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特許7518386制御装置、無線通信機器、無線システム、および電源制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】制御装置、無線通信機器、無線システム、および電源制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3234 20190101AFI20240710BHJP
   G06F 1/3209 20190101ALI20240710BHJP
   G06F 1/3206 20190101ALI20240710BHJP
   H04L 13/00 20060101ALI20240710BHJP
   H04W 52/02 20090101ALI20240710BHJP
   H04W 76/00 20180101ALI20240710BHJP
【FI】
G06F1/3234
G06F1/3209
G06F1/3206
H04L13/00
H04W52/02 111
H04W76/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021009807
(22)【出願日】2021-01-25
(65)【公開番号】P2022113512
(43)【公開日】2022-08-04
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(72)【発明者】
【氏名】徳山 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】西口 育宏
(72)【発明者】
【氏名】藪本 浩介
【審査官】漆原 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113646(JP,A)
【文献】特開2013-207308(JP,A)
【文献】特開2017-208036(JP,A)
【文献】特開2012-034179(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0002429(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/3234
G06F 1/3209
G06F 1/3206
H04L 13/00
H04W 52/02
H04W 76/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される無線通信機器の電源を制御する制御装置であって、
電源操作または前記制御装置に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードと、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部と、
前記電源操作または前記電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器に機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドまたは前記スリープモードからの起動を指示する起動コマンドの生成、ならびに、前記電源操作の検知が可能な範囲で電力供給を制限する制御側スリープモードと制御側起動モードとの切り替えを行う制御側電源制御部と、
前記制御側アクセスポイントモードでは前記無線通信機器からの接続要求を受け付けることで、前記制御側ステーションモードでは前記無線通信機器に接続要求を送信することで、前記無線通信機器との接続を確立し、接続が確立した前記無線通信機器に対して、前記制御側電源制御部で生成された前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドを送信する制御側通信部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記電源操作によって前記制御装置の電源オフが指示された場合、
前記制御側電源制御部は前記スリープコマンドを生成し、
前記制御側通信部は、前記電源制御部で生成された前記スリープコマンドを前記無線通信機器に送信し、
前記制御側電源制御部は、前記制御側通信部が前記スリープコマンドを送信した後に、前記制御側スリープモードに切り替える、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記電源操作によって前記制御装置の電源オンが指示された場合、または、前記電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、
前記制御側電源制御部は、前記制御側起動モードに切り替えて、前記起動コマンドを生成し、
前記制御側動作切替部は、前記制御側ステーションモードに切り替え、
前記制御側通信部は、前記動作切替部が前記制御側ステーションモードに切り替えた後に、前記無線通信機器への接続を要求し、前記無線通信機器との接続が確立すると前記起動コマンドを前記無線通信機器に送信し、
前記制御側動作切替部は、前記制御側通信部が前記起動コマンドを送信した後に、前記制御側アクセスポイントモードに切り替える、
請求項1または2に記載の制御装置。
【請求項4】
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される制御装置によって電源が制御される無線通信機器であって、
前記無線通信機器に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、前記制御装置から送信される、機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドまたは前記スリープモードからの起動を指示する起動コマンドに応じて、前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードと、前記制御装置に接続要求を送信する機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部と、
前記機器側アクセスポイントモードでは前記制御装置からの接続要求を受け付けることで、前記機器側ステーションモードでは前記制御装置に接続要求を送信することで、前記制御装置との接続を確立し、接続が確立した前記制御装置から前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドを受信する機器側通信部と、
前記電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドに応じて、前記制御装置からの接続要求の受け付けが可能な範囲で電力供給を制限する前記機器側スリープモードと機器側起動モードとの切り替えを行う機器側電源制御部と、
を備える無線通信機器。
【請求項5】
前記機器側動作切替部は、前記機器側通信部が前記制御装置から前記スリープコマンドを受信すると、前記機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記機器側電源制御部は、前記機器側動作切替部が前記機器側アクセスポイントモードに切り替えた後に、前記機器側スリープモードに切り替える、
請求項4に記載の無線通信機器。
【請求項6】
前記機器側電源制御部は、前記機器側通信部が前記制御装置から前記起動コマンドを受信すると、前記機器側起動モードに切り替え、
前記機器側動作切替部は、前記機器側電源制御部が前記機器側起動モードに切り替えると、前記機器側ステーションモードに切り替える、
請求項4または5に記載の無線通信機器。
【請求項7】
前記電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、
前記機器側電源制御部は、前記機器側起動モードに切り替え、
前記機器側動作切替部は、前記機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記機器側電源制御部は、前記機器側動作切替部が前記機器側アクセスポイントモードに切り替えた後に、前記機器側スリープモードに切り替える、
請求項4から6のいずれか1項に記載の無線通信機器。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の制御装置と、
少なくとも1つの請求項4から7のいずれか1項に記載の無線通信機器と、
を備える無線システム。
【請求項9】
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される無線通信機器と制御装置とを備える無線システムが行う前記無線通信機器の電源を制御する電源制御方法であって、
前記制御装置の電源操作または前記制御装置に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードで動作する前記制御装置から前記無線通信機器に対して、機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドを送信し、
前記制御装置に接続要求を送信する機器側ステーションモードで動作する前記無線通信機器が前記スリープコマンドを受信した場合は、前記無線通信機器を前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードに切り替えて、前記無線通信機器を前記機器側スリープモードに切り替え、
前記制御装置の電源操作または前記電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードで動作する前記制御装置から前記無線通信機器に対して、前記機器側スリープモードからの起動を指示する起動コマンドを送信し、
前記機器側アクセスポイントモードで動作する前記無線通信機器が前記起動コマンドを受信した場合は、前記無線通信機器を前記機器側ステーションモードに切り替えて、前記無線通信機器を機器側起動モードに切り替える、
電源制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、無線通信機器、無線システム、および電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムは、ネットワークを介して接続されている複数の通信端末を備える。複数の通信端末の消費電力の低減、保守作業等のため、各通信端末の電源を遠隔で制御することが行われている。例えば、有線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)に接続されている各通信端末に対して、WoL(Wake on LAN)と呼ばれる機能を用いて起動指令を送ることで、各通信端末をスリープモードから起動することが可能となる。無線LANに接続されている各通信端末についても同様に、WoWLAN(Wake on Wireless LAN)と呼ばれる機能を用いて起動指令を送ることで、各通信端末をスリープモードから起動させることが可能となる。この種の無線システムの一例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される無線システムにおいて、コンピュータ装置のシステム本体に主電源が投入されていない状態で、コンピュータ装置の受信手段がネットワーク上のアクセスポイントから電源投入を指示するマジックパケットを含むフレームを受信すると、システム本体の主電源が投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-18377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示される無線システムが備えるコンピュータ装置において、システム本体に主電源が投入されていない状態においても、マジックパケットを含むフレームを受信するために受信手段には電力が供給されている。無線システムが備えるアクセスポイントには常時電力が供給されている。このため、コンピュータ装置からアクセスポイントへの接続要求の送信後、コンピュータ装置とアクセスポイントの間に確立された接続が維持される。
【0006】
コンピュータ装置およびアクセスポイントへの電力の供給が遮断されると、コンピュータ装置およびアクセスポイントは停止し、コンピュータ装置とアクセスポイントの間の接続が切れてしまう。この後、コンピュータ装置およびアクセスポイントへの電力の供給が再開されても、コンピュータ装置およびアクセスポイントの間に接続が確立されていないため、アクセスポイントからコンピュータ装置に対してマジックパケットを含むフレームを送信することができない。このため、コンピュータ装置のシステム本体の主電源を遠隔で投入することができない。この課題は、アクセスポイントに接続するコンピュータ装置に限られず、無線LANを介して接続される制御装置によって電源が制御される種々の無線通信機器において起こり得る。
【0007】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたものであり、無線通信機器との接続が切れた場合に、無線通信機器との接続を再度確立して無線通信機器に対する遠隔での電源制御を可能にする制御装置、無線通信機器、無線システム、および電源制御方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る制御装置は、
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される無線通信機器の電源を制御する制御装置であって、
電源操作または前記制御装置に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードと、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部と、
前記電源操作または前記電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器に機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドまたは前記スリープモードからの起動を指示する起動コマンドの生成、ならびに、前記電源操作の検知が可能な範囲で電力供給を制限する制御側スリープモードと制御側起動モードとの切り替えを行う制御側電源制御部と、
前記制御側アクセスポイントモードでは前記無線通信機器からの接続要求を受け付けることで、前記制御側ステーションモードでは前記無線通信機器に接続要求を送信することで、前記無線通信機器との接続を確立し、接続が確立した前記無線通信機器に対して、前記制御側電源制御部で生成された前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドを送信する制御側通信部と、
を備える。
【0009】
好ましくは、前記電源操作によって前記制御装置の電源オフが指示された場合、
前記制御側電源制御部は前記スリープコマンドを生成し、
前記制御側通信部は、前記電源制御部で生成された前記スリープコマンドを前記無線通信機器に送信し、
前記制御側電源制御部は、前記制御側通信部が前記スリープコマンドを送信した後に、前記制御側スリープモードに切り替える。
【0010】
好ましくは、前記電源操作によって前記制御装置の電源オンが指示された場合、または、前記電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、
前記制御側電源制御部は、前記制御側起動モードに切り替えて、前記起動コマンドを生成し、
前記制御側動作切替部は、前記制御側ステーションモードに切り替え、
前記制御側通信部は、前記動作切替部が前記制御側ステーションモードに切り替えた後に、前記無線通信機器への接続を要求し、前記無線通信機器との接続が確立すると前記起動コマンドを前記無線通信機器に送信し、
前記制御側動作切替部は、前記制御側通信部が前記起動コマンドを送信した後に、前記制御側アクセスポイントモードに切り替える。
【0011】
本発明の第2の観点に係る無線通信機器は、
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される制御装置によって電源が制御される無線通信機器であって、
前記無線通信機器に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、前記制御装置から送信される、機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドまたは前記スリープモードからの起動を指示する起動コマンドに応じて、前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードと、前記制御装置に接続要求を送信する機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部と、
前記機器側アクセスポイントモードでは前記制御装置からの接続要求を受け付けることで、前記機器側ステーションモードでは前記制御装置に接続要求を送信することで、前記制御装置との接続を確立し、接続が確立した前記制御装置から前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドを受信する機器側通信部と、
前記電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、前記スリープコマンドまたは前記起動コマンドに応じて、前記制御装置からの接続要求の受け付けが可能な範囲で電力供給を制限する前記機器側スリープモードと機器側起動モードとの切り替えを行う機器側電源制御部と、
を備える。
【0012】
好ましくは、前記機器側動作切替部は、前記機器側通信部が前記制御装置から前記スリープコマンドを受信すると、前記機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記機器側電源制御部は、前記機器側動作切替部が前記機器側アクセスポイントモードに切り替えた後に、前記機器側スリープモードに切り替える。
【0013】
好ましくは、前記機器側電源制御部は、前記機器側通信部が前記制御装置から前記起動コマンドを受信すると、前記機器側起動モードに切り替え、
前記機器側動作切替部は、前記機器側電源制御部が前記機器側起動モードに切り替えると、前記機器側ステーションモードに切り替える。
【0014】
好ましくは、前記電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、
前記機器側電源制御部は、前記機器側起動モードに切り替え、
前記機器側動作切替部は、前記機器側アクセスポイントモードに切り替え、
前記機器側電源制御部は、前記機器側動作切替部が前記機器側アクセスポイントモードに切り替えた後に、前記機器側スリープモードに切り替える。
【0015】
本発明の第3の観点に係る無線システムは、
上記制御装置と、
少なくとも1つの上記無線通信機器と、
を備える。
【0016】
本発明の第4の観点に係る電源制御方法は、
無線ローカルエリアネットワークを介して接続される無線通信機器と制御装置とを備える無線システムが行う前記無線通信機器の電源を制御する電源制御方法であって、
前記制御装置の電源操作または前記制御装置に電力を供給する電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器からの接続要求を受け付ける制御側アクセスポイントモードで動作する前記制御装置から前記無線通信機器に対して、機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドを送信し、
前記制御装置に接続要求を送信する機器側ステーションモードで動作する前記無線通信機器が前記スリープコマンドを受信した場合は、前記無線通信機器を前記制御装置からの接続要求を受け付ける機器側アクセスポイントモードに切り替え、前記無線通信機器を前記機器側スリープモードに切り替え、
前記制御装置の電源操作または前記電力供給源からの電力の供給状態に応じて、前記無線通信機器に接続要求を送信する制御側ステーションモードで動作する前記制御装置から前記無線通信機器に対して、前記機器側スリープモードからの起動を指示する起動コマンドを送信し、
前記機器側アクセスポイントモードで動作する前記無線通信機器が前記起動コマンドを受信した場合は、前記無線通信機器を前記機器側ステーションモードに切り替えて、前記無線通信機器を機器側起動モードに切り替える。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る制御装置は、制御側アクセスポイントモードでは無線通信機器からの接続要求を受け付けることで、制御側ステーションモードでは無線通信機器に接続要求を送信することで、無線通信装置との接続を確立する。制御装置は、接続が確立した無線通信機器に対して、スリープコマンドまたは起動コマンドを送信することで、無線通信機器の電源を制御する。無線通信機器との接続が切れた場合でも、無線通信機器との接続を確立して無線通信機器に対する遠隔での電源制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施の形態に係る無線システムの構成を示すブロック図
図2】実施の形態に係る制御装置の構成を示すブロック図
図3】実施の形態に係る制御装置のハードウェア構成を示すブロック図
図4】実施の形態に係る無線通信機器の構成を示すブロック図
図5】実施の形態に係る無線通信機器のハードウェア構成を示すブロック図
図6】実施の形態に係る無線システムが行う電源制御の動作の一例を示すシーケンス図
図7】実施の形態に係る無線システムが行う電源制御の動作の一例を示すシーケンス図
図8】実施の形態に係る無線システムが行う電源制御の動作の一例を示すシーケンス図
図9】実施の形態に係る無線システムの変形例の構成を示すブロック図
図10】実施の形態に係る無線システムが行う電源制御の動作の一例を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る制御装置、無線通信機器、無線システム、および電源制御方法について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0020】
図1に示す無線システム1は、制御装置10と、無線通信機器20と、を備える。制御装置10と無線通信機器20は、無線LAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)30を介して接続される。具体的には、制御装置10に対して、無線通信機器20が接続要求を送信することで、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されている。実施の形態では、無線システム1が船舶に搭載され、制御装置10がVHF(Very High Frequency:超短波)無線局である場合を例にして無線システム1について説明する。
【0021】
制御装置10は操舵室に設けられ、無線通信機器20は制御装置10から離隔した位置、例えば船尾に設けられる。制御装置10には、入出力機器、例えばスピーカ41およびマイクロホン42が接続される。マイクロホン42には、送話時に押下されるPTT(Push To Talk)スイッチ、制御装置10を遠隔制御するためのスイッチ等の操作部が設けられている。無線通信機器20には、外部機器、例えばGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)アンテナ43、および、入出力機器、例えばホーンスピーカー44が接続される。
【0022】
例えば、制御装置10は、他の船舶に搭載されているVHF無線局から受信したVHF信号からデータを抽出し、抽出したデータをスピーカ41および無線通信機器20に送信する。スピーカ41は、制御装置10から取得したデータに含まれる音声を出力する。無線通信機器20は、制御装置10から取得したデータをホーンスピーカー44に送信する。ホーンスピーカー44は、無線通信機器20から取得したデータに含まれる音声を出力する。
【0023】
また例えば、制御装置10は、マイクロホン42から取得した音声データに基づくVHF信号を生成し、他の船舶に搭載されているVHF無線局に送信する。制御装置10は、無線通信機器20から、データ、例えば無線通信機器20がGPSアンテナ43から取得した位置情報を取得し、表示画面に船舶の位置を表示する。
【0024】
制御装置10は、上述した音声およびデータの送受信に加えて、自装置の電源操作または電力供給源からの電力の供給状態に応じて、無線通信機器20の電源制御を行う。具体的には、制御装置10は、電源操作または電力供給源からの電力の供給状態に応じて、機器側スリープモードへの切り替えを指示するスリープコマンドまたは機器側スリープモードからの起動を指示する起動コマンドを生成し、生成したスリープコマンドまたは起動コマンドを無線通信機器20に送信することで、無線通信機器20の電源制御を行う。
【0025】
制御装置10の各部の詳細について説明する。図2に示すように、制御装置10は、制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードとを切り替える制御側動作切替部11と、無線通信機器20との通信を行う制御側通信部12と、スリープコマンドまたは起動コマンドの生成および制御側スリープモードと制御側起動モードとの切り替えを行う制御側電源制御部13と、を備える。VHF信号の送受信を行うために、制御装置10は、VHF信号の送受信を行うVHFアンテナ14と、送信用のデータからVHF信号を生成し、または、VHF信号からデータを抽出するVHF通信部15と、を備える。さらに制御装置10は、VHF通信部15が抽出したデータの出力または送信用のデータの入力受け付けを行う入出力部16と、を備える。
【0026】
制御側動作切替部11は、制御装置10の電源操作または電力供給源からの電力の供給状態に応じて、制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードとを切り替える。制御装置10の電源操作は、ユーザによる操作、例えば制御装置10の本体に設けられた電源スイッチの操作だけでなく、制御装置10に予め定められている自動的な電源操作、例えば制御装置10が一定時間操作されなかった場合の自動的な電源オフを含む。電力供給源は、例えば、船舶に搭載されている電源システムである。制御側アクセスポイントモードは、制御装置10が無線通信機器20からの接続要求を受け付けるモードである。制御側ステーションモードは、制御装置10が無線通信機器20に接続要求を送信するモードである。
【0027】
詳細には、電源操作によって制御装置10の電源オンが指示された場合、制御側動作切替部11は、制御側ステーションモードに切り替える。この場合、直前のモードが制御側ステーションモードであれば、制御側ステーションモードへの切り替えは、制御側ステーションモードの維持を意味する。制御側ステーションモードで起動コマンドが無線通信機器20に送信された後に、制御側動作切替部11は、制御側ステーションモードから制御側アクセスポイントモードに切り替える。
【0028】
制御側通信部12は、制御側アクセスポイントモードで動作する場合には、無線通信機器20からの接続要求を受け付ける。具体的には、制御側通信部12は、無線通信機器20からの接続要求であるプローブリクエストを受信すると、接続応答であるプローブレスポンスを送信する。プローブレスポンスは、制御装置10と無線通信機器20との間の接続を確立するための情報、例えば、SSID(Service Set ID)を含む。制御装置10および無線通信機器20は、予め互いのMAC(Media Access Control)アドレスについての情報を保持している。
【0029】
その後、制御側通信部12は、無線通信機器20から認証要求を受信すると、認証応答を送信する。具体的には、制御側通信部12は、無線通信機器20と、4ウェイハンドシェイクの認証手続きを行う。認証手続きが完了した後、制御側通信部12は、無線通信機器20からのIP(Internet Protocol)アドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を送信する。これにより、IPアドレスが無線通信機器20に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0030】
制御側通信部12は、制御側ステーションモードで動作する場合には、無線通信機器20に接続要求を送信する。具体的には、制御側通信部12は、接続要求であるプローブリクエストを無線通信機器20に送信する。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20から、接続応答であるプローブレスポンスを受信すると、認証手続きを開始する。具体的には、制御側通信部12は、無線通信機器20に認証要求を送信する。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20から認証応答を受信すると、IPアドレス要求を送信する。制御側通信部12が無線通信機器20からIPアドレス応答を受信すると、IPアドレスが制御装置10に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0031】
上述のように制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されると、制御装置10と無線通信機器20との間で、スリープコマンド、起動コマンド、音声データ、例えば位置情報である音声を含まないデータ等の送受信が可能となる。例えば、制御側通信部12は、スリープコマンド、起動コマンド、音声データ、音声を含まないデータ等をデータフィールドに含み、無線LAN30の規格に準拠したLANフレームを生成して、LANフレームを無線通信機器20に送信する。
【0032】
スリープコマンドは、対象の機器、すなわち、無線通信機器20のMACアドレスを含み、無線通信機器20の機器側スリープモードへの切り替えを指示する。起動コマンドは、例えば、WoL(Wake on LAN)で用いられるマジックパケットと同様に、対象の機器、すなわち、無線通信機器20のMACアドレスを16回繰り返したデータパターンを含む。起動コマンドは、無線通信機器20の機器側起動モードへの切り替えを指示する。
【0033】
また例えば、制御側通信部12は、無線通信機器20から送信されたLANフレームを受信する。制御側通信部12は、無線通信機器20からLANフレームを取得すると、データフィールドに含まれている音声データ、音声を含まないデータ等を抽出する。そして、制御側通信部12は、抽出したデータの内、VHF通信に用いられるデータ、例えば、音声データをVHF通信部15に送信する。
【0034】
制御側電源制御部13は、電源操作または電力供給源からの電力の供給状態に応じて、スリープコマンドまたは起動コマンドの生成、ならびに、制御側スリープモードと制御側起動モードとの切り替えを行う。制御側スリープモードは、電源操作の検知が可能な範囲で制御装置10の各部への電力供給を制限するモードである。制御側起動モードは、制御装置10の各部に電力が供給されるモードである。制御側電源制御部13は、電源操作によって制御装置10の電源オフが指示された場合、スリープコマンドを生成し、生成したスリープコマンドを制御側通信部12に送信する。制御側通信部12がスリープコマンドを無線通信機器20に送信した後に、制御側電源制御部13は、制御側スリープモードに切り替える。
【0035】
制御側電源制御部13は、電源操作によって制御装置10の電源オンが指示された場合、起動コマンドを生成し、生成した起動コマンドを制御側通信部12に送信する。そして、制御側電源制御部13は、制御側起動モードに切り替える。
【0036】
VHF通信部15は、VHFアンテナ14で受信したVHF信号について、周波数変換、増幅、フィルタリング、復調等の信号処理を行って、VHF信号からデータを抽出する。VHF通信部15は、抽出したデータを制御側通信部12および入出力部16に送る。VHF通信部15は、制御側通信部12または入出力部16から取得した送信用のデータについて、変調、フィルタリング、増幅、周波数変換等の信号処理を行って、VHF信号を生成し、VHFアンテナ14を介してVHF信号を送信する。
【0037】
入出力部16は、VHF通信部15から取得したデータをスピーカ41に送信する。スピーカ41は、入出力部16から取得したデータに含まれる音声を再生する。入出力部16は、マイクロホン42から取得したデータをVHF通信部15に送信する。
【0038】
図2に示す上述の制御装置10を実現するためのハードウェア構成の一例について図3を用いて説明する。制御装置10のハードウェア構成は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)61と、メモリ62と、電源制御回路63と、LAN通信IF(Interface)64と、VHF通信IF65と、入出力IF66と、を含む。CPU61、メモリ62、電源制御回路63、LAN通信IF64、VHF通信IF65、および入出力IF66は、互いにバス60で接続されている。
【0039】
制御装置10の各部の機能は、CPU61がメモリ62に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。電源制御回路63は、制御側電源制御部13の機能を実現するための回路であり、電力供給源から電力の供給を受けて、制御装置10の各部への電力供給を制御する。LAN通信IF64は、無線LAN30に接続し、無線通信機器20との通信を可能とするためのインターフェースである。VHF通信IF65は、他のVHF無線局との通信を可能とするためのインターフェースである。入出力IF66を介して、制御装置10は、スピーカ41およびマイクロホン42に接続される。
【0040】
図3の例では、制御装置10は、CPU61およびメモリ62を1つずつ有しているが、複数のCPU61および複数のメモリ62を有してもよい。この場合、複数のCPU61および複数のメモリ62が連携することで、制御装置10の各部の機能が実現されればよい。消費電力を低減するために、電源制御回路63は、複数のCPU61の一部にのみ電力を供給し、複数のメモリ62の一部にのみ電力を供給してもよい。
【0041】
上述の制御装置10に無線LAN30を介して接続される無線通信機器20の各部の詳細について以下に説明する。図4に示すように、無線通信機器20は、機器側アクセスポイントモードと機器側ステーションモードとを切り替える機器側動作切替部21と、制御装置10との通信を行う機器側通信部22と、機器側スリープモードと機器側起動モードとの切り替えを行う機器側電源制御部23と、を備える。さらに無線通信機器20は、機器側通信部22が取得したデータの出力、送信用のデータの入力の受け付け、位置情報の取得等を行う入出力部24と、を備える。
【0042】
機器側動作切替部21は、電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、制御装置10から送信されるスリープコマンドまたは起動コマンドに応じて、機器側アクセスポイントモードと機器側ステーションモードとを切り替える。電力供給源は、例えば、船舶に搭載されている電源システムであって、制御装置10の電力供給源と共通である。機器側アクセスポイントモードは、無線通信機器20が制御装置10からの接続要求を受け付けるモードである。機器側ステーションモードは、無線通信機器20が制御装置10に接続要求を送信するモードである。
【0043】
詳細には、機器側動作切替部21は、制御装置10からスリープコマンドが送信された場合、または、電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、機器側アクセスポイントモードに切り替える。この場合、直前のモードが機器側アクセスポイントモードであれば、機器側アクセスポイントモードへの切り替えは、機器側アクセスポイントモードの維持を意味する。機器側動作切替部21は、制御装置10から起動コマンドが送信された場合、機器側アクセスポイントモードから機器側ステーションモードに切り替える。
【0044】
機器側通信部22は、機器側アクセスポイントモードで動作する場合には、制御装置10からの接続要求を受け付ける。具体的には、機器側通信部22は、制御装置10が有する制御側通信部12からの接続要求であるプローブリクエストを受信すると、接続応答であるプローブレスポンスを送信する。その後、機器側通信部22は、制御側通信部12から認証要求を受信すると、認証応答を送信する。具体的には、機器側通信部22は、制御側通信部12と4ウェイハンドシェイクの認証手続きを行う。認証手続きが完了した後、機器側通信部22は、制御側通信部12からIPアドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を制御側通信部12に送信する。これにより、IPアドレスが制御装置10に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0045】
機器側通信部22は、機器側ステーションモードで動作する場合には、制御装置10が有する制御側通信部12に接続要求を送信する。具体的には、機器側通信部22は、接続要求であるプローブリクエストを制御側通信部12に送信する。その後、機器側通信部22は、制御側通信部12から、接続応答であるプローブレスポンスを受信すると、認証手続きを開始する。具体的には、機器側通信部22は、制御側通信部12に認証要求を送信する。その後、機器側通信部22は、制御側通信部12から認証応答を受信すると、IPアドレス要求を送信する。機器側通信部22が制御側通信部12からIPアドレス応答を受信すると、IPアドレスが無線通信機器20に割り当てられて、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0046】
上述のように制御装置10と無線通信機器20との間の接続が確立されると、制御装置10と無線通信機器20との間で、スリープコマンド、起動コマンド、音声データ、例えば位置情報である音声を含まないデータ等の送受信が可能となる。例えば、機器側通信部22は、音声データ、音声を含まないデータ等をデータフィールドに含み、無線LAN30の規格に準拠したLANフレームを生成して、LANフレームを制御装置10に送信する。
【0047】
また例えば、機器側通信部22は、制御装置10から送信されたLANフレームを受信する。機器側通信部22は、制御装置10からLANフレームを取得すると、データフィールドに含まれているスリープコマンド、起動コマンド、音声データ、音声を含まないデータ等を抽出する。そして、機器側通信部22は、抽出したスリープコマンドまたは起動コマンドを機器側動作切替部21および機器側電源制御部23に送信する。機器側通信部22は、抽出した音声データおよび音声を含まないデータを入出力部24に送信する。
【0048】
機器側電源制御部23は、電力供給源からの電力の供給状態、あるいは、制御装置10から送信されたスリープコマンドまたは起動コマンドに応じて、機器側スリープモードと機器側起動モードとの切り替えを行う。機器側スリープモードは、制御装置10からの接続要求を受け付け可能な範囲で無線通信機器20の各部への電力供給を制限するモードである。機器側起動モードは、無線通信機器20の各部に電力が供給されるモードである。機器側電源制御部23は、機器側通信部22からスリープコマンドを受信した場合、または、電力供給源から電力が供給されない状態から電力供給が開始された場合、機器側スリープモードに切り替える。
【0049】
機器側電源制御部23は、機器側通信部22から起動コマンドを受信した場合、機器側起動モードに切り替える。
【0050】
入出力部24は、GPSアンテナ43から取得した位置情報を機器側通信部22に送信する。入出力部24は、機器側通信部22から取得したデータをホーンスピーカー44に送信する。ホーンスピーカー44は、入出力部24から取得したデータに含まれる音声を再生する。
【0051】
図4に示す上述の無線通信機器20を実現するためのハードウェア構成の一例について図5を用いて説明する。無線通信機器20のハードウェア構成は、CPU71と、メモリ72と、電源制御回路73と、LAN通信IF74と、入出力IF75と、を含む。CPU71、メモリ72、電源制御回路73、LAN通信IF74、および入出力IF75は、互いにバス70で接続されている。
【0052】
無線通信機器20の各部の機能は、CPU71がメモリ72に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。電源制御回路73は、機器側電源制御部23の機能を実現するための回路であり、電力供給源から電力の供給を受けて、無線通信機器20の各部への電力供給を制御する。LAN通信IF74は、無線LAN30に接続し、制御装置10との通信を可能とするためのインターフェースである。入出力IF75を介して、無線通信機器20は、GPSアンテナ43およびホーンスピーカー44に接続される。
【0053】
図5の例では、無線通信機器20は、CPU71およびメモリ72を1つずつ有しているが、複数のCPU71および複数のメモリ72を有してもよい。この場合、複数のCPU71および複数のメモリ72が連携することで、無線通信機器20の各部の機能が実現されればよい。消費電力を低減するために、電源制御回路73は、複数のCPU71の一部にのみ電力を供給し、複数のメモリ72の一部にのみ電力を供給してもよい。
【0054】
上述の制御装置10と無線通信機器20を備える無線システム1が行う電源制御方法について以下に説明する。
制御装置10の電源操作によって電源オフが指示された場合に無線通信機器20を遠隔でスリープ状態にする、具体的には、無線通信機器20を機器側スリープモードに切り替える制御について図6を用いて説明する。制御装置10の電源オフが指示される前は、アクセスポイントである制御装置10とステーションである無線通信機器20との接続は確立されており、制御装置10と無線通信機器20との間で通信が行われている。
【0055】
制御装置10が備える制御側電源制御部13は、制御装置10の電源オフを指示する電源操作を検知すると(シーケンスSq11)、スリープコマンドを生成する(シーケンスSq12)。制御側電源制御部13は、生成したスリープコマンドを制御側通信部12に送信する。制御側通信部12は、シーケンスSq12で生成されたスリープコマンドを無線通信機器20に送信する(シーケンスSq13)。具体的には、制御側通信部12は、データフィールドにスリープコマンドを含むLANフレームを生成し、生成したLANフレームを無線通信機器20に送信する。
【0056】
制御側電源制御部13は、シーケンスSq13の処理が完了すると、制御側スリープモードに切り替える(シーケンスSq14)。制御側スリープモードにおいて、制御側電源制御部13は、電源操作を検知するために必要な電力のみを供給し、電源操作の検知に用いられない制御装置10の構成要素には電力を供給しない。例えば、電源制御回路63は、CPU61およびメモリ62にのみ電力を供給し、LAN通信IF64、VHF通信IF65、および入出力IF66には電力を供給しない。これにより、制御装置10の消費電力を低減することができる。
【0057】
無線通信機器20が備える機器側通信部22は、シーケンスSq13で送信されたスリープコマンドを取得する(シーケンスSq21)。具体的には、機器側通信部22は、制御装置10から送信されたLANフレームを受信し、LANフレームのデータフィールドに含まれるスリープコマンドを抽出する。機器側通信部22は、抽出したスリープコマンドを機器側動作切替部21および機器側電源制御部23に送信する。
【0058】
機器側動作切替部21は、ステップSq21で取得されたスリープコマンドに応じて、機器側アクセスポイントモードに切り替える(シーケンスSq22)。機器側アクセスポイントモードに切り替えることで、機器側通信部22は、制御装置10からの接続要求を待ち受ける。
【0059】
機器側電源制御部23は、シーケンスSq22の処理が完了すると、機器側スリープモードに切り替える(シーケンスSq23)。機器側スリープモードにおいて、機器側電源制御部23は、機器側アクセスポイントモードにおいて機器側通信部22が制御装置10からの接続要求を待ち受けるために必要な電力のみを供給し、接続要求の受け付けに用いられない無線通信機器20の構成要素には電力を供給しない。例えば、LAN通信IF74を構成する無線LANモジュール単独で、制御装置10からの接続要求の待ち受けを行うことができる場合、電源制御回路73は、LAN通信IF74およびCPU71にのみ電力を供給し、メモリ72および入出力IF75には電力を供給しない。この場合、CPU71はスリープ状態であることが好ましい。これにより、無線通信機器20の消費電力を低減することができる。
【0060】
上述のように、制御装置10が制御側スリープモードに切り替わり、無線通信機器20が機器側スリープモードに切り替わることで、無線システム1の消費電力を低減することができる。制御装置10が制御側スリープモードであり、無線通信機器20が機器側スリープモードである場合は、制御装置10と無線通信機器20との間の接続は切断されている。
【0061】
制御装置10が制御側スリープモードであり、無線通信機器20が機器側スリープモードである状態で、制御装置10の電源操作によって電源オンが指示された場合に無線通信機器20を遠隔で起動する制御について図7を用いて説明する。制御側スリープモードにおいて制御装置10は電源操作を待ち受け、機器側スリープモードにおいて無線通信機器20は制御装置10からの接続要求を待ち受けている。
【0062】
制御装置10が有する制御側電源制御部13は、制御装置10の電源オンを指示する電源操作を検知すると(シーケンスSq31)、制御側スリープモードから制御側起動モードに切り替える(シーケンスSq32)。具体的には、制御側電源制御部13は、制御装置10の各構成要素への電力供給を開始する。そして、制御側電源制御部13は、起動コマンドを生成する(シーケンスSq33)。制御側電源制御部13は、生成した起動コマンドを制御側通信部12に送信する。
【0063】
シーケンスSq33の処理が完了すると、制御側動作切替部11は、制御側アクセスポイントモードから制御側ステーションモードに切り替える(シーケンスSq34)。シーケンスSq34の処理が完了すると、制御側通信部12は、無線通信機器20に接続要求を送信する(シーケンスSq35)。
【0064】
無線通信機器20が備える機器側通信部22は、上述のように機器側アクセスポイントモードで動作し、制御装置10からの接続要求を待ち受けている。機器側通信部22は、シーケンスSq35で送信された接続要求を受信すると、接続応答を送信する(シーケンスSq51)。
【0065】
制御側通信部12は、シーケンスSq51で送信された接続応答を受信すると、無線通信機器20に認証要求を送信する(シーケンスSq36)。機器側通信部22は、シーケンスSq36で送信された認証要求を受信すると、認証応答を送信する(シーケンスSq52)。詳細には、制御側通信部12と機器側通信部22は、4ウェイハンドシェイクによる認証手続きを行う。
【0066】
制御側通信部12は、シーケンスSq52で送信された認証応答を受信すると、IPアドレス要求を送信する(シーケンスSq37)。機器側通信部22は、シーケンスSq37で送信されたIPアドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を送信する(シーケンスSq53)。
【0067】
制御側通信部12が、シーケンスSq53で送信されたIPアドレス応答を受信すると、ステーションである制御装置10とアクセスポイントである無線通信機器20との間の接続が確立される。その後、制御側通信部12は、シーケンスSq33で生成された起動コマンドを無線通信機器20に送信する(シーケンスSq38)。制御側動作切替部11は、シーケンスSq38の処理が完了すると、制御側ステーションモードから制御側アクセスポイントモードに切り替える(シーケンスSq39)。
【0068】
機器側通信部22は、シーケンスSq38で送信された起動コマンドを受信すると、起動コマンドを機器側電源制御部23に送信する。機器側電源制御部23は、起動コマンドを取得すると、機器側起動モードに切り替える(シーケンスSq54)。具体的には、機器側電源制御部23は、無線通信機器20の各構成要素に電力を供給する。シーケンスSq54の処理が完了すると、機器側動作切替部21は、機器側アクセスポイントモードから機器側ステーションモードに切り替える(シーケンスSq55)。
【0069】
制御側動作切替部11が制御側アクセスポイントモードに切り替え、機器側動作切替部21が機器側ステーションモードに切り替えることで、ステーションである制御装置10とアクセスポイントである無線通信機器20との間の接続が切断されるため、制御装置10と無線通信機器20との接続の確立を再度行う必要がある。そこで、シーケンスSq55の処理が完了すると、機器側通信部22は、制御装置10に接続要求を送信する(シーケンスSq56)。
【0070】
制御側通信部12は、シーケンスSq39で制御側アクセスポイントモードに切り替えているので、無線通信機器20からの接続要求を待ち受けている。制御側通信部12は、シーケンスSq56で送信された接続要求を受信すると、接続応答を送信する(シーケンスSq40)。
【0071】
機器側通信部22は、シーケンスSq40で送信された接続応答を受信すると、制御装置10に認証要求を送信する(シーケンスSq57)。制御側通信部12は、シーケンスSq57で送信された認証要求を受信すると、認証応答を送信する(シーケンスSq41)。詳細には、制御側通信部12と機器側通信部22は、4ウェイハンドシェイクによる認証手続きを行う。
【0072】
機器側通信部22は、シーケンスSq41で送信された認証応答を受信すると、IPアドレス要求を送信する(シーケンスSq58)。制御側通信部12は、シーケンスSq58で送信されたIPアドレス要求を受信すると、IPアドレス応答を送信する(シーケンスSq42)。機器側通信部22が、シーケンスSq42で送信されたIPアドレス応答を受信すると、アクセスポイントである制御装置10とステーションである無線通信機器20との間の接続が確立される。
【0073】
制御装置10が制御側スリープモードであり、無線通信機器20が機器側スリープモードである状態のように、制御装置10と無線通信機器20との接続が確立されていない場合であっても、上述したように、制御装置10から無線通信機器20に接続要求を送信することで、制御装置10と無線通信機器20との接続が再度確立される。そして、制御装置10から無線通信機器20に起動コマンドを送信することで、無線通信機器20を起動させることが可能となる。
【0074】
無線システム1と電力供給源の間に設けられている遮断器、開閉器等が、例えば過電圧の検知のために開放されると、無線システム1に電力が供給されなくなる。無線システム1への電力供給が遮断されると、制御装置10と無線通信機器20との間の接続が切断されてしまう。電力供給再開後に無線通信機器20を遠隔で電源オンするための制御について図8を用いて説明する。
【0075】
制御装置10が備える制御側電源制御部13は、電力供給源から電力が供給されていない状態から電力供給が開始されたことを検知すると(シーケンスSq61)、制御側
スリープモードに切り替える(シーケンスSq62)。制御側電源制御部13は、例えば、入力端子の電位に基づいて、電力供給の有無を検知することができる。
【0076】
無線通信機器20が備える機器側電源制御部23は、電力供給源から電力供給されていない状態から電力供給が開始されたことを検知すると(シーケンスSq71)、機器側起動モードに切り替える(シーケンスSq72)。そして、機器側電源制御部23は、電力供給が開始された旨を機器側動作切替部21に通知する。機器側動作切替部21は、通知を受けて、機器側アクセスポイントモードに切り替える(シーケンスSq73)。この場合、直前のモードが機器側アクセスポイントモードであれば、機器側アクセスポイントモードへの切り替えは、機器側アクセスポイントモードの維持を意味する。シーケンスSq73の処理が完了すると、機器側電源制御部23は、機器側スリープモードに切り替える(シーケンスSq74)。この後、制御装置10の電源操作によって電源オンの指示が入力されると、図7に示すように、無線通信機器20を遠隔で起動することが可能となる。
【0077】
以上説明した通り、実施の形態に係る無線システム1が備える制御装置10は、制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードとを切り替える。無線通信機器20との接続が切断された後に、制御装置10は制御側ステーションモードで動作して、無線通信機器20に接続要求を送信して無線通信機器20との接続を確立する。接続を確立した後に、制御装置10が起動コマンドを無線通信機器20に送信することで、無線通信機器20を起動させることが可能となる。制御装置10が制御側アクセスポイントモードで動作している場合は、無線通信機器20からの接続要求を受けて無線通信機器20との接続を確立する。接続を確立した後に、スリープコマンドを無線通信機器20に送信することで、無線通信機器20を機器側スリープモードに切り替えることができる。
【0078】
制御装置10と無線通信機器20との間の接続が切断された場合でも、上述のように制御装置10から無線通信機器20に接続要求を送信することで、制御装置10と無線通信機器20との間の接続を再度確立することができるため、無線通信機器20に対する遠隔での電源制御が可能となる。
【0079】
制御側スリープモードでは電源操作の検知に必要な制御装置10の構成要素にのみ電力が供給され、機器側スリープモードでは接続要求の待ち受けに必要な無線通信機器20の構成要素にのみ電力が供給されるため、無線システム1の消費電力を低減することが可能となる。
【0080】
本発明は、上述の実施の形態に限られず、上述のハードウェア構成およびフローチャートは一例であり、任意に変更および修正が可能である。
図9に示すように、無線システム1は、複数の無線通信機器20a,20bを備えてもよい。無線通信機器20a,20bの構成および動作は、無線通信機器20と同じである。この場合、制御側アクセスポイントモードで動作する制御装置10は、無線通信機器20a,20bのそれぞれからの接続要求を受け付けることで、無線通信機器20a,20bのそれぞれとの接続を確立すればよい。制御装置10の電源操作によって制御装置10の電源オフが指示された場合、制御側通信部12は、スリープコマンドを無線通信機器20a,20bのそれぞれに送信すればよい。無線通信機器20a,20bのそれぞれにスリープコマンドを送信した後、制御側電源制御部13は、制御側スリープモードに切り替える。
【0081】
制御側ステーションモードで動作する制御装置10は、無線通信機器20a,20bのそれぞれに順に接続要求をすればよい。具体的には、制御装置10の電源操作によって制御装置10の電源オンが指示された場合、制御側通信部12は、まず無線通信機器20aに接続要求を送信し、上述のように無線通信機器20aとの接続を確立する。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20aに起動コマンドを送信する。制御側通信部12は、無線通信機器20aに起動コマンドを送信すると、無線通信機器20aとの接続を切断し、無線通信機器20bに接続要求を送信して、無線通信機器20bとの接続を確立する。その後、制御側通信部12は、無線通信機器20bに起動コマンドを送信する。無線通信機器20a,20bのいずれにも起動コマンドを送信した後、制御側動作切替部11は、制御側アクセスポイントモードに切り替える。
【0082】
制御装置10に接続可能な機器は、無線通信機器20,20a,20bに限られない。図9に示すように、制御装置10には、無線LAN30を介して携帯端末40が接続されてもよい。携帯端末40は、例えばスマートフォンであり、制御装置10の遠隔操作、制御装置10への気圧、環境光等の情報の提供を行うことができる。
【0083】
電力供給再開後に無線通信機器20を遠隔で電源オンするための制御は、上述の例に限られない。電力供給源から電力が供給されていない状態から電力供給が開始されると、制御装置10は図10に示すように自動的に起動してもよい。シーケンスSq61は、図8のシーケンスSq61の処理と同様である。制御装置10が備える制御側電源制御部13が電力供給源から電力が供給されていない状態から電力供給が開始されたことを検知すると(シーケンスSq61)、制御装置10は、図7に示すシーケンスSq32以降の処理を行う。無線通信機器20が行うシーケンスSq71からSq74の処理は、図8に示すシーケンスSq71からSq74の処理と同様である。その後、制御装置10からの接続要求を受信すると、図7と同様にシーケンスSq51以降の処理が行われる。これにより、電力供給再開後に自動的に制御装置10を起動し、無線通信機器20を遠隔で起動することが可能となる。
【0084】
制御側アクセスポイントモードと制御側ステーションモードを切り替える条件は、上述の例に限られない。一例として、制御装置10と無線通信機器20とは接続が確立している間は、一定間隔で互いに通知を行い、通知が得られなくなれば、制御装置10は、制御側ステーションモードに切り替え、無線通信機器20は、機器側アクセスポイントモードに切り替えてもよい。これにより、制御装置10と無線通信機器20との接続を再度確立することができる。
【0085】
制御装置10と無線通信機器20との間の接続を確立する方法は、上述の例に限られず任意である。上述の実施の形態では、制御側アクセスポイントモードで動作中の制御装置10は、ビーコンを送信せずに無線通信機器20からの接続要求を待ち受けているが、制御装置10は一定間隔でビーコンを送信してもよい。機器側アクセスポイントモードで動作中の無線通信機器20についても同様である。
【0086】
制御装置10は、VHF無線局に限られず、任意の周波数での通信を行う無線局、無線LAN通信を行う任意の通信機器でもよい。
制御装置10に接続される入出力機器は、上述の例に限られず任意である。制御装置10が備える入出力部16は、制御装置10に内蔵されたマイクから音声データを取得してもよいし、制御装置10に内蔵されたスピーカから音声を出力してもよい。
【0087】
無線通信機器20に接続される外部機器は、上述の例に限られず、任意である。
機器側動作切替部21は、無線通信機器20の電源操作に応じて、機器側アクセスポイントモードと機器側ステーションモードとを切り替えてもよい。無線通信機器20の電源操作は、ユーザによる操作、例えば無線通信機器20の本体に設けられた電源スイッチの操作だけでなく、無線通信機器20に予め定められている自動的な電源操作、例えば制御装置10からデータを取得できない状態が一定時間以上継続した場合の自動的な電源オフを含む。
【0088】
無線通信機器20の電源操作により電源オフが指示された場合の無線通信機器20の動作は、制御装置10からスリープコマンドを受信した場合の動作と同様である。無線通信機器20の電源操作により電源オンが指示された場合の無線通信機器20の動作は、制御装置10から起動コマンドを受信した場合の動作と同様である。
【0089】
制御装置10および無線通信機器20は、それぞれ独立した電力供給源から電力の供給を受けてもよい。
【0090】
無線システム1は、船舶に限られず、任意の移動体に設けられてもよい。無線システム1は移動体の無線システムに限られず、任意の無線システムである。
【符号の説明】
【0091】
1 無線システム
10 制御装置
11 制御側動作切替部
12 制御側通信部
13 制御側電源制御部
14 VHFアンテナ
15 VHF通信部
16 入出力部
20,20a,20b 無線通信機器
21 機器側動作切替部
22 機器側通信部
23 機器側電源制御部
24 入出力部
30 無線LAN
40 携帯端末
41 スピーカ
42 マイクロホン
43 GPSアンテナ
44 ホーンスピーカー
60,70 バス
61,71 CPU
62,72 メモリ
63,73 電源制御回路
64,74 LAN通信IF
65 VHF通信IF
66,75 入出力IF
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10