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特許7518176ペットの歯科衛生を改善するための膨張乾燥生成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ペットの歯科衛生を改善するための膨張乾燥生成物
(51)【国際特許分類】
   A23K 40/10 20160101AFI20240709BHJP
   A23K 50/42 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
A23K40/10
A23K50/42
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2022545079
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(86)【国際出願番号】 US2021070137
(87)【国際公開番号】W WO2021163721
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-04
(31)【優先権主張番号】20305127.1
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037914
【氏名又は名称】マース インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MARS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】トラッシー,ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレシン,カリーヌ
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504657(JP,A)
【文献】特開2015-112049(JP,A)
【文献】特開2014-118398(JP,A)
【文献】特表2013-500011(JP,A)
【文献】特開2019-146583(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374014(US,A1)
【文献】特表2002-536985(JP,A)
【文献】米国特許第06238708(US,B1)
【文献】米国特許第05989604(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23K 40/10
A23K 50/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低密度乾燥食品組成物であって、前記組成物は、
a.前記組成物の総質量に対して15質量%~30質量%の範囲の量のタンパク源と、
b.前記組成物の総質量に対して5質量%~15質量%の範囲の量の脂肪源と、
c.前記組成物の総質量に対して35質量%~65質量%の範囲の量のデンプン源と、
d.前記組成物の総質量に対して1.6質量%~2.1質量%の範囲の量の繊維源と
e.前記組成物の総質量に対して2質量%~11質量%の範囲の量の湿分と、
f.多孔質マトリックスと
を少なくとも含み、前記組成物は、少なくとも30%の侵入率を有する、低密度乾燥食品組成物。
【請求項2】
30~75%の侵入率を有する、請求項1記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項3】
前記組成物の総質量に対して18質量%~25質量%の範囲の量のタンパク源を含む、請求項1または2記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項4】
前記タンパク源は、植物性タンパク源、動物性タンパク源およびそれらの混合物から選択される、請求項1から3までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項5】
前記植物性タンパク源は、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、コーングルテン、レンズマメおよび大麦の植物性タンパク質から選択される、請求項4記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項6】
前記動物性タンパク源は、家禽肉、牛肉、鶏肉、チキンミール、子羊肉、ラムミール、乾燥卵、魚、魚粉、肉骨粉、肉副産物、昆虫、および肉粉の動物性タンパク質から選択される、請求項4記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項7】
前記タンパク源は、コーングルテンの植物性タンパク質および家禽の動物性タンパク質から選択される、請求項4から6までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項8】
動物性タンパク質対植物性タンパク質の比は、1:2~2:1である、請求項4から7までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項9】
前記組成物の総質量に対して5質量%~15質量%の範囲の量の脂肪を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項10】
前記脂肪は、豚脂、豚ラード、家禽脂、鶏脂、牛脂、羊脂、魚油、およびヒマワリから選択される、請求項1から9までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項11】
前記組成物の総質量に対して35質量%~65質量%の範囲の量のデンプンを含む、請求項1から10までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項12】
前記デンプンは、小麦デンプン、大麦デンプン、タピオカデンプン、小麦粉デンプン、トウモロコシ粉デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、エンドウデンプンおよびオート麦デンプンから選択される、請求項1から11までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項13】
前記組成物の総質量に対して4質量%~10質量%の範囲の量の総食物繊維源を含む、請求項1から12までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項14】
前記繊維は、ビートパルプ繊維、ダイズ皮繊維、小麦ふすま繊維、セルロース繊維、チコリ繊維、トウモロコシ繊維、米ぬか繊維、全粒オート麦繊維および全粒大麦繊維から選択される、請求項1から13までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項15】
前記組成物の総質量に対して2質量%~10質量%の範囲の量の灰分をさらに含む、請求項1から14までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項16】
100g/L~250g/L(100kg/m ~250kg/m)の範囲の体積密度を有する、請求項1から15までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項17】
前記組成物の総質量に対して5質量%~11質量%の範囲の量の湿分を含む、請求項1から16までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項18】
有効量の免疫グロブリンを含む、請求項1から17までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項19】
50~85%の空隙率を有する、請求項1から18までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項20】
前記組成物は、予備糊化デンプンを含まない、請求項1から19までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項21】
前記組成物は、グリセロールを含まない、請求項1から20までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項22】
mm~14mmの幅および8mm~20mmの長さの矩形底部を有する実質的に石畳の形状を有する、請求項1から21までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項23】
mm~30mmの厚さを有する、請求項1から22までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項24】
前記組成物はキブルである、請求項1から23までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項25】
ペットにおける口腔内の健康の改善および/または維持に適した、請求項1から24までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項26】
デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭からなる群から選択される障害の予防および/または処置に使用するための、請求項1から24までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物。
【請求項27】
デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置を、それを必要とする動物において行う方法であって、前記方法は、請求項1から24までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法。
【請求項28】
動物において歯の健康を改善および/または維持するための方法であって、前記方法は、請求項1から24までのいずれか1項記載の低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、総じて、歯科衛生に関する。より具体的には、本開示は、動物、例えばコンパニオンアニマルの歯科衛生を改善するための食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ数十年の間に、家畜、特に犬や猫の生活における口腔内の健康、特に歯の健康の重要性が、より多くの研究によって明らかにされてきている。
【0003】
多くの家畜が、歯の健康問題を抱えている。これらの問題発生の主な要因は、歯の表面でのプラーク形成である。プラークには、歯の表面に付着する細菌などの成分が含まれている。これらの成分は、歯肉線の上下に蓄積され、炎症、すなわち歯肉炎や歯腔内の悪臭を招く。また、歯石の形成もこれらの問題の一因となっている。歯石は歯肉線の周りの歯の表面に形成され、プラークをさらに蓄積するための出発点となり得る。その結果、口腔内の衛生状態が悪くなると、プラークの沈着や歯石の形成が起こり、これにより細菌が繁殖し、最終的には歯肉の炎症が誘発される。
【0004】
したがって、ペットの口腔内の健康状態を改善し、特に歯および/または歯肉の問題の発生を予防するのに有用なおやつや食品に対する飼い主からの要望が高まっている。その結果、ペットの口腔内の健康管理は、獣医の日常業務の一部となりつつあり、ペット用食品メーカーにとっても優先度が高まっている。
【0005】
野生動物は、歯からプラークや歯石を機械的に除去する食物を摂取しているため、ペットよりもプラークや歯石の形成の影響を受けにくい。しかし、ペットが食べる市販の食品は、栄養面では非常に優れているものの、歯をきれいにするのに十分な研磨力をペットの歯に与えることができない。乾燥キブルでさえ、しばしばペットが噛むと通常は崩れてしまうことから、ブラシ効率の点からも、また歯の表面とキブルとの効果的な接触という点からも、非常に限られた範囲までしか歯を研磨することができない。
【0006】
ペットの歯の健康を改善するために、飼い主は歯ブラシ、デンタルスプレー、または歯科用ワイプの使用など、様々な方法を利用することができる。しかし、これらの道具の使用は、ペットにとっても飼い主にとっても非常に不愉快な場合がある。野生動物が歯をきれいにする方法を部分的に再現するために、生の骨や蹄、あるいは角を与えることは、誰もができることではなく、口腔内の穿刺損傷や歯の破折の可能性があるため、獣医からも推奨されない。犬に角氷を与えるのも同様の危険性がある。
【0007】
ペットの口腔内の良好な健康の維持を支援するための方法として、噛むおもちゃやブリースティックも市販されている。しかし、その効果は限定的であり、食品とは別に費用がかかるため、長期的または短期的にもかなり高額になる可能性がある。
【0008】
最後に、前述したように、歯の健康を改善する特性を有するキブルやおやつが販売されている。しかしこれらの製品は、ペットの歯の健康には良い影響を与えるが、その効果は限定的である。特に、キブル、より具体的には乾燥キブルは、砕け易いため噛むと崩れてしまう。さらに、キブルは歯のごく一部にしか接触しないため、そのままではその部分にしか作用せず、歯の残りの部分は未処置のままである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、改善された口腔内の健康/衛生効率、特に改善された歯の健康効率を有するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0010】
改善されたデンタルプラーク減少効果を有するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0011】
改善された歯肉炎低減効果を有するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0012】
改善された歯石低減効果を有するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0013】
改善された口臭低減効果を有するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0014】
それを消費するペットの歯との接触が増加したキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0015】
壊れにくい一方で、改善された歯の健康効率を呈するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【0016】
あまり壊れやすくない一方で、改善された歯の健康効率を呈するキブル、特に乾燥キブルを提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本開示は、これらのニーズのすべてまたは一部を満たすことを目的とする。
【0018】
開示された主題の目的および利点は、以下の説明に記載され、そこから明らかとなるとともに、開示された主題の実施によって知られることとなる。開示された主題の追加の利点は、本明細書および特許請求の範囲において特に指摘された実施形態によって実現および達成されるであろう。
【0019】
第1の態様によれば、本開示は、低密度乾燥食品組成物であって、該組成物は、
a.該組成物の総質量に対して約15質量%~約30質量%の範囲の量のタンパク源と、
b.該組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%の範囲の量の脂肪と、
c.該組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%の範囲の量のデンプンと、
d.該組成物の総質量に対して約3質量%~約12質量%の範囲の量の総食物繊維と
を少なくとも含み、該組成物は、少なくとも約30%の侵入率を有する、低密度乾燥食品組成物に関する。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、約30%~約75%、特に約35%~約65%、より具体的には約35%~約60%の侵入率を有し得る。
【0021】
他の実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約18質量%~約25質量%の範囲の量のタンパク源を含むことができる。
【0022】
他の実施形態では、本開示の組成物のタンパク源は、植物性タンパク質および動物性タンパク質から選択することができ、特に、
- 前記植物性タンパク源は、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、コーングルテン、レンズマメおよび大麦の植物性タンパク質から選択することができ、より具体的にはコーングルテンの植物性タンパク質であり、
- 前記動物性タンパク源は、家禽肉、牛肉、鶏肉、チキンミール、子羊肉、ラムミール、乾燥卵、魚、魚粉、肉骨粉、肉副産物、昆虫、および肉粉動物性タンパク質から選択することができ、より具体的には家禽動物性タンパク質である。
【0023】
特に、本開示の組成物のタンパク源は、コーングルテン植物性タンパク質および家禽動物性タンパク質であってよい。
【0024】
一実施形態では、本開示の組成物における動物性タンパク質対植物性タンパク質の比は、1/2~2/1とすることができ、特に2/1である。
【0025】
本開示の一実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%、より具体的には約5質量%~約12質量%の範囲の量の、特に約8質量%~約12質量%の量の脂肪を含むことができる。
【0026】
特に、本開示の組成物の脂肪源は、豚脂、豚ラード、家禽脂、鶏脂、牛脂、羊脂、魚油、およびヒマワリから選択することができ、特に豚脂である。
【0027】
本開示の一実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%、特に約37質量%~約55質量%の範囲の量のデンプンを含むことができる。
【0028】
特に、本開示の組成物中のデンプン源は、小麦デンプン、大麦デンプン、タピオカデンプン、小麦粉デンプン、トウモロコシ粉デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、エンドウデンプンおよびオート麦デンプンから選択することができ、特に小麦デンプン、小麦粉デンプンおよびトウモロコシ粉デンプンから選択することができる。
【0029】
本開示の一実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して約4質量%~約10質量%、特に約5質量%~約8質量%の範囲の量の総食物繊維を含むことができる。
【0030】
特に、本開示の組成物中の繊維源は、ビートパルプ繊維、ダイズ皮繊維、小麦ふすま繊維、セルロース繊維、チコリ繊維、トウモロコシ繊維、米ぬか繊維、全粒オート麦繊維および全粒大麦繊維から選択することができ、より具体的にはチコリ繊維である。
【0031】
本開示の一実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して約2質量%~約10質量%、特に約3質量%~約9質量%、より具体的には約5質量%~約6.5質量%の範囲の量の灰分を含むことができる。
【0032】
本開示の組成物は、特に、約100g/L~約250g/L(約100kg/m~約250kg/m)の範囲の体積密度を有することができる。
【0033】
本開示の一実施形態では、組成物は、組成物の総質量に対して約2質量%~約11質量%、特に約5質量%~約11質量%、特に約8質量%~約11質量%の範囲の量の水を含むことができる。
【0034】
本開示の一実施形態では、組成物は、歯石低減、デンタルプラーク低減、歯肉炎低減および/または口臭低減を向上させるための他の機械的または化学的または生物学的活性原理を含むこともできる。そのような活性原理は、これに限定されないが、ポリリン酸塩またはポリリン酸塩誘導体であってよい。
【0035】
特定の一実施形態では、本開示の組成物は、予備糊化デンプンを含まない。
【0036】
特定の一実施形態では、本開示の組成物は、グリセロールを含まない。
【0037】
本開示の組成物は、特に、約5mm~約14mmの幅および約8mm~約20mmの長さの矩形底部を有する実質的に石畳の形状または舗装の形状、特に、約5mm~約14mmの幅および約8mm~約20mmの長さの矩形底部を有する実質的に石畳の形状を有することが可能である。
【0038】
本開示の組成物は、特に、約7mm~約30mm、特に約8mm~約25mm、より具体的には約10mm~約20mmの厚さを有することができる。
【0039】
前述したように、本開示の組成物は、特にキブルである。
【0040】
別の態様によれば、本開示はまた、口腔内の健康の改善および/または維持におけるその使用のための低密度乾燥食品組成物に関する。より具体的には、本開示は、歯の健康の改善および/または維持におけるその使用のための低密度乾燥食品組成物に関する。
【0041】
さらに別の態様では、本開示の組成物は、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置に使用するためのものであってよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示の低密度乾燥食品組成物および本開示によるその実施は、動物、特に非ヒト哺乳類、より具体的にはペット、特に猫または犬のためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】実施例6に記載の本開示の組成物(四角形、三角形および円形の形状)および対照を与えた15匹の犬の食事時間(秒単位)を示すグラフである。
図2】実施例6に記載の本開示の組成物の各形状(四角形、三角形および円形)および対照についての平均食事時間(n=15)のグラフである(95%信頼区間を有する箱ひげ図形式での表示)。
図3】実施例6に記載の本開示の組成物の各形状(四角形、三角形および円形)および対照についての平均食事時間(n=15)のグラフである(エラーバー形式の散布図表示)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
定義
本明細書で使用される用語は、総じて、本開示の文脈において、および各用語が使用される特定の文脈において、当該技術分野における通常の意味を有する。特定の用語は、本開示の組成物および方法ならびにその製造方法および使用方法を説明する際に追加の手引きを提供するために、以下に、または本明細書の他の場所で論じられる。以下の定義は、特許請求の範囲を含む本明細書に対して提供される。
【0045】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される、特定の値に対する許容誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存することになる。例えば、「約」は、当業者の慣例により、3以内または4以上の標準偏差を意味し得る。あるいは「約」は、所与の値の最大20%、好ましくは最大10%、より好ましくは最大5%、より好ましくはさらには最大1%の範囲を意味し得る。また、特にシステムまたはプロセスに関して、この用語は、ある値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。
【0046】
本明細書で使用する場合、「有効量」という用語は、デンタルプラーク低減、歯肉炎低減、歯石低減および/または口臭低減に有益な影響を及ぼすのに十分な成分、栄養素または薬剤の量と理解することができる。本開示の文脈では、一例として、口腔内の健康を損なう(oral health compromising、「OHC」)微生物を低減または排除するのに十分な免疫グロブリンの量を意味する。
【0047】
本開示における「予防する」または「予防」という用語は、所与の現象、すなわち、本開示においては、先に定義したような障害、例えば、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭の発生の危険度または確率の低減を意味する。
【0048】
本明細書における「処置する」もしくは「処置」または「治療」という用語は、本開示による障害、病態の症状を矯正、治癒、緩和、軽減、変更、救済、好転、改善もしくはそれに影響を与える、または症状、合併症の発症を予防もしくは遅延させる、または障害のさらなる発症を統計的に有意に阻止もしくは抑制する目的で本開示による組成物を投与または摂取することを指す。
【0049】
本明細書で使用する場合、「動物」または「ペット」という用語は、飼われている犬、猫、馬、牛、フェレット、ウサギ、豚、ラット、マウス、アレチネズミ、ハムスター、馬などを含むがこれらに限定されない家畜を意味する。飼い犬および飼い猫は、ペットの特定の例である。
【0050】
本明細書で使用する場合、「動物飼料」、「動物飼料組成物」、「動物飼料キブル」、「ペットフード」、または「ペットフード組成物」という用語はすべて、ペットによる摂取を意図した組成物を意味する。ペットフードには、これに限定されないが、キブルなどの毎日の給餌に適した栄養的にバランスがとれた組成物、ならびに栄養的にバランスがとれていてもいなくてもよいサプリメントおよび/またはおやつが含まれ得る。
【0051】
本明細書で使用する場合、「栄養的にバランスがとれた」という用語は、ペットフードなどの組成物が、追加で必要となる水を除いて、これに限定されないが、米国食品医薬品局動物用医薬品センター、American Feed Control Officials Incorporatedなどの政府機関を含むペット栄養の分野の公認当局の勧告に基づいて、生命維持に必要な既知の栄養素を適切な量および割合で有することを意味する。
【0052】
本開示の意味での「膨張生成物」とは、空気で満たされたエアセルが生成物の体積の少なくとも約50%、必要に応じて該体積の少なくとも約65%、または該体積の少なくとも約80%、さらには該体積の最大で約85%に相当する、胞状の生成物を意味する。この膨張構造は、本開示による生成物に、消費者が好むカリカリした性質を与え、これは、必要に応じて、特に破断力(Nで表される)の測定により定量化可能である。
【0053】
本明細書で使用する場合、「侵入率」、「侵入比」または「侵入の比率」という用語は、食品における歯の侵入距離(ミリメートル、mm単位)と対応する食品の厚さ(同様にミリメートル、mm単位)との比に相当する。
【0054】
以下の説明でより詳細に説明されるように、侵入率は、当業者に知られている測定寸法である。侵入率は、侵入試験において、mm単位での試料の総厚に対する、プローブが破断前に生成物内部に侵入したmm単位での距離の比率を測定することによって得られる。侵入率は、パーセンテージ(%)として表される。歯科用途の場合、この侵入率は、生成物の破断前の、生成物の総厚に対する、歯が生成物に侵入する深さを模擬する。目的は、歯の表面に沿ってより大きな「ブラッシング効果」を有するために、侵入率を最大にすることである。
【0055】
本明細書で使用する場合、「コーティング」という用語は、典型的にはコア上の、表面、例えばコアの表面の少なくとも一部を覆う部分的または完全な被覆を意味する。一例では、コアは、コアの一部のみが覆われ、コアの一部は覆われておらず、したがって露出しているように、コーティングで部分的に覆われていてよい。別の例では、コアは、コア全体が覆われ、したがって露出しないように、コーティングで完全に覆われていてよい。したがって、コーティングはごくわずかな量から表面全体まで覆うことができる。コーティングは、コーティングの積層が存在し得るように、他のコーティングの上にコーティングされることも可能である。例えば、コアをコーティングAで完全に被覆することができ、コーティングAをコーティングBで完全に被覆することができ、その結果、コーティングAおよびコーティングBはそれぞれ層を形成する。
【0056】
本明細書で使用する場合、「コア」、または「コアマトリックス」という用語は、キブルの粒状ペレットを意味し、典型的には、成分のコアマトリックスから形成され、約12質量%未満の湿分含量、すなわち水分含量を有する。粒状ペレットをコーティングしてコア上にコーティングを形成してもよく、これはコーティングされたキブルであってもよい。コアは、コーティングなしでもよく、部分的なコーティング付きでもよい。コーティングなしの実施形態では、粒状ペレットは、キブル全体を構成することができる。コアは、タンパク様材料、繊維材料、デンプン、ならびにそれらの混合物および組み合わせを含むことができる。一実施形態では、コアは、タンパク質、繊維、およびデンプンのコアマトリックスを含むことができる。
【0057】
本明細書で使用する場合、「キブル」という用語は、犬および猫の飼料などの動物飼料の粒状ペレット様成分を含み、これは、典型的には、キブルの総質量に対して約20質量%未満の湿分含量、すなわち水分含量を有する。キブルは、硬質のものから軟質のものまで様々なテクスチャであってよい。キブルの内部構造は、膨張したものから密なものまで様々であってよい。キブルは、押出プロセスにより形成可能である。例えば、キブルは、コアおよびコーティングから形成されて、コーティングされたキブルを形成することができ、これはコーティングキブルとも呼ばれる。「キブル」という用語が使用される場合、それは未コーティングキブルまたはコーティングキブルを指し得るものと理解されるべきである。
【0058】
本明細書で使用する場合、「押出」という用語は、押出機を通して送られるなどして加工された動物飼料を意味する。押出の一実施形態では、キブルは、押出プロセスによって形成され、該プロセスでは、デンプンを含む原料を熱および圧力下で押し出して、コアとなり得るペレット化キブルの形態を形成することができる。任意のタイプの押出機を使用することができ、その非限定的な例としては、単軸押出機および二軸押出機が挙げられる。
【0059】
本開示内では、キブルなどの本開示の組成物に関する「高体積の含気」という表現は、多孔質マトリックスを有する組成物を指す。そのような組成物は、約50%~約85%、優先的には約60%~約75%の範囲の空隙率を有する。空隙率は、X線により測定可能である。空隙率は、キブル内のボイド(すなわち「空の」)空間の尺度であり、キブルの総体積に対するボイド体積の割合として(パーセンテージとして)表される。
【0060】
「含気」(または「起泡」)とは、食品材料へのガスの取込みを指す。本明細書において、ガスは特に限定されず、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、およびこれらのガスの組み合わせであってよい。ガスは、添加することも可能であるし、製造方法の生成物であってもよい。好ましくは、本開示によれば、ガスは、「フラッシュ蒸発」から生じる空気から構成され、これはすなわち、生地の液体、ここでは水の一部が、加熱および圧力が低下したチャンバの通過後に瞬時に沸騰、すなわちフラッシュするプロセスを意味する。押出機の内部と出口の大気圧との間での圧力低下によって、液体の一部が気化する。この現象により、キブル内に多数の小さな空気キャビティが生じる。含気とは、内部に多数の気泡を有する膨張したキブルを意味し、空隙率(前述)を測定することで、内部の「含気」(テクスチャ自体)が測定される。
【0061】
本明細書で使用する場合の「乾燥食品組成物」または「乾燥食品」という表現は、組成物/食品の総質量に対して約20%または約20%未満の湿分含量、好ましくは組成物の総質量に対して約14%または約14%未満の湿分含量を有する食品または組成物を指す。総じて、そのような乾燥食品または乾燥組成物は、組成物の総質量に対して約14%よりもはるかに少ない湿分含量、例えば、約1~約14%の湿分含量を含む場合さえある。本開示の乾燥食品組成物の湿分含量は、当該技術分野で既知の任意の方法により測定可能である。好適な方法の一例として、以下のものが挙げられる。水分含量の分析は、3段階、すなわち、1.分析試料の秤量、2.103℃±2℃で4時間±5分間のオーブン乾燥、3.乾燥後の試料の秤量により行われる。この定義は、特定の一提示形態に限定されるものではないが、乾燥食品または乾燥組成物は、総じて(ビスケット状の)キブル、および/または乾燥コア成分の形態で提示される。例えば、乾燥組成物は、調理可能な安定した生地を製造するために、各成分を混ぜ合わせて混練することによって製造することができる。乾燥ペットフードの製造方法は、通常、焼成および/または押出によって行われる。生地は通常、エキスパンダおよび/または押出機と呼ばれる機械に投入され、この機械では、加圧蒸気または熱水を用いて各成分が調理される。押出機内では、生地は極度の圧力および高温に曝される。その後、生地はダイ(特定のサイズおよび形状の穴)に押し込まれ、次いでナイフで切り落とされる。膨らんだ生地片を乾燥機に通してキブルなどの乾燥生成物とし、湿分を所定の目標値まで低下させることで、消費まで食品の安定性が確保される。その後、生成物/キブルに、脂肪、油、ミネラル類、ビタミン類、天然抽出物カクテル、フレーバーを噴霧し、任意にパッケージに封入することができる。
【0062】
本開示によれば、「低密度食品組成物」という表現は、約250g/L(約250kg/m)以下、より具体的には約100g/L~約250g/L(約100kg/m~約250kg/m)、特に約100g/L~約220g/L(約100kg/m~約220kg/m)の体積密度を有する組成物を指すことを意図するものである。
【0063】
本開示によれば、キブルなどの本開示の組成物に関する「多孔質」または「空隙率」という用語は、組成物中のボイド(すなわち「空の」)空間の尺度を指すことを意図するものである。これは、総体積に対するボイド体積の割合として0~1で、または0%~100%のパーセンテージとして表される。本開示の組成物の空隙率は、当該技術分野において既知の任意の方法により測定可能である。例えば、空隙率は、X線により測定可能である。空隙率は、キブル内のボイド(すなわち「空の」)空間の尺度であり、キブルの総体積に対するボイド体積の割合として(パーセンテージとして)表される。
【0064】
本開示内では、本明細書で使用する場合の「実質的に」という用語は、この特徴に概ね類似しているが完全には類似していない、この特徴に関連する一連の実施形態を指す。例えば、「実質的に円筒状の形態」とは、厳密な円筒体だけでなく、正確に直線の平行な辺および/または正確に円形もしくは楕円形の断面を有しているわけではない円筒体をも指すことを意図するものである。このような形態は、総体的に円筒状であると認定することができる。
【0065】
本開示内では、「体積密度」または「嵩密度」という用語は互換的に用いられ、ある物質の緻密さの程度を意味する。本開示の食品組成物の密度は、当該技術分野で既知の任意の方法により測定可能である。好適な方法の一例として、体積密度は、キブルで満たされた10リットル(0.01m)のポットを使用して測定し、次いで秤量することができ、よってこれはg/L(kg/m)単位で表される。
【0066】
本開示内では、変化に関して使用される「顕著に」という用語は、観察された変化が注目に値することおよび/またはそれが統計的に有意であることを指すことを意図するものである。
【0067】
以下に記載される供給源、成分および構成要素の列挙は、それらの組み合わせおよび混合物もまた企図され、かつ本明細書の範囲に包含されるように列挙されたものである。
【0068】
本開示の様々な実施形態の説明において、様々な実施形態または個々の特徴が開示される。通常の当業者には明らかなように、そのような実施形態および特徴のすべての組み合わせが可能であり、本開示の好ましい実施をもたらし得る。本開示の様々な実施形態および個々の特徴を例示および説明してきたが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正を行うことができる。また、明らかになるように、前述の開示で教示された実施形態および特徴のすべての組み合わせが可能であり、本開示の好ましい実施をもたらし得る。
【0069】
本開示の乾燥食品組成物中の水分含量/湿分含量の測定方法
食品組成物、特にキブルなどの乾燥食品組成物の水分含量の分析は、当業者に周知の単純な3ステップの方法に基づいて実施することができる。
【0070】
本方法は、分析試料の秤量、次いで前述の試料のオーブン内での乾燥、および最後に乾燥後の試料の秤量を含む。本開示による試料は、個々のキブルである。
【0071】
動物飼料中の湿分の測定に使用できる要件、仕様、ガイドラインまたは特性を詳述した様々なISO規格が発行されている(例えば、参照により本明細書に援用されるISO規格6496:1999参照)。
【0072】
本開示の乾燥食品組成物の様々なテクスチャパラメータの測定方法
侵入距離および侵入率
ここでは、乾燥食品組成物(キブル)の破断に必要な侵入距離を測定する方法を提示する。本方法は、ペットの歯(例えば猫または犬)を模したプローブを用いて行われ、該プローブは、対応する乾燥食品試料が破断するまで該試料に侵入する。
【0073】
より具体的には、試験中の4つのステップを確認することができる。
【0074】
A)プローブが300mm/minの一定速度で下降し、
B)プローブが食品サンプル(キブル)の表面に接触したら、
C)プローブがある距離でキブルに侵入して試料を破断させ、
D)プローブが試料上方の出発高さに戻る。
【0075】
侵入距離は、このようにして測定可能であり、試料が破断するまでの試料へのプローブの侵入距離に相当する。
【0076】
侵入距離は、ミリメートル(mm)単位で表すことができる。
【0077】
さらに、剛性も測定される。キブルを破断させるのに必要な剛性は、ΔF/Δxで定義され、ここで、ΔFは、力の変動であり、Δxは、侵入距離の変動である。剛性は、プローブが食品試料に侵入し始めたときの力-距離曲線の傾きに相当するため、上記のステップB)の後に測定される。また、前述の剛性は、計算された力-侵入距離曲線(横座標:侵入距離(mm)および縦座標:微分(N/mm))の微分の最大ピークに相当する。
【0078】
乾燥食品組成物(キブル)の侵入の比率(または侵入率)は、ミリメートル(mm)単位で表した上記の侵入距離と、侵入距離を測定するために使用したミリメートル(mm)単位の対応する食品組成物の厚さとの比率と定義される。
【0079】
したがって、侵入の比率が高いほど、当該ペットによって消費されたときに乾燥食品組成物と有効に接触するペットの歯の表面積が大きくなる。つまり、本事例では、侵入の比率が高いほど、試験した乾燥食品組成物のペットの歯のクリーニング効果が高いことを意味する。
【0080】
厚さ
乾燥食品組成物(キブル)の厚さは、例えば、デジタルキャリパーを使用して手動で測定することができる。そのような方法は、当業者には周知である。
【0081】
厚さは、ミリメートル(mm)単位で表すことができる。
【0082】
本開示の乾燥食品組成物の体積密度の測定方法
以下の方法を、本開示による乾燥食品組成物(キブル)の体積密度の測定に使用することができる。
【0083】
1グラム以上の分解能を有する較正済みの秤を清浄にし、水平にする。清浄で乾燥した較正済みの10リットルカップ(10L(0.01m))を用いて秤を風袋引きする。試験するキブルを自由に流動させるのに十分な最小径と、同一の箇所でキブルを10L(0.01m)カップまたは容器に流せる最大径とを有する漏斗を、漏斗の底部(出口)を塞いだ状態で10L(0.01m)カップの上部からおよそ2インチ(約50.8mm)の高さに設置する。漏斗に、試験するキブルを10L(0.01m)よりやや多めにゆっくりと入れる。10L(0.01m)カップが漏斗の下方にある状態で、漏斗の栓を外し、キブルを10L(0.01m)カップに流入させる。直定規(例えば、定規または打用スティック)を使用して、10L(0.01m)カップの上部に直定規を滑らかに滑らせて余分なキブルを取り除く。キブルが、10L(0.01m)カップの縁部と同じ高さにならないようにする。10L(0.01m)カップを風袋引きした秤の上に置き、結果を記録する。体積密度は、目盛りの読み(グラム単位)を10L(0.01m)で除したものである。平均値を算出するには、測定を繰り返さなければならない。
【0084】
本開示の組成物
いくつかの態様では、本開示は、低密度乾燥食品組成物に関する。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示による組成物は、低密度乾燥食品組成物であって、該組成物は、
a.該組成物の総質量に対して約15質量%~約30質量%の範囲の量のタンパク源と、
b.該組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%の範囲の量の脂肪と、
c.該組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%の範囲の量のデンプンと、
d.該組成物の総質量に対して約3質量%~約12質量%の範囲の量の総食物繊維と
を少なくとも含み、該組成物は、少なくとも約30%の侵入率を有する。
【0086】
本開示の食品組成物は、多孔質マトリックスを含む。組成物の多孔質マトリックスは、大きな表面積を提供する。これは、低体積密度の多孔質マトリックスであって、均一またはランダムな大きさで多孔質マトリックスおよびその表面全体に分散している細孔を、複数の相互連通した細孔として画定する骨格構造を含むマトリックスによって達成される。
【0087】
特に、本開示の乾燥食品組成物は、約50%~約85%の空隙率を有することができる。
【0088】
本開示の乾燥食品組成物、例えばキブルは、高水準の空隙率ゆえに、高体積の含気膨張組成物である。本開示の組成物は、特に、少なくとも約30%の侵入率を有することを特徴とする。
【0089】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、組成物を消費する動物の歯を研磨またはブラッシングする優れた能力を特徴とする。
【0090】
特に、本開示の組成物の侵入率は、約30%~約75%、特に約35%~約65%、より具体的には約35%~約60%であることができる。
【0091】
本開示の組成物は、低密度組成物である。本開示によれば、また前述のように、本開示の組成物は、約250g/L(約250kg/m)以下の体積密度を有する。本開示の組成物の体積密度は、約100g/L~約250g/L(約100kg/m~約250kg/m)、より具体的には約100g/L~約220g/L(約100kg/m~約220kg/m)、特に約120g/L~約220g/L(約120kg/m~約220kg/m)であってよい。
【0092】
市場の大半のペットフード製品が250g/L(250kg/m)より高い体積密度を有し、より頻繁には300g/L(300kg/m)より高く、または350g/L(350kg/m)にさえ達することを考慮すると、かかる体積密度は特に低いと言える。
【0093】
使用される成分だけでなく、それらの量の範囲、さらには空隙率および組成物の形状といった様々な要因が、本開示の食品組成物の体積密度に影響を与える。
【0094】
本開示の膨張食品組成物は、任意の三次元形状、例えば、球または球状、楕円形(最大3以上の直径を有する)、円筒状、円盤状、または任意の他の三次元幾何学的形状であってよい。好ましくは、本開示の食品組成物は、実質的に円筒状の形態を有する。
【0095】
したがって、本開示の組成物は、特に細長い形態を有し、特に約8mm~約20mmの長さを有することができる。
【0096】
特に、本開示の組成物の細長い形態は、正方形、長方形もしくは菱形などの平行六面体の縦断面を有する細長い形態、または実質的に平行六面体の縦断面を有する細長い形態を有することができる。
【0097】
本開示の食品組成物は、任意の横断面形状を有する任意の三次元形状のものであってよく、例えば、円形もしくは楕円形の横断面を有する形状、または実質的に円形もしくは楕円形の横断面を有する形状、正方形、長方形もしくは菱形などの平行六面体の横断面を有する形状、または実質的に平行六面体の横断面を有する形状から選択することが可能である。本開示の組成物の横断面形状は、花、ハート、ボウル、犬もしくは猫などの物体、植物もしくは動物の形状、または任意の他の可能な形状を表す輪郭を示すこともできる。
【0098】
いくつかの実施形態では、本開示による低密度乾燥食品組成物は、約7mm~約30mm、特に約8mm~約25mm、より具体的には約10mm~約20mmの厚さを有することができる。
【0099】
本開示の膨張食品組成物のサイズ、特に長さおよび厚さは、本開示による個体、特にペットが該組成物を噛まざるを得ないため、歯との接触を増加させ、該個体があまりにも早く飲み込む(その場合、摩擦の機械的効果が減少する)のを防ぐものである。
【0100】
さらに、前述したように、本開示の低密度組成物は、乾燥しており、すなわち乾燥組成物である。本開示の乾燥組成物は、組成物の総質量に対して約15質量%未満、特に約2質量%~約12質量%、より具体的には約2質量%~約11質量%、特に約5質量%~約11質量%、特に約7質量%~約11質量%、より具体的には約8質量%~約11質量%の水(または湿分)を有することができる。
【0101】
いくつかの実施形態では、本開示の食品組成物は、栄養的に完全な食品または機能性補助品であってよい。完全な食品は、動物用の栄養的に十分な飼料であり、唯一の食料として与えることができ、(水を除いて)追加の食品なしで生命を維持することが可能である。
【0102】
機能性補助品は、動物に特定の効果をもたらすための機能性成分を含むことができる。様々な機能性成分が含まれていてよい。機能性成分は、ビタミン、ミネラル、共役リノール酸、抗酸化物質、微生物、例示的にプロバイオティクス、代謝産物もしくはそのような微生物の培養の上澄みなどの部分、上記のいずれかを含むことができる植物由来の抽出物、栄養補助食品、または上記の組み合わせおよび混合物を含むことができるが、それらに限定されない。例示的に、機能性成分、またはその混合物は、歯科用有益食におけるその特性のために選択される。
【0103】
タンパク質
本開示による食品組成物は、1つ以上の別個のタンパク源を含む。総じて、本明細書に記載される食品組成物、特にペットフード組成物は、複数のタンパク源を含む。
【0104】
前述のように、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約15質量%~約30質量%の範囲の量のタンパク源を含む。
【0105】
本明細書で使用する場合、約15質量%~約30質量%の範囲のタンパク源の含有量は、組成物の総質量に対して約15質量%、約16質量%、約17質量%、約18質量%、約19質量%、約20質量%、約21質量%、約22質量%、約23質量%、約24質量%、約25質量%、約26質量%、約27質量%、約28質量%、約29質量%および約30質量%のタンパク質含有量を含む。
【0106】
一実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約18質量%~約25質量%の範囲の量のタンパク源を含む。
【0107】
本開示の組成物中に存在するタンパク質は、加水分解されたものであっても、加水分解されていないものであってもよい。
【0108】
本開示の組成物中に存在するタンパク質は、植物性タンパク質および動物性タンパク質から選択することができ、すなわち、植物および/または動物源のものであることができる。
【0109】
特定の一実施形態では、本開示の組成物は、植物性タンパク質および動物性タンパク質を含む。
【0110】
植物性タンパク質として、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、コーングルテン、米、昆虫、レンズマメ、または大麦由来の植物性タンパク質を選択することができる。したがって、本開示の組成物中に存在し得る植物性タンパク質は、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、コーングルテン、昆虫、レンズマメ、および大麦の植物性タンパク質、ならびにそれらの混合物から選択することができる。より具体的には、いくつかの実施形態では、植物性タンパク質は、コーングルテンタンパク質である。
【0111】
動物性タンパク質として、家禽肉、牛肉、鶏肉、チキンミール、子羊肉、ラムミール、乾燥卵、魚、魚粉、肉骨粉、肉副産物、肉粉、七面鳥、血漿、または骨髄由来の動物性タンパク質を選択することができる。特に、動物性タンパク質は、家禽肉、牛肉、鶏肉、チキンミール、子羊肉、ラムミール、乾燥卵、魚、魚粉、肉骨粉、肉副産物、および肉粉の動物性タンパク質から選択することができる。
【0112】
より具体的には、動物性タンパク質は、家禽タンパク質である。
【0113】
特定の一実施形態では、本開示の組成物は、植物性タンパク質としてコーングルテンタンパク質を含み、動物性タンパク質として家禽タンパク質を含む。
【0114】
本開示の組成物は、動物性タンパク質および植物性タンパク質を、約1:4~約3:1、特に約1:3~約2:1、より具体的には約2:1~約1:2の範囲の動物性タンパク質対植物性タンパク質の比で含むことができる。本開示の組成物の動物性タンパク質対植物性タンパク質の比は、一実施形態では約2:1であってよい。
【0115】
一実施形態によれば、本開示の組成物中に存在するタンパク質のすべてまたは一部は、加水分解されたタンパク質であってよい。加水分解されたタンパク質は、部分的に加水分解されていてもよいし、完全に加水分解されていてもよい。部分的に加水分解されたタンパク質は、加水分解されたタンパク質を少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%含むことができる。
【0116】
タンパク質を部分的または完全に加水分解する方法は、周知である。
【0117】
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に加水分解されたタンパク質は、約1,000Da~約11,000Da(約1,000~約11,000×約1.66×10-27kg)の範囲の分子量を有する。
【0118】
本明細書で使用する場合、約1,000Da~約11,000Da(約1,000~約11,000×約1.66×10-27kg)の範囲には、例えば、約1,250Da(約1,250×約1.66×10-27kg)、約1,500Da(約1,500×約1.66×10-27kg)、約1,750Da(約1,750×約1.66×10-27kg)、約2,000Da(約2,000×約1.66×10-27kg)、約2,250Da(約2,250×約1.66×10-27kg)、約2,500Da(約2,500×約1.66×10-27kg)、約2,750Da(約2,750×約1.66×10-27kg)、約3,000Da(約3,000×約1.66×10-27kg)、約3,250Da(約3,250×約1.66×10-27kg)、約3,500Da(約3,500×約1.66×10-27kg)、約3,750Da(約3,750×約1.66×10-27kg)、約4,000Da(約4,000×約1.66×10-27kg)、約4,250Da(約4,250×約1.66×10-27kg)、約4,500Da(約4,500×約1.66×10-27kg)、約4,750Da(約4,750×約1.66×10-27kg)、約5,000Da(約5,000×約1.66×10-27kg)、約5,250Da(約5,250×約1.66×10-27kg)、約5,500Da(約5,500×約1.66×10-27kg)、約5,750Da(約5,750×約1.66×10-27kg)、約6,000Da(約6,000×約1.66×10-27kg)、約6,250Da(約6,250×約1.66×10-27kg)、約6,500Da(約6,500×約1.66×10-27kg)、約6,750Da(約6,750×約1.66×10-27kg)、約7,000Da(約7,000×約1.66×10-27kg)、約7,250Da(約7,250×約1.66×10-27kg)、約7,500Da(約7,500×約1.66×10-27kg)、約7,750Da(約7,750×約1.66×10-27kg)、約8,000Da(約8,000×約1.66×10-27kg)、約8,250Da(約8,250×約1.66×10-27kg)、約8,500Da(約8,500×約1.66×10-27kg)、約8,750Da(約8,750×約1.66×10-27kg)、約9,000Da(約9,000×約1.66×10-27kg)、約9,250Da(約9,250×約1.66×10-27kg)、約9,500Da(約9,500×約1.66×10-27kg)、約9,750Da(約9,750×約1.66×10-27kg)、約10,000Da(約10,000×約1.66×10-27kg)、約10,250Da(約10,250×約1.66×10-27kg)、約10,500Da(約10,500×約1.66×10-27kg)、および約10,750Da(約10,750×約1.66×10-27kg)が含まれる。
【0119】
いくつかの実施形態では、少なくとも部分的に加水分解されたタンパク質は、約2,000Da~約5,000Da(約2,000~約5,000×約1.66×10-27kg)の範囲の分子量を有する。
【0120】
脂肪
いくつかの態様では、本開示による食品組成物は、1つ以上の別個の脂肪源を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%の範囲の量の脂肪を含む。
【0122】
本明細書で使用する場合、約5質量%~約15質量%の脂肪には、これに限定されないが、組成物の乾物の総質量に対して約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、約8質量%、約8.5質量%、約9質量%、約9.5質量%、約10質量%、約10.5質量%、約11質量%、約11.5質量%、約12質量%、約12.5質量%、約13質量%、約13.5質量%、約14質量%、約14.5質量%および約15質量%の脂肪が含まれる。
【0123】
特に、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約5質量%~約12質量%の範囲の量、特に約8質量%~約12質量%の量の脂肪を含むことができる。
【0124】
本明細書で使用する場合、「脂肪」、「粗脂肪」、または「脂肪源」という表現は、食品に許容される任意の脂肪および/または油を指すことを意図するものである。本開示による脂肪は、流体形態および/または固体形態であってよい。本開示による組成物は、動物起源および/または植物起源の脂肪を含むことができる。脂肪は、当業者に知られている任意の適切な供給源によって供給可能である。
【0125】
本開示の目的に適した植物性、すなわち植物ベースの脂肪源には、これに限定されないが、小麦、ヒマワリ、ベニバナ、菜種、オリーブ、ルリヂサ、亜麻仁、ピーナッツ、クロスグリ種子、綿実、小麦、胚芽、トウモロコシ胚芽、およびこれらおよび他の植物性脂肪源から得られる油、ならびにそれらの混合物が含まれ得る。
【0126】
本開示の目的に適した動物性脂肪源には、例えば、これに限定されないが、肉;鶏脂、七面鳥脂、牛脂、鴨脂、豚脂、羊脂などの肉副産物;魚油、海産物;乳製品;卵、およびそれらの混合物が含まれ得る。
【0127】
特定の一実施形態では、本開示の組成物に含まれる脂肪は、もっぱら動物源由来であってよい。
【0128】
一実施形態では、本開示の組成物中の脂肪は、豚脂、豚ラード、家禽脂、鶏脂、牛脂、羊脂、魚油およびヒマワリから選択することができ、特に豚脂およびそれらの混合物である。
【0129】
本開示による食品組成物の脂肪含有量は、当該技術分野で既知の任意の方法により測定可能である。
【0130】
繊維
本開示による食品組成物は、1つ以上の別個の繊維源および繊維の種類を含むことができる。総じて、本明細書に記載のペットフード組成物は、複数の繊維源を含む。
【0131】
前述のように、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約3質量%~約12質量%の範囲の量の総食物繊維を含む。
【0132】
本明細書で使用する場合、約3質量%~約12質量%の繊維には、これに限定されないが、組成物の乾物の総質量に対して約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、約8質量%、約8.5質量%、約9質量%、約9.5質量%、約10質量%、約10.5質量%、約11質量%、約11.5質量%、および約12質量%の繊維が含まれる。
【0133】
特に、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約4質量%~約10質量%、特に約5質量%~約8質量%の範囲の量の総食物繊維を含むことができる。
【0134】
総食物繊維(total dietary fiber、「TDF」)は、食用植物細胞壁多糖類、リグニン、およびヒト消化管酵素による加水分解に耐性のある関連物質の残存物である。本明細書で使用する場合、食物繊維は、植物性食品の難消化性部分を表す。TDFの公式定義は、Trowell H, Southgate DA, Wolever TM, Leeds AR, Gassull MA, Jenkins DJ. Letter: Dietary fibre redefined. Lancet. 1976;1(7966):967. doi:10.1016/s0140-6736(76)92750-1により公開された。
【0135】
TDFは、Prosky L, Asp NG, Furda I, DeVries JW, Schweizer TF, Harland BF.Determination of total dietary fiber in foods and food products: collaborative study. J Assoc Off Anal Chem. 1985;68(4):677-679により記載された方法により分析可能であり、該文献は、その内容全体が参照により本明細書に援用されるものとする。
【0136】
最も一般的な食物繊維は、リグニン、セルロース、ヘミセルロース、ペクチン、ガム、およびレジスタントスターチ(β-グルカンとも呼ばれる)である。
【0137】
例示的に、本開示による組成物を実施するのに適した食物繊維の供給源には、もみ殻、トウモロコシおよびトウモロコシ副産物、ダイズ皮、ビートパルプ、乾燥ジャガイモ生成物、セルロース、ふすま、ピーナッツ殻、ペクチンおよびそれらの混合物が含まれる。
【0138】
本明細書で使用する場合、総食物繊維には、可溶性繊維(発酵性繊維とも呼ばれる)および不溶性繊維(非発酵性繊維とも呼ばれる)が含まれる。可溶性繊維は、小腸で消化吸収されにくく、大腸で完全または部分的に発酵するものと定義することができる。不溶性繊維は、小腸での消化吸収に耐性があり、大腸での発酵にも耐性がある非デンプン多糖類と定義することができる。
【0139】
実際には、本開示の目的に適した可溶性繊維源は、ビートパルプ、グアーガム、チコリパルプ、チコリ根、サイリウム、ペクチン、ブルーベリー、クランベリー、カボチャ、リンゴ、オート麦、マメ、シトラス、大麦、エンドウ、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0140】
例示的に、本開示の目的に適した不溶性繊維源は、セルロース、全粒小麦生成物、オート麦、コーンブラン、亜麻仁、ブドウ、セロリ、インゲン、カリフラワー、ジャガイモ皮、果実皮、野菜皮、ピーナッツ殻、ダイズ繊維、およびそれらの混合物から選択することができる。
【0141】
一実施形態では、本開示の組成物の繊維は、ビートパルプ繊維、ダイズ皮繊維、小麦ふすま繊維、セルロース繊維、チコリ繊維、トウモロコシ繊維、米ぬか繊維、全粒オート麦繊維および全粒大麦繊維、ならびにそれらの混合物から選択することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される組成物の繊維は、特にチコリ繊維である。
【0142】
本開示の範囲において、「粗繊維」(crude fiber、「CFIB」)という表現は、食品が希酸およびアルカリによる標準的な実験室処理を受けた後に残留物として残る食物繊維の一種を指す。この処理により、食品中のすべての可溶性繊維および一部の不溶性繊維が溶解する。残留物または粗繊維は、主にセルロースおよびリグニンから構成されている。CFIBは、Henneberg, Wilhelm and Friedrich Stohmann, Beitrage Zur Begrundung einer RationelIen Futterung Der Wiederkauer, Vol. I, II, Schwetschke U. Sohn, Brunswick, 1860, 1865により記載される方法により分析可能であり、該文献は、参照により本明細書に援用されるものとする。
【0143】
炭水化物またはNFE
本明細書で使用する場合、可溶無窒素物(Nitrogen Free Extract、NFE)という用語は、本明細書に開示される食品組成物に含まれる可溶性炭水化物画分を指す。NFEには、当該食品組成物中に存在する場合、可溶性多糖類、デンプン、ガム、粘質物およびペクチンが包含される。
【0144】
したがって、NFEは、いくつかの実施形態では当該食品組成物中に存在し得る粗繊維材料に含まれる不溶性炭水化物画分を含まない。
【0145】
典型的には、食品組成物中の可溶無窒素物の含有量は、当該食品組成物の全乾物から他の各成分(タンパク質、脂肪、粗繊維、灰分)の含有量を差し引くことによって求められる。
【0146】
NFE、または炭水化物は、当技術分野で知られているように、任意の適切な供給源から供給可能である。NFEの好適な供給源は、デンプン、オート麦繊維、セルロース、ピーナッツ殻、ビートパルプ、パーボイルド米、コーンスターチ、コーングルテンミール、およびそれらの供給源の任意の組み合わせから選択することができる。炭水化物を供給する穀物には、これらに限定されないが、小麦、トウモロコシ、大麦、および米が含まれる。
【0147】
いくつかの実施形態では、本開示による組成物中のNFE含有量は、組成物の乾物の総質量に対して約28質量%~約65質量%、特に約30質量%~約60質量%、より具体的には約40質量%~約58質量%、特に約45質量%~約56質量%の範囲である。
【0148】
本明細書で使用する場合、約28質量%~約65質量%のNFEには、これに限定されないが、組成物の乾物の総質量に対して約28質量%、約29質量%、約30質量%、約31質量%、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、約40質量%、約41質量%、約42質量%、約43質量%、約44質量%、約45質量%、約46質量%、約47質量%、約48質量%、約49質量%、約50質量%、約51質量%、約52質量%、約53質量%、約54質量%、約55質量%、約56質量%、約57質量%、約58質量%、約59質量%、約60質量%、約61質量%、約62質量%、約63質量%、約64質量%および約65質量%のNFEが含まれる。
【0149】
デンプン
いくつかの態様では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%の範囲の量のデンプンをさらに含む。
【0150】
本明細書で使用する場合、約35質量%~約65質量%のデンプンには、これに限定されないが、組成物の乾物の総質量に対して約35質量%、約36質量%、約37質量%、約38質量%、約39質量%、約40質量%、約41質量%、約42質量%、約43質量%、約44質量%、約45質量%、約46質量%、約47質量%、約48質量%、約49質量%、約50質量%、約51質量%、約52質量%、約53質量%、約54質量%、約55質量%、約56質量%、約57質量%、約58質量%、約59質量%、約60質量%、約61質量%、約62質量%、約63質量%、約64質量%および約65質量%のデンプンが含まれる。
【0151】
一実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%、より具体的には約35質量%~約60質量%、特に約37質量%~約55質量%の範囲の量のデンプンを含む。
【0152】
使用される配合によって膨張食品の所望の特性が発揮される限り、様々な種類および供給源のデンプンを使用することができる。
【0153】
全粒穀物、砕いた穀物、粉、根、および塊茎を、多孔質マトリックスを製造するために使用するデンプンの供給源として使用することができる。好適なデンプン源の例としては、米、醸造用米、トウモロコシ、大麦、オート麦、小麦、ジャガイモ、マメ科植物および/または他のバイオポリマーが挙げられる。所望であれば、純粋または実質的に純粋なデンプンを使用してもよい。これらおよび他のデンプン源を使用して、多孔質マトリックスを形成することができる。既知のアミロースおよびアミロペクチン含分を有するデンプンの選択は、当技術分野における従来の知識を用いて選択することができる。一例として、ワキシーコーン、米、およびソルガムデンプンは、ほぼ約100%のアミロペクチンを含むことが知られている。逆に、多くの高アミロースデンプン、例えば高アミロースコーンスターチは、約75%以上のアミロース含分を含む。アミロースおよびアミロペクチンの割合は、選択された割合でデンプンを有する出発材料を使用することによって、様々な出発材料からの様々なデンプンを混合することによって、または天然源由来のデンプンに酸薄化デンプン、高アミロペクチンデンプンもしくは高アミロースデンプンなどの加工デンプンを補うことによって選択することができる。デンプンは、水分、タンパク質および脂肪などの他の成分を含むことができる。
【0154】
一実施形態によれば、本開示の組成物中のデンプンは、天然デンプンであってよい。天然デンプンは、非加工デンプンである。好ましい天然デンプンは、非加工穀物デンプンであり得る。
【0155】
特定の一実施形態によれば、本開示の組成物中のデンプンは、小麦デンプン、大麦デンプン、タピオカデンプン、小麦粉デンプン、トウモロコシ粉デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、エンドウデンプンおよびオート麦デンプンから選択することができ、特に、小麦デンプン、小麦粉デンプンおよびトウモロコシ粉デンプンから選択することができる。
【0156】
実施形態によれば、本開示の組成物は、高アミロースデンプンまたは予備糊化デンプンを含まない。高アミロース含有デンプンは、少なくとも40:60、より好ましくは約50:50のアミロース対アミロペクチンの比を有する。
【0157】
特定の一実施形態によれば、本開示の組成物は、タピオカ由来のデンプンを含まない。
【0158】
一実施形態では、本開示の組成物は、高アミロースデンプン、予備糊化デンプン、およびタピオカ由来のデンプンを含まない。
【0159】
灰分
本開示による組成物は、灰分(または灰分類)をさらに含むことができる。
【0160】
本開示の組成物中に存在し得る灰分の量は、組成物の総質量に対して約2質量%~約10質量%、特に約3質量%~約9質量%、より具体的には約5質量%~約6質量%の範囲であってよい。
【0161】
本明細書で使用する場合、約2質量%~約10質量%の灰分には、組成物の乾物の総質量に対して約2質量%、約2.5質量%、約3質量%、約3.5質量%、約4質量%、約4.5質量%、約5質量%、約5.5質量%、約6質量%、約6.5質量%、約7質量%、約7.5質量%、約8質量%、約8.5質量%、約9質量%、約9.5質量%、および約10質量%の灰分が含まれる。
【0162】
本開示の範囲内では、灰分は、カルシウム、リン、ナトリウム、塩化物、カリウム、およびマグネシウムなどのミネラルを指すことを意図するものである。
【0163】
免疫グロブリン(IgY)
組成物は、化学的活性を有する化合物をさらに含む。
【0164】
そのような化合物は、例えば、シリカ、研磨シリカ、精製セルロース、ヒマワリ皮、エンドウ皮、およびそれらの混合物を含む化合物から選択することができる。
【0165】
そのような化合物は、例えば、ポリリン酸塩もしくはポリリン酸塩誘導体、好ましくはヘキサメタリン酸塩もしくはトリポリリン酸ナトリウム、またはチモール、ユーカリプトール、メントール、ミチルサリシレートなどの精油、または任意のPRN化合物(Plaque Reduction Nutrient、プラーク低減栄養素)などの当業者に知られている任意の「化学」化合物から選択することができる。
【0166】
そのような化合物は、例えば、プロバイオティクス、ウコン、オメガ3ss、ヌクレオチド、XOSもしくは免疫グロブリン、好ましくはモノクローナルもしくはポリクローナル免疫グロブリンなどのIgY抗体などの当業者に知られている任意の「生体」もしくは「生化学」化合物、またはデンタルプラーク低減、歯肉炎低減、歯石低減および/もしくは口臭低減に有益な影響を与えることが当業者に知られている他の任意の化合物から選択することができる(Rahman A.K.M. Shofiqur, Veterinary Science Development 2011; volume 1:e8、またはKyosuke Yokoyama, Journal of oral Science 2007; volume 49, N 3, p 201-206、該文献は、参照により本明細書に援用されるものとする)。
【0167】
IgY(Immunoglobulin of Yolk、卵黄免疫グロブリン)は、健康な採卵鶏に対して歯周病の原因となる様々な病原体を免疫するために使用されるIgG免疫グロブリンであり、対応する免疫グロブリンを大量に生産し、それを抽出・分離・精製することで特異性が得られる。本開示の一例として、そのような病原体は、これに限定されないが、ポルフィロモナス・ジンジバリス(P. Gingivalis)および/またはポルフィロモナス・グラエ(P. Gulae)などの細菌からなることができる。これらの複合IgYは、歯周病の原因となる様々な病原菌に対して特異的な結合阻害効果を有し、非常に低濃度でも有効な効果を発揮し、病原菌のみを阻害し、口腔内共生細菌には影響を与えない。これは、薬剤耐性菌株や二重感染を生じることもなく、化学物質の毒性副作用もない。
【0168】
抗原特異的IgYを製造するための標準的なプロトコルは、当該技術分野において既知である。非限定的な例として、通常、雌鶏を注射によって標的抗原に曝露させる。これにより体液性免疫応答が誘発され、これは、最初は免疫された雌鶏の血清中の特異的IgYの産生により発現し、次いで産卵された卵の卵黄中でその産生が行われる。一旦免疫応答が誘発されると、IgYの経卵的通過には約6~7日を要する(Bollenら、1997)。卵黄に含まれるIgYプールの組成は、雌鶏の循環血液中のIgYと明らかに関連している(Hamalら、2006)。卵黄抗体の役割は、子孫の免疫系が完全に成熟するまでの間、一般的な鳥類の病原体に対する受動的な抗体源を子孫に提供することである。IgYは半減期が短く(36時間まで)、これは哺乳類IgGの半減期よりかなり短く、この特徴が免疫認識の回避に役立つと示唆されている(Suartini、2014)。免疫介入戦略として、IgYは哺乳類IgGと比較していくつかの利点を示す。i)IgYは、競合アッセイで試験した場合、特定の抗原に対してIgGよりも最大5倍高い親和性および反応性を示す(Rahman、2014)、ii)IgYは、哺乳類の補体またはFc受容体に結合も活性化もせず、タンパク質A、Gまたはリウマトイド因子とも結合せず、したがって経口投与時に、特に胃腸管において非特異的炎症応答を誘発し得ない(Rahman、2014)。さらに、IgYは、血清学的検査において哺乳類のIgGと干渉しない。
【0169】
一実施形態では、本開示の食品組成物は、プロバイオティクス、ウコン、オメガ3ss、ヌクレオチド、XOSまたは免疫グロブリン、好ましくはモノクローナルまたはポリクローナル免疫グロブリンなどのIgY抗体を含むことができる。
【0170】
特定の一実施形態では、本開示による低密度乾燥食品組成物は、有効量の免疫グロブリン、好ましくはIgY抗体を含む。より好ましくは、前記IgYは、IgY卵粉末の一部である。
【0171】
一実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約1質量%を超えない量、優先的には約0.9質量%、約0.8質量%、約0.7質量%、約0.6質量%およびより優先的には0.5質量%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。一実施形態によれば、本開示の組成物は、約0.5%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。一実施形態によれば、本開示の組成物は、約0.4%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。一実施形態によれば、本開示の組成物は、約0.3%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。一実施形態によれば、本開示の組成物は、約0.2%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。一実施形態によれば、本開示の組成物は、約0.1%を超えない量の免疫グロブリンをさらに含む。
【0172】
非限定的な例として、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して約0.001質量%~約0.1質量%の範囲の量の免疫グロブリンをさらに含む。本明細書で使用する場合、約0.001質量%~約0.1質量%の免疫グロブリンには、組成物の乾物の総質量に対して約0.001質量%、約0.002質量%、約0.003質量%、約0.004質量%、約0.005質量%、約0.006質量%、約0.007質量%、約0.008質量%、約0.009質量%、約0.01質量%、約0.011質量%、約0.012質量%、約0.013質量%、約0.014質量%、約0.015質量%、約0.016質量%、約0.017質量%、約0.018質量%、約0.019質量%、約0.02質量%、約0.021質量%、約0.022質量%、約0.023質量%、約0.024質量%、約0.025質量%、約0.026質量%、約0.027質量%、約0.028質量%、約0.029質量%、約0.03質量%、約0.031質量%、約0.032質量%、約0.033質量%、約0.034質量%、約0.035質量%、約0.036質量%、約0.037質量%、約0.038質量%、約0.039質量%、約0.04質量%、約0.041質量%、約0.042質量%、約0.043質量%、約0.044質量%、約0.045質量%、約0.046質量%、約0.047質量%、約0.048質量%、約0.049質量%、約0.05質量%、約0.051質量%、約0.052質量%、約0.053質量%、約0.054質量%、約0.055質量%、約0.056質量%、約0.057質量%、約0.058質量%、約0.059質量%、約0.06質量%、約0.061質量%、約0.062質量%、約0.063質量%、約0.064質量%、約0.065質量%、約0.066質量%、約0.067質量%、約0.068質量%、約0.069質量%、約0.07質量%、約0.071質量%、約0.072質量%、約0.073質量%、約0.074質量%、約0.075質量%、約0.076質量%、約0.077質量%、約0.078質量%、約0.079質量%、約0.08質量%、約0.081質量%、約0.082質量%、約0.083質量%、約0.084質量%、約0.085質量%、約0.086質量%、約0.087質量%、約0.088質量%、約0.089質量%、約0.09質量%、約0.091質量%、約0.092質量%、約0.093質量%、約0.094質量%、約0.095質量%、約0.096質量%、約0.097質量%、約0.098質量%、約0.099質量%、および約0.1質量%の免疫グロブリンが含まれる。
【0173】
好ましい一実施形態では、免疫グロブリンはIgYである。
【0174】
一実施形態では、本開示の組成物は、組成物の総質量に対して0.01質量%~1質量%の範囲のIgY含有卵粉末を、当該卵粉末のIgY濃度に応じて含む。
【0175】
他の成分
本開示による組成物は、1つ以上の微量元素、特に、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素およびセレンから選択される微量元素をさらに含むことができる。
【0176】
本開示による組成物は、1つ以上のビタミン、特に、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、アスコルビン酸、ビタミンK、チアミン、リボフラビン、パントテン酸、ナイアシン、ピリドキシン、葉酸、ビオチン、ビタミンB12およびコリンから選択されるビタミンをさらに含むことができる。
【0177】
いくつかの実施形態では、本開示による食品組成物は、抗酸化物質の供給源をさらに含むことができる。
【0178】
本明細書で使用する場合、「抗酸化物質」という表現は、フリーラジカルと反応してそれらを中和することができる物質を指すことを意図するものである。そのような物質の例としては、これに限定されないが、カロテノイド、例えば、β-カロテン、リコピンおよびルテイン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、トコトリエノール、ダイズイソフラボン、S-アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N-アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンC、リポ酸、およびL-カルニチンが挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態では、食品組成物は、組成物の乾物の総質量に対して約1質量%~約4質量%のアルギニンを含む。
【0180】
本明細書で使用する場合、約1質量%~約4質量%のアルギニンには、組成物の乾物の総質量に対して約1.25質量%、約1.50質量%、約1.75質量%、約2.00質量%、約2.25質量%、約2.50質量%、約2.75質量%、約3.00質量%、約3.25質量%、約3.50質量%、約3.75質量%のアルギニンが含まれる。
【0181】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つのフレーバー、特に天然フレーバーをさらに含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、フレーバーはタンパク質由来のものである。
【0183】
特定の一実施形態では、本発明の組成物は、グリセロールを含まない。
【0184】
キブルの製造
本開示の食品組成物は、様々な方法によって製造することができる。様々な製造方法の詳細は異なっていてよく、所望の最終組成の範囲に達するように変更することができるが、本開示の組成物の製造に用いられる方法の一例は、以下のステップを含む。
【0185】
1)十分な温度、せん断および条件下でプレコンディショニング装置(またはコンディショニング装置、ここでは双方の用語が互換的に用いられる)内で生地を製造するステップであって、それによって、生地が、タンパク質、繊維、デンプンおよび水と、生地中のタンパク質、繊維、デンプンおよび水と混じり合った任意の液体添加物および/または乾燥添加物とを含むものとするステップ、
2)生地を(i)第1の一連の条件(圧力、温度、オリフィスの閉塞)下で押出機チャンバのダイのオリフィスに通して、少なくとも1つの開口部を含む1つの空のキャビティを有する押出物を形成し、次に(ii)第2の一連の条件(圧力および温度)下で押出物を膨張させることにより、生地内に保持されている湿分から水蒸気(蒸気)への急速な膨張を生じさせるとともに、押出物内に細孔を形成するステップ、
3)膨張した押出物を切断して、各ピースに分割するステップ、
4)各ピースを所望の湿分含量まで、好ましくは水が各ピースの組成物の総質量に対して少なくとも15質量%以下となるまで(周囲空気温度で、または加熱工程により)乾燥および/または(冷却工程により)冷却するステップ、ならびに
5)各ピースを、脂肪、乾燥パラタント、湿潤パラタントおよび/または香気などの追加の流動性成分でコーティングするステップ。
【0186】
生地の製造は、生地塊を生成するために使用される成分、例えば、少なくともタンパク質、繊維、デンプンおよび水を組み合わせるステップと、次に、加圧下の押出機内で混合しながら各成分の組み合わせを十分に加熱して、デンプンの一部が押出中に十分に糊化(調理)されるように溶融生地を形成するステップとを少なくとも含む。
【0187】
プレコンディショニング装置は、押出機に入る前の原料の調理工程を開始する。生地を予備調理もしくは予備加熱するため、すべての成分を生地に混合するため、および/または押出調理中の所望の条件に向けて生地を(例えば、水和によって)準備するために、生地または生地の各成分を、制御条件下にプレコンディショニング装置内で蒸気および/または水と混合することができる。ここで、油/脂肪や着色料などの追加の液体を加えることができる。プレコンディショニング装置は、材料を水和および混合しながら糊化プロセスを開始するために、高流量の蒸気および水を利用することができる。
【0188】
いくつかの実施形態では、押出物が押出機のダイのオリフィスを出て部分的に生地中の湿分の蒸発および圧力低下により膨張した後に押出物を乾燥および/または冷却させる際に、タンパク質およびデンプンの十分な部分、例えば、約15質量%~約25質量%のタンパク質および約35%~約65%のデンプンが結合することで、多孔質マトリックスの骨格構造が形成される。
【0189】
さらに、処理条件は、表面細孔の形成および押出物中のキャビティの形成に影響を与えることができ、前記処理条件には、押出機速度、1つ以上の加熱ゾーンにおける押出機温度、バッチ成分とブレンドされる処理水の量、押出機に供給されるバッチ成分の量、生成物の単位当たりの押出機によって生成される比機械エネルギー(SME)量、押出機から出る押出物の温度(例えば、生成物出口温度)が含まれ得る。配合物を構成する成分も、表面細孔の形成に影響を与えることができ、前記成分には、米、トウモロコシ、小麦などのデンプンの選択、植物性または動物性、加水分解または非加水分解などのタンパク質の選択、家禽脂肪、獣脂、ホワイトグリースなどの脂肪の選択、および水の添加が含まれ得る。各成分のレベルも、多孔質マトリックスの表面細孔の形成を達成する上で重要となり得る。
【0190】
本方法を開始するために、各成分、例えば、タンパク質、繊維、デンプン、ならびに他の任意の乾燥添加物および/または湿潤添加物、例えば、保存料(BHA)を水と組み合わせ、プレコンディショニング装置で十分に混合して生地を形成する。
【0191】
一実施形態では、各成分を、別々に、または組成物として組み合わせて、ミル(例えば、ハンマーミルまたは他の粉砕装置)により少なくとも1回、所望の大きさに粉砕してから水と組み合わせる。この操作は、グラインダで行ってもよい。好ましくは、各成分を粒子にまで小さくし、該粒子のサイズは1.5mm以下であってよい。
【0192】
粉砕された成分を、別々に、または組成物として組み合わせて、乾燥材料用ホッパーまたは導管によってコンディショニング装置(またはプレコンディショニング装置)へ所定の供給速度で供給する。水を、水または蒸気用導管によってコンディショニング装置に所定の流量で供給することができる。供給速度および流量は、押出条件下での生地および押出後の膨張した多孔質マトリックスの所望の湿分に達するように較正することができる。
【0193】
各成分に加える水の量は、押出および膨張を行う生地の所望の湿分含量によって決定される。水は、水道水、濾過水、または他の種類の飲用水であってよい。押出時の溶融生地の目標湿分量は、生地の約30質量%までとすることができる。
【0194】
コンディショニング装置に加える水の量は、例えば、総生地流量の約1%~約6%、好ましくは約1.5%~約5.5%、好ましくは約2%~約5%と変化させることができる。
【0195】
押出機に加える水蒸気の量は、例えば、約1%~約5%、好ましくは約1.5%~約5%、好ましくは約2%~約4%と変化させることができる。
【0196】
コンディショニング装置における混合率は、例えば約70~約90%の範囲であってよく、好ましくは約80%であってよい。
【0197】
タンパク質、繊維、デンプン、水および他の任意の成分の混合物を混合および加熱するために使用される装置は、重要ではなく、そのような操作を達成することができる実質的に任意の装置を使用することができる。高粘性材料の混合および加熱操作を行うために設計された装置を使用することができる。一例として、生地は、その構成要素を混合し、得られた混合物を、利用可能な多種多様なコンディショニング装置(例えば、Wenger)のいずれかで加圧下に加熱することによって製造することができる。
【0198】
生地は、製造後に押出機のチャンバに移される。一実施形態によれば、コンディショニング装置と押出機とは同一の装置であってよく、生地の製造は、押出機のチャンバで行われる。
【0199】
プレコンディショニング工程からの生地はプレコンディショニング装置から排出され、押出機に入る。ここで、生地が押出機を通ってダイに向かって押し出されることで押出物が形成され、これはさらにダイによってキブルに成形される。この段階で、染料、油、水、および蒸気を押出機に加えることができる。これに限定されないが、単軸押出機や二軸押出機などの押出機は、高温、圧力およびせん断を加えてデンプン分子の糊化を誘発する。
【0200】
中を通過する材料の制御が可能な押出機は、押出物の形成に適している。例えば、好適な押出機は、押出中に十分な量の高ないし低せん断(例えば、摩擦)を生じさせるために、高または低フライト構成を有する二軸スクリュとすることができる。単軸押出機も使用することができ、また混合物を混合し、加熱し、溶融生地へと形成し、次いでダイまたは他のオリフィスを通して生地を押し出すのに有用な任意の装置または装置の組み合わせも使用することができる。当然のことながら、例えばリボンブレンダなど、他の形態の押出機およびスクリュ構成を使用することもできる。
【0201】
生地が押出機を通過する際に追加の水および蒸気を加えることで、生地をダイのオリフィスに押し通すことができるような適切なコンシステンシーを得ることができる。
【0202】
コンディショニング装置に加える水の量は、例えば、総生地流量の約1%~約6%、好ましくは約1.5%~約5.5%、好ましくは約2%~約5%と変化させることができる。
【0203】
押出機に加える水蒸気の量は、例えば、約1%~約5%、好ましくは約1.5%~約5%、好ましくは約2%~約4%と変化させることができる。
【0204】
押出の間に、混合物をせん断、圧力および温度の条件下に押出機で機械的にせん断することで、デンプンを好ましい質量パーセンテージの量に糊化させる。押出機は、約50℃~約140℃の範囲の温度、またはデンプンの糊化に適した他の温度に設定することができる。押出機内の生地の処理温度は、生地に加えられるせん断ゆえに、より高くなり得る。押出機によって溶融生地に加えられる比機械的仕事(SME)の量は、所望の特性を有する多孔質マトリックスを形成することができる溶融生地を生成するのに十分でなければならない。
【0205】
押出機内で加圧される溶融生地の温度は、押し出される生地中に存在する水の沸点を超えることができ、そうすることで、生地が押出機から出るときに、押出機内で溶融生地に加えられた圧力が解放される際に生地内の水の蒸発が期待できる。生地は、所定の押出速度で押し出すことができる。
【0206】
押出機内では、生地は、生地内の圧力を増加させて押出物を膨張させるように適合された速度で、1つ以上のスクリュ、例えば少なくとも1つのスクリュまたは2つ以下のスクリュによって搬送することができる。例として、押出機内の処理速度は、好適には、約300~600rpm(約300~600/min)の範囲、好ましくは約400~500rpm(約400~500/min)の範囲のスクリュ速度で得ることができる。
【0207】
押出機から溶融生地がダイプレート、ノズルまたはチューブのオリフィスを通じて押し出されることで、周囲空気圧で成形押出物が形成される。一実施形態では、オリフィスは、ダイプレート内にある。別の実施形態では、ダイプレートは、少なくとも1つのオリフィス、好ましくは最大5つまたは6つのオリフィスを含むことができる。オリフィスの数は、押出機のチャンバ内および生地内で十分な圧力が維持されるように調整される。
【0208】
オリフィスは、押出物の所望のサイズおよび形状に応じて設定することができる。例えば、開口部は、長方形、円形、正方形、三角形、楕円形、または他の対称もしくは非対称の形状などの任意の形状であってよい。
【0209】
一実施形態では、実質的に円筒状の形状を有する本開示のキブルは、長手方向の押出によって得られたキブルを意味することを意図するものである。長手方向の押出は、押出機のオリフィスの延長線上で生成物が膨張することを特徴とする。
【0210】
押出後、膨張した押出物は、押出機のオリフィスを出た直後に切断装置(例えば、ナイフ、ギロチン、回転ナイフなど)により、長さ、幅および高さを有する押出物(例えば、ペレット、キブルなど)の三次元のピースに分割することが可能である。例えば、本開示の組成物のピースまたは要素の長さは、押出の速度および切断の速度を適合させることによって調整される。
【0211】
押出物を各ピースに分割した後、各ピースを、各ピースを所望の湿分含量まで脱水する乾燥工程に供することができる。乾燥工程は、加熱装置(例えば、オーブン、ドラム乾燥機、食品乾燥機)において各ピースを熱に曝すことを含むことができる。熱には、赤外線放射、マイクロ波放射、高周波放射、直接熱風、直接火炎、蒸気、電熱源、または他のタイプの熱源が含まれ得る。非限定的な実施形態では、約80℃~約100℃で約1分~約5分にわたって熱を加えることができる。
【0212】
この各ピースを加熱すると、多孔質マトリックスの骨格構造内に閉じ込められた湿分がある場合はその量に応じて、各ピースが乾燥および硬化し、さらに膨張する。
【0213】
乾燥した押出物の各ピースは、適切な保管条件で無期限に保管することも、流動性成分を多孔質マトリックスに真空注入する工程および/または流動性成分でコーティングする工程に直ちに移行させることもできる。あるいは、周囲空気への曝露により各ピースを乾燥させることもできる。
【0214】
加熱乾燥を行わない場合、押出物の各ピースは、所望の体積密度および湿分含量に達した後に冷却工程に曝すことができる。冷却工程は、押出物の各ピースを冷却チャンバに通すことによって、押出物の各ピースの押出後温度を所望の温度まで下げるために使用される。冷却された押出物の各ピースについても、適切な保管条件で無期限に保管することも、真空注入工程に輸送して流動性成分を注入および/または流動性成分でコーティングすることもできる。
【0215】
さらなる一実施形態では、押出物の各ピースを乾燥工程(加熱または周囲空気のいずれか)および次いで冷却工程に供して、押出物の各ピースが真空注入および/またはコーティング工程または保管のために所望の体積密度および温度に達することができるようにすることが可能である。
【0216】
組成物の使用方法
いくつかの態様では、本開示の乾燥食品組成物(またはキブル)は、当該乾燥食品組成物を消費する個体、例えばコンパニオンアニマルにおいて、口腔内の健康を改善および/または維持するものである。
【0217】
いくつかの実施形態では、個体は、非ヒト哺乳類であってよく、特に、猫または犬などのコンパニオンアニマルまたはペットである。
【0218】
したがって、本開示は、特にペットにおける口腔内の健康の改善および/または維持におけるその使用のための、上記の低密度乾燥食品組成物に関する。
【0219】
本開示は、特にペットにおける口腔内の健康の改善および/または維持における非治療的な使用のための、上記の低密度乾燥食品組成物に関する。
【0220】
本開示はまた、特にペットにおける口腔内の健康の改善および/または維持に好適な、上記の低密度乾燥食品組成物に関する。
【0221】
より具体的には、本開示の乾燥食品組成物(またはキブル)は、当該乾燥食品組成物を消費する上記で定義された個体の歯の健康を改善および/または維持することを意図するものである。
【0222】
したがって、本開示の別の目的は、特にペットの歯の健康の改善および/または維持におけるその使用のための低密度乾燥食品組成物である。
【0223】
本開示による低密度乾燥食品組成物は、特に、口腔内の障害、特に歯の障害または当該歯の障害から生じる障害を予防および/または処置する優れた能力を有する。
【0224】
本開示による乾燥食品組成物の消費を通じて予防および/または処置することができる障害は、例えば、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択することができる。
【0225】
したがって、本開示はさらに、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置におけるその使用のための低密度乾燥食品組成物に関する。
【0226】
本開示の乾燥食品組成物は、完全な食品または補助品として使用することができ、特に補助品である。
【0227】
本開示はまた、個体、特に非ヒト哺乳類、より具体的には猫または犬などのペットにおける口腔内の健康を改善および/または維持するための方法であって、前記個体による本開示の組成物の消費を含む方法に関する。
【0228】
より具体的には、本開示はまた、個体、特に非ヒト哺乳動物、より具体的には猫または犬などのペットにおける歯の健康を改善および/または維持するための方法であって、前記個体による本開示の組成物の消費を含む方法に関する。
【0229】
本開示はさらに、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置を、それを必要とする個体において行う方法に関する。前記個体は、特に非ヒト哺乳動物であり、より具体的には、猫または犬などのペットである。
【0230】
本開示はさらに、個体、特に非ヒト哺乳動物、より具体的には猫または犬などのペットにおける口腔内の健康を改善および/または維持するための、本開示の低密度乾燥食品組成物の使用に関する。
【0231】
本開示はさらに、個体、特に非ヒト哺乳類、より具体的には猫または犬などのペットの歯の健康を改善および/または維持するための、本開示の低密度乾燥食品組成物の使用に関する。
【0232】
本開示はまた、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置を、それを必要とする個体、特に非ヒト哺乳動物、より具体的には猫または犬などのペットにおいて行うための、本開示の低密度乾燥食品組成物の使用に関する。
【0233】
本開示の一態様によれば、本開示は、口腔内の健康を損なう(OHC)微生物を低減または排除するのに適した組成物に関する。
【0234】
本開示はさらに、デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置を、それを必要とする動物において行う方法であって、該方法は、本開示による低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法に関する。
【0235】
本開示はまた、動物において歯の健康を改善および/または維持するための方法であって、該方法は、本開示による低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法に関する。
【0236】
以下の実施例により図面を参照して本開示をさらに説明するが、本開示は決してこれに限定されるものではない。
【実施例
【0237】
実施例1:食品組成物の脂肪含有量が、本開示のキブルの体積密度および侵入率に及ぼす影響
本開示による食品組成物の3つの異なる配合物をキブルとして製造した(組成物1、2および3)。
【0238】
これらの組成物は、上記で定義したのと同一の一般的な工程で製造した。
【0239】
よって、乾燥成分をグラインダで粉砕して、1.5mm以下の粒子を得た。粉砕された成分をコンディショニング装置に導入し、添加された水および蒸気と混合して、生地を形成した。
【0240】
次に、この生地を押出機に移し、次いで加圧下で加熱した。加熱された生地を、次いでダイマシンで押し出して、膨張した押出物を得た。これを、次いで切断してキブルとした。
【0241】
本開示による方法は、当業者が利用可能な任意の押出機を用いて実現することができる。非限定的な例として、押出機WENGERX115、X165またはX180 X185を使用することができる。
【0242】
この具体例について、コンディショニング装置に加える水の量を、約3%~約5%と変化させることができ、コンディショニング装置に加える水蒸気の量を、約1%~約3%と変化させることができる。
【0243】
この具体例について、押出機に加える水の量を、約2.5%~約5%と変化させることができる。押出機に加える水蒸気の量を、約1%~約3%と変化させることができる。
【0244】
この特定の実施例のパラメータは、パイロットスケールで使用されるパラメータからなる。当業者の一般常識を考慮すると、これらのパラメータは、任意の工業規模に適合するように算出および評価することができる。
【0245】
以下の表1に詳述するこれら3つの組成物は、その脂肪含有量、すなわち、8%、10%または12%(対応する組成物の総質量に対する質量比)の点で異なっている。
【0246】
【表1】
【0247】
得られた3組のキブルの体積密度を、本明細書に記載の方法で測定した。
【0248】
得られた結果を以下の表2に示す。
【0249】
【表2】
【0250】
得られた結果は、これら3つの組成物について同様である。
【0251】
次に、各組成物のキブルの侵入率を、本明細書で詳述した方法にしたがって測定した。
【0252】
侵入率について得られた結果を以下の表3に示す。
【0253】
【表3】
【0254】
本開示の組成物の特定の範囲におけるキブル中の脂肪含有量の変動は、生成されたキブルの体積密度および侵入率に顕著に影響を与えないことが確認された。
【0255】
実施例2:本開示の食品組成物の形状が侵入率に及ぼす影響
以下の組成物4のキブルを、表4にしたがって、従来の丸みのある形状のキブルとして、または四角状の(縦長の)形状のキブルとして製造した。
【0256】
【表4】
【0257】
通常、ほとんどのキブルは、「径方向の」押出、すなわち押出機の出口に対して垂直な生成物の膨張を利用して製造される。
【0258】
また、全く同一の組成を用いて、「縦方向の」押出、すなわち押出機の出口と平行の生成物の膨張を利用してキブルを製造した。
【0259】
この違いは、キブルの内部テクスチャの方向の変化をもたらす。すなわち、押出中の塊状物中の成分の配置は横方向に導かれ、その結果、その中に含まれる気泡の方向が異なる。
【0260】
このようにキブルの内部テクスチャが変化することで、動物の咀嚼の仕方が変化する。実際に、縦方向の押出によってキブルが生成されると、繊維の方向と直交する咀嚼が誘発され、ペットの歯のブラッシングが改善される。
【0261】
使用される押出の形態および種類を唯一の相違点とする上述の2種類のキブルの侵入率を、本明細書で詳述する方法にしたがって測定する。得られた結果を、以下に表5に示す。
【0262】
【表5】
【0263】
したがって、縦長のキブルを使用することにより、丸いキブルと比較して24%の侵入率の増加が観察される。
【0264】
実施例3:食品組成物の湿分が侵入率に及ぼす影響
以下の組成物のキブルを、表6にしたがって、(組成物の総質量に対して)8質量%、または組成物の総質量に対して10.5質量%の量の水(湿分)のいずれかを用いて、四角形状を用いて製造した。
【0265】
【表6】
【0266】
この2種類のキブルの侵入率を本明細書に詳述した方法にしたがって測定し、以下に表7に示す。
【0267】
【表7】
【0268】
したがって、組成物の湿分率を8質量%から10.5質量%に増加させると、24%という侵入率の優れた増加が観察される。
【0269】
実施例4:本開示の組成物内の免疫グロブリン活性の確認
本実験の目的は、本開示の組成物内の膨張した完成品内のジンジパイン抗体(免疫グロブリン=IgY)の活性を調べることであった。より具体的には、対象となる細菌は、優先的にP.ジンジバリス(P. Gingivalis)およびP.グラエ(P. Gulae)である。実際に、この成分は、他の製品(歯磨き粉など)において有効性が実証されているが、ペットフードにおいては全く有効性が実証されていない。ペットフードのプロセス(コーティングプロセスの温度、コーティングにおける酸原料の添加など)によるいくつかの複雑さが、免疫グロブリンの活性に影響を与える可能性がある。
【0270】
本開示によるキブルを、香気、脂肪および免疫卵粉末(IgYを含む)でコーティングした。完成品の3つの試料(試料番号1、試料番号3、および試料番号5)をElisaで分析し、特定のジンジパイン抗体の活性保持量を測定した。なお、コーティング成分を含まないノンコートキブル、および免疫卵粉末を含まないキブル(試料番号2、および試料番号4)をElisaで分析し、陰性対照として使用した。
【0271】
本開示による組成物の3つの試料である番号1、番号3および番号5は100%に近く、これは、本開示による最終組成物に含まれる免疫グロブリンが活性であり、犬の口腔内の健康(=デンタルプラークの低減、および歯肉炎のスコアの低減)に作用することを意味する。
【0272】
【表8】
【0273】
実施例5:歯科用臨床試験
この実験の仮説は、IgY卵粉末/PRN(Plaque Reduction Nutrient、プラーク低減栄養素)/STPPの化学的効果と、本開示の組成物の含気テクスチャの機械的効果との組み合わせが、プラークおよび歯石の蓄積を低減し、清浄歯モデルにおいて口臭を予防し、かつ犬における歯肉炎に関連する細菌の増殖を低減するであろうということである。
【0274】
第1の目的は、犬に1日の配給量の10%を本開示の組成物で与えることによって、対照(Royal Canin Neutered Adult dry)と比較して、歯の健康が改善されること(以下の効果のうち少なくとも1つについて少なくとも15%の減少:口臭に関連する匂い化合物のレベル、歯肉炎スコア、P.ジンジバリス(P. Gingivalis)およびP.グラエ(P. Gulae)の集団、プラークスコア、歯石スコア、および最も重要であるQLFによって検出されるプラーク蓄積)を実証することであった。第2の目的は、「健康な歯肉」について主張するために、食事に免疫卵粉末を添加することの価値を証明することである。
【0275】
1つのグループは、15匹の犬からなる。歯石蓄積の変化を観察するため、各段階を3週間継続する。
【0276】
各生成物(組成物A、組成物B、および対照)を、1日の配分(kcal)の10%与える。残りは、90%のRoyal Canin Neutered Adult dryである。
【0277】
組成物A=IgYでコーティングされたPRN/STPP、配給量の10%
組成物B=IgYなしでコーティングされたPRN/STPP、配給量の10%
対照=Royal Canin Neutered Adult dry、配給量の10%。
【0278】
実施例6:犬における摂取速度
ロイヤルカナン(Royal Canin)の犬舎の15匹の小型犬において、異なる形状(四角形、三角形および円形)の本開示による組成物の3つのバージョンおよび1つの対照生成物の食事時間を評価する(社内実験)。4つの生成物、すなわち、本開示による組成物の3つのバージョン(異なる形状:四角形、三角形、円形)、およびロイヤルカナンの歯科用生成物である1つの対照生成物[図面では「対照」と称する]の同一のカロリーの配給量を提供する。各犬の食事時間(秒単位)を計る。配給量を食べ終えた犬(N=15)のみを分析対象とした。
【0279】
結果を、図1図2および図3に示す。本開示の組成物の3つの形状の間には、食事時間の点で顕著な差はないが、本開示の3つのバージョンの平均と対照生成物との差は非常に顕著であり、同じカロリー含有量で食事時間が180%増加する。これらの結果は、本開示による組成物が、食事時間を増加させ、その結果、当該組成物を食べる動物の歯の磨耗時間を増加させる能力を有することを明確に実証するものである。本実施例は、組成物を消費する動物の歯を磨耗またはブラッシングする優れた能力を実証するものである。
【0280】
実施例7:機能性補助品の形態での生成物の猫における受容性
試験計画は以下のとおりであった。
【0281】
以下の3つの生成物(本開示の3つの異なる形態)の20匹の研究用猫のうち1匹の曝露に関するランキング試験(100gの配給量を猫に提供する)。本実験の目的は、猫がその配給量の10%を本開示の組成物で消費できることを確認することであった。副次的な目的は、咀嚼および嗜好性の観点から3つの形態のうちの1つを特定することである。
【0282】
【表9】
【0283】
本開示による3つの組成物の消費量はほぼ同じであるため、ある形状を分離することはできない。しかし、これら3つの生成物は、平均で1日の配給量の約40%消費され、機能性補助品の目標が10%であることがわかっているため、この生成物は嗜好性があると考えられ、この生成物の受容性が、猫において実証された。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
低密度乾燥食品組成物であって、前記組成物は、
a.前記組成物の総質量に対して約15質量%~約30質量%の範囲の量のタンパク源と、
b.前記組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%の範囲の量の脂肪源と、
c.前記組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%の範囲の量のデンプン源と、
d.前記組成物の総質量に対して約3質量%~約12質量%の範囲の量の総食物繊維源と
を少なくとも含み、前記組成物は、少なくとも約30%の侵入率を有する、低密度乾燥食品組成物。
実施形態2
約30%~約75%、特に約35%~約65%、より具体的には約35%~約60%の侵入率を有する、実施形態1に記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態3
前記組成物の総質量に対して約18質量%~約25質量%の範囲の量のタンパク源を含む、実施形態1または2に記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態4
前記タンパク源は、植物性タンパク源、動物性タンパク源およびそれらの混合物から選択される、実施形態1から3までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態5
前記植物性タンパク源は、ダイズ、ヒヨコマメ、エンドウ、コーングルテン、レンズマメおよび大麦の植物性タンパク質、より具体的にはコーングルテンの植物性タンパク質、またはそれらの混合物から選択される、実施形態4に記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態6
前記動物性タンパク源は、家禽肉、牛肉、鶏肉、チキンミール、子羊肉、ラムミール、乾燥卵、魚、魚粉、肉骨粉、肉副産物、昆虫、および肉粉の動物性タンパク質、より具体的には家禽の動物性タンパク質、およびそれらの混合物から選択される、実施形態4に記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態7
前記タンパク源は、コーングルテンの植物性タンパク質および家禽の動物性タンパク質から選択される、実施形態4から6までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態8
動物性タンパク質対植物性タンパク質の比は、約1:2~約2:1、特に2:1である、実施形態4から7までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態9
前記組成物の総質量に対して約5質量%~約15質量%の範囲の量、特に約8質量%~約12質量%の量の脂肪を含む、実施形態1から8までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態10
前記脂肪は、豚脂、豚ラード、家禽脂、鶏脂、牛脂、羊脂、魚油、およびヒマワリから選択され、特に豚脂である、実施形態1から9までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態11
前記組成物の総質量に対して約35質量%~約65質量%、特に約37質量%~約55質量%の範囲の量のデンプンを含む、実施形態1から10までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態12
前記デンプンは、小麦デンプン、大麦デンプン、タピオカデンプン、小麦粉デンプン、トウモロコシ粉デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、エンドウデンプンおよびオート麦デンプンから選択され、特に小麦デンプン、小麦粉デンプンおよびトウモロコシ粉デンプンから選択される、実施形態1から11までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態13
前記組成物の総質量に対して約4質量%~約10質量%、特に約5質量%~約8質量%の範囲の量の総食物繊維源を含む、実施形態1から12までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態14
前記繊維は、ビートパルプ繊維、ダイズ皮繊維、小麦ふすま繊維、セルロース繊維、チコリ繊維、トウモロコシ繊維、米ぬか繊維、全粒オート麦繊維および全粒大麦繊維、より具体的にはチコリ繊維、およびそれらの混合物から選択される、実施形態1から13までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態15
前記組成物の総質量に対して約2質量%~約10質量%、特に約3質量%~約9質量%、より具体的には約5質量%~約6.5質量%の範囲の量の灰分をさらに含む、実施形態1から14までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態16
約100g/L~約250g/L(約100kg/m ~約250kg/m )の範囲の体積密度を有する、実施形態1から15までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態17
前記組成物の総質量に対して約2質量%~約11質量%、特に約5質量%~約11質量%、特に約8質量%~約11質量%の範囲の量の水を含む、実施形態1から16までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態18
有効量の免疫グロブリン、好ましくはIgY抗体を含む、実施形態1から17までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態19
約50%~約85%の空隙率を有する、実施形態1から18までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態20
前記組成物は、予備糊化デンプンを含まない、実施形態1から19までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態21
前記組成物は、グリセロールを含まない、実施形態1から20までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態22
約5mm~14mmの幅および約8mm~20mmの長さの矩形底部を有する実質的に石畳の形状を有する、実施形態1から21までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態23
約7mm~約30mm、特に約8mm~約25mm、より具体的には約10mm~約20mmの厚さを有する、実施形態1から22までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態24
前記組成物はキブルである、実施形態1から23までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態25
ペットにおける口腔内の健康の、特に歯の健康の改善および/または維持に適した、実施形態1から24までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態26
デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭からなる群から選択される障害の予防および/または処置に使用するための、実施形態1から24までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物。
実施形態27
デンタルプラーク、歯肉炎、歯石および口臭から選択される障害の予防および/または処置を、それを必要とする動物において行う方法であって、前記方法は、実施形態1から24までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法。
実施形態28
動物において歯の健康を改善および/または維持するための方法であって、前記方法は、実施形態1から24までのいずれか1つに記載の低密度乾燥食品組成物を、それを必要とする前記動物に与えるステップを少なくとも含む、方法。

図1
図2
図3