(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】帽子等に用いる冷却構造
(51)【国際特許分類】
A42B 1/008 20210101AFI20240710BHJP
A42B 1/019 20210101ALI20240710BHJP
A42B 1/0186 20210101ALI20240710BHJP
A42B 1/24 20210101ALN20240710BHJP
【FI】
A42B1/008 Z
A42B1/019 M
A42B1/0186 C
A42B1/24 N
(21)【出願番号】P 2023212228
(22)【出願日】2023-12-15
【審査請求日】2023-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510283889
【氏名又は名称】株式会社日曜発明ギャラリー
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊博
(72)【発明者】
【氏名】山田 明子
(72)【発明者】
【氏名】中島 信一郎
【審査官】西尾 元宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/105478(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3167051(JP,U)
【文献】特開2001-146621(JP,A)
【文献】特開2015-052188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0035745(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0374419(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0205107(US,A1)
【文献】国際公開第2006/109545(WO,A1)
【文献】特開2021-025150(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/00-1/248
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の頂頭部を覆う帽体部と後頭部から後ろ首筋上部を覆うフラップ部を有する帽子、または 、ズキンにおいて、前記帽体部に注水口を設け、かつ、前記帽体部とフラップ部には、前記注水口より注水された水を吸水、保水する面状の吸水材と、前記吸水材を片面または両面の一部を覆う様に重ねた 透湿防水布を設け、前
記注水された水が前記帽体部とフラップ部で面状に流れ広がるための前記吸水材と前記透湿防水布との空隙間による水路を構成し、かつ、前記帽体部とフラップ部の結合では、前記水路が前記帽子、または、ズキンの頭周囲サイズ伸縮調整部を避けて、その左右両側で連結され、前記帽体部からフラップ部へ水が流れ、前記吸水材が吸水、保水した水分の気化熱作用により、人の頂頭部、及び、後頭部から後首筋上部を一体で冷やすことを特徴とする帽子、または、ズキンの冷却構造。
【請求項2】
前記吸水材を、前記帽体部で後頭部を覆う第1の吸水材と、前記フラップ部で後頭部下位 から、後ろ首筋上部を覆う、第2の吸水材とに分離して設け、前記帽体部とフラップ部の接合では、前記第1、第2の吸水材を含まず、
かつ、前記帽体部とフラップ部の水路が連結されていることを特徴とする請求項1記載の帽子、または、ズキンの冷却構造 。
【請求項3】
前記帽体部とフラップ部を連結する水路が、
筒状の前記透湿防水布で構成され、帽体部側の径が小 さく、フラップ部側の径が大きく、前記筒状に、互いに十分な重なり寸法を持ったさや管方式で組み立てられるように構成したことを特徴とする請求項2記載の帽子、または、ズキンの冷却構造 。
【請求項4】
前記注水口から注水された水が、前記帽体部から、前記連結する水路を経由して、フラップ部に達し、前記第1、第2の吸水材に水分を吸水、及び保水した後、
さらに、前記フラップ部下端に水が達したことを知る手段として、前記フラップ部下端に
余剰な水を排出する排水口を設けたことを特徴とする請求項2、または、3記載の帽子、または、ズキンの冷却構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水の気化熱作用による頭部と後ろ首筋等その周辺を冷却する帽子、またはズキン等の冷却構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水の気化熱作用により冷却する構造として、比較的厚みがあり、自重の数倍の水分を吸水、貯水できる面状の吸水材を、水分の通す表生地、及び裏生地で覆いくるんで、帽子、または、ズキン等の後頭部や後ろ首筋に当たる位置に配置し、その構成部分を、水に浸し、軽く絞って着用し、涼冷感を得る様に構成していた。
この場合、前記吸水材に、水を十分吸水、貯水させるために、洗面器やポリ袋容器の様な、水を入れ溜める容器が必要で、その水中に1分程度放置し、その水分を吸水させた後に、軽く絞って、余分な水分を除去した後、頭部に着用する必要がある。
これは、真夏のテニスコート、ゴルフコース、ハイキング、ジョギング等での使われるシーンを考えると、前記の様な水を溜める容器と、それに入れる水を持ち合わせることは、はなはだ不便である。
また、上記の面状である冷却構造個所に上から水を垂らす方法が考えられるが、水が周辺に飛び散り、不快である。まして、真夏のレクレーションやスポーツ会場へ向かう運転中の車内でこれを行うと、狭い車内で水が飛び散り、より不快なことは自明であった。
【0003】
特許文献1には、水を溜めるポリ袋容器を常備し、帽体部に吸水材を張り付け組み込んだ帽子の帽体部を前記の水に浸し、その後、頭部に被って、気化熱作用で頭部を冷やし、熱中症対策に役立てるとする帽子が示されているが、前記帽体部を水に浸した後に、濡れた帽体部の余分な水を絞り、周囲に水を散らかすこと、及び、使った後の余分な水の廃棄等のわずらわしさがあった。
【0004】
特許文献2には、帽子の帽体部で人の額に当たるか所に、吸水材で構成されるパットを張り付け、気化熱作用による前頭部の冷却感を得る前記パットが取り外し自在の構成が示されている。この場合でも、前記パット部は、水を溜める容器に入った水に浸す、または、水道蛇口からの水を掛ける等により、水が周辺に飛び散る等のわずらわしさが解消されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6920576号
【文献】実用新案登録第3130472号
【文献】特開2006-328615
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は帽子、又は、ズキン等の帽体部の表側の表面、また、その裏側の表面を水に浸したり、水を垂らし、濡らすことなく、また、前記水を溜める容器を常備しなくてもよく、気化熱作用による冷却構造を得ようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の帽子等に設ける構造は、帽体の上部の頂頭部にペットボトル、または、コップ等からの水を注水できる、注水口を設け、帽体の裏面側に面状で吸水材の片面または両面、及び、それらのところどころ部分面を気化通気窓として穴の開いた様な、透湿防水布で覆いくるんで構成する。
そして、前記注水された水が帽体内に面状に配置された吸水材の上から下へ、かつ、左右均等に流れ、吸水材が水分を吸水、貯水できるように、前記吸水材と前記透湿防水布の間に水が流れる空隙間を水路として設ける。
また、さらに、帽体部とその帽体部に連結して、後頭部や後ろ首筋上部を覆うフラップ部を有する帽子や、ヘルメットの下に被るインナー頭巾、例えば、介護医療関係者の介護作業用ズキン等においては、前記連結部に、帽子等の周囲サイズ調整部を避けて、前記、注水口から注水された水が、帽体部の前記空隙間を通り、前記フラップ部に面状に配置された吸水材に流れ込めるように、連結水路部を設ける。また、その連結部は透湿防水布による帽体部からの水路幅を小さく、フラップ部からの水路幅を大きくして重なり部を設けた、いわゆるさや管方式で連結される構造を設ける様に構成して、前記帽体部と、前記フラップ部を別々に製造し、最終工程でそれらを結合縫製組み立てする時、効率良く、きれいに、仕上げられる構造を提供する。
さらに、フラップ部の最下端に、注水口から注がれた水が、前記吸水材に十分な水分を吸水させた後に、余分となった水分を集中的に排水する排水口を設け、そこから水が流れ始めたことを検知して、注水口からの注水量の適量を知る構造も提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の帽子等に設ける構造は、頂頭部に設けられた注水口からペットボトルやコップからの水を注水することにより、人の頭部、後頭部及後ろ首筋を覆う、帽体部とフラップ部の広くかつ、これら連結された箇所に配置された面状の吸水材の上下左右均等に一括して水分を供給でき、素早く、気化熱作用による冷却効果を得られることが期待できる。
また、前記の帽体とその帽体に連結して、後頭部や後ろ首筋上部を覆うフラップ部を有する帽子や、ズキンにおいても、頂頭部に設けた注水口からの注水により、帽子等の上部の帽体から下部のフラップ部まで、一か所の注水口から、わずか1回の注水で、気化熱作用による冷却効果を得ることが出来る。
【0009】
本発明によれば、従来の様に、前記帽体部、フラップ部を洗面器やポリ袋容器等での溜めた水に浸すことは必要なくなる。
近年、ペットボトルの冷水を販売する自販機の設置が普及し、ゴルフ場、テニスコート等のスポーツクラブハウス等に付設のラウンジや、街角でも、ペットボトルの冷水を手軽に、常時入手でき、特に、真夏は、それを前記のプレイヤーはプレー中に常時携帯している場合が多い。
本発明に関わる構造の帽子を、前記プレイヤーが着用して、長時間のプレー中に、当該水分の蒸発により、気化熱作用による冷却効果が減少した場合でも、すぐに、素早く、携帯しているペットボトルの冷水を前記注水口から注水追加して、素早く、帽子の帽体部とフラップ部両方の全面の冷却効果を復元、再冷却強化し、前記プレーの再開が可能となる効果がある。
さらに、これらこの注水する行為は、同行の知人プレイヤーの目の前で、何時でも、何処でも、行えるので、本発明の帽子が、冷却効果を長時間持続しやすく、熱中症対策に非常に役立つこと他を自慢でき、本発明の帽子の購入を友人等にお薦めしやすいという、画期的な.熱中症予防対策への啓発普及、及び、当該商品の大きな販売促進効果が期待できる。
【0010】
また、従来の気化熱作用による冷却機能を有する子供用のフラップ帽子では、帽子のフラップ部の裏側に張り付けられた面状の吸水繊維に、水道水等を流しさらし、水分を吸水させていたので、例えば、多数の幼稚園の園児がこれを行うと、水道栓の周りは、水が飛び散って、かつ、園児も衣服がぬれたりしていた。
それが、本発明に関わる構造を子供用フラップ帽子に用いた場合、多数の園児が先生の号令の下に、一斉に、同時に、片手に本発明の構造のフラップ帽子を持って、もう一方の手に、100ml程度の水が入ったコップを持って、本発明の構造の注水口から水を注ぐだけで、さらに、フラップ部の下端に設けられた排水口から、余剰な水の滴下を検知したら、前記注水を止めよと、教えれば、前記の様に、水を飛び散らすことなく、園児の衣服を濡らすことなく、その後、そのフラップ帽子を着用すれば、気化熱作用による、頭部から首筋までの冷却効果を得られ、園児の真夏の屋外活動等での、暑さ対策、熱中症対策に役立てられるという大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明を用いる帽子の構造の横断面を示す図である。
【
図2】本発明を用いる帽子の構造の背面を示す図である。
【
図3a】本発明を用いる構造に使われる複数布、部材の組み合わせ構成を示す図である
【
図3b】本発明を用いる構造に使われる部材の吸水材を一体とした構成を示す図である。
【
図3c】本発明を用いる構造に使われる連結水路にさや管方式を用いた構造を示す図である。
【
図4】本発明を用いる帽子の連結水路部の断面を示す図である。
【
図6】本発明に用いる構造の帽子の冷却温度効果をグラフで示す図である。
【
図7】本発明に用いる構造の帽子、又はズキン等の使用状態を示す図である
【
図8】本発明に用いる構造の帽子のフラップ部を帽体の内側に折り込んだ使用形態を示す図である。
【
図9】本発明に用いる構造の子供用フラップ帽子の1例を示す透視図である。
【
図10】本発明に用いる構造の帽子、またはズキンの下端に設けられる排水口を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の構造による帽子の場合の好適な第1の実施形態例について、図面を用いてより具体的に説明する。
図1は、本発明を用いる帽子の構造の横断面を示す図である。
ツバ部11と帽体部12、後方に位置するフラップ部13により構成されている帽子1である。第1図はまた、この帽子1の後頭部から首筋上部を覆う部分の裏側の断面を示している。
帽子1の帽体部12の頂頭部近辺に水を注水できる注水口1aが設けられている、さらに、
自重の数倍の水分を吸水する第1の吸水材14が帽体12の後頭部を覆う様に面状に配置されており、また、同じく、フラップ部13では、後ろ首筋上部を覆う様に面状に前記吸水材と同様な第2の吸水材15が配置されている。
【0013】
これら、第1,第2の吸水材14,15はその両面を透湿防水布16、17で覆われており、かつ、例えば、外側面の透湿防水布16と、第1,第2の吸水材面の間に、面状の空隙間18を設け、注水口1aから注水された水が流れ、かつ、第1,第2の吸水材14,15に到達し、その水分を吸水、吸湿し、また、貯水できる様に構成する。
ただし、前述では、吸水材14,15を、第1,第2と分離して説明しているが、これらが、連続して、
図3bで示す、一体構造の吸湿材3b1として設けられる場合でも、下記で説明する様に、効果が異なるが、本発明は成り立つ構成を提供できることをここで明記する。
【0014】
次に、第2図は本発明を用いる帽子の構造の背面を示す図である。
帽子は一般的に、帽体部12の後方中心部に、人の頭の周辺サイズにフイットさせるために、頭部周囲サイズ調整部21の空間と調整バンド22 を有する。
また、子供、園児用フラップ帽子等ではやはり帽体の後方中心部に、
図9で示す様に、サイズ調整用ゴム伸縮部92を有する。
これら、サイズ調整部21には、一般的な布生地の数十倍の厚みと硬度(ゴアゴア感)を有する、前記吸水材14,15や、スムーズに水を流すための水路を形成するための、透湿防水布16,17は配置できない。
そこで、前記サイズ調整部21を避けて、注水口から注がれた水を、帽体部の第一の吸水材14 に吸水させ、かつ、その後、下方のフラップ部に配置された第2の吸水材15 に吸水させるためには、
図2で示す、例えば、前記サイズ調節部を避けて、かつ、前記フラップ部13内の第2の吸水材15に水を流し込むための連結水路部23を配置した構造を得る必要が生じる
【0015】
図3aは本発明を構造する複数布、部材の組み合わせ構成を示す図である
図3aの図中で示す複数布、部材は、帽子等着用時の人の頭部表面側から、帽体部用、及び、フラップ部用共、人の頭部表面に位置する、通気性の良い裏地31でる。次に、ところどころ気化通気の為の穴の開いた内側の透湿防水布17を配置し、その外側に、前記吸水材14,15を接着、または縫製にて張り付けられる。 その後、これらの外側に、外側の透湿防水布16 を覆いかぶせて配置し、内側の透湿防水布17と外側透湿防水布16は、これらの形状の外周囲を、接着または縫製にて接合し、前記注水口1aから注水した水が、帽体部12、フラップ部13とも、前記吸水材面14,15に吸水、貯水させながら、その面上を水が流れる水路18を形成させることができる。
この時、
図3bで示すような、前記、第1と第2の吸水材14,15を連続して一体で、帽体部とフラップ部を覆う、吸水材3b1としても本発明で得られる気化熱作用による冷却効果は得られる。
【0016】
しかし、前記吸水材を分離して、帽体用と、フラップ部用の吸湿材14、及び15として分離して、帽体部12とフラップ部13を連結する連結水路部23に、前記一体型の吸水材3b1の場合の、分厚く、ゴアゴア感が生じるものがないことにより、よって、軟らかい、透湿防水布だけの水路にすることにより、
図8で示す様に、フアッション性から、通常の帽体部のみの帽子を着用しているかに見える様に、きれいに、収まりよく、フラップ部13を帽体部12に折り込んで収納した状態で、違和感なく着用できる効果が生まれる。
図中、32は前記帽体部12及びフラップ部13の表装生地である。
【0017】
また、本発明で、さらに効果の高い、第2の実施形態例について説明する。
本発明のような構造を有する帽子は、一般的には、帽体部12とフラップ部13は別々に製作され、後に、縫製で結合される。この結合組み立てを効率よく、容易に出来る様に、本発明の構造を有する帽子の、前述で説明の連結水路部23は下記の様に構成される。
図3cで示す様に、帽体部12に組み込まれる、内側、及び外側の透湿防水布17a,16aにより構成される連結水路部3c1の横幅より、フラップ部側の内側、及び外側の透湿防水布17b,16bで構成される連結水路部3c2の横幅を広く、かつ、帽体部12とフラップ部13の水路の結合時に、上下に重なる様に、例えば、前記帽体側の連結水路部3c1を長く構成する。
【0018】
これら構成された、帽体部12とフラップ部13が別々に組み立て製造され、その後の、これらの水平横周囲の結合縫製時、前記連結水路部23を避けて縫製し、連結水路部23は、帽体側の透湿防水布で構成された筒状の水路部3c1をフラップ部13側の同じく少し径が大きめの筒状の水路部3c2に差込み、さや管方式で連結し、前述の連結水路部23を生成する構造とし、帽体部12とフラップ部13の、前記連結水路部のみを避けて、横全周を連結できるので、本発明の構造を有する帽子や例えばヘルメットインナーのズキン等は、前記の水の流れる連結部として、連結水路部23を得ながら、その組み立てを非常に効率的に簡易化できる効果を得ることが出来る。
【0019】
図4は、 前述の本発明を用いる帽子の連結水路部23の断面を示す図である。
この断面は
図2に示す、断面線2a で切断して見える、前述のさや管方式の場合の構造の図を示している。
前述の帽体側の連結水路部3c1とその外側により横幅径の広く大きい、フラップ側の連結水路部3c2によるさや管方式で連結され、サイズ調整部21のバンド部 22を避けて、その両サイド側で、前述の水41が帽体側からフラップ部側に流れる様に、前述の連結水路部23が構成されている様子を説明している。
図5は、 本発明に用いる帽子の底面を示す図である。
吸水材14,15に吸水され水分の気化冷却作用を促すための、内側の透湿防水布17a,17b に設けられた気化通気窓51,52の配置構成が示されている。
【0020】
図6は、 本発明に用いる構造の帽子の冷却温度効果をグラフで示す図である。
夏季、某日の晴天時の13時ごろ、本発明の構造を有する帽子の注水口1aより、約100mlの冷水(12℃前後)を注水し、10分後に着用し、数時間、街角、公園の散策、競技観戦等を行い、その間、帽体頂部12表装の表面温度61、帽体後部裏面(人体側)温度62、フラップ部裏側温度63(人体後ろ首筋側)を計測し、グラフに現したものである。
本発明の帽子の着用により、特に後頭上部から下部、首筋上部という、熱中症予防には重要な人体の部位を、太陽の日射による高温被爆な環境に対し、効果的に冷却、保護している様子を示している。
【0021】
図7は本発明に用いる構造の帽子等の使用状態を示す図である。
図7の(a)では、キャップ型の帽子での例を示しており、
図7の(b)ではヘルメットの下等に被るズキンでの使用例を示している。
帽体部12の頂頭部に配置された、一か所の注水口1aから、ペットボトル71の冷水を注水するだけで本発明の構成の帽子の着用者の頭部を覆う帽体部12から、頭周囲大きさのサイズ調整部21、または、ゴムバンドによるサイズ調整部7b2を避けて、後頭部から首筋上部を覆うフラップ部13の内部に配置された吸水材14,15、又は3b1に、冷水を流し込み、その水に浸された内部の吸水材の気化作用による長時間の冷却効果が得られる様子を図示している。
【0022】
図9は本発明に用いる構造の子供用フラップ帽子の1例を示す透視図である
図で示す様に子供用、園児用のフラップ帽子91は、頭周囲サイズ調整部に伸縮自在のゴムバンド92を後方中央に配置している場合が多い。
この場合でも本発明の構成の前述の連結水路部23は、前記ゴムバンド部92を避けて構成することが出来る効果がある。
【0023】
さらに本発明の構造に関する第3の実施形態例について説明する。
図10(a)は本発明の構造を後方から見た図で、
図10の(b)はその断面を断面線101aで切断した場合の状態を示した図である。
本発明に用いる帽子等の構造において、例えば前記フラップ部13の下端部までの中間位置で吸水材15と前記透湿防水布16によって出来る空隙間18を、それらの接着、または、縫製で部分的に閉じて、水のせき止め部102を設ける。
また、その下方に位置する、前記透湿防水布16の下方端に、排水口103を設ける。
【0024】
これにより、注水口1aから入れられた水が前記吸水材14.15に水分を吸水、貯水させながら、前記空隙間18を流れる様子を、水の流れ方向105で示している。この時前記、水のせき止め部102は、上方からくる流れる水を一旦、フラップ部中央に寄せて、前期吸水材15の中心部も、くまなく、均一に水分を供給できるようにする役割と、それによる、気化熱冷却作用の面状の均一化と長時間持続化への効果がある。
その後、前記水のせき止め部102の水平方向両端から、あふれた水は、前記吸水材15の水平方向両端面にも吸水させ、前記前空隙間18の最下端の前記排水口103より、余分な水分として、水滴106となり、排水し始めるので、これを目視や手の感触で検知できる。
【0025】
本発明の構造の帽子、ズキン、子供用フラップ帽子等の気化熱作用による冷却効果を得るために、前記注水口から注水する場合、前記構造による排水口103が設けられていることにより、前記吸水材14,15に十分な水分を吸水、貯水させた後、余分な水分として、排水口から漏れ出る水滴106、水量を目視や手の感触で検知し、それを目安に、本発明の冷却構造を用いた例えば帽子では、どのくらいの水量を入れれば、最適かの判断や修練が可能となる効果がある。
また、この前記排水口103がない場合は、ついつい前記水を入れすぎて、フラップ部下端に水が大量に溜り、後ろ首筋で余剰な水分の重さを感じたり、前記裏表、透湿防水布16,17の面状周囲の接着、縫製等による水留めシールが破れ、前周囲の隙間のあちこちから、帽子を着用中に、溜まった余分な水が、行き場がなく、醜く漏れ始めるという不快感、不具合が生じやすい。
本発明の構造はこれを解消できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0026】
昨今の気候変動による、夏季の厳しい猛暑下、人の屋外活動における暑さ、熱ストレス、熱中症等への対応、対策の必要性が強く叫ばれている。
近年、身近な生活圏で、自動販売機の設置普及もあり、冷水が入ったペットボトルの入手が、いつでも、どこでも容易になりつつある。
本発明の構造を有する、例えば帽子、ヘルメットインナー用のズキン等は非常に手軽に、いつでもどこでも人の後頭部から後ろ首筋の運動神経を司る部位を冷水温で、及び気化熱作用で長時間冷却効果をもたらすことを実現する。
本発明が広く普及することにより、人々の真夏の屋外活動、屋外労働での暑さ、熱ストレス、熱中症への不安解消につながり、体力負荷を軽減し、夏季の社会活動の効率を高めることによる社会、及び、産業上の効果が大いに期待できる。
【符号の説明】
【0027】
1 帽子
12 帽体部
13 フラップ部
14 第1の吸水材
15 第2の吸水材
16 外側面の透湿防水布
17 内側面の透湿防水布
18 面状の空隙間
21 頭部周囲サイズ調整部
23 連結水路部
1a 注水口
3c1 帽体部側の連結水路部
3c2 フラップ部側の連結水路部
51、52 気化通気窓
7b2 ズキン
102 水のせき止め部
103 排水口
105 水の流れ方向
【要約】
【課題】
帽子等に組み込まれた吸水材に水分を供給し、気化熱作用により冷却効果を得るための合理的、効果的な水の供給方法を用いた帽子等の冷却構造を提供する
【解決手段】
帽子等の 帽体部12の頂頭部にペットボトルからの水を注水できる注水口1aを設け、帽体部12、及び、フラップ部13の裏面側に面状の吸水材14,15の片面または部分的に両面を透湿防水布16,17で覆い、前記吸水材14,15と前記透湿防水布16,17の間に水が流れる空隙間を水路18として、また、フラップ部の下端に水が達したことを検知できる排水口を設ける。 前鬼吸水材は頭部周囲サイズ調整部、及び、帽体部とフラップ部境界連結部を避けて配置され、かつ、その連結水路23は、前記透湿防水布で構成されるさや管方式で連結され、帽子の組み立てを簡易化できる構造を提供する。
【選択図】
図1