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特許7518199大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/06
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022566693
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-13
(86)【国際出願番号】 CN2022114078
(87)【国際公開番号】W WO2023103455
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-04-19
(31)【優先権主張番号】202111473070.5
(32)【優先日】2021-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520480751
【氏名又は名称】国網福建省電力有限公司
【氏名又は名称原語表記】State Grid Fujian Electric Power Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 257 Wusi Road, Gulou District, Fuzhou, Fujian Province, China
(73)【特許権者】
【識別番号】522426917
【氏名又は名称】国網福建省電力有限公司経済技術研究院
【氏名又は名称原語表記】State Grid Fujian Economic Research Institute
【住所又は居所原語表記】Floor 5-10, Building 1#, State Grid Fujian Electric Power Fuzhou Chayuan Road Production Base, No. 68, Chayuan Road, Chayuan Street, Jin’an District, Fuzhou, Fujian Province, China
(73)【特許権者】
【識別番号】507393540
【氏名又は名称】武▲漢▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林偉偉
(72)【発明者】
【氏名】叶栄
(72)【発明者】
【氏名】林毅
(72)【発明者】
【氏名】黄海
(72)【発明者】
【氏名】方朝雄
(72)【発明者】
【氏名】唐雨晨
(72)【発明者】
【氏名】陳小月
(72)【発明者】
【氏名】苑玉寛
(72)【発明者】
【氏名】文習山
(72)【発明者】
【氏名】楊建軍
(72)【発明者】
【氏名】李景一
【審査官】山崎 雄司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106503839(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112487659(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法であって、
風力発電機を順序付けし、風力発電機容量、様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限を入力するステップS1と、
様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限に基づいて、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数を算出するステップS2と、
切断点染色体の生成式における調整変数の行列に基づく改良された片親遺伝的アルゴリズムを実行し、様々な型番の海底ケーブルが耐えられる最大の風力発電機容量を考慮した、全ライフサイクルコストの最も低い集電システムのトポロジー構造を生成するステップS3とをコンピュータに実行させる
ことを特徴とする大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項2】
ステップS2において、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数の計算式は、以下のとおりである、ことを特徴とする請求項1に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
(式中、floorは床関数であり、Scmaxは集電海底ケーブルに接続可能な最大容量であり、Pは風力発電機ユニットの定格容量である。)
【請求項3】
前記ステップS3は、具体的に、
初期集団を生成するステップS31であって、集団のコーディング方式としては整数コーディングが採用され、初期集団は、直接的に生成された海底ケーブルの電流容量制限を満たす初期集団であり、具体的な生成方法は、
2つの染色体セグメントにより集電システムのトポロジー構造を共同で表し、ここで、一方の染色体は風力発電機配列染色体であり、XLと表記され、その長さが風力発電所の風力発電機の総数であり、他方の染色体は切断点染色体であり、DDと表記され、その長さが集電システムの給電線の数から1を引いたものであり、これにより、集電システムのトポロジー構造が複数本の給電線に分割されることを確保することであるステップS31と、
2つの染色体のセグメントによって表されるトポロジー構造に基づいて、集電システムの全ライフサイクルコストである目的関数を算出するステップS32と、
最大遺伝世代数を進化の終了条件として使用し、終了条件を満たすかどうかを判断するステップS33と、
選択操作を行い、集団個体を8個ずつのグループに分け、各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造を選択するステップS34と、
遺伝オペレーター操作を行い、選択された各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造に対して逆位、交換及び位置移動操作を行って新たな集団を生成するステップS35と、
ステップS33~S35を繰り返し、終了条件に達するまで反復演算を繰り返し、最適なトポロジー構造を出力するステップS36とによって実現される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項4】
前記切断点染色体の生成式は、以下のとおりである、ことを特徴とする請求項3に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
(式中、nmaxは1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数であり、Nは集電システムの給電線の数であり、cumsumは累積和関数であり、jは調整変数である。)
【請求項5】
切断点染色体を生成する際に、自由点変数d及び調整変数jの2つの変数が設定され、ここで、
d=nmax×N-Nであり、
(式中、nmaxは1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数であり、Nは集電システムの給電線の数であり、Nは風力発電機の総台数である。)
調整変数jによって、切断点間隔が1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数よりも小さいことを確保し、各給電線に接続される風力発電機容量が海底ケーブルが耐えられる最大容量を超えないように制限する、ことを特徴とする請求項4に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項6】
調整変数jは、ランダムに生成された1行N-1列の行列である、ことを特徴とする請求項5に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項7】
調整変数jの行列は、
(1)調整変数jの行列中の各要素の数値区間が[0,nmax)であり、
(2)調整変数jの行列中のすべての要素の累積和区間が[d-nmax+1,d]である、という2つの制約条件を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項8】
ステップS32において、目的関数の計算式は、以下のとおりである、ことを特徴とする請求項3に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
C=C+C+C+C+C
(式中、Cは集電システムの全ライフサイクルコストであり、Cは1回限りの投資コストであり、Cは運用維持コストであり、Cは回線の電気エネルギー損失であり、Cは故障による電気エネルギー損失であり、Cは故障修理コストである。)
【請求項9】
ステップS34において、目的関数が最小となることは、集電システムの全ライフサイクルコストが最も低いことを意味し、実際の工事での海底ケーブルの電流容量と敷設交差条件を制約条件として考慮して以下の最適化モデルを作成する、ことを特徴とする請求項8に記載の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法。
【請求項10】
大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化システムであって、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令を含み、プロセッサが該コンピュータプログラム命令を実行すると、請求項1又は2に記載の方法のステップを実行することが可能である、ことを特徴とする大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電の分野に関し、より具体的に、特に大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電は、騒音が小さく、汚染がない等の特徴を有し、世界の再生可能エネルギー開発の主要な形になりつつある。洋上の風力エネルギー資源は豊かであり、そして、洋上風力発電機は、発電量が大きくかつ土地資源を占有しない等のメリットを有するため、洋上風力発電は、新エネルギー研究の分野で注目を集めている。洋上風力発電所の集電システムは、風力発電機ユニットによって発電された電気エネルギーを集めて洋上変電所を介して送電網に送るものであり、主に風力発電機、海底ケーブル、ブースターステーション等で構成され、風力発電所で風力発電機ユニットの風力エネルギーを集めて更に集中的に送電を行う重要な構造である。集電システムの構造設計は、投資コストに直接関係し、より経済的な電気配線トポロジー方式を見つけるために、洋上風力発電所の集電システムの最適化設計が行われている。
【0003】
現在、中国国内外の専門家は、洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化についていくつかの研究を行っているが、洋上風力発電所の規模の拡大、風力発電機容量の増加に伴って、1本の給電線上に接続可能な風力発電機の数は減少しており、従って、集電システムのトポロジー構造を最適化する際に集電線の電流容量の制約条件を十分に考慮する必要があり、同時に、集電システムの経済性及び信頼性を両立させるために、全ライフサイクルコストが最適化されたモデルを確立することで洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造を最適化することはより合理的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、海底ケーブルのタイプの選択を考慮した、全ライフサイクルコストが最小となる集電システムのトポロジー構造を効果的に設計できる大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化設計方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するために、本発明による大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法は、
風力発電機を順序付けし、風力発電機容量、様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限を入力するステップS1と、
様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限に基づいて、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数を算出するステップS2と、
切断点染色体の生成式における調整変数の行列に基づく改良された片親遺伝的アルゴリズムを実行し、様々な型番の海底ケーブルが耐えられる最大の風力発電機容量を考慮した、全ライフサイクルコストの最も低い集電システムのトポロジー構造を生成するステップS3とを含む。
【0006】
本発明の1つの実施例では、ステップS2において、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数の計算式は、以下のとおりである。
(式中、floorは床関数であり、Scmaxは集電海底ケーブルに接続可能な最大容量であり、Pは風力発電機ユニットの定格容量である。)
【0007】
本発明の1つの実施例では、前記ステップS3は、具体的に、
初期集団を生成するステップS31であって、集団のコーディング方式としては整数コーディングが採用され、初期集団は、直接的に生成された海底ケーブルの電流容量制限を満たす初期集団であり、具体的な生成方法は、
2つの染色体セグメントにより集電システムのトポロジー構造を共同で表し、ここで、一方の染色体は風力発電機配列染色体であり、XLと表記され、その長さが風力発電所の風力発電機の総数であり、他方の染色体は切断点染色体であり、DDと表記され、その長さが集電システムの給電線の数から1を引いたものであり、これにより、集電システムのトポロジー構造が複数本の給電線に分割されることを確保することであるステップS31と、
2つの染色体のセグメントによって表されるトポロジー構造に基づいて、集電システムの全ライフサイクルコストである目的関数を算出するステップS32と、
最大遺伝世代数を進化の終了条件として使用し、終了条件を満たすかどうかを判断するステップS33と、
選択操作を行い、集団個体を8ごとにグループ分け、各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造を選択するステップS34と、
遺伝オペレーター操作を行い、選択された各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造に対して逆位(inversion)、交換(swap)及び位置移動操作を行って新たな集団を生成するステップS35と、
ステップS33~S35を繰り返し、終了条件に達するまで反復演算を繰り返し、最適なトポロジー構造を出力するステップS36とによって実現される。
【0008】
本発明の1つの実施例では、前記切断点染色体の生成式は、以下のとおりである。
(式中、nmaxは1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数であり、Nは集電システムの給電線の数であり、cumsumは累積和関数であり、jは調整変数である。)
【0009】
本発明の1つの実施例では、切断点染色体を生成する際に、自由点変数d及び調整変数jの2つの変数が設定され、ここで、
d=nmax×N-Nであり、
(式中、nmaxは1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数であり、Nは集電システムの給電線の数であり、Nは風力発電機の総台数である。)
調整変数jによって、切断点間隔が1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数よりも小さいことを確保し、各給電線に接続される風力発電機容量が海底ケーブルが耐えられる最大容量を超えないように制限する。
【0010】
本発明の1つの実施例では、調整変数jは、ランダムに生成された1行N-1列の行列である。
【0011】
本発明の1つの実施例では、調整変数jの行列は、
(1)調整変数jの行列中の各要素の数値区間が[0,nmax)であり、
(2)調整変数jの行列中のすべての要素の累積和区間が[d-nmax+1,d]である、という2つの制約条件を有する。
【0012】
本発明の1つの実施例では、ステップS32において、目的関数の計算式は、以下のとおりである。
C=C+C+C+C+C
(式中、Cは集電システムの全ライフサイクルコストであり、Cは1回限りの投資コストであり、Cは運用維持コストであり、Cは回線の電気エネルギー損失であり、Cは故障による電気エネルギー損失であり、Cは故障修理コストである。)
【0013】
1回限りの投資コストは集電システムの建設工事の総費用であり、ケーブル、スイッチ等の主な機器の購入及び施工の費用を含む。その計算式は、以下のとおりである。
【0014】
集電システムの運用維持コストは、主に集電海底ケーブルの点検修理、保守維持等の費用である。その計算式は、以下のとおりである。
【0015】
回線の電気エネルギー損失は、主に集電システムの動作中の電気エネルギー損失により引き起こされる経済的損失である。その計算式は、以下のとおりである。
【0016】
故障による電気エネルギー損失とは、遮断器、ケーブル等の部材が故障した後、電気エネルギーを出力できないことにより引き起こされた経済的損失を指し、風力発電所が正常な作業条件で当然の収入を損失したことに相当する。その計算式は、以下のとおりである。
【0017】
故障修理コストとは、遮断器、ケーブル等の部材が故障する場合の修理費用を指す。故障修理コストの計算式は、以下のとおりである。
【0018】
風力発電所が廃棄された後、集電海底ケーブルを回収すると一定の残価があるが、回収には人件費や対応する機器費用が必要であり、当該2つの部分は互いに打ち消されて0となると見なすことができる。
【0019】
本発明の1つの実施例では、ステップS34において、目的関数が最小となることは集電システムの全ライフサイクルコストが最も低いことを意味し、実際の工事での海底ケーブルの電流容量と敷設交差条件を制約条件として考慮して以下の最適化モデルを作成する。
【0020】
本発明は、メモリ、プロセッサ及びメモリに記憶されプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令を含み、プロセッサが該コンピュータプログラム命令を実行すると、上述の方法のステップを実行することが可能である、大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化システムをさらに提供する。
【発明の効果】
【0021】
従来技術に比べて、本発明は以下の有益な効果を有する。本発明の方法は、シンプルで実用的であり、大規模洋上風力発電所の海底ケーブルの電流容量の制約条件を考慮しており、全ライフサイクルコストを最適化の目標とし、全ライフサイクルコストが最適なトポロジー構造を得ることができ、洋上風力発電所の集電システムの経済的な運転に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造設計方法の概略フローチャートである。
図2】本発明の改良された片親遺伝的アルゴリズムの概略フローチャートである。
図3】実施例における洋上風力発電所の風力発電機及びブースターステーションの座標である。
図4】実施例における1回限りの投資コストを最小にすることで得られるトポロジー構造の模式図である。
図5】実施例における全ライフサイクルコストを最小にすることで得られるトポロジー構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術的解決手段を具体的に説明する。
【0024】
本発明の大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法は、
風力発電機を順序付けして番号を付け、各風力発電機と洋上ブースターステーションの位置座標、風力発電機容量、海底ケーブルの型番、様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限を入力するステップS1と、
様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限に基づいて、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数を算出するステップS2と、
改良された片親遺伝的アルゴリズムを実行し、様々な型番の海底ケーブルを考慮した全ライフサイクルコストの最も低い集電システムのトポロジー構造を生成するステップS3とを含む。
【0025】
本発明は、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶されプロセッサによって実行可能なコンピュータプログラム命令とを含み、プロセッサによって該コンピュータプログラム命令を実行すると、上述した方法のステップを実行することができる、大規模洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化システムをさらに提供する。
【0026】
以下は、本発明の具体的な実施例である。
【0027】
図1に示すように、前記方法は、
風力発電機と洋上ブースターステーションの位置座標、風力発電機容量、使用される予定の海底ケーブルの型番、様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限を入力するステップ1と、
様々な型番の海底ケーブルの電流容量制限に基づいて、様々な型番の海底ケーブルに接続可能な風力発電機の数を、下記の計算式により算出するステップ2と、
(式中、floorは床関数であり、Scmaxは集電海底ケーブルに接続可能な最大容量であり、Pは風力発電機ユニットの定格容量である。)
改良された片親遺伝的アルゴリズムを実行し、様々な型番の海底ケーブルを考慮した、全ライフサイクルコストの最も低い集電システムのトポロジー構造を生成するステップ3と、
最適なトポロジー構造を入力するステップ4とを含む。
【0028】
以下、前記改良された片親遺伝的アルゴリズムの具体的な過程について説明する。
【0029】
図2に示すように、片親遺伝的アルゴリズムは、以下のステップ1~ステップ6を含む。
【0030】
ステップ1では、初期集団を生成し、集団数を400に設定し、集団のコーディング方式としては整数コーディングが採用され、2つの染色体セグメントにより集電システムのトポロジー構造を共同で表し、ここで、一方の染色体は風力発電機配列染色体であり、XLと表記され、その長さが風力発電所の風力発電機の総数であり、他方の染色体は給電線切断点染色体であり、DDと表記され、その長さが集電システムの給電線の数から1を引いたものであり、これにより、集電システムのトポロジー構造が複数本の給電線に分割されることを確保する。例えば、15台の風力発電機を有する集電システムの場合、1つのパス染色体XLは、
[2-5-7-8-11-13-14-4-9-3-6-10-12-15-16]であり、
給電線切断点染色体DDは、
[3-7-11]であり、
それに対応する集電システムのトポロジー構造は4本の給電線を有し、具体的な接続方式は1-2-5-7、1-8-11-13-14、1-4-9-3-6、1-10-12-15-16である。ここで、番号1は洋上ブースターステーションであり、風力発電機パス染色体XL内の配列番号は、風力発電機の配列番号に1を加えたものを意味する。
自由点変数d及び調整変数jの2つの変数が設定される。
d=nmax×N-N
(式中、nmaxは1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数であり、Nは集電システムの給電線の数であり、Nは風力発電機の総台数である。)
調整変数jによって、切断点間隔が1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数よりも小さいことを確保し、各給電線に接続される風力発電機容量が海底ケーブルが耐えられる最大容量を超えないように制限する。調整変数jは、ランダムに生成された1行N-1列の行列であり、さらに、(1)調整変数jの行列中の各要素の数値区間が[0,nmax)であり、(2)調整変数jの行列中のすべての要素の累積和区間が[d-nmax+1,nmax]であるという2つの制約条件が追加されている。
切断点染色体の生成式は、以下のとおりであり、
(式中、cumsumは累積和関数であり、jは調整変数である。)
例えば、
1本の給電線に接続可能な風力発電機の最大台数nmax=4、給電線数N=5、風力発電機の総台数N=15として設定する。あるグループのパス染色体行列は[2-4-6-8-10-12-14-16-15-13-3-5-7-9-11]である。
この場合、自由点変数d=nmax×N-N=4×5-15=5であり、
jは1行N-1列の行列であり、各要素の数値区間を[0,4)とする必要があり、ある回で生成されたj行列を[1 0 1 2]とし、
j行列の要素の和の数値区間が[d-nmax+1,nmax]=[2,4]であり、ある回でランダムに選択された値を4とする。
この場合、
それに対応するトポロジー構造の接続方式は1-2-4-6、1-8-10-12-14、1-16-15-13、1-3-5、1-7-9-11である。ここで、番号1は洋上ブースターステーションである。
【0031】
ステップ2では、全ライフサイクルの総コストである目的関数を算出する。
【0032】
ステップ3では、最大遺伝世代数を進化の終了条件として使用し、終了条件を満たすかどうかを判断する。
【0033】
ステップ4では、選択操作を行い、集団を50グループに分け、各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造を選択する。
【0034】
ステップ5では、遺伝オペレーター操作を行い、選択された各グループの目的関数が最小となる場合の対応するトポロジー構造に対して逆位、交換及び位置移動操作を行って新たな集団を生成する。
【0035】
ステップ6では、ステップ3、4、5を繰り返し、終了条件に達するまで反復演算を繰り返し、最適なトポロジー構造を出力する。
【0036】
図3は、実施例における洋上風力発電所の風力発電機及びブースターステーションの座標を示し、実施例に記載の風力発電所の総容量は240MWであり、風力発電機の単機容量は6.45MWであり、合計38台の風力発電機があり、集電システムの電圧レベルは35kVである。集電海底ケーブルは3×70mm、3×150mm、3×240mm、3×500mmの4種類がある。遮断器及び各型番の海底ケーブルのパラメータは表1、表2に示される。
【0037】
図4に示すように、1回限りの投資コストを目的関数として得られた各コストは表3に示される。
【0038】
上記実施例から分かるように、海底ケーブルの長さが最も短いことを最適化の目標として得られたトポロジー構造に比べて、本発明の洋上風力発電所の集電システムのトポロジー構造の最適化方法は、全ライフサイクルコストの総投資が2179万元節約され、良好な実用価値を有する。
【0039】
上記の実施例は、本発明の1つの実施形態を表したものに過ぎず、その説明が具体的で詳細であるが、本発明の保護範囲を制限するものとして理解すべきではない。なお、当業者にとって、本発明の構想を逸脱することなく、様々な変形や改良を行うことができ、これらはすべて本発明の保護範囲に属する。そのため、本発明の特許の保護範囲は添付特許請求の範囲に準ずるべきである。
【0040】
以上は本発明の好ましい実施例であり、本発明の技術的解決手段に基づいて行った変更は、生じる機能効果が本発明の技術的解決手段の範囲を超えない限り、いずれも本発明の保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5