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  • 特許-光学的情報読取装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】光学的情報読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
G06K7/10 376
G06K7/10 416
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020191685
(22)【出願日】2020-11-18
(65)【公開番号】P2022080551
(43)【公開日】2022-05-30
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 賢了
(72)【発明者】
【氏名】鴻巣 光司
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-46212(JP,A)
【文献】特開2008-310631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の保護プレートを介して読取対象を撮像する撮像部と、
前記第1の保護プレートに対して異なる角度にて配置される第2の保護プレートを介して前記撮像部の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部と、
前記撮像部により撮像された前記読取対象を読み取る読取部と、
前記第1の保護プレート及び前記第2の保護プレートが間に介在するように配置される一対のガイドと、
を備えることを特徴とする光学的情報読取装置。
【請求項2】
前記一対のガイドは、それぞれの読取対象側となる直線状の外縁を含める平面の法線方向と前記撮像部の光軸との角度が50°以下となるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の光学的情報読取装置。
【請求項3】
前記照明部は、照度分布を変更可能な面状の照明光源によって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項4】
前記照明部は、所定の情報を画面表示するディスプレイによって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学的情報読取装置。
【請求項5】
前記ディスプレイは、タッチパネル式のディスプレイとして構成されることを特徴とする請求項4に記載の光学的情報読取装置。
【請求項6】
前記一対のガイドは、前記第1の保護プレート及び前記第2の保護プレートが保持される筐体本体に対して着脱可能に形成されることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の光学的情報読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報コード等を光学的に読み取る光学的情報読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、情報コード等を光学的に読み取る光学的情報読取装置では、筐体内に収容された撮像部にて読取口を介して情報コード等を撮像する際、読取精度を高めるためにその情報コード等に対して読取口を介して照明部から照明光を照射する。このように筐体内に撮像部や照明部が収容される構成では、撮像部等を保護するために読取口に透明な防塵プレートが配置される。
【0003】
このように、撮像部と照明部とが同じ筐体内に収容される構成では、読取口に設けられる防塵プレートに照明光が映り込んでしまうという問題がある。このような照明光の映り込みを軽減するために防塵プレートに対して減反射コーティングを施すことがあるが、そのコーティング処理のために製造コストが上がってしまうという問題がある。また、機器の手入れ等で防塵プレートを拭くと傷がついたり、コーティングがはがれたりする可能性もある。
【0004】
このような照明光の映り込みを抑制する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される画像読取装置が知られている。この画像読取装置では、筐体の正面壁に形成された撮像窓を介して一対の照明装置から照明光が照射され、読取対象からの反射光が撮像窓を介して撮像部にて撮像されることで、その読取対象が読み取られる。この画像読取装置では、撮像部に対する防塵を目的として撮像窓が透過板によって閉塞されており、照明装置から出射した照明光のうち、透過板の入射面または出射面で反射して結像レンズの入射瞳を通って撮像素子に到達する迷光となりうる光線の光路中に、光線を遮光する光路変更部材として機能する遮光部材が設けられている。この遮光部材によって、撮像素子に到達する迷光、すなわち、照明光の映り込みを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-154037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1のように遮光部材を透過板と撮像部との間に設ける構成では、照明光の映り込みを抑制できても、撮像窓にかざした読取対象等によって透過板に傷等が形成されてしまうと、その傷等が読取対象等とともに撮像されたために読取処理が失敗してしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、照明光の映り込みを防止しつつ、読取精度の向上を図り得る構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の光学的情報読取装置(10)は、
第1の保護プレート(31)を介して読取対象を撮像する撮像部(13)と、
前記第1の保護プレートに対して異なる角度にて配置される第2の保護プレート(32)を介して前記撮像部の撮像視野に向けて照明光(Lr)を照射する照明部(14)と、
前記撮像部により撮像された前記読取対象を読み取る読取部(11)と、
前記第1の保護プレート及び前記第2の保護プレートが間に介在するように配置される一対のガイド(40a,40b)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、第1の保護プレートを介して読取対象を撮像する撮像部と、第1の保護プレートに対して異なる角度にて配置される第2の保護プレートを介して撮像部の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部と、撮像部により撮像された読取対象を読み取る読取部と、第1の保護プレート及び第2の保護プレートが間に介在するように配置される一対のガイドと、が設けられる。
【0010】
これにより、第2の保護プレートにて内部反射される照明光が撮像部にて撮像されることもないので、撮像部での照明光の映り込みを防止することができる。特に、第1の保護プレートと撮像部との配置に関して照明部が干渉しないため、第1の保護プレートに対して撮像部を近づけて配置しやすくなり、このような近接配置状態では第1の保護プレートの位置で撮像系のピントが合わないことから第1の保護プレートの傷等が撮像され難くなる。このため、照明光の映り込み防止だけでなく、第1の保護プレートの傷等に起因する読取処理の失敗が抑制されるので、読取精度を向上させることができる。また、単に第1の保護プレートに対して撮像部を近づけて配置しただけでは、太陽光などの外来光が第1の保護プレートを介して撮像部にて直接撮像されやすくなるために読取処理が失敗してしまう場合がある。このため、上述のように第1の保護プレート及び第2の保護プレートが間に介在するように一対のガイドが配置されることで、第1の保護プレートに直接外来光が入射し難くなるので、第1の保護プレートの近傍に配置した撮像部にて直接外来光が撮像されることを抑制することができる。
【0011】
請求項2の発明では、一対のガイドは、それぞれの読取対象側となる直線状の外縁を含める平面の法線方向と撮像部の光軸との角度が50°以下となるように形成される。これにより、一対のガイドの両外縁に合わせた読取対象が向く方向が上記法線方向となり、読取対象が読み取り不能に傾いて撮像され難くなるので、読取精度を向上させることができる。
【0012】
請求項3の発明では、照明部は、照度分布を変更可能な面状の照明光源によって構成される。これにより、読取対象に対する照度分布を任意に変更できるので、読取対象での照度ムラを容易に制御することができる。
【0013】
請求項4の発明では、照明部は、所定の情報を画面表示するディスプレイによって構成される。これにより、照明光を照射する照明手段としての機能と所定の情報を画面表示する表示手段としての機能とを照明部に兼備させることができ、さらに読取対象での照度ムラを容易に制御することができる。
【0014】
請求項5の発明のように、上記ディスプレイは、タッチパネル式のディスプレイとして構成されてもよい。
【0015】
請求項6の発明では、一対のガイドは、第1の保護プレート及び第2の保護プレートが保持される筐体本体に対して着脱可能に形成される。これにより、太陽光などの外来光の影響が少ない環境等では一対のガイドを筐体本体から取り外して小型軽量化できるだけでなく、上記法線方向の異なる一対のガイドに交換することもできるので、装置の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係る光学的情報読取装置を示す斜視図である。
図2図1の光学的情報読取装置の側面図である。
図3】光学的情報読取装置の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図4】読取対象を光学的情報読取装置にかざした状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、本発明の光学的情報読取装置を具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10は、バーコードやQRコード(登録商標)等の情報コードを読取対象として光学的に読み取る据え置き型の読取装置として構成されている。
【0018】
この光学的情報読取装置10は、図3に示すように、CPU等からなる制御部11、ROM,RAM、不揮発性メモリなどからなる記憶部12、受光センサ(例えば、C-MOSエリアセンサ、CCDエリアセンサ等)を備えたカメラとして構成される撮像部13、撮像部13の撮像視野に向けて照明光を照射する照明部14、各種操作キー(図示略)によって構成される操作部15、上位端末等の外部機器と有線通信或いは無線通信を行うための通信インタフェースとして構成される通信部16などを備えている。
【0019】
制御部11は、撮像部13によって撮像された情報コードの撮像画像を利用して行う読取処理により、情報コードに記録されたデータを所定の解読方法で解読する読取部として機能するように構成されている。このように構成される制御部11では、上記読取処理にて取得された読取結果等が、所定のタイミングにて通信部16を介して上位端末等に送信される。
【0020】
照明部14は、制御部11により表示内容が制御されることで所定の情報が画面表示される液晶ディスプレイによって構成されており、情報コードの撮像に利用される照明光Lfの明るさを容易に制御可能な面光源として機能する。
【0021】
図1及び図2に示すように、光学的情報読取装置10の外郭を構成する筐体20は、制御部11等が収容される筐体本体21と、この筐体本体21に対して着脱可能に構成される一対の側壁部40a,40b及び奥壁部50とを備えている。なお、図2及び後述する図4では、説明の便宜上、側壁部40bの図示を省略している。
【0022】
筐体本体21は、読取口22aを介して外部を撮像可能に撮像部13が保持される第1保持部22と、照明部14を構成する液晶ディスプレイが保持される第2保持部23とを備えるように構成されている。
【0023】
図2に示すように、第1保持部22は、撮像部13が読取口22aの近傍に位置し、撮像部13の光軸Lが設置面Sに対して傾くように形成されている。また、第1保持部22は、その読取口22aの周辺が透明な防塵プレート31によって保護されており、撮像部13は所定の近接配置状態(ピントが合わない程度に近づけて配置した状態)の防塵プレート31を介して情報コード等の読取対象を撮像する。
【0024】
第2保持部23は、設置面Sに対して、液晶ディスプレイの表示画面がほぼ平行、すなわち、液晶ディスプレイを面光源として利用した照明光Lfの照射方向がほぼ垂直となるように形成されている。また、第2保持部23は、液晶ディスプレイの表示画面が透明な防塵プレート32によって保護されており、照明部14は防塵プレート32を介して撮像部13の撮像視野に向けて照明光Lfを照射する。
【0025】
図2に示すように、防塵プレート31と防塵プレート32とは、異なる角度(例えば、135°)にて配置されており、防塵プレート32を介した照明光Lfが防塵プレート31に直接照射されないようになっている。なお、防塵プレート31は、「第1の保護プレート」の一例に相当し、防塵プレート32は、「第2の保護プレート」の一例に相当し得る。
【0026】
一対の側壁部40a,40bは、読取口22aにかざされる情報コード等を撮像部13に対する所定の位置に案内するガイドとしての機能と防塵プレート31への外来光の直接入射を防止する機能とを兼備するもので、防塵プレート31,32が間に介在するように、筐体本体21に着脱可能に組み付けられる。
【0027】
一対の側壁部40a,40bは、図2に示すように、それぞれの読取対象側となる直線状の外縁41a,41bを含める平面の法線方向Fと撮像部13の光軸Lとの角度θが、50°以下となるように形成されている。具体的には、本実施形態では、一対の側壁部40a,40bは、上記法線方向Fと撮像部13の光軸Lとの角度θが30°となるように形成されている。これにより、外縁41a,41bにそれぞれ接触させた状態で読取対象の面を撮像部13にて撮像した際に、その撮像画像での読取対象の面の歪み(傾き)を読み取り容易に小さくすることができる。なお、一対の側壁部40a,40bは、「一対のガイド」の一例に相当し得る。
【0028】
奥壁部50は、略平板状であって第1保持部22の奥側に着脱可能に組み付けられるように形成されている。この奥壁部50は、設置面Sに対して立設するように第1保持部22の奥側に組み付けられることで、筐体20の奥側からの外来光が防塵プレート31に直接入射することを防止するように機能する。
【0029】
このように構成される光学的情報読取装置10では、読取対象の一例となる表示媒体Rの表示面Raに表示された情報コードを読み取る場合には、図4に示すように、情報コードが読取口22aに対向するように、表示媒体Rの表示面Raを一対の側壁部40a,40bのそれぞれの外縁41a,41bに接触又は近接させる。
【0030】
これにより、表示媒体Rの表示面Ra及び一対の側壁部40a,40b等により囲まれた空間内にて照明部14からの照明光Lfが防塵プレート32を介して情報コードに照射される。この情報コードからの反射光が防塵プレート31及び読取口22aを介して撮像部13にて撮像されることで、制御部11にてなされる読取処理において撮像画像から情報コードに記録されたデータが読み取られる。
【0031】
以上説明したように、本実施形態に係る光学的情報読取装置10では、防塵プレート31を介して読取対象を撮像する撮像部13と、防塵プレート31に対して異なる角度にて配置される防塵プレート32を介して撮像部13の撮像視野に向けて照明光Lfを照射する照明部14と、防塵プレート31,32が間に介在するように配置される一対の側壁部40a,40bと、が設けられる。
【0032】
これにより、防塵プレート32にて内部反射される照明光が撮像部13にて撮像されることもないので、撮像部13での照明光の映り込みを防止することができる。特に、防塵プレート31と撮像部13との配置に関して照明部14が干渉しないため、防塵プレート31に対して撮像部13を近づけて配置しやすくなり、このような近接配置状態では防塵プレート31の位置で撮像系のピントが合わないことから防塵プレート31の傷等が撮像され難くなる。このため、照明光の映り込み防止だけでなく、防塵プレート31の傷等に起因する読取処理の失敗が抑制されるので、読取精度を向上させることができる。また、単に防塵プレート31に対して撮像部13を近づけて配置しただけでは、太陽光などの外来光が防塵プレート31を介して撮像部13にて直接撮像されやすくなるために読取処理が失敗してしまう場合がある。このため、上述のように防塵プレート31,32が間に介在するように一対の側壁部40a,40bが配置されるとともに、奥壁部50が配置されることで、防塵プレート31に直接外来光が入射し難くなるので、防塵プレート31の近傍に配置した撮像部13にて直接外来光が撮像されることを抑制することができる。
【0033】
特に、一対の側壁部40a,40bは、それぞれの読取対象側となる直線状の外縁41a,41bを含める平面の法線方向Fと撮像部13の光軸Lとの角度θが50°以下となるように形成される。これにより、一対の側壁部40a,40bの両外縁41a,41bに合わせた読取対象が向く方向が上記法線方向Fとなり、読取対象が読み取り不能に傾いて撮像され難くなるので、読取精度を向上させることができる。
【0034】
また、照明部14は、所定の情報を画面表示する液晶ディスプレイによって構成されるため、照明光Lfを照射する照明手段としての機能と所定の情報を画面表示する表示手段としての機能とを照明部14に兼備させることができ、さらに読取対象での照度ムラを容易に制御することができる。
【0035】
そして、一対の側壁部40a,40b及び奥壁部50は、防塵プレート31,32が保持される筐体本体21に対して着脱可能に形成される。これにより、太陽光などの外来光の影響が少ない環境等では一対の側壁部40a,40b及び奥壁部50を筐体本体21から取り外して小型軽量化することができる。また、上記法線方向Fの異なる一対の側壁部に交換することもできるので、装置の利便性を向上させることができる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)照明部14は、液晶ディスプレイによって面光源として機能するように構成されることに限らず、他の照明手段によって面光源として機能するように構成されてもよい。例えば、照明部14が照度分布を変更可能な面状の照明光源として構成されることで、読取対象に対する照度分布を任意に変更できるので、読取対象での照度ムラを容易に制御することができる。また、照明部14は、1又は2以上の点光源を有するように構成されてもよい。また、照明部14は、タッチパネル式のディスプレイとして構成されてもよく、このような構成では、操作部としての機能をさらに兼備させることができる。
【0037】
(2)本発明は、情報コードを光学的に読み取る光学的情報読取装置10に適用されることに限らず、文字情報等をも含めた光学的情報を撮像することでその光学的情報を光学的に読み取る光学的情報読取装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0038】
10…光学的情報読取装置
11…制御部(読取部)
13…撮像部
14…照明部
20…筐体
21…筐体本体
22…第1保持部
22a…読取口
23…第2保持部
31…防塵プレート(第1の保護プレート)
32…防塵プレート(第2の保護プレート)
40a,40b…側壁部(ガイド)
41a,41b…外縁
L…光軸
Lr…照明光
図1
図2
図3
図4