底部の凹溝に溜まった残留水を強力に風乾燥することができない。これに対し、本発明では、窓パッキンの凹溝をベースとし、前記凹溝を部分的に覆う導風部を設計している。これにより、導風部と凹溝の双方で乾燥風を案内可能な風路を包囲することで、底部の凹溝に対する強力な風乾燥を実現する。また、凹溝の一部を覆う導風部を採用しているため、乾燥風は、底部の凹溝を風乾燥したあとは導風部によって遮断され続けることがなく、洗浄槽内の空間を引き続き風乾燥することも可能である。
【0042】
本実施例では、周方向が密閉された前記風路41を構成するよう、凹溝の開口21が、乾燥風口4から窓パッキン1の底部まで、前記導風部3と一体的に成型及び設置されている。
【0043】
本実施例において、本発明の導風部は、凹溝の開口の両側と一体的に成型可能であり、周方向が密閉された風路を形成する。密閉された風路は大きな圧力に耐えることができ、乾燥風の速度を上昇調節可能なことから、底部の凹溝に対する強力な風乾燥が実現される。
【0044】
本実施例において、前記導風部3は、窓パッキン1の径方向において凹凸状をなすコルゲート構造33を含む。前記導風部3には、凹溝2に面する側に前記コルゲート構造33が設けられている。
【0045】
本実施例では、導風部のうち凹溝に面する側にコルゲート構造を設置しているため、風路内の乾燥風の風圧を更に上昇させることができ、風路内及び風路出口部分における残留水や泡に対する強力な風乾燥が実現される。
【0046】
本実施例において、前記導風部3のコルゲート構造33は、窓パッキン1の軸方向における断面がコルゲート状をなしている。
【0047】
本実施例において、コルゲート構造は、窓パッキンの軸方向における断面がコルゲート状をなしている。即ち、前記コルゲート構造は、窓パッキンの周方向に沿って設置されており、且つ、いくつかの突出リブと凹溝が交互に並んでいる。前記突出リブと凹溝の延伸方向は、乾燥風の送風方向と一致しているため、乾燥風に対する案内作用が強化される。
【0048】
本実施例では、前記導風部3における窓パッキン1の底部に近接する一端が、凹溝の溝底22に向かって屈曲して設置される。また、前記乾燥風口4は、窓パッキン1の上部に近接する凹溝2内に設けられている。前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端は、前記乾燥風口4に向かって屈曲して設置される。前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端には、前記乾燥風口4に向かって屈曲する遮断部34が設けられている。前記遮断部34は、乾燥風口4の給風方向とは反対の側に設けられている。
【0049】
本実施例において、前記導風部は、底部の凹溝に近接した時点で凹溝の溝底に向かって屈曲するよう設置されている。これにより、前記風路は、出口部分の内径が小さくなるため、この箇所で乾燥風の圧力が増大し、出口部分の残留水や泡に対する強力な風乾燥が形成される。また、前記乾燥風口は窓パッキンの上部に近接して設置され、風路を通じて窓パッキンの底部から送風する。これにより、窓パッキンに水が吹き付けられたときに風口から飛散するとの事態を回避可能となる。また、給風量を増大させて窓パッキンの風乾燥を加速するのにも有利である。
【0050】
本実施例において、導風部における乾燥風口に近接する一端は、凹溝に向かって屈曲することで遮断部を形成している。前記遮断部は、乾燥風を全て風路内に案内するために、乾燥風口の給風方向とは反対の側に設けられている。乾燥風は、風路を通過して底部の凹溝の風乾燥を実現したあと、洗浄槽内の空間に進入して風乾燥を行う。
【0051】
本実施例において、前記導風部3は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1と一体的に成型されるシール31である。前記シール31は、乾燥風口4から下方に向かって窓パッキン1の底部まで延伸し、且つ乾燥風口4に近接する箇所において凹溝2に伸入するよう設置されている。前記シール31は、乾燥風口4の給風方向とは反対の側で凹溝2に伸入し、遮断部34を形成している。前記遮断部34は、窓パッキン1の底部の凹溝2に対し密封状に設置される。
【0052】
本実施例において、導風部は窓パッキンと一体的に成型される。即ち、前記導風部は、凹溝の開口の両側における窓パッキンと一体的に成型されるシールである。前記シールは、乾燥風口に近接する箇所で屈曲し、凹溝に伸入するよう設置されている。乾燥風を完全に風路内に案内するために、シールにおける屈曲して凹溝に伸入する部分には遮断部が形成されている。よって、この場合、前記遮断部は凹溝の底部に密封状に接続される。前記シールにおける窓パッキンの軸線に向かう面は、凹溝の開口両側における窓パッキンに対しフラットに設置される。即ち、前記シールは凹溝内に隠匿状に設置されると解釈可能である。
【実施例2】
【0053】
本実施例は、実施例1と以下の点において異なる。
【0054】
本実施例において、前記導風部3は、窓パッキン1の径方向において凹凸状をなすコルゲート構造33を含む。
【0055】
本実施例において、前記コルゲート構造は、導風部における凹溝に向かう面と、窓パッキンの軸線に向かう面の双方に設けられる。これにより、導風部の表面は平坦でなくなるため、導風部を通過する乾燥風に乱流が発生して、凹溝内及び洗浄槽内の空間の至る所に及ぶ。前記コルゲート構造は、更に、当該構造に付着する泡の表面張力を増大させて、泡の破裂を促すことが可能である。
【0056】
本実施例では、前記導風部3における窓パッキン1の底部に近接する一端が、凹溝の溝底22に向かって屈曲して設置される。また、前記乾燥風口4は、窓パッキン1の上部に近接する凹溝2内に設けられている。前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端は、前記乾燥風口4に向かって屈曲して設置される。前記導風部3における乾燥風口4に近接する一端は屈曲して乾燥風口4まで延伸しており、乾燥風は前記導風部3により分割される。
【0057】
本実施例において、前記導風部は一定の厚さを有しており、当該導風部における乾燥風口に近接する一端を前記乾燥風口の中央部に合わせて屈曲させて設置している。これにより、導風部の端部が乾燥風を分割可能となり、一部の乾燥風が風路に流入して底部の凹溝に対し風乾燥を実施する一方、残りの風路に流入しない乾燥風は、窓パッキンの凹溝の開口と導風部のコルゲート構造に沿って洗浄槽内に進入する。
【0058】
本実施例において、前記導風部3は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1と一体的に成型されるシール31である。前記シール31は、乾燥風口4から下方に向かって窓パッキン1の底部まで延伸し、且つ乾燥風口4に近接する箇所において凹溝2に伸入するよう設置されている。
【0059】
本実施例において、導風部は窓パッキンと一体的に成型される。即ち、前記導風部は、凹溝の開口の両側における窓パッキンと一体的に成型されるシールである。前記シールは、乾燥風口に近接する箇所で屈曲し、凹溝に伸入するよう設置されている。シールにおける乾燥風口に近接する一端は、前記乾燥風口の中央部に合わせて屈曲して設置されるため、シールの端部が乾燥風を分割可能である。
【0060】
本実施例のその他の実施形態は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0061】
本実施例は、実施例1と以下の点において異なる。
【0062】
本実施例において、前記窓パッキン1には、半密閉の前記風路41を構成するよう、凹溝の開口21の上方に掛接される導風部3が乾燥風口4から窓パッキン1の底部まで延設されている。
【0063】
本実施例では、部分的に密閉された凹溝を有する窓パッキンを製造するためには新たな金型を使用せねばならず、コストが増加することを考慮した。そこで、本発明は、更に、凹溝の開口の上方に掛接される導風部構造を提供する。前記導風部は、凹溝に対し非密封状に接続されるが、窓パッキンと異なる材質を使用してもよいし、窓パッキン構造のサイズの違いに応じて異なる規格の導風部を選択してもよいため、使用の柔軟性が向上する。また、この方案の導風部は、窓パッキンに対し取り外し可能に接続し得るため、不使用との使用形態にも対応し得る。
【0064】
本実施例において、前記導風部3は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1に掛接されるバリア32である。前記バリア32は、乾燥風口4から下方に向かって窓パッキン1の底部まで延伸し、且つ、乾燥風口4に近接する箇所おいて、遮蔽部34を介して凹溝の溝底22に接続される。前記バリア32における凹溝2に面する側の中央部には、凹溝の開口21に嵌入するコルゲート構造33が設けられている。コルゲート構造33の両側は、凹溝の開口21の両側における窓パッキン1に掛接される平面である。
【0065】
本実施例において、導風部は、凹溝の開口の上方に掛接されるバリアである。前記バリアは、乾燥風口に近接する箇所で凹溝に伸入するよう設置される。乾燥風を完全に風路内に案内するために、前記バリアにおける屈曲して凹溝に伸入する部分には遮断部が形成されている。よって、この場合、前記遮断部は凹溝の底部に接続される。また、バリアにおける凹溝に面する側にはコルゲート構造が設けられている。バリアにおけるコルゲート構造の両側には、窓パッキンに掛接される平面が保持されている。この実施形態において、コルゲート構造は、凹溝の両側壁に締り嵌め可能である。これにより、バリアと凹溝との係接が実現されるため、接続の堅牢度が強化される。前記バリアにおける窓パッキンの軸線に向かう面は、凹溝の開口両側における窓パッキンから突出するよう設置される。即ち、前記バリアは凹溝の上方全体を覆うと解釈可能である。
【0066】
本実施例において、乾燥風口4の給風方向と反対の側には、ユーザが前記バリア32を着脱するために、前記遮断部34に接続される接続部材が設けられている。
【0067】
本実施例において、導風部は、前記遮断部を介して接続部材に取り外し可能に接続される。また、上記の着脱は、様々な接続方式で実現可能である。例えば、前記接続部材を凹溝の溝底から突出するピン構造とし、遮断部をピン構造に対し挿接可能なホールとして、挿抜により導風部と接続部材との着脱を実現してもよい(図示しない)。
【0068】
本実施例のその他の実施形態は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0069】
本実施例は、実施例1~3のいずれかで述べた窓パッキンを含む衣類処理装置を提供する。前記衣類処理装置は、洗浄、乾燥等の機能を兼ね備えており、洗濯機、衣類乾燥機又は洗濯乾燥一体機のいずれか又はそれらの組み合わせから選択される。乾燥付きドラム洗濯機の場合を例示すると、ファンが洗浄槽の上方エリアに設置されており、風路を通じ、下方に向かって窓パッキンの上部の凹溝における乾燥風口に接続されている。乾燥風は、風路に沿って窓パッキンの凹溝及び洗浄槽に相次いで吹き込むか、パッキンの凹溝及び洗浄槽内に同時に吹き込んだあと、洗浄槽の後側に設けられる送風口から排出される。前記送風口には、泡漏出防止構造が更に設けられている。
【0070】
以上の記載は本発明の好ましい実施例にすぎず、本発明を何らかの形式に制限するものではない。本発明については好ましい実施例によって上記のように開示したが、本発明を限定するとの主旨ではない。本発明の技術方案を逸脱しない範囲において、当業者が上記で提示した技術内容を用いて実施可能なわずかな変更或いは補足は、同等に変形された等価の実施例であって、いずれも本発明の技術方案の内容を逸脱するものではない。また、本発明の技術的本質に基づいて上記の実施例に加えられる任意の簡単な修正、同等の変形及び補足は、いずれも本発明の方案の範囲に属する。
【符号の説明】
【0071】
1 窓パッキン
2 凹溝
21 凹溝の開口
22 凹溝の溝底
3 導風部
31 シール
32 バリア
33 コルゲート構造
34 遮断部
4 乾燥風口
41 風路