IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-通信アダプタ 図1
  • 特許-通信アダプタ 図2
  • 特許-通信アダプタ 図3
  • 特許-通信アダプタ 図4
  • 特許-通信アダプタ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】通信アダプタ
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H04Q9/00 301A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021209550
(22)【出願日】2021-12-23
(65)【公開番号】P2023094211
(43)【公開日】2023-07-05
【審査請求日】2023-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕介
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊行
(72)【発明者】
【氏名】篠原 規将
(72)【発明者】
【氏名】千原 稔
【審査官】岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-218024(JP,A)
【文献】特開2008-219782(JP,A)
【文献】特開2017-123714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置を接続可能な接続部と、
前記接続部を介して供給される電流を制限する電流制限部と、
前記電流制限部を介して電力供給を受ける通信部と、
前記電流制限部の電流制限量を制御する制御部と、
を含み、
前記電流制限部は、前記接続部に第1外部装置が接続されているときと第2外部装置が接続されているときとで電流制限量を変更
前記制御部は、前記第1外部装置及び前記第2外部装置の通信方式の違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御する、通信アダプタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1外部装置の第1通信プロトコル及び前記第2外部装置の第2通信プロトコルの違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御する、請求項に記載の通信アダプタ。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2通信プロトコルのコマンドを送信した後に前記第1通信プロトコルのコマンドを送信し、応答信号に基づいて前記接続部に前記第1外部装置又は前記第2外部装置が接続されているかを判定する、請求項に記載の通信アダプタ。
【請求項4】
前記第1外部装置の通信速度よりも前記第2外部装置の通信速度の方が速い、請求項1乃至のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項5】
前記電流制限部と前記通信部との間に接続され、前記電流制限部を介して電力供給を受けて蓄電する蓄電部をさらに含み、
前記電流制限部は、前記接続部から前記蓄電部に供給される電流を制限する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項6】
前記第2外部装置は、前記第1外部装置よりも電力供給量が多い、請求項1乃至のいずれか1項に記載の通信アダプタ。
【請求項7】
前記電流制限部は、前記第1外部装置から電力供給を受けるときよりも、前記第2外部装置から電力供給を受けるときの方が前記電流制限量を小さくする、請求項に記載の通信アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気機器(外部装置)に接続して、外部装置から電源供給を受ける通信アダプタがある。前記通信アダプタは、前記外部装置から受電する電源端子と、過負荷時に電流を制限する電流制限回路と、電荷を蓄電する充電部と、この充電部に蓄電された電荷を昇圧する昇圧回路と、通信装置とを備える。前記外部装置から受電する電源端子から前記電流制限回路を介して供給された電流を前記充電部に充電し、前記充電部の電圧を昇圧し、前記通信装置に電力を供給することを特徴とする(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-223541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の通信アダプタは、電力供給量の異なる複数の外部装置がある場合に、外部装置の種類に応じて電流制限量を変更することができない。
【0005】
そこで、電力供給量の異なる複数の外部装置の種類に応じて電流制限量を変更可能な通信アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様として、
外部装置を接続可能な接続部と、
前記接続部を介して供給される電流を制限する電流制限部と、
前記電流制限部を介して電力供給を受ける通信部と、
を含み、
前記電流制限部は、前記接続部に第1外部装置が接続されているときと第2外部装置が接続されているときとで電流制限量を変更する、通信アダプタが提供される。
【0007】
この構成によれば、電力供給量の異なる複数の外部装置の種類に応じて電流制限量を変更可能な通信アダプタを提供することができる。
【0008】
上記の通信アダプタは、
前記電流制限部の電流制限量を制御する制御部をさらに含み、
前記制御部は、前記第1外部装置及び前記第2外部装置の通信方式の違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御してもよい。
【0009】
この構成によれば、前記制御部が、前記第1外部装置及び前記第2外部装置の通信方式の違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御することができる。
【0010】
上記の通信アダプタにおいて、
前記制御部は、前記第1外部装置の第1通信プロトコル及び前記第2外部装置の第2通信プロトコルの違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御してもよい。
【0011】
この構成によれば、前記制御部が、前記第1通信プロトコル及び前記第2通信プロトコルの違いに基づいて、前記電流制限部の電流制限量を制御することができる。
【0012】
上記の通信アダプタにおいて、
前記制御部は、前記第2通信プロトコルのコマンドを送信した後に前記第1通信プロトコルのコマンドを送信し、応答信号に基づいて前記接続部に前記第1外部装置又は前記第2外部装置が接続されているかを判定してもよい。
【0013】
この構成によれば、前記制御部は、前記第2外部装置からの応答信号の有無に基づいて、前記第2外部装置が接続されているかどうかの判定を、前記第1外部装置が接続されているかどうかの判定よりも優先的に行うことができる。
【0014】
上記の通信アダプタにおいて、
前記第1外部装置の通信速度よりも前記第2外部装置の通信速度の方が速くてもよい。
【0015】
この構成によれば、より速い通信速度で、より短い時間で通信を実行可能である。
【0016】
上記の通信アダプタは、
前記電流制限部と前記通信部との間に接続され、前記電流制限部を介して電力供給を受けて蓄電する蓄電部をさらに含み、
前記電流制限部は、前記接続部から前記蓄電部に供給される電流を制限してもよい。
【0017】
この構成によれば、電力供給量の異なる複数の外部装置の種類に応じて、前記蓄電部に供給される電流に対する電流制限量を変更可能な通信アダプタを提供することができる。
【0018】
上記の通信アダプタにおいて、
前記第2外部装置は、前記第1外部装置よりも電力供給量が多くてもよい。
【0019】
この構成によれば、前記第1外部装置よりも電力供給量が多い前記第2外部装置と、前記第2外部装置よりも電力供給量が少ない前記第1外部装置との電力供給量に応じて電流制限量を変更可能な通信アダプタを提供することができる。
【0020】
上記の通信アダプタにおいて、
前記電流制限部は、前記第1外部装置から電力供給を受けるときよりも、前記第2外部装置から電力供給を受けるときの方が前記電流制限量を小さくしてもよい。
【0021】
この構成によれば、電力供給量が多い前記第2外部装置から、より多くの電力供給を受けることが可能な通信アダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】通信アダプタ100の構成の一例を示す図である。
図2】電流制限回路120の構成を示す図である。
図3】マイコン180が電力供給源を選択するために行う処理を表すフローチャートである。
図4】マイコン180が電流制限回路120の上限値を設定するための処理を表すフローチャートである。
図5】マイコン180が電力供給の遮断の発生を監視する処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の通信アダプタを適用した実施形態について説明する。
【0024】
<実施形態>
図1は、通信アダプタ100の構成の一例を示す図である。図1には、通信アダプタ100の他に、室外機10、センサ20、室内機30、建物35、ネットワーク40、及びクラウドサーバ50を示す。
【0025】
<室外機10>
室外機10は、外部装置の一例であり、空気調和機の室外機である。ここでは、外部装置が一例として室外機10である形態について説明するが、室外機10に限られるものではなく、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、建物等における室内の冷房及び暖房を行う装置、又は、内部の冷蔵又は冷凍を行うショーケースのような装置であってもよい。
【0026】
室外機10は、電力供給用の端子11Aと、データ出力用の端子11Bとを有する。端子11A及び11Bは、コネクタである。端子11Aは、ケーブル12の電源線12Aを介して通信アダプタ100の端子101Aに接続されており、室外機10は、通信アダプタ100に電力を供給する。端子101Aは、接続部の一例である。
【0027】
室外機10には、複数の種類があり、ここでは一例として2種類の室外機10A及び10Bが存在することとする。室外機10Aは第1外部装置の一例であり、室外機10Bは第2外部装置の一例である。以下では室外機10A及び10Bを特に区別しない場合には単に室外機10と称す。室外機10A及び10Bは、通信アダプタ100と通信する際の通信プロトコルが異なり、室外機10Aは第1通信プロトコルで通信アダプタ100とデータ通信を行い、室外機10Bは第2通信プロトコルで通信アダプタ100とデータ通信を行う。一例として、室外機10Bは、室外機10Aよりも新しいタイプの室外機であり、通信アダプタ100に対する電流供給量が室外機10Aよりも多い。通信アダプタ100の端子11A及び11Bには、室外機10A及び10Bのいずれか一方を接続することができる。このため、図1には符号10に括弧書きで10A or 10Bと記す。
【0028】
ケーブル12は、電源用の電源線12Aと、データ通信用の通信線12Bとを含む1本のケーブルである。電源線12Aと通信線12Bとは、一例として実際には2本ずつある。端子11Bは、ケーブル12の通信線12Bを介して通信アダプタ100の端子101Bに接続されるとともに、データケーブルを介して、室外機10の制御部と、複数の室内機30の制御部とに接続されている。
【0029】
室外機10は、室外機10及び複数の室内機30の稼働状況を表す稼働状況データを通信アダプタ100に出力する。端子101A及び101Bは、一例として1つのコネクタに含まれる2つの端子である。なお、電源線12Aと通信線12Bとを含む1本のケーブル12の代わりに、電源線12A用のケーブルと、通信線12B用のケーブルとが別々のケーブルである構成であってもよい。
【0030】
室外機10は、建物35の外側に設けられており、建物35の内側に設けられる複数の室内機30と冷媒配管及びデータケーブルを介して接続されている。ここでは、1つの室外機10に複数の室内機30が接続される構成を示すが、1つの室外機10に接続される室内機30の数は1つであってもよい。各室内機30は、一例として、冷暖房機能と、換気機能とを有している。なお、建物35は、ビル又は倉庫等のような室内空間を有する建造物であってもよく、ビニールハウスのような室内空間を有する建造物であってもよい。
【0031】
<センサ20>
センサ20は、情報収集機器の一例である。センサ20は、一例として建物35の内部に設けられている。センサ20は、例えば、建物35の室内の温度、湿度、振動、音等を検出するセンサである。以下では、一例として、センサ20が建物35の室内の温度を検出するものとして説明する。
【0032】
また、ここでは情報収集機器の一例がセンサ20である形態について説明するが、情報収集機器の一例は、例えばカメラのように画像を取得する撮像装置であってもよい。また、ここではセンサ20が建物35の内部に設けられている形態について説明するが、センサ20は、建物35の外部に設けられていてもよい。
【0033】
センサ20は、電力供給用の端子21Aと、データ出力用の端子21Bとを有する。端子21A及び21Bは、コネクタである。端子21Aは、ケーブル22の電源線22Aを介して通信アダプタ100の端子102Aに接続されており、センサ20は、通信アダプタ100に電力を供給する。
【0034】
ケーブル22は、電源用の電源線22Aと、データ通信用の通信線22Bとを含む1本のケーブルである。電源線22Aと通信線22Bとは、一例として実際には2本ずつある。端子21Bは、ケーブル22の通信線22Bを介して通信アダプタ100の端子102Bに接続されるとともに、データケーブルを介して、センサ20の制御部に接続されている。
【0035】
センサ20は、建物35の室内の温度を表す情報(温度データ)を通信アダプタ100に出力する。端子102A及び102Bは、一例として1つのコネクタに含まれる2つの端子である。なお、電源線22Aと通信線22Bとを含む1本のケーブル22の代わりに、電源線22A用のケーブルと、通信線22B用のケーブルとが別々のケーブルである構成であってもよい。
【0036】
<室外機10とセンサ20の通信形式>
室外機10及びセンサ20は、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)形式のシリアル通信で通信アダプタ100とデータ通信を行う。
【0037】
<室外機10A及び10Bとセンサ20の電力供給量>
センサ20が通信アダプタ100に対して電力供給が可能な電力量(電力供給量)は、室外機10Aが通信アダプタ100に対して電力供給が可能な電力量(電力供給量)よりも多く、室外機10Bが通信アダプタ100に対して電力供給が可能な電力量(電力供給量)と等しい。センサ20及び室外機10Bが通信アダプタ100に出力する電流量は、一例として220mAであり、室外機10Aが通信アダプタ100に出力する電流量は、一例として60mAである。
【0038】
通信アダプタ100には、室外機10及びセンサ20の両方が接続される場合の他に、室外機10及びセンサ20のいずれか一方が接続される場合がある。また、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20の両方、又は、いずれか一方が接続されていても、停電や配線用遮断器の遮断等による電力供給の遮断により、通信アダプタ100に電力が供給されなくなる場合が有り得る。
【0039】
以下では、特に断らない限り、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20の両方が接続されていることとする。また、例えば、建物35が停電になった場合には室外機10及びセンサ20への電力供給が同時になくなる。その一方で、建物35の内部において、室外機10に接続される配線用遮断器が遮断されて、センサ20に接続されている配線用遮断器が遮断されていない場合には、室外機10への電力供給が遮断され、センサ20への電力供給が遮断されない場合がある。また、これとは逆に、建物35の内部において、センサ20に接続される配線用遮断器が遮断されて、室外機10に接続されている配線用遮断器が遮断されていない場合には、センサ20への電力供給が遮断され、室外機10への電力供給が遮断されない場合がある。
【0040】
<クラウドサーバ50>
クラウドサーバ50は、外部の管理装置の一例であり、インターネット等のネットワーク40を通じて、通信アダプタ100の通信モジュール150とデータ通信が可能である。クラウドサーバ50は、1又は複数のコンピュータシステムによって実現され、例えば、室外機10及び複数の室内機30の稼働状況を表す稼働状況データ、又は、センサ20で取得された温度データを通信アダプタ100から受信する。また、クラウドサーバ50は、いずれかの室内機30の利用者のスマートフォン等の端末機から、いずれかの室内機30を遠隔的に操作する操作信号を受信し、ネットワーク40を介して通信アダプタ100に送信する。この結果、通信アダプタ100は、受信した操作信号を室外機10に伝送し、操作信号に応じて室外機10及び室内機30が駆動される。なお、クラウドサーバ50は、スマートフォン等の端末機からの室内機30の遠隔的な操作に対応していなくてもよい。
【0041】
<通信アダプタ100の構成>
通信アダプタ100は、筐体100A、端子101A、端子101B、端子102A、端子102B、A/Dコンバータ103、遮断SW(switch)104、結合回路105、電圧検知部106、通信I/F(interface)107、及びロードSW(switch)108を含む。通信アダプタ100は、さらに、DC(Direct Current)/DCコンバータ110、電流制限回路120、及びEDLC(Electrical Double Layer Capacitor:電気二重層キャパシタ)130を含む。通信アダプタ100は、さらに、DC/DCコンバータ140、通信モジュール150、スイッチ回路160、LDO(Low Drop Out)170、マイコン(Micro Computer)180、及び電源電圧変換回路190を含む。
【0042】
これらのうち、遮断SW104は遮断スイッチの一例である。通信I/F107は通信インターフェイスの一例である。電流制限回路120は、電流制限部の一例である。EDLC130は蓄電部の一例である。DC/DCコンバータ140は昇圧部の一例である。通信モジュール150は通信部の一例である。マイコン180は制御部の一例である。
【0043】
<通信アダプタ100の動作の概略>
通信アダプタ100は、室外機10及びセンサ20の両方が接続されている場合には、センサ20から電力供給を受け、室外機10からは電力供給を受けない。これは、室外機10A又は10Bのどちらが通信アダプタ100に接続されている場合でも同様である。また、通信アダプタ100は、センサ20のみが接続されている場合にはセンサ20のみから電力供給を受ける。通信アダプタ100は、センサ20から電力供給を受ける場合には、電流制限回路120の電流制限量を小さく(電流の上限値を高く)する。
【0044】
また、通信アダプタ100は、室外機10のみが接続されている場合には室外機10から電力供給を受ける。室外機10A及び10Bは電力供給量が異なるため、室外機10Bから電力供給を受ける場合には、室外機10Aから電力供給を受ける場合よりも電流制限回路120の電流制限量を小さく(電流の上限値を高く)する。
【0045】
通信アダプタ100の通信モジュール150は、通信アダプタ100に室外機10が接続されている場合には、一例として一定時間間隔で室外機10及び複数の室内機30の稼働状況データをクラウドサーバ50に送信する。これにより、クラウドサーバ50では、室外機10及び複数の室内機30の稼働状況を把握することができる。
【0046】
また、通信アダプタ100の通信モジュール150は、通信アダプタ100にセンサ20が接続されている場合には、一例として一定時間間隔で、センサ20によって検出される建物35の室内の温度を表す温度データをクラウドサーバ50に送信する。これにより、クラウドサーバ50では、建物35の室内の温度を把握することができる。なお、ここでは一定時間間隔で通信モジュール150が稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に送信する形態について説明するが、一定時間間隔ではなくてもよく、任意のタイミングで送信してもよい。
【0047】
また、通信アダプタ100からのデータ送信が途絶えると、クラウドサーバ50側ではデータ送信が途絶えた原因がメンテナンスや停電等による電力供給の遮断が原因であるのか、通信障害等が原因であるかを認識できない。このため、通信アダプタ100は、室外機10及びセンサ20からの電力供給の遮断が発生したときには、電力供給の遮断が発生したことを表す遮断発生データをネットワーク40を介してクラウドサーバ50に送信する。また、通信アダプタ100は、室外機10のみが接続されている場合に、室外機10からの電力供給の遮断が発生したときにも、遮断発生データをクラウドサーバ50に送信する。また、通信アダプタ100は、センサ20のみが接続されている場合に、センサ20からの電力供給の遮断が発生したときにも、遮断発生データをクラウドサーバ50に送信する。
【0048】
通信アダプタ100への電力供給が遮断されるのは、例えば、建物35のメンテナンスのときに建物35全体の電源が遮断される場合や、停電等によって建物35に電力が供給されなくなる場合等である。
【0049】
<端子101A>
端子101Aは、室外機10から電力供給を受ける端子であり、通信アダプタ100の外部では、ケーブル12の電源線12Aを介して室外機10の端子11Aに接続されている。端子101Aは、例えば、コネクタで実現される端子11Aに接続可能なコネクタである。なお、ここでは端子101Aがコネクタである形態について説明するが、端子101Aの代わりに、例えばケーブル12を直接的に接続可能な端子台を用いてもよい。この場合には、端子101Bについても端子台を代わりに用いればよい。
【0050】
室外機10から供給される電力は、直流電力であり、一例として電圧値及び電流値が所定値に設定されている。なお、端子101Aは、室外機10以外の外部装置から電力供給を受けてもよい。この場合に、端子101Bには、室外機10以外の外部装置から、室外機10や室内機30の稼働状況を表す稼働状況データが入力されてもよい。また、通信アダプタ100は、室外機10以外の外部装置からの電力供給の遮断が発生したときに、ネットワーク40を介して遮断発生データをクラウドサーバ50に送信すればよい。
【0051】
端子101Aは、通信アダプタ100の内部では、A/Dコンバータ103と遮断SW104の入力端子104Aに接続されている。端子101Aに室外機10から供給される電力は、A/Dコンバータ103と遮断SW104に出力される。端子101Aは、通信アダプタ100が外部から電力供給を受けることができる端子である。
【0052】
<端子101B>
端子101Bは、室外機10及び複数の室内機30の稼働状況を表す稼働状況データが室外機10から入力されるデータ入力端子であり、通信アダプタ100の外部では、ケーブル12の通信線12Bを介して室外機10の端子11Bに接続されている。端子101Bは、例えば、コネクタで実現される端子11Bに接続可能なコネクタである。端子101Bは、通信アダプタ100の内部では、マイコン180の端子187に接続されており、稼働状況データをマイコン180に伝送する。
【0053】
<端子102A>
端子102Aは、センサ20から電力供給を受ける端子であり、通信アダプタ100の外部では、ケーブル22の電源線22Aを介してセンサ20の端子21Aに接続されている。端子102Aは、例えば、コネクタで実現される端子21Aに接続可能なコネクタである。なお、ここでは端子102Aがコネクタである形態について説明するが、端子102Aの代わりに、例えばケーブル22を直接的に接続可能な端子台を用いてもよい。この場合には、端子102Bについても端子台を代わりに用いればよい。
【0054】
センサ20から供給される電力は、直流電力であり、一例として電圧値及び電流値が所定値に設定されている。なお、端子102Aは、センサ20以外の外部装置から電力供給を受けてもよい。この場合に、端子102Bには、センサ20以外の外部装置から、温度データ等が入力されもよい。また、通信アダプタ100は、センサ20以外の外部装置からの電力供給の遮断が発生したときに、ネットワーク40を介して遮断発生データをクラウドサーバ50に送信すればよい。
【0055】
端子102Aは、通信アダプタ100の内部では、結合回路105の電源端子105A1と電圧検知部106の入力端子とに接続されている。端子102Aにセンサ20から供給される電力は、結合回路105の電源端子105A1と電圧検知部106に出力される。端子102Aは、通信アダプタ100が外部から電力供給を受けることができる端子である。
【0056】
<端子102B>
端子102Bは、センサ20から温度データが入力されるデータ入力端子であり、通信アダプタ100の外部では、ケーブル22の通信線22Bを介してセンサ20の端子21Bに接続されている。端子102Bは、例えば、コネクタで実現される端子21Bに接続可能なコネクタである。端子102Bは、通信アダプタ100の内部では、通信I/F107の入力端子に接続されており、温度データを通信I/F107に出力する。
【0057】
<筐体100A>
筐体100Aは、一例として、A/Dコンバータ103、遮断SW104、結合回路105、電圧検知部106、通信I/F107、及びロードSW108を内蔵する樹脂製等のケースである。筐体100Aは、さらに、DC/DCコンバータ110、電流制限回路120、EDLC130、DC/DCコンバータ140、通信モジュール150、スイッチ回路160、LDO170、マイコン180、及び電源電圧変換回路190を内蔵する。筐体100Aは、通信モジュール150がネットワーク40を介してクラウドサーバ50と通信できるように構成されるとともに、端子101A、101B、102A、及び102Bを外部に露出させて保持する。
【0058】
通信アダプタ100は、一例として、ケーブル12を介して端子101A、101Bを室外機10の端子11A、11Bに接続するだけで、室外機10に対して容易に接続可能である。この場合に、筐体100Aを室外機10に固定してもよい。また、通信アダプタ100は、一例として、ケーブル22を介して端子102A、102Bをセンサ20の端子21A、21Bに接続するだけで、センサ20に容易に接続可能である。
【0059】
<A/Dコンバータ103>
A/Dコンバータ103は、端子101Aに接続される入力端子103Aと、マイコン180の信号入力端子185Aに接続される出力端子103Bとを有する。A/Dコンバータ103は、室外機10から端子101Aから入力される電力の電圧値をデジタル値に変換して電圧信号としてマイコン180に出力する。
【0060】
<遮断SW104>
遮断SW104は、端子101Aに接続される入力端子104Aと、結合回路105のダイオード105Bのアノードに接続される出力端子104Bと、マイコン180に接続される制御端子104Cとを有し、マイコン180から入力される制御信号によって、導通状態と遮断状態とが切り替えられる。遮断SW104が遮断状態になると、端子101Aから入力される電力は、EDLC130及びマイコン180に供給されなくなる。
【0061】
<結合回路105>
結合回路105は、ダイオード105A、105Bと、電源端子105A1とを有する。結合回路105は、室外機10及びセンサ20のいずれか一方から供給される電力を出力する回路である。ダイオード105A、105Bのアノードは、結合回路105の2つの入力端子であり、ダイオード105A、105Bのカソードは、結合回路105の出力端子である。
【0062】
ダイオード105Aのアノードは電源端子105A1に接続されており、電源端子105A1は端子102Aに接続されている。このため、ダイオード105Aには、センサ20から端子102Aに供給される電力が入力される。ダイオード105Aのカソードは、ダイオード105Bのカソードと接続され、ダイオード105BのカソードとともにDC/DCコンバータ110の入力端子111と、電源電圧変換回路190の入力端子191とに接続されている。
【0063】
ダイオード105Bのアノードは遮断SW104の出力端子104Bに接続され、カソードは、ダイオード105AのカソードとともにDC/DCコンバータ110の入力端子111に接続されている。ダイオード105A及び105Bは、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20の両方が接続されている場合に、両方の電力の電圧値の違いによって、逆流が生じないようにするために設けられている。
【0064】
端子101A、101Bに室外機10が接続されるとともに、端子102A、102Bにセンサ20が接続されているときには、遮断SW104が遮断状態になり、結合回路105にはセンサ20から電力が入力される。この場合には、結合回路105は、センサ20から供給される電力をDC/DCコンバータ110及び電源電圧変換回路190に出力する。
【0065】
端子101A、101Bに室外機10が接続されていて、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていないときには、遮断SW104が導通状態になり、結合回路105には室外機10から電力が入力される。この場合には、結合回路105は、室外機10から供給される電力をDC/DCコンバータ110及び電源電圧変換回路190に出力する。
【0066】
<電圧検知部106>
電圧検知部106は、端子102Aに接続される入力端子106Aと、マイコン180の信号入力端子185Aに接続される出力端子106Bとを有する。電圧検知部106は、一例として電圧コンパレータ回路で実現されており、マイコン180に検知信号を出力する。検知信号は、電圧検知部106の検知結果を表す。
【0067】
電圧検知部106は、センサ20から端子102Aに入力される電力の電圧が所定の閾値以上であればH(High)レベルの検知信号を出力し、センサ20から端子102Aに入力される電力の電圧が所定の閾値未満であればL(Low)レベルの検知信号を出力する。検知信号は、通信アダプタ100にセンサ20が接続されているかどうかをマイコン180が判定する際に用いられる。なお、電圧検知部106の検知結果の代わりに、通信I/F107とセンサ20との通信状態に基づいて、通信アダプタ100にセンサ20が接続されているかどうかの判断をマイコン180が行ってもよい。
【0068】
<通信I/F107>
通信I/F107は、端子102Bに接続される端子107Aと、マイコン180の端子187に接続される端子107Bと、ロードSW108に接続される制御端子107Cとを有し、ロードSW108から制御端子107Cに入力される切替信号によって電源のオン/オフが切り替えられる。通信I/F107は、一例としてRS485ドライバで実現可能であり、マイコン180との間で双方向の通信が可能である。通信I/F107は、電源がオンの状態において、センサ20から端子102Bに入力される温度データのデータ形式をシングルエンドから差動信号に変換してマイコン180に出力する。また、通信I/F107は、マイコン180から入力されるコマンド等のデータ形式を差動信号からシングルエンドに変換してセンサ20に出力する。
【0069】
<ロードSW108>
ロードSW108は、マイコン180の端子189に接続される入力端子108Aと、通信I/F107の制御端子107Cに接続される出力端子108Bとを有する。ロードSW108は、マイコン180から入力される制御信号に応じて、通信I/F107の電源のオン/オフを切り替える切替信号を出力する。ロードSW108は、端子102A、102Bにセンサ20が接続されているときには、切替信号で通信I/F107の電源をオンにする。通信I/F107が温度データのデータ形式をシングルエンドから差動信号に変換してマイコン180に出力できるようにするためである。また、ロードSW108は、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていないときには、切替信号で通信I/F107の電源をオフにする。通信I/F107は、端子102A、102Bにセンサ20が接続されずに温度データが入力されていない状態においても、ある程度の電力を消費するため、消費電力を低減するためである。
【0070】
<DC/DCコンバータ110>
DC/DCコンバータ110は、入力端子111及び出力端子112を有する。DC/DCコンバータ110は、結合回路105と、電流制限回路120及びスイッチ回路160との間に設けられている。より具体的には、入力端子111は結合回路105のダイオード105A及び105Bのカソードに接続され、出力端子112には、電流制限回路120の入力端子121とスイッチ回路160の入力端子161とが接続されている。DC/DCコンバータ110は、結合回路105を介して室外機10又はセンサ20から供給される電力の電圧値を昇圧して電流制限回路120及びスイッチ回路160に出力する。
【0071】
<電流制限回路120>
電流制限回路120は、入力端子121、出力端子122、及び制御端子123を有する。電流制限回路120は、DC/DCコンバータ110とEDLC130との間に設けられている。より具体的には、電流制限回路120の入力端子121は、DC/DCコンバータ110の出力端子112に接続されており、電流制限回路120の出力端子122は、EDLC130の入出力端子131と、DC/DCコンバータ140の入力端子141とに接続されている。また、制御端子123は、マイコン180の制御端子184に接続されている。
【0072】
電流制限回路120は、DC/DCコンバータ110からEDLC130に供給される直流電力の電流値の上限値を第1上限値及び第2上限値のいずれか一方に制限して出力する回路である。第2上限値は、第1上限値よりも大きく、電流制限回路120によって電流が制限される量を表す電流制限量が小さい。電流制限量が小さいことは、電流制限回路120から出力される電流量が多いことを意味する。
【0073】
電流制限回路120が電流値を制限する際の上限値は、マイコン180の制御端子184から制御端子123に入力される制御信号によって第1上限値及び第2上限値のいずれか一方に設定される。電流制限回路120は、電流の上限値を設定するIC(Integrated Circuit)を含む。電流制限回路120の具体的な構成については、図2を用いて説明する。
【0074】
<電流制限回路120の構成>
図2は、電流制限回路120の構成を示す図である。電流制限回路120は、図1に示す入力端子121、出力端子122、及び制御端子123の他に、IC120A、FET(Field Effect Transistor)124、及び抵抗器R1、R2を有する。入力端子121、出力端子122、及び制御端子123は、DC/DCコンバータ110、EDLC130、マイコン180に接続されている(図1参照)。
【0075】
IC120Aは、入力端子121、出力端子122、及び制御端子123に接続される端子121A、122A、123Aを有する。端子123Aには、抵抗器R1、R2が接続される。抵抗器R1は、端子123Aと抵抗器R2とを結ぶ線路から分岐してグランド(接地電位点)との間に接続されている。
【0076】
抵抗器R2の端子123Aに接続される端子とは反対側の端子には、FET124のドレインが接続されている。FET124のソースはグランド(接地電位点)に接続されており、ゲートは制御端子123に接続されている。
【0077】
このような電流制限回路120において、マイコン180から制御端子123にHレベルの制御信号が入力されると、FET124がオンになり、端子123Aとグランドとの間には、抵抗器R1、R2が並列に接続される状態になる。
【0078】
マイコン180から制御端子123にLレベルの制御信号が入力されると、FET124がオフになり、端子123Aとグランド(接地電位点)との間には、抵抗器R1のみが接続される状態になる。この状態では、抵抗器R2は浮遊しており、端子123Aとグランド(接地電位点)との間には接続されていない。
【0079】
端子123Aとグランドとの間に抵抗器R1、R2が並列に接続された状態では、端子123Aとグランドとの間に抵抗器R1のみが接続された状態に比べて、端子123Aとグランドとの間の抵抗値が小さい。
【0080】
このように、制御端子123に入力する制御信号をHレベル又はLレベルに切り替えることにより、端子123Aとグランドとの間の抵抗値を変化させることができる。IC120Aは、端子123Aとグランドとの間の抵抗値の変化に応じて、DC/DCコンバータ110から端子121Aに入力される電流を端子122Aに通流させる際の上限値を第1上限値及び第2上限値のいずれか一方に設定する。一例として、制御端子123に入力される制御信号がHレベルの場合には電流の上限値を220mA(第2上限値)に設定し、制御端子123に入力される制御信号がLレベルの場合には電流の上限値を60mA(第1上限値)に設定する。マイコン180は、室外機10B又はセンサ20から電力供給を受けているときには電流制限回路120の制御端子123に出力する制御信号をHレベルに設定し、室外機10Aから電力供給を受けているときには電流制限回路120の制御端子123に出力する制御信号をLレベルに設定する。
【0081】
<EDLC130>
EDLC130(図1参照)は、電流制限回路120とDC/DCコンバータ140との間の電力伝送路に接続される入出力端子131を有する。入出力端子131は電流制限回路120の出力端子122と、DC/DCコンバータ140の入力端子141とに接続されている。また、入出力端子131は、マイコン180の端子186にも接続されている。EDLC130は、電流制限回路120から供給される直流電力を蓄電する。EDLC130の出力電圧は、EDLC130が蓄電する電荷量に比例する。EDLC130の出力電圧は、マイコン180の端子186にも監視用に入力されており、マイコン180によって監視される。
【0082】
EDLC130は、通信アダプタ100への供給電力が遮断されたときに、通信モジュール150がクラウドサーバ50に通知を行うために利用する電力を蓄電するために設けられている。しかしながら、EDLC130は、電流制限回路120の出力側に設けられていて供給される電流量が制限されているため、電力供給の遮断が発生したときに、通信モジュール150及びマイコン180が制限なしに利用可能なほどの電力を蓄電することはできない。このため、通信アダプタ100は、電力供給の遮断が発生したときに、通信モジュール150及びマイコン180の動作に制限を課する。
【0083】
<DC/DCコンバータ140>
DC/DCコンバータ140(図1参照)は、入力端子141、出力端子142、及び端子143を有する。DC/DCコンバータ140は、電流制限回路120と、EDLC130と、通信モジュール150と、スイッチ回路160と接続されている。より具体的には、入力端子141は、電流制限回路120の出力端子122と、EDLC130の入出力端子131とに接続され、出力端子142は、通信モジュール150の電力入力端子151と、スイッチ回路160の入力端子162とに接続されている。
【0084】
DC/DCコンバータ140は、EDLC130の出力電圧を通信モジュール150の動作に必要な電圧に昇圧するために設けられている。DC/DCコンバータ140は、マイコン180の端子188から端子143に入力される制御信号によって制御される。すなわち、DC/DCコンバータ140は、マイコン180によって制御される。
【0085】
<通信モジュール150>
通信モジュール150(図1参照)は、DC/DCコンバータ140の出力側に設けられている。通信モジュール150は、電力入力端子151と通信端子152とを有する。電力入力端子151は、DC/DCコンバータ140の出力端子142に接続され、通信モジュール150が動作するために必要な直流電力が入力される。通信端子152は、通信用のI/F(Interface)であり、マイコン180の通信端子181に接続され、マイコン180との間でデータの入出力を行う。稼働状況データ及び温度データは、マイコン180の通信端子181から通信端子152に入力される。
【0086】
通信モジュール150は、一例として、LTE(Long Term Evolution)でネットワーク40を介してクラウドサーバ50と通信を行う。通信モジュール150は、電力供給の遮断が発生していない通常時には、一定時間間隔で、室外機10及び複数の室内機30の稼働状況データと、センサ20によって取得される温度データとをネットワーク40を介してクラウドサーバ50に送信する。また、通信モジュール150は、電力供給の遮断が発生したときには、電力供給の遮断が発生したことを表す遮断発生データをネットワーク40を介してクラウドサーバ50に送信する。遮断発生データは、マイコン180の通信端子181から通信端子152に入力される。
【0087】
<スイッチ回路160>
スイッチ回路160(図1参照)は、DC/DCコンバータ110とLDO170との間に設けられるとともに、DC/DCコンバータ140とLDO170との間に設けられる。スイッチ回路160は、入力端子161、入力端子162、出力端子163、及び制御端子164を有する三端子スイッチである。スイッチ回路160は、一例として、2つの逆流防止機能付きのLDOによって構成される。入力端子161は、DC/DCコンバータ110の出力端子112に接続され、入力端子162は、DC/DCコンバータ140の出力端子142に接続される。出力端子163は、LDO170の入力端子171に接続され、制御端子164は、マイコン180の制御端子182に接続されている。
【0088】
スイッチ回路160は、マイコン180から制御端子164に入力される制御信号に基づいて、出力端子163の接続先を入力端子161と入力端子162とのいずれか一方に切り替える。このため、スイッチ回路160は、DC/DCコンバータ110の出力電圧と、DC/DCコンバータ140の出力電圧とのいずれか一方をLDO170に出力する。なお、スイッチ回路160は、2つのLDOがともにオンになるタイミングがあってもよく、DC/DCコンバータ110の出力電圧と、DC/DCコンバータ140の出力電圧との両方をLDO170に出力するタイミングがあってもよい。
【0089】
<LDO170>
LDO170(図1参照)は、スイッチ回路160とマイコン180との間に設けられている。LDO170は、入力端子171と出力端子172とを有する。入力端子171は、スイッチ回路160の出力端子163に接続され、出力端子172は、マイコン180の電源端子183に接続されている。LDO170は、DC/DCコンバータ110と、DC/DCコンバータ140とのいずれか一方から供給される直流電力の電圧値をマイコン180用の電源電圧に低下させて出力する。
【0090】
<マイコン180>
マイコン180(図1参照)は、通信アダプタ100の全体の制御を行う制御部である。マイコン180は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力インターフェイス、及び内部バス等を含むコンピュータによって実現される。
【0091】
マイコン180は、通信端子181、制御端子182、電源端子183、制御端子184、信号入力端子185、信号入力端子185A、端子186、端子187、端子188、及び端子189を有する。通信端子181は、通信モジュール150の通信端子152に接続されている。制御端子182は、スイッチ回路160の制御端子164に接続されている。電源端子183は、LDO170の出力端子172に接続されている。制御端子184は、電流制限回路120の制御端子123に接続されている。信号入力端子185は、電源電圧変換回路190の出力端子192に接続されている。
【0092】
信号入力端子185Aは、実際には2つの端子があり、A/Dコンバータ103の出力端子103Bと、電圧検知部106の出力端子106Bとに接続されている。端子186は、EDLC130の入出力端子131に接続されている。端子187は、実際には2つの端子があり、端子101Bと、通信I/F107の端子107Bとに接続されており、端子101B及び端子107Bから一定時間間隔で稼働状況データ及び温度データが入力される。
【0093】
端子187は、データ入出力端子であり、実際には端子101Bと、通信I/F107の端子107Bとに接続される2つの端子がある。端子188は、DC/DCコンバータ140の端子143に接続されており、DC/DCコンバータ140に制御信号を出力する。端子189は、実際には2つの端子があり、遮断SW104の制御端子104Cと、ロードSW108の入力端子108Aとに接続されており、遮断SW104及びロードSW108を制御するための制御信号を出力する。なお、マイコン180の動作の詳細については、後述する。
【0094】
<電源電圧変換回路190>
電源電圧変換回路190(図1参照)は、入力端子191及び出力端子192を有する。入力端子191は、結合回路105のダイオード105A及び105Bのカソード(結合回路105の出力端子)に接続されており、出力端子192は、マイコン180の信号入力端子185に接続されている。電源電圧変換回路190は、一例としてリセットIC(Integrated Circuit)で構成され、結合回路105の出力端子における直流電力の電圧値を監視し、電圧値に応じた信号レベルの電圧監視信号をマイコン180に出力する。電源電圧変換回路190は、結合回路105の出力端子における直流電力の電圧値が所定値よりも大きいときは、Hレベルの電圧監視信号を出力し、直流電力の電圧値が所定値以下のときは、Lレベルの電圧監視信号を出力する。
【0095】
次に、マイコン180の動作について説明する。
【0096】
<マイコン180による電力供給源の選択>
マイコン180は、一例として、電力供給源を選択するために、通信アダプタ100に室外機10又はセンサ20が接続されていることを次のように判定する。
【0097】
A/Dコンバータ103が出力する電圧信号が表す電圧値は、室外機10が端子101Aに接続されているかどうかによって変化する。室外機10が端子101Aに接続されていれば、室外機10は端子101Aを通じて電力供給を行うからである。ここでは、室外機10から端子101Aに電力供給が行われていることは、端子101A、101Bに室外機10が接続されていることと同義と扱って説明する。
【0098】
マイコン180は、A/Dコンバータ103から入力される電圧信号の電圧値が所定の閾値以上であれば、端子101A、101Bに室外機10が接続されていると判定し、電圧信号の電圧値が所定の閾値未満であれば、端子101A、101Bに室外機10が接続されていないと判定する。これは、室外機10が室外機10A又は10Bのどちらであっても同様である。
【0099】
電圧検知部106が出力する検知信号の信号レベルは、センサ20が端子102Aに接続されているかどうかによって変化する。センサ20が端子102Aに接続されていれば、センサ20は端子102Aを通じて電力供給を行うからである。ここでは、センサ20から端子102Aに電力供給が行われていることは、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていることと同義と扱って説明する。
【0100】
マイコン180は、電圧検知部106から入力される検知信号がHレベルであれば、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていると判定し、検知信号がLレベルであれば、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていないと判定する。
【0101】
マイコン180は、通信アダプタ100にセンサ20が接続されていると判定した場合には、遮断SW104を遮断状態(オフ)にするための制御信号を出力し、センサ20から電力供給を受ける。これは、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20の両方が接続されている場合にも同様であり、遮断SW104を遮断状態(オフ)にするための制御信号を出力し、センサ20から電力供給を受ける。この場合には、センサ20が電力供給源として選択されるため、センサ20から電力供給を受け、室外機10からは電力供給を受けない。これは、室外機10が室外機10A又は10Bのどちらであっても同様である。一例として、センサ20からの電流供給を優先するためである。
【0102】
また、マイコン180は、通信アダプタ100に室外機10のみが接続されていると判定した場合には、遮断SW104を導通状態(オン)にするための制御信号を出力し、室外機10から電力供給を受ける。
【0103】
<マイコン180による電流制限回路120の上限値の設定>
マイコン180は、電圧検知部106から入力される検知信号がHレベルであれば、センサ20から電力供給を受けるために、電流制限回路120の電流制限量を小さく(電流の上限値を高く)する。また、マイコン180は、電圧検知部106から入力される検知信号がLレベルであれば、通信アダプタ100と室外機10A及び10Bとの通信方式の違いに応じて電流制限回路120の上限値を設定する。室外機10Aは第1通信プロトコルでマイコン180とデータ通信を行い、室外機10Bは第2通信プロトコルでマイコン180とデータ通信を行う。通信方式の違いは、第1通信プロトコルと第2通信プロトコルとの違いである。室外機10Bの通信速度は、室外機10Aの通信速度よりも速い。第1通信プロトコル又は第2通信プロトコルへのデータの変換は、マイコン180が行う。
【0104】
マイコン180は、一例として、通信アダプタ100に室外機10A及び10Bのいずれが接続されているかを判定するために、まず、端子101Bに第2通信プロトコルのコマンドを送信する。そして、次に、端子101Bに第1通信プロトコルのコマンドを送信する。マイコン180は、室外機10A又は10Bからの応答信号に基づいて、通信アダプタ100の端子101A及び101Bに室外機10A又は10Bのいずれが接続されているかを判定する。
【0105】
この場合に、マイコン180は、端子101Bに対して第2通信プロトコルのコマンドを送信してから、室外機10Bからの応答信号を所定時間だけ待機し、室外機10Bから応答信号がない場合に端子101Bに対して第1プロトコルのコマンドを送信してもよい。また、マイコン180は、端子101Bに対して第2通信プロトコルのコマンドを送信した後に、所定時間待機せずに端子101Bに対して第1プロトコルのコマンドを送信してもよい。所定時間は、センサ20がコマンドに応答して送信した応答信号がマイコン180に到達するまでの所要時間に、所定のマージン時間を付加した時間であり、十分に短い時間である。
【0106】
マイコン180は、室外機10Bから応答信号を受信した場合には、通信アダプタ100に室外機10Bが接続されていると判定し、Hレベルの制御信号を電流制限回路120に出力する。電流制限回路120の電流の上限値は、Hレベルの制御信号によって高い方の第2上限値(220mA)に設定される。通信アダプタ100に室外機10Bが接続されている場合には、通信アダプタ100は室外機10Bから電力供給を受けるため、電力供給量の多い室外機10Bに合わせて電流制限回路120の電流の上限値を高く設定する。
【0107】
マイコン180は、室外機10Bから応答信号を受信せずに室外機10Aから応答信号を受信した場合には、通信アダプタ100に室外機10Aが接続されていると判定し、Lレベルの制御信号を電流制限回路120に出力する。電流制限回路120の電流の上限値は、Lレベルの制御信号によって低い方の第1上限値(60mA)に設定される。
【0108】
なお、ここでは、室外機10A及び10Bの通信アダプタ100への接続を第1プロトコルと第2通信プロトコルとの相違に基づいて判定する形態について説明したが、通信プロトコル以外の通信方式の相違に基づいて判定してもよい。例えば、室外機10A及び10Bの機種情報に基づいて、通信アダプタ100への接続を判定してもよい。
【0109】
また、ここでは、一例として、電圧検知部106から入力される検知信号がLレベルであるときに、通信アダプタ100と室外機10A及び10Bとの通信方式の違いに応じてマイコン180が電流制限回路120の上限値を設定する形態について説明した。しかしながら、マイコン180が通信方式の違いに応じて電流制限回路120の上限値を設定する際に、電圧検知部106から入力される検知信号がLレベルであることは必須の前提条件ではない。例えば、通信アダプタ100がセンサ20よりも室外機10(10A又は10B)からの電流供給を優先する場合には、マイコン180は、電圧検知部106から入力される検知信号がHレベルであっても、通信方式の違いに応じて電流制限回路120の上限値を設定すればよい。また、例えば、通信アダプタ100が、室外機10(10A又は10B)のみが接続可能で、端子102A、102B、電圧検知部106、通信I/F107、及びロードSW108等を含まずにセンサ20が接続されない構成である場合には、マイコン180は、通信方式の違いのみに応じて電流制限回路120の上限値を設定すればよい。
【0110】
<電力供給の遮断の検知>
マイコン180は、電源電圧変換回路190の出力端子192から入力される電圧監視信号に基づいて、通信アダプタ100に対して電力供給が行われているかどうかを判定する。電圧監視信号は、結合回路105から出力される直流電力の電圧値に応じて信号レベルが変化する。電圧監視信号は、結合回路105から出力される直流電力の電圧値が所定値よりも大きいときはHレベルであり、結合回路105から出力される直流電力の電圧値が所定値以下のときはLレベルである。マイコン180は、電圧監視信号がLレベルになると、電力供給の遮断が発生したことを検知する。
【0111】
結合回路105は、室外機10及びセンサ20のいずれか一方から供給される電力を出力する回路である。結合回路105から出力される直流電力の電圧値では、室外機10及びセンサ20のどちらから電力が供給されているかは分からないが、室外機10及びセンサ20のいずれか一方から通信アダプタ100が電力供給を受けていることは分かる。このため、電圧監視信号がHレベルであることは、通信アダプタ100に対して室外機10及びセンサ20のいずれか一方から電力供給が行われていることを表す。
【0112】
なお、マイコン180は、一例として、電圧監視信号を常時監視しているのではなく、割り込みポートとしての信号入力端子185に入力される電圧監視信号がLレベルになると、最優先で電力供給の遮断に応じてスイッチ回路160を切り替えるための制御信号を出力する。
【0113】
また、マイコン180は、電源電圧変換回路190の出力端子192から入力される電圧監視信号の代わりに、A/Dコンバータ103から出力される電圧信号と、電圧検知部106から出力される検知信号とに基づいて、電力供給の遮断が発生したことを検知してもよい。この場合は、マイコン180は、電圧信号の電圧値が所定の閾値未満で、かつ、検知信号がLレベルである場合に、電力供給の遮断が発生したことを検知すればよい。
【0114】
<マイコン180の通常モードと省電力モード>
マイコン180は、電力供給の遮断が発生していない通常時には通常モードで動作し、通信モジュール150に、一定時間間隔で、ネットワーク40を介して、稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に送信させる。マイコン180は、電力供給の遮断が発生しているかどうかを電圧監視信号の信号レベルに基づいて検知する。マイコン180は、一定時間間隔で稼働状況データ及び温度データを受け取り、受け取った稼働状況データ及び温度データを一定時間蓄積し、蓄積した稼働状況データ及び温度データを圧縮して通信モジュール150に伝送する。
【0115】
通常モードとは、マイコン180の動作が制限されずに、マイコン180が通信モジュール150に一定時間間隔で稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に送信させることができる動作モードである。なお、マイコン180は、稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に同時に送信してもよく、別々に送信してもよい。稼働状況データ及び温度データを送信する時間間隔は異なっていてもよい。
【0116】
また、マイコン180は、電力供給の遮断を検知すると、省電力モードに切り替わり、通信モジュール150に、電力供給の遮断が発生したことを表す遮断発生データをクラウドサーバ50に送信させる。このようにして、マイコン180は、電力供給の遮断時に、遮断発生データをクラウドサーバ50に通知する。マイコン180が通信モジュール150にデータを送信させる際には、通信端子181を介してコマンド及びデータを通信モジュール150に送信する。
【0117】
省電力モードとは、マイコン180の動作が制限されて消費電力を低減したモードであり、マイコン180が通信モジュール150に、遮断発生データをクラウドサーバ50に送信させることができる動作モードである。省電力モードにおけるマイコン180の動作の制限は、例えば、クロックの周波数の低下、又は、通信に関する機能以外の機能の停止等である。
【0118】
電力供給の遮断時には、マイコン180は省電力モードに切り替わり、自らの消費電力を低減した状態で、クラウドサーバ50に遮断発生データを送信することを優先する。また、遮断発生データを送信した後には、マイコン180は、省電力モードよりもさらに消費電力が少ないディープスリープモードに遷移する。ディープスリープモードは、マイコン180のクロックをすべて止めて、外部からの起動コマンドを受けないと起動しない状態である。なお、マイコン180は、例えば、ディープスリープモードへの遷移を行わなくても大丈夫な場合等においては、ディープスリープモードへの遷移を行わなくてもよい。また、電力供給の遮断時にマイコン180を省電力モードに切り替えなくても大丈夫な場合は、電力供給の遮断時にマイコン180を省電力モードに切り替えなくてもよい。
【0119】
このように、マイコン180及び通信モジュール150は、電力供給の遮断時にクラウドサーバ50への通知を行った後は、動作を停止する状態に遷移する。動作を停止する状態に遷移した後は、マイコン180及び通信モジュール150は、EDLC130の電力を消費しない状態になる。
【0120】
<第1電力供給ラインと第2電力供給ラインの選択>
マイコン180は、通常時には、スイッチ回路160の入力端子161と出力端子163とが接続するように、制御端子182から制御端子164に制御信号を出力する。この場合には、室外機10又はセンサ20から供給される電力は、結合回路105、DC/DCコンバータ110、スイッチ回路160の入力端子161及び出力端子163、及びLDO170を経由して、マイコン180の電源端子183に供給される。結合回路105から、DC/DCコンバータ110、スイッチ回路160の入力端子161及び出力端子163、及びLDO170を経由して、電源端子183に至る電力供給ラインは、第1電力供給ラインの一例である。第1電力供給ラインは、EDLC130を経由せずにマイコン180に電力供給を行う電力供給ラインである。
【0121】
また、マイコン180は、電力供給の遮断を検知すると、省電力モードに切り替わる前に、スイッチ回路160の入力端子162と出力端子163とが接続するように、制御端子182から制御端子164に制御信号を出力する。この場合には、EDLC130に蓄電された電力が、DC/DCコンバータ140、スイッチ回路160の入力端子162及び出力端子163、及びLDO170を経由して、マイコン180の電源端子183に供給される。EDLC130から、DC/DCコンバータ140、スイッチ回路160の入力端子162及び出力端子163、及びLDO170を経由して、電源端子183に至る電力供給ラインは、第2電力供給ラインの一例である。第2電力供給ラインは、電力供給の遮断時に、EDLC130からマイコン180に電力供給を行う電力供給ラインである。
【0122】
マイコン180が通常時にEDLC130を経由しない第1電力供給ラインで電力供給を受け、電力供給の遮断が発生したときにEDLC130から電力供給を受ける第2電力供給ラインを選択するようにスイッチ回路160を切り替えるのは、次のような理由によるものである。
【0123】
通常時には、マイコン180は通常モードで動作を行い、通信モジュール150で一定時間間隔で稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に送信する。
【0124】
一方で、電力供給の遮断が発生したときには、マイコン180は省電力モードで動作を行い、通信モジュール150で遮断発生データをクラウドサーバ50に送信する。
【0125】
このため、電力供給の遮断が発生したときにおけるマイコン180及び通信モジュール150の消費電力は、通常時におけるマイコン180及び通信モジュール150の消費電力に比べて非常に少ない。
【0126】
また、室外機10又はセンサ20から結合回路105を経て供給される電力は、電流制限回路120で電流値が制限された状態でEDLC130に供給される。EDLC130に蓄電される電力は、通常時においても、電力供給の遮断時においても、通信モジュール150に供給される。
【0127】
第2電力供給ラインでマイコン180に電力を供給すると、EDLC130からマイコン180及び通信モジュール150の両方に電力を供給することになる。このため、例えば、マイコン180を省電力モードから通常モードに立ち上げる際に、EDLC130からマイコン180に電力を供給すると、通常時の動作を行うマイコン180及び通信モジュール150に対して、十分な電力を供給できなくなるおそれがある。また、電力供給量が不十分であると、マイコン180の立上りが遅くなるという問題が生じうる。
【0128】
このような理由から、通信アダプタ100は、通常時には、EDLC130を経由しない第1電力供給ラインでマイコン180に電力供給を行うことで、マイコン180の早期の立上りや、正常な通常時の動作を確保する。
【0129】
その一方で、電力供給の遮断時には、通信アダプタ100に対する外部からの電力供給が途切れて第1電力供給ラインではマイコン180に電力供給を行えないため、スイッチ回路160を切り替えて、第2電力供給ラインでマイコン180に電力供給を行う。電力供給の遮断時には、マイコン180を省電力モードにするとともに、通信モジュール150からクラウドサーバ50に送信するデータを遮断発生データに制限する。電力供給の遮断時には、通信モジュール150は、稼働状況データ及び温度データをクラウドサーバ50に送信しない。
【0130】
このように、電力供給の遮断時には、マイコン180と通信モジュール150の消費電力を低減して、EDLC130に蓄電されている電力で、電力供給の遮断が発生したことをクラウドサーバ50に通知可能にする。このような理由から、通常時には、EDLC130を経由しない第1電力供給ラインでマイコン180に電力供給を行い、電力供給の遮断時には、EDLC130からマイコン180に電力供給を行うために第2電力供給ラインを選択するように、スイッチ回路160を切り替える。
【0131】
<マイコン180が電力供給源を選択するために行う処理>
図3は、マイコン180が電力供給源を選択するために行う処理を表すフローチャートである。図3に示す処理は、マイコン180が通常モードで動作しているときに行う処理である。
【0132】
マイコン180は、処理をスタートさせると、遮断SW104を導通状態に設定する制御信号を出力する(ステップS1)。マイコン180に電力を供給するためである。
【0133】
マイコン180は、処理をスタートさせると、電圧検知部106から入力される検知信号を取得する(ステップS1A)。
【0134】
マイコン180は、検知信号がHレベルであるかどうかを判定する(ステップS2)。
【0135】
マイコン180は、検知信号がHレベルである(S2:YES)と判定すると、遮断SW104を遮断状態に設定する制御信号を出力するとともに、通信I/F107の電源をオンに切り替えさせる制御信号をロードSW108に出力する(ステップS3)。
【0136】
マイコン180は、Hレベルの制御信号を電流制限回路120に出力する(ステップS3A)。これにより、電流制限回路120の電流の上限値は、220mA(第2上限値)に設定される。フローがステップS3Aに進行するときは、ステップS2において検知信号がHレベルである(S2:YES)とマイコン180が判定した場合であり、センサ20が端子102A、102Bに接続されている場合である。ここでは一例として、センサ20からの電流供給を優先するため、検知信号がHレベルであれば、電流制限回路120の電流の上限値を220mA(第2上限値)に設定する。
【0137】
マイコン180は、センサ20から電力供給を受ける(ステップS4)。
【0138】
マイコン180は、ステップS4の処理を終えると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0139】
マイコン180は、ステップS2において検知信号がHレベルではない(S2:NO)と判定すると、A/Dコンバータ103から入力される電圧信号を取得する(ステップS5)。
【0140】
マイコン180は、電圧信号の電圧値が所定の閾値以上であるかどうかを判定する(ステップS6)。
【0141】
マイコン180は、電圧信号の電圧値が所定の閾値以上である(S6:YES)と判定すると、遮断SW104を導通状態に設定する制御信号を出力するとともに、通信I/F107の電源をオフに切り替えさせる制御信号をロードSW108に出力する(ステップS7)。これにより、通信アダプタ100は室外機10から電力供給を受けることができる状態になる。また、端子102A、102Bにセンサ20が接続されていないため、通信I/F107をオフにして消費電力を低減することができる。
【0142】
マイコン180は、室外機10から電力供給を受ける(ステップS8)。
【0143】
マイコン180は、ステップS8の処理を終えると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0144】
マイコン180は、ステップS6において電圧信号の電圧値が所定の閾値以上ではない(S6:NO)と判定すると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0145】
以上のように、マイコン180は、通信アダプタ100にセンサ20が接続されている場合には、遮断SW104を遮断状態に設定してセンサ20から電力供給を受ける。また、マイコン180は、通信アダプタ100に室外機10が接続されていてセンサ20が接続されていない場合には、遮断SW104を導通状態に設定して室外機10から電力供給を受ける。
【0146】
なお、例えば、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20が接続されて、通信アダプタ100がセンサ20から電力供給を受けているときに、センサ20の配線用遮断器の遮断等によってセンサ20からの電力供給がなくなったときは、ステップS2でNOと判定されて、室外機10から電力供給を受けるように切り替わる。このようにセンサ20からの電力供給がなくなって室外機10から電力供給を受けるように切り替える際に、センサ20からの電力供給がなくなった時点でEDLC130の電力を用いてもよい。室外機10からの電力供給が開始されたときに、EDLC130からの電力供給を停止すればよい。
【0147】
また、例えば、通信アダプタ100に室外機10のみが接続されて、室外機10からの電力供給を受けているときに通信アダプタ100にセンサ20が接続されると、ステップS2でYESと判定されてフローはステップS3に進行する。この結果、通信アダプタ100はセンサ20から電力供給を受けるように切り替わり、通信I/F107がオンにされてセンサ20から温度データがマイコン180に入力されるようになる。
【0148】
<電流制限回路120の上限値を設定するための処理>
図4は、マイコン180が電流制限回路120の上限値を設定するための処理を表すフローチャートである。図4に示す処理は、マイコン180が通常モードで動作しているときに行う処理である。本実施形態では、一例として、マイコン180が通信方式の違いに応じて電流制限回路120の上限値を設定する際に、電圧検知部106から入力される検知信号がLレベルであることが前提である。しかしながら、上述のように、この前提条件は必須ではないため、図4のフローチャートでは省略する。
【0149】
マイコン180は、処理をスタートさせると、室外機10Bに対して第2通信プロトコルのコマンドを送信する(ステップS11)。
【0150】
マイコン180は、室外機10Bからの応答信号を受信するために所定時間だけ待機する(ステップS12)。
【0151】
マイコン180は、所定時間が経過すると、室外機10Bから応答信号を受信したかどうかを判定する(ステップS13)。
【0152】
マイコン180は、室外機10Bから応答信号を受信した(S13:YES)と判定すると、Hレベルの制御信号を電流制限回路120に出力する(ステップS14)。これにより、電流制限回路120の電流の上限値は、220mA(第2上限値)に設定される。
【0153】
マイコン180は、ステップS14の処理を終えると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0154】
また、マイコン180は、ステップS13において室外機10Bから応答信号を受信しない(S13:NO)と判定すると、室外機10Aに対して第1通信プロトコルのコマンドを送信する(ステップS15)。
【0155】
マイコン180は、室外機10Aからの応答信号を受信するために第1プロトコルの応答信号を待つための所定時間だけ待機する(ステップS16)。ステップS16で待機する所定時間は、ステップS12で待機する所定時間よりも長い。室外機10Aは室外機10Bよりも処理速度が遅いからである。
【0156】
マイコン180は、所定時間が経過すると、室外機10Aから応答信号を受信したかどうかを判定する(ステップS17)。
【0157】
マイコン180は、室外機10Aから応答信号を受信した(S17:YES)と判定すると、Lレベルの制御信号を電流制限回路120に出力する(ステップS18)。これにより、電流制限回路120の電流の上限値は、60mA(第1上限値)に設定される。
【0158】
マイコン180は、ステップS18の処理を終えると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0159】
また、マイコン180は、ステップS17において室外機10Aから応答信号を受信していない(S17:NO)と判定すると、フローを終了する(エンド)。マイコン180は、フローをスタートから繰り返し実行する。
【0160】
以上のように、マイコン180は、まず第2通信プロトコルのコマンドを室外機10Bに送信し、室外機10Bから応答信号を受信した場合には、電流制限回路120の電流の上限値を高い方の第2上限値(220mA)に設定する。次に、室外機10Bから応答信号を受信しない場合には、第1通信プロトコルのコマンドを室外機10Aに送信し、室外機10Aから応答信号を受信した場合には、電流制限回路120の電流の上限値を低い方の第1上限値(60mA)に設定する。
【0161】
このため、通信アダプタ100に室外機10Bが接続されている場合には、電流制限回路120の電流の上限値は優先的に第2上限値(220mA)に設定される。
【0162】
なお、ここでは、第2通信プロトコルのコマンドに対する室外機10Bの応答を待ってから第1通信プロトコルのコマンドを室外機10Aに送信する形態について説明した。しかしながら、第2通信プロトコルのコマンドを送信してから室外機10Bの応答を待つことなく、第1通信プロトコルのコマンドを室外機10に送信してもよい。この場合には、室外機10Bから応答信号を受信すれば電流制限回路120の電流の上限値を第2上限値(220mA)に設定すればよく、室外機10Aから応答信号を受信すれば電流制限回路120の電流の上限値を第1上限値(60mA)に設定すればよい。
【0163】
<マイコン180が電力供給の遮断が発生を判定する処理>
図5は、マイコン180が電力供給の遮断の発生を監視する処理を表すフローチャートである。マイコン180は、以下のような処理を実行する。
【0164】
マイコン180は、処理をスタートすると、電源電圧変換回路190から入力される電圧監視信号を取得する(ステップS21)。結合回路105の出力端子の電圧値を監視し、電力供給の遮断が発生していないかどうか判定するためである。
【0165】
マイコン180は、電圧値が所定値以下であるかどうかを判定する(ステップS22)。電圧監視信号は、結合回路105の出力端子における直流電力の電圧値が所定値よりも大きいときはHレベルであり、所定値以下のときはLレベルであるため、ステップS22では、マイコン180は、電圧監視信号がLレベルであるかどうかを判定すればよい。
【0166】
マイコン180は、電圧値が所定値以下ではない(S22:NO)と判定すると、フローをステップS21にリターンする。ステップS21及びS22の処理を再び実行し、電力供給の遮断が発生していないかどうか監視するためである。電力供給の遮断が発生していない場合には、マイコン180は、ステップS21及びS22の処理を繰り返し実行することになる。
【0167】
マイコン180は、ステップS22において、電圧値が所定値以下である(S22:YES)と判定すると、スイッチ回路160の入力端子162と出力端子163とが接続するように、制御端子182から出力する(ステップS23)。この結果、マイコン180への電力供給ラインが、EDLC130を経由しない第1電力供給ラインから、EDLC130を経由する第2電力供給ラインに切り替えられる。
【0168】
フローがステップS22に進行するのは、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20が接続されていて、建物35の停電等によって室外機10及びセンサ20への電力供給が遮断された場合である。また、通信アダプタ100に室外機10及びセンサ20のいずれか一方が接続されていて、建物35の停電等によって室外機10又はセンサ20への電力供給が遮断された場合である。
【0169】
マイコン180は、省電力モードに切り替わる(ステップS24)。自らの消費電力を低減して、通信モジュール150で遮断発生データをクラウドサーバ50に確実に送信できるようにするためである。
【0170】
マイコン180は、通信モジュール150に遮断発生データをクラウドサーバ50に送信させる(ステップS25)。マイコン180は、通信モジュール150に、遮断発生データのクラウドサーバ50への送信を所定回数にわたって繰り返し実行させる。遮断発生データをクラウドサーバ50に確実に届けるためである。
【0171】
マイコン180は、通信モジュール150の送信処理を停止させて通信モジュール150をオフにするとともに、ディープスリープモードに切り替わる(ステップS26)。クラウドサーバ50への遮断発生データの送信は完了したため、ディープスリープモードで待機するためである。以上で一連の処理が終了する(エンド)。
【0172】
以上、図5で説明したように、電力供給の遮断時にクラウドサーバ50に電力供給の遮断の発生を表す遮断発生データを通知することができる。クラウドサーバ50は、遮断発生データを受信すると、通信障害ではなく、電力供給が遮断されたことを認識でき、復旧処理の準備等を効率的に行うことができる。
【0173】
また、マイコン180は、結合回路105からの電力供給が遮断されたときに省電力モードに切り替わるため、電力供給が遮断されたときにマイコン180の消費電力を削減することができ、通信モジュール150がEDLC130の電力で繰り返し送信処理を行うことができる。
【0174】
また、マイコン180は、室外機10からの電力供給の遮断が発生したことを通信モジュール150を介してクラウドサーバ50へ通知して、省電力モードになるので、遮断発生データのクラウドサーバ50への通知と、マイコン180の消費電力の削減とを両立することができる。
【0175】
また、結合回路105からEDLC130を経由せずにマイコン180に電力供給を行う第1電力供給ラインと、EDLC130からマイコン180に電力供給を行う第2電力供給ラインとを含むので、結合回路105から電力供給がなくなったときには、第2電力供給ラインでマイコン180に電力を供給可能である。
【0176】
<効果>
以上のように、通信アダプタ100は、室外機10A及び10Bを接続可能な端子101Aと、端子101Aを介して供給される電流を制限する電流制限回路120と、電流制限回路120を介して電力供給を受ける通信モジュール150とを含み、電流制限回路120は、端子101Aに室外機10Aが接続されているときと室外機10Bが接続されているときとで電流制限量を変更する。
【0177】
このため、電力供給量の異なる室外機10A及び10Bの種類に応じて電流制限量を変更可能な通信アダプタ100を提供することができる。
【0178】
また、通信アダプタ100は、電流制限回路120の電流制限量を制御するマイコン180をさらに含み、マイコン180は、室外機10A及び10Bの通信方式の違いに基づいて、電流制限回路120の電流制限量を制御する。
【0179】
このため、マイコン180が、室外機10A及び10Bの通信方式の違いに基づいて、電流制限回路120の電流制限量を制御することができる。
【0180】
また、マイコン180は、室外機10Aの第1通信プロトコル及び室外機10Bの第2通信プロトコルの違いに基づいて、電流制限回路120の電流制限量を制御する。
【0181】
このため、マイコン180が、第1通信プロトコル及び第2通信プロトコルの違いに基づいて、電流制限回路120の電流制限量を制御することができる。
【0182】
また、マイコン180は、第2通信プロトコルのコマンドを送信した後に第1通信プロトコルのコマンドを送信し、応答信号に基づいて室外機10A又は室外機10Bが接続されているかを判定してもよい。
【0183】
このため、マイコン180は、室外機10Bからの応答信号の有無に基づいて、室外機10Bが接続されているかどうかの判定を、室外機10Aが接続されているかどうかの判定よりも先に行うことができる。室外機10Aよりも室外機10Bの方が電力供給量が多いため、電力供給量が多い室外機10Bが接続されているかどうかの判定を先に行うことで、室外機10Bが通信アダプタ100に接続されているかどうかの判定を優先的に行うことができる。
【0184】
また、室外機10Aの通信速度よりも室外機10Bの通信速度の方が速いので、通信アダプタ100に室外機10Bが接続されている場合には、より速い通信速度で、より短い時間で通信を実行可能である。
【0185】
また、通信アダプタ100は、電流制限回路120と通信モジュール150との間に接続され、電流制限回路120を介して電力供給を受けて蓄電するEDLC130をさらに含み、電流制限回路120は、接続部からEDLC130に供給される電流を制限する。
【0186】
このため、電力供給量の異なる室外機10A及び10Bの種類に応じて、EDLC130に供給される電流に対する電流制限量を変更可能な通信アダプタ100を提供することができる。
【0187】
また、室外機10Bは、室外機10Aよりも電力供給量が多い。このため、室外機10Aよりも電力供給量が多い室外機10Bと、室外機10Bよりも電力供給量が少ない室外機10Aとの電力供給量に応じて電流制限量を変更可能な通信アダプタ100を提供することができる。また、電力供給量に応じてEDLC130に供給される電流の制限量を変更することができる。
【0188】
また、電流制限回路120は、室外機10Aから電力供給を受けるときよりも、室外機10Bから電力供給を受けるときの方が電流制限量を小さくする。
【0189】
このため、電力供給量が多い室外機10Bから、より多くの電力供給を受けることが可能な通信アダプタ100を提供することができる。また、電力供給量が多い室外機10Bから、EDLC130により多くの電流を供給することができる。また、通信アダプタ100への電力供給量が多くなるので、通信モジュール150が安定的に通信を行うことができ、通信の信頼度を向上させることができる。なお、室外機10A及び10Bの種類に応じて、電流制限量を設定してもよい。室外機10A及び10Bの種類によって通信アダプタ100への電力供給量が異なる場合があるからである。
【0190】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0191】
10 室外機 (外部装置の一例)
10A 室外機 (第1外部装置の一例)
10B 室外機 (第2外部装置の一例)
20 センサ
100 通信アダプタ
101A 端子 (接続部の一例)
103 A/Dコンバータ
104 遮断SW (遮断スイッチの一例)
105 結合回路
106 電圧検知部
107 通信I/F (通信インターフェイスの一例)
108 ロードSW
110 DC/DCコンバータ
120 電流制限回路
130 EDLC
140 DC/DCコンバータ
150 通信モジュール
160 スイッチ回路
170 LDO
180 マイコン
190 電源電圧変換回路
図1
図2
図3
図4
図5