(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】部品装着機
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240709BHJP
【FI】
H05K13/04 F
(21)【出願番号】P 2022570847
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2020048109
(87)【国際公開番号】W WO2022137378
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遅 暁東
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/220499(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/092249(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/109035(WO,A1)
【文献】特開2008-060543(JP,A)
【文献】国際公開第2019/176033(WO,A1)
【文献】特開2005-327998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線を備えるリード部品を供給する部品供給部と、
前記リード線を切断するリード線切断装置が搭載されるスロットを複数備えるパレット部材と、
前記部品供給部から供給された前記リード部品を採取し、前記パレット部材の所定の前記スロットに搭載されている前記リード線切断装置に移載して、前記リード線切断装置によって前記リード線が切断された前記リード部品を基板の所定の装着位置に装着する装着処理を行う装着ヘッドと、
前記リード部品の採取位置、前記リード線切断装置が搭載される前記スロットのスロット位置、および、前記リード部品の前記装着位置を少なくとも含む前記リード部品の移動経路において前記リード部品の移動距離が最短になるように、前記リード線切断装置を搭載すべき前記スロットの前記スロット位置または前記パレット部材に搭載されている複数の前記リード線切断装置のうち前記装着処理において使用すべき前記リード線切断装置の情報である推奨情報を算出する算出部と、
を具備し、
前記部品供給部は、前記リード部品がマトリックス状に配列されたトレイから前記リード部品を供給し、
前記パレット部材には、同一種類の複数の前記リード線切断装置が搭載されており、
前記算出部は、
前記トレイに配列されている前記リード部品の前記採取位置から前記リード部品の前記装着位置までの前記リード部品の前記移動距離が最短になるように、前記パレット部材に搭載されている同一種類の複数の前記リード線切断装置について、前記推奨情報を算出す
る部品装着機。
【請求項2】
前記装着ヘッドの保持部材に保持されている前記リード部品を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像から認識される前記リード部品の保持姿勢に基づいて、前記装着ヘッドの位置を補正する補正部と、
を具備し、
前記リード部品の前記移動経路には、前記撮像装置によって前記リード部品が撮像される撮像位置が含まれる請求項1に記載の部品装着機。
【請求項3】
前記算出部は、前記装着処理において前記リード部品が前記基板に既に装着されている部品と干渉しないように設定された前記リード部品の前記移動経路について、前記推奨情報を算出する請求項1または請求項2に記載の部品装着機。
【請求項4】
前記算出部は、前記パレット部材に搭載されている同一種類の複数の前記リード線切断装置のうちの一部が前記装着処理において使用できなくなった場合に、前記装着処理において使用可能な前記リード線切断装置について、前記推奨情報を算出する請求項
1~請求項3のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項5】
前記算出部によって算出された前記推奨情報を案内する案内部を具備する請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項6】
前記パレット部材に搭載されるべき前記リード線切断装置が前記パレット部材に搭載されているか否かの前記リード線切断装置の搭載有無を判断する判断部を備える請求項1~請求項
5のいずれか一項に記載の部品装着機。
【請求項7】
前記リード線切断装置は、前記リード線切断装置を識別する識別部を備え、
前記判断部は、前記リード線切断装置に設けられる前記識別部に基づいて、前記リード線切断装置の搭載有無を判断する請求項
6に記載の部品装着機。
【請求項8】
前記識別部は、前記リード線切断装置を識別する識別情報を少なくとも記憶する無線タグであり、
前記判断部は、前記リード線切断装置が前記パレット部材に搭載されたときに前記識別部と無線通信を行って前記識別情報を取得して、取得された前記識別情報と、前記パレット部材に搭載されるべき前記リード線切断装置の前記識別情報とが一致するか否かに基づいて、前記リード線切断装置の搭載有無を判断する請求項
7に記載の部品装着機。
【請求項9】
前記リード線切断装置は、制御基板の記憶装置に前記リード線切断装置を識別する識別情報が記憶されており、
前記判断部は、前記リード線切断装置が前記パレット部材に搭載されたときに前記記憶装置から前記識別情報を読み出して、読み出された前記識別情報と、前記パレット部材に搭載されるべき前記リード線切断装置の前記識別情報とが一致するか否かに基づいて、前記リード線切断装置の搭載有無を判断する請求項
6に記載の部品装着機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品装着機に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の作業装置では、固定刃と、固定刃との間に複数のリード線を挟み込んで切断する可動刃とを備えるリード線カット装置がデバイステーブルに載置される。リード線カット装置は、リード線カット装置センサを備えている。リード線カット装置センサは、リード線カット装置がデバイステーブルに載置されたときに、筐体後壁が立設面に十分近い位置に載置されているか否かを検知する。
【0003】
特許文献2に記載のリード線切断ユニットは、ユニット情報記録部としてのタグを備えている。タグには、複数のリード線切断ユニットの各々に個別に付された識別情報であるユニットID、可動刃の使用回数を表す情報である可動刃履歴情報等が記録されている。タグは、ユニット保持部材に設けられたタグ情報制御部に対向して位置し、タグ情報制御部によってタグに記録された情報が読み取られ、書き換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-043298号公報
【文献】国際公開第2019/220499号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リード部品のリード線を切断するリード線切断装置が複数のスロットを備えるパレット部材に搭載される場合、リード線切断装置が搭載されるスロットのスロット位置によってサイクルタイムが異なり、スロット位置によっては、生産効率が低下する可能性がある。上述されていることは、パレット部材に複数のリード線切断装置が搭載されている場合に装着処理において使用するリード線切断装置についても同様に言える。
【0006】
このような事情に鑑みて、本明細書は、基板製品の生産効率を向上可能な部品装着機を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、部品供給部と、パレット部材と、装着ヘッドと、算出部とを具備する部品装着機を開示する。前記部品供給部は、リード線を備えるリード部品を供給する。前記パレット部材は、前記リード線を切断するリード線切断装置が搭載されるスロットを複数備える。前記装着ヘッドは、前記部品供給部から供給された前記リード部品を採取し、前記パレット部材の所定の前記スロットに搭載されている前記リード線切断装置に移載して、前記リード線切断装置によって前記リード線が切断された前記リード部品を基板の所定の装着位置に装着する装着処理を行う。前記算出部は、前記リード部品の採取位置、前記リード線切断装置が搭載される前記スロットのスロット位置、および、前記リード部品の前記装着位置を少なくとも含む前記リード部品の移動経路において前記リード部品の移動距離が最短になるように、前記リード線切断装置を搭載すべき前記スロットの前記スロット位置または前記パレット部材に搭載されている複数の前記リード線切断装置のうち前記装着処理において使用すべき前記リード線切断装置の情報である推奨情報を算出する。
【発明の効果】
【0008】
上記の部品装着機によれば、基板製品の生産効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】パレット部材に搭載されているリード線切断装置の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図2のリード線切断装置の固定刃部の近傍を拡大した拡大図である。
【
図4】
図2のリード線切断装置にリード部品が移載された状態の一例を示す拡大図である。
【
図5】推奨情報の算出方法の一例を示す模式図である。
【
図6】推奨情報の他の算出方法の一例を示す模式図である。
【
図7】推奨情報の他の算出方法の一例を示す模式図である。
【
図8】推奨情報の他の算出方法の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
1-1.部品装着機10の構成例
部品装着機10は、基板90に部品80を装着する。部品80には、リード部品81が含まれる。
図1に示すように、本実施形態の部品装着機10は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15、制御装置16および表示装置17を備えている。
【0011】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどによって構成され、基板90を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板90は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などの種々の回路が形成される。基板搬送装置11は、部品装着機10の機内に基板90を搬入して、機内の所定位置に基板90を位置決めしクランプする。基板搬送装置11は、部品装着機10による部品80の装着が終了した後に、基板90をアンクランプし、基板90を部品装着機10の機外に搬出する。
【0012】
部品供給装置12は、基板90に装着される部品80を供給する。部品供給装置12は、基板90の搬送方向(X軸方向)に沿って設けられるフィーダを備えることができる。フィーダは、複数の部品80が収納されているキャリアテープをピッチ送りさせて、フィーダの先端側に位置する供給位置において部品80を採取可能に供給する。
【0013】
また、部品供給装置12は、部品供給部30を備えることができる。部品供給部30は、リード線81aを備えるリード部品81を供給する。リード部品81は、フィーダが供給するチップ部品などと比べて比較的大型の電子部品であり、トレイ31に配列された状態で供給される。トレイ31は、例えば、駆動装置30aによって、水平面においてX軸方向と直交するY軸方向に移動される。
【0014】
駆動装置30aは、部品供給部30に収容されている複数のトレイ31の中から、基板製品の生産において使用するトレイ31を引き出し、当該トレイ31をY軸方向に移動させて部品供給装置12に装備する。駆動装置30aは、基板製品の生産において使用された使用済みのトレイ31をY軸方向に移動させて、部品供給装置12から部品供給部30に回収することもできる。フィーダおよびトレイ31は、部品供給装置12のパレット部材12aのスロット12bに着脱可能(交換可能)に設けられる。
【0015】
パレット部材12aは、基板90の搬送方向(X軸方向)に複数のスロット12bを備えている。複数のスロット12bの各々は、Y軸方向に沿って延びるように形成されている。パレット部材12aのスロット12bには、フィーダを搭載することができ、トレイ31を搭載することもできる。また、パレット部材12aのスロット12bには、リード線切断装置40を搭載することもできる。リード線切断装置40は、リード部品81のリード線81aを切断する。リード線切断装置40は、リード線81aを切断することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0016】
図2~
図4に示すように、本実施形態のリード線切断装置40は、本体部41と、固定刃部42と、可動刃部43と、固定刃識別部44と、識別部45と、制御基板46と、記憶装置47とを備えている。本体部41は、フィーダの本体部と同様の形状(扁平な箱状)に形成されており、フィーダと同様にスロット12bに搭載することができ、スロット12bから取り外すことができる。
【0017】
固定刃部42は、リード線81aの配置に合わせて形成されている開口部42aを備えている。リード部品81は、リード線81aが開口部42aに挿入された状態で、固定刃部42に保持される。可動刃部43は、本体部41の内部であって固定刃部42の下部に設けられている。可動刃部43は、リード線切断装置40がスロット12bに搭載された状態で、X軸方向およびY軸方向と直交する鉛直方向(Z軸方向)に沿って延びる軸線周りに回転することができる。可動刃部43は、固定刃部42との間にリード線81aを挟み込んだ状態で、リード線81aを切断する。
【0018】
固定刃部42は、取り替えることができる。そのため、リード線切断装置40には、固定刃部42を識別する固定刃識別部44が設けられている。固定刃識別部44は、例えば、一次元コード、二次元コードなどを用いることができる。本実施形態では、固定刃識別部44は、二次元コードが用いられる。また、パレット部材12aには、複数のリード線切断装置40を備えることができる。そのため、リード線切断装置40は、リード線切断装置40を識別する識別部45を備えている。
【0019】
識別部45は、リード線切断装置40を識別する識別情報を含む。識別情報には、フィーダなどの他の装置からリード線切断装置40を識別する情報を含む。識別部45は、例えば、一次元コード、二次元コード、無線タグなどを用いることができる。なお、例えば、固定刃部42、可動刃部43などのメンテナンスなどのために、リード線切断装置40の使用回数を記憶する必要がある。この場合、識別部45は、無線タグなどの情報を書き換え可能なものが良い。本実施形態では、識別部45は、無線タグが用いられ、識別情報の他に、リード線切断装置40の使用回数が記憶される。
【0020】
制御基板46は、可動刃部43を回転させるアクチュエータを駆動制御する。また、制御基板46は、部品装着機10の制御装置16と通信することができる。さらに、制御基板46は、記憶装置47を備えている。記憶装置47は、公知の記憶装置を用いることができ、種々の情報を記憶することができる。例えば、記憶装置47は、アクチュエータを駆動制御するプログラム、リード線切断装置40を識別する識別情報、リード線切断装置40の使用回数などを記憶することができる。
【0021】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置13aおよび移動台13bを備えている。ヘッド駆動装置13aは、直動機構によって移動台13bを、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。移動台13bには、クランプ部材によって装着ヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材21を用いて、部品供給装置12によって供給される部品80を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90に部品80を装着する。保持部材21は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
【0022】
また、装着ヘッド20は、部品供給部30から供給されたリード部品81を採取し、パレット部材12aの所定のスロット12bに搭載されているリード線切断装置40に移載して、リード線切断装置40によってリード線81aが切断されたリード部品81を基板90の所定の装着位置73に装着することもできる。本明細書では、装着ヘッド20による上記の処理を装着処理という。
【0023】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の上向きになるように、部品装着機10の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材21に保持されている部品80を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸が鉛直方向(Z軸方向)の下向きになるように、部品移載装置13の移動台13bに設けられている。基板カメラ15は、基板90を上方から撮像することができる。
【0024】
部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像の画像データは、制御装置16に送信される。制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着機10に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。
【0025】
例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板90を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板90の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、部品供給装置12によって供給された部品80を保持部材21に採取させ保持させて、保持部材21に保持されている部品80を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品80の保持姿勢を認識する。
【0026】
制御装置16は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材21を移動させる。また、制御装置16は、基板90の位置決め状態、部品80の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品80を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。
【0027】
制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材21の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材21を下降させて、基板90に部品80を装着する。制御装置16は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板90に複数の部品80を装着することができる。
【0028】
表示装置17は、公知の表示装置を用いることができ、作業者が各種データを視認可能に表示する。例えば、表示装置17は、部品装着機10の各種設定、動作状態、基板製品の生産状態などを表示することができる。また、本実施形態の表示装置17は、タッチパネルにより構成されており、表示装置17は、作業者による種々の操作を受け付ける入力装置としても機能する。
【0029】
1-2.リード線切断装置40に関する制御例
本実施形態のパレット部材12aは、複数のスロット12bを備えており、リード線切断装置40は、いずれのスロット12bに搭載することもできる。そのため、リード線切断装置40が搭載されるスロット12bのスロット位置によってサイクルタイムが異なり、スロット位置によっては、生産効率が低下する可能性がある。上述されていることは、パレット部材12aに複数のリード線切断装置40が搭載されている場合に装着処理において使用するリード線切断装置40についても同様に言える。
【0030】
そこで、部品装着機10は、算出部61を備えている。また、部品装着機10は、補正部62を備えることもできる。さらに、部品装着機10は、案内部63を備えることもできる。また、部品装着機10は、判断部64を備えることもできる。
図1に示すように、本実施形態の部品装着機10は、算出部61、補正部62、案内部63および判断部64を備えている。
【0031】
算出部61、補正部62、案内部63および判断部64は、種々の演算装置、制御装置、管理装置に設けることができる。また、算出部61、補正部62、案内部63および判断部64は、クラウド上に形成することもできる。
図1に示すように、本実施形態では、算出部61、補正部62、案内部63および判断部64は、制御装置16に設けられている。
【0032】
1-2-1.算出部61および補正部62
算出部61は、リード部品81の採取位置71、リード線切断装置40が搭載されるスロット12bのスロット位置72、および、リード部品81の装着位置73を少なくとも含むリード部品81の移動経路70においてリード部品81の移動距離が最短になるように、推奨情報を算出する。推奨情報は、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72またはパレット部材12aに搭載されている複数のリード線切断装置40のうち装着処理において使用すべきリード線切断装置40の情報である。
【0033】
図5に示すように、例えば、パレット部材12aの中央のスロット12bにトレイ31が搭載されていると仮定する。また、トレイ31に対して紙面左側のスロット12bにリード線切断装置40(説明の便宜上、リード線切断装置40aという。)が搭載されると仮定する。さらに、トレイ31に対して紙面右側のスロット12bにリード線切断装置40(説明の便宜上、リード線切断装置40bという。)が搭載されると仮定する。また、リード線切断装置40aおよびリード線切断装置40bによってリード線81aを切断可能なリード部品81は、基板90の紙面左側の装着位置73に装着されると仮定する。
【0034】
矢印AR1は、リード線切断装置40aについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。また、矢印AR2は、リード線切断装置40bについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。矢印AR1は、矢印AR2と比べて短く、2つの移動経路70のうち矢印AR1で示される移動経路70は、リード部品81の移動距離が最短である。この場合、算出部61は、リード線切断装置40aが搭載されるスロット12bのスロット位置72を、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72として算出する。
【0035】
また、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数(2つ)のリード線切断装置40a,40bのうちリード線切断装置40aを、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することもできる。いずれの場合も、リード線切断装置40bと比べて、サイクルタイムが低減され、生産効率が向上する。なお、サイクルタイムは、装着ヘッド20による装着処理の所要時間をいう。つまり、サイクルタイムは、装着ヘッド20が部品供給部30から供給されたリード部品81の採取を開始してから、リード線切断装置40によってリード線81aが切断されたリード部品81を基板90に装着するまでの時間である。
【0036】
部品装着機10は、装着ヘッド20の保持部材21に保持されているリード部品81を撮像する撮像装置50を備えることができる。既述したように、本実施形態では、撮像装置50は、
図1に示す部品カメラ14である。部品カメラ14は、保持部材21に保持されている部品80(リード部品81を含む。)を下方から撮像することができる。
【0037】
補正部62は、撮像装置50(部品カメラ14)によって撮像された画像から認識されるリード部品81の保持姿勢に基づいて、装着ヘッド20の位置を補正する。具体的には、補正部62は、装着ヘッド20の位置を補正して、保持部材21の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。補正部62は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材21を下降させて、基板90にリード部品81を装着する。
【0038】
この形態では、リード部品81の移動経路70には、撮像装置50(部品カメラ14)によってリード部品81が撮像される撮像位置74が含まれる。例えば、
図6に示すように、
図5に示すリード線切断装置40bよりトレイ31に近いスロット12bにリード線切断装置40(説明の便宜上、リード線切断装置40cという。)が搭載されると仮定する。トレイ31、リード線切断装置40aおよびリード部品81の配置は、
図5に示す配置と同様である。また、矢印AR3は、リード線切断装置40cについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。
【0039】
矢印AR3は、矢印AR1と比べて短く、2つの移動経路70のうち矢印AR3で示される移動経路70は、リード部品81の移動距離が最短である。この場合、算出部61は、リード線切断装置40cが搭載されるスロット12bのスロット位置72を、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72として算出する。また、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数(2つ)のリード線切断装置40a,40cのうちリード線切断装置40cを、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することもできる。
【0040】
図7に示すように、装着処理においてリード部品81が基板90に既に装着されている部品80と干渉する場合がある。具体的には、
図7の矢印AR1で示すリード部品81の移動経路70において、基板90に部品80が既に装着されている。例えば、部品80の高さは、リード部品81の高さと比べて高く、リード部品81を移動させるときに、リード部品81が部品80と接触する可能性があると仮定する。また、トレイ31に対して紙面右側のスロット12bにリード線切断装置40(説明の便宜上、リード線切断装置40dという。)が搭載されると仮定する。
【0041】
なお、トレイ31、リード線切断装置40aおよびリード部品81の配置は、
図5に示す配置と同様である。また、破線で示す矢印AR11は、上記の部品80と干渉しないように設定されたリード線切断装置40aについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。矢印AR4は、リード線切断装置40dについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。
【0042】
この形態では、算出部61は、装着処理においてリード部品81が基板90に既に装着されている部品80と干渉しないように設定されたリード部品81の移動経路70について、推奨情報を算出する。矢印AR4は、矢印AR11と比べて短く、2つの移動経路70のうち矢印AR4で示される移動経路70は、リード部品81の移動距離が最短である。よって、算出部61は、リード線切断装置40dが搭載されるスロット12bのスロット位置72を、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72として算出する。また、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数(2つ)のリード線切断装置40a,40dのうちリード線切断装置40dを、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することもできる。
【0043】
図8に示すように、例えば、次の基板製品の生産に切り替わる際の段取り替えの都合などによって、パレット部材12aには、同一種類の複数(同図では、2つ)のリード線切断装置40が搭載される場合がある。具体的には、既述したリード線切断装置40aと、トレイ31に対して紙面右側のスロット12bに搭載されるリード線切断装置40(説明の便宜上、リード線切断装置40eという。)が搭載されると仮定する。リード線切断装置40aおよびリード線切断装置40eは、固定刃部42の開口部42aの形状が同一であり、同一種類のリード部品81を移載して、リード線81aを切断することができる。
【0044】
なお、トレイ31、リード線切断装置40aおよびリード部品81の配置は、
図5に示す配置と同様である。また、矢印AR5は、リード線切断装置40eについてのリード部品81の移動経路70の一例を示している。この形態では、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている同一種類の複数(同図では、2つ)のリード線切断装置40について、推奨情報を算出する。
【0045】
矢印AR1は、矢印AR5と比べて短く、2つの移動経路70のうち矢印AR1で示される移動経路70は、リード部品81の移動距離が最短である。よって、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数(2つ)のリード線切断装置40a,40eのうちリード線切断装置40aを、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することができる。
【0046】
また、例えば、メンテナンスなどによって、パレット部材12aに搭載されている同一種類の複数(2つ)のリード線切断装置40のうちの一部が装着処理において使用できなくなる場合がある。この場合、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている同一種類の複数(2つ)のリード線切断装置40のうちの一部が装着処理において使用できなくなった場合に、装着処理において使用可能なリード線切断装置40について、推奨情報を算出する。
【0047】
例えば、上記の例において、リード線切断装置40aが装着処理において使用できなくなったと仮定する。この場合、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数(2つ)のリード線切断装置40a,40eのうちリード線切断装置40eを、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することができる。
【0048】
1-2-2.案内部63
算出部61によって算出された推奨情報は、種々の活用形態が想定される。本実施形態の部品装着機10は、案内部63を備えている。案内部63は、算出部61によって算出された推奨情報を案内する。例えば、案内部63は、算出部61によって算出された推奨情報を作業者に案内することができる。この場合、案内部63は、算出部61によって算出された推奨情報を公知の表示装置に表示させることができる。
【0049】
図1に示すように、本実施形態の部品装着機10は、表示装置17を備えている。例えば、案内部63は、算出部61によって算出された推奨情報を表示装置17に表示させることができる。例えば、案内部63は、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72を示すスロット番号などを表示装置17に表示させることができる。
【0050】
これにより、作業者は、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72を視認することができる。この場合、作業者は、案内されたスロット位置72のスロット12bにリード線切断装置40を搭載する。また、作業者は、公知の搬送装置、無人搬送車などを使用して、案内されたスロット位置72のスロット12bにリード線切断装置40を搭載することもできる。
【0051】
また、案内部63は、パレット部材12aに搭載されている複数のリード線切断装置40のうち装着処理において使用すべきリード線切断装置40を示す装置番号などを表示装置17に表示させることもできる。これにより、作業者は、パレット部材12aに搭載されている複数のリード線切断装置40のうち装着処理において使用すべきリード線切断装置40を視認することができる。この場合、作業者は、案内されたリード線切断装置40を装着処理において使用するように制御プログラムなどを変更することができる。
【0052】
また、案内部63は、算出部61によって算出された推奨情報を種々の管理装置などに案内することもできる。この場合、管理装置は、公知の搬送装置、無人搬送車などに、案内されたスロット位置72のスロット12bにリード線切断装置40を搭載させることができる。管理装置は、パレット部材12aに搭載されている複数のリード線切断装置40のうち、案内されたリード線切断装置40を装着処理において使用するように制御プログラムなどを変更することもできる。
【0053】
なお、算出部61によって算出された推奨情報は、例えば、部品装着機10の稼働率の算出などに活用することもできる。作業者または演算装置は、算出部61によって算出されたスロット位置72のスロット12bにリード線切断装置40を搭載して基板製品の生産を行う場合のサイクルタイムから、部品装着機10の稼働率を算出することができる。また、算出部61によって算出された推奨情報は、例えば、基板製品の生産計画の作成などに活用することもできる。作業者または演算装置は、算出した上記のサイクルタイムから、基板製品の生産に要する所要時間を算出して、基板製品の生産計画を作成することができる。
【0054】
1-2-3.判断部64
パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40が搭載されていない状態で、基板製品の生産が開始されると、部品装着機10は、基板製品の生産を停止する。部品装着機10の停止時間が長くなるほど、生産効率が低下する。そこで、本実施形態の部品装着機10は、判断部64を備えている。
【0055】
判断部64は、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されているか否かのリード線切断装置40の搭載有無を判断する。判断部64は、リード線切断装置40の搭載有無を判断することができれば良く、種々の形態をとり得る。
【0056】
例えば、
図2および
図3に示すように、本実施形態のリード線切断装置40は、リード線切断装置40を識別する識別部45を備えている。この形態では、判断部64は、リード線切断装置40に設けられる識別部45に基づいて、リード線切断装置40の搭載有無を判断することができる。例えば、本実施形態の識別部45は、リード線切断装置40を識別する識別情報を少なくとも記憶する無線タグである。この場合、判断部64は、リード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されたときに識別部45と無線通信を行って識別情報を取得する。判断部64は、取得された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致するか否かに基づいて、リード線切断装置40の搭載有無を判断する。
【0057】
具体的には、判断部64は、取得された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致するときに、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されていると判断する。逆に、判断部64は、取得された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致しないときに、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されていないと判断する。
【0058】
また、リード線切断装置40は、
図2に示す制御基板46の記憶装置47にリード線切断装置40を識別する識別情報を記憶することもできる。この形態では、判断部64は、リード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されたときに記憶装置47から識別情報を読み出す。判断部64は、読み出された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致するか否かに基づいて、リード線切断装置40の搭載有無を判断する。
【0059】
具体的には、判断部64は、読み出された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致するときに、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されていると判断する。逆に、判断部64は、読み出された識別情報と、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40の識別情報とが一致しないときに、パレット部材12aに搭載されるべきリード線切断装置40がパレット部材12aに搭載されていないと判断する。
【0060】
1-2-4.その他
部品供給部30は、装着ヘッド20が採取可能にリード部品81を供給することができれば良く、トレイ31をパレット部材12aの外部に配置してリード部品81を供給することもできる。また、本明細書では、説明を分かり易くするため、説明の便宜上、一回の装着処理について、推奨情報の算出方法などが説明されている。算出部61は、例えば、空きのスロット12bをリード線切断装置40の搭載位置(リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72)の候補として、実行予定の装着処理におけるリード部品81の移動距離の総計を比較することもできる。この場合、算出部61は、リード部品81の移動距離の総計が最短になるスロット位置72を、リード線切断装置40を搭載すべきスロット12bのスロット位置72として算出することができる。同様に、算出部61は、パレット部材12aに搭載されている複数のリード線切断装置40について、実行予定の装着処理におけるリード部品81の移動距離の総計を比較することもできる。この場合、算出部61は、リード部品81の移動距離の総計が最短になるリード線切断装置40を、装着処理において使用すべきリード線切断装置40として算出することができる。
【0061】
2.実施形態の効果の一例
部品装着機10によれば、基板製品の生産効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0062】
10:部品装着機、12a:パレット部材、12b:スロット、
20:装着ヘッド、21:保持部材、30:部品供給部、
40:リード線切断装置、45:識別部、46:制御基板、
47:記憶装置、50:撮像装置、61:算出部、62:補正部、
63:案内部、64:判断部、70:移動経路、71:採取位置、
72:スロット位置、73:装着位置、74:撮像位置、80:部品、
81:リード部品、81a:リード線、90:基板。