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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-08
(45)【発行日】2024-07-17
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240709BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240709BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240709BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/42
A24F40/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2023531167
(86)(22)【出願日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 JP2021024410
(87)【国際公開番号】W WO2023275952
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100198845
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 善喬
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-511316(JP,A)
【文献】特開平01-154485(JP,A)
【文献】再公表特許第2018/235959(JP,A1)
【文献】特表2020-516268(JP,A)
【文献】特開2003-031341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を供給する電力供給部と、
エアロゾル源を含有した基材を加熱する加熱部と、
前記加熱部を保持する保持部と、
を備え、
前記加熱部は、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗体、前記電気抵抗体を挟む2つの電気絶縁体、並びに前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体を挟む第1剛体及び第2剛体を含み、前記基材に挿入され、
前記保持部は、前記第1剛体が貫通する第1孔と前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体が貫通する第2孔とを有し、
前記第1孔と前記第2孔とは離隔する、
エアロゾル生成システム。
【請求項2】
前記第1剛体は、前記第2剛体より大きく
前記保持部は、前記第1剛体を保持する、
請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記第1剛体は、前記基材が挿入又は抜去される方向において、前記第2剛体よりも長い、
請求項2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記第1剛体及び前記第2剛体は板状に形成され、
前記第1剛体は、前記第2剛体よりも厚い、
請求項2又は3に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記保持部の前記第1孔はスリットであり、
前記保持部は、前記スリットにおいて前記第1剛体を保持する、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記保持部は、前記第1剛体を挟持する、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体は、前記第1剛体から離れる方向に湾曲し、前記第2孔を貫通する、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記エアロゾル生成システムは、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記基材を収容する収容部、
を備え、
前記保持部は、前記加熱部の先端が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持する、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記第2剛体は、前記内部空間に配置される、
請求項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記第2剛体のうち前記加熱部の後端側の端部は、前記収容部の前記底部の内壁に位置合わせされる、
請求項8又は9に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記加熱部のうち前記内部空間に突出する部分において、前記電気抵抗体は2つの前記電気絶縁体により挟まれる範囲内に収まり、2つの前記電気絶縁体は前記第1剛体及び前記第2剛体により挟まれる範囲内に収まる、
請求項8~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部に設けられた孔を封止する封止部をさらに備える、
請求項8~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項13】
前記封止部は、前記保持部に固定され、前記第2孔を封止する、
請求項12に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項14】
前記封止部は、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置される、
請求項12又は13に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項15】
前記封止部は、前記保持部を挟んで前記収容部の前記底部の内壁の反対側に配置される
請求項12又は13に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項16】
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置され、前記収容部の前記底部の内壁の位置を決定する位置決め部をさらに備える、
請求項15に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項17】
前記封止部は、シリコーンにより構成される
請求項12~16のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項18】
前記保持部は、PEEKにより構成される、
請求項1~17のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項19】
前記エアロゾル生成システムは、前記基材を含む、
請求項1~18のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子タバコ及びネブライザ等の、ユーザに吸引される物質を生成する吸引装置が広く普及している。例えば、吸引装置は、エアロゾルを生成するためのエアロゾル源、及び生成されたエアロゾルに香味成分を付与するための香味源等を含む基材を用いて、香味成分が付与されたエアロゾルを生成する。ユーザは、吸引装置により生成された、香味成分が付与されたエアロゾルを吸引することで、香味を味わうことができる。ユーザがエアロゾルを吸引する動作を、以下ではパフ又はパフ動作とも称する。
【0003】
近年では、スティック状に形成された基材を使用するタイプの吸引装置が広く普及しており、当該タイプの吸引装置に関する技術が盛んに開発されている。例えば、下記特許文献1では、スティック状に形成された基材を吸引装置に挿入した際に、ブレード状に形成された加熱部が基材に挿入され、基材を内部から加熱する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5854394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ブレード状に形成された加熱部を使用する吸引装置には、加熱部が折れやすいという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、加熱部の折れを防止することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、電力を供給する電力供給部と、エアロゾル源を含有した基材を加熱する加熱部と、を備え、前記加熱部は、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗体、前記電気抵抗体を挟む2つの電気絶縁体、並びに前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体を挟む第1剛体及び第2剛体を含み、前記基材に挿入され、前記第1剛体と前記第2剛体とは大きさが異なる、エアロゾル生成システムが提供される。
【0008】
前記エアロゾル生成システムは、前記加熱部を保持する保持部を備え、前記第1剛体は、前記第2剛体より大きく前記保持部は、前記第1剛体を保持してもよい。
【0009】
前記第1剛体は、前記基材が挿入又は抜去される方向において、前記第2剛体よりも長くてもよい。
【0010】
前記第1剛体及び前記第2剛体は板状に形成され、前記第1剛体は、前記第2剛体よりも厚くてもよい。
【0011】
前記保持部は、前記第1剛体が貫通する第1孔と前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体が貫通する第2孔とを有し、前記第1孔と前記第2孔とは離隔していてもよい。
【0012】
前記保持部の前記第1孔はスリットであり、前記保持部は、前記スリットにおいて前記第1剛体を保持してもよい。
【0013】
前記保持部は、前記第1剛体を挟持してもよい。
【0014】
前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体は、前記第1剛体から離れる方向に湾曲し、前記第2孔を貫通してもよい。
【0015】
前記エアロゾル生成システムは、内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記基材を収容する収容部、を備え、前記保持部は、前記加熱部の先端が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持してもよい。
【0016】
前記第2剛体は、前記内部空間に配置されてもよい。
【0017】
前記第2剛体のうち前記加熱部の後端側の端部は、前記収容部の前記底部の内壁に位置合わせされてもよい。
【0018】
前記加熱部のうち前記内部空間に突出する部分において、前記電気抵抗体は2つの前記電気絶縁体により挟まれる範囲内に収まり、2つの前記電気絶縁体は前記第1剛体及び前記第2剛体により挟まれる範囲内に収まってもよい。
【0019】
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部に設けられた孔を封止する封止部をさらに備えてもよい。
【0020】
前記封止部は、前記保持部に固定され、前記第2孔を封止してもよい。
【0021】
前記封止部は、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置されてもよい。
【0022】
前記封止部は、前記保持部を挟んで前記収容部の前記底部の内壁の反対側に配置されてもよい。
【0023】
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置され、前記収容部の前記底部の内壁の位置を決定する位置決め部をさらに備えてもよい。
【0024】
前記封止部は、シリコーンにより構成されてもよい。
【0025】
前記保持部は、PEEKにより構成されてもよい。
【0026】
前記エアロゾル生成システムは、前記基材を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、加熱部の折れを防止することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。
図2】本実施形態に係る加熱部の斜視図である。
図3】本実施形態に係る加熱部の分解斜視図である。
図4】本実施形態に係る加熱部の正面図である。
図5】本実施形態に係る加熱部の側面図である。
図6】本実施形態に係る吸引装置における加熱部が配置された部分の断面図である。
図7】変形例に係る吸引装置における加熱部が配置された部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0030】
<1.吸引装置の構成例>
本構成例に係る吸引装置は、エアロゾル源を含む基材を基材内部から加熱することでエアロゾルを生成する。以下、図1を参照しながら、本構成例を説明する。
【0031】
図1は、吸引装置の構成例を模式的に示す模式図である。図1に示すように、本構成例に係る吸引装置100は、電源部111、センサ部112、通知部113、記憶部114、通信部115、制御部116、加熱部121、及び収容部140を含む。収容部140にスティック型基材150が収容された状態で、ユーザによる吸引が行われる。以下、各構成要素について順に説明する。
【0032】
電源部111は、電力を蓄積する。そして、電源部111は、吸引装置100の各構成要素に、電力を供給する。電源部111は、例えば、リチウムイオン二次電池等の充電式バッテリにより構成され得る。電源部111は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル等により外部電源に接続されることで、充電されてもよい。また、電源部111は、ワイヤレス電力伝送技術により送電側のデバイスに非接続な状態で充電されてもよい。他にも、電源部111のみを吸引装置100から取り外すことができてもよく、新しい電源部111と交換することができてもよい。
【0033】
センサ部112は、吸引装置100に関する各種情報を検出する。そして、センサ部112は、検出した情報を制御部116に出力する。一例として、センサ部112は、コンデンサマイクロホン等の圧力センサ、流量センサ又は温度センサにより構成される。そして、センサ部112は、ユーザによる吸引に伴う数値を検出した場合に、ユーザによる吸引が行われたことを示す情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、ボタン又はスイッチ等の、ユーザからの情報の入力を受け付ける入力装置により構成される。とりわけ、センサ部112は、エアロゾルの生成開始/停止を指示するボタンを含み得る。そして、センサ部112は、ユーザにより入力された情報を制御部116に出力する。他の一例として、センサ部112は、加熱部121の温度を検出する温度センサにより構成される。かかる温度センサは、例えば、加熱部121の導電トラックの電気抵抗値に基づいて加熱部121の温度を検出する。センサ部112は、加熱部121の温度に基づいて、収容部140に収容されたスティック型基材150の温度を検出してもよい。
【0034】
通知部113は、情報をユーザに通知する。一例として、通知部113は、LED(Light Emitting Diode)などの発光装置により構成される。その場合、通知部113は、電源部111の状態が要充電である場合、電源部111が充電中である場合、及び吸引装置100に異常が発生した場合等に、それぞれ異なる発光パターンで発光する。ここでの発光パターンとは、色、及び点灯/消灯のタイミング等を含む概念である。通知部113は、発光装置と共に、又は代えて、画像を表示する表示装置、音を出力する音出力装置、及び振動する振動装置等により構成されてもよい。他にも、通知部113は、ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報を通知してもよい。ユーザによる吸引が可能になったことを示す情報は、加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、通知される。
【0035】
記憶部114は、吸引装置100の動作のための各種情報を記憶する。記憶部114は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体により構成される。記憶部114に記憶される情報の一例は、制御部116による各種構成要素の制御内容等の、吸引装置100のOS(Operating System)に関する情報である。記憶部114に記憶される情報の他の一例は、吸引回数、吸引時刻、吸引時間累計等の、ユーザによる吸引に関する情報である。
【0036】
通信部115は、吸引装置100と他の装置との間で情報を送受信するための、通信インタフェースである。通信部115は、有線又は無線の任意の通信規格に準拠した通信を行う。かかる通信規格としては、例えば、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等が採用され得る。一例として、通信部115は、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに表示させるために、ユーザによる吸引に関する情報をスマートフォンに送信する。他の一例として、通信部115は、記憶部114に記憶されているOSの情報を更新するために、サーバから新たなOSの情報を受信する。
【0037】
制御部116は、演算処理装置及び制御装置として機能し、各種プログラムに従って吸引装置100内の動作全般を制御する。制御部116は、例えばCPU(Central Processing Unit)、及びマイクロプロセッサ等の電子回路によって実現される。他に、制御部116は、使用するプログラム及び演算パラメータ等を記憶するROM(Read Only Memory)、並びに適宜変化するパラメータ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。吸引装置100は、制御部116による制御に基づいて、各種処理を実行する。電源部111から他の各構成要素への給電、電源部111の充電、センサ部112による情報の検出、通知部113による情報の通知、記憶部114による情報の記憶及び読み出し、並びに通信部115による情報の送受信は、制御部116により制御される処理の一例である。各構成要素への情報の入力、及び各構成要素から出力された情報に基づく処理等、吸引装置100により実行されるその他の処理も、制御部116により制御される。
【0038】
収容部140は、内部空間141を有し、内部空間141にスティック型基材150の一部を収容しながらスティック型基材150を保持する。収容部140は、内部空間141を外部に連通する開口142を有し、開口142から内部空間141に挿入されたスティック型基材150を保持する。例えば、収容部140は、開口142及び底部143を底面とする筒状体であり、柱状の内部空間141を画定する。収容部140は、筒状体の高さ方向の少なくとも一部において、内径がスティック型基材150の外径よりも小さくなるように構成され、内部空間141に挿入されたスティック型基材150を外周から圧迫するようにしてスティック型基材150を保持し得る。収容部140は、スティック型基材150を通る空気の流路を画定する機能も有する。かかる流路内への空気の入り口である空気流入孔は、例えば底部143に配置される。他方、かかる流路からの空気の出口である空気流出孔は、開口142である。
【0039】
スティック型基材150は、スティック型の部材である。スティック型基材150は、基材部151、及び吸口部152を含む。
【0040】
基材部151は、エアロゾル源を含む。エアロゾル源は、加熱されることで霧化され、エアロゾルが生成される。エアロゾル源は、例えば、刻みたばこ又はたばこ原料を、粒状、シート状、又は粉末状に成形した加工物などの、たばこ由来のものであってもよい。また、エアロゾル源は、たばこ以外の植物(例えばミント及びハーブ等)から作られた、非たばこ由来のものを含んでいてもよい。一例として、エアロゾル源は、メントール等の香料成分を含んでいてもよい。吸引装置100が医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。なお、エアロゾル源は固体に限られるものではなく、例えば、グリセリン及びプロピレングリコール等の多価アルコール、並びに水等の液体であってもよい。基材部151の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、収容部140の内部空間141に収容される
【0041】
吸口部152は、吸引の際にユーザに咥えられる部材である。吸口部152の少なくとも一部は、スティック型基材150が収容部140に保持された状態において、開口142から突出する。そして、開口142から突出した吸口部152をユーザが咥えて吸引すると、図示しない空気流入孔から収容部140の内部に空気が流入する。流入した空気は、収容部140の内部空間141を通過して、すなわち、基材部151を通過して、基材部151から発生するエアロゾルと共に、ユーザの口内に到達する。
【0042】
加熱部121は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化してエアロゾルを生成する。加熱部121は、金属又はポリイミド等の任意の素材で構成される。例えば、加熱部121は、ブレード状に構成され、収容部140の底部143から収容部140の内部空間141に突出するようにして配置される。そのため、収容部140にスティック型基材150が挿入されると、ブレード状の加熱部121は、スティック型基材150の基材部151に突き刺さるようにして、スティック型基材150の内部に挿入される。そして、加熱部121が発熱すると、スティック型基材150に含まれるエアロゾル源がスティック型基材150の内部から加熱されて霧化され、エアロゾルが生成される。加熱部121は、電源部111から給電されると発熱する。一例として、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。加熱部121により加熱されたスティック型基材150の温度が所定の温度に達した場合に、ユーザによる吸引が可能となる。その後、所定のユーザ入力が行われたことがセンサ部112により検出された場合に、給電が停止されてもよい。他の一例として、ユーザによる吸引が行われたことがセンサ部112により検出されている期間において、給電され、エアロゾルが生成されてもよい。
【0043】
ここで、電源部111は、電力を供給する電力供給部の一例である。スティック型基材150は、エアロゾル源を含有した基材の一例である。
【0044】
吸引装置100とスティック型基材150とは協働してユーザにより吸引されるエアロゾルを生成する。そのため、吸引装置100とスティック型基材150との組み合わせは、エアロゾル生成システムとして捉えられてもよい。
【0045】
<2.加熱部の詳細な構成>
図2は、本実施形態に係る加熱部121の斜視図である。図3は、本実施形態に係る加熱部121の分解斜視図である。図4は、本実施形態に係る加熱部121の正面図である。図5は、本実施形態に係る加熱部121の側面図である。図6は、本実施形態に係る吸引装置100における加熱部121が配置された部分の断面図である。
【0046】
図2図5に示すように、加熱部121は、電気抵抗体10、電気絶縁体20(20A及び20B)、及び剛体30(30A及び30B)を有する。そして、図6に示すように、加熱部121は、収容部140の内部空間141に突出するように配置される。収容部140は、保持部40、封止部50、内装部材60及び外装部材70を有する。外装部材70は、筒状に構成される部材である。外装部材70は、吸引装置100の最外殻を構成していてもよい。内装部材60は、収容部140の内壁を構成する部材である。内装部材60は、収容部140の側面の内壁を構成する側壁61、及び収容部140の底部143の内壁を構成する底壁62を有する。保持部40、封止部50、及び底壁62は、収容部140の底部143を構成する。
【0047】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。例えば、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素を、必要に応じて剛体30A及び30Bのように区別する。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の要素の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、剛体30A及び30Bを特に区別する必要が無い場合には、単に剛体30と称する。
【0048】
これらの図において、加熱部121に対してスティック型基材150が挿入される方向を下方向とも称する。加熱部121からスティック型基材150が抜去される方向を上方向とも称する。加熱部121のうち、上方向の端部を先端とも称し、下方向の端部を後端とも称する。上下方向は、電気抵抗体10、電気絶縁体20、及び剛体30の長手方向に対応する。また、上下方向は、加熱部121の長手方向に対応する。
【0049】
電気抵抗体10、電気絶縁体20、及び剛体30が重なる方向を、前後方向とも称する。前後方向は、電気抵抗体10、電気絶縁体20、及び剛体30の厚み方向に対応する。また、前後方向は、加熱部121の厚み方向に対応する。
【0050】
上下方向及び前後方向と直交する方向を、左右方向とも称する。左右方向は、電気抵抗体10、電気絶縁体20、及び剛体30の短手方向に対応する。また、左右方向は、加熱部121の短手方向に対応する。
【0051】
以下、加熱部121に関する各構成要素について詳細に説明する。
【0052】
電気抵抗体10は、電源部111から供給された電力により発熱する。そして、電気抵抗体10は、電流が流れた際にジュール熱を発する。一例として、電気抵抗体10は、細い導線として構成され、平面を成すよう張り巡らされる。電気抵抗体10は、例えばSUS(Steel Use Stainless)により構成される。かかる構成によれば、電気抵抗体10は、高い耐熱性を発揮することが可能となる。
【0053】
図3に示すように、電気抵抗体10は、2つの電気絶縁体20(20A及び20B)により挟まれる。そのため、電気抵抗体10が他の導体に意図せず接触して短絡するような事態を防止することができる。なお、2つの電気絶縁体20の形状は同一である。
【0054】
電気絶縁体20は、電気絶縁性を有する部材である。電気絶縁体20は、電気絶縁性を有する任意の素材により構成される。例えば、電気絶縁体20は、ポリイミドにより構成される。かかる構成によれば、電気絶縁体20は、高い耐熱性を発揮することが可能となる。
【0055】
図3に示すように、電気絶縁体20は、電気抵抗体10と剛体30との間に配置される。そのため、電気抵抗体10と剛体30とが接触して短絡するような事態を防止することが可能となる。
【0056】
電気絶縁体20は、フィルム状に構成される。フィルム状に構成された2つの電気絶縁体20と、これら2つの電気絶縁体20により挟まれた電気抵抗体10とは、いわゆるフィルムヒータを構成する。例えば、フィルム面上に導線が屈曲しながら張り巡らされることで、フィルムヒータが構成される。フィルム面上における導線の分布(即ち、密度)によって、フィルム面における熱分布を任意に設計可能である。
【0057】
剛体30は、所定の剛性を有する部材である。かかる構成によれば、剛体30は、加熱部121に加わる力に対して剛性を発揮して、加熱部121が折れ曲がることを防止することが可能となる。
【0058】
剛体30は、伝熱性を有する部材でもある。剛体30は、電気抵抗体10からの伝熱により昇温する。そのため、電気抵抗体10により発生した熱は、剛体30を介してスティック型基材150に伝達される。
【0059】
剛体30は、板状に形成される。例えば、剛体30は、金属板により構成される。一例として、剛体30は、SUS金属板により構成される。かかる構成によれば、剛体30は、高い耐熱性を発揮することが可能となる。
【0060】
図3に示すように、電気抵抗体10及び電気絶縁体20は、2つの剛体30(30A及び30B)により挟まれる。かかる構成によれば、加熱部121が前後方向に折れ曲がることをより防止することが可能となる。以下では、剛体30A及び30Bを、必要に応じて第1剛体30A及び第2剛体30Bとも称する。なお、第1剛体30A及び第2剛体30Bの左右方向の長さは同一である。
【0061】
ここで、図3図6に示すように、第1剛体30Aと第2剛体30Bとは大きさが異なる。とりわけ、第1剛体30Aは、第2剛体30Bより大きい。そして、図6に示すように、保持部40は、第1剛体30Aを保持することで、加熱部121を保持する。かかる構成により、以下に説明するように、加熱部121を好適に保持すると共に、加熱部121が折れ曲がることを好適に防止することが可能となる。
【0062】
詳しくは、図6に示すように、第1剛体30Aは、スティック型基材150が挿入又は抜去される方向(即ち、上下方向)において、第2剛体30Bよりも長い。第1剛体30A及び第2剛体30Bは、上端が位置合わせされた状態で接合されるので、第1剛体30Aを第2剛体30Bよりも下方向に延在させることができる。これにより、保持部40は、第1剛体30Aのみを保持することで、加熱部121を保持することが可能となる。
【0063】
さらに、図6に示すように、第1剛体30Aは、第2剛体30Bよりも厚く形成される。かかる構成によれば、第1剛体30Aの断面形状を、第2剛体30Bの断面形状よりも大きくすることができる。そのため、第1剛体30Aは、第2剛体30Bと比較して高い剛性を発揮することができる。従って、保持部40が第1剛体30Aを保持することにより、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0064】
図6に示すように、第2剛体30Bは、内部空間141に配置される。そして、第2剛体30Bのうち加熱部121の後端側(即ち、下側)の端部は、底壁62に位置合わせされる。即ち、上下方向における第2剛体30Bの下端の位置は、底壁62の位置と一致する。そのため、スティック型基材150の先端が底壁62に接触するまでスティック型基材150が内部空間141に挿入されると、加熱部121のうち、第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる部分が、スティック型基材150に挿入されることとなる。第1剛体30Aのうち第2剛体30Bと前後方向において重なる部分及び第2剛体30Bは、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、最外殻を構成する。
【0065】
図4に示すように、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、電気抵抗体10は2つの電気絶縁体20により挟まれる範囲内に収まる。詳しくは、加熱部121のうち第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる部分において、電気抵抗体10の左右の端部は、電気絶縁体20の左右の端部よりも内側に位置する。そして、電気抵抗体10の上端は、電気絶縁体20の上端よりも下側に位置する。そのため、2つの電気絶縁体20は、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、電気抵抗体10を外部に露出させることなく、電気抵抗体10を挟むことが可能となる。
【0066】
図4に示すように、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、2つの電気絶縁体20は第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる範囲内に収まる。詳しくは、加熱部121のうち第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる部分において、電気絶縁体20の左右の端部は、第1剛体30Aのうち第2剛体30Bと前後方向において重なる部分及び第2剛体30Bの左右の端部よりも内側に位置する。そして、電気絶縁体20の上端は、第1剛体30A及び第2剛体30Bの上端よりも下側に位置する。そのため、第1剛体30A及び第2剛体30Bは、少なくとも加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、電気絶縁体20を外部に露出させることなく、電気絶縁体20を挟むことが可能となる。
【0067】
そして、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、第1剛体30A及び第2剛体30Bのうち電気絶縁体20に接触しない端部同士が接合される。詳しくは、第1剛体30A及び第2剛体30Bのうち、電気絶縁体20に接触しない上端同士及び左右端部同士が、隙間なく接合される。これにより、図5に示すように、第1剛体30A及び第2剛体30Bに挟まれた電気抵抗体10及び電気絶縁体20が、外部から隠蔽される。そのため、第1剛体30Aと第2剛体30Bとの間に異物が混入して加熱効率が低下する等の不具合を防止することが可能となる。
【0068】
加熱部121は、電気抵抗体10、電気絶縁体20、及び剛体30がホットプレスされることで、形成されてもよい。とりわけ、電気抵抗体10、2つの電気絶縁体20、第1剛体30Aのうち第2剛体30Bと前後方向において重なる部分及び第2剛体30Bがホットプレスされることで、加熱部121が形成されてもよい。かかる構成によれば、上述した隙間のない接合を実現すると共に、加熱部121の強度を向上させることが可能となる。
【0069】
加熱部121は、加熱部121の先端からスティック型基材150に挿入される。そこで、加熱部121の先端は、鋭利に構成される。即ち、第1剛体30A及び第2剛体30Bの上端は鋭利に構成される。本実施形態では、図3に示すように、第1剛体30A及び第2剛体30Bの先端は、同じ三角形状に構成され、頂点が上向きになった状態で接合される。かかる構成により、加熱部121をスティック型基材150に挿入する際に、加熱部121がスティック型基材150から受ける抵抗を弱めることができる。そのため、加熱部121が折れ曲がることをより防止することが可能となる。
【0070】
図3に示すように、電気抵抗体10は、加熱エリア11及び非加熱エリア12を形成する。加熱エリア11は、電気抵抗体10のうち単位面積当たりの発熱量が所定値以上であるエリアである。加熱エリア11は、加熱部121の先端側(即ち、上側)に配置される。非加熱エリア12は、電気抵抗体10のうち単位面積当たりの発熱量が所定値未満であるエリアである。非加熱エリア12は、加熱部121の後端側(即ち、下側)に配置される。かかる構成によれば、少なくとも加熱エリア11をスティック型基材150の内部に挿入することができる。従って、スティック型基材150を素早く昇温させることが可能となる。
【0071】
図4に示すように、加熱エリア11と非加熱エリア12との境界は、加熱部121の後端側(即ち、下側)における第2剛体30Bの端部と、同じ位置に位置していてもよい。即ち、加熱エリア11の下端は、第2剛体30Bの下端と一致していてもよい。これにより、加熱エリア11は、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分において、剛体30を直接的に加熱することができる。また、加熱エリア11が、第2剛体30Bよりも下側、即ち加熱部121のうちスティック型基材150に挿入されない部分にはみ出さないので、電源部111等の他の構成要素への伝熱を防止することができる。よって、熱に起因する吸引装置100の故障を防止することが可能となる。
【0072】
図4に示すように、加熱部121の後端側(即ち、下側)における電気絶縁体20の端部は、加熱部121の後端側(即ち、下側)における第2剛体30Bの端部よりも、加熱部121の後端側(即ち、下側)に位置する。即ち、電気絶縁体20は、加熱部121のうちスティック型基材150に挿入される部分よりも下側にはみ出すように配置される。これにより、電気絶縁体20は、電気抵抗体10と剛体30とを確実に絶縁することが可能となる。
【0073】
加熱部121は、加熱部121の先端から後端への方向(即ち、上下方向)において、不均一に発熱してもよい。一例として、電気抵抗体10の加熱エリア11と非加熱エリア12とは、異なる温度で発熱してもよい。他の一例として、加熱エリア11の中で、異なる温度で発熱する複数のエリアが上下方向に分かれて分布していてもよい。とりわけ、加熱エリア11のうち、スティック型基材150に挿入される部分(即ち、電気抵抗体10のうち第1剛体30Aと第2剛体30Bとに挟まれた部分)において、異なる温度で発熱する複数のエリアが上下方向に分かれて分布していてもよい。かかる構成によれば、スティック型基材150を最適な温度分布で加熱することが可能となる。
【0074】
電気抵抗体10は、加熱部121の先端から後端への方向(即ち、上下方向)において、不均一に分布してもよい。一例として、電気抵抗体10の加熱エリア11と非加熱エリア12とで、電気抵抗体10が不均一に分布していてもよい。他の一例として、加熱エリア11の中で、電気抵抗体10の分布が異なる複数のエリアが上下方向に分かれて分布していてもよい。とりわけ、加熱エリア11のうち、スティック型基材150に挿入される部分(即ち、電気抵抗体10のうち第1剛体30Aと第2剛体30Bとに挟まれた部分)において、電気抵抗体10の分布が異なる複数のエリアが上下方向に分かれて分布していてもよい。かかる構成によれば、加熱部121を上下方向において不均一に発熱させることが可能となる。
【0075】
保持部40は、加熱部121を保持する部材である。とりわけ、保持部40は、第1剛体30Aを保持する。図6に示すように、保持部40は、加熱部121の先端が収容部140の底部143から開口142に向かう方向に突出するように、加熱部121を保持する。かかる構成によれば、開口142から内部空間141にスティック型基材150が挿入された際に、加熱部121の先端がスティック型基材150に突き刺さり、スティック型基材150の内部に加熱部121を挿入することが可能となる。
【0076】
保持部40は、耐熱性を有する素材により構成される。例えば、保持部40は、PEEK(Poly Ether Ether Ketone)により構成される。かかる構成によれば、加熱部121が高熱を発しても、加熱部121を保持し続けることが可能となる。
【0077】
図6に示すように、保持部40は、互いに離隔して設けられた第1孔41と第2孔42とを有する。第1孔41には、第1剛体30Aが貫通する。そして、保持部40は、第1孔41において第1剛体30Aを保持する。第2孔42には、電気抵抗体10及び2つの電気絶縁体20が貫通する。このように、第1孔41と第2孔42とが離隔しているので、第1孔41において第1剛体30Aを保持するためにかかる力が第2孔42を貫通する電気抵抗体10及び電気絶縁体20に及ぶことが防止される。従って、電気抵抗体10及び電気絶縁体20が保持部40に引っ張られて破断するような事態を防止することが可能となる。
【0078】
第1孔41は、スリットであってもよい。即ち、保持部40には、スリットが予め設けられてもよい。そして、保持部40は、スリットにおいて第1剛体30Aを保持してもよい。例えば、第1孔41は、第1孔41の断面形状が第1剛体30Aの断面形状に一致するよう形成され、隙間なく第1剛体30Aに接合される。
【0079】
他に、保持部40は、第1剛体30Aを挟持してもよい。例えば、保持部40は、前側に配置される第1部材と後側に配置される第2部材とから成り、第1部材と第2部材とで第1剛体30Aを挟持してもよい。第1部材と第2部材は、第1剛体30Aを挟持した状態で接合される。
【0080】
図6に示すように、電気抵抗体10及び2つの電気絶縁体20は、第1剛体30Aから離れる方向に湾曲し、第2孔42を貫通する。詳しくは、電気抵抗体10及び2つの電気絶縁体20は、第2剛体30Bの下端から第2孔42にかけて、撓んだ状態で湾曲しながら配置される。従って、仮に保持部40と第1剛体30Aとの間に位置ずれが生じた場合であっても、電気抵抗体10及び電気絶縁体20が保持部40に引っ張られて破断するような事態を防止することが可能となる。
【0081】
封止部50は、保持部40に設けられた孔を封止する。詳しくは、封止部50は、少なくとも第2孔42を封止する。他にも保持部40に孔がある場合、封止部50は、かかる孔を封止する。例えば、第1孔41と第1剛体30Aとの間に隙間がある場合、封止部50は、第1孔41も封止する。かかる構成によれば、スティック型基材150から生成されたエアロゾルが、筒状に構成された外装部材70における底部143より下側の空間144に漏れ出ることを防止することが可能となる。空間144には、電源部111及び制御部116等の電子機器が配置され得ることを考慮すれば、かかる構成により、吸引装置100の故障を防止することが可能となる。
【0082】
なお、保持部40には、第1孔41及び第2孔42とは別に、内部空間141に空気を流入させる上述した空気流入孔が設けられていてもよい。空気流入孔は、電子機器が配置された空間144とは独立に構成された空気流路を介して外部空間に連通する。その場合、封止部50は、かかる空気流入孔を除く孔を封止する。
【0083】
封止部50は、保持部40に固定される。例えば、封止部50は、保持部40に密着して配置されることで、保持部40に設けられた孔を封止する。とりわけ、図6に示すように、封止部50は、保持部40と底壁62との間に配置されてもよい。かかる例によれば、封止部50は、保持部40に設けられた孔を封止することに加えて、底壁62の位置を決定する位置決め部として機能することができる。例えば、底壁62の位置が第2剛体30Bの下端に一致するよう、封止部50の上下方向の厚みが設定される。かかる構成によれば、加熱部121のうち第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる部分を、内部空間141に配置することが可能となる。
【0084】
封止部50は、電気絶縁体20に接触して配置される。例えば、封止部50は、電気抵抗体10を挟んだ電気絶縁体20の周囲に密着するようにして配置される。かかる構成によれば、底部143より下側の空間144を確実に密閉することが可能となる。
【0085】
封止部50は、撥水性を有する素材により構成される。一例として、封止部50は、シリコーンにより構成される。かかる構成によれば、スティック型基材150から生成されたエアロゾルが凝縮してできた液体が、底部143より下側の空間144に漏れ出ることが防止される。
【0086】
<3.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0087】
例えば、上記実施形態では、封止部50が、保持部40と底壁62との間に配置される例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、図7に示すように、封止部50は、保持部40を挟んで底壁62の反対側に配置されてもよい。図7は、変形例に係る吸引装置100における加熱部121が配置された部分の断面図である。図7に示すように、収容部140は、保持部40、封止部50、内装部材60、外装部材70及び位置決め部80を有する。そして、保持部40、封止部50、底壁62、及び位置決め部80が、収容部140の底部143を構成する。封止部50は、保持部40の下面に密着するようにして配置される。かかる構成によっても、底部143より下側の空間144を密閉することが可能となる。
【0088】
位置決め部80は、保持部40と底壁62との間に配置され、底壁62の位置を決定する機能を有する。例えば、位置決め部80は、板状に構成される。そして、底壁62の位置が第2剛体30Bの下端に一致するように、位置決め部80の上下方向の厚みが設定される。かかる構成によれば、加熱部121のうち第1剛体30A及び第2剛体30Bにより挟まれる部分を、内部空間141に配置することが可能となる。
【0089】
例えば、上記実施形態では、電気抵抗体10が非加熱エリア12の上下方向において不均一に分布することで、加熱部121が上下方向において不均一に発熱する例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、加熱部121は、上下方向において分離した複数の電気抵抗体10を含んでいてもよい。そして、制御部116は、複数の電気抵抗体10の各々への給電を制御可能であってもよい。その場合、制御部116は、複数の電気抵抗体10の各々への給電を制御することで、加熱部121を上下方向において不均一に発熱させてもよい。かかる構成によっても、加熱部121を上下方向において不均一に発熱させることが可能となる。
【0090】
なお、以下のような構成も本発明の技術的範囲に属する。
(1)
電力を供給する電力供給部と、
エアロゾル源を含有した基材を加熱する加熱部と、
を備え、
前記加熱部は、前記電力供給部から供給された電力により発熱する電気抵抗体、前記電気抵抗体を挟む2つの電気絶縁体、並びに前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体を挟む第1剛体及び第2剛体を含み、前記基材に挿入され、
前記第1剛体と前記第2剛体とは大きさが異なる、
エアロゾル生成システム。
(2)
前記エアロゾル生成システムは、前記加熱部を保持する保持部を備え、
前記第1剛体は、前記第2剛体より大きく
前記保持部は、前記第1剛体を保持する、
前記(1)に記載のエアロゾル生成システム。
(3)
前記第1剛体は、前記基材が挿入又は抜去される方向において、前記第2剛体よりも長い、
前記(2)に記載のエアロゾル生成システム。
(4)
前記第1剛体及び前記第2剛体は板状に形成され、
前記第1剛体は、前記第2剛体よりも厚い、
前記(2)又は(3)に記載のエアロゾル生成システム。
(5)
前記保持部は、前記第1剛体が貫通する第1孔と前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体が貫通する第2孔とを有し、
前記第1孔と前記第2孔とは離隔する、
前記(2)~(4)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(6)
前記保持部の前記第1孔はスリットであり、
前記保持部は、前記スリットにおいて前記第1剛体を保持する、
前記(5)に記載のエアロゾル生成システム。
(7)
前記保持部は、前記第1剛体を挟持する、
前記(5)に記載のエアロゾル生成システム。
(8)
前記電気抵抗体及び2つの前記電気絶縁体は、前記第1剛体から離れる方向に湾曲し、前記第2孔を貫通する、
前記(5)~(7)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(9)
前記エアロゾル生成システムは、
内部空間及び前記内部空間を外部に連通する開口を有し、前記開口から前記内部空間に挿入された前記基材を収容する収容部、
を備え、
前記保持部は、前記加熱部の先端が前記収容部の底部から前記開口に向かう方向に突出するように、前記加熱部を保持する、
前記(2)~(8)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(10)
前記第2剛体は、前記内部空間に配置される、
前記(9)に記載のエアロゾル生成システム。
(11)
前記第2剛体のうち前記加熱部の後端側の端部は、前記収容部の前記底部の内壁に位置合わせされる、
前記(9)又は(10)に記載のエアロゾル生成システム。
(12)
前記加熱部のうち前記内部空間に突出する部分において、前記電気抵抗体は2つの前記電気絶縁体により挟まれる範囲内に収まり、2つの前記電気絶縁体は前記第1剛体及び前記第2剛体により挟まれる範囲内に収まる、
前記(9)~(11)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(13)
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部に設けられた孔を封止する封止部をさらに備える、
前記(9)~(12)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(14)
前記封止部は、前記保持部に固定され、前記第2孔を封止する、
前記(5)を間接的に引用する前記(13)に記載のエアロゾル生成システム。
(15)
前記封止部は、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置される、
前記(13)又は(14)に記載のエアロゾル生成システム。
(16)
前記封止部は、前記保持部を挟んで前記収容部の前記底部の内壁の反対側に配置される
前記(13)又は(14)に記載のエアロゾル生成システム。
(17)
前記エアロゾル生成システムは、前記保持部と前記収容部の前記底部の内壁との間に配置され、前記収容部の前記底部の内壁の位置を決定する位置決め部をさらに備える、
前記(16)に記載のエアロゾル生成システム。
(18)
前記封止部は、シリコーンにより構成される
前記(13)~(17)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(19)
前記保持部は、PEEKにより構成される、
前記(2)~(18)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
(20)
前記エアロゾル生成システムは、前記基材を含む、
前記(1)~(19)のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【符号の説明】
【0091】
100 吸引装置
111 電源部
112 センサ部
113 通知部
114 記憶部
115 通信部
116 制御部
121 加熱部
140 収容部
141 内部空間
142 開口
143 底部
150 スティック型基材
151 基材部
152 吸口部
10 電気抵抗体
11 加熱エリア
12 非加熱エリア
20 電気絶縁体
30 剛体
30A 第1剛体
30B 第2剛体
31 第1部分
32 第2部分
40 保持部
41 第1孔
42 第2孔
50 封止部
60 内装部材
61 側壁
62 底壁
70 外装部材
80 位置決め部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7