(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】安全性のためのマルチコア光ファイバ内の冗長コア
(51)【国際特許分類】
G01B 11/16 20060101AFI20240709BHJP
G01D 5/353 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G01B11/16 G
G01D5/353 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023101334
(22)【出願日】2023-06-21
(62)【分割の表示】P 2021179745の分割
【原出願日】2017-04-26
【審査請求日】2023-07-20
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フロガット,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ギッフォード,ダウン
(72)【発明者】
【氏名】ラクロワ,ジェフリー,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】サン,アレクサンダー,ケイ.
【審査官】山▲崎▼ 和子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0069347(US,A1)
【文献】特開2015-190917(JP,A)
【文献】特開2010-104426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01D 5/26-5/38
G01L 1/00-1/26
25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバを測定する干渉測定システムであって、
前記光ファイバは、複数の一次コアと、補助コアとを含み、当該干渉測定システムは、
前記複数の一次コア及び前記補助コアの各々と関連付けられる測定値干渉パターンデータを検出するように構成される干渉検出回路構成と、
データ処理回路構成と、を含み、該データ処理回路構成は、
前記複数の一次コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータに基づいて前記光ファイバの形状を決定し、
前記複数の一次コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータに基づいて前記補助コアの予測される位相又はひずみ値を決定し、
前記補助コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータに基づいて前記補助コアの測定値ベースの位相又はひずみ値を決定し、
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値と前記補助コアの前記測定値ベースの位相又はひずみ値との間の差を決定し、
前記差に基づいて前記光ファイバの前記決定される形状と関連付けられる誤差を検出する、
ように構成される、
干渉測定システム。
【請求項2】
前記データ処理回路構成は、前記差が所定の量を超えることを決定することによって前記誤差を検出するように構成される、請求項1に記載の干渉測定システム。
【請求項3】
前記データ処理回路構成は、前記誤差に基づいて、前記光ファイバの前記決定される形状が信頼できないと印すこと、ディスプレイのために故障信号を生成すること、アラームを生成すること、当該干渉測定システムの動作を停止すること、又は前記光ファイバと関連付けられる機械の動作を停止することからなる群から選択される少なくとも1つの行為を行うように更に構成される、請求項1又は2に記載の干渉測定システム。
【請求項4】
前記データ処理回路構成は、前記誤差に基づいて当該干渉測定システムにおける電子的誤差又は光学的誤差を決定するように更に構成される、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項5】
前記データ処理回路構成は、較正測定値に基づいて前記複数の一次コア及び前記補助コアの実際の物理的構成に関連するパラメータを抽出するように更に構成される、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項6】
前記データ処理回路構成は、前記複数の一次コアと数が等しいパラメータを決定することによって前記光ファイバの前記形状を決定するように構成される、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項7】
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値は、前記補助コアにおける予測されるひずみを含み、
前記補助コアの前記測定値ベースの位相またはひずみ値は、前記補助コアにおける測定値ベースのひずみを含み、
前記データ処理回路構成は、
前記複数の一次コアについての前記測定値干渉パターンデータに基づいて前記複数の一次コアにおけるひずみを決定することと、
前記光ファイバの物理モデル及び前記複数の一次コアにおける前記決定されるひずみに基づいて前記補助コアにおける前記予測されるひずみを計算することと、によって、
前記複数の一次コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータに基づいて前記補助コアにおける前記予測されるひずみを決定するように構成され、
前記データ処理回路構成は、前記補助コアにおける前記予測されるひずみ及び前記測定値ベースのひずみを用いて前記差を計算するように構成される、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項8】
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値は、前記補助コアについての予測される光位相を含み、
前記補助コアの前記測定値ベースの位相又はひずみ値は、前記補助コアについての測定値ベースの光位相を含み、
前記データ処理回路構成は、
前記複数の一次コア及び前記補助コアについて決定される基準干渉パターンデータと比較される前記複数の一次コア及び前記補助コアについての前記測定値干渉パターンデータに基づいて光位相信号を追跡することと、
前記複数の一次コアについての前記光位相信号の導関数を計算することと、
前記複数の一次コアについての前記光位相信号の前記計算される導関数に基づいて前記補助コアについての予測される光位相導関数を決定することと、
前記補助コアについての予測される光位相を得るために前記補助コアについての前記予測される光位相導関数を積分することと、によって、
前記複数の一次コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータに基づいて前記補助コアの前記予測される位相を決定するように構成され、
前記データ処理回路構成は、前記補助コアについての前記予測される光位相を前記補助コアについての前記追跡される光位相信号と比較することによって前記補助コアについての前記予測される光位相と前記補助コアについての前記測定値ベースの光位相との間の前記差を決定するように構成される、
請求項1~6のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項9】
前記光ファイバを更に含み、前記複数の一次コアは、中心コアと、該中心コアから第1の半径方向距離にある周辺コアとを含み、前記補助コアは、前記中心コアから第2の半径方向距離にあり、該第2の半径方向距離は、前記第1の半径方向距離から少なくとも10%だけ異なる、請求項1~8のうちのいずれか1項に記載の干渉測定システム。
【請求項10】
光ファイバを測定する方法であって、
前記光ファイバは、複数の一次コアと、補助コアとを含み、当該方法は、
前記複数の一次コア及び前記補助コアの各々と関連付けられる測定値干渉パターンデータを検出することと、
前記光ファイバの形状を決定するために並びに前記補助コアの予測される位相又はひずみ値を決定するために前記複数の一次コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータを処理することと、
前記補助コアの測定値ベースの位相又はひずみ値を決定するために前記補助コアについての前記検出される測定値干渉パターンデータを処理することと、
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値と前記補助コアの前記測定値ベースの位相又はひずみ値との間の差を決定することと、
前記差に基づいて前記光ファイバの前記決定される形状と関連付けられる誤差を検出することと、を含む、
方法。
【請求項11】
前記誤差を決定することは、前記差が所定の量を超えることを決定することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記光ファイバの前記形状を決定することは、前記複数の一次コアと数が等しいパラメータを決定することを含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値は、前記補助コアにおける予測されるひずみを含み、
前記補助コアの前記測定値ベースの位相又はひずみ値は、前記補助コアにおける測定値ベースのひずみを含み、
前記補助コアにおける前記予測されるひずみは、
前記複数の一次コアについての前記測定値干渉パターンデータに基づいて前記複数の一次コアにおけるひずみを決定することと、
前記光ファイバの物理モデル及び前記複数の一次コアにおける前記決定されるひずみに基づいて前記補助コアにおける前記予測されるひずみを計算することと、によって決定され、
前記差は、前記補助コアにおける前記予測されるひずみ及び前記測定値ベースのひずみを用いて計算される、
請求項10~12のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記補助コアの前記予測される位相又はひずみ値と前記補助コアの前記測定値ベースの位相又はひずみ値との間の前記差を決定することは、
前記複数の一次コア及び前記補助コアについて決定される基準干渉パターンデータと比較されるような前記複数の一次コア及び前記補助コアについての前記測定値干渉パターンデータに基づいて光位相信号を追跡することと、
前記複数の一次コアについての前記光位相信号の導関数を計算することと、
前記複数の一次コアについての前記光位相信号の前記計算される導関数に基づいて前記補助コアについての予測される光位相導関数を決定することと、
前記補助コアについての予測される光位相を得るために前記補助コアについての前記予測される光位相導関数を積分することと、
前記補助コアについての前記予測される光位相を前記補助コアについての前記追跡される光位相信号と比較することと、を含む、
請求項10~12のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
プログラム命令を格納するコンピュータ読取可能媒体であって、
前記プログラム命令は、光ファイバを測定する干渉測定システムのコンピュータプロセッサによって実行されるときに、前記コンピュータプロセッサに、請求項10~14のうちのいずれか1項に記載の方法を実行させ、前記光ファイバは、複数の一次コアと、補助コアとを含む、
コンピュータ読取可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、2016年5月11日に出願された「REDUNDANT CORE IN MULTICORE OPTICAL FIBER FOR SAFETY」という名称の米国仮特許出願第62/334,649号の優先権及び利益を主張し、その全文を本明細書中に参照として援用する。
紡糸マルチコアファイバ(spun multicore fiber)が、光ファイバの形状を決定するために使用されている。4つのコアを有するマルチコアファイバを使用して、ファイバの変形を2つの曲げ角度(ピッチ及びヨー)、1つの捩れ角度、及びファイバの伸びに分離することができる。これらの4つの測定値は、4つの自由度を構成する。これらの4つの測定値(ピッチ、ヨー、捩れ、及び伸び)は、比較的小さな力でファイバに起こり得る変形の全ても表す。
【0002】
ファイバ光学ベースの形状感知では、本明細書に参照として援用する米国特許第8,773,650号に記載のように、マルチチャネル分布ひずみ感知システムを使用して、マルチコア光学形状感知ファイバ内の幾つかのコアの各々のコアについてのひずみの変化を検出する。複数の分散されたひずみ測定値は、本明細書に参照として援用する米国特許第8,531,655号に記載されているように、曲率、捩れ、及び軸方向のひずみを含む物理的測定値のセットを生成するために、方程式のシステムを通じて組み合わされる。これらの物理的測定値を使用して、光ファイバの分布形状及び位置を決定することができる。
【0003】
形状感知ファイバのための幾つかの用途は、形状感知出力の精度(accuracy)及び信頼度(reliability)に関して高度の信頼性(confidence)又は安全性(safety)を必要とする。例示的な用途は、精密製造環境、外科環境、又は他の環境で使用されるロボットアームである。
【0004】
形状感知ファイバ用途の他の問題は、形状感知モデル又はモデル推定に含まれない予見されない又は予測できない誤差(エラー)である。例示的な誤差は、光学的及び/又は電子的感知及び処理回路の動作における誤差、接続ファイバにおける誤差、不正確な較正ファイルをロードして形状感知システムを較正することのような人為的誤差、及び形状感知モデルに含まれないファイバが受ける力によって引き起こされる誤差を含む。既述のそのようなパラメータの1つは、ファイバピンチ(fiber pinch)である。形状感知モデルが温度に起因する変化を説明しないならば、他のパラメータは温度である。更なる懸念は、未だ知られていない或いは特定可能でない他のパラメータである。よって、形状感知モデルから独立しており且つ形状感知モデルにおいて説明されない誤差を検出することができる技術的解決策についての更なる必要がある。
【発明の概要】
【0005】
この出願中の技術は、追加的な測定値を予測するために、N自由度及びN測定値を有するモデルを使用する。換言すれば、N+1測定を行うためにN自由度モデルが使用され、ファイバ内の余分な又は冗長なコアを使用して行われる余分な測定はモデルに対する確認として使用される。例えば、ファイバの各セグメントがピッチ、ヨー、ロール、張力、及び温度の空間又は時間変化を受けることができる、6つの光コア(第6のコアは補助又は冗長コア)を有する光学形状感知ファイバの5自由度モデルを用いるならば、5つのひずみが測定し且つ使用して、モデル内の5つのパラメータ(ピッチ、ヨーなど)のそれぞれを特異に決定する。次に、決定される5つのパラメータを使用して、モデルが正確で信頼できるならば、第6のコア内のひずみが何でなければならないかを予測し、予測するひずみを第6のコア内の測定されたひずみと比較して誤差を決定する。有利には、本技術は、その誤差を検出し且つ未知の起源の誤差を検出するために、モデル内の如何なる特定の誤差の事前知識を必要としない。より多くの補助又は冗長信号(5自由度モデルのために6つのコアの代わりに7つのコア)を追加することは、形状感知測定の信用(confidence)及び信頼(trust)を更に向上させる。
【0006】
例示的な実施形態では、光ファイバを測定する干渉測定システム(interferometric measurement system)が提供され、光ファイバは、光ファイバ内に構成される複数の一次コアと、光ファイバ内に構成される補助コアとを含む。干渉検出回路構成(interferometric detection circuitry)が、複数の一次コア及び補助コアの各々と関連付けられる測定値干渉パターンデータ(measurement interferometric pattern data)を検出するように構成される。これは光ファイバが感知位置に配置されるときに行われてよい。データ処理回路構成(data processing circuitry)が、複数の一次コアについての検出される測定値干渉パターンデータに基づいて補償パラメータを決定し、使用される補助コアについての予測されるパラメータ値を補助コアについての測定値ベースのパラメータ値と比較して比較を生成し、比較に基づいて決定される補償パラメータの不信頼性(unreliability)を決定し、且つ不信頼性に応答して信号を生成する、ように構成される。補償パラメータは、複数の一次コアの較正構成(calibration configuration)と複数の一次コアの実際の構成(actual configuration)との間の変動を補償する。
【0007】
信号は、(a)検出回路構成又はデータ処理回路構成の動作における誤差、(b)光ファイバ接続における誤差、(c)較正構成における誤差、又は(d)補償パラメータがデータ処理回路構成によって決定されない光ファイバによって受ける力によって引き起こされる誤差のうちの1以上を含む、誤差を表すことがある。例えば、不信頼性は、光ファイバの締付け(pinching)によって引き起こされることがあり、温度の空間又は時間変化によって引き起こされることがあり、光ファイバから測定される信号を変更する何らかの他の現象によって引き起こされることがあり、或いはそれらの組み合わせによって引き起こされることがある。
【0008】
1つの例示的な実施形態において、データ処理回路構成は、光ファイバについて引き続き得られる測定値干渉パターンデータに補償パラメータを適用するように構成される。
【0009】
例示的な用途において、予測されるパラメータ値は、補助コアについての予測される位相であり、測定値ベースのパラメータ値は、補助コアについての測定値ベースの位相値である。データ処理回路構成は、以下の動作、即ち、一次コアの各々において測定される位相の導関数を計算して複数の位相導関数を取得すること、変換行列によって複数の位相導関数を乗じて予測される補助コアの位相導関数を取得すること、及び予測される補助コアの位相導関数を積分して補助コアについての予測される位相を取得することによって、補助コアについての予測される位相を決定するように構成される。
【0010】
他の例示的な用途において、データ処理回路構成は、検出される測定値干渉パターンデータに基づいて、光ファイバ上の捩れひずみ、曲げひずみ、及び軸方向ひずみに対応する、ファイバについてのひずみ値を決定し、且つ光ファイバ上の捩れひずみ、曲げひずみ、及び軸方向ひずみに対応する、ファイバについての決定されるひずみ値に基づいて、光ファイバの形状を決定するように、構成される。
【0011】
他の例示的な用途において、データ処理回路構成は、検出される測定値干渉パターンデータに基づいて、光ファイバ上の温度ひずみ、捩れひずみ、曲げひずみ、及び軸方向ひずみに対応する、光ファイバについてのひずみ値を決定し、且つ光ファイバ上の温度ひずみ、捩れひずみ、曲げひずみ、及び軸方向ひずみに対応する、光ファイバについての決定されるひずみ値に基づいて、光ファイバの形状を決定するように、構成される。本明細書において、温度ひずみは、較正後に又は基準基線読取りが取られた後に起こる温度の空間変化又は時間変化によって引き起こされるような、温度によって引き起こされるひずみを示すために使用される。
【0012】
例示的な実施において、データ処理回路構成は、不信頼性が所定の閾値を超えるときに信号を生成するように構成される。
【0013】
他の例示的な実施において、信号は、不信頼性を表す。
【0014】
他の例示的な実施形態は、光ファイバを測定する干渉測定方法を含み、光ファイバは、光ファイバ内に構成される複数の一次コアと、光ファイバ内に構成される補助コアとを含む。干渉測定方法は、
干渉検出回路構成を使用して、光ファイバが感知位置にあるときに、複数の一次コア及び補助コアの各々と関連付けられる測定値干渉パターンデータを検出すること、
データ処理回路構成を使用して、複数の一次コアについての検出される測定値干渉パターンデータに基づいて、複数の一次コアの較正構成と複数の一次コアの実際の構成との間の変動を補償する補償パラメータを決定すること、
補助コアについての予測されるパラメータ値を補助コアについての測定値ベースのパラメータ値と比較して比較を生成すること、
比較に基づいて補償パラメータの不信頼性を決定すること、及び
不信頼性に応答して表示する信号を生成することを含む。
【0015】
他の例示的な実施形態は、
中心コアと、各々が中心コアから半径距離にある4つ又はそれよりも多くの周辺コアとを含む、5つ又はそれよりも多くのコアを備える、光ファイバを含む。5つのコアのうちの1つ又はそれよりも多くのコアは、他のコアの温度応答と異なる温度応答をもたらす。4つ又はそれよりも多くの周辺コアのうちの1つ又はそれよりも多くの周辺コアは、他の4つ又はそれより多くの周辺コアと関連付けられる中心コアからの第2の半径距離とは異なる、中心コアからの第1の半径距離にある。第1の半径距離と第2の半径距離との間の差は、5つ又はそれよりも多くのコアの全てと関連付けられる平均半径距離の少なくとも10%にある。
【0016】
ある例示的な実施において、5つ又はそれよりも多くのコアは、光ファイバの長さに沿って螺旋状に撚り合わされる(helically-twisted)。
【0017】
他の例示的な実施において、異なる温度応答をもたらす1つ又はそれよりも多くのコアは、他のコアとは異なるドーピング(doping)又は材料を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ジョイント内のファイバピンチの例を例示する回転可能なジョイントを備えるロボットアームを示している。
【0019】
【
図2】5つのコアを備える第1の撚り合わされたマルチコアファイバの例示的な実施形態を示している。
【0020】
【
図3】5つのコアの螺旋状に撚り合わされた光ファイバについてのコア配置及びひずみへの応答を定量化するために使用することができる数学的パラメータを例示している。
【0021】
【
図4】5つのコアのファイバを使用する形状感知システムの推定及びモデルから独立して誤差を特定する光周波数領域反射測定法(OFDR)ベースの形状感知システムの第1の例示的な実施形態の概略図を示している。
【0022】
【
図5】第1の例示的な実施形態において光学形状感知ファイバを較正することについてのフローチャート図である。
【0023】
【
図6】第1の例示的な実施形態において形状感知システムにおける誤差を検出することについてのフローチャート図である。
【0024】
【
図7】ホウ素-ゲルマニウムで共ドープされたコア及びゲルマニウムのみでドープされたコアについての屈折率対温度のグラフを示している。
【0025】
【
図8】6つのコアを備える第2の撚り合わされたマルチコアファイバの例示的な実施形態を示している。
【0026】
【
図9】6つのコアのファイバを使用する形状感知システムの推定及びモデルから独立して誤差を特定し且つ温度を補償するOFDRベースの形状感知システムの第2の例示的な実施形態の概略図を示している。
【0027】
【
図10】第2の例示的な実施形態において光学形状感知ファイバを較正することについてのフローチャート図である。
【0028】
【
図11】第2の例示的な実施形態において形状感知システムにおける誤差を検出することについてのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の記述は、限定の目的のためでなく説明の目的のための特定の実施形態のような、特定の詳細を示す。しかしながら、当業者は、これらの特定の詳細は別として、他の実施形態が利用されてよいことを理解するであろう。幾つかの場合において、周知の方法、インターフェース、回路、及びデバイスの詳細な記述は、不要な詳細で記述を曖昧にしないよう省略される。個々のブロックは、様々なノードに対応する図に示されている。当業者は、それらのブロックの機能が、ハードウェア回路を使用して、適切にプログラムされたデジタルマイクロプロセッサ又は汎用コンピュータと共にソフトウェアプログラム及びデータを使用して、並びに/或いは特定用途向け集積回路(ASIC)を使用して、並びに/或いは1以上(1つ又はそれよりも多く)のデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して、実施される場合があることを理解するであろう。ソフトウェアプログラム命令及びデータは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよく、命令がコンピュータ又は他の適切なプロセッサ制御装置によって実行されるときに、コンピュータ又はプロセッサは、それらの命令と関連付けられる機能を実行する。
【0030】
よって、例えば、当業者は、本明細書における図面が例示的な回路又は他の機能ユニットの概念図を表し得ることを理解するであろう。同様に、任意のフローチャート、状態遷移図、擬似コード、及び同等物が、コンピュータ可読媒体中に実質的に表現されることがあり、よって、コンピュータ又はプロセッサが明示的に示されていようがいまいが、そのようなコンピュータ又はプロセッサによって実行されることがある、様々なプロセスを表すことが理解されるであろう。
【0031】
様々な例示される要素の機能は、コンピュータ可読媒体に格納されるコード化された命令の形態においてソフトウェアを実行し得るハードウェア及び/又は回路ハードウェアのようなハードウェアの使用を通じて提供されてよい。よって、そのような機能及び例示の機能ブロックは、ハードウェア実装される及び/又はコンピュータ実装される、よって、機械実装されるものとして理解されるべきである。
【0032】
ハードウェア実装に関して、機能ブロックは、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、縮小命令セットプロセッサ(reduced instruction set processor)、(複数の)特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は(複数の)フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を非限定的に含むハードウェア(例えば、デジタル又はアナログ)回路構成、並びに(必要な場合には)そのような機能を実行し得る状態機械を含んでよく或いは包含してよい。
【0033】
コンピュータ実装に関して、コンピュータは、一般的に、1以上のプロセッサ又は1以上のコントローラを含むと理解され、コンピュータ、プロセッサ、及びコントローラという用語は、互換的に利用されることがある。コンピュータ、プロセッサ、又はコントローラによって提供されるとき、機能は、単一の専用コンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、単一の共有コンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、或いは複数の個別のコンピュータ又はプロセッサ又はコントローラによって提供されてよく、それらの一部は共有されてよく或いは分散されてよい。その上、「プロセッサ」又は「コントローラ」という用語は、上で列挙した例示的なハードウェアのような、そのような機能を遂行し得る及び/又はソフトウェアを実行し得る他のハードウェアも指す。
【0034】
例示的な紡糸(spun)又は螺旋状に撚り合わされた(helically-twisted)マルチコアファイバは、限定の目的のためでなく例示の目的のために以下に記載される。記載する原理は、複数の一次コアと1以上の二次(例えば、冗長又は補助)コアが光ファイバの長さに沿って異なる相対的な位置を有する、マルチコアファイバにも適用される。
【0035】
紡糸ファイバの外側コアは螺旋状に巻かれるので、ファイバに加えられる捩れの結果として、外側コアもひずみ(strain)を受ける。外側コアは、螺旋巻きの方向に対する捩れの向きに応答して伸長させられ或いは圧縮される。換言すれば、外側コアが時計回りに螺旋状に巻かれた状態でファイバの軸を見下ろすと、時計回り方向に加えられる捩れは、外側コアが圧縮させるようになる。反対に、反時計回りに加えられる捩れは、外側コアを伸長させる(張力を受けさせる)。しかしながら、中心コアは中立軸に沿って配置されるので、中心コアは捩れの結果としてのひずみを受けない。よって、4コアファイバは、4コアファイバに加えることができる3つの異なる種類のひずみ、即ち、軸方向に加えられるひずみ、曲げ誘発ひずみ、及び捩れ(twist)又は捻れ(torsion)の結果としてのひずみの各々の個別の決定を可能にする十分な自由度を有する。4つのコアから測定される信号は、ファイバの物理的状態を記述する4つの線形に独立したパラメータを抽出するために使用される。それらの4つのパラメータは、共通モードひずみ(common mode strain)、ピッチ曲げ(pitch bending)、ヨー曲げ(yaw bending)、及び捩れ(twist)を含み、それらはファイバに課し得る比較的低い力の変化を表す。
【0036】
ファイバの締付け(pinching)は、ファイバの他の独立した修正である。締付けを介して有意な寸法変化を誘発することは、上記の低い力と比べて比較的大きな力を必要とする。
【0037】
図1は、マルチコア形状感知ファイバ1を有するロボットアーム1を示している。ロボットアーム2は、ジョイント3(関節)を含み、ジョイント3は、ロボットアームの隣接する部材がジョイント3の周りで互いに対して回転することを可能にする。ロボットアームの部材が動くと、拡大
図4に示すように、ファイバ1がジョイント3内で締め付けられる(pinched)ことがある状況があることがある。ファイバのその締付けは、形状感知決定に誤差(エラー)を導入する。換言すれば、締付けは、共通モードひずみ、ピッチ曲げ、ヨー曲げ、及び捩れを含む、4自由度モデルにおいて考慮されない追加的な力である。
【0038】
図2は、5つのコアa乃至eを備える撚り合わされたマルチコアファイバである感知ファイバ1を示している。コアaは、中立軸上又はその近くにあり、コアb乃至eは、特定の半径距離だけ中立軸から意図的にオフセットされている(ずらされている)。
図3に関連して説明するように、全てのオフセットコアについての半径方向距離は、全て同じではない。
【0039】
図3は、5つのコアの螺旋状に撚り合わされた(twisted)光ファイバについてのコア配置及びひずみに対する応答を定量化するために使用し得る数学的パラメータを例示している。周辺コアb~dは、マルチコアファイバの中心から同じ半径にあり、周辺コアeは、周辺コアb~dの半径とは異なる半径にあることに留意のこと。この例において、補助コアeの半径は、コアb~dの半径よりも小さいが、コアeの半径は、コアb~dの半径よりも大きくてよい。コアb~dについての半径距離とコアeについての半径距離との間の差は、極僅かな(insubstantial)差よりも大きい。例えば、コアb~eの全てについての平均半径距離で割った差は、0.10以上である。別の言い方をすれば、その差は、コアb~eの全てについての平均半径距離の10%である。補助コアeは、好ましくは、コアa~dとの結合を減少させるような方法においてファイバ内に配置される。幾つかの実施形態において、平均半径距離は、平均半径距離である。
【0040】
代替的なの例示的な実施形態において、補助的な冗長コアeは、他の周辺コアと同じ半径に配置される。データの信頼性を確認するために補助的な冗長コアを依然として使用することがあるが、この構成(configuration)は、中心コア上の誤差を検出するのに余り効果的でない。
【0041】
図3も、5つのコアの螺旋状に撚り合わされた光ファイバについてのコア配置及びひずみに対する応答を定量化するために使用し得る数学的パラメータを示している。垂直軸が外側コアbのうちの1つを通過するように、垂直軸がマルチコアファイバの中心を通って配置されている。垂直軸によって二等分される外側コアbを「基準コア」(“reference
core”)と呼ぶ。幾つかのパラメータは、このコアbに関して表され、この文書の残部分に関して、指数n=1で特定されるコアは、一例として、基準コアとしての機能を果たすことに留意のこと。2つのパラメータは、コアの位置、即ち、ファイバ中心からの径方向距離r、及び基準コアと交差する確立された垂直軸から測定される任意の角度を記述する。ファイバが曲げられると、所与のコアにおける曲げ誘起ひずみの量は、コアが曲げ平面から分離される垂直距離dに正比例する。これは、外側コアcの指数n=2についての右側の図面に例示されている。曲げ平面が角度θによって記述されるならば、ファイバ内のコアの螺旋状の巻き付け(helical wrapping)の性質を決定されることがある。ファイバの長さに沿う距離に従って、θは螺旋ファイバの回転周波数(spin frequency)によって定められる。
【0042】
コアひずみ応答が再結合される(recombined)とき、これらのパラメータがファイバのひずみプロファイルの成分にどのように影響を与えるかを理解することは有用である。
図3に示すパラメータに基づいて数学的モデルが確立される。これらのパラメータを測定することができるので、それらを使用してマルチコア光ファイバのひずみプロファイルのより正確な再結合(recombination)を提供することができる。これらのパラメータは特定のマルチコア光ファイバについて一度だけ測定される必要があるに過ぎず、同じマルチコア光ファイバの幾つかの又は全部のOFDR後続測定のために使用されてよいことは注目に値する。
【0043】
先に説明したように、マルチコアファイバに加えられるひずみは、以下の3つの種類又はカテゴリ、即ち、曲げ誘起ひずみ(B)、トルクの結果としてのひずみ(R)、及び軸方向に加えられるひずみ(A)に入る。ファイバ内のコアのひずみ応答は、マルチコアファイバ内のその位置に基づいて、これらの全体的に加えられるひずみの成分を保有する。ファイバに沿う距離でのコアのひずみ応答εを以下の方程式(1)によって表すことができる。
【数1】
ここで、nは、ファイバ内のコアを指定し、zは、ファイバ長に沿う指数(index)を表し、Bは、ファイバの曲げに起因してコアが受けるひずみであり、Rは、ファイバに加えられる捩れ又は捻れによってコア内に誘起されるひずみであり、Aは、コアが受ける軸方向のひずみを表している。
図3において確立されるモデルパラメータを使用してコアの位置に関して方程式(1)中の式を書き換えることによって、コア配置の変動についての補償を達成することができる。ファイバの曲げの結果としてコアが感知する曲げひずみBを、以下の方程式(2)において、(
図3に示す)曲げ平面に対するコアの接線方向距離d及び曲げの曲率に比例するように示すことができる。
【数2】
ここで、αは、定数であり、Kは、ファイバの曲率であり、dは、曲げ平面からのコアの接線方向距離を表している。
図3のモデルから、コアの位置に関して、接線方向距離dを以下のように表すことができる。
【数3】
ここで、rは、ファイバの軸からの径方向距離であり、φは、垂直軸から測定される角度を表し、θは、曲げ平面と水平軸との間の角度の測定値である。方程式(2)及び(3)を組み合わせると、以下が得られる。
【数4】
曲率項を分配し、2つの別個の成分として表現することによって、この式を単純化することができる。
【数5】
ここで、K
χは、水平軸(ピッチ)についての曲率であり、K
yは、垂直軸(ヨー)についての曲率である。
【0044】
ファイバに加えられる適度なレベルの捩れ(例えば、100度/メートル)について、一次項を使用してトルクによって誘発されるひずみをモデル化することができる。その場合、捩れひずみは、コア位置に関して以下のように表される。
【数6】
ここで、βは、定数であり、Φは、長さの単位当たりの、ファイバが撚り合わされた(ロール)量である。第1の次数(first order)まで、コアが受ける軸方向ひずみAはファイバ内の全てのコアに共通であり、コアの位置に依存せずに以下の式に到達すると仮定することもできる。
【数7】
ここで、γは、定数であり、Eは、軸方向ひずみを表している。コア位置に関して式(1)を書き換えると、以下の式が得られる。
【数8】
【0045】
この例示的なファイバの実施形態における4つのコアから測定されるひずみ信号を考慮すると、行列関係を以下のように構築することができる。
【数9】
【0046】
方程式(9)中のこの式は、繊維構造変動に従った形状ファイバ内の各々の独立したコアの個々のひずみ信号の再結合を可能にし、これらの信号をマルチコアファイバ構造全体に加えられるひずみに分類することを可能にする。方程式(9)から任意の数の線形結合(linear combinations)を導き出して、コアのひずみ応答をひずみプロファイルの成分に関連付ける式を創り出すことができる。
【0047】
4つのパラメータ、即ち、水平軸(ピッチ)についての曲率Kχ、垂直軸(ヨー)についての曲率Ky、捩れ(ロール)の量Φ、及び軸方向ひずみEのみがファイバ内に存在する有意な変形であり、4つのコアにおける位相変形が正確に測定されるならば、追加的な又は補助的な又は冗長な(第5の)コアの位相がこの4つのコア測定値から計算されて、ファイバ内の補助的な又は冗長な(第5の)コアについての位相測定値と比較されてよい。補助的な(第5の)コアにおいて測定される位相が、補助的な(第5の)コアについての他の4つのコアによって予測される位相と異なるならば、対処すべき2つの可能性、即ち、5つのコアのうちの少なくとも1つのコアの位相変形測定値が不正確であり、何らかの誤差があることを意味すること、又は列挙される4つのパラメータ以外のファイバの物理的変形が存在し、光学的形状感知モデル又はその基礎となる仮定が不完全であることを意味することがある。いずれの場合においても、電流測定値には欠陥があると想定され、計算される形状は信頼できず、潜在的な危険であると見做されることがある。
【0048】
変数Δによって表されるファイバ内の補助的な又は冗長な(第5の)コアを含む以下の方程式を考慮する。
【数10】
【0049】
行列Mを構築して、物理的パラメータを計算し、第5コアにおいて測定されるひずみがΔについてモデル化されるひずみからどれぐらい外れるかを計算する。
【0050】
方程式(9)は、4つだけより多いコアを含むように拡張させられてよい。方程式(11)は、5つのコアの例を示している。
【数11】
【0051】
変数を名称変更して、表記法(notation)を整理する(clean up)。
【数12】
方程式(11及び11A)中の行列は、正方行列でない故に可逆でない。方程式11Aは2つの方程式に分けられる。
【数13】
【数14】
方程式12Aは、方程式9の複製(reproduction)である。
【0052】
結果は、可逆であり且つ行列Hと呼ぶ、方程式(11A)中の正方行列である。
【数15】
【0053】
以下の置換は、方程式13の結果を方程式12Bに代入することによって行われる。
【数16】
方程式14は、我々の物理モデル及び他の4つのコアにおいて測定されるひずみに基づいて、第5のコアにおいて予測されるひずみを計算する明確な方法を提供する。上記方程式は、以下を定義することによって、
【数17】
並びに、以下を書くことによって、
【数18】
代数式に変形されて(reduced)よい。
【0054】
誤差は、モデルに基づいて予想されるひずみε
4predと、第5のコア内のひずみの実際の測定値ε
4measとの間の差である。
【数19】
【0055】
我々が以下を更に定め、
【数20】
h
nmが方程式13中の上記行列Hのエントリ(記入事項)(entries)であるならば、行列実装(matrix implementation)が、第5のコア内のひずみがモデルによって予測されるひずみとどのように異なるかについての物理的パラメータ及び測定値Δの計算のために構築される。
【数21】
ここで、我々が元々探している行列Mは、以下によって与えられ、
【数22】
ここで、h
nmは、方程式13中の上記行列Hのエントリである。H行列は、一連の歪みを等数の物理的パラメータに関連付けるのに対し、M行列は、計算される誤差パラメータを含む。
【0056】
実用的な例示的な実施形態では、ひずみ(E)及び誤差(Δ)を独立して見出すために、他の3つのパラメータ(捩れ(Φ)、曲げ-x(Kχ)、及び曲げ-y(Ky))を決定し、これらの効果の全てについてファイバを較正する。
【0057】
較正(キャリブレーション)は、全ての5つのコアについてコア幾何学的形状(半径及び角度)を決定することによって開始する(
図3を参照)。異なる張力でコア内のひずみを測定することによって、方程式(11)についてのパラメータの値を決定する。これらのデータセットから、5つのコアについてのOFDR測定値からファイバのピッチ(K
x)、ヨー(K
y)、捩れ(Φ)、ひずみ(E)、及び誤差(Δ)を計算するために、方程式(11)中の行列を決定する。
【数23】
【0058】
4つの低力刺激(low-force stimuli)(ここでは温度は考慮されていない)を方程式(11)において定義される5つのコア内のひずみε0~ε4に関連付ける行列に留意して、ファイバを平面内の連続的な曲げ内に配置する。ファイバがひとたびこの構成に配置されると、マルチチャネルOFDRシステムは、マルチコア光ファイバ内の各コアの分散ひずみ応答を測定する。結果として得られるひずみ応答信号は、典型的には、外側コアが曲げを通じて進むときに、外側コアの螺旋状巻き付けの回転周波数と一致する周波数で圧縮と伸長との間で交番する。この往復動(oscillation)の大きさも、ファイバの長さに沿って徐々に変化するはずである。何故ならば、この大きさは、上述のループの曲げ半径に比例するからである。次に、これらのひずみ応答は、理想的なファイバ構造からの変化を定量化するパラメータの抽出のために、1以上のデータプロセッサに提供される。
【0059】
コア場所を決定するために、振幅及び位相の両方を備える複素数値の信号(complex-valued signal)が、OFDRシステムによって提供される実数値のひずみ応答(real-valued strain response)から決定される。フーリエ変換は、フィルタが螺旋状の巻き付けの回転周波数で測定される散乱信号に適用されることを可能にする。このフィルタリングされる信号の逆フーリエ変換は、複素数値のスピン信号を生成する。この複素回転信号(complex spin signal)の振幅は、ファイバの中立の中心軸からのコアの径方向分離距離に比例する。複素回転信号の位相応答は、ファイバの幾何学的形状内のコアの角度位置に基づく。コアの複素回転信号を基準コアの回転信号と比較することは、基準コアに対するそのコアの位置を決定する。よって、コアの回転信号と基準コア回転信号との間の複素商(complex quotient)の独立変数(引数)(argument)を抽出することによって基準コアを二等分する垂直軸に対して全ての角度位置を見出すことができる。振幅を抽出することは、基準コアに対するコアの径方向分離の比測定値をもたらす。
【0060】
これから、以下の行列が占められ(populated)、そこでは、曲げ応答の大きさは、依然として未知である。何故ならば、螺旋の平面内構成(X及びY)におけるファイバの曲げ振幅は依然として未知だからである。
【数24】
その形状を変えることなく、ファイバに捩れを加える。これから、捩れのみに対する各コア応答(R)が決定されてよい。
【数25】
ファイバを既知の曲げに置くことは、曲げ係数(B)についての既知の振幅をもたらす。
【数26】
ファイバを直線張力(G)内に置くことは、張力(G)に対する各コアの応答の決定を可能にする。
【数27】
この行列を使用することによって、我々は上述のような行列Mを見出すことができる。
【0061】
図4は、5つのコアのファイバを使用する形状感知システムのモデル及び推定から独立して誤差を特定する光周波数領域反射測定法(OFDR)ベースの形状感知システムの第1の例示的な実施形態の概略図を示している。
【0062】
OFDRベースの分散型ひずみ感知システムは、光源11と、撚り合わされた呼掛器15(interferometric interrogator)と、レーザモニタネットワーク12と、マルチコア形状感知ファイバである光感知ファイバ17と、取得電子機器18(acquisition electronics)と、データプロセッサ20とを含む。単一のチャネルが単一のファイバコアに対応する。OFDR測定の間、チューナブル光源11(同調可能な光源)(tunable light source)が、ある範囲の光周波数を通じて掃引される。この光は光カプラを用いて分割され、個別の干渉計(interferometers)に経路制御される(routed)。レーザモニタネットワーク12が、測定スキャンを通じて絶対波長基準を提供するシアン化水素(HCN)気体電池(gas cell)を含む。レーザモニタネットワーク12内の干渉計を使用して、光源が周波数範囲を通じてスキャンされるときの同調速度(tuning rate)の変動を測定する。
【0063】
撚り合わされた呼掛器15は、マルチコア形状感知ファイバである感知ファイバ17の長さ内のそれぞれの個別のコアに接続されている。光は、ファイバ17内の5つのコア導波路A,B,CF,D,Eに対応する、概ね15で参照される5つの撚り合わされた呼掛器の測定アームを通じて感知ファイバ17に入る。次に、感知ファイバ17内の各コアからの散乱光が、対応する撚り合わされた呼掛器15の基準アームに沿って進む光と干渉させられる。コアという用語を使用するが、本技術は紡糸ファイバにおいて使用することができる他の種類の導波路にも当て嵌まる。マルチコアファイバ内の導波路との干渉型呼掛器の各ペアリングを取得チャネル(acquisition channel)と呼ぶ。チューナブル光源11が掃引されるとき、各チャネルは同時に測定され、各チャネルから結果として得られる干渉パターンは、追加的な撚り合わされた呼掛器15のために適合されるデータ取得電子機器18に経路制御される。各チャネルは、独立して同一に処理される。
【0064】
一連の光検出器(例えば、フォトダイオード)が、感知ファイバからの各コアからの干渉パターン、気体電池、及びレーザモニタネットワークからの光信号を、電気信号に変換する。データ取得電子機器18内の1以上のデータプロセッサは、レーザモニタネットワーク12からの情報を使用して、パターンが光周波数内で一定の増分を有するよう感知ファイバ16の検出される干渉パターンをサンプリングし直す(resample)。このステップは、フーリエ変換操作の数学的必要条件である。ひとたびサンプリングし直されると、システムコントローラデータプロセッサ20によってフーリエ変換を行い、時間領域において光散乱信号が生成する。時間領域において、光散乱事象の振幅は、ファイバの長さに沿う遅延に対して描かれている。その光が所与の時間の増分内に進む距離を使用して、この遅延を感知ファイバに沿う長さの測定値に変換することができる。換言すると、光散乱信号は、各散乱事象をファイバに沿う距離の関数として示す。サンプリング期間(sampling period)は、空間分解能(spatial resolution)と呼ばれ、チューナブル光源11が測定中に掃引される周波数範囲に反比例する。
【0065】
ファイバがひずまされると(strained)、ファイバの物理的長さが変化するのに応じて、局所的な光散乱がシフトする。これらのひずみ(distortions)は、非常に繰り返し可能である。故に、ファイバについて検出される光散乱のOFDR測定値を、非ひずみ状態におけるファイバの基準パターンとして機能するメモリに保持することができる。次に、システムコントローラデータプロセッサ20によって、ファイバがひずみの下にあるときに引き続き測定される散乱信号をこの基準パターンと比較して、感知ファイバの長さに沿う局所的な散乱の遅延におけるシフトの測定値を得てよい。遅延におけるこのシフトは、基準散乱パターンと比較するとき、連続的に徐々に変化する光位相信号として現れる。この光位相信号の導関数は、感知コアの物理的な長さの変化に正比例する。物理的な長さにおける変化をひずみに対して調整する(増減させる)(スケーリングする)ことにより、感知ファイバに沿うひずみの連続的な測定値を生成してよい。
【0066】
システムコントローラデータプロセッサ20に連結されるデータプロセッサ22は、実際の光コア構成と最適な光コア構成との間の変動を説明するようOFDR測定値を較正し或いは他の方法で補償するために使用されるファイバ17内のコアa,b,c,d,eの実際の物理的構成に関するパラメータ24を抽出する。先ず、最適なマルチコアファイバ構成からの変形を記述する上記で詳細に記載した数学的モデルが確立され、「最適な」(optimal)という用語は、既知の構成及び未知の構成を含む。次に、マルチコアファイバ内の光コアの物理的特性の変動を補償するパラメータが定められる。
【0067】
図5は、5つのコアの光学形状感知ファイバを較正するためのフローチャート図である。初めに、マルチコアファイバを直線の非ひずみ構成に配置し、上述のようにOFDR測定を行い(ステップS1)、結果として得られる基準状態パラメータを格納する(ステップS2)。次に、マルチコアファイバを、平坦な平面、螺旋形状(例えば、ネジ)などのような、既知の構成に構成する。非限定的な例では、マルチコアファイバを平坦な平面内に構成して(ステップS3)、ファイバ内のコア間の相対的な幾何学的形状を計算する(ステップS4)。この構成に捩れを加え(ステップS5)、捩れ応答を決定する(ステップS6)。次に、ファイバを既知の曲げ位置に構成し(ステップS7)、コア幾何学的形状の振幅値をもたらす曲げ利得(bend gain)を計算する(ステップS8)。ファイバを張力の下に置き(ステップS9)、各コアについての張力応答を計算する(ステップS10)。その場合には、曲げ、ひずみ及び捩れに対する5つのコアの応答を記述する、上記方程式(25)内で行列を埋めるために必要とされる値が利用可能であり(ステップS11)、方程式(15)~(20)に記述するステップを使用して、行列を計算することができる。次に、誤差項Δを使用して、ピンチのようなその形状感知ファイバを使用する形状感知用途における1以上の誤差、電子機器内の誤差などを検出する。
【0068】
図6は、第1の例示的な実施形態に従った4つの一次コアと1つの補助コアとを有する較正された形状感知ファイバを使用して形状感知システムにおける誤差を検出するためにシステムコントローラによって実行されるフローチャート図である。最初に、較正された形状感知ファイバを形状感知のために所望に配置し、5つのコア(4つの一次コア及び1つの二次コア(補助コア又は冗長コアとも呼ぶ))の各々についてOFDR散乱測定値を取得する(ステップS20)。データプロセッサ22は、このファイバについての各々の対応するコアの較正された基準散乱パターンと比較すると、これらの散乱測定値から決定される各コアについて光位相信号を追跡する(ステップS21)。光位相信号の各々は、感知ファイバ内のそのそれぞれのコアの長さに沿う局所散乱体の遅延におけるシフトの測定値である。この光位相信号の導関数を、そのそれぞれのコアの物理的長さの変化に正比例する4つの一次コアの各々について計算する(ステップS22)。4つの位相導関数の各々を方程式(20)からの変換行列Mで乗じて、加えられる曲げ、ひずみ、及び捩れを決定し、次に、5番目を記述するパラメータを使用して、補助コアの予測される位相導関数(ステップS23)及び補助コアの測定される位相導関数を生成する。
【0069】
補助コアの予測される測定値と補助コアの実際の測定値との間の差が、所定の量(1つの非限定的な例の量は0.5ラジアンであってよい)よりも多い量だけ異なるならば、OFDR形状感知測定値は信頼できないと印される、且つ/或いは、以下の行為、即ち、ディスプレイのために故障信号を生成すること、形状感知ファイバと関連付けられるシステム又は機械の動作を停止すること、アラームを生成すること、及び/又は他の予防的若しくは保護的行為を行うことのうちの1以上が取られるか或いは開始される(ステップS26)。
【0070】
(第2の例示的な実施形態)
温度はコアの見かけの長さを変化させることもでき、システムにおける第5の「自由度」を表す。多くの形状感知システムは、ファイバの長さに沿う温度変化とファイバの長さに沿う軸方向ひずみ変化とを区別しない。
【0071】
温度及びひずみに対する形状感知光ファイバの応答の差によって課される誤差を緩和し或いは補償する形状感知システムを次に記載する。換言すれば、第2の例示的な実施形態における形状感知モデルは、形状感知計算における温度の影響に明示的に対処し且つ形状感知計算における温度の影響を補償する。対照的に、第1の例示的な実施形態はそうでなく、それは第1の実施形態における形状感知決定に対するあらゆる温度効果が、上述の誤差計算の部分として検出されることを意味する。
【0072】
しかしながら、この第2の例示的な実施形態では、第5のコアが、撚り合わされたマルチコア光ファイバ内の他の4つの一次コアと異なる温度依存(temperature dependence)を有する5つの一次コアのうちの1つとして組み込まれている。加えて、第6の補助コアが追加されている。以下の記述の大部分は、これらの5つ及び6つのコアの例の脈絡にあるが、第1及び第2の実施形態において記載した原理は、異なる数のコアを備える撚り合わされたマルチコアファイバに当て嵌まることが理解されるべきである。温度感知又は補助コアは、好ましくは、コア間の結合を低減する或いは最小限に抑えるような方法でファイバ内に配置される。
【0073】
1つの例示的な実施形態において、第5の一次コアは、他の4つの一次コアの屈折率とは異なる屈折率を有することによって、異なる熱依存(thermal dependence)を有する。その異なる屈折率を達成する例示的な方法は、異なる材料で構成された及び/又は異なってドープされた第5の一次コアを含む。例えば、他の4つの一次コアと異なる(ファイバの中心により近い又はファイバの中心から遠い)半径に第5の一次コアを配置すること、第5の一次コアに異なる(他のコアよりも大きい又は小さい)幾何学的形状を提供することなどのような、異なる温度依存を達成する他の方法が可能である。
【0074】
一次コアのうちの4つは、ゲルマニウムでドープされ、第5の一次コアは、ホウ素及びゲルマニウムで共ドープされて(co-doped)よい。ホウ素ドーピング(doping)は、偏光維持光ファイバに熱応力を誘発し、その結果、ホウ素を含むコアの熱応答は、典型的なゲルマニウムドープされたファイバと比べて異なる熱依存を有する。他のドーパントを使用して、マルチコアファイバにおける典型的にドープされたファイバと比べて異なる熱依存を生成してよいが、例示的な実施形態において、ホウ素はゲルマニウムとの共ドーパント(co-dopant)としても使用される。何故ならば、その共ドーピング(co-doping)は、典型的なゲルマニウムドープされたファイバと比べて、より感光性の誘導コアも形成するからである。更に、ホウ素は、更なる実用上の利点を提供する、光ファイバのための比較的一般的なドーパントである。
【0075】
図7は、ホウ素-ゼラニウム共ドープされたコア(boron-geranium co-doped core)及びゼラニウムドープされたコア(geranium doped core)についての屈折率対温度のグラフを示している。温度が上昇すると、ホウ素-ゲルマニウム共ドープされたコア(boron-germanium co-doped core)の屈折率は、典型的なゲルマニウムドープされたコア(germanium-doped core)の屈折率とは異なる(より高い)速度で増加する。第5の一次コアは、温度変化に対して異なって反応し、従って、温度を補償するために使用される追加的な線形独立した情報源(linearly-independent source of information)を提供する。
【0076】
マルチコア光ファイバの構造の変動に起因するファイバの位置及び/又は形状、より一般的にはひずみの決定において、誤差及び/又は不確実性が生じる。変動の第1のカテゴリは、コア配置である。この変動は、所与のコアの径方向分離及び角度位置の両方を設計された又は所望の理想値と異なるようにさせ或いは単に未知であるようにさせる。変動を定量化することができるようにマルチコアファイバの断面に対するコアの位置を記述する数学的モデルが生成される。
【0077】
ガラスは比較的硬い材料であるので、ファイバがひずまされると、マルチコアファイバの断面の幾何学的形状は保存されると推測することができる。これが想定することは、ファイバがひずまされると、所与の断面内のコアの相対的な位置が一定なままであるということである。これが意味することは、ファイバをひずませることができ、理想的な構成からのコア配置の変動を正確に決定するためにファイバを依然として使用することができることである。6つのコア(a~f)を備えるファイバについてのコア配置の変動を説明するコア位置モデルが
図8に描かれている。補助コア又は冗長コアは、
図8中にfと印され、周辺コアb~eについての半径距離と周辺コアfについての半径距離との間の差は、極僅かな差よりも大きい。例えば、周辺コアb~fの全てについての平均半径距離(average radius distance)で除した差は、0.10以上である。別の言い方をすれば、その差は、全ての周辺コアb~fについての平均半径距離の10%である。
図3におけるように、補助又は冗長コアfは、代替的に、周辺コアb~eよりも実質的に長い半径を有してよく、再び、径方向距離の差は、全てのコアb~fについての平均半径距離の10%である。幾つかの実施形態において、平均半径距離(average radius distance)は、平均半径距離(mean radius distance)として計算される。
【0078】
代替的な例示的な実施形態において、補助的な冗長コアfは、他の周辺コアと同じ半径に配置される。補助的な冗長コアはデータの信頼性を確認するために依然として使用されてよいが、この構成は中心コアでの誤差を検出するのに余り効果的でない。
【0079】
第1の実施形態において既に上記で提示した式と一致して、温度が独立変数であることが可能にされるならば、第6のコアを追加することは、我々の開始方程式を、以下から
【数28】
以下に変更する。
【数29】
最後の行を引くと、ファイバの物理的状態(曲げ、捩れ、ひずみ、及び温度)によって予測されるような、第6のコア内のひずみε
5predについての式が生成される。
【数30】
他の5つのコアからこれらの物理的パラメータの全てを決定することができる。
【数31】
置換を使用して以下を得る。
【数32】
それは第6のコア内のひずみの予測される値についての閉形式解である。これを以下の行操作に変形して、
【数33】
第6のコアで予測されるひずみの代数式を生成することができる。
【数34】
予測されるひずみから測定されるひずみε
5measを減算すると、以下の誤差項Δがもたらされる。
【数35】
物理的パラメータの逆行列が計算され、エントリの行列として表される。
【数36】
全ての物理的パラメータ並びに測定されたひずみがどれほど良くモデルに一致するかについての測定値である新しいパラメータΔの計算のために、以下の簡潔な表現が構築される。
【数37】
【0080】
第2の実施形態についての実際的な例では、ひずみ(E)及び温度(T)を独立して見出すために、他の3つのパラメータ(捩れ(Φ)、曲げ-x(Kχ)及び曲げ-y(Ky))が決定され、ファイバは、これらの効果の全てについて較正される。
【0081】
較正は、全ての5つのコア(
図8を参照)についてのコア形状(半径及び角度)を決定し、次に、管状炉(tube furnace)又は他の適切な温度制御環境の内側にファイバを吊り下げることによって、開始する。異なる温度及び異なるひずみでコア内のひずみを測定することによって、方程式(27)のためのパラメータG
n及びT
nについての値が決定される。6つのコアの光感知ファイバは、張力下のファイバで取得された追加的なデータのセットと、ファイバが加熱されたデータのもう1つのセットで較正される。5つのコアについてのOFDR測定値からファイバのピッチ(K
χ)、ヨー(K
y)、捩れ(Φ)、ひずみ(E)、及び温度(T)を計算するために、これらのデータセットから方程式(29)内の行列が決定される。
【数38】
【0082】
較正手順及び方程式は、温度についての追加的な較正を伴って、第1の実施形態で使用されたものと同様である。ファイバの温度を上昇させることは、各コアの温度応答(T)の決定を可能にする。
【数39】
【0083】
これはピッチ、ヨー、捩れ、張力、及び温度の集合線形効果に対する個々のコア応答に関連する行列を完成させる。この行列を使用して前述のような物理的パラメータの全て及び誤差項を計算する。
【0084】
図9、温度を補償し、6つのコアのファイバを使用する形状感知システムの推定及びモデルから独立した誤差を特定する、OFDRベースの形状感知システムの第2の例示的な実施形態の概略図を示している。
図9は、ファイバ17内に6つのコア(a~f)を収容する処理及び光学系の追加を伴って、
図4に類似する。
【0085】
撚り合わされた呼掛器15は、感知ファイバ17の長さ内のそれぞれの個々のコアに接続されている。光はファイバ17内の6つのコア導波路a,b,c,d,e,fに対応する、概ね15で参照される5つの撚り合わされた呼掛器の測定アームを通じて、感知ファイバ17に入る。次に、感知ファイバ17の各コアからの散乱光が、対応する撚り合わされた呼掛器15の基準アームに沿って進む光と干渉させられる。チューナブル光源11が掃引されると、各チャネルは同時に測定され、各チャネルから結果的に得られる干渉パターンは、追加的な撚り合わされた呼掛器15のために適合されたデータ取得電子機器18に経路制御される。各チャネルは、上述のOFDR手順を使用して、それだけでなく温度感知及び誤差検出コアも処理して、独立して同一に処理される。
【0086】
図10は、6つのコアの光学形状感知ファイバを較正するためのフローチャート図である。ステップS1~S11は、
図5と同じである。加えて、ファイバは、温度制御された環境内の高温にファイバを曝し(ステップS12)、各コアについて温度応答を計算する(ステップS13)。次に、上述の方程式(37)内で行列を埋めるために必要とされる値が利用可能であり(ステップS11)、その行列Mを計算し(方程式(31)~(35)且つ使用して、その形状感知ファイバを使用する形状感知用途における温度を補償することができ、あらゆる誤差を検出することができる。
【0087】
図11は、第2の例示的な実施形態の形状感知システムにおいて誤差を検出するためのフローチャート図である。最初に、較正された形状感知ファイバを形状感知のために所望に配置し、6つのコアの各々についてのOFDR散乱測定値を取得する(ステップS30)。データプロセッサ22は、このファイバについての対応する各々の対応するコアのための較正された基準散乱パターンと比較して、これらの散乱測定値から決定される各コアについての光位相信号を追跡する(ステップS31)。光位相信号の各々は、感知ファイバ内のそのそれぞれのコアの長さに沿う局所散乱体の遅延におけるシフトの測定値である。この光位相信号の導関数を5つの一次コアの各々について計算し、それはそのそれぞれのコアの物理的長さの変化に正比例する(ステップS32)。6つの位相導関数の各々を行列Mによって乗じて、加えられる曲げ、捩れ、ひずみ、及び誤差項を計算する。この誤差項が特定の大きさを超えるならば、OFDR形状感知測定値は信頼できないと印され、且つ/或いは、以下の行為、即ち、ディスプレイのために故障信号を生成すること、形状感知ファイバと関連付けられるシステム又は機械の動作を停止すること、アラームを生成すること、及び/又は何らかの他の予防的或いは保護的な行為を取ることのうちの1以上の行為が取られるか或いは開始される。(ステップS36)。
【0088】
温度感知が第2の実施形態において追加されたのと同じように新しい感知パラメータが追加されるならば、余剰コアが冗長性のためにある。1よりも多くの冗長コアの追加は、上述のアプローチを使用して容易に適応され、形状感知測定の信頼性及び完全性の更なる保証をもたらす。
【0089】
所与の項目が「幾つかの実施形態」、「様々な実施形態」、「特定の実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、「幾つかの例示的な実施形態」、又は「例示的な実施形態」内に存在することが本明細書中に記載されているときにはいつでも、或いは任意の他の類似の言語が使用されるときにはいつでも、所与の項目は少なくとも1つの実施形態に存在するが、必ずしも全ての実施形態に存在しないことが理解されるべきである。前述と一致して、ある行為(action)が行われて「よい」、行われることが「できる」、或いは行われ「得る」こと、ある構成、要素、若しくはコンポーネントが所与の文脈に含められて「よい」、含められることが「できる」、或いは含められ「得る」若しくは所与の文脈に適用可能であること、又は所与の項目が所与の属性を保有して「よい」、保有することが「できる」、或いは保有し「得る」ことが本明細書中に記載されているときにはいつでも、又は「よい」、「できる」若しくは「得る」という用語を含む任意の類似の成句が使用されるときにはいつでも、所与の王位、構成、要素、コンポーネント、属性などは、少なくとも1つの実施形態に存在するが、必ずしも全ての実施態様に存在しないことが理解されるべきである。本明細書中で使用する用語及び成句並びにそれらの変形は、他のことが明示的に述べられていない限り、限定的というよりもむしろ開放端として解釈されるべきである。前述のことの例として、「及び/又は」は、関連する列挙された項目のうちの1以上の項目のありとあらゆる組み合わせを含む(例えば、a及び/又はbは、a、b、又はa及びbを意味する)。単数形の表現は、「少なくとも1つ」、「1以上」、又は同等のことを意味するものと理解されるべきである。「例」という用語は、議論の下にある主題の例を提供するために使用されており、その排他的又は限定的なリストを提供するために使用されていない。「含む」(“comprise”)及び「含む」(“include”)という用語(並びにそれらの他の活用形及び他の変形)は、関連する列挙された項目の存在を特定するが、1以上の他の項目の存在又は追加を排除しない。ある項目が「任意的」なものとして記載されているならば、そのような記述は、他の項目も任意的でないことを示すように理解されてならない。
【0090】
本明細書で使用するとき、「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」は、レジスタ、キャッシュメモリ、ROM、(D-RAM、S-RAM、又は他のRAMのような)半導体メモリデバイス、フラッシュメモリのような磁気媒体、ハードディスク、光磁気媒体、CD-ROM、DVD、ブルーレイディスク、又は非一時的な電子データ格納のための他の種類のデバイスを含む。「非一時的なコンピュータ可読記憶媒体」という用語は、一時的な伝搬する電磁信号を含まない。
【0091】
様々な実施形態を詳細に示し且つ記載したが、請求項は特定の実施形態又は例に限定されない。本技術は、当業者に明らかになることがある他の実施形態を完全に包含する。上記記述のいずれも、任意の特定の要素、ステップ、範囲、又は機能が、請求項の範囲内に含められなければならないよう本質的であることを暗示するものとして理解されるべきでない。特許される主題の範囲は、請求項によってだけ定められる。法的保護の範囲は、請求項中に引用される用語及びそれらの均等物によって定められる。当業者に知られている上述の好ましい実施形態の要素に対する全ての構造的及び機能的な均等物は、本明細書中に参照として明示的に援用され、本請求項によって包含されることが意図される。その上、あるデバイス又は方法が本請求項によって包含されるために、そのデバイス又は方法は、記載する技術によって解決されるべきありとあらゆる問題に対処する必要はない。如何なる請求項も、「(~のための)手段」又は「(~のための)ステップ」という用語使用されない限り、35USC§112の第6項を呼び出すことを意図しない。更に、この明細書中の如何なる実施形態、構成、コンポーネント、又はステップも、その実施形態、構成、コンポーネント、又はステップが請求項中に列挙されているか否かに拘わらず、公衆に捧げられることを意図しない。