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特許7518224車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行う方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行う方法
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/22 20060101AFI20240709BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F01N3/22 301H
F02D45/00 368F
F01N3/22 301G
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023015991
(22)【出願日】2023-02-06
(65)【公開番号】P2023118082
(43)【公開日】2023-08-24
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】10 2022 103 344.9
(32)【優先日】2022-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100202647
【弁理士】
【氏名又は名称】寺町 健司
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヴァイスハー
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン エスリンガー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ボティアン
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-176616(JP,A)
【文献】特開2006-029231(JP,A)
【文献】特開平08-074568(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0054772(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/22
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスシステム(20)を有する車両(80)の燃焼エンジン(4)のための排気ガス後処理を行う方法であって、
- 前記燃焼エンジン(4)を始動するステップ(100)と、
- 前記排気ガスシステム(20)の排気ガス空間(20’)内で、燃焼空気比(λ)の目標値を指定するステップ(200)と、
- 前記排気ガスシステム(20)の前記排気ガス空間(20’)内での現在の燃焼空気比(λ)を、前記排気ガス空間(20’)内での前記燃焼空気比(λ)の目標値に調整するステップ(300)と、を含み、
前記現在の燃焼空気比(λ)の前記調整(300)が、通常モード(I)では、第一の制御可能な二次空気供給源(10)による二次空気の供給を介して、緊急モード(II)では、第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)による二次空気の供給を介して行われることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記二次空気の供給が、貨物を積載しての車両(80)の移動中に連続的に制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記二次空気を供給するための前記第一の制御可能な二次空気供給源(10)を作動させるためのエネルギーが、前記車両(80)の車載バッテリーによって提供される一方で、二次空気を供給するための前記第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)を作動させるためのエネルギーは、好ましくは、異なる電源、特に、前記車両(80)の前記燃焼エンジンと組み合わせた電気機械によって提供されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一の制御可能な二次空気供給源(10)が、二次空気ブロアの形態で構成され、前記第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)が、少なくとも一つの電動式排気ガスターボチャージャ(22)の形態で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第一の制御可能な二次空気供給源(10)が、二次空気ブロアの形態で構成され、前記第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)が、第一および第二の圧縮機(30)の形態で構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第一および/または第二の制御可能な二次空気供給源(10、22、30)を介した前記二次空気の供給が、制御ユニット(12)によって作動され、前記二次空気の供給の前記調節が、少なくとも部分的に測定可能なパラメータの関数として、特に、
- 前記燃焼エンジン(4)の始動(100)からの時間、
- 現在のエンジン負荷、
- 現在のエンジン回転速度、
- 現在の触媒コンバータ温度、
- 触媒コンバータ(18)の加熱進行、
- 触媒コンバータ(18)への積算エネルギー入力、
といったパラメータのうちの一つ以上の関数として、発生することが好ましいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記排気ガス空間(20’)内での前記の現在の燃焼空気比(λ)を調整する(300)ための前記二次空気の供給に加えて、さらなるパラメータ、好ましくは、
- 前記車両(80)のエンジン回転速度、
- 燃焼チャンバ(4’)内での燃焼空気比(λ)、
- 燃料の現在の噴射パラメータ、
- 現在の点火角位置、
といったパラメータのうち一つ以上が変更されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記二次空気の前記供給が、二次空気の動作において、前記排気ガス空間(20’)内での前記燃焼空気比(λ)が0.95~1.05の間であることを条件として、触媒後制御が起動されるように制御されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
排気ガスシステム(20)を有する車両(80)の燃焼エンジン(4)の排気ガス後処理を行うための、特に、請求項1に記載の方法を行うための、システム(2)であって、二次空気ルーティングシステム(14)を有する第一の制御可能な二次空気供給源(10)と、二次空気の供給および前記二次空気の前記供給を調節するための制御ユニット(12)を介して、前記排気ガス空間(20’)内での現在の燃焼空気比(λ)を、前記排気ガス空間(20’)内での燃焼空気比(λ)の目標値に調整(300)するための、第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)とを備え、前記現在の燃焼空気比(λ)が、通常モード(I)では、第一の制御可能な二次空気供給源(10)による二次空気の供給を介して調整可能であり、緊急モード(II)では、第二の制御可能な二次空気供給源(22、30)による二次空気の供給を介して調整可能であることを特徴とする、システム(2)。
【請求項10】
請求項9に記載のシステム(2)を備えた車両(80)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を実施するための方法およびシステム、ならびにこうしたシステムを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行う方法およびシステムは、先行技術において公知である。排気ガス基準の継続的な強化により、排気ガス後処理のためのこのようなシステムおよび方法の開発および適応に対する自動車メーカーの要件も継続的に増加している。要求される排気ガス基準に準拠し、可能な限り低排出量の燃焼エンジンを提供できるようにするために、先行技術からは、二次空気の導入など、汚染物質濃度を低減するための様々なアプローチが知られている。
【0003】
しかしながら、排気ガス後処理について先行技術による公知のシステムは概して、静止アイドリングモードでのみ動作可能であり静止アイドリングモード間に、二次空気反応を通した最大熱出力と、燃焼チャンバ内の燃料の濃い混合気を通した最小NOx未希釈排出量が保証される。対照的に、負荷下では、二次空気の動作は可能ではないか、または非常に限定的な程度でしか可能ではない。さらに、排気ガス後処理のための公知のシステムは、一般的に、緊急モードで排気ガス後処理を行うための手段を持たず、ここでは、例えば、電力供給用の車載バッテリーの充電容量は少なすぎるか、またはベース圧力供給よりも高い気圧が必要とされ、そのため、そのような条件下では、最適な排気ガス後処理が不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明によって対処される問題は、上述の不利益を少なくとも部分的に是正することである。特に、本発明の問題は、車両の燃焼エンジンの排気ガスを迅速かつ確実に、かつ効果的に処理し、それによって燃焼エンジンの低排出量での運転を保証し、建設的に単純かつ費用効果の高い方法を可能にするシステムまたは方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題は、請求項1に記載の特徴を有する方法、請求項9に記載の特徴を有するシステム、および請求項10に記載の特徴を有する車両によって達成される。本発明のさらなる特徴および詳細は、サブクレーム、明細書本文、および図面に起因する。本発明による方法に関連して開示される技術的特徴および詳細は、本発明によるシステム、および本発明による車両に関連しても自然に適用され、またその逆も同様であり、そのため、本発明の個々の態様に関する開示に関して、参照は常に相互に行われるか、または相互に行われることができる。
【0006】
本発明によると、排気ガスシステムを有する車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行う方法が提供されている。本発明による方法は、燃焼エンジンを始動するステップと、排気ガスシステムの排気ガスチャンバ内での燃焼空気比の目標値を指定するステップと、排気ガスチャンバ内での現在の燃焼空気比を、排気ガスチャンバ内での燃焼空気比の目標値に調整するステップとを含む。本発明によると、現在の燃焼空気比の調整は、通常動作では、第一の制御可能な二次空気供給源による二次空気の供給を介して、緊急動作では、第二の制御可能な二次空気供給源による二次空気の供給を介して行われることが提供されている。
【0007】
したがって、本発明によると、本方法は、通常モードでは、第一の制御可能な二次空気供給源によって二次空気の供給を介して、特に高速かつ効果的な排気ガス後処理を行うように設計され、これはまた、車両の負荷下または運転操作で実施することができる。同時に、本方法は、第二の制御可能な二次空気供給源による二次空気の供給、およびそれゆえ、特に確実な排気ガス後処理を、たとえ緊急モードであっても、確保するように設計される。好ましくは提供されるソフトウェア機能および運用戦略と組み合わせた制御可能な二次空気供給源の助けによって、NOxの効果的な低減に加えて、オイルガス構成要素(HC)およびCOの効果的な低減も、特に可能となりうる。本方法によって、点火能力を有効にするためのパラメータ、ならびに最小排出量に対する最適なラムダ動作戦略も、好ましくは実施されうる。
【0008】
当然のことながら、本発明による方法のステップは、指定された順序で、または任意に指定された順序から逸脱して進行することができる。さらに、当然のことながら、本発明による方法の個々のステップ、複数のステップ、またはすべてのステップは、例えば、周期的に繰り返すなど、繰り返しての実施が可能である。本発明の文脈では、排気ガス後処理は特に、燃焼ガスが、機械的、触媒的、または化学的手段によって燃焼チャンバから一掃される方法を意味すると理解される。好ましくは、燃焼空気比の目標値は、燃焼チャンバ内での燃焼空気比の目標値を調整することによって、排気ガスチャンバ内で調整されうる。好ましくは、車両は、乗用車またはトラックなどの自動車両を意味するものと理解されうる。しかしながら、航空機、例えば、飛行物体または船などにおいて本方法を使用することも考えられる。燃焼空気比は、本発明の文脈では、空気と燃料との間の質量比を意味するために理解されることが好ましく、これは好ましくは、排気ガス中の酸素含有量のラムダセンサーによって決定されてもよい。燃焼空気比=1では、空気の量と燃料の量との間に化学量論比があり、全ての燃料分子が大気中の酸素と完全に反応できる。対照的にそれぞれ、燃焼空気比<1は、いわゆる過濃(リッチ)燃料または過濃ラムダを示し、燃焼空気比>1は、いわゆる希薄(リーン)燃料または希薄ラムダを示す。したがって、排気ガス空間内での対応する燃焼空気比は、好ましくは、いわゆる過濃(リッチ)または希薄(リーン)な排気ガスラムダを示す。本発明によると、通常モードは、特に、排気ガス後処理のためのエネルギーが車載バッテリーによって提供される、排気ガス後処理システムの動作として理解されうる。対照的に、本発明による緊急モードは、特に、例えば、もはや十分な充電容量がないために、排気ガス後処理のためのエネルギーが、もはや車載バッテリーによって提供されない、排気ガス後処理システムの動作として理解されうる。同様に、通常モードは、基本的な圧力供給が十分である排気ガスチャンバの状態を意味するものと理解されうる。したがって、緊急モードは、基本的な圧力供給がもはや十分ではない排気ガス空間の状態であるものと理解されうる。
【0009】
最も効果的で汎用的な排気ガス後処理に関して、本事例では特に、貨物を積載しての車両の移動中に二次空気の供給が連続的に制御されることが提供されうる。この目的のために、第一および/または第二の二次空気供給源は、例えば、貨物を積載しての車両の移動中に、二次空気の供給が、指定されたステップまたはモードで行われるだけでなく、連続的に調整可能となるように、連続的に調整可能でありうる。本発明の文脈では、負荷は特に、アイドリングモードを超える車両の運転を意味するものと理解されうる。
【0010】
二次空気を供給するための第一の制御可能な二次空気供給源を作動させるためのエネルギーが、車両の車載バッテリーによって供給される時、さらに有利であり、ここで、二次空気を供給するための第二の制御可能な二次空気供給源を作動させるためのエネルギーは、好ましくは、異なる電源、特に車両の燃焼エンジンと組み合わせた電気機械によって供給される。このようにして、特に、車両の緊急モードの時でさえ、排気ガス後処理の確実な実施が可能であるように、ある程度の信頼性を得ることが可能である。特に、さらなる供給源を制御する電力を供給するという文脈において、電気機械を介して、車両の燃焼エンジン、負荷シフト、および/または速度の増大および回復と組み合わせて、エネルギーを供給することができる。
【0011】
車両の燃焼エンジンの、高速で、信頼性が高く、効果的な排気ガス後処理という観点から、第一の制御可能な二次空気供給源が二次空気ブロアの形態で構成され、第二の制御可能な二次空気供給源が少なくとも一つの電動式排気ガスターボチャージャの形態で構成される場合、特に有利でありうる。同様に、例えば、二つの電動式排気ガスターボチャージャは、第二の制御可能な二次空気供給源として提供されうる。したがって、例えば、通常モードでは、排気ガス後処理は、排気ガスが排出される前に排気ガス後処理を最適化するために、二次空気を燃焼チャンバに選択的に供給することによって、制御ユニットを介して制御される二次空気ブロアを介して実施することができる。次いで、代替的または累積的に、緊急モードでは、二次空気は、一つまたは二つの電動式排気ガスターボチャージャを介して、好ましくは、スロットルバルブを通過して燃焼チャンバに入った後、圧縮機およびインタークーラーを介して、さらなる二次空気ルーティングシステムを介して実施することができる。
【0012】
同様に、車両の燃焼エンジンの、高速で、信頼性があり、かつ効果的な排気ガス後処理という観点から、第一の制御可能な二次空気供給源が二次空気ブロアの形態で構成され、第二の制御可能な二次空気供給源が第一の圧縮機および第二の圧縮機の形態で構成される場合、有利でありうる。この場合も、通常モードでは、排気ガス後処理は、制御ユニット(例えば、予圧器を使用)によって制御されて、二次空気ブロアを介して、排気ガスが排出される前に排気ガス後処理を最適化するために、二次空気を燃焼チャンバに選択的に供給することによって発生しうる。次いで、代替的または累積的に、緊急モードでは、二次空気は、スロットルバルブを通過した後、第二の圧縮機ステージおよびインタークーラーを介して燃焼チャンバに送られうる。
【0013】
本発明の文脈では、第一および/または第二の制御可能な二次空気供給源を介した二次空気の供給は、制御ユニットによって作動されることが、さらに提供されており、ここで、二次空気の供給の調節は、少なくとも部分的に測定可能なパラメータの関数として、特に、以下のパラメータのうちの一つ以上の関数として、発生することが好ましい:
- 燃焼エンジンの始動からの時間、
- 現在のエンジン負荷、
- 現在のエンジン回転速度、
- 現在の触媒コンバータ温度、
- 触媒コンバータの加熱進行、
- 触媒コンバータへの積算エネルギー入力。
【0014】
第一および/または第二の制御可能な二次空気供給源のこうした調節は、特に、排気ガス区画内での、特に正確で、標的化された、かつ柔軟な現在の燃焼空気比の調整を可能にする。同様に、二次空気の供給の調節は、好ましくは、車両の排気ガスシステムの現在の排気ガス背圧の関数として、二次空気の現在の圧力の関数として、または計算された触媒コンバータの加熱進行の関数として、少なくとも部分的に発生しうる。
【0015】
排気ガス空間内での現在の燃焼空気比を調節するための二次空気の供給に加えて、さらなるパラメータ、好ましくは以下のパラメータのうちの一つ以上が変更される時に有利でありうる:
- 車両のエンジン回転速度、
- 燃焼チャンバ内の燃焼空気比、
- 燃料の現在の噴射パラメータ、
- 現在の点火角位置。
【0016】
このようにして、特に、排気ガス区画内での高速で、正確で、かつ柔軟な現在の燃焼空気比の調整が可能となる。
【0017】
さらに、効率的な排気ガス後処理の観点から、二次空気の動作において、排気ガス空間内での燃焼空気比が0.95~1.05であることを条件として、触媒後制御が活性化されるように、二次空気の供給が制御される時に有利である。
【0018】
本発明のさらなる態様によれば、コンピュータプログラムが提供されている。コンピュータプログラムは、コンピュータによって実行されるとき、コンピュータプログラムに上記で詳述した方法を実行させるコマンドを含む。したがって、本発明によるコンピュータプログラムは、本発明による方法に関して上記で詳述したものと同じ利点を提供する。コンピュータプログラムは、例えば、JAVA(登録商標)またはC++などの任意の適切なプログラミング言語で記述されたコンピュータ可読命令コードとして実装することができる。コンピュータプログラムは、データディスク、リムーバブルドライブ、揮発性もしくは不揮発性メモリ、または内蔵メモリ/プロセッサなどのコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されうる。命令コードは、所望の機能を実行するように、コンピュータまたは他のプログラム可能デバイス、例えばコントローラをプログラムすることができる。さらに、コンピュータプログラムは、必要に応じて、ネットワーク、例えば、インターネット上で提供することができ、そこからユーザーがダウンロードすることができる。コンピュータプログラムは、ソフトウェアの形態で、または一つ以上の特殊電子回路システムによるコンピュータプログラム製品の形態で、すなわち、ハードウェアで、または任意のハイブリッド形態で、すなわち、ソフトウェアコンポーネントおよびハードウェアコンポーネントによって実現することができる。本発明のさらなる態様によれば、コンピュータプログラムがその上に格納された記憶手段が提供され、コンピュータプログラムは、上述の方法を実施するように構成および設計されている。したがって、本発明による記憶手段は、上述した利点も提供する。記憶手段は、コンピュータプログラムが記憶される、サムドライブなどのデータキャリアを意味するものと理解されうる。
【0019】
さらに、コントローラには、その上にインストールされたコンピュータプログラムが提供され、これは、上述した方法を実施するように構成および設計されている。本発明による制御ユニットもまた、上述した利点を提供する。制御ユニットは、車両コントローラまたは車両制御ユニットの一部であることが好ましい。
【0020】
本発明の主題は、さらに、排気ガスシステムを有する車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行うための、特に上述の方法を実施するための、本発明によるシステムである。ここで、本発明によるシステムは、二次空気ルーティングシステムを有する第一の制御可能な二次空気供給源と、二次空気の供給および二次空気の供給を調節するための制御ユニットを介して、排気ガス空間内での現在の燃焼空気比を、排気ガス空間内での燃焼空気比の目標値に調整するための、第二の制御可能な二次空気供給源とを備え、現在の燃焼空気比は、通常モードでは、第一の制御可能な二次空気供給源による二次空気の供給を介して調整可能であり、緊急モードでは、第二の制御可能な二次空気供給源による二次空気の供給を介して調整可能である。排気ガスチャンバ内での燃焼空気比の目標値の微調整は、好ましくは、承認された触媒前ラムダ制御を介して実施されうる。ここで、車両の排気ガスシステムは、例えば、ガソリン微粒子フィルタ、触媒コンバータ、および排気ガスターボチャージャを備えてもよい。排気ガスシステムはさらに、ラインシステム、特に燃焼エンジンの個々のシリンダを介して、車両の燃焼エンジンに接続することができる。二次空気ブロアは、二次空気誘導システムを介して排気ガスシステムラインシステムにさらに接続することができ、それを介して、その後、車両の燃焼機械の低排出量動作を確保する目的で、高速かつ効率的な排気ガス後処理のために、調節された二次空気の供給が発生しうる。排気ガスターボチャージャは、好ましくは、電気制御式の排気ガスターボチャージャの形態で構成することができ、さらに、さらなる二次空気誘導システムを介して車両の燃焼チャンバに接続することができ、ここで、圧縮機、インタークーラー、およびスロットルバルブは、排気ガスターボチャージャと燃焼チャンバとの間に配置することができる。車両の燃焼エンジンのための排気ガス後処理を行うための本発明によるシステムはまた、貨物を積載しての車両の移動中に二次空気の供給が制御ユニットによって連続的に調整可能となるように構成されることが好ましい。
【0021】
本発明の主題はまた、上述のシステムを備える車両である。
【0022】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、以下の明細書本文から生じ、本発明の例示的な実施形態は図面を参照しながら詳細に描写される。特許請求の範囲および明細書に言及される特徴は、本発明に個別に、または任意の組み合わせで不可欠なものでありうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一の例示的な実施形態による、排気ガス後処理を行うためのシステムの実施形態の概略図である。
図2】第一の例示的な実施形態による、排気ガス後処理を行うための本発明による方法の実施形態の概略図である。
図3】第一の例示的な実施形態による、排気ガス後処理を行うための本発明による方法の実施形態を詳細に示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、第一の例示的な実施形態による、排気ガス後処理を行うための、本発明によるシステム2の実施形態を示す。
【0025】
ここで、システム2は、車両80(図示せず)の排気ガスシステム20の排気ガス空間20’内での現在の燃焼空気比を、排気ガス空間20’内での燃焼空気比の目標値に調整する300ための、二次空気ルーティングシステム14を有する制御可能な二次空気ブロア10を備える。現在の燃焼空気比の調整300は、制御ユニット12を介した二次空気の供給を介して行われ、これによって二次空気の供給を調節する。二次空気の供給は、通常モードIでは、第一の制御可能な二次空気供給源10によって行われ、緊急モードIIでは、第二の制御可能な二次空気供給源22、30を介して行われ、そのため、排気ガス後処理の確実な動作が保証されうる。ここで、排気ガスシステム20は、第一および第二のガソリン微粒子フィルタ16、第一および第二の触媒コンバータ18、および第一および第二の排気ガスターボチャージャ22を備え、排気ガスライン24を介して、燃焼エンジン4の燃焼チャンバ4’に、特に燃焼エンジン4の個々のシリンダに接続される。第一の制御可能な二次空気供給源10は、二次空気ブロアの形態で構成されることが好ましく、二次空気ルーティングシステム14を介して排気ガスシステム20の排気ガスライン24に接続される。第二の制御可能な二次空気供給源22、30は、一つまたは二つの電動式ターボチャージャ22の形態で、および/または二つの圧縮機30の形態で構成されることが好ましい。例えば、車載バッテリーが十分な電池容量を有しない緊急モードIIでは、二次空気の供給は、圧縮機30、インタークーラー38、およびスロットルバルブ36を介して燃焼チャンバ4’に二次空気を供給する、例えば、電動式排気ガスターボチャージャの助けを借りて行われうる。
【0026】
図2は、第一の例示的な実施形態による、排気ガス後処理を行うための、本発明による方法の実施形態を示す。
【0027】
特に図2は、本発明によるステップ、すなわち、燃焼エンジン4を始動するステップ100、排気ガスシステム20の排気ガス空間20’内での燃焼空気比λの目標値を指定するステップ200、排気ガスシステム20の排気ガス空間20’内での現在の燃焼空気比λを排気ガスシステム20の排気ガス空間20’内での燃焼空気比λの目標値に調整するステップ300、といったステップであって、現在の燃焼空気比λの調整300が、通常モードIでは、第一の制御可能な二次空気供給源10による二次空気の供給を介して、緊急モードIIでは、第二の制御可能な二次空気供給源22、30による二次空気の供給を介して行われる、ステップを概略的に示す。
【0028】
そうすることで、第一の制御可能な二次空気供給源10および/または第二の制御可能な二次空気供給源22、30を介した二次空気の供給は、好ましくは、制御ユニット12によって作動されることができ、二次空気の供給の調節は、好ましくは、少なくとも部分的に測定可能なパラメータの関数であってもよく、特に、燃焼エンジン4の始動100からの時間、および/または現在のエンジン負荷、および/または現在のエンジン回転速度、および/または現在の触媒コンバータ温度の関数であってもよい。
【0029】
排気ガス空間20’内での現在の燃焼空気比λを調節する300ための二次空気の供給に加えて、例えば、車両80のエンジン回転速度、および/または燃焼チャンバ4’内での燃焼空気比λ、および/または現在の燃料噴射パラメータおよび/または現在の点火角位置といった、さらなるパラメータを変更することができる。
【0030】
図3は、第一の例示的な実施形態による詳細な形態で排気ガス後処理を行うための、本発明による方法の実施形態を示す。
【0031】
特に、図3は、5つの動作段階BP1~BP5(好ましくは本発明の範囲内で提供される)と、パラメータに関して、好ましくは、これらの動作段階でもたらされる変化についての図を示すもので、そのパラメータとは、負荷L(無限u、適度m、およびアイドリングLLの間で変動しうる)、排気ガス空間λVR(1.3~1.01の間で変動)内、および燃焼チャンバλAR(1~0.65の間で変動)内での燃焼空気比λの目標値、二次空気の供給の設定の変化(負荷20%、70%、および100%の間で変動)、ならびに点火角ZW(好ましくは、上死点(OT)を基準に+10°、0°、および-40°の間で変動)である。本事例では、第一の動作段階は、好ましくは、0~15秒続き、第二の動作段階BP2は0~5秒続き、第三の動作段階BP3は0~3秒続く。さらに、第四の動作段階BP4は0~60秒続き、第五の動作段階BP5は0~120秒続く。
【0032】
対応するパラメータについての対応する、所定の、意図的に制御された変動を介して、負荷のかかった状態下でさえも、車両の燃焼エンジンの低排出量の動作を保証する、迅速かつ効果的な排気ガス後処理を行うことは、本発明による方法の範囲内において特に可能である。
【0033】
実施形態の上記の説明は、実施例の文脈でのみ本発明を描写する。当然のことながら、本発明の範囲を逸脱することなく、技術的に意義がある場合、実施形態の個々の特徴は互いに自由に組み合わせてもよい。
図1
図2
図3