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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】制御装置及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240710BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021042916
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142658
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 愛梨
(72)【発明者】
【氏名】月安 聡
【審査官】星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-226037(JP,A)
【文献】中国実用新案第212370726(CN,U)
【文献】特表2015-535993(JP,A)
【文献】特開2018-186841(JP,A)
【文献】特開2006-072719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置であって、
所定の領域内で作業する作業者から、前記作業者に関する作業者情報を取得する取得部と、
前記作業者情報を利用した第1の条件であって、前記作業者が前記所定の領域に進入するための前記第1の条件が満たされるのか否かを判断する判断部と、
前記第1の条件が満たされる場合に、前記作業者が前記所定の領域内で操作する対象装置の状態を、前記作業者から特定の操作を受け付けることを禁止する禁止状態から、前記作業者から前記特定の操作を受け付けることを許容する許容状態に変更する変更部であって、前記特定の操作は、前記作業者が前記所定の領域内で作業するための操作であり、前記第1の条件が満たされない場合に、前記対象装置の状態は、前記禁止状態に維持される、前記変更部と、を備え、
前記作業者情報は、前記作業者の体温を示す体温情報と、前記作業者が着用する着用物を示す着用物情報と、を含み、
前記第1の条件は、
前記体温情報を利用した体温条件と、
前記着用物情報を利用した着用物条件と、
を含み、
前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合に、前記第1の条件が満たされると判断し、
前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件とのうちの少なくとも一方が満たされない場合に、前記第1の条件が満たされないと判断する、制御装置。
【請求項2】
前記取得部は、カメラによって撮像された画像を解析して、前記体温情報と前記着用物情報とを含む前記作業者情報を取得する、請求項に記載の制御装置。
【請求項3】
前記体温条件は、
前記作業者情報内の前記体温情報によって示される体温が、予め設定されている閾値を下回る条件と、
前記作業者情報内の前記体温情報によって示される体温が、前記作業者の体温の推移を示す推移情報を利用して算出された値を下回る条件と、
のうちの少なくとも一つを含む、請求項又はに記載の制御装置。
【請求項4】
前記判断部は、
前記体温情報と前記着用物情報とが所定の第1の時間内に取得され、かつ、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合に、前記第1の条件が満たされると判断し、
前記体温情報と前記着用物情報とが前記第1の時間内に取得されない場合に、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合であっても、前記第1の条件が満たされないと判断する、請求項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記体温条件が満たされない場合に所定の第1の報知を実行する第1の報知部であって、前記体温条件が満たされ、かつ、前記着用物条件が満たされない場合に、前記第1の報知は実行されない、前記第1の報知部をさらに備える、請求項に記載の制御装置。
【請求項6】
特定の作業者を認証する認証部をさらに備え、
前記変更部は、前記特定の作業者の認証が成功し、かつ、前記第1の条件が満たされる場合に、前記対象装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1の条件が満たされ、かつ、前記作業者が前記所定の領域に進入するための第2の条件であって、前記第1の条件とは異なる前記第2の条件が満たされない場合には、所定の第2の報知を実行する第2の報知部をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記作業者から前記作業者情報が取得される場合に、取得済みの前記作業者情報をデータベースに記憶する記憶制御部をさらに備える、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記取得部は、さらに、前記対象装置の状態が前記禁止状態から前記許容状態に変更されてから所定の第2の時間が経過したのちに、前記作業者から新しい前記作業者情報を取得し、
前記判断部は、さらに、前記新しい作業者情報を利用して、前記第1の条件が満たされるのか否かを判断し、
前記変更部は、さらに、前記新しい作業者情報を利用した前記第1の条件が満たされない場合に、前記対象装置の状態を前記許容状態から前記禁止状態に変更する、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記対象装置は、前記制御装置とは別体の装置である、請求項1からのいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
制御装置と、前記制御装置と通信可能な1つ以上の対象装置と、を備える制御システムであって、
前記制御装置は、
所定の領域内で作業する作業者から、前記作業者に関する作業者情報を取得する取得部と、
前記作業者情報を利用した第1の条件であって、前記作業者が前記所定の領域に進入するための前記第1の条件が満たされるのか否かを判断する判断部と、
前記第1の条件が満たされる場合に、前記作業者が前記所定の領域内で操作する前記1つ以上の対象装置のそれぞれに、当該対象装置の状態を禁止状態から許容状態に変更するための制御信号を送信する送信部であって、前記禁止状態は、前記作業者から特定の操作を受け付けることを禁止する状態であり、前記許容状態は、前記作業者から前記特定の操作を受け付けることを許容する状態であり、前記特定の操作は、前記作業者が前記所定の領域内で作業するための操作であり、前記第1の条件が満たされない場合に、前記制御信号は前記1つ以上の対象装置のそれぞれに送信されない前記送信部と、
を備え、
前記1つ以上の対象装置のそれぞれは、前記制御装置から前記制御信号を受信する場合に、当該対象装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に変更するように構成されており、
前記制御装置から前記制御信号を受信しない場合に、前記対象装置の状態は、前記禁止状態に維持され、
前記作業者情報は、前記作業者の体温を示す体温情報と、前記作業者が着用する着用物を示す着用物情報と、を含み、
前記第1の条件は、
前記体温情報を利用した体温条件と、
前記着用物情報を利用した着用物条件と、
を含み、
前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合に、前記第1の条件が満たされると判断し、
前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件とのうちの少なくとも一方が満たされない場合に、前記第1の条件が満たされないと判断する、制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、制御装置及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、生体情報によって作業者の認証を実行するウェアラブル端末が開示されている。ウェアラブル端末は、正規な作業者に装着されることを条件に、認証操作端末に対してユニットIDを送信する。認証操作端末は、ウェアラブル端末からユニットIDを受信することを条件に、所定の処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-55368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、工場等の所定の領域で作業する作業者は、所定の領域に進入するための条件を求められる場合がある。上記の技術では、所定の領域に進入するための条件が満たされないにも関わらず、作業者の認証が成功する場合に、認証操作端末が所定の処理を実行する。所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が所定の領域で作業を行う可能性がある。
【0005】
本明細書では、所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が所定の領域で作業を行うことを抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する制御装置は、所定の領域内で作業する作業者から、前記作業者に関する作業者情報を取得する取得部と、前記作業者情報を利用した第1の条件であって、前記作業者が前記所定の領域に進入するための前記第1の条件が満たされるのか否かを判断する判断部と、前記第1の条件が満たされる場合に、前記作業者が前記所定の領域内で操作する対象装置の状態を、前記作業者から特定の操作を受け付けることを禁止する禁止状態から、前記作業者から前記特定の操作を受け付けることを許容する許容状態に変更する変更部であって、前記特定の操作は、前記作業者が前記所定の領域内で作業するための操作であり、前記第1の条件が満たされない場合に、前記対象装置の状態は、前記禁止状態に維持される、前記変更部と、を備えてもよい。
【0007】
上述した構成によれば、所定の領域に進入するための第1の条件が満たされる場合に、対象装置の状態が、禁止状態から許容状態に変更される。一方、第1の条件が満たされない場合に、対象装置の状態は、禁止状態に維持され、作業者は、対象装置を操作することができない。所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0008】
前記作業者情報は、前記作業者の体温を示す体温情報と、前記作業者が着用する着用物を示す着用物情報と、のうちの少なくとも一つを含み、前記第1の条件は、前記体温情報を利用した体温条件と、前記着用物情報を利用した着用物条件と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0009】
上述した構成によれば、作業者の体温及び作業者の着用物に関する条件を利用して、作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。
【0010】
前記取得部は、カメラによって撮像された画像を解析して、前記体温情報と前記着用物情報とを含む前記作業者情報を取得してもよい。
【0011】
例えば、着用物情報をカメラによって撮像された画像から取得し、体温情報をカメラとは異なる装置(例えば温度センサ)から取得する比較例が想定される。上記の構成によれば、カメラとは異なる装置が不要となり、制御装置の構成を簡易にすることができる。
【0012】
前記体温条件は、前記作業者情報内の前記体温情報によって示される体温が、予め設定されている閾値を上回る条件と、前記作業者情報内の前記体温情報によって示される体温が、前記作業者の体温の推移を示す推移情報を利用して算出された値を上回る条件と、のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
【0013】
例えば、作業者の所定の領域への進入を予め設定されている閾値で判断する状況が想定される。上記の構成によれば、このような状況に応じて、作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。また、例えば、作業者の体温には個人差があり得る。上記の構成によれば、作業者の体温の推移を示す推移情報を利用することで、作業者の体温の個人差が考慮された値を算出することができる。そして、作業者の体温の個人差を考慮して、作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。
【0014】
前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合に、前記第1の条件が満たされると判断し、前記判断部は、前記体温条件と前記着用物条件とのうちの少なくとも一方が満たされない場合に、前記第1の条件が満たされないと判断してもよい。
【0015】
作業者が所定の領域に進入する条件として、作業者の体温に関する条件と、作業者の着用物に関する条件と、の双方が求められる状況が想定される。上述した構成によれば、このような状況に応じて作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。
【0016】
前記判断部は、前記体温情報と前記着用物情報とが所定の第1の時間内に取得され、かつ、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合に、前記第1の条件が満たされると判断し、前記体温情報と前記着用物情報とが前記第1の時間内に取得されない場合に、前記体温条件と前記着用物条件との双方が満たされる場合であっても、前記第1の条件が満たされないと判断してもよい。
【0017】
体温情報の取得と着用物情報の取得との間の時間が比較的に短いことは、体温情報の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が同一である可能性が高い。これに対して、体温情報の取得と着用物情報の取得との間の時間が比較的に長いことは、体温情報の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が異なる可能性が高い。上記の構成によれば、体温情報の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が異なる可能性が高い場合に、対象装置の状態を禁止状態に維持することができる。例えば、第2の作業者が第1の作業者になりすまして所定領域内で作業することを抑制することができる。
【0018】
上述した制御装置は、前記体温条件が満たされない場合に所定の第1の報知を実行する第1の報知部であって、前記体温条件が満たされ、かつ、前記着用物条件が満たされない場合に、前記第1の報知は実行されない、前記第1の報知部をさらに備えてもよい。
【0019】
体温条件が満たされない場合には、作業者の体調が悪く、緊急の措置が必要である可能性が高い。一方、着用物条件が満たされない場合には、体温条件が満たされない場合に比して、緊急の措置が必要である可能性が低い。上記の構成によれば、緊急の措置が必要である可能性が高い場合に、第1の報知が実行される。これにより、例えば、緊急の措置を所定の領域の管理者に促すことができる。
【0020】
上述した制御装置は、特定の作業者を認証する認証部をさらに備えてもよい。その場合、前記変更部は、前記特定の作業者の認証が成功し、かつ前記第1の条件が満たされる場合に、前記対象装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に変更してもよい。
【0021】
上述した構成によれば、作業者の所定の領域内での作業を許容する条件として、作業者情報を利用した第1の条件に加えて、特定の作業者の認証の成功を加えることができる。
【0022】
上述した制御装置は、前記第1の条件が満たされ、かつ、前記作業者情報を利用した第2の条件であって、前記第1の条件とは異なる前記第2の条件が満たされない場合には、所定の第1の報知を実行する第1の報知部をさらに備えてもよい。
【0023】
所定の領域の管理者が、作業者に対して求める進入のための条件は様々であり、例えば、管理者が、様々な条件のそれぞれについて優劣を決める状況が想定される。例えば、第2の条件の優先度を、第1の条件の優先度よりも低くすることが想定される。上記の構成によれば、第1の条件が満たされることにより、作業者は対象装置を操作することができるものの、第2の条件が満たされないことにより、第2の報知が実行される。これにより、第2の条件を満たすための行動を作業者に促すことができる。また、比較的に優先度の低い第2の条件が満たされないことにより、作業者が対象装置を操作できない事態が発生することを抑制することができる。
【0024】
上述した制御装置は、前記作業者から前記作業者情報が取得される場合に、取得済みの前記作業者情報をデータベースに記憶する記憶制御部をさらに備えてもよい。
【0025】
上述した構成によれば、過去の作業者情報をデータベースに蓄積することできる。
【0026】
前記取得部は、さらに、前記対象装置の状態が前記禁止状態から前記許容状態に変更されてから所定の第2の時間が経過したのちに、前記作業者から新しい前記作業者情報を取得してもよい。その場合、前記判断部は、さらに、前記新しい作業者情報を利用して、前記第1の条件が満たされるのか否かを判断し、前記変更部は、さらに、前記新しい作業者情報を利用した前記第1の条件が満たされない場合に、前記対象装置の状態を前記許容状態から前記禁止状態に変更してもよい。
【0027】
このような構成によれば、所定の領域内での作業中に第1条件を満たさなくなった作業者が継続して所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0028】
前記対象装置は、前記制御装置とは別体の装置であってもよい。
【0029】
このような構成によれば、所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が、制御装置とは別体の対象装置を利用して、所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0030】
本明細書では、制御装置と、所定の領域内で作業する作業者によって操作される1つ以上の操作端末と、を備える制御システムも開示する。前記制御装置は、所定の領域内で作業する作業者から、前記作業者に関する作業者情報を取得する取得部と、前記作業者情報を利用した第1の条件であって、前記作業者が前記所定の領域に進入するための前記第1の条件が満たされるのか否かを判断する判断部と、前記第1の条件が満たされる場合に、前記作業者が前記所定の領域内で操作する前記1つ以上の対象装置のそれぞれに、当該対象装置の状態を禁止状態から許容状態に変更するための制御信号を送信する送信部であって、前記禁止状態は、前記作業者から特定の操作を受け付けることを禁止する状態であり、前記許容状態は、前記作業者から前記特定の操作を受け付けることを許容する状態であり、前記特定の操作は、前記作業者が前記所定の領域内で作業するための操作であり、前記第1の条件が満たされない場合に、前記制御信号は前記1つ以上の対象装置のそれぞれに送信されない前記送信部と、を備え、前記1つ以上の対象装置のそれぞれは、前記制御装置から前記制御信号を受信する場合に、当該対象装置の状態を前記禁止状態から前記許容状態に変更するように構成されており、前記制御装置から前記制御信号を受信しない場合に、前記操作端末の状態は、前記禁止状態に維持されてもよい。
【0031】
このような構成によれば、所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が、1つ以上の対象装置を利用して、所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。また、制御装置を利用して、1つ以上の対象装置の状態を制御することができる。
【0032】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】第1実施例の制御装置の一例である端末装置10の正面図を示す。
図2】端末装置10のハードウェアの構成図を示す。
図3】第1実施例の端末装置10が、作業者が作業を開始する前に実行する処理のフロー図を示す。
図4】第1実施例の端末装置10が、禁止画面の表示中に実行する処理のフロー図を示す。
図5】第1実施例の端末装置10が、作業者の作業中に実行する処理のフロー図を示す。
図6】第2実施例の端末装置10が、作業者が作業を開始する前に実行する処理のフロー図を示す。
図7】第3実施例の端末装置10bを示す。
図8】端末装置10bのハードウェアの構成図を示す。
図9】第3実施例の端末装置10bが、作業者が作業を開始する前に実行する処理のフロー図を示す。
図10】第4実施例の制御システム100の構成図を示す。
図11】制御サーバ50のハードウェアの構成図を示す。
図12】制御サーバ50が、作業者が作業を開始する前に実行する処理のフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(第1実施例)
(端末装置10の構成;図1図2
本実施例に係る端末装置10は、所定の領域(例えば、工場、事務所等)内の作業者によって利用される装置である。端末装置10は、例えば、情報コード内の情報を読み取るための情報読取装置である。端末装置10は、例えば、工場内の部品の在庫管理に利用される。なお、変形例では、端末装置10は、例えば、スマートフォン、タブレットPC等の携帯端末であってもよい。図1に示されるように、端末装置10は、カメラ2と、表示部4と、操作部6と、指紋取得部8と、通知部9と、制御部20と、を備える。
【0035】
カメラ2は、端末装置10の正面側(すなわち、図1の紙面手前側)に位置する作業者の画像を撮像する。カメラ2は、温度センサ2tを含む。温度センサ2tは、作業者の画像の撮像の際に、作業者から放射される赤外線を解析して、作業者の体温を測定する。
【0036】
表示部4は、様々な情報を表示するためのディスプレイである。操作部6は、複数個のキーを備える。ユーザは、操作部6を操作することによって、様々な指示を端末装置10に入力することができる。なお、表示部4は、ユーザから指示を受け付けるタッチパネル(即ち操作部6)としても機能してもよい。
【0037】
指紋取得部8は、作業者の指から作業者の指紋を取得するセンサである。通知部9は、音声、通知音、警告音等を出力する装置である。通知部9は、例えば、スピーカである。
【0038】
制御部20は、CPU22と、メモリ24と、を備える。CPU22は、メモリ24に記憶されているプログラム30に従って様々な処理を実行する。メモリ24は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ24は、さらに、指紋認証情報と、推移情報と、作業者コードと、管理者コードと、を記憶する。指紋認証情報は、端末装置10を利用する作業者の指紋の特徴を示す情報である。指紋認証情報は、作業者によってメモリ24に記憶される。推移情報は、複数の日時(例えば、直近1カ月間の日時)における作業者の体温の推移を示す情報である。作業者コードは、作業者を認証するためのコードである。管理者コードは、所定の領域の管理者を認証するためのコードである。
【0039】
所定の領域の管理者は、所定の領域内に進入するための様々な条件を作業者に求める。例えば、作業者の体調管理を目的として、管理者は、作業者の体調に関する条件(例えば体温に関する条件)を作業者に求める。また、所定の領域内の安全管理及び衛生管理を目的として、管理者は、マスク、帽子、眼鏡等の着用物に関する条件を作業者に求める。
【0040】
メモリ24には、さらに、作業者に求められる様々な条件を示す条件情報が記憶されている。条件情報は、体温に関する絶対閾値Tth1と、体温に関する平均閾値Tth2と、着用物特徴情報と、を含む。絶対閾値Tth1と平均閾値Tth2については後述する。着用物特徴情報は、マスク、帽子、眼鏡等の着用物の特徴を示す情報であり、例えば、画像データである。なお、条件情報は、所定の領域内の作業に関する規則等の変更に伴い、管理者によって変更され得る。
【0041】
例えば、作業者は、所定の領域である工場内で、端末装置10を操作して、部品の在庫確認、発注等、様々な作業を行う。
【0042】
(端末装置10が実行する処理;図3図5
(作業開始前;図3
図3を参照して、端末装置10の制御部20が、作業者が作業を開始する前に実行する処理について説明する。例えば、端末装置10は、所定の領域の入り口付近に配置されており、作業者は、所定の領域に進入する前に、端末装置10を手に取る。図3の処理は、端末装置10の電源がオンされることをトリガとして開始される。
【0043】
ここで、端末装置10の状態を先に説明する。端末装置10は、ロック状態と、解除状態と、許容状態と、を含む複数の状態のうちのいずれかで動作する。ロック状態は、作業者の認証が実行される前の状態であり、第1種の操作を受け付けることを許容し、後述する第2種及び第3種の操作の受け付けを禁止する状態である。第1種の操作は、作業者と作業者以外の第三者との双方に許容される操作であり、例えば、緊急通報等の操作である。
【0044】
また、解除状態は、作業者の認証が成功した後の状態であり、第1種の操作と第2種の操作の双方を受け付けることを許容し、後述する第3種の操作の受け付けを禁止する状態である。第2種の操作は、作業者に許容され、作業者以外の第三者には許容されない操作である。第2種の操作は、例えば、カメラ2によって撮像された画像を閲覧する操作、Webページを閲覧する操作等である。
【0045】
また、許容状態は、作業者の認証が成功し、かつ、後述する条件が満たされた後の状態であり、第1種、第2種、及び、第3種の操作の全ての受け付けを許容する状態である。第3種の操作は、後述する条件に適合する作業者に許容され、後述する条件に適合しない作業者に許容されない操作である。第3種の操作は、例えば、部品の在庫確認、発注等の様々な作業に関する操作である。
【0046】
例えば、端末装置10の状態は、所定の充電台(図示省略)に接続されると、解除状態及び許容状態のいずれかからロック状態に変更される。図3の初期状態では、端末装置10の状態は、ロック状態である。
【0047】
S2では、制御部20は、作業者の指が指紋取得部8に触れることに応じて、指紋取得部8から作業者の指紋を示す指紋情報を取得する。次いで、制御部20は、S4において、取得済みの指紋情報を利用した指紋認証を実行する。具体的には、制御部20は、取得済みの指紋情報によって示される指紋の特徴と、メモリ24内の指紋認証情報によって示される特徴が一致すると判断する場合に、指紋認証が成功したと判断する。一方、制御部20は、上記の両特徴が一致しないと判断する場合に、指紋認証が失敗したと判断する。
【0048】
制御部20は、指紋認証が成功したと判断する場合(S4でYES)に、S6以降の処理に進む。一方、制御部20は、指紋認証が失敗したと判断する場合(S4でNO)に、S6以降の処理をスキップして、図3の処理を終了する。即ち、端末装置10の状態は、ロック状態に維持される。
【0049】
S6では、制御部20は、端末装置10の状態をロック状態から解除状態に移行する。
【0050】
S10では、制御部20は、カメラ2を起動して、作業者の撮像をカメラ2に実行させる。これにより、制御部20は、カメラ2から作業者の画像を示す画像データを取得する。ここで、当該画像データは、温度センサ2tによって取得された温度の分布を示すデータを含む。
【0051】
S12では、制御部20は、取得済みの画像データによって示される画像を解析する。S14では、制御部20は、S12の解析結果から、作業者の体温T1を取得する。
【0052】
S16では、制御部20は、取得済みの体温T1をメモリ24内の推移情報として記憶する。
【0053】
S20では、制御部20は、取得済みの体温T1がメモリ24内の条件情報に含まれる絶対閾値Tth1より低いのか否かを判断する。絶対閾値Tth1は、例えば、37.5度であり、管理者によって予め設定される値である。制御部20は、体温T1が絶対閾値Tth1より低い場合(S20でYES)に、S24に進む。一方、制御部20は、体温T1が絶対閾値Tth1以上である場合(S20でNO)に、S60に進む。
【0054】
S24では、制御部20は、メモリ24内の推移情報に含まれる複数の体温の平均である平均体温Taを算出する。S26では、制御部20は、S14で取得した体温T1が、平均閾値Tth2と平均体温Taとの和より低いのか否かを判断する。平均閾値Tth2は、例えば、1度であり、管理者によって予め設定される値である。制御部20は、体温T1が、平均閾値Tth2と平均体温Taとの和より低い場合(S26でYES)に、S30に進む。一方、制御部20は、体温T1が、平均閾値Tth2と平均体温Taとの和以上である場合(S26でNO)に、S60に進む。
【0055】
S30では、制御部20は、S10で撮像した作業者の画像を解析する。そして、制御部20は、メモリ24内の条件情報に含まれる着用物特徴情報によって示される特徴を有する着用物の画像を利用して、作業者の画像に含まれる着用物が、着用物条件を満たすか否かを判断する。着用物条件が満たされることは、作業者が、所定の着用物(マスク、帽子、眼鏡等)を着用していることを意味する。制御部20は、着用物条件が満たされると判断する場合(S30でYES)に、S40に進む。一方、制御部20は、着用物条件が満たされないと判断する場合(S30でNO)に、S60へ進む。
【0056】
S40では、制御部20は、S10で撮像した作業者の画像を解析し、作業者の着用物(例えば帽子)が汚れているのかを判断する。例えば、制御部20は、メモリ24内の着用物特徴情報によって示される着用物の色と、作業者の画像に含まれる着用物の色と、を比較する。制御部20は、双方の色差が所定の基準を上回る場合に、作業者の着用物が汚れていると判断し、当該色差が所定の基準を上回らない場合に、作業者の着用物が汚れていないと判断する。制御部20は、作業者の着用物が汚れていないと判断する場合(S40でNO)に、S42の処理をスキップしてS50に進む。一方、制御部20は、作業者の着用物が汚れていると判断する場合(S40でYES)に、S42に進む。S42では、制御部20は、着用物が汚れていることを通知する通知音を通知部9に出力させる。制御部20は、S24が終了すると、S50に進む。
【0057】
S50では、制御部20は、端末装置10の状態を解除状態から許容状態に変更する。具体的には、制御部20は、第3種の操作(例えば、部品の在庫確認等の様々な作業に関する操作)を受け付け可能な操作受付画面を表示部4に表示させる。これにより、作業者は、操作受付画面を介して、第3種の操作を実行する。一方で、S20、S26、及び、S30のいずれかでNOと判断された後のS60では、制御部20は、禁止画面を表示部4に表示する。これにより、端末装置10の状態が、解除状態に維持される。
【0058】
(禁止画面の表示中;図4
図4を参照して、制御部20が、図3のS60において禁止画面の表示中に実行する処理について説明する。
【0059】
S62は、図3のS20と同様である。制御部20は、図3のS14で取得した体温T1が絶対閾値Tth1より低い場合(S62でYES)に、S64に進む。S64は、図3のS26と同様である。制御部20は、体温T1が平均閾値Tth2と平均体温Taとの和より低い場合(S64でYES)には、S70に進む。
【0060】
S70では、制御部20は、操作部6を介して、作業者コードが正しく入力されることを監視する。制御部20は、作業者コードが正しく入力された場合(S70でYES)に、S72に進む。作業者コードが正しく入力されない場合(S70でNO)には、禁止画面の表示が維持される。
【0061】
S72では、制御部20は、再度、S10と同様の処理を実行する。その後、S74では、制御部20は、S72で取得した画像を解析し、S30と同様に、S72で取得した作業者の画像に含まれる着用物が、着用物条件を満たすか否かを判断する。制御部20は、着用物条件が満たされると判断する場合(S74でYES)に、S76に進む。S76は、図3のS50と同様である。一方、制御部20は、着用物条件が満たされないと判断する場合(S74でNO)に、再度S72に戻り、作業者の画像を取得する。すなわち、制御部20は、作業者の着用物条件が満たされるまで、S72~S74の処理を繰り返す。
【0062】
また、制御部20は、体温T1が絶対閾値Tth1以上の場合(S62でNO)、または、体温T1が平均閾値Tth2と平均体温Taとの和以上の場合(S64でNO)には、S80に進む。
【0063】
S80では、制御部20は、管理者呼び出し画面を表示部4に表示させる。続くS82では、制御部20は、警告音を通知部9に出力させる。続くS90では、制御部20は、操作部6を介して、管理者コードが正しく入力されるのか否かを判断する。制御部20は、管理者コードが正しく入力された場合(S90でYES)に、S92において、警告音を停止する。即ち、制御部20は、管理者コードが正しく入力されるまでの間、警告音を出力し続ける。制御部20は、S92が終了すると、S74に進む。
【0064】
S74では、先に述べたように、作業者が着用物条件を満たすか否かを判断する。ここでは、制御部20は、図3のS10で取得した作業者の画像が着用物条件を満たすか否かを判断する。これにより、体温条件に加え着用物条件も満たしていなかった作業者に対して、端末装置10が許容状態になることを防止することができる。
【0065】
(作業中;図5
図5を参照して、端末装置10が作業者の作業中に実行する処理について説明する。図5の処理は、操作受付画面(図3のS50又は図4のS74)の表示後に実行される。
【0066】
S102では、制御部20は、操作受付画面の表示から所定時間(例えば2時間)が経過したか否かを監視する。制御部20は、所定時間が経過した場合(S102でYES)に、S110に進む。
【0067】
S110~S130は、図3のS10~S30と同様である。ここで、制御部20は、図5のS110において、作業者の画像を示す画像データを新たに取得し、図5のS114において、作業者の体温T2を新たに取得する。すなわち、制御部20は、作業者の体温を利用した条件(S120及びS126)及び着用物条件(S132)の双方が満たされているか否かを再び判断する。
【0068】
制御部20は、作業者の体温を利用した条件及び着用物条件の双方が満たされていると判断する場合(S120、S126、及び、S132の全てでYES)に、後述するS160の処理をスキップして、図5の処理を終了する。即ち、端末装置10の状態が、許容状態に維持される。
【0069】
また、制御部20は、作業者の体温を利用した条件及び着用物条件とのうちの少なくとも一方が満たされないと判断する場合(S120、S126、S130のうちの少なくとも一つでNO)には、S160に進む。S160では、制御部20は、端末装置10の状態を、許容状態から解除状態に変更し、禁止画面を表示部4に表示させる。S160が終了すると図5の処理が終了する。
【0070】
(本実施例の効果)
作業者が所定の領域に進入するため条件として、作業者の体温に関する体温条件と、作業者の着用物に関する着用物条件と、の双方が求められること状況が想定される。本実施例の構成によれば、体温条件が満たされ(S20及びS26の双方でYES)、かつ、着用物条件が満たされる(S30でYES)場合に、端末装置10の状態が、解除状態から許容状態に変更される(S50)。一方、体温条件及び着用物条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合(S20、S26、及び、S30のうちの少なくとも一つでNO)に、端末装置10の状態は、解除状態に維持される。この場合、作業者は、操作受付画面を介して端末装置10を操作することができない。作業者は、所定の領域内で作業を行うことができない。所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0071】
また、例えば、作業者の所定の領域への進入を予め設定されている閾値で判断する状況が想定される。本実施例の構成によれば、このような状況に応じて、絶対閾値Tth1を利用した図3のS20の判断により、作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。また、例えば、作業者の体温には個人差があり得る。本実施例の構成によれば、作業者の体温の推移を示す推移情報から算出された平均体温Taと平均閾値Tth2の和として、作業者の体温の個人差が考慮された閾値を算出することができる。そして、作業者の体温の個人差を考慮した図3のS26の判断により、作業者の所定の領域内での作業を制限することができる。
【0072】
また、本実施例の構成によれば、端末装置10は、図3のS4の判断によって、端末装置10を操作する作業者を認証する。作業者の所定の領域内での作業を許容する条件として、体温条件及び着用物条件に加えて、作業者の認証の成功を加えることができる。
【0073】
また、所定の領域の管理者が、作業者に対して求める進入のための条件は様々であり、例えば、管理者が、様々な条件のそれぞれについて優劣を決める状況が想定される。例えば、様々な条件は、着用物を着ている条件、着用物が汚れていない条件等である。そして、着用物が汚れていない条件の優先度を、着用物を着ている条件の優先度よりも低くすることが想定される。本実施例の構成によれば、着用物を着ている条件が満たされることにより(図3のS30でYES)、作業者は第3種の操作を行うことができるものの、着用物が汚れていることにより(S40でYES)、通知音が出力される(S42)。これにより、着用物が汚れていない条件を満たすための行動を作業者に促すことができる。また、比較的に優先度の低い条件が満たされないことにより、作業者が第3種の操作を行うことができない事態が発生することを抑制することができる。
【0074】
また、本実施例の構成によれば、端末装置10は、作業者の体温の推移を示す推移情報をメモリ24に記憶する。即ち、端末装置10は、過去の作業者の体温を蓄積することができる。例えば、管理者は、推移情報によって示される作業者の体温の推移を見て、作業者の体調管理に利用することができる。また、変形例では、端末装置10は、作業者の体温だけでなく、過去の作業者の画像を示す画像データをメモリ24に蓄積してもよい。例えば、管理者は、蓄積済みの画像データによって示される複数の日時における作業者の画像を見て、安全管理及び衛生管理に利用することができる。
【0075】
また、例えば、着用物情報をカメラ2によって撮像された画像から取得し、カメラとは別体の温度センサで体温を計測する比較例が想定される。本実施例の構成によれば、温度センサ2tは、カメラ2と一体であり、カメラとは別体の温度センサが不要となる。端末装置10の構成を簡易にすることができる。なお、変形例では、上記の比較例の構成を採用してもよい。
【0076】
また、体温条件が満たされない場合には、作業者の体調が悪く、緊急の措置が必要である可能性が高い。一方、着用物条件が満たされない場合には、体温条件が満たされない場合に比して、緊急の措置が必要である可能性が低い。本実施例の構成によれば、端末装置10は、体温条件が満たされない場合(図4のS62及びS64の少なくとも一方でNO)、即ち、緊急の措置が必要である可能性が高い場合に、管理者呼び出し画面を表示するとともに、警告音を出力する(S80、S82)。これにより、例えば、緊急の措置を所定の領域の管理者に促すことができる。
【0077】
また、本実施例の構成によれば、端末装置10は、作業者の作業中において、体温条件及び着用物条件の双方が満たされないと判断する場合(S120、S126、及び、S132の全てでNO)に、端末装置10の状態を許容状態から解除状態に変更する(S160)。このような構成によれば、所定の領域内での作業中に体温条件及び着用物条件の双方を満たさなくなった作業者(即ち所定の領域への進入に不適合な作業者)が継続して所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0078】
(対応関係)
端末装置10が、「制御装置」及び「対象装置」の一例である。体温T1、平均体温Ta、作業者の画像が、「作業者情報」の一例である。カメラ2が、「取得部」の一例である。体温T1が絶対閾値Tth1より低いかこと及び体温T1が平均閾値Tth2と平均体温Taとの和より低いことが、それぞれ、「体温条件」の一例である。作業者が、所定の着用物(マスク、帽子、眼鏡等)を着用していることが、「着用物条件」の一例である。許容状態における端末装置10の操作(即ち第3種の操作、図3のS50の操作受付画面に対する操作)が、「特定の操作」の一例である。図3のS20、S26、S30の処理を実行する制御部20が、「判断部」の一例である。図3のS50の処理を実行する制御部20が、「変更部」の一例である。ロック状態及び解除状態が、「禁止状態」の一例である。平均閾値Tth2と平均体温Taとの和が、「作業者の体温の推移を示す推移情報を利用して算出された値」の一例である。S4で指紋認証を行う制御部20が、「認証部」の一例である。着用物が汚れていないことが、「第2の条件」の一例である。図3のS42の処理を実行する制御部20が、「第1の報知部」の一例である。S16で作業者の体温T1を記憶する制御部20が、「記憶制御部」の一例である。図5のS102で判断される所定時間が、「第2の時間」の一例である。図5のS112及びS114で取得される情報が、「新しい作業者情報」の一例である。図4のS82の処理を実行する制御部20が、「第2の報知部」の一例である。
【0079】
(第2実施例)
本実施例は、作業者の作業前に実行される処理の一部が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。
【0080】
(作業開始前;図6
図6を参照して、本実施例の制御部20が実行する処理について説明する。図6のS202、S204の処理は、図3のS2、S4の処理と同様である。制御部20は、指紋認証が成功したと判断する場合に(S204でYES)、S208において、カウントアップを自身が備えるタイマ(図示省略)に開始させる。S214からS226の処理は、図3のS14からS26の処理と同様である。
【0081】
体温T1が平均閾値Tth2と平均体温Taの和よりも低い場合に(S226でYES)、制御部20は、S228において、カメラ2によって作業者の画像を取得する。続くS230の処理は、図3のS30の処理と同様である。
【0082】
制御部20は、着用物条件が満たされると判断する場合(S230でYES)に、S240に進む。S240では、制御部20は、S208で開始されたタイマの値のうち、S214の体温T1の取得のタイミングを示す値と、S228の作業者の画像の取得のタイミングを示す値と、の差分時間Tgが所定の閾値時間TL(例えば、1秒)よりも短いか否かを判断する。
【0083】
制御部20は、差分時間Tgが閾値時間TLよりも短い場合(S240でYES)に、S250に進む。制御部20は、差分時間Tgが閾値時間TL以上である場合(S240でNO)に、S260に進む。S250の処理は、図3のS50の処理と同様であり、S160の処理は、S60の処理と同様である。S250、S260の処理が終了すると、図6の処理が終了する。
【0084】
(本実施例の効果)
差分時間Tgが短いこと、即ち、体温T1の取得(S214)と着用物情報の取得(S228)との間の時間が比較的に短いことは、体温T1の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が同一である可能性が高い。これに対して、差分時間Tgが比較的に長いことは、体温T1の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が異なる可能性が高い。上記の構成によれば、差分時間Tgが比較的長く、体温T1の供給元の作業者と着用物情報の供給元の作業者が異なる可能性が高い場合(S240でNO)に、端末装置10の状態を解除状態に維持することができる。例えば、第2の作業者が第1の作業者になりすまして所定領域内で作業することを抑制することができる。閾値時間TLが「第1の時間」の一例である。
【0085】
(第3実施例)
(端末装置10b;図7図8
図7に示されるように、第3実施例の端末装置10bは、3個のスキャナ32、34、36と通信可能である。3個のスキャナ32、34、36は、端末装置10bと別体である。各スキャナ32、34、36は、所定の領域(例えば工場内)で情報コードを読み取る装置である。なお、スキャナの個数は、3個に限らず、例えば、2個でもよいし、4個以上であってもよい。
【0086】
図8に示されるように、端末装置10bは、通信インターフェース11をさらに備える点、メモリ24がさらにスキャナテーブル26を記憶する点、及び、作業者の作業前に実行される処理の一部が異なる点を除いて、第1実施例と同様である。以下では、インターフェースのことを「I/F」と記載する。通信I/F11は、各スキャナ32、34、36との通信を実行するためのI/Fである。通信I/F11は、例えば、LANを介した通信を実行するためのI/Fである。当該LANは、有線又は無線である。
【0087】
スキャナテーブル26には、作業者の指紋認証情報FP2、FP4、FP6と、作業者が操作するスキャナを識別するスキャナID32n、34n、36nと、が関連付けて記憶される。例えば、指紋認証情報FP2で識別される作業者は、スキャナID32nで識別されるスキャナ32を操作する。
【0088】
また、各スキャナ32、34、36は、スリープ状態と、許容状態との何れかで動作する。スリープ状態は、スキャナ(例えば32)の電源がオンされているものの、スキャナを利用した全ての操作の受付を禁止する状態である。許容状態は、スキャナを利用した全ての操作、例えば、情報コードの読取を指示する操作の受付を許容する状態である。
【0089】
例えば、作業者は、所定の領域に進入する前に、端末装置10bを操作する。これにより、端末装置10bによって後述する図9の処理が実行され、後述する条件が満たされる場合に、当該作業者に対応するスキャナの状態がスリープ状態から許容状態に移行する。
【0090】
(作業開始前;図9
図9のS2~S42までの処理は、図3のS2~S42までの処理と同様である。制御部20は、S40でNOと判断される場合、及び、S42の処理が終了した場合のいずれかの場合に、S53に進む。
【0091】
S53では、制御部20は、スキャナテーブル26から、S2で取得した指紋情報と一致する指紋情報に関連付けて記憶されているスキャナIDを特定する。そして、制御部20は、通信I/F11を介して、特定済みのスキャナIDによって識別されるスキャナに、当該スキャナの状態を解除状態から許容状態に変更することを要求する許容信号を送信する。これにより、体温条件及び着用物条件の双方に適合する作業者に、スキャナの操作が許可される。
【0092】
また、制御部20は、体温条件及び着用物条件の少なくとも一方が満たされない場合(S20、S26、及び、S30のうちの少なくとも一つでNO)には、S53の処理をスキップして、S60に進む。即ち、体温条件及び着用物条件のうちの少なくとも一方が満たされない場合には、許容信号がスキャナに送信されず、スキャナの状態がスリープ状態に維持される。S60が終了すると、図9の処理が終了する。
【0093】
(本実施例の効果)
本実施例の構成によれば、作業者が体温条件及び着用物条件(即ち所定の領域に進入するための条件)に適合するのか否かが端末装置10bによって判断される。そして、上記の条件が満たされる場合に、端末装置10bによって別体のスキャナの状態がスリープ状態から許容状態に移行される(図9のS53)。一方、上記の条件が満たされない場合に、スキャナの状態はスリープ状態に維持される。以上により、所定の領域に進入するための条件に満たない作業者が、スキャナを利用して、所定の領域で作業を行うことを抑制することができる。
【0094】
また、作業者が操作する各スキャナ32、34、36は、許容信号の受信を監視するに過ぎず、図9の様々な処理を実行する必要がない。このため、作業者が操作するスキャナ32、34、36は、高性能なCPUを備える必要がない。本実施例の構成によれば、端末装置10bを利用して、端末装置10bに比して処理能力の低いCPUを備えるスキャナ32、34、36の状態を制御することができる。
【0095】
(対応関係)
スキャナ32、34、36が、それぞれ、「対象装置(及び1つ以上の対象装置)」の一例である。スリープ状態が「禁止状態」の一例である。スキャナ32、34、36によって情報コードを読み取る操作が、「特定の操作」の一例である。
【0096】
(制御システム100の構成;図10
図10を参照して、本明細書が開示する技術の別の実施形態である制御システム100の構成について説明する。制御システム100は、制御サーバ50と、ゲート装置60と、3個の端末装置72、74、76と、を備える。制御システム100は、所定の領域(例えば、工場、事務所等)に進入する複数人の作業者と、その作業者が操作する複数個の端末装置72、74、76と、を管理するシステムである。各端末装置は、ロック状態と、許容状態と、のいずれかで動作可能である。制御サーバ50は、ゲート装置60及び各端末装置72、74、76と通信可能に構成される。なお、端末装置の個数は、3個に限らず、例えば、2個でもよいし、4個以上であってもよい。
【0097】
ゲート装置60は、所定の領域の入口に位置しており、読取部60rと、ゲートサーモ64と、ゲートカメラ62と、を備える。読取部60rは、いわゆるICカードリーダである。ゲートサーモ64は、ゲート装置60の入口側(すなわち、図1の紙面下側)に位置しており、ゲート装置60を通過して所定の領域に進入する作業者の体温を測定する。ゲートカメラ62は、ゲート装置60の出口側(すなわち、図1の紙面上側)に位置しており、ゲート装置60周辺に位置する作業者を正面から見た画像を撮像する。
【0098】
作業者W2は、所定の領域に入場する際、そのICカードC2をゲート装置60の読取部60rに近づける。これにより、読取部60rは、ICカードC2内に記録されている作業者W2を識別する作業者ID「ww」を読取り、作業者ID「ww」を制御サーバ50に送信する。読取部60rが作業者ID「ww」を読み取ると、ゲートサーモ64は、作業者W2の体温T3を計測する。その後、ゲートサーモ64は、計測した体温T3を、制御サーバ50に送信する。また、読取部60rが作業者ID「ww」を読み取ると、ゲートカメラ62は、作業者W2の正面の画像IM2を撮像する。その後、ゲートカメラ62は、撮像した画像IM2(即ち画像データ)を、制御サーバ50に送信する。
【0099】
(制御サーバ50の構成;図11
制御サーバ50は、通信I/F51と、制御部40と、を備える。通信I/F51は、ゲート装置60の各デバイス(読取部60r、ゲートカメラ62、ゲートサーモ64)及び各端末装置72、74、76との通信を実行するためのI/Fである。制御部40は、CPU42と、メモリ44と、を備える。CPU42は、メモリ44に記憶されているプログラム43に従って様々な処理を実行する。メモリ44は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ等によって構成される。メモリ44は、条件情報と、作業者テーブル46と、を記憶する。作業者テーブル46には、日付ごとに、作業者IDと、端末IDと、体温と、画像と、判断結果と、が関連付けて記憶される。なお、作業者IDと端末IDとは、例えば、所定の領域の管理者によって作業者テーブル46に予め登録される。判断結果は、後述する図12内の判断の結果を示す情報である。
【0100】
(制御サーバ50が実行する処理;図12
図12を参照して、作業者が作業を開始する前に制御サーバ50の制御部40が実行する処理について説明する。図12の処理は、読取部60rから作業者ID(例えば「ww」)を受信することをトリガとして開始される。
【0101】
S302では、制御部40は、ゲートサーモ64から体温T3を受信し、さらにゲートカメラ62から作業者W2の画像を受信する。その後、S304では、制御部40は、受信済みの作業者IDが作業者テーブル46に登録されているかを判断する。受信済みの作業者IDが作業者テーブル46に登録されていない場合(S304でNO)には、受信済みの作業者IDで識別される作業者(例えば図10のW2)が工場に進入すべきでないと判断して、制御部40は、S320以下の処理をスキップして図12の処理を終了する。
【0102】
また、受信済みの作業者IDが作業者テーブル46に登録されている場合(S304でYES)には、制御部40は、S320に進む。S320は、S302においてゲートサーモ64から受信した体温T3を利用する点を除いて、図3のT20と同様である。制御部40は、体温T3が絶対閾値Tth1より低い場合(S320でYES)には、S330に進む。一方、制御部40は、体温T3が絶対閾値Tth1以上である場合(S320でNO)には、後述するS330、S350をスキップしてS370に進む。
【0103】
S330の処理は、S302においてゲートカメラ62から受信した画像を利用する点を除いて、図3のS30と同様である。制御部40は、着用物条件が満たされると判断する場合(S330でYES)、S350に進む。一方、制御部40は、着用物条件が満たされないと判断する場合(S332でNO)、S350をスキップしてS370に進む。
【0104】
S350では、制御部40は、メモリ44内の作業者テーブル46から受信ずみの作業者IDと関連付けて記憶されている端末IDを特定する。そして、制御部40は、通信I/F51を介して、特定済みの端末IDによって識別される端末装置(例えば図10の72)に、許容信号を送信する。当該許容信号は、端末装置の状態をロック状態から許容状態に変更する情報である。これにより、端末装置の状態が、ロック状態から許容状態に移行する。作業者は、端末装置を操作して、所定の領域内で作業することができる。S350の処理が終了すると、S370に進む。
【0105】
S370では、制御部40は、受信済みの作業者IDに関連付けて、S320及びS330の判断の結果を示す判断結果を作業者テーブル46に記憶する。判断結果は、図11に示されるように、体温条件及び着用物条件の双方が満たされていることを示す値「G」と、体温条件及び着用物条件のうちの少なくとも一方が満たされていないことを示す値「N」と、のうちのいずれかの値を示す。S370の処理が終了すると、図12の処理が終了する。
【0106】
このような構成によれば、制御サーバ50を利用して、1つ以上の端末装置72、74、76の状態を制御することができる。
【0107】
(対応関係)
制御システム100、制御サーバ50が、それぞれ、「制御システム」、「制御装置」の一例である。端末装置72、74、76が、「1つ以上の対象端末」の一例である。
【0108】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0109】
(変形例1)第1の条件は、端末装置10が操作される工場の規則等に応じて、変更可能である。本変形例では、着用物条件は、作業者が、安全靴を履いているか、ヘルメットを着用しているか、適正な作業着を着ているか、安全帯を着用しているか、等を含んでもよい。また、第1の条件は、作業者の顔色を含んでもよい。
【0110】
(変形例2)第1実施例において、図3のS20及びS26の判断が実行され、S30の判断が実行されなくてもよい。また、図3のS20及びS26の判断が実行されず、S30の判断が実行さてもよい。一般的言えば、「第1の条件」は、体温条件と着用物条件とのうちの少なくとも一つを含んでいればよい。
【0111】
(変形例3)第1実施例において、図3のS20及びS26のうちのいずれか一方の判断が実行されてもよい。本変形例では、「予め設定されている閾値」及び「推移情報を利用して算出された値」とのうちのいずれかを省略可能である。また、他の変形例では、平均体温値に代えて、体温T1が平均閾値Tth2と前日の体温の和以上か否かで判断してもよい。その場合、前日の体温が、「推移情報」の一例である。
【0112】
(変形例4)図3のS2及びS4の処理は、省略可能である。本変形例では、「認証部」を省略可能である。また、他の変形例では、S2及びS4の指紋認証に代えて、虹彩等の他の生体情報を利用した生体認証によって作業者を認証してもよい。また、さらに、他の変形例では、作業者が入力するパスワードによって、作業者を認証してもよい。他の生体情報を利用した生体認証、パスワードによる認証が、「認証部」によって実現される処理の一例である。
【0113】
(変形例5)図3のS40及びS42の処理、は省略可能である。本変形例では、「第2の条件」を省略可能である。また、他の変形例では、「第2の条件」は、例えば、「マスクを着用していること」であってもよい。
【0114】
(変形例6)第1実施例におけるメモリ24内の推移情報及び第3実施例の作業者テーブル46内の日付毎の情報は、省略可能である。本変形例では、「データベース」を省略可能である。また、第1実施例において、体温T1を推移情報として記憶するタイミングは、S16のタイミングに限らず、例えば、S50の後のタイミングであってもよい。
【0115】
(変形例7)第1実施例において、図5の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「新しい作業者情報」を省略可能である。
【0116】
(変形例8)第1実施例において、図4の処理は実行されなくてもよい。本変形例では、「第1の報知部」を省略可能である。
【0117】
なお、本明細書における「下回る」は、比較する対象の値を含む場合(すなわち、対象の値以下)と、比較する対象の値を含まない場合(すなわち、対象の値より低い)と、のどちらかを示す概念である。
【0118】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0119】
2 :カメラ
2t :温度センサ
4 :表示部
6 :操作部
8 :指紋取得部
9 :通知部
10、10a、10b、72、74、76 :端末装置
11、52 :通信I/F
20、40 :制御部
22、42 :CPU
24、44 :メモリ
26 :スキャナテーブル
30、43 :プログラム
32、34、36 :スキャナ
46 :作業者テーブル
50 :制御サーバ
60 :ゲート装置
60r :読取部
62 :ゲートカメラ
64 :ゲートサーモ
100 :制御システム
図1
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