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▶ 津田 澄夫の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】炊飯用米の米とぎ方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/24 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
A47J43/24
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020068735
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021164539
(43)【公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】399038664
【氏名又は名称】津田 澄夫
(72)【発明者】
【氏名】津田 澄夫
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-189037(JP,U)
【文献】特開2012-152252(JP,A)
【文献】特開2001-114295(JP,A)
【文献】実開平2-071440(JP,U)
【文献】特開2006-102448(JP,A)
【文献】実開平11-253331(JP,U)
【文献】実開昭64-001643(JP,U)
【文献】実開昭52-063557(JP,U)
【文献】正しいお米の研ぎ方:回数は?研ぎすぎはダメ?,日本,2018年05月10日,https://saruwakakun.com/life/food/rice-cook
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 43/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米粒が漏れないネット又は布から形成された袋状部材に炊飯用米を入れる米収容工程と、前記米収容工程の後に前記袋状部材に収容された炊飯用米を水に浸して洗う米洗浄工程と、前記米洗浄工程の後に前記袋状部材に収容された炊飯用米粒同士が密着するように前記袋状部材の開口部側を紐状部材で締める紐締め工程と、前記紐締め工程の後に前記袋状部材の外側から圧力を加えて炊飯用米を磨ぐ米とぎ工程と、を含むことを特徴とする炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項2】
前記米とぎ工程においては、炊飯用米を収容した前記袋状部材を水に浸し、炊飯用米を水に浸した状態で前記袋状部材の外側から揉んで圧力を加えて炊飯用米を磨くことを特徴とする請求項1に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項3】
前記袋状部材として開口部に紐状部材を通した袋部材が用いられ、前記紐締め工程においては、前記紐状部材を引っ張って前記袋部材の開口部を閉じ、その後引っ張った前記紐状部材を前記袋部材の開口側に巻き付けて前記袋部材に収容された炊飯用米粒が密着するようにすることを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項4】
前記袋状部材として円形状又は多角形状のネット状部材又は布状部材の周縁部に前記紐状部材を通して袋状に形成される袋部材が用いられることを特徴とする請求項3に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項5】
前記米収容工程においては、ボール状の収容容器の開口側に前記ネット状部材又は前記布状部材を被せて炊飯用米を入れた後に前記紐状部材を締めて前記袋部材に炊飯用米を収容し、前記米洗浄工程においては、炊飯用米を収容した前記袋部材を前記収容容器内に注入した水に浸して洗浄することを特徴とする請求項4に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項6】
前記米とぎ工程においては、外袋部材内に炊飯用米を収容した前記袋状部材を収容し、前記外袋部材の外側から前記袋状部材を揉んで炊飯用米を磨くことを特徴とする請求項1に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【請求項7】
前記米とぎ工程においては、水を入れた外袋部材内に炊飯用米を収容した前記袋状部材を収容し、炊飯用米を水に浸した状態で前記外袋部材の外側から前記袋状部材を揉んで炊飯用米を磨くことを特徴とする請求項6に記載の炊飯用米の米とぎ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯用米粒を密集させ外側からの圧力を利用し柔らかい袋で短時間かつ容易に水中で又は水に手を濡らさない米とぎに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の米とぎ方法は容器を使い、手で米とぎを行う方法が一般的であり、手を水に濡らさない特殊な米とぎ方法として、道具を使って米を攪拌させて米とぎをおこなう特許文献1に代表される方法や、容器内で回転による攪拌し米とぎをおこなう特許文献2のような方法や、容器内の米をシェイクし攪拌させ米とぎをする特許文献3のような方法や、水流を利用して米を攪拌させて米とぎをする特許文献4のような方法や、メッシュ製袋や布袋にお米を入れ、米とぎをする特許文献5のような方法が行われてきた。また特許文献6のような炊飯用ネットが米とぎ兼用につかわれる場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-009930
【文献】特許第54955082号
【文献】特許第5116063号
【文献】特開平09-084703
【文献】特開2005-130974
【文献】特開2017-144245
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の米とぎ方法は一動作で一部の米をランダムにとぐので、確率的に全米粒を均等にとぐのに、動作回数が大変多くなり時間がかかる。例を挙げると確率的に4合の米(600g)をランダムに20gずつ(成人の平均的な握り量)とぐ場合、50回の動作では約490gの米粒が一度もとがれず。189回以上で初めてとがれる米粒ができる、このような米とぎ方法だと均等な研磨には程遠い。
【0005】
このように全米粒を均等にとぐには大変多くの手間と時間がかり時間がたつほど米粒の吸水率があがり割れやすくなる。また、時間を短縮するために加速力を増したり、強くすると水分を含んで強度の落ちた米粒が割れたり、深い傷がついたりしやすくなる。
【0006】
特に特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4に代表されるように米を容器や撹拌機と衝突させて摩擦する米とぎだと、米粒とは容器の硬度が違うために米粒が損傷する場合があった。この課題が解決されていないので、多くの料理専門家など、それぞれかき混ぜてみたり、揉んでみたり理想的な共通のとぎ方が確立されていなかった。
【0007】
本発明の目的は、米とぎの時間を少なくでき、米とぎ時の米自体の欠けや表面の傷などの損傷を防ぐことができる炊飯用米の米とぎ方法を提供することにある。即ち、おいしいご飯のための米とぎの条件である、短時間、均等な研磨、米粒が割れず大きな傷がつかないという理想に近い米とぎを誰もが容易に行える炊飯用米の米とぎ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の炊飯用米の米とぎ方法は、米粒が漏れないネット又は布から形成された袋状部材に炊飯用米を入れる米収容工程と、前記米収容工程の後に前記袋状部材に収容された炊飯用米を水に浸して洗う米洗浄工程と、前記米洗浄工程の後に前記袋状部材に収容された炊飯用米粒同士が密着するように前記袋状部材の開口部側を紐状部材で締める紐締め工程と、前記紐締め工程の後に前記袋状部材の外側から揉んで炊飯用米を磨ぐ米とぎ工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明においては、炊飯用米を水に浸して洗う米洗浄工程の後に袋状部材に収容された炊飯用米粒同士が密着するように袋状部材の開口部側を紐状部材で締める紐締め工程と、紐締め工程の後に前記袋状部材の外側から揉んで炊飯用米を磨ぐ米とぎ工程とを含むため、米とぎの時間を少なくでき、米とぎ時の米自体の欠けや表面の傷などの損傷を防ぐことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に用いる袋状部材(袋部材)の実施形態の斜視図である。
図2図1の実施形態の全体を拡げた裏面図である。
図3】袋状部材に炊飯用米を入れて収容させる工程を示す斜視図である。
図4】袋状部材に炊飯用米を入れて収容した状態を示す斜視図である。
図5】炊飯用米を水に浸して洗う米洗浄工程を示す斜視図である。
図6】袋状部材の開口部側を紐状部材で締める紐締め工程を示す斜視図である。
図7】袋状部材の外側から揉んで炊飯用米を磨ぐ米とぎ工程を示す斜視図である。
図8】袋状部材から炊飯用米を他の容器に移す状態を示す斜視図である。
図9】米とぎ工程の別の形態を示す斜視図である。
図10図9の状態から水を外に出した状態を示す斜視図である。
図11】別形態の米とぎ工程を示す斜視図である。
図12】更に別形態の米とぎ工程を示す斜視図である。
図13】袋状部材の別の実施形態の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示すように、本発明に用いる袋状部材1は、米粒が漏れないネット状部材又は布状部材から形成されている。袋状部材1は米とぎする炊飯用米を入れるものであり、袋状部材1の開口周縁部に紐状部材2を通して袋状に形成される。袋状部材1の開口周縁部分には紐状部材2を通す通路が設けられており、その通路には紐通し口が設けられ、この紐通し口より通路内に紐状部材2を通すものであり、図1では両紐タイプであるが、片紐タイプであってもよい。なお、実施例では、袋状部材1に紐状部材2が取り付けられているものであるが、紐状部材2自体は別体であってもよいものである。袋状部材1の形状は円形状又は多角形状であってよい。
【0012】
袋状部材1がネット状に形成されており、ネットの目の大きさは、米粒が漏れない大きさであればよく、例えばメッシュ12~17であればよく、更にメッシュ15が更によい。袋状部材1の材質は、柔軟性のある材質であればよいが、材質がナイロンであれば米粒が付着しにしく米とぎには良いものである。
【0013】
通路に通された紐状部材2を引っ張ることにより、袋状部材1の開口部が閉められることになるものである。図2に示すように、袋状部材1は円形状の平面状となる形状でも、予め袋状形状に立体的なものであってもよい。図2は袋状部材の裏面を示すものであり、裏面のほぼ中央には耳3が外方に突き出るように設けられており、米とぎが終わった段階で、袋状部材1から洗った炊飯用米をボール容器や炊飯器内釜に炊飯用米を入れる時に、耳3を持って使用するものであり、炊飯用米を入れやすくなり便利なものである。
【0014】
本発明の炊飯用米の米とぎ方法は、袋状部材1に炊飯用米を入れる米収容工程Aと、米収容工程Aの後に、袋状部材1に収容された炊飯用米を水に浸して洗う米洗浄工程Bと、米洗浄工程Bの後に袋状部材1に収容された炊飯用米粒同士が密着するように袋状部材1の開口部側を紐状部材2で締める紐締め工程Cと、紐締め工程Cの後に、袋状部材1の外側から揉んで炊飯用米を磨ぐ米とぎ工程Dと、を含むものである。以下、それぞれ工程毎に説明する。
【0015】
(米収容工程A)
米収容工程Aは、袋状部材1に炊飯用米を入れて収容させる工程である。図3に示すように、ボール6の上面開口に裏面の耳3を下側にして袋状部材1を拡げて被せ、この拡げた袋状部材1の上面に、容器5に所定の分量を量って入れた炊飯用米をいれて、図4に示すように、ボール6内側において袋状部材1内に炊飯用米が収容される状態となる。なお、この場合に、ボール6が受け皿となって、炊飯用米がこぼれない状態となる。図4に示すように、炊飯用米を収容する際に、紐状部材2が邪魔にならないよう外側に出しておくことになるとよい。ボール6を使用せずに、袋状部材1に直接に炊飯用米を収容させてもよい。
【0016】
(米洗浄工程B)
米洗浄工程Bは、上記の米収容工程A後に、袋状部材1に収容された炊飯用米を水に浸して洗う工程である。図5に示すように、紐状部材2、2を左右に引っ張って袋状部材1の開口部を閉めて、袋状の形状にして、炊飯用米がこぼれないようにし、ボール6に水をそそぎ、紐状部材2を持ち袋状部材1を上下させてすすぎ、袋状部材1を持ち上げて水切りするものである。すすぎと水切りの洗浄作業を2、3回繰り返す。紐状部材2を持ち、袋状部材1を上下させることですすぎと水切りが速く容易に行える。
【0017】
(紐締め工程C)
紐締め工程Cは、米洗浄工程Bの後に、袋状部材1に収容された炊飯用米粒同士が密着するように袋状部材1の開口部側を紐状部材2で締める工程である。図6に示されるように、袋状部材1の炊飯用米が収容されている外上側部分を紐状部材2にて巻き付けて締め付けて、収容されている炊飯用米粒同士が密着させるものである。即ち、収容されている炊飯用米粒同士間は、隙間なく密着した状態となり、米粒を密集させ米粒に外側から圧力がかけられるように紐状部材2を袋状本体1の炊飯用米の収納部の開口側に巻き付けるものである。
【0018】
(米とぎ工程D)
米とぎ工程Dは、紐締め工程Cの後に、袋状部材1の外側から揉んで炊飯用米を磨ぐ工程である。図7のように、ボール6に水をそそぎ、その水中にて、袋状部材1の外側から揉む工程であり、炊飯用米粒を密集させるよう開口側に紐状部材2を巻き付け水中で数回~十回ぐらい揉むと炊飯用米粒全体に圧力がかかり米粒同士が均等に研磨され。磨かれることになる。この工程Dでは、炊飯用米が従来のように容器に擦れたり当たったりしないので米粒自体が割れたり大きな傷が少なくなるものである。なお、揉む時間は約15秒もあればよいものである。
【0019】
袋状部材1の外側から揉んで圧力を加えて炊飯用米を磨ぐ工程は、図7の実施形態では、水中での揉むものであったが、水中でなくても良いものである。その後、巻き付けた紐状部材2を外すと、水でのすすぎの洗浄作業の数回を短時間で行え、米とぎが完了する。
【0020】
米収容工程Aの前に、水にて炊飯用米を前洗いとして大きな混入物や小さなゴミを洗い流すことを行っても良いものである。米とぎ工程Dの後には、上記米洗浄工程Bと同様のすすぎとなるすすぎを行い、洗い流すことになる。
【0021】
図9では、米とぎ工程Dの別の実施形態であり、水を入れた容器5内に紐締め工程Cを終えた状態の袋状部材1を収容させたもので、容器5を揺すって行うものであり、炊飯用米を収容した袋状部材が容器5の壁に当たるときに外側からの圧力が炊飯用米粒全体にかかり米粒同士が均等に研磨され、磨かれることになる。この後に水を入れ替えてすすいでもよく、この場合、図10のように、容器5内から炊飯用米自体は流れでないものとなる。
【0022】
本発明の炊飯用米の米とぎした後に、ボール6や炊飯器の内釜の開口部に炊飯用米が入った袋状部材1の開口部分を拡げてひっくり返すまたは開口部を拡げた袋状部材1の耳3をもって袋状部材1をひっくり返す(図8を参照)だけで収容容器や内釜に米を残らず移すことができる。
【0023】
米とぎ工程Dの別の実施形態を説明する。図11に示すように、紐締め工程Cが終わった袋状部材1を、透明な柔らかいビニールの外袋4に入れて、外袋4の外側から揉んで圧力を加えるものであり、上記で示した米とぎ工程Dの実施形態と同様の効果を奏する。特に、寒い季節には、手が水に濡れないため、便利な方法である。外袋4内に水を入れてもよい。
【0024】
また、米とぎ工程Dでは、図12に示されるように、紐締め工程Cが終わった袋状部材1を直接外側から揉んでも良いものである
【0025】
図13のように、袋状部材1の耳3の形状を、指を通すように輪形状にすると、袋に掌が密着して一段と速く簡単に米とぎができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明はおいしいご飯の理想である短時間、均等な研磨、米粒が割れず大きな傷がつかないという米とぎを誰もが容易に行えるため個人や家庭だけでなく、転がすだけでも全米粒に圧力がかり速く均等に米同士の研磨ができるので業務用の米とぎにも利用できる。
【符号の説明】
【0027】
1 袋状部材
2 紐状部材
3 耳
4 外袋
5 容器
6 ボール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13