IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立マクセル株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図1
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図2
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図3
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図4
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図5
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図6
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図7
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図8
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図9
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図10
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図11
  • 特許-レンズユニットおよびカメラモジュール 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】レンズユニットおよびカメラモジュール
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20240709BHJP
   G03B 17/55 20210101ALI20240709BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240709BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20240709BHJP
   G03B 15/00 20210101ALN20240709BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B7/02 E
G03B17/55
G03B17/56 H
G03B30/00
G03B15/00 V
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023136014
(22)【出願日】2023-08-24
(62)【分割の表示】P 2019106648の分割
【原出願日】2019-06-07
(65)【公開番号】P2023153344
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(72)【発明者】
【氏名】平田 弘之
(72)【発明者】
【氏名】石崎 修
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 章
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/147696(WO,A1)
【文献】特開2005-215152(JP,A)
【文献】特開平07-263201(JP,A)
【文献】特開2003-241108(JP,A)
【文献】特開2002-243555(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0176431(US,A1)
【文献】特表2009-525756(JP,A)
【文献】特開2003-211956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G03B 17/02
G03B 17/14
G03B 17/55 -17/56
G03B 30/00
H04N 23/50 - 23/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された鏡筒と、
前記鏡筒の内側に、前記鏡筒の軸方向に沿って並べて配置された複数のレンズと、
前記鏡筒の物体側の端部に形成された縮径部に配置されたシール部材と、
前記シール部材の物体側に配置され、像側の面にヒータ部が形成されたカバーガラスと、
前記カバーガラスの外周部を保持した状態で、前記鏡筒の物体側の端部に取り付けられる蓋部材とを備え、
前記ヒータ部は、透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された一対の電極部とを有しており、
前記透明導電膜は、四角形状に形成され、
前記一対の電極部における一方の電極部は、前記透明導電膜の所定の辺の上に形成された第1電極部となっており、
前記一対の電極部における他方の電極部は、前記透明導電膜の前記所定の辺に対向する辺の上に形成された第2電極部と、前記透明導電膜の前記所定の辺に直交する一辺に沿って形成され、前記透明導電膜から離間した位置に設けられている第3電極部と、からなり、
前記第1電極部における一方の端部に配線を接続可能な第1接続部が設けられ、
前記第3電極部における端部であって、前記一方の端部に近接する端部に、配線を接続可能な第2接続部が設けられている、レンズユニット。
【請求項2】
円筒状に形成された鏡筒と、
前記鏡筒の内側に、前記鏡筒の軸方向に沿って並べて配置された複数のレンズと、
前記鏡筒の物体側の端部に取り付けられる円筒状のホルダと、
前記ホルダの物体側の端部に形成された縮径部に配置されたシール部材と、
前記シール部材の物体側に配置され、像側の面にヒータ部が形成されたカバーガラスと、
前記カバーガラスの外周部を保持した状態で、前記ホルダの物体側の端部に取り付けられる蓋部材とを備え、
前記ヒータ部は、透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された一対の電極部とを有しており、
前記透明導電膜は、四角形状に形成され、
前記一対の電極部における一方の電極部は、前記透明導電膜の所定の辺の上に形成された第1電極部となっており、
前記一対の電極部における他方の電極部は、前記透明導電膜の前記所定の辺に対向する辺の上に形成された第2電極部と、前記透明導電膜の前記所定の辺に直交する一辺に沿って形成され、前記透明導電膜から離間した位置に設けられている第3電極部と、からなり、
前記第1電極部における一方の端部に配線を接続可能な第1接続部が設けられ、
前記第3電極部における端部であって、前記一方の端部に近接する端部に、配線を接続可能な第2接続部が設けられている、レンズユニット。
【請求項3】
前記ヒータ部の前記一対の電極部に接続される配線部を備え、
前記鏡筒は、軸方向に沿って形成された貫通孔を有し、
前記配線部は、前記貫通孔を介して像側に引き出されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記配線部は2本の導線であり、
前記貫通孔は、2箇所に形成された円形状の貫通孔であることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記配線部はフレキシブルプリント基板であり、
前記貫通孔は、1箇所に形成された円弧状の貫通孔であることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記フレキシブルプリント基板には、自己温度制御機能を有するサーミスタがさらに配置されていることを特徴とする請求項に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記ヒータ部には、前記透明導電膜および前記電極部を覆う保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載のレンズユニットと、前記レンズユニットで結像された画像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とするカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニットおよびカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
監視カメラ、車載カメラ等、屋外に設置されるカメラが知られている。このような屋外に設置されるカメラでは、降雪時にレンズ前面に氷雪が付着することがある。また、外気温が氷点下以下になった場合に、レンズ前面が凍結し霜が付着することがある。その場合、レンズ前面への付着物によって撮像画像が不鮮明となり、カメラの撮像性能が低下してしまう。
【0003】
近年、車両にカメラ(車載カメラ)が搭載されるようになっており、車載カメラが撮像した画像は、自動ブレーキ機能、自動運転機能等の機能に利用されている。それらの機能は車両の走行を制御する機能であり、車載カメラの撮像機能の低下は、事故等の発生につながってしまう虞がある。そのため、レンズ前面に付着した付着物を融かす融雪機能を備えたカメラの開発が求められている。融雪機能を備えたカメラの一例として、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-325603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されたカメラでは、最も物体側に位置する第1レンズのフランジ部の像側の面に、フィルム状のヒータが設けられている。このように、レンズを直接加熱する場合、レンズが高温となって変形したり、温度上昇に伴う屈折率変化、寸法変化によってレンズユニットの光学性能が低下してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、レンズを直接加熱することなく、雪等を融かすことができるレンズユニットおよびカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のレンズユニットは、
円筒状に形成された鏡筒と、
前記鏡筒の内側に、前記鏡筒の軸方向に沿って並べて配置された複数のレンズと、
前記鏡筒の物体側の端部に形成された縮径部に配置されたシール部材と、
前記シール部材の物体側に配置され、像側の面にヒータ部が形成されたカバーガラスと、
前記カバーガラスの外周部を保持した状態で、前記鏡筒の物体側の端部に取り付けられる蓋部材とを備え、
前記ヒータ部は、透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された一対の電極部とを有していることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のレンズユニットは、
円筒状に形成された鏡筒と、
前記鏡筒の内側に、前記鏡筒の軸方向に沿って並べて配置された複数のレンズと、
前記鏡筒の物体側の端部に取り付けられる円筒状のホルダと、
前記ホルダの物体側の端部に形成された縮径部に配置されたシール部材と、
前記シール部材の物体側に配置され、像側の面にヒータ部が形成されたカバーガラスと、
前記カバーガラスの外周部を保持した状態で、前記ホルダの物体側の端部に取り付けられる蓋部材とを備え、
前記ヒータ部は、透明導電膜と、前記透明導電膜の上に形成された一対の電極部とを有していることを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、レンズの物体側に位置するカバーガラスの像側の面に、透明導電膜と、透明導電膜の上に形成された一対の電極部とからなるヒータ部が形成されているため、カバーガラスの表面に付着した雪等を融かすことができる。これにより、レンズを加熱することなく融雪機能を実現でき、高温となったレンズの変形や、温度上昇に伴う屈折率変化、寸法変化等に起因するレンズユニットの光学性能の低下を防止できる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記透明導電膜は、円形状に形成され、前記一対の電極部は、前記透明導電膜の中心を対称の中心とし、点対称に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の前記構成において、前記透明導電膜は、円形状に形成され、外周側の一部に前記透明導電膜が形成されていない切り欠き部を有し、前記一対の電極部は、一方の電極部が前記透明導電膜の上に形成され、他方の電極部が前記切り欠き部と前記透明導電膜の上とに跨って形成され、前記透明導電膜の上に形成されている部分の電極部が、前記透明導電膜の中心を対称の中心とし、点対称に形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記構成において、前記透明導電膜は、四角形状に形成され、前記一対の電極部は、一方の電極部が前記透明導電膜の所定の辺の上に形成され、他方の電極部が前記透明導電膜の前記所定の辺と対向する辺の上に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記構成において、前記透明導電膜は、四角形状に形成され、前記一対の電極部は、一方の電極部が前記透明導電膜の所定の辺の上に形成され、他方の電極部が前記透明導電膜の前記所定の辺に直交する辺の外側と、前記透明導電膜の前記所定の辺に対向する辺の上とに跨って形成されていることを特徴とする。
【0014】
このような構成によれば、透明導電膜の上に、一対の電極部が対称となるように形成されているため、透明導電膜に均一に電流が流れ、透明導電膜を均一に発熱させることができる。これにより、カバーガラスの加熱の温度ムラをなくすことができ、温度ムラが生じた場合に発生するレンズユニットの光学性能の低下を抑制することができる。
【0015】
また、本発明の前記構成において、前記ヒータ部の前記一対の電極部に接続される配線部を備え、前記鏡筒は、軸方向に沿って形成された貫通孔を有し、前記配線部は、前記貫通孔を介して像側に引き出されていることを特徴とする。
【0016】
このような構成によれば、配線部を、軸方向に沿って設けられた鏡筒の貫通孔を介して像側に引き出すようにしているため、鏡筒の外周側を通して配線部を像側に引き出す場合に生じるシール部材でのシール性低下という問題を防ぐことができる。
【0017】
また、本発明の前記構成において、前記配線部は2本の導線であり、前記貫通孔は、2箇所に形成された円形状の貫通孔であることを特徴とする。このような構成によれば、鏡筒に、円形状の貫通孔を2箇所設ければよいため、加工をより容易にすることができる。
【0018】
また、本発明の前記構成において、前記配線部はフレキシブルプリント基板であり、前記貫通孔は、1箇所に形成された円弧状の貫通孔であることを特徴とする。このような構成によれば、1つのFPCを1箇所の貫通孔に挿通させればよいため、作業性が向上する。
【0019】
また、本発明の前記構成において、前記フレキシブルプリント基板には、自己温度制御機能を有するサーミスタがさらに配置されていることを特徴とする。このような構成によれば、サーミスタが自己温度制御機能、すなわち温度が上昇し、所定の温度に到達すると、抵抗値が大きくなる機能を有しているため、ON/OFFを制御することなく、一定の温度を保つことができる。
【0020】
また、本発明の前記構成において、前記ヒータ部には、前記透明導電膜および前記電極部を覆う保護膜が形成されていることを特徴とする。このような構成によれば、透明導電膜および電極部を覆う保護膜が形成されているため、ヒータ部の絶縁性を確保できるとともに、ヒータ部が傷付くのを防止できる。
【0021】
本発明のカメラモジュールは、前記構成のレンズユニットと、前記レンズユニットで結像された画像を撮像する撮像素子とを備えることを特徴とする。このような構成によれば、カメラモジュールは、上述の本発明のレンズユニットと同様の効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、レンズを加熱することなく、雪等を融かすことができるため、高温となったレンズの変形等に起因するレンズユニットの光学性能の低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るカメラモジュールの軸方向断面図である。
図2】同、レンズユニットの軸方向断面図である。
図3】同、カバーガラスを像側から見たものであり、ヒータ部の説明図である。
図4】同、カバーガラスを像側から見たものであり、ヒータ部の変形例(その1)を示す説明図である。
図5】同、カバーガラスを像側から見たものであり、ヒータ部の変形例(その2)を示す説明図である。
図6】同、カバーガラスを像側から見たものであり、ヒータ部の変形例(その3)を示す説明図である。
図7】同、カバーガラスを像側から見たものであり、配線部としての導線が接続された状態のカバーガラスを側面から見た図である。
図8】同、物体側から見た鏡筒の一部を示すもので、導線を通過させるための貫通孔について説明するための図である。
図9】同、配線部としてのFPCが接続された状態のカバーガラスを側面から見た図である。
図10】同、物体側から見た鏡筒の一部を示すもので、FPCを通過させるための貫通孔について説明するための図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係るカメラモジュールの軸方向断面図である。
図12】同、レンズユニットの軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、第1の実施の形態に係るカメラモジュール500の軸方向断面図である。なお、図1では、断面であることを示すハッチングを一部省略している。
カメラモジュール500は、レンズユニット100、上カメラケース310、下カメラケース320、シール部材330、撮像素子340、および基板350等を備えている。
【0025】
レンズユニット100において、第1レンズ1、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4、および第5レンズ5が像を結ぶ像側(結像側)の端部に、光学フィルタ8が配置されている。また、レンズユニット100の像側であって、光学フィルタ8と対向する位置には撮像素子340が配置されており、この撮像素子340は第1レンズ1~第5レンズ5で結像された画像を撮像する。
また、レンズユニット100は、像側とは反対側の端部、すなわち物体側の端部が撮像対象を向くように配置されている。このレンズユニット100を備えるカメラモジュール500は、物体の像を像側に形成するものであり、例えば自動車に搭載される車載カメラに用いられる。車載カメラには、例えば、車両のサイドミラーに搭載されて車両の後方を撮像するリアビューカメラがある。
【0026】
図2は、レンズユニット100の軸方向断面図である。図2では、断面であることを示すハッチングを一部省略している。レンズユニット100は、鏡筒10、第1レンズ1、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4、第5レンズ5、複数のスペーサ6、複数の絞り7、光学フィルタ8、シール部材9、蓋部材19、シール部材30、蓋部材40、カバーガラス50、ヒータ部60、および配線部70等を備えている。
【0027】
鏡筒10は、円筒状の部材であり、ステンレス鋼、アルミニウム合金等の金属で形成されている。第1レンズ1は、略円形状のガラス製レンズであり、第2レンズ2~第5レンズ5は、略円形状のガラス製または樹脂製レンズである。第1レンズ1~第5レンズ5は、それぞれの光軸を一致させた状態で、鏡筒10の内側に配置されている。第1レンズ1~第5レンズ5は、その外周面が鏡筒10の内周面と当接することで、光軸方向と直交する方向に対して位置決めされている。
絞り7は、環状の部材であり、例えば金属で形成されている。この絞り7は、鏡筒10の内側のレンズ間等に配置されている。絞り7には、透過光量を制限し、明るさの指標となるF値を決定する開口絞り、またはゴーストの原因となる光線や収差の原因となる光線を遮光する遮光絞りがある。
スペーサ6は、環状の部材であり、例えば金属で形成されている。このスペーサ6は、鏡筒10の内側のレンズ間等に配置されている。このスペーサ6の内周面は、ねじ形状に形成されており、これにより時間のかかる切削加工の加工速度を高めることができ、生産性を向上させることができるとともに、ゴーストを効果的に防止できる。
光学フィルタ8は、例えば円形状に形成された赤外線カットフィルタである。この光学フィルタ8は、特定の周波数成分を除去する目的で配置されている。光学フィルタ8は、鏡筒10の像側の端面に、物体側に向かって凹むように形成された凹部に、例えば接着により固定されている。接着剤としては、紫外線硬化樹脂等が用いられる。
【0028】
鏡筒10は、第1レンズ1~第5レンズ5等を保持する小径筒部11と、小径筒部11の径方向外側および物体側に袴状に延びるように設けられ、レンズユニット100の物体側に配置されるカバーガラス50を保持する大径筒部12とを備えている。
小径筒部11の最も像側の内周面には、径方向内側に向かって突出し、軸方向から見て環状となっている支持部11aが設けられている。この支持部11aには、第5レンズ5の外周部における像側の面が当接している。なお、レンズの外周部とは、レンズにおける有効径の外周側に形成されている部位(フランジ部)である。
また、小径筒部11の最も物体側の外周面には、雄ねじ部11bが設けられている。
大径筒部12は、小径筒部11の物体側外周面(略中央部)から、袴状に、径方向外側および物体側に向かって延びるように形成されている。大径筒部12の先端(物体側端部)は、小径筒部11の物体側の端部および第1レンズ1の物体側の面よりも物体側に突出している。大径筒部12の最も物体側の外周面には、雄ねじ部12aが形成されている。また、大径筒部12の最も像側の外周面には、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ部13が形成されている。
【0029】
蓋部材19は、円筒状に形成された蓋状の部材であり、アルミニウム合金等の金属で形成されている。蓋部材19の最も物体側の内周面には、径方向内側に向かって突出し、内径が像側内周面より小さくなっている第1レンズ保持部19bが設けられている。第1レンズ保持部19bの内径は、第1レンズ1の外径より小さくなっている。また、蓋部材19の像側内周面には、雄ねじ部11bと螺合可能な雌ねじ部19aが設けられている。蓋部材19は、ねじ込みにより鏡筒10(小径筒部11)の物体側の端部に取り付けられ、第1レンズ保持部19bの内周側の端部が、第1レンズ1の外周部に当接するようになっている。これにより、鏡筒10(小径筒部11)の内部に収容されている部品は、蓋部材19と支持部11aとの間に挟持された状態となり、各部品の間に隙間が生じないようになっている。
【0030】
なお、第1レンズ1の像側外周面には、外径が物体側外周面より小さく形成された(径を絞って形成された)縮径部1aが設けられている。この縮径部1aと鏡筒10(小径筒部11)の物体側内周面と間には、シール部材9としてのOリングが配置されている。シール部材9は、例えば弾性変形可能なゴムで形成され、鏡筒10と第1レンズ1との間に、圧縮(押圧)された状態で配置されている。これにより、鏡筒10(小径筒部11)の物体側の端部が封止されている。
【0031】
蓋部材40は、円筒状に形成された蓋状の部材であり、アルミニウム等の金属で形成されている。蓋部材40の最も物体側の内周面には、径方向内側に向かって突出し、内径が像側内周面より小さくなっているカバーガラス保持部40bが設けられている。カバーガラス保持部40bの内径は、カバーガラス50の外径より小さくなっている。また、蓋部材40の像側内周面には、雄ねじ部12aと螺合可能な雌ねじ部40aが設けられている。蓋部材40は、ねじ込みにより鏡筒10(大径筒部12)の物体側の端部に取り付けられ、カバーガラス保持部40bの像側の面が、カバーガラス50の外周部に当接する(カバーガラス50の外周部を保持する)ようになっている。カバーガラス50は、蓋部材40と鏡筒10(大径筒部12)の物体側の端部との間に、挟み込まれて保持されている。
【0032】
大径筒部12の最も物体側の外周面には、外径が像側外周面より小さく形成された(径を絞って形成された)縮径部12bが設けられている。この縮径部12bは、径方向外側および物体側に向かって開口している。縮径部12bには、シール部材30としてのOリングが配置されている。シール部材30は、例えば弾性変形可能なゴムで形成され、カバーガラス50と蓋部材40と鏡筒10(大径筒部12)との間に、圧縮(押圧)された状態で配置されている。これにより、鏡筒10(大径筒部12)の物体側の端部が封止され、鏡筒10の内部に、水や埃等が浸入しないようになっている。
【0033】
カバーガラス50は、レンズユニット100の物体側に配置される円形状の透明ガラスである。カバーガラス50の材質としては、屈折率が安定し、耐酸性、耐アルカリ性、耐水性等に優れるホウケイ酸ガラス等の白板ガラス(透明)が好ましい。また、カバーガラス50の厚みは、0.2mm以上1.2mm以下であることが好ましい。厚みが0.2mmより薄いと表面を強く押された際に、割れ等が発生する虞がある。また、厚みが1.2mmより厚いとカメラ画像に収差が発生し、周辺部の画像がボケてしまう虞がある。
【0034】
次に、図3を用いて、カバーガラス50の像側の面に形成されるヒータ部60について説明する。このヒータ部60は、カバーガラス50を加熱するために設けられている。ヒータ部60は、透明導電膜61と一対の電極部62とを備えている。
【0035】
透明導電膜61は、カバーガラス50の像側の面に、一様に、円形状となるように形成されている。透明導電膜61は、導電性を有し、通電により発熱する。換言すると、透明導電膜61は、ヒータ機能を有している。透明導電膜61としては、ITO膜、すなわちIn径のITO(In:Sn)が好ましい。なお、透明導電膜61として、ZnO径のAZO(ZnO:Al)、GZO(ZnO:Ga)、SnO系のATO(SnO:Sb)、FTO(SnO:F)等を用いてもよい。すなわち、透明かつ導電性を有する膜であればよい。透明導電膜61の形成方法は、蒸着またはスパッタリングとすることにより、信頼性の高い強固な膜をカバーガラス50に付与することができる。
【0036】
電極部62は、透明導電膜61上に、所定の幅で線状に形成され、例えば円弧状(略1/4円)となるように設けられる。電極部62の材質としては、電気抵抗の低いNi、Cu、Au等が好ましい。電極部62の形成方法は、蒸着またはスパッタリングの他に、ペースト電極材によるスクリーン印刷がある。電極部62は、光線が通過する範囲外となる箇所、すなわち、レンズユニット100の光学性能に影響を及ぼすことのない箇所に設けられている。電極部62は、2箇所に設けられ、一方の電極部62が正極用となっており、他方の電極部62が負極用となっている。それぞれの電極部62の端部には、パターンが円形状となった接続部62aが設けられている。この接続部62aには、後述する配線部70が接続され、配線部70を介して電極部62に電力が供給されるようになっている。電極部62と透明導電膜61との関係は、電極部62に電力を供給した際に、透明導電膜61に、一様に(均一)に電流が流れるような関係となっており、本実施の形態では、一対の電極部62は、円形状の透明導電膜61の中心Oを対称の中心とし、点対称となるように設けられている。電極部62が点対称に形成されていることにより、電極部62に電力が供給されると、透明導電膜61に均一に電流が流れ、透明導電膜61が均一に発熱するようになっている。すなわち、透明導電膜61の発熱時に温度ムラが生じないようになっている。透明導電膜61が発熱するとカバーガラス50が加熱され、カバーガラス50の表面、すなわち物体側の面であって、外部に曝される面に付着した雪、霜、氷等が融けるようになっている。なお、透明導電膜61の発熱に温度ムラがある場合、カバーガラス50の融雪範囲や融雪時間に偏りが生じることに起因して、レンズユニット100の光学性能が低下してしまう虞がある。
【0037】
また、透明導電膜61の上に、絶縁性の確保や傷付き防止を目的として、さらに保護膜(図示せず)を形成してもよい。保護膜としては、例えばSiO膜等を用いる。その際、配線部70を接続しなければならない接続部62a(電極部62における給電部分)にはマスキングを行い、保護膜を蒸着やスパッタリングにより形成する。なお、保護膜として、反射防止を目的とするAR膜(反射防止膜)を用いてもよい。
【0038】
次に、図4を用いて、ヒータ部60の変形例(その1)について説明する。
透明導電膜61は、円形状の外周側の一部が、略1/4円程度にわたって切り欠かれた形状、すなわち、透明導電膜61が形成されていない切り欠き部が設けられている。この切り欠き部の範囲内の一方側に、電極部62の2箇所の接続部62aが、周方向に沿って隣接するように形成されている。
一方の電極部62は、一方の接続部62aから反時計回りに、略1/4円程度の長さの円弧状となるように、透明導電膜61の上に形成されている。
他方の電極部62は、他方の接続部62aから時計回りに、略半円程度の長さの円弧状となるように形成されている。このとき、他方の電極部62の、接続部62a側の約半分の円弧は、切り欠き部の範囲内に位置し、接続部62aから遠い側の約半分において、透明導電膜61の上に電極部62が形成されている。換言すると、他方の電極部62は、透明導電膜61の切り欠き部と透明導電膜61の上とに跨って形成されている。この場合でも、透明導電膜61上に設けられている電極部62同士の関係は、点対称となっている。すなわち、透明導電膜61の上に形成されている部分の電極部62は、透明導電膜61の中心Oを対称の中心とし、点対称となるように設けられている。これは、非対称の電極部62に対して、透明導電膜61の形成範囲を異ならせることで、対称の電極部62を形成しているということもできる。
これにより、電極部62に電力が供給されると、透明導電膜61に均一に電流が流れ、透明導電膜61が均一に発熱するようになっている。このような構成とすることで、2箇所の接続部62aを近接させつつ、透明導電膜61に均一に電流を流すことができる。2箇所の接続部62aを近接させる(隣接して設ける)ことで、例えば配線部70を接続する作業がより容易になるという効果を奏する。
【0039】
次に、図5を用いて、ヒータ部60の変形例(その2)について説明する。
透明導電膜61は、カバーガラス50の像側の面に、一様に、四角形状に形成されている。電極部62は、透明導電膜61における対向する一対の辺上に形成されている。すなわち、一方の電極部62が透明導電膜61の所定の辺の上に形成され、他方の電極部62が透明導電膜61の前記所定の辺と対向する辺の上に形成されている。また、接続部62aは、電極部62における同じ側の端部に形成されている。一対の電極部62は、透明導電膜61の中心線Xに対して、対称(線対称)となるように形成されている。このように構成した場合でも、透明導電膜61に均一に電流が流れ、透明導電膜61が均一に発熱するようになっている。
【0040】
次に、図6を用いて、ヒータ部60の変形例(その3)について説明する。
透明導電膜61は、カバーガラス50の像側の面に、一様に、四角形状に形成されている。また、透明導電膜61の所定の角の近傍に、電極部62の2箇所の接続部62aが、隣接するように形成されている。
一方の電極部62は、一方の接続部62aから、四角形状の透明導電膜61の所定の辺の上に形成されている。
他方の電極部62は、他方の接続部62aから、透明導電膜61の前記所定の辺に直交する辺の外側と、前記所定の辺に対向する辺の上とに跨って形成されている。すなわち、他方の電極部62は、2本の直線部が直交するように形成され、一方の直線部が透明導電膜61の外側に透明導電膜61の一辺に沿って形成され、他方の直線部が透明導電膜61の一辺の上に形成されている。この場合でも、透明導電膜61上に設けられている電極部62同士の関係は、対称となっている。すなわち、透明導電膜61の上に形成されている部分の電極部62は、透明導電膜61の中心線Xに対して対称(線対称)となっている。
これにより、電極部62に電力が供給されると、透明導電膜61に均一に電流が流れ、透明導電膜61が均一に発熱するようになっている。このような構成とすることで、2箇所の接続部62aを近接させつつ、透明導電膜61に均一に電流を流すことができる。
【0041】
配線部70としては、導線(リード線)またはFPC(フレキシブルプリント基板)が用いられる。配線部70は、外部からの電力をヒータ部60に供給するために設けられている。配線部70は、ヒータ部60(接続部62a)への給電手段ということもできる。
図7は、カバーガラス50のヒータ部60に、配線部70としての2本の導線が接続された状態を示す図である。一方の導線は一方の接続部62aに、他方の導線は他方の接続部62aに、はんだ付け等により接続されている。導線は、電流を流すための金属線であり、例えばPVC(ポリ塩化ビニル)で被覆されている。
図8は、物体側から見た鏡筒10の一部を示す図である。鏡筒10には、配線部70としての2本の導線を、像側に導くための貫通孔14が軸方向と平行に設けられている。配線部70として導線を用いる場合、貫通孔14は2本の導線に対応させて2箇所に、導線の径に対応した径で円形状(丸孔)に形成されている。図2に示すように、貫通孔14は、鏡筒10における小径筒部11の径方向外側であり、大径筒部12の径方向内側となる位置に設けられている。配線部70としての導線は、一端がヒータ部60に接続されるとともに、他端は貫通孔14を介して、鏡筒10(レンズユニット100)の像側に引き出され、電力供給回路を備える基板350(図1参照)に接続されている。このような構成によれば、鏡筒10の外周側を通して配線部70を像側に引き出す場合に生じるシール部材30でのシール性低下という問題を防ぐことができる。
【0042】
図9は、カバーガラス50のヒータ部60に、配線部70としてのFPC(Flexible printed circuits)が接続された状態を示す図である。FPCの材質は、例えばPETフィルムまたはポリイミドフィルムであり、フィルムには電気回路が配線されている。FPCは、ヒータ部60の接続部62aに、例えばACF(Anisotropic Conductive Film)接続されている。ACF接続では、圧着および加熱が施される。
図10は、物体側から見た鏡筒10の一部を示す図である。配線部70としてFPCを用いる場合、貫通孔14は1箇所に、FPCの幅および厚さに対応したサイズで円弧状に形成される。配線部70としてのFPCは、一端がヒータ部60に接続されるとともに、他端は貫通孔14を介して、鏡筒10(レンズユニット100)の像側に引き出され、電力供給回路を備える基板350(図1参照)に接続されている。なお、FPCの当該他端には、コネクタが接続される。
【0043】
配線部70としてFPCを用いる場合、FPC上にサーミスタを搭載(配置)してもよい。サーミスタは、例えばヒータ部60との接続部付近のFPC上に設ける。このサーミスタは、PTC(Positive Temperature Coefficient)機能(PTC特性)、すなわち自己温度制御機能を有しており、ヒータ部60の加熱温度を一定に保つことができるようになっている。サーミスタは、PTC機能を有する電子部品であり、室温付近では略一定の抵抗値を示すが、所定の温度を超えると抵抗値が急上昇するようになっている。このサーミスタは、一般に、チップタイプのものが多く用いられ、PTC特性は、一般的に、チタン酸バリウムに微量の希土類元素を添加することで得られる。このサーミスタは、周囲の温度を検知し、特定の温度(検知温度)に到達すると、抵抗が急激に増加し、流れる電流を小さくする特性を有する。この特性を有するサーミスタは、定温発熱体、ヒータ等に用いることができ、ON/OFFを制御することなく、一定の温度を保つことを可能とする。サーミスタを配置することで、制御回路を設けることなく、流れる電流を制御することができる。
また、例えば導線内に直列にサーミスタを入れることで、制御回路不要でヒータ部60に流れる電流を制御することができる。
また、別の方法として、サーミスタの電圧をモニター回路によりモニターして、制御回路で、モニター回路の出力をA/D変換して内部のマイコンに入力し、ヒータ部60に印加すべき電圧を制御する方式も可能である。これにより、高精度の温度管理を行うことができる。なお、デジタル回路ではなくアナログ回路で制御回路を構成するものとしてもよい。
【0044】
図1に示すように、上カメラケース310は、円形状の開口を介してレンズユニット100の一部を物体側に露出させつつ、下カメラケース320とともにレンズユニット100の周囲を覆うような形状を有している。上カメラケース310と鏡筒10のフランジ部13との間には、シール部材330としてのOリングが配置されており、これによりカメラケースの内部は気密性が確保されている。なお、下カメラケース320の内側におけるレンズユニット100の像側と対向する位置には、撮像素子340および基板350が配置されている。
【0045】
貫通孔14の像側の開口は、鏡筒10の軸方向において、上カメラケース310とシール部材330とにより形成されるシール部より像側となる位置に設けられている。カメラケースの内部は気密性が確保されているため、貫通孔14を介して鏡筒10の内部に水が浸入することはない。これにより、ヒータ部60を絶縁する必要がない。また、ヒータ部60を絶縁する必要がないため、低コスト化を実現できる。
【0046】
カメラモジュール500は、レンズユニット100、上カメラケース310、下カメラケース320、シール部材330、撮像素子340、基板350の他に、信号処理回路、フレキシブル配線シート、コネクタ等を備えていてもよい。なお、カメラモジュール500とは、少なくともレンズユニット100と撮像素子340とを備えたものをいう。
【0047】
カメラモジュール500は次のように動作する。物体側から入射する光は、レンズユニット100のレンズ群を介して撮像素子340に入射する。撮像素子340は、入射した像を電気信号に変換する。信号処理回路は、撮像素子340からの電気信号に対して信号処理(A/D変換、画像補正処理等)を行う。信号処理回路から出力される電気信号は、フレキシブル配線シートおよびコネクタを介して外部の電子機器に接続される。
【0048】
本実施の形態に係るレンズユニット100(カメラモジュール500)にあっては、レンズを加熱することなく融雪機能を実現でき、高温となったレンズの変形等に起因するレンズユニット100の光学性能の低下を防止できる。
【0049】
また、カバーガラス50への雪等の付着によって撮像画像が不鮮明となることがないため、レンズユニット100の撮像性能の低下を防ぐことができる。このため、例えばレンズユニット100を車載カメラに用いた場合に、カバーガラス50の表面(物体側の面)に付着した雪等が、車両の自動ブレーキ機能、自動運転機能等に影響を与えるのを防ぐことができる。これにより、運転者に快適な運転を提供できるとともに、乗員の安全を確保できる。
【0050】
また、カメラモジュール500のカメラとしての画角は、110°以下が好ましい。画角が110°を超えると、カバーガラス50が極端に大型化してしまうため、実用的ではない。また、カメラ画像に収差が発生し、周辺部で画像がボケてしまうという問題が生じる。
【0051】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図11は、第2の実施の形態に係るカメラモジュール600の軸方向断面図である。なお、図11では、断面であることを示すハッチングを一部省略している。また、図12は、カメラモジュール600におけるレンズユニット100の軸方向断面図である。なお、図12では、断面であることを示すハッチングを一部省略している。
以下、第1の実施の形態および第2の実施の形態で説明した構成と同一または相当する機能を有する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
カメラモジュール600は、レンズユニット100、上カメラケース310、下カメラケース320、シール部材330、撮像素子340、および基板350等を備えている。
【0052】
レンズユニット100は、鏡筒10、ホルダ20、第1レンズ1、第2レンズ2、第3レンズ3、第4レンズ4、第5レンズ5、複数のスペーサ6、複数の絞り7、光学フィルタ8、シール部材9、蓋部材19、シール部材30、蓋部材40、カバーガラス50、ヒータ部60、および配線部70等を備えている。
第1の実施の形態では、図2で示したように、鏡筒10が小径筒部11と大径筒部12とからなるものであった。第2の実施の形態では、鏡筒10は小径筒部11に相当する部分のみからなっており、大径筒部12に相当する部分が別部材のホルダ20となっている。また、鏡筒10の物体側外周面に、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ部18が形成されている。
【0053】
ホルダ20は、円筒状の部材であり金属で形成されている。このホルダ20は、レンズユニット100の物体側に、カバーガラス50を配置可能とするために設けられている。
ホルダ20は、内側に鏡筒10の物体側の部分を収容可能な内径で形成されている。ホルダ20の物体側の端部は、鏡筒10の物体側の端部および第1レンズ1の物体側の面よりも物体側に突出している。また、ホルダ20の像側の端部は、鏡筒10のフランジ部18と当接するようになっている。
【0054】
また、ホルダ20の最も物体側の外周面には、雄ねじ部21が形成されている。この雄ねじ部21は、蓋部材40の雌ねじ部40aと螺合可能となっている。
また、ホルダ20の最も像側の外周面には、径方向外側に向かって突出する鍔状のフランジ部22が形成されている。このフランジ部22と上カメラケース310との間には、シール部材330が配置され、シール部が形成されている。
【0055】
また、ホルダ20の最も物体側の外周面には、外径が像側外周面より小さく形成された(径を絞って形成された)縮径部23が設けられている。縮径部23は、径方向外側および物体側に向かって開口している。この縮径部23には、シール部材30としてのOリングが配置されている。シール部材30は、例えば弾性変形可能なゴムで形成され、カバーガラス50と蓋部材40とホルダ20との間に、圧縮(押圧)された状態で配置されている。これにより、ホルダ20の物体側の端部が封止され、カバーガラス50の内側の空間に、水や埃等が浸入しないようになっている。
【0056】
本実施の形態に係るレンズユニット100(カメラモジュール600)にあっては、第1の実施の形態の効果に加え、以下の効果を奏する。すなわち、鏡筒10とホルダ20とを別部品とした場合、それらを一体に形成した場合のように部品の形状が複雑とならず、加工がより容易となり、生産性が向上する。
【0057】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1,2,3,4,5 レンズ
10 鏡筒
12b 縮径部
14 貫通孔
20 ホルダ
23 縮径部
30 シール部材
40 蓋部材
50 カバーガラス
60 ヒータ部
61 透明導電膜
62 電極部
70 配線部
500,600 カメラモジュール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12