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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】箱用シートおよび箱体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/10 20060101AFI20240709BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20240709BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B65D5/10 J
B65D5/54 301J
B65D5/44 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023178490
(22)【出願日】2023-10-16
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513133077
【氏名又は名称】大王パッケージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】100187997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】小平 鋼佑
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3235008(JP,U)
【文献】実開昭52-070625(JP,U)
【文献】特開2023-008171(JP,A)
【文献】実開昭62-188416(JP,U)
【文献】登録実用新案第3212412(JP,U)
【文献】特開平10-024922(JP,A)
【文献】特開2021-041962(JP,A)
【文献】特開2001-018952(JP,A)
【文献】登録実用新案第3206842(JP,U)
【文献】特開2018-172137(JP,A)
【文献】特開2006-008183(JP,A)
【文献】実開昭53-110338(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/10
B65D 5/54
B65D 5/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体に組み立て可能な箱用シートであって、
左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、
上記一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、
上記一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルと
を備え、
上記一対の第1天面パネルおよび上記一対の第2天面パネルの隣接する側縁同士がつながっており、
上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、
上記第2側面パネルに、上記差し込み片の基端縁の両端部同士を接続する破断容易線が形成されており、
上記折り畳み片に、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端側に延びる折り曲げ容易線が形成されており、
上記第1天面パネルに、上記差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、
上記差し込み片は、その基端縁から延出方向先端側に向けて拡幅する拡幅部と、上記拡幅部の先端側に連続する先端部とを有し、上記係止孔に挿入される突出部が上記先端部の幅方向の両側に形成されており、
上記折り曲げ容易線の折り曲げによって上記一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、上記突出部を上記係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる箱用シート。
【請求項2】
組立状態で上記一対の第1天面パネルの先端縁同士が突き合わせられるように設けられており、
組立状態で露出する上記一対の第1天面パネルの合わせ目部分と、上記係止孔とを含む領域に送り状が貼着されるように設けられている請求項1に記載の箱用シート。
【請求項3】
左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、
上記一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、
上記一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルと
を備え、
上記一対の第1天面パネルおよび上記一対の第2天面パネルの隣接する側縁同士がつながっており、
上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、
上記第2側面パネルに、上記差し込み片の基端縁の両端部同士を接続する破断容易線が形成されており、
上記折り畳み片に、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端側に延びる折り曲げ容易線が形成されており、
上記第1天面パネルに、上記差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、
上記差し込み片は、その基端縁から延出方向先端側に向けて拡幅する拡幅部と、上記拡幅部の先端側に連続する先端部とを有し、上記係止孔に挿入される突出部が上記先端部の幅方向の両側に形成されており、
上記折り曲げ容易線の折り曲げによって上記一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、上記突出部を上記係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる箱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、箱用シートおよび箱体に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシート等から構成される箱用シートを組み立ててなる箱体が物品の梱包容器として広く用いられている。この箱用シートとしては、蓋部の開閉を容易にするための構造を有するものが発案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実全昭53-110338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、左右方向に交互に連接されている一対の側面および一対のツマ面と、一対の側面の上縁から延出する一対の天面と、一対のツマ面の上縁から延出する一対の折込み面とを備え、一対の天面および一対の折込み面が左右方向に交互に連接されている箱用シートが記載されている。上記折込み面には、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端縁に向けて延びる一対の折り目が形成されている。この箱用シートは、上記折り目による折り曲げによって上記一対の折込み面を折り込むことで、一対の天面の先端縁同士が突き合わされて蓋部を形成できるように構成されている。
【0005】
特許文献1には、上記天面と上記折込み面との境界部分にスリットを設けるとともに、ツマ面にこのスリットに挿入される差込み片を形成することが記載されている。特許文献1には、上記差込み片を上記スリットに差し込むことで、粘着テープを使用することなく、きわめて容易に箱体を組み立てできることが記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されている構成によると、上記差込み片を上記スリットに差し込みやすくするためには、上記差込み片の基端縁(下縁)をツマ面の上縁から離れた位置に設けることを要する。その結果、ツマ面の強度が不十分になるおそれや、ツマ面に意図しない隙間ができるおそれがある。
【0007】
本開示は、このような事情に基づいてなされたものであり、蓋部の形成が容易であるとともに、箱体を十分に密閉することが可能な箱用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る箱用シートは、箱体に組み立て可能な箱用シートであって、左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、上記一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、上記一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルとを備え、上記一対の第1天面パネルおよび上記一対の第2天面パネルが左右方向に交互に連接されており、上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、上記折り畳み片に、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端側に延びる折り曲げ容易線が形成されており、上記第1天面パネルに、上記差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、上記折り曲げ容易線の折り曲げによって上記一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、上記差し込み片を上記係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係る箱用シートは、蓋部の形成が容易であるとともに、箱体を十分に密閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る箱用シートを示す模式的平面図である。
図2図2は、図1の箱用シートを組み立ててなる箱体の模式的斜視図である。
図3図3は、図2の箱体の模式的平面図である。
図4図4は、図2の箱体における蓋部の組み立て途中の状態を示す模式的平面図である。
図5図5は、図2の箱体における蓋部を組み立てた状態を示す模式的平面図である。
図6図6は、図5の蓋部に送り状を貼着した状態を示す模式的平面図である。
図7図7は、図2の箱体における送り状を剥がす途中の状態を示す模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0012】
(1)本開示の一態様に係る箱用シートは、箱体に組み立て可能な箱用シートであって、左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、上記一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、上記一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルとを備え、上記一対の第1天面パネルおよび上記一対の第2天面パネルが左右方向に交互に連接されており、上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、上記折り畳み片に、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端側に延びる折り曲げ容易線が形成されており、上記第1天面パネルに、上記差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、上記折り曲げ容易線の折り曲げによって上記一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、上記差し込み片を上記係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる。
【0013】
当該箱用シートは、上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、この差し込み片を上記第1天面パネルに形成されている係止孔に挿入することで箱体の蓋部を形成することができる。当該箱用シートは、上記差し込み片が上記第2天面パネルに画定されているので、上記差し込み片を上記係止孔に容易に挿入することができる。また、当該箱用シートは、上記差し込み片が上記第2天面パネルに画定されているので、上記差し込み片に起因して上記第2側面パネルに隙間が形成されることを抑制できる。したがって、当該箱用シートは、蓋部の形成が容易であるとともに、箱体を十分に密閉することができる。
【0014】
(2)上記(1)において、上記第2側面パネルに、上記差し込み片の基端縁の両端部同士を接続する破断容易線が形成されているとよい。この構成によれば、箱体を組み立てた後に、上記係止孔から上記差し込み片を容易に抜き出すことができる。
【0015】
(3)上記(1)または(2)において、組立状態で上記一対の第1天面パネルの先端縁同士が突き合わせられるように設けられており、組立状態で露出する上記一対の第1天面パネルの合わせ目部分と、上記係止孔とを含む領域に送り状が貼着されるように設けられているとよい。この構成によれば、上記蓋部を確実に密閉することができるとともに、上記蓋部の意図しない開放を容易かつ確実に抑制することができる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれかにおいて、上記差し込み片が、延出方向先端側に向けて拡幅しており、この拡幅した部分の両側に、上記係止孔に挿入される一対の突出部を有するとよい。この構成によれば、上記蓋部の姿勢を安定させることができる。
【0017】
(5)本開示の別の一態様に係る箱体は、左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、上記一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、上記一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルとを備え、上記一対の第1天面パネルおよび上記一対の第2天面パネルが左右方向に交互に連接されており、上記第2天面パネルが、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込みによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片と、この差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、上記折り畳み片に、幅方向外側の基端縁から幅方向内側に傾斜して先端側に延びる折り曲げ容易線が形成されており、上記第1天面パネルに、上記差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、上記折り曲げ容易線の折り曲げによって上記一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、上記差し込み片を上記係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる。
【0018】
当該箱体は、上記差し込み片が上記第2天面パネルに画定されているので、上記差し込み片を上記係止孔に容易に挿入することができる。また、当該箱体は、上記差し込み片が上記第2天面パネルに画定されているので、上記差し込み片に起因して上記第2側面パネルに隙間が形成されることを抑制できる。したがって、当該箱体は、蓋部の形成が容易であるとともに、密閉性に優れる。
【0019】
本開示において、「左右方向」とは、箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における水平方向を意味する。「上」とは、当該箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における上を意味する。「内側」とは、箱体における内側を意味する。
【0020】
以下、適宜図面を参照しつつ、本開示の実施の形態を詳説する。なお、各図は模式的なものであって、実際の寸法や厚さ等とは一致しないことがある。また、本開示において、「第1」および「第2」の記載は、これらが付された構成要素を区別するためのもので、数、順序、優先順位等を限定するものではない。
【0021】
[箱用シート]
図1の箱用シート10は、箱体に組み立て可能であり、より詳しくは、図2および図3の箱体20に組み立てられる。当該箱用シート10は、左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネル1および一対の第2側面パネル2と、一対の第1側面パネル1の上縁から延出する一対の第1天面パネル3と、一対の第2側面パネル2の上縁から延出する一対の第2天面パネル4とを備える。一対の第1天面パネル3および一対の第2天面パネル4は左右方向に交互に連接されている。また、当該箱用シート10は、一対の第1側面パネル1の下縁および一対の第2側面パネル2の下縁からそれぞれ延出する底フラップ(第1底フラップ5a~第4底フラップ5d)と、一対の第1側面パネル1のうち、左右方向外側(図1における左側)に位置する第1側面パネル1の左右方向外側の側縁から延出する第1継代6aと、一対の第1天面パネル3のうち、左右方向外側(図1における左側)に位置する第1天面パネル3の左右方向外側の側縁から延出する第2継代6bとを備える。第1継代6aと第2継代6bとは切込みによって分離されている。当該箱用シート10において、第1側面パネル1と第2側面パネル2との境界線、第1側面パネル1と第1天面パネル3および底フラップ5a、5cとの境界線、第2側面パネル2と第2天面パネル4および底フラップ5b、5dとの境界線、第1側面パネル1と第1継代6aとの境界線、第1天面パネル3と第2継代6bとの境界線には、それぞれ折り曲げ容易線が形成されている。この折り曲げ容易線としては、例えばシートの片面を筋押しして形成された罫線や、罫線と切断線とが交互に連続して配置されたリード罫線が挙げられる。なお、本開示において、「下」とは、当該箱用シートを組み立ててなる箱体において想定される一般的な使用態様における下を意味する。
【0022】
第2天面パネル4は、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込み4aによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片11と、差し込み片11の両側に配置される一対の折り畳み片12とに分離されている。折り畳み片12には、幅方向外側(第2天面パネル4全体における幅方向外側)の基端縁から幅方向内側(第2天面パネル4全体における幅方向内側)に傾斜して先端縁側に延びる折り曲げ容易線12aが形成されている。第1天面パネル3には、差し込み片11が差し込まれる一対の係止孔3aが形成されている。当該箱用シート10は、折り曲げ容易線12aの折り曲げによって一対の第1天面パネル3同士を内側に折り曲げ、差し込み片11を係止孔3aに挿入することで蓋部21が組み立てられるように設けられている。
【0023】
当該箱用シート10は、第2天面パネル4が、その基端縁から先端縁にわたって延びる一対の切込み4aによって、幅方向の中央部分に配置される差し込み片11と、差し込み片11の両側に配置される一対の折り畳み片12とに分離されており、差し込み片11を第1天面パネル3に形成されている係止孔3aに挿入することで箱体20の蓋部21を形成することができる。当該箱用シート10は、差し込み片11が第2天面パネル4に画定されているので、差し込み片11を係止孔3aに容易に挿入することができる。また、当該箱用シート10は、差し込み片11が第2天面パネル4に画定されているので、差し込み片11に起因して第2側面パネル2に隙間が形成されることを抑制できる。さらに、当該箱用シート10は、差し込み片11の両側に折り畳み片12が位置していることで、箱体20における第2側面パネル2と蓋部21との間に隙間が生じることも抑制できる。したがって、当該箱用シート10は、蓋部21の形成が容易であるとともに、箱体20を十分に密閉することができる。
【0024】
当該箱用シート10を箱体20に組み立てる手順について説明する。まず、左右方向外側(図1の左側)に配置されている第1側面パネル1をこの第1側面パネル1に連接されている第2側面パネル2の内面に折り重ね、左右方向外側(図1の右側)に配置されている第2側面パネル2をこの第2側面パネル2に連接されている第1側面パネル1の内面に折り重ねる。これにより同時に、左右方向外側(図1の左側)に配置されている第1天面パネル3がこの第1天面パネル3に連接されている第2天面パネル4の内面に折り重ねられるとともに、左右方向外側(図1の右側)に配置されている第2天面パネル4がこの第2天面パネル4に連接されている第1天面パネル3の内面に折り重ねられる。次に、第1継代6aを折り重ねられた第2側面パネル2の内面に貼着するとともに、第2継代6bを折り重ねられた第2天面パネル4の内面に貼着する。また、この際に、第1底フラップ5aの第2底フラップ5b側に設けられている折り曲げ片15aを第2底フラップ5bに貼着し、第3底フラップ5cの第4底フラップ5d側に設けられている折り曲げ片15cを第4底フラップ5dに貼着した状態で、第1底フラップ5a~第4底フラップ5dを一対の第1側面パネル1および一対の第2側面パネル2の内面に折り重ねておく。
【0025】
次に、それぞれ無端状に接続された一対の第1側面パネル1および一対の第2側面パネル2、ならびに一対の第1天面パネル3および一対の第2天面パネル4を四角筒状に広げるとともに、第1底フラップ5a~第4底フラップ5dを組み合わせることで箱体の底部を組み立てる。そして、底部上に所望の物品を配置したうえで、図4に示すように、4つの折り畳み片12にそれぞれ形成されている折り曲げ容易線12aを谷折りに(箱体20の内側に凸になるように)折り曲げて、一対の第1天面パネル3を先端縁同士が突き合わされるように内側に折り曲げる。さらに、図5に示すように、一対の第1天面パネル3同士の合わせ目部分を覆うように一対の差し込み片11を一対の天面パネル3の外面に重ね、後述の突出部11aをそれぞれ第1天面パネル3に形成された係止孔3aに挿入する。これにより、箱体20の蓋部21が組み立てられる。なお、箱体20は、それ自体本開示の一態様である。
【0026】
箱体20は、例えば宅配用の梱包容器として使用できる。そのため、図6に示すように、箱体20は、一対の第1天面パネル3の合わせ目部分と、4つの係止孔3aおよびこれらの係止孔3aに挿入されている突出部11aを覆うように送り状30を貼着してもよい。このように構成されることで、図1および図2の箱体20が得られる。
【0027】
当該箱体20は、差し込み片11が第2天面パネル4に画定されているので、差し込み片11を係止孔3aに容易に挿入することができる。また、当該箱体20は、差し込み片11が第2天面パネル4に画定されているので、差し込み片11に起因して第2側面パネル2に隙間が形成されることを抑制できる。さらに、当該箱体20は、差し込み片11の両側に折り畳み片12が位置していることで、第2側面パネル2と蓋部21との間に隙間が生じることも抑制できる。したがって、当該箱体20は、蓋部21の形成が容易であるとともに、密閉性に優れる。
【0028】
当該箱用シート10は、1枚のシート体である。当該箱用シート10に用いられるシートとしては、当該箱用シート10を組み立ててなる箱体20の形状を維持できる程度の強度を有する限り特に限定されるものではなく、例えば段ボールシート、ボール紙等の紙製シート、合成樹脂製シート、紙製シートと合成樹脂製シートとの積層シート等が挙げられる。中でも、加工性、衝撃吸収性、取扱性、リサイクル性、経済性等の点から紙製シートが好ましく、段ボールシートが特に好ましい。当該箱用シート10を形成する段ボールシートとしては、原紙を波形状に形成した中芯をライナーに貼り合わせたものであって、例えば波形状に形成された中芯を1枚のライナーに貼り合わせた片面段ボールシート、片面段ボールシートの段頂にさらにライナーを貼り合わせた両面段ボールシート、両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂を貼り合わせた複両面段ボールシート、複両面段ボールシートの片側に片面段ボールシートの段頂をさらに貼り合わせた複々両面段ボールシート等が挙げられる。これらの中でも、加工性、経済性、耐久性等の点から両面段ボールシートが好ましい。
【0029】
(側面パネル)
一対の第1側面パネル1は、矩形状かつ略同一形状に形成されている。第1側面パネル1の左右方向長さは、第2側面パネル2の左右方向長さよりも大きくてもよい。この場合、第1側面パネル1は、箱体20の長さ面を形成する長さ面パネルとして構成される。
【0030】
第1側面パネル1は、上下方向長さに対して左右方向長さが大きくてもよい。第1側面パネル1の左右方向長さに対する上下方向長さの比の下限としては、所望の物品を収容できるようにする観点から、0.1であってもよく、0.15であってもよい。一方、上記比の上限としては、宅配用に使用しやすい観点から、0.5であってもよく、0.3であってもよく、0.25であってもよい。
【0031】
第1側面パネル1の左右方向長さとしては、特に限定されるものではないが、例えば200mm以上450mm以下であってもよい。
【0032】
一対の第2側面パネル2は矩形状かつ略同一形状に形成されている。第2側面パネル2の上下方向長さとしては、第1側面パネル1の上下方向長さと同じとすることができる。第2側面パネル2の左右方向長さが第1側面パネル1の左右方向長さよりも小さい場合、第2側面パネル2は、箱体20の幅面を形成する幅面パネルとして構成される。
【0033】
第2側面パネル2には、差し込み片11の基端縁の両端部同士を接続する破断容易線2aが形成されている。破断容易線2aは、一対の第2側面パネル2のうち、一方の第2側面パネル2にのみ設けられていてもよいが、両方の第2側面パネル2にそれぞれ設けられていることが好ましい。当該箱用シート10は、第2側面パネル2に破断容易線2aが形成されていることで、箱体20を組み立てた後に、係止孔3aから差し込み片11を容易に抜き出すことができる。詳しく説明すると、箱体20の蓋部21に送り状30が貼られる場合、この送り状30は、第1天面パネル3と差し込み片11とのそれぞれに貼着される。そのため、差し込み片11の係止孔3aからの意図しない抜けが防止できる一方、蓋部21の開放が容易でなくなることがある。これに対し、差し込み片11の基端縁の両端部同士を接続する破断容易線2aが形成されていることで、図7に示すように、破断容易線2aを破断したうえ、差し込み片11および差し込み片11と一体的に分離された第2側面パネル2の除去部2bを破断側から持ち上げていくことで、送り状30を第1天面パネル3から剥離しつつ差し込み片11を係止孔3aから容易に抜き出すことができる。そして、さらに送り状30を剥離する方向に差し込み片11を移動させることで、送り状30を第1天面パネル3から除去することができる。その結果、蓋部21を容易に開放することができる。
【0034】
破断容易線2aは、例えば円弧状である。この構成によれば、破断容易線2aの破断を容易に行うことができるとともに、第2側面パネル2における破断容易線2aの破断によって除去された部分(除去部2b)を用いて差し込み片11を容易に持ち上げることができる。その結果、送り状30を第1天面パネル3から容易に剥離することができるとともに、一対の突出部11aを係止孔3aから容易に抜き出すことができる。破断容易線2aの線種としては、特に限定されるものではないが、例えばミシン目が挙げられる。
【0035】
(天面パネル)
一対の第1天面パネル3は矩形状かつ略同一形状に形成されている。第1天面パネル3の幅は第1側面パネル1の左右方向長さと同じとすることができる。第1天面パネル3の延出方向長さは、第2側面パネル2の左右方向長さの1/2とすることができる。一対の第1天面パネル3は、それぞれ延出方向長さが第2側面パネル2の左右方向長さの1/2とされることで、組立状態で先端縁同士が突き合わされるように設けられている。
【0036】
上述のように、一対の第1天面パネル3は、それぞれ一対の係止孔3aを有している。一対の係止孔3aは、第1天面パネル3の幅方向の中心線を基準として対称に形成されている。各第1天面パネル3に形成されている一対の係止孔3aには、異なる差し込み片11の突出部11aが挿入されるように構成されている。
【0037】
係止孔3aは、例えば第1天面パネル3を厚さ方向に貫通するスリットによって形成されている。このスリットは、第1天面パネル3の延出方向に間隔を空けて配置され、第1天面パネル3の基端縁と平行な一対の第1直線部と、一対の第1直線部の内側(第1天面パネル3の幅方向における内側)の端部同士を接続する第2直線部とを有するコ字状であってもよい。また、第2直線部は、第1天面パネル3の延出方向先端側に向けて、第1天面パネル3の幅方向の外側から内側に傾斜していてもよい。このように構成されていることで、係止孔3aに対する突出部11aの挿抜が容易になる。また、第1天面パネル3は、上記第1直線部の外側の端部同士を接続する折り曲げ容易線3bを有していてもよい。
【0038】
一対の係止孔3aは、第1天面パネル3の先端縁側に配置されている。第1天面パネル3の先端縁と係止孔3aとの間隔としては、例えば10mm以上20mm以下とすることができる。また、一対の係止孔3a同士の間隔は、送り状の長辺の長さより小さくてもよい。一対の係止孔3a同士の間隔としては、例えば50mm以上150mm以下とすることができる。
【0039】
一対の第2天面パネル4は略矩形状かつ略同一形状に形成されている。第2天面パネル4の幅は、第2側面パネル2の左右方向長さと同じとすることができる。第2天面パネル4の延出方向長さは、第1天面パネル3の延出方向長さと同じとすることができる。
【0040】
上述のように、第2天面パネル4は、幅方向の中央部分に配置される差し込み片11と、差し込み片11の両側に配置される一対の折り畳み片12とを有する。差し込み片11と一対の折り畳み片12とは、切込み4aによって分離されている。
【0041】
第2天面パネル4は、一対の切込み4aによって差し込み片11と一対の折り畳み片12とに分離されているので、差し込み片11を有することに起因するシート面積の増大を防止できる。そのため、当該箱用シート10は、省資源化を図ることができる。
【0042】
差し込み片11は、一対の切込み4aによって一対の折り畳み片12と分離されることで、その基端縁によって片持ち梁状に支持される。差し込み片11は、延出方向を長手方向とする帯状である。差し込み片11は、組立状態で、一対の第1天面パネル3の合わせ目部分を覆うように配置される。また、差し込み片11は、基端縁と平行に延びる折り曲げ容易線11eを有する。折り曲げ容易線11eは、差し込み片11の先端側に形成されている。差し込み片11は、折り曲げ容易線11eの折り曲げによって、突出部11aを係止孔3aに容易に挿入することができる。
【0043】
差し込み片11は、延出方向先端側に向けて拡幅している。また、差し込み片11は、この拡幅した部分の両側に一対の突出部11aを有する。当該箱用シートは、このように構成されていることで、蓋部21の姿勢を安定させることができる。つまり、差し込み片11の基端縁の長さを小さくすることで、組立状態で、第2天面パネル4の基端側の領域において折り畳み片12と第1天面パネル3との重なり部分が大きくなり、第1天面パネル3を箱体20の底部に対して平行に保持しやすくなる。また、差し込み片11が先端側に向けて拡幅されていることで、一対の第1天面パネル3を差し込み片11によって確実に外側から支持することができ、一対の第1天面パネル3の浮き上がりを防止することができる。さらに、この構成によると、破断容易線2aを破断したうえで、差し込み片11および除去部2bを持ち手として、送り状30を第1天面パネル2から容易に剥離することができるとともに、一対の突出部11aを係止孔3aから容易に抜き出すことができる。
【0044】
差し込み片11は、その基端縁から延出方向先端側に向けて拡幅する拡幅部11cと、拡幅部11cの先端側に連続する矩形状の先端部11dとを有する。拡幅部11cと先端部11dとの境界線には、上述の折り曲げ容易線11eが形成されている。
【0045】
先端部11dは、一対の突出部11aと、一対の突出部11aの間に配置される押さえ部11bとを有する。一対の突出部11aは、先端部11dの幅方向の両側において延出方向に突出している。押さえ部11bは、例えば部分円状である。差し込み片11は、一対の突出部11aと押さえ部11bとを有することで、係止孔3aに差し込まれた状態を安定的に維持することができる。
【0046】
一対の折り畳み片12は、折り曲げ容易線12aによって2つ折りに折り重ねられる。折り曲げ容易線12aは、折り畳み片12の基端縁の外側の端部から、この基端縁に対して45°の角度で傾斜して先端側に延びている。
【0047】
〔送り状〕
当該箱用シート10は、組立状態で露出する一対の第1天面パネル3の合わせ目部分と、係止孔3aとを含む領域に送り状30が貼着されるように設けられている。この構成によれば、箱体20の蓋部21を確実に密閉することができるとともに、蓋部21の意図しない開放を容易かつ確実に抑制することができる。
【0048】
送り状30は、組立状態で露出する一対の第1天面パネル3の合わせ目部分と係止孔3aと突出部11aとを覆うように蓋部21の外面に貼着される。これにより、一対の第1天面パネル3の合わせ目部分は、送り状30と一対の差し込み片11とによって外部への露出が防止される。送り状30は、一対の差し込み片11の先端部11dを完全に覆うように貼着されてもよい。
【0049】
(底フラップ)
第1底フラップ5a~第4底フラップ5dは、いわゆるワンタッチタイプの構成を有する。より詳しくは、第1底フラップ5aおよびこの第1底フラップ5aと隣接する第2底フラップ5bは底部を組み立てる前に予め貼り合わされ、第3底フラップ5cおよびこの第3底フラップ5cに隣接する第4底フラップ5dは底部を組み立てる前に予め貼り合わされている。第1底フラップ5a~第4底フラップ5dは、一対の第1側面パネル1および一対の第2側面パネル2を四角筒状に広げることで、第1底フラップ5aが第4底フラップ5dの内側に滑り込み、第3底フラップ5cが第2底フラップ5bの内側に滑り込む。これにより箱体20の底部が組み立てられる。
【0050】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。したがって、上記実施形態は、本明細書の記載および技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換または追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0051】
上記実施形態では、第2側面パネルに設けられる破断容易線が円弧状である構成について説明した。ただし、当該箱用シートにおいて、上記破断容易線の形状は限定されるものではなく、例えば上記破断容易線は、第2側面パネルの上縁に沿って形成されていてもよい。また、当該箱用シートは、第2側面パネルに上記破断容易線が形成されていない構成を除外するものではない。
【0052】
上述のように、当該箱用シートは、一対の第1天面パネルの合わせ目部分に送り状を貼着することで、宅配用の梱包容器として好適に使用できる。ただし、一対の第1天面パネルの合わせ目部分に送り状を貼着するか否かは、使用目的等に応じて選択可能である。
【0053】
当該箱用シートにおいて、上記差し込み片の具体的な構成は、上記実施形態に記載された構成に限定されない。例えば上記差し込み片は、延出方向先端側に向けて拡幅していない構成とすることも可能である。また、上記差し込み片は、上述の一対の突出部を有しない構成(突出部以外の部分で係止孔に挿入される構成)とすることも可能である。
【0054】
当該箱用シートにおいて、箱体の底部を組み立てるための構成は特に限定されるものではない。例えば当該箱用シートは、A式(いわゆるみかん箱タイプ)の底部に組み立てられるように構成されていてもよく、アメリカンロックの底部に組み立てられるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 第1側面パネル
2 第2側面パネル
2a 破断容易線
2b 除去部
3 第1天面パネル
3a 係止孔
3b 折り曲げ容易線
4 第2天面パネル
4a 切込み
5a 第1底フラップ
5b 第2底フラップ
5c 第3底フラップ
5d 第4底フラップ
6a 第1継代
6b 第2継代
10 箱用シート
11 差し込み片
11a 突出部
11b 押さえ部
11c 拡幅部
11d 先端部
11e 折り曲げ容易線
12 折り畳み片
12a 折り曲げ容易線
15a、15c 折り曲げ片
20 箱体
21 蓋部
30 送り状
【要約】
【課題】本開示は、蓋部の形成が容易であるとともに、箱体を十分に密閉することが可能な箱用シートを提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の箱用シートは、左右方向に交互に連接されている一対の第1側面パネルおよび一対の第2側面パネルと、一対の第1側面パネルの上縁から延出する一対の第1天面パネルと、一対の第2側面パネルの上縁から延出する一対の第2天面パネルとを備え、一対の第1天面パネルおよび一対の第2天面パネルが左右方向に交互に連接されており、第2天面パネルが、差し込み片と、差し込み片の両側に配置される一対の折り畳み片とに分離されており、第1天面パネルに、差し込み片が差し込まれる一対の係止孔が形成されており、一対の第1天面パネル同士を内側に折り曲げ、差し込み片を係止孔に挿入することで蓋部が組み立てられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
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図7