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特許7518229情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/18 20120101AFI20240709BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023042071
(22)【出願日】2023-03-16
【審査請求日】2023-03-31
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519389362
【氏名又は名称】エイベックス・テクノロジーズ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 稔
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-087859(JP,A)
【文献】特許第7336011(JP,B1)
【文献】特許第7158073(JP,B1)
【文献】大豆生田 崇志,エンタメから行政まで身近なブロックチェーン,日経コンピュータ,日本,日経BP,2021年07月08日,no.1046,p.44~47
【文献】#221: NFTを活用し二次創作活動を支援するサービス『ニジソー』ローンチ!第一弾は人気NFTコレクション「CryptoNinja」,日本,2021年10月12日,[令和5年5月22日検索],インターネット,<URL:https://note.com/otakucoin/n/n3faf7e6983cb>
【文献】「踊ってみた」動画、ブロックチェーンで管理 n次創作、グレー市場解消で流通促進,[online],2021年06月07日,[令和5年12月6日検索], インターネット<URL:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC171WN0X10C21A5000000/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するNFT発行部と、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する取得部と、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う支払処理部と、
前記二次創作物の販売に関する処理を行う販売処理部と、
を備え、
前記販売処理部は、前記二次創作物に紐付く前記NFTを、前記二次創作物の販売者が所有しているか否かを判定し、前記販売者が所有している場合に前記販売に関する処理を行うこと、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記取得部は、前記二次創作物を販売する販売システムから、前記販売システムにおいて販売された前記二次創作物に係る前記収益又は前記分配額を取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記二次創作物を販売する販売システムから、前記二次創作物に関する前記コンテンツを特定する情報と、前記二次創作物の販売者を特定する情報とを含むリクエストを受信し、前記リクエストにより特定される前記コンテンツに紐付く前記NFTを、前記リクエストにより特定される前記販売者が所有しているか否かにより、前記二次創作物の販売可否を判定し、前記販売可否を応答する販売可否判定部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するNFT発行部と、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する取得部と、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う支払処理部と、
前記二次創作物を販売する販売システムから、前記二次創作物に関する前記コンテンツを特定する情報と、前記二次創作物の販売者を特定する情報とを含むリクエストを受信し、前記リクエストにより特定される前記コンテンツに紐付く前記NFTを、前記リクエストにより特定される前記販売者が所有しているか否かにより、前記二次創作物の販売可否を判定し、前記販売可否を応答する販売可否判定部と、
前記NFTがバーンされた場合に、前記販売システムに、前記NFTの所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物の販売を停止するように指示する販売停止リクエストを送信する販売停止リクエスト送信部と、を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記販売者を特定する情報と、前記販売者が販売する前記二次創作物を示す情報とを管理する記憶部と、
前記NFTがバーンされた場合に、前記NFTの所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物を前記記憶部から削除する販売停止処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記二次創作に関する条件を含む契約内容を記憶する契約内容記憶部を備え、
前記NFT発行部は、前記契約内容を特定する情報を、前記NFTのメタデータに設定すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するステップと、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得するステップと、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行うステップと、
前記二次創作物の販売に関する処理を行うステップと、
をコンピュータが実行し、
前記販売に関する処理を行うステップにおいて、前記コンピュータは、前記二次創作物に紐付く前記NFTを、前記二次創作物の販売者が所有しているか否かを判定し、前記販売者が所有している場合に前記販売に関する処理を行うこと、
を特徴とする情報処理方法。
【請求項8】
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するステップと、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得するステップと、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行うステップと、
前記二次創作物の販売に関する処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記販売に関する処理を行うステップにおいて、前記コンピュータに、前記二次創作物に紐付く前記NFTを、前記二次創作物の販売者が所有しているか否かを判定し、前記販売者が所有している場合に前記販売に関する処理を行わせること、
を特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータが、
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行し、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得し、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行い、
前記二次創作物を販売する販売システムから、前記二次創作物に関する前記コンテンツを特定する情報と、前記二次創作物の販売者を特定する情報とを含むリクエストを受信し、前記リクエストにより特定される前記コンテンツに紐付く前記NFTを、前記リクエストにより特定される前記販売者が所有しているか否かにより、前記二次創作物の販売可否を判定し、前記販売可否を応答し、
前記NFTがバーンされた場合に、前記販売システムに、前記NFTの所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物の販売を停止するように指示する販売停止リクエストを送信する、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するステップと、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得するステップと、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行うステップと、
前記二次創作物を販売する販売システムから、前記二次創作物に関する前記コンテンツを特定する情報と、前記二次創作物の販売者を特定する情報とを含むリクエストを受信し、前記リクエストにより特定される前記コンテンツに紐付く前記NFTを、前記リクエストにより特定される前記販売者が所有しているか否かにより、前記二次創作物の販売可否を判定し、前記販売可否を応答するステップと、
前記NFTがバーンされた場合に、前記販売システムに、前記NFTの所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物の販売を停止するように指示する販売停止リクエストを送信するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルコンテンツの所有権情報をブロックチェーン上に記録することが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-059707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次創作を管理することは難しい。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、二次創作の許諾を管理することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するNFT発行部と、前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する取得部と、前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う支払処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、二次創作の許諾を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。
図2】管理サーバ2及びECサイト4を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図3】情報処理システムのソフトウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態の情報処理システムにおける処理の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するNFT発行部と、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する取得部と、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う支払処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記取得部は、前記二次創作物を販売する販売システムから、前記販売システムにおいて販売された前記二次創作物に係る前記収益又は前記分配額を取得すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記二次創作物を販売する販売システムから、前記二次創作物に関する前記コンテンツを特定する情報と、前記二次創作物の販売者を特定する情報とを含むリクエストを受信し、前記リクエストにより特定される前記コンテンツに紐付く前記NFTを、前記リクエストにより特定される前記販売者が所有しているか否かにより、前記二次創作物の販売可否を判定し、前記販売可否を応答する販売可否判定部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目3に記載の情報処理システムであって、
前記NFTがバーンされた場合に、前記販売システムに、前記NFTの前記所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物の販売を停止するように指示する販売停止リクエストを送信する販売停止リクエスト送信部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記二次創作物の販売に関する処理を行う販売処理部を備え、
前記販売処理部は、前記二次創作物に紐付く前記NFTを、前記二次創作物の販売者が所有しているか否かを判定し、前記販売者が所有している場合に前記販売に関する処理を行うこと、
を特徴とする情報処理システム。
[項目6]
項目5に記載の情報処理システムであって、
前記販売者を特定する情報と、前記販売者が販売する前記二次創作物を示す情報とを管理する記憶部と、
前記NFTがバーンされた場合に、前記NFTの前記所有者による前記NFTに紐付く前記コンテンツに係る前記二次創作物を前記記憶部から削除する販売停止処理部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目7]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記二次創作に関する条件を含む契約内容を記憶する契約内容記憶部を備え、
前記NFT発行部は、前記契約内容を特定する情報を、前記NFTのメタデータに設定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目8]
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するステップと、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得するステップと、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行うステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
[項目9]
コンテンツを特定する情報及び前記コンテンツの受益者に紐付けて、前記コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するステップと、
前記コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得するステップと、
前記コンテンツに対応する前記NFTに対応する前記受益者を特定し、特定した前記受益者に対して前記分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行うステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムでは、コンテンツの二次創作を行う権利をNFT(Non Fungible Token;ノンファンジブルトークン;非代替性トークン)により標章させる。NFTには、コンテンツを特定する情報が紐付けられる。NFTの所有者は、NFTに紐付くコンテンツの二次創作を行うことが可能であり、また、二次創作物を販売することができる。二次創作物の販売益(売上、粗利など)の一部は、コンテンツの著作権者(著作隣接権者を含む。以下同じ。以下、IPホルダという。)に分配される。本実施形態では、二次創作物は、ECサイトにおいて販売され、ECサイトでの販売益が管理サーバ2に通知され、管理サーバ2が販売益の一部をIPホルダに支払うとともに、システム利用料などを差し引いた金額を、二次創作物の販売者(NFTの所有者)に支払う。
【0012】
<システムの概要>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の情報処理システムは、管理サーバ2を含んで構成される。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0013】
管理サーバ2は、ECサイト4とも通信可能に接続される。ECサイト4は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。ECサイト4は、オンラインショッピングの機能を有し、本実施形態では、二次創作物を販売することを想定する。
【0014】
管理サーバ2は、ブロックチェーンネットワーク3とも通信可能に接続される。ブロックチェーンネットワーク3は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク3は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0015】
ユーザ端末1は、ユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。
【0016】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。
【0017】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワーク3によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;NFT;Non Fungible Token)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク3上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク3において記録される。ブロックチェーンネットワーク3の分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0018】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2及びECサイト4を構成するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、ブロックチェーンネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現されうる。また、各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現されうる。
【0019】
図3は、情報処理システムのソフトウェア構成例を示す図である。情報処理システムは、商品記憶部231と、契約内容記憶部232と、NFT発行部211と、分配額取得部212と、支払処理部213と、販売可否判定部215と、販売停止リクエスト送信部216と、販売処理部217と、販売停止処理部218と、を備えうる。図3の例では、管理サーバ2が、NFT発行部211と、分配額取得部212と、支払処理部213と、販売可否判定部215と、販売停止リクエスト送信部216と、契約内容記憶部232と、を備え、ECサイト4が、販売処理部217と、販売停止処理部218と、商品記憶部231と、を備える。ECサイト4はまた、分配額送信部411を備える。
【0020】
<記憶部>
商品記憶部231は、販売されるコンテンツの二次創作物に関する情報(以下、商品情報という。)を記憶する。商品情報には、販売者を特定する情報と、販売者が販売する二次創作物を示す情報とが含まれうる。本実施形態では、商品情報には、商品を特定する商品IDに対応付けて、販売者を特定するユーザIDと、コンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、NFTを特定する情報(NFT-ID)と、商品名、サムネイル、価格などの販売に用いる情報とが含まれている。コンテンツ特定情報は、コンテンツを特定することのできる情報であればよく、テキストデータによりコンテンツを説明したものであってもよいし、例えばIPホルダが管理しているコンテンツの識別情報であってもよい。NFT-IDは、例えば、NFTに割り当てられているハッシュ値とすることができる。価格は、商品の販売価格であってもよいし、価格を決定するための計算式等のロジックであってもよい。
【0021】
契約内容記憶部232は、二次創作に関する条件を含む契約内容を記憶する。契約内容は、例えば、約款のテキストデータとすることができる。契約内容は、IPホルダごとに、及び/又はコンテンツごとに異なる内容とすることができる。また、契約内容は、許諾先のユーザごとに異なる内容としてもよい。契約内容記憶部232は、管理サーバ2に設けず、ブロックチェーンネットワーク3に分散台帳として管理するようにしてもよい。
【0022】
<機能部>
NFT発行部211は、コンテンツを特定する情報及びコンテンツの受益者に紐付けて、コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行する。コンテンツの受益者は、本実施形態では販売者である。NFT発行部211は、契約内容を特定する情報を、NFTのメタデータに設定することもできる。契約内容を特定する情報は、契約番号などであってもよいし、契約内容を管理するデータに対するURIであってもよいし、ドキュメントIDなどのIDであってもよい。
【0023】
分配額取得部212は、コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する。分配額は、売上の所定割合であってもよいし、一定額であってもよいし、売上額に応じて異なる割合であってもよい。分配額取得部212は、二次創作物を販売するECサイト4から、ECサイト4において販売された商品(二次創作物)に係る収益又は分配額を取得することができる。本実施形態では、分配額には、販売者と、管理サーバ2の運営者と、IPホルダとに分配する金額が含まれるものとする。すなわち、分配額は、ECサイト4における売上額から、ECサイト4における手数料(決済手数料や出品料など)を減じた金額とすることができる。ECサイト4が備える分配額送信部411は、ECサイト4において二次創作物に係る商品が販売された場合に、販売された商品の売上から手数料を減じて分配額を算出し、算出した分配額を管理サーバ2に通知することができる。分配額送信部411は、コンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、コンテンツの販売者を示すユーザIDと、分配額とを管理サーバ2に通知することができる。
【0024】
支払処理部213は、分配額を分配する処理を行う。支払処理部213は、ECサイト4から通知されたコンテンツ特定情報及びユーザIDに対応するNFTの存在を確認したうえで、ユーザIDが示すユーザ(すなわち、NFTの所有者)を特定し、特定したユーザに対して分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う。支払処理部213は、例えば、第1の割合を管理サーバ2の運営者に対する第1の分配額として決定し、第2の割合をIPホルダへの第2の分配額として決定し、残りを販売者に対する分配額として第3の分配額を決定し、第1の分配額を運営者に支払、第2の分配額をIPホルダに支払、第3の分配額を販売者に支払うための処理を行うことができる。
【0025】
販売処理部217は、二次創作物の商品の販売に関する処理を行う。販売処理部217は、二次創作物に紐付くNFTを、二次創作物の販売者が所有しているか否かを判定し、販売者が所有している場合に販売に関する処理を行うことができる。本実施形態では、販売処理部217は、管理サーバ2に対して販売者が有効な二次創作権を有しているか否かを問い合わせる。販売処理部217は、商品に係る商品情報に含まれるコンテンツ特定情報及びユーザIDを設定したリクエストを管理サーバ2に送信することができる。販売処理部217は、リクエストに応答された判定結果が、販売可能である場合に商品の販売に係る処理を行うことができる。
【0026】
リクエスト受信部214は、ECサイト4からリクエストを受信する。上述したとおり、リクエストには、コンテンツ特定情報及びユーザIDが設定されうる。
【0027】
販売可否判定部215は、二次創作物の販売可否を判定する。販売可否判定部215は、リクエストにより特定されるコンテンツに紐付くNFTを、リクエストにより特定される販売者が所有しているか否かにより、二次創作物の販売可否を判定することができる。販売可否判定部215は、判定した結果である販売可否を応答する。
【0028】
販売停止リクエスト送信部216は、ブロックチェーンネットワーク3においてNFTがバーンされたことを検出し、バーンされたNFTの所有者により、バーンされたNFTに紐付くコンテンツの販売を停止するように指示するリクエスト(以下、販売停止リクエストという。)をECサイト4に送信する。販売停止リクエストには、NFTに紐付くコンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、NFTの所有者を示すユーザIDとを設定することができる。
【0029】
販売停止処理部218は、商品の販売を停止する処理を行う。販売を停止する処理は、例えば、商品記憶部231から停止する商品に係る商品情報を削除し、あるいは停止する商品に係る商品情報に、販売が停止されていることを示す情報を設定することにより行うことができる。なお、販売停止処理部218は、ブロックチェーンネットワーク3においてNFTがバーンされたことを自ら検出し、バーンされたNFTの所有者による、バーンされたNFTに紐付くコンテンツに係る商品情報を商品記憶部231から削除するようにしてもよい。
【0030】
<動作>
図4は、本実施形態の情報処理システムにおける処理の流れを説明する図である。
【0031】
管理サーバ2は、コンテンツと二次創作を許諾するユーザとの指定を受け付け、指定されたコンテンツに紐付けてNFTを発行し(S301)、発行したNFTを、指定されたユーザのウォレットに移動する(S302)。
【0032】
ECサイト4は、コンテンツの販売者からコンテンツの指定とともに、二次創作物に関連する情報(商品情報に設定する各項目値)を受け付けて、当該二次創作物に関する商品情報を作成して商品記憶部231に登録する(S303)。
【0033】
ECサイト4は、商品記憶部231に記憶されている商品情報をユーザ端末1に提供して、商品の注文を受け付けることができる。ECサイト4は、商品の注文を受け付けた場合に、指定された商品の商品情報に設定されているコンテンツ特定情報に紐付くNFTであって、商品の販売者を示す情報(商品情報のユーザID)がNFTの所有者に設定されているものをブロックチェーンネットワーク3におけるブロックチェーンから検索する(S304)。NFTの検索は、ECサイト4が行うようにしてもよいし、ECサイト4からのリクエストに応じて管理サーバ2が行うようにしてもよい。
【0034】
商品のコンテンツに紐付き、かつ、商品の販売者が所有者であるNFTが存在する(管理サーバ2が検査した場合には、販売可能の応答を管理サーバ2から受け取ったとき)には(S305:YES)、ECサイト4は、商品を販売することができる(S306)。一方、商品のコンテンツに紐付き、かつ、商品の販売者が所有者であるNFTが存在しない(管理サーバ2が検査した場合には、販売不可の応答を管理サーバ2から受け取ったとき)には(S305:NO)、ECサイト4は、商品を販売することができない(S307)。
【0035】
管理サーバ2又はECサイト4が、ブロックチェーンネットワーク3においてNFTがバーンされたことを検出した場合(S308:YES)、ECサイト4は(管理サーバ2が検出した場合には管理サーバ2からの販売停止リクエストを受け付けて)、バーンされたNFTに紐付くコンテンツを、バーンされたNFTの所有者が販売することを中止する(S309)。例えば、ECサイト4は、バーンされたNFTに紐付くコンテンツを特定するコンテンツ特定情報と、バーンされたNFTの所有者を示すユーザIDとが設定された商品情報を商品記憶部231から削除することができる。
【0036】
以上のようにして、本実施形態の情報処理システムによれば、二次創作の許諾をブロックチェーンを用いて管理することができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
3 ブロックチェーンネットワーク
4 ECサイト
【要約】
【課題】二次創作の許諾を管理することができるようにする。
【解決手段】情報処理システムであって、コンテンツを特定する情報及びコンテンツの受益者に紐付けて、コンテンツの二次創作を許諾する権利を表すNFTを発行するNFT発行部と、コンテンツの二次創作物に係る収益の少なくとも一部である分配額を取得する取得部と、コンテンツに対応するNFTに対応する受益者を特定し、特定した受益者に対して分配額の少なくとも一部を支払うための処理を行う支払処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4