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  • 特許-通信装置およびその制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】通信装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/16 20060101AFI20240710BHJP
   B63B 49/00 20060101ALI20240710BHJP
   B63C 9/20 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H04B1/16 U
B63B49/00 Z
B63C9/20 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020191115
(22)【出願日】2020-11-17
(65)【公開番号】P2022080121
(43)【公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-08-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】関山 良男
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121254(WO,A1)
【文献】特開2011-175512(JP,A)
【文献】特開2019-008557(JP,A)
【文献】特開2007-004428(JP,A)
【文献】特開2018-006906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
B63B 49/00
B63C 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
AIS(Automatic Identification System)に関する情報を受信するためのAIS受信部と、
前記AIS受信部とは別個に設けられる、海上無線通信信号を受信するための海上無線受信部と、
前記情報を表示する表示部と、
前記情報が前記表示部に表示されている間、前記海上無線受信部に電力を供給する電源をオフにする電源制御部と、
を備える通信装置。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記情報が前記表示部に表示されなくなることを契機として、前記電源をオンに切り替える、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記AIS受信部および前記海上無線受信部とは別個に設けられる、DSC(Digital Selective Calling)信号を受信するためのDSC受信部をさらに備え、
前記電源制御部は、前記DSC信号の受信を契機として、前記電源をオンに切り替える、請求項1または2に記載の通信装置。
【請求項4】
PTT(Push To Talk)スイッチをさらに備え、
前記電源制御部は、前記PTTスイッチの操作を契機として、前記電源をオンに切り替える、請求項1から3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
通信装置が、
AISに関する情報を受信すること、
前記AISに関する情報を含まない海上無線通信信号を受信すること、
前記情報を表示部に表示すること、および、
前記情報が前記表示部に表示されている間、前記海上無線通信信号を受信するための受信部に電力を供給する電源をオフにすること、
を含む通信装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、特に船舶通信用の通信装置、およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水没している間の消費電力を削減することができる電子機器が開示されている。当該電子機器は、自身が水没したことと、取り上げられたこととを検出する水没検出部と、水没検出部が水没を検出したときに、取り上げまでの間、必要な箇所以外への電源の供給を停止する制御部と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-213567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている電子機器は、水没を検出した場合以外ではいずれの箇所への電源の供給も停止しない。このため、特許文献1に開示されている電子機器によっては、通常使用時における消費電力は低減されない。
【0005】
本発明の一態様は、通常使用時における消費電力を低減可能な通信装置などを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信装置は、AIS(Automatic Identification System)に関する情報を受信するためのAIS受信部と、前記AIS受信部とは別個に設けられる、海上無線通信信号を受信するための海上無線受信部と、前記情報を表示する表示部と、前記情報が前記表示部に表示されている間、前記海上無線受信部に電力を供給する電源をオフにする電源制御部と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る通信装置の制御方法は、通信装置が、AISに関する情報を受信すること、前記AISに関する情報を含まない海上無線通信信号を受信すること、前記情報を表示部に表示すること、および、前記情報が前記表示部に表示されている間、前記海上無線通信信号を受信するための受信部に電力を供給する電源をオフにすること、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置などによれば、通常使用時における消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る通信装置の要部の構成を示すブロック図である。
図2】AISに関する情報を表示する画面の例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る通信装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0011】
(通信装置1の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る通信装置1の要部の構成を示すブロック図である。通信装置1は、船舶通信用のハンドヘルド式の通信装置を想定しているが、これに限らない。図1に示すように、通信装置1は、海上無線受信部11、海上無線受信用電源11a、AIS受信部12、AIS受信用電源12a、DSC(Digital Selective Calling)受信部13、DSC受信用電源13a、表示部14、入力受付部15、制御部16、および記憶部17を備える。また、通信装置1は、音声の入力を受け付けるマイク、音声を出力するスピーカなどの、通信装置が通常備える構成要素を有しているが、図示を省略している。
【0012】
海上無線受信部11は、海上無線通信信号を受信するための受信回路である。本明細書において、「海上無線通信」とは、陸上の無線局と船舶局等の海上を移動する無線局との間の無線通信、および、船舶局等の海上を移動する無線局同士の無線通信のうち、AISおよびDSCを除くものを対象とする。よって、本明細書における海上無線通信信号は、AISに関する情報およびDSC信号を含まない。本明細書における海上無線通信は、典型的には、国際VHF(Very High Frequency)、マリンVHFであるが、これらに限られない。なお、マリンVHFは、国際VHFの周波数帯の一部を用いたものである。国際VHFは、DSCを除き、アナログ音声通信として使用される。
【0013】
AIS受信部12は、AISに関する情報を受信するための受信回路である。AIS受信部12は、海上無線受信部11およびDSC受信部13とは別個に設けられる。AISとは、船舶間の衝突を回避するためのシステムである。AISに関する情報の例として、船舶の識別情報(MMSI(Marine Mobile Service Identity)コード)、船名、位置、針路、速力、目的地などが挙げられる。これらの情報を周期的に発信するとともに、必要に応じてマリンVHFまたはDSCによる音声通信を行うことで、船舶間の衝突が回避される。
【0014】
DSC受信部13は、DSC信号を受信するための受信回路である。DSC受信部13は、海上無線受信部11およびAIS受信部12とは別個に設けられる。DSC信号は、DSC無線通信のための信号である。DSC無線通信は、VHF無線通信にデジタル通信による自動呼出機能(DSC機能)を付加したもので、船舶の遭難、緊急、安全通信等に用いることができる。
【0015】
海上無線受信用電源11aは、海上無線受信部11に電力を供給する電源である。AIS受信用電源12aは、AIS受信部12に電力を供給する電源である。DSC受信用電源13aは、DSC受信部13に電力を供給する電源である。すなわち、通信装置1においては、海上無線受信部11、AIS受信部12およびDSC受信部13は、互いに異なる電源で駆動および制御されている。
【0016】
表示部14は、ユーザに対して情報を表示する表示装置である。表示部14が表示する情報の例として、AISに関する情報が挙げられる。表示部14は、例えば液晶ディスプレイ、または有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイである。
【0017】
図2は、AISに関する情報を表示する画面の例を示す図である。画面21は、通信装置1を中心として、他の船舶の位置(方位および距離)の情報をプロットした画面である。画面22は、制御部16がAIS受信部12によりAISに関する情報を受信した、全ての船舶のリストである。画面23は、制御部16がAIS受信部12によりAISに関する情報を受信した船舶のうち、デンジャラスゾーン内に存在する船舶のリストである。デンジャラスゾーンは、通信装置1を搭載している船舶と他の船舶とが衝突する可能性がある領域を意味する。デンジャラスゾーンは、通信装置1と他の船舶との相対位置および相対速度、および通信装置1のユーザの設定などに基づいて、他の船舶のそれぞれについて個別に定められる。画面24は、制御部16がAIS受信部12によりAISに関する情報を受信した船舶のうち、フレンド登録されている船舶のリストである。フレンド登録されている船舶とは、通信装置1が搭載されている船舶と何らかの関係があるものとして登録されている船舶である。
【0018】
AISに関する情報を表示する画面は、画面21~24に限定されない。また、AISに関する情報そのものを表示する画面の他、画面21~24のいずれを表示するかを選択するための画面も、AISに関する情報を表示する画面に含まれてよい。また、画面23におけるデンジャラスゾーンについての設定を変更するための画面、または画面24におけるフレンド登録されている船舶の追加または削除といった管理を行うための画面も、AISに関する情報を表示する画面に含まれてよい。
【0019】
入力受付部15は、通信装置1に対するユーザの入力を受け付ける入力装置である。入力受付部15は、例えばボタンまたはタッチパネルである。入力受付部15が受け付けるユーザの入力の例としては、表示部14に表示する情報を変更するための入力が挙げられる。また、入力受付部15は、通信装置1から外部へ信号を送信するための操作を受け付けるPTT(Push To Talk)スイッチ15aを含む。すなわち、通信装置1は、PTTスイッチ15aを備えている。
【0020】
制御部16は、通信装置1の動作を制御する。制御部16は、ユーザの入力に基づいて、例えば通信装置1による外部との通信を制御する。また、制御部16は、AIS情報表示制御部16aおよび電源制御部16bを備える。AIS情報表示制御部16aは、上述したAISに関する情報を、表示部14に表示させる。電源制御部16bは、海上無線受信用電源11a、AIS受信用電源12a、およびDSC受信用電源13aを制御する。電源制御部16bにおける処理については後述する。
【0021】
記憶部17は、通信装置1の制御に必要な情報を記憶する記憶部である。記憶部17は、例えば上述したデンジャラスゾーンについてのユーザによる設定、およびフレンド登録されている船舶の情報を記憶する。また、記憶部17は必要に応じて、例えばAIS受信部12により受信した情報、およびDSC受信部13により受信したDSC信号が示す情報を記憶する。ただし、通信装置1は必ずしも記憶部17を備える必要はなく、記憶部17と同様の情報を記憶する外部の記憶装置にアクセス可能に構成されてもよい。
【0022】
(電源制御部16bにおける処理)
電源制御部16bにおける処理について以下に説明する。電源制御部16bは、AISに関する情報が表示部14に表示されている間、海上無線受信用電源11aをオフにする。換言すれば、電源制御部16bは、AISに関する情報を表示部14に表示させるためのユーザの入力を入力受付部15が受け付けた場合に、海上無線受信部11に電力を供給する電源をオフにする。このとき、電源制御部16bは、海上無線通信信号を送信するための送信回路の電源も併せてオフにすることが好ましい。送信回路の例としては電圧制御発振器(VCO、Voltage Controlled Oscillator)が挙げられる。
【0023】
AISに関する情報が表示部14に表示されている状態は、通信装置1の通常使用時における状態の1つである。したがって、電源制御部16bが海上無線受信用電源11aを上記のとおり制御することで、通信装置1の通常使用時における消費電力を低減できる。
【0024】
AISに関する情報を表示部14に表示させる場合の例として、漁船において漁獲物の選別を行っている場合が挙げられる。このような場合には、通信装置1を操作して海上無線通信を行うことはできないため、海上無線受信部11の機能は不要である。一方で、通信装置1を搭載する船舶が他の船舶などから一定の範囲内に接近した場合にユーザに警告するためのアラームについては必要である。当該警告はAISに関する情報に基づいて発せられるため、AIS受信部12の機能は必要である。したがって、電源制御部16bが海上無線受信用電源11aを上記のとおり制御することで、通信装置1の消費電力を、必要な機能を維持した上で低減できる。
【0025】
また、電源制御部16bは、AISに関する情報が表示部14に表示されなくなることを契機として、海上無線受信用電源11aをオンに切り替える。換言すれば、電源制御部16bは、AISに関する情報以外の情報を表示部14に表示させるためのユーザの入力を入力受付部15が受け付けた場合に、海上無線受信用電源11aをオンに切り換える。
【0026】
AISに関する情報が表示部14に表示されなくなる場合には、海上無線通信信号を受信する必要が生じると考えられる。電源制御部16bが海上無線受信用電源11aをこのように制御することで、通信装置1の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。ただし、電源制御部16bによるこのような制御は必須ではない。
【0027】
また、電源制御部16bは、DSC受信部13によるDSC信号の受信を契機として、海上無線受信用電源11aをオンに切り替える。ここでいうDSC信号は、通信装置1が受信したあらゆるDSC信号であってもよく、通信装置1を搭載している船舶を指定したDSC信号、または当該船舶を含むグループを指定したDSC信号のみであってもよい。DSC受信部13がDSC信号を受信した場合、その後に海上無線通信信号を受信する必要が生じることが考えられる。電源制御部16bが海上無線受信用電源11aをこのように制御することで、通信装置1の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。ただし、電源制御部16bによるこのような制御は必須ではない。
【0028】
また、電源制御部16bは、PTTスイッチ15aの操作を契機として、海上無線受信用電源11aをオンに切り替える。ユーザがPTTスイッチ15aを操作した場合、換言すれば海上無線通信信号を送信するための操作を行った場合、その後に海上無線通信信号の送信が行われ、当該海上無線通信信号に対する応答を受信する必要が生じることが考えられる。電源制御部16bが海上無線受信用電源11aをこのように制御することで、通信装置1の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。ただし、電源制御部16bによるこのような制御は必須ではない。
【0029】
DSC信号の受信、またはPTTスイッチ15aの操作を契機として、電源制御部16bが海上無線受信用電源11aをオンに切り替える場合、制御部16は、AISに関する情報とは別の情報を表示部14に表示することが好ましい。当該別の情報の例としては、AISに関する情報を表示部14に表示する前に表示していた情報が挙げられる。または、当該別の情報を通信装置1のユーザが設定可能であってもよい。
【0030】
また、電源制御部16bが海上無線受信用電源11aをオンに切り替えた後、AISに関する情報が表示部14に再度表示された場合、電源制御部16bは海上無線受信用電源11aを再度オフにする。この場合、電源制御部16bは、他の操作を一定時間受け付けなかった場合に海上無線受信用電源11aをオフにしてもよく、すぐに海上無線受信用電源11aをオフにしてもよい。
【0031】
この他、電源制御部16bは、海上無線受信用電源11aおよび/またはDSC受信用電源13aのオンおよびオフを周期的に切り替えてもよい。この場合、海上無線受信部11および/またはDSC受信部13は、間欠的に動作する。
【0032】
(制御部16における処理)
図3は、通信装置1の制御方法を示すフローチャートである。図3に示すように、通信装置1において、制御部16は、AIS受信部12に関する処理(S1~S2)と海上無線受信部11に関する処理(S3~S8)とを並列に実行する。
【0033】
AIS受信部12に関する処理は以下のとおりである。ユーザが通信装置1の電源をオンにすると、電源制御部16bは、AIS受信用電源12aをオンに切り換える(S1)。制御部16は、AIS受信部12によりAISに関する情報を受信する(S2)。制御部16は、通信装置1の電源がオンである間、ステップS2を繰り返す。
【0034】
海上無線受信部11に関する処理は以下のとおりである。ユーザが通信装置1の電源をオンにすると、電源制御部16bは、海上無線受信用電源11aをオンに切り替える(S3)。制御部16は、海上無線受信部11により海上無線通信信号を受信する(S4)。
【0035】
制御部16は、AISに関する情報を表示部14に表示させるためのユーザの入力を入力受付部15が受け付けたか判定する(S5)。AISに関する情報を表示部14に表示させるためのユーザの入力を入力受付部15が受け付けていない場合(S5でNO)、制御部16はステップS4から処理を繰り返す。
【0036】
AISに関する情報を表示部14に表示させるためのユーザの入力を入力受付部15が受け付けた場合(S5でYES)、AIS情報表示制御部16aは、AISに関する情報を表示部14に表示する(S6)。また、電源制御部16bは、海上無線受信用電源11aをオフにする(S7)。
【0037】
ステップS7の後、電源制御部16bは、海上無線受信用電源11aをオンに切り換える条件が満たされたか判定する(S8)。条件の例としては、上述した、AISに関する情報が表示部14に表示されなくなること、DSC受信部13によるDSC信号の受信、PTTスイッチ15aの操作のいずれかが挙げられる。海上無線受信用電源11aをオンに切り換える条件が満たされない場合(S8でNO)、電源制御部16bはステップS8を繰り返す。すなわち、電源制御部16bは、AISに関する情報が表示部14に表示されている間、海上無線受信用電源11aをオフにする。海上無線受信用電源11aをオンに切り換える条件が満たされた場合(S8でYES)、電源制御部16bおよび制御部16はステップS3から処理を繰り返す。換言すれば電源制御部16bは、上述したいずれかの条件が満たされたことを契機として海上無線受信用電源11aをオンに切り換える。
【0038】
以上の処理により、電源制御部16bは、AISに関する情報が表示部14に表示されてから、海上無線受信用電源11aをオンに切り換える条件が満たされるまでの間、海上無線受信用電源11aをオフにする。したがって、通信装置1においては、通常使用時における消費電力が低減される。なお、電源制御部16bは、必ずしも常に上述した海上無線受信用電源11aの制御を行う必要はなく、当該制御を行うか否かの設定をユーザが変更可能であってもよい。
【0039】
〔ソフトウェアによる実現例〕
通信装置1の制御ブロック(制御部16、特に電源制御部16b)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0040】
後者の場合、通信装置1は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0041】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る通信装置は、AIS(Automatic Identification System)に関する情報を受信するためのAIS受信部と、前記AIS受信部とは別個に設けられる、海上無線通信信号を受信するための海上無線受信部と、前記情報を表示する表示部と、前記情報が前記表示部に表示されている間、前記無線信号受信部に電力を供給する電源をオフにする電源制御部と、を備える。
【0042】
上記の構成によれば、AISに関する情報が表示部に表示されている間、海上無線受信部に電力が供給されなくなる。AISに関する情報が表示部に表示されている状態は、通信装置の通常使用時における状態の1つである。したがって、通信装置の通常使用時における消費電力を低減できる。
【0043】
また、本発明の態様2に係る通信装置は、態様1において、前記電源制御部は、前記情報が前記表示部に表示されなくなることを契機として、前記電源をオンに切り替えることが好ましい。
【0044】
上記の構成によれば、AISに関する情報が表示部に表示されなくなった場合、すなわち海上無線受信部により海上無線通信信号を受信する必要が生じると考えられる場合には、海上無線受信部の電源がオンに切り替わる。したがって、通信装置の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。
【0045】
また、本発明の態様1に係る通信装置は、態様1または2において、前記AIS受信部および前記海上無線受信部とは別個に設けられる、DSC信号を受信するためのDSC受信部をさらに備え、前記電源制御部は、前記DSC信号の受信を契機として、前記電源をオンに切り替えることが好ましい。
【0046】
上記の構成によれば、DSC受信部がDSC信号を受信した場合、すなわち海上無線受信部により海上無線通信信号を受信する必要が生じると考えられる場合には、海上無線受信部の電源がオンに切り替わる。したがって、通信装置の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。
【0047】
また、本発明の態様4に係る通信装置は、態様1から3のいずれかにおいて、PTTスイッチをさらに備え、前記電源制御部は、前記PTTスイッチの操作を契機として、前記電源をオンに切り替えることが好ましい。
【0048】
上記の構成によれば、ユーザがPTTスイッチを操作した場合、すなわち外部と無線通信を行う場合には、海上無線受信部の電源がオンに切り替わる。したがって、通信装置の消費電力を、ユーザの利便性を損なうことなく低減できる。
【0049】
また、本発明の態様5に係る通信装置の制御方法は、通信装置が、AISに関する情報を受信すること、前記AISに関する情報を除く海上無線通信信号を受信すること、前記情報を表示部に表示すること、および、前記情報が前記表示部に表示されている間、前記海上無線通信信号を受信するための受信部に電力を供給する電源をオフにすること、を含む。
【0050】
上記の構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0051】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1 通信装置
11 海上無線受信部
11a 海上無線受信用電源(電源)
12 AIS受信部
13 DSC受信部
14 表示部
15a PTTスイッチ
16b 電源制御部
図1
図2
図3