(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付アセンブリ、及びスペーサを使用して摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付システムと共に使用するためのラグ部材
(51)【国際特許分類】
E02F 9/28 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
E02F9/28 A
(21)【出願番号】P 2022562920
(86)(22)【出願日】2021-03-31
(86)【国際出願番号】 US2021025029
(87)【国際公開番号】W WO2021216259
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クンツ、フィリップ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カンポマーヌ、パトリック エス.
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0370076(US,A1)
【文献】特表2009-521628(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0022690(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0044895(US,A1)
【文献】特表2015-507112(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗部材(14)を作業器具(10)に取り付けるための取付アセンブリ(200)であって、前記取付アセンブリ(200)は、
スペーサ(104)と、
ラグ部材(106)と、を備え、前記ラグ部材(106)は、
滑動方向(112)をさらに画定する滑動溝(110)と、前記滑動方向(112)に沿って配置される第1の端部(116)と、前記滑動方向(112)に沿って配置される第2の端部(118)と、を画定する滑動プラットホーム(108)と、
前記滑動方向(112)に沿って前記滑動プラットホーム(108)の第1の端部(116)に近接して配置されるスペーサ係合表面(122)を画定するスペーサ係合突出部(120)と、を含
み、
前記ラグ部材(106)は、前記スペーサ(104)の底面(132a)に係合するように構成されるスペーサ係合底面(124a)を画定する、取付アセンブリ(200)。
【請求項2】
滑動プラットホーム(108)から下方に延び、前記滑動方向(112)に沿って前記滑動プラットホーム(108)の第1の端部(116)に近接して配置される作業器具係合ラグ(126a)をさらに備える、請求項1に記載の取付アセンブリ200。
【請求項3】
前記作業器具係合ラグ(126a)は、前記スペーサ係合表面(122)を画定する前面(122b)を画定する、請求項2に記載の取付アセンブリ200。
【請求項4】
前記スペーサ(104)は、円弧状凸面(202)を含む円筒形構成を含み、前記スペーサ係合表面(122)は、前記
円弧状凸面(202)に係合するように構成される円弧状凹面(204)を含む、請求項3に記載の取付アセンブリ200。
【請求項5】
前記スペーサ(104)は、ねじ穴(136)を備えた上端面(134a)及び底面(132a)を画
定する、請求項4に記載の取付アセンブリ200。
【請求項6】
前記滑動溝(110)は、前記滑動プラットホーム(108)を通って前記滑動プラットホーム(108)の第1の端部(116)から第2の端部(118)まで完全に延びる、請求項1に記載の取付アセンブリ200。
【請求項7】
スペーサ(104)を使用して摩耗部材(14)を作業器具(10)に取り付けるための取付システムと共に使用するためのラグ部材(106)であって、前記ラグ部材(106)は、
滑動方向(112)をさらに画定する滑動溝(110)と、前記滑動方向(112)に沿って配置される第1の端部(116)と、前記滑動方向(112)に沿って配置される第2の端部(118)と、を画定する滑動プラットホーム(108)と、
前記滑動プラットホーム(108)から下方に延びるスペーサ係合突出部(120)と、を備え
、
前記スペーサ係合突出部(120)は、前方を向いた停止面(122c)と、前記スペーサ(104)に係合するように構成される底部停止面(124b)と、を画定する、ラグ部材(106)。
【請求項8】
前記スペーサ係合突出部(120)は、後方を向いたフック部分(128a)を含む摩耗器具係合突出部(126b)でもある、請求項7に記載のラグ部材(106)。
【請求項9】
前記スペーサ係合突出部(120)は、前記滑動プラットホーム(108)の第1の端部(116)に近接して配置され、前記ラグ部材(106)は、前記滑動プラットホーム(108)から上方に延び、前記摩耗器具係合突出部(126b)と前記滑動方向(112)に沿った前記滑動プラットホーム(108)の第2の端部(118)との間に配置される圧縮ボルトアセンブリ係合部分(138a)をさらに備える、請求項
8に記載のラグ部材(106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バケットなどの作業器具への摩耗部材の保持に関するものである。具体的には、本開示は、そのような作業器具に摩耗部材を取り付けるためのハンマーレス(hammerless)及びウエルドレス(weldless)ボスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ、ケーブルショベル、ドラッグライン、電動ロープショベル(ERS)、掘削機、及びフロントショベルなどの土工及び掘削機械には、一般的に土、岩、破片又は他の物質を掘り下げたり、破ったり、ほかの方式で移動させるために使用される器具が含まれる。このような器具は、一般に、バケットのタイプと特定のバケットを採用する機械のサイズとに応じて形状及び寸法を有する、様々なタイプのバケットである。これらの器具は、それらを摩耗させる原因となる摩滅及び衝撃にさらされる。これらの器具の耐用年数を延長するために、様々なシュラウド又は摩耗部材を、摩耗を受けやすい領域において土工及び掘削用器具に接続させることができる。これらの摩耗部材は、それらを交換する必要がある程度にまで摩耗してきた際に、摩耗部材の交換を可能にする保持又は取付システムを使用して器具に接続し得る。
【0003】
摩耗部材が備えられた一部の器具は、摩耗部材を器具上の所定位置に保持することを可能にするために、1つ以上の構成要素を器具に溶接することを必要とした。その他の器具は、様々な複数構成要素保持システムを採用しており、ここで構成要素のうち1つ以上には、所定位置においてハンマ―で衝撃を与えて、摩耗部材を器具上の所定の位置に保持しなければならない。摩耗の極端な状態の結果、それ自体を頻繁に交換する必要があり得る溶接構成要素の使用は、特に作業現場でメンテナンスを行わなければならない場合に問題となる可能性がある。所定位置でハンマリングする必要がある保持システムの使用も問題となる可能性があり、所定位置での設置及び取り外しが難しい場合がある。ウエルドレスでもありハンマーレスでもあるシュラウド/摩耗部材保持システム、すなわち、器具に保持部品を溶接する必要がなく、所定位置でハンマリングしなければならない保持部品を必要としないものは、有益でもあり、かつ望ましいものであろう。さらに、組み立てられたシュラウド/摩耗部材保持システムは、早期の故障を回避する方式で配置された協働構成要素を有している必要がある。
【0004】
例えば、米国特許番号第10,407,880号は、ラグ部材と、ラグ部材上で滑動する方式で保持されるボス部材と、を含む保持システムを開示している。ラグ部材は、バケット又は他の作業器具上で発見されるアパーチャに挿入され得るが、ボス部材は、ロックリテーナを単純に回転させることによって摩耗部材をバケットに取り付け可能にするCAPSUREの商標名で市販されている保持システムと共に使用され得る。摩耗部材が摩耗した場合、ロックリテーナをロック解除構成に回転させると、摩耗部材が取り外し可能になる。ボス部材又が、保持システムの他の部分を交換する必要がある場合、これも容易に達成できる。
【0005】
しかし、この保持システムは、開示された保持システムと保持システムを受容する作業器具のアパーチャとの様々な寸法の違いに起因して、現在、現場にあるすべての作業器具及び摩耗部材と共に機能するとは限らない。
【発明の概要】
【0006】
摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付アセンブリは、本開示の実施形態に従って提供される。取付アセンブリは、スペーサと、ラグ部材と、を備え得、ラグ部材は、滑動方向をさらに画定する滑動溝と、滑動方向に沿って配置される第1の端部と、滑動方向に沿って配置される第2の端部と、を画定する滑動プラットホームを含む。スペーサ係合突出部は、滑動方向に沿って滑動プラットホームの第1の端部に近接して配置されるスペーサ係合表面を画定するラグ部材に提供され得る。
【0007】
スペーサを使用して摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付システムと共に使用するためのラグ部材は、本開示の実施形態に従って提供される。ラグ部材は、滑動方向をさらに画定する滑動溝と、滑動方向に沿って配置される第1の端部と、滑動方向に沿って配置される第2の端部と、を画定する滑動プラットホームを備え得る。ラグ部材は、滑動プラットホームから下方に延びるスペーサ係合突出部をさらに備え得る。
【0008】
摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付システムは、本開示の実施形態に従って提供される。取付システムは、スペーサと、ラグ部材と、を備え得、ラグ部材は、滑動方向をさらに画定する滑動溝と、滑動方向に沿って配置される第1の端部と、滑動方向に沿って配置される第2の端部と、を画定する滑動プラットホームを含む。滑動方向に沿って滑動プラットホームの第1の端部に近接して配置される、少なくとも第1のスペーサ係合表面を画定するスペーサ係合突出部が提供され得る。滑動ボス部材も提供され得る。スペーサは、少なくとも第1のスペーサ係合表面に係合し得、滑動ボス部材、滑動溝内に配置され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に含まれ、その一部を構成する添付の図面は、本開示の幾つかの実施形態を示し、本説明と一緒に本開示の原理を説明する役割をする。
【
図1】本開示の様々な実施形態に従ってシュラウド/摩耗部材などの摩耗部材を作業器具に取り付けるための取付システムを使用し得るバケット又はスクープなどの作業器具の斜視図である。
【
図2】
図1のバケットの拡大斜視図であり、作業工具及びシュラウド/摩耗部材を取り外した状態であり、その設置状態において示されている本開示の一実施形態による取付システムを見せている。
【
図3】摩耗部材をバケットのリップ上に保持する取付システムを示す
図2のバケットの側面断面図である。
【
図4】取付システムの一部分の部分分解組立図であり、滑動ボス部材が、ラグ部材に取り付けられた状態であり、ラグ部材のラグが、
図5に示されるように挿入が完了するまでバケットのアパーチャに挿入されるサブアセンブリを形成している。
【
図5】
図4に示すように挿入方向に沿ってラグが取り外されるのを防止するのに役立つアンダーカットを形成する、
図6に示すようにラグがバケットの下側をつかまえるまで後方に滑動する
図4の取付システムを示す。
【
図6】滑動ボス部材が
図7の最後方の位置を達成するまでの、滑動ボス部材の後方滑動を示す。
【
図7】
図2~
図6の取付システムと共に使用されるスペーサが作業器具のアパーチャに挿入される様子を示す。スペーサは、
図8に示すようにラグ部材及び摩耗部材の両方に係合するまで挿入される。
【
図8】ラグ部材の前方移動を防止し、取付システムをバケットのアパーチャに保持するのに役立つスペーサを示す。
図9に示すように、スペーサにわたって通過するまで前方に滑動する滑動ボス部材が示されている。
【
図9】本出願の譲受人が販売するCAPSURE保持システムを使用して取付システム上に保持されている摩耗部材を受容する準備ができている(
図3を参照)、所定位置にロックされた取付システムを示す。
【
図10】スペーサ無しで
図2~
図9に示されているものと同様の取付システムの分解組立図である。
【
図11】
図10の取付システムの滑動機能を示す(
図2~
図9の取付システムに、類似又は同一の滑動機能及び/又はアセンブリが提供されていることを理解する必要がある)。
【
図12】適切に位置決めされると、滑動ボス部材の望まれていない移動を防止するためのジャムナットの使用を示す。
【
図13】バケットから取り外された
図2の取付システムの上面図であり、スペーサ、ラグ部材、滑動ボス部材、ピン、及び圧縮ボルトアセンブリなどを含むその構成要素をより明確に見せている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。可能な限り、図面全体にかけて同一の参照番号が同一又は類似の部分を指すために使用されるであろう。幾つかの場合、参照番号が本明細書に表示され、図面は、後に文字が続く参照番号、例えば、100a、100b、又は後にプライムが続く参照番号、例えば100’、100’’などを示すであろう。参照番号のすぐ後に文字又はプライムを使用することは、これらの特徴が類似した形状であり、類似した機能を有し得ていることを示し、これは、幾何形状が対称面を中心に鏡像をなす場合によく行われることを理解されたい。本明細書では説明の便宜のために、文字及びプライムが本明細書に含まれない場合も多くあるが、記述された本明細書内で論じられる類似又は同一の機能又は幾何学的構造を有する特徴の重複を表示するために図面に示すこともできる。
【0011】
例えばバケットアセンブリなどの作業器具に摩耗部材を取り付けるための取付システム(保持システムとも呼ばれる場合がある)、ラグ部材、及びスペーサに関して装置及び方法の様々な実施形態が本明細書に説明される。
【0012】
幾つかの実施形態では、取付システムによって、既に現場にある作業器具用の摩耗部材のより容易な交換を可能になる。
【0013】
図1は、バケット12の形態をとった器具10を示す。バケット12は、開示された実施形態に従って1つ以上の摩耗部材14及び摩耗部材取付システム100を含み得る。器具10が
図1に示され、バケット12として説明されているが、摩耗部材保持システムの開示された実施形態がバケット以外の器具に関連して採用され得ることを理解されたい。
【0014】
例えば、開示された実施形態による摩耗部材取付システム100は、バケット、スクープ、又はその他の掘削又は物質取扱い器具に取り付けられ得る別の地面係合エッジ又はリップ部材上で採用され得る。バケット12は、例えば、電動ロープショベル(
図1に示す)、ドラッグライン、油圧掘削機、バックホー、履帯式又は車輪付きローダなど、種々の機械に採用されるタイプのものであり得、それが採用されている機械のタイプに応じて多少異なるように成形され得る。幾つかのバケット又はその他の器具は、1つ以上のアパーチャを含み得、1つ以上のアパーチャは、様々なタイプの交換可能な摩耗部材をそれらに固定することを目的とした様々なファスナー又は保持部材を受容し得る。このような既存のアパーチャは、摩耗部材取付システム100の開示された実施形態に関連して便利に使用され得る。
【0015】
バケット12は、採掘エッジ、カッティングエッジ、エッジ部材などと呼ばれることもあるリップ部分16と、物質を収容するための収容器部分17を画定する1つ以上の壁部材と、を含み得る。例えば、バケット12の収容器部分17は、底部と背面として機能し得る一次壁部材18と、2つの側壁部材20及び22と、を含み得る。バケットが採用され得る機械のタイプに応じて、その他のバケット形態が考慮される。リップ部分16には、複数の歯アセンブリ24、及び複数の摩耗部材14が提供される。例えば、摩耗部材14は、隣接する歯アセンブリ24の各ペアの間に提供され得る。リップ部分16は、例えば、ボルト又はその他のファスナーによって固定されて、バケット12から取り外し可能であってもよく、又は例えば、一次壁部材18などに溶接された、バケット12の固定構成要素であってもよい。
【0016】
図2及び
図3は、完全な設置状態にあり、本開示の譲受人によってCAPSUREの商標名で販売されている保持機構50を使用して、取付システム100の露出したボス102に取り付けられ得る摩耗部材14を受容する準備ができている取付システム100を示す。ボス102は、円錐台形、円筒形、球形などの任意の適切な形状を有し得る。
【0017】
図2に最もよく示されるように、取付システム100は、摩耗部材14を作業器具10(例えば、バケット12)に取り付けるために使用され得、スペーサ104と、滑動ボス部材114のための滑動方向112をさらに画定する滑動溝110(
図1も参照)を画定する滑動プラットホーム108を含むラグ部材106と、を備え得る。滑動プラットホーム108はまた、滑動方向112に沿って配置される第1の端部116(前端部とも呼ばれることもある)と、滑動方向112に沿って配置される第2の端部118(後端部と呼ばれることもある、
図3を参照)と、を含み得る。
【0018】
ラグ部材106は、滑動方向112に沿って滑動プラットホーム108の第1の端部116に近接して(つまり、第1の端部116のわずかに前方にあるか、又は滑動方向112に沿ってそれと共にあることさえある)配置される少なくとも第1のスペーサ係合表面122を画定するスペーサ係合突出部120を含み得る。少なくとも第1のスペーサ係合表面122は、スペーサ104に係合し得る。また、滑動ボス部材114は、滑動溝110内に配置され得、スペーサ104の上に少なくとも部分的に配置され得、スペーサ104が大幅に上方に移動しないように防いでいる(
図3を参照)。これは、本開示の他の実施形態においては当てはまらない場合がある。
【0019】
幾つかの実施形態では、少なくとも第1のスペーサ係合表面122は、前方を向いた表面122a(円弧状面であり得るが、必ずしもその必要はない)である。上方に向いている第2のスペーサ係合表面124も提供され得る(水平方向の平らな表面であり得るが、必ずしもその必要はない)。
【0020】
本明細書で先に示唆したように、作業器具10は、アパーチャ26を画定し、スぺーサー104が作業器具10に係合していて、ラグ部材106のスペーサ係合突出部120が同時に係合している状態で、スペーサ104、並びにラグ部材106のスペーサ係合突出部120はアパーチャ26内に配置され得る。したがって、取付システムは、この時に器具に固定されており、意図せずにアパーチャから脱落しない。第2のスペーサ係合表面124は、本明細書の後半で示されるように、組み立て中にスペーサ104がアパーチャを通過するのを防止するのに役立ち得る。
【0021】
同じ目的で、ラグ部材106は、作業器具10に係合し、スペーサ係合突出部120と一体となるラグ部分126を含む。他の実施形態では、ラグ部分は、スペーサ係合突出部から分離されてもよい。ラグ部分126は、作業器具10の下側をつかまえる、後方を向いたフック部分128を含み得、取付システム100が意図せずに取り外されるのを防止するのにも役立つ。
【0022】
図2及び
図3に示されている特定の実施形態については、スペーサ104は、円筒状本体130と、平らな底面132(例えば、
図3において最もよく示される水平面)と、を含む。スペーサの他の構成は、長方形などを含む本開示の他の実施形態で可能である。また、スペーサ104を持ち上げるためのねじ穴136を有する平らな上端面134(例えば、水平面)が提供されてもよい。このような特徴は、本開示の他の実施形態においては省略され得る。
【0023】
図2において最もよく示されるように、前方を向いた表面122aは、スペーサ104の円筒状本体130(例えば、円弧状凸面及び円弧状凹面の界面)と整合することが可能であり、
図3において最もよく示されるように、第2のスペーサ係合表面124は、平らにすることが可能であり(例えば、水平面)、スペーサ104の平らな底面132に接触する。したがって、この表面124は、スペーサ104が幾つかの実施形態において着座するためのプラットフォームを提供する。このような特徴は、本開示の他の実施形態においては省略され得る。
【0024】
図3、及び
図13~
図15を見ると、ラグ部材106は、滑動方向112に沿って滑動プラットホーム108の第1の端部116と第2の端部118との間に配置される上方に延びる壁138を含み得、滑動ボス部材114は、滑動方向112に沿ってラグ部材106の滑動プラットホーム108の第2の端部118に近接して配置される上方に延びるヘッド140を含む。
【0025】
少なくとも1つの圧縮ボルトアセンブリ142は、ラグ部材106の上方に延びる壁138と、滑動ボス部材114の上方に延びるヘッド140との間に介在し得る。このアセンブリ142は、本明細書で一時的に詳細に論じられる方式で、ラグ部材106に対して滑動ボス部材114を移動させるために使用され得る。
【0026】
滑動ボス部材114の滑動距離を、それがラグ部材106の滑動プラットホーム108の滑動溝110に載るときに、制限するためにピン部材144が提供され得る。より具体的には、滑動ボス部材114は、上方に延びるヘッド140から前方に延びる滑動部分146を含む。滑動部分146は、垂直貫通穴148(
図3を参照)を画定してもよく、ラグ部材106の滑動プラットホーム108は、垂直貫通穴148と連通している細長いスロット150を画定してもよい。ピン部材144は、垂直貫通穴140と細長いスロット150内に配置される。したがって、滑動部分114が、ラグ部材106の上方に延びる壁の貫通アパーチャ152を通って延び、かつ滑動するときに、ピン部材は、細長いスロット150(例えば、
図3及び
図7を参照)の末端に接触する。
【0027】
ピン部材144は、
図3及び
図10に示すように、ナット156に篏合するねじファスナー154の形態、又はダウエルピン、ロールピンなどの他の形態をとることができる。
【0028】
ここで、
図10~
図12に目を向けて、圧縮ボルトアセンブリ142の詳細について、滑動ボス部材114の移動を実現するためにその構成、組み立て、及び操作の方法を含めて論じられる。
【0029】
図10から始めると、圧縮ボルトアセンブリ142は、六角頭160を備えたボルト158、及びねじ付きシャフト162を備え得る。ツマミナット164及びジャムナット166は、ねじ付きシャフト162にねじ込まれてもよい。その前に、ナットスペーサ168は、六角頭162に近接して配置されているねじ付きシャフト162上に配置され得るが、必ずしもそうする必要はない。六角頭160は、貫通アパーチャ152の隣の上方に延びる壁138上で発見される凹部170(盲になっている)内に配置され得る。凹部170は、六角頭160を受容して、そこに設置されたときにボルト158の回転を防止するように、少なくとも部分的に相補的に成形されてもよい。
【0030】
圧縮ボルトアセンブリ142がラグ部材106’に取り付けられた後、滑動ボス部材114は、ねじ付きシャフト162の自由端部が滑動ボス部材114の上方に延びるヘッド140上で発見されるクリアランスホール172内へ通過するまで滑動溝110’内へ滑動し得る(
図12を参照)。このような2つの圧縮ボルトアセンブリは、示されているように提供されてもよいが、必ずしもそうする必要はない。圧縮ボルトアセンブリ142及びその構成要素の他の構成は、本開示の他の実施形態において可能である。
【0031】
図11に示されているように、当初、ツマミナット164及びジャムナット166は、互いに対して及びナットスペーサ168に対して緩んでいるため、ツマミナット164が回転可能になる。一方向に回転することによって、ツマミナット164は、上方に延びるヘッド140を押し、滑動ボス部材114は、ラグ部材106’から離れて作業器具の内部に向かって内方に移動する。他の方向に回転することによって、上方に延びるヘッド140とツマミナット164との間にはクリアランスが形成され、ユーザが上方に延びるヘッド140を押すことが可能になり、滑動ボス部材114は、ラグ部材106’及び作業器具のリップに向かって外方に移動する。通常、滑動ボス部材114は、リップに向かって押され、これにより保持機構50のロックリテーナ52を回転させて、摩耗部材14を作業器具上にロックすることができる。次に、ボス102とロックリテーナ52との間でぴったりとした接触が行われるように、滑動ボス部材114は、164ツマミナットを介して引き出される(
図3も参照)。
【0032】
図12では、目的の位置が達成されると、ジャムナット166は、ツマミナット164に突き当たるように締め付けられ、作業器具が使用の準備ができるように所望される位置を維持するのに役立つ。
【0033】
ここで、
図13~
図15に焦点を当てると、取付システム100のための交換キットとして又は現場での改造部品として提供され得る取付アセンブリ200について説明する。
【0034】
取付アセンブリ200は、スペーサ104と、ラグ部材106と、を備え得、ラグ部材106は、滑動方向112をさらに画定する滑動溝110と、滑動方向112に沿って配置される第1の端部116と、滑動方向112に沿って配置される第2の端部118を画定する滑動プラットホーム108と、を含む。本明細書で先に示唆したように、ラグ部材106はまた、滑動方向112に沿って滑動プラットホーム108の第1の端部116に近接して配置されるスペーサ係合表面122を画定するスペーサ係合突出部120を含み得る。
【0035】
ラグ部材106はまた、滑動プラットホーム108から下方に延び、滑動方向112に沿って滑動プラットホーム108の第1の端部116に近接して配置される(すなわち、第2の端部118よりも第1の端部116に近い)作業器具係合ラグ126aを含み得る。作業器具係合ラグ126aは、スペーサ係合表面122を画定する前面122bを画定し得る。
【0036】
スペーサ104は、凸状円筒面202を含む円筒形構成(円筒形、円錐形、楕円形、多項式などであり得る)を含み得、スペーサ係合表面122は、おそらく整合する方式で、凸状円筒面202に係合するように構成される円弧状凹面204を含み得る。本開示の他の実施形態では、これらの表面の他の構成が可能である。スペーサ係合表面は、「V字型の」構成などを有し得る。
【0037】
スペーサ104は、ねじ穴136及び底面132aを備えた上端面134aを画定する。作業器具係合ラグ126aは、スペーサ104の底面132aに係合するように構成されるスペーサ係合底面124aを画定し得る。このような特徴は、本開示の他の実施形態においては省略され得る。
【0038】
図13~
図15に示すように、滑動溝110は、滑動プラットホーム108を通って滑動プラットホーム108の第1の端部116から第2の端部118まで完全に延びる。これは、本開示の他の実施形態においては当てはまらない場合がある。
【0039】
図13~
図15継続的に参照すると、ラグ部材106は、本明細書で先に説明されたように、取付システム100又は取付アセンブリ200で使用するために現場での交換部品又は改造部品として提供されてもよい。
【0040】
ラグ部材106は、滑動方向112をさらに画定する滑動溝110と、滑動方向112に沿って配置される第1の端部116と、滑動方向112に沿って配置される第2の端部118を画定する滑動プラットホーム108と、を含み得る。ラグ部材106はまた、滑動プラットホーム108から下方に延びるスペーサ係合突出部120を有し得る。
【0041】
スペーサ係合突出部120は、前方を向いた停止面122cと、スペーサ104に係合するように構成される底部停止面124bと、を画定し得る。これらの表面122c、124bのうち1つ以上は、本開示の他の実施形態では、図示されているものとは異なって構成されたり、完全に省略されたりしてもよい。
【0042】
幾つかの実施形態では、スペーサ係合突出部120は、後方を向いたフック部分128aを含む摩耗器具係合突出部126でもある。本開示の他の実施形態では、他の構成も可能である。
【0043】
スペーサ係合突出部120は、滑動プラットホーム108の第1の端部116に近接して配置され、ラグ部材106は、滑動プラットホーム108から上方に延び、摩耗器具係合突出部126bと滑動方向112に沿った滑動プラットホーム108の第2の端部118との間に配置される圧縮ボルトアセンブリ係合部分138aをさらに備える。
【0044】
ロックリテーナ、滑動ボス部材、及びラグ部材は、鋼、鉄、ねずみ鋳鉄、鋳鉄などの硬質物質で製造され得る。
【0045】
保持機構、取付システム、取付アセンブリ、滑動ボス部材、及びラグ部材、並びにその構造、構成、組み立て方法などの詳細は、例としてのみ提供されることに注意する必要があり、本開示の他の実施形態が可能であることが考慮される。
【0046】
本明細書で論じられた滑動ボス部材及びラグ部材の任意の実施形態の様々な特徴の配置、機能、及び寸法は、必要に応じて変更されるか、又は本明細書で具体的に述べられているものとは異なることが望ましい場合がある。
【産業上の利用可能性】
【0047】
実際には、ラグ部材、取付アセンブリ、取付システム、前述のいずれかを使用した作業器具、又は本明細書に記載されている任意の実施形態による、これらの構成要素のいずれかを使用した機械は、販売、購入、製造、又はその他の方式でOEM(相手先商標製造会社)又はアフターマーケット市場状況(after-market context)で取得されてもよい。
【0048】
取付システム100は、摩耗部材14を作業器具10に取り付けるために次のように組み立てられ、且つ使用され得る。
【0049】
方法300は、次のステップを含み得る。最初に、滑動ボス部材、ラグ部材、及び圧縮ボルトアセンブリは、
図10(に示すように組み立てられる302とラベル付けされた矢印を参照)。
【0050】
次に、このサブアセンブリは、
図4に示すように、作業器具のアパーチャに挿入される(矢印304を参照)。
【0051】
アパーチャに完全に挿入されると、このサブアセンブリは、ラグが
図5に示すように、ラグが作業器具に係合するまで最右の位置まで移動する(矢印306を参照)。ほぼ同時に、滑動ボス部材は、右に移動する(矢印308を参照)。
【0052】
ここで、
図8に示すように、スペーサは、ラグ部材及び作業器具の両方に係合するまで、アパーチャに挿入され得る(
図7の矢印310を参照)。
【0053】
次に、滑動ボス部材が左に移動し(
図8の矢印312を参照)、
図9に示すようにスペーサを所定位置にトラップする。ここで、取付システムは、作業器具上にロックされ、意図せずに取り外される可能性はない。
【0054】
摩耗部材は、作業器具のリップにわたって挿入され(
図3の矢印314で表される)、リテーナロックは回転し(
図11の矢印316で表される)、摩耗部材を作業器具上に固定する。
図11及び
図12を参照して本明細書で以前に論じられたように、リテーナロックを回転させる前後に、幾つかの微調整を実行することもできる。
【0055】
摩耗部材が摩耗した場合、又は取付システムの任意の構成要素のメンテナンスが望ましい場合、ユーザは、ロックリテーナをラチェットなどのツールでロック解除構成に回転させることができる。次に、摩耗部材は、取り外され得る。取付システムは、方法300のステップを逆にすることによって分解され得る。前述の装置及び方法は、すでに現場にあるものを含む作業器具に取り付けられた摩耗部材の、より容易で信頼性の高い組み立て及び分解を可能にし得る。
【0056】
本発明(単数又は複数)の範囲又は精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置及び組み立て方法の実施形態に対して様々な変更及び変形が行われ得ることは、当業者には明らかであろう。本開示の他の実施形態は、本明細書、及び本明細書に開示した様々の実施形態の実施を考慮することから、当業者には明らかになるであろう。例えば、一部の装備は、本明細書で説明されたものとは異なるように構築され、かつ機能する場合があり、任意の方法の特定のステップが省略されたり、具体的に述べたものとは異なる順序で実行されたり、場合によっては同時に又はサブステップで実行されたりする場合がある。さらに、様々な実施形態の特定の態様又は特徴に対する変形又は変更が行われて、さらなる実施形態を生成し得、さらなる実施形態を提供するために、様々な実施形態の特徴及び態様が、他の実施形態の他の特徴又は態様に追加又は置換され得る。
【0057】
よって、本明細書及び例は、単に例示的なものと見なされるべきであり、本発明(単数又は複数)の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物によって示されることが意図されている。