(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】リモートコントロール装置、熱中症対策制御方法、空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/33 20180101AFI20240710BHJP
【FI】
F24F11/33
(21)【出願番号】P 2022118654
(22)【出願日】2022-07-26
【審査請求日】2023-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川辺 まり
(72)【発明者】
【氏名】三浦 脩
(72)【発明者】
【氏名】堂山 直紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 良行
(72)【発明者】
【氏名】須原 遼太
【審査官】塩田 匠
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038687(JP,A)
【文献】特開2015-195017(JP,A)
【文献】特開2015-099012(JP,A)
【文献】特開2013-068350(JP,A)
【文献】特開2003-042507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/00-11/89
F24F 110/10
F24F 110/20
G08B 19/00-21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機とリモートコントロール装置とを有する空調システムであって、
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度、を取得する制御部、を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記熱中症リスク情報が前記熱中症対策制御を行う判断基準を満たしても、前記第2温度が閾値未満の場合、前記熱中症対策制御を行わない空調システム。
【請求項2】
室内機とリモートコントロール装置とを有する空調システムであって、
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度、を取得する制御部、を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記熱中症対策制御とは、表示部への警報の表示である空調システム。
【請求項3】
前記表示部は前記リモートコントロール装置が有する請求項
2に記載の空調システム。
【請求項4】
前記熱中症対策制御とは、対象空間の温度又は湿度を下げる運転である請求項
1に記載の空調システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第2温度が閾値以上であり、前記対象空間で動体を検出した場合、又は、前記対象空間を使用する予定がスケジュールに登録されている場合、前記対象空間の温度又は湿度を下げる運転を行うと判断する請求項
4に記載の空調システム。
【請求項6】
室内機とリモートコントロール装置とを有する空調システムであって、
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度、を取得する制御部、を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて、熱中症リスク情報として第1リスク状態と、第1リスク状態よりも熱中症リスクが高い第2リスク状態かを決定し、
前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値以上のとき第1熱中症対策制御を行い、前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値未満のときには前記第1熱中症対策制御を実行しないことを決定し、
前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値よりも高い第2閾値以上のとき第2熱中症対策制御を行い、前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第2閾値未満のときには前記第2熱中症対策制御を実行しないことを決定する空調システム。
【請求項7】
前記第1熱中症対策制御は表示部への第1警報情報の表示であり、
前記第2熱中症対策制御は表示部への前記第1警報情報とは異なる第2警報情報の表示である請求項
6に記載の空調システム。
【請求項8】
前記第1熱中症対策制御は、表示部への警報の表示であり、
前記第2熱中症対策制御は、対象空間の温度又は湿度を下げる運転である請求項
6に記載の空調システム。
【請求項9】
前記第1温度センサは、天井裏、前記室内機、又は、換気装置に設けられている請求項1に記載の空調システム。
【請求項10】
前記第2温度センサは、前記リモートコントロール装置に設けられている請求項1に記載の空調システム。
【請求項11】
リモートコントロール装置が行う熱中症対策制御方法であって、
制御部が、天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記熱中症リスク情報が前記熱中症対策制御を行う判断基準を満たしても、前記第2温度が閾値未満の場合、前記熱中症対策制御を行わない熱中症対策制御方法。
【請求項12】
リモートコントロール装置が行う熱中症対策制御方法であって、
制御部が、天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記熱中症対策制御とは、表示部への警報の表示である熱中症対策制御方法。
【請求項13】
リモートコントロール装置が行う熱中症対策制御方法であって、
制御部が、天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて、熱中症リスク情報として第1リスク状態と、第1リスク状態よりも熱中症リスクが高い第2リスク状態かを決定し、
前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値以上のとき第1熱中症対策制御を行い、前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値未満のときには前記第1熱中症対策制御を実行しないことを決定し、
前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値よりも高い第2閾値以上のとき第2熱中症対策制御を行い、前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第2閾値未満のときには前記第2熱中症対策制御を実行しないことを決定する熱中症対策制御方法。
【請求項14】
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記熱中症リスク情報が前記熱中症対策制御を行う判断基準を満たしても、前記第2温度が閾値未満の場合、前記熱中症対策制御を行わないリモートコントロール装置。
【請求項15】
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記熱中症対策制御とは、表示部への警報の表示であるリモートコントロール装置。
【請求項16】
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、
天井付近より低い位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行
い、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて、熱中症リスク情報として第1リスク状態と、第1リスク状態よりも熱中症リスクが高い第2リスク状態かを決定し、
前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値以上のとき第1熱中症対策制御を行い、前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値未満のときには前記第1熱中症対策制御を実行しないことを決定し、
前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値よりも高い第2閾値以上のとき第2熱中症対策制御を行い、前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第2閾値未満のときには前記第2熱中症対策制御を実行しないことを決定するリモートコントロール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リモートコントロール装置、熱中症対策制御方法、及び、空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
室内であっても熱中症が生じることが知られている。熱中症とは、体温が上がり、体温の調節機能が働かなくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状をいう。
【0003】
熱中症発症の危険を低減するため、天井付近に設置された室内機に設けられている温度センサと湿度センサを用いて「暑さ指数(WBGT)」を算出し、警戒レベルに達した場合に自動空調運転を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、熱中症リスクを低減するための熱中症対策制御が適切に行われないおそれがあった。例えば、熱中症リスクがそれほど高くないにも関わらず、熱中症対策制御が行われることがあった。
【0006】
本開示は、熱中症対策制御が適切に行われる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様における空調システムは、
室内機とリモートコントロール装置とを有する空調システムであって、
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度、を取得する制御部、を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、前記第1温度センサとは異なる位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行う。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、熱中症対策制御を適切に行うことができる。
【0009】
本開示の第2の態様における空調システムは第1の態様の空調システムであって、
前記制御部は、前記熱中症リスク情報が前記熱中症対策制御を行う判断基準を満たしても、前記第2温度が閾値未満の場合、前記熱中症対策制御を行わない。
【0010】
本開示の第3の態様における空調システム第1、第2の態様の空調システムであって、
前記熱中症対策制御とは、表示部への警報の表示である。
【0011】
本開示の第4の態様における空調システムは第3の態様の空調システムであって、
前記表示部は前記リモートコントロール装置が有する。
【0012】
本開示の第5の態様における空調システムは第1、第2の態様の空調システムであって、
前記熱中症対策制御とは、対象空間の温度又は湿度を下げる運転である。
【0013】
本開示の第6の態様における空調システムは第5の態様の空調システムであって、
前記制御部は、前記第2温度が閾値以上であり、前記対象空間で動体を検出した場合、又は、前記対象空間を使用する予定がスケジュールに登録されている場合、前記対象空間の温度又は湿度を下げる運転を行うと判断する。
【0014】
本開示の第7の態様における空調システムは第1、第2の態様の空調システムであって、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて、熱中症リスク情報として第1リスク状態と、第1リスク状態よりも熱中症リスクが高い第2リスク状態かを決定し、
前記第1リスク状態のとき第1熱中症対策制御を行い、前記第1リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値未満の時には前記第1熱中症対策制御を実行しないことを決定し、
前記第2リスク状態のとき第2熱中症対策制御を行い、前記第2リスク状態かつ前記第2温度が第1閾値よりも高い第2閾値未満の時には前記第2熱中症対策制御を実行しないことを決定する。
【0015】
本開示の第8の態様における空調システムは第7の態様の空調システムであって、
前記第1熱中症対策制御は前記表示部への第1警報情報の表示であり、
前記第2熱中症対策制御は前記表示部への前記第1警報情報とは異なる第2警報情報の表示である。
【0016】
本開示の第9の態様における空調システムは第7の態様の空調システムであって、
前記第1熱中症対策制御は、前記表示部への警報の表示であり、
前記第2熱中症対策制御は、対象空間の温度又は湿度を下げる運転である。
【0017】
本開示の第10の態様における空調システムは第1~第9の態様の空調システムであって、
前記第1温度センサは、天井裏、前記室内機、又は、換気装置に設けられている。
【0018】
本開示の第11の態様における空調システムは第1~第10の態様の空調システムであって、前記第2温度センサは、前記リモートコントロール装置に設けられている。
【0019】
本開示の第12の態様における空調システムは、
室内機とリモートコントロール装置とを有する空調システムが行う熱中症対策制御方法であって、
制御部が、天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、前記第1温度センサとは異なる位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行う。
【0020】
本開示の第12の態様によれば、熱中症対策制御を適切に行うことができる。
【0021】
本開示の第13の態様におけるリモートコントロール装置は、
天井付近に設けられた第1温度センサが検出した第1温度、及び、天井付近に設けられた湿度センサが検出した湿度を取得する制御部を有し、
前記制御部は、前記第1温度と前記湿度に基づいて熱中症リスク情報を決定し、
前記熱中症リスク情報と、前記第1温度センサとは異なる位置に設けられた第2温度センサが測定した第2温度とに応じて熱中症対策制御を行うリモートコントロール装置である。
【0022】
本開示の第13の態様によれば、熱中症対策制御を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
熱中症対策制御が適切に行われる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】熱中症対策制御の1つとして、リモコンが熱中症リスク警報を発報する処理の流れを説明する図である。
【
図2】空調システムのシステム構成例を示す図である。
【
図3】正面視(使用時)におけるリモコンの外観図の一例である。
【
図4】リモコン制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図5】空調システムにおける室内機、及びリモコンの機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【
図7】閾値記憶部に記憶されている閾値Aと閾値Bの一例を示す図である。
【
図8】リモコンが第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、熱中症リスク警報を発報する処理を説明するシーケンス図の一例である。
【
図9】判断部が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、熱中症リスク警報を発報する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図10A】熱中症リスク警報を発報するリモコンの表示例を示す図である。
【
図10B】熱中症リスク警報を発報するリモコンの表示例を示す図である。
【
図10C】熱中症リスク警報を発報するリモコンの表示例を示す図である。
【
図11】空調システムにおける室内機、及びリモコンの機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である(実施例2)。
【
図12】スケジュール取得部が取得したスケジュールの一例を示す図である。
【
図13】リモコンが第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、強制運転を行う処理を説明するシーケンス図の一例である(実施例2)。
【
図14】判断部が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、更に、動体の検出の有無、及び、スケジュールに基づいて強制運転する処理を説明するフローチャート図の一例である。
【
図15】リモコンが第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、強制運転を行う処理を説明するシーケンス図の一例である。
【
図16】判断部が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、更に、動体の検出の有無、及び、スケジュールに基づいて熱中症リスク警報又は強制運転する処理を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、空調システムと空調システムが行う熱中症対策制御方法について説明する。
【実施例1】
【0026】
<機器システムの動作の概略>
空調が行われていない場合や空調の運転設定が適切でない場合には熱中症リスクが生じうる。このため、室内機が検出した温度や湿度(以下、断らない限り相対湿度とする)に基づいて発報レベルを満たすと判断すると、リモコンなどが熱中症リスク警報を発報する。熱中症リスク警報は、空調運転を促したり、熱中症への注意を呼びかけたりするものである。
【0027】
しかし、室内機は主に天井付近に設置されることが多く、運転停止中の熱ごもりや温度の高い空気が上方に留まりやすいことなどによって、室内機の温度センサは、ユーザーが生活しているより低い低層範囲よりも高い温度を検知することがある。このため、低層範囲では熱中症リスク警報が必要ない状況でもリモコンが熱中症リスク警報を発報するおそれがあった。
【0028】
そこで、本開示では、リモコンなどに設けられた温度センサが低層範囲の温度を検知し、低層範囲の温度も熱中症リスク警報を発報するか否かの判断に使用する。例えば、室内機が検出した温度や湿度に基づく暑さ指数によれば熱中症リスク警報を発報する基準を満たしても、低層範囲の温度が閾値未満であれば、リモコンは熱中症リスク警報を発報しない。
【0029】
図1を参照して、空調システムによる熱中症対策制御の判断について説明する。
図1は、熱中症対策制御の1つとして、リモコン30が熱中症リスク警報を発報する処理の流れを説明する図である。
【0030】
(1) 空調機の室内機20は第1温度センサ22と湿度センサ23を内蔵している。室内機20は、第1温度センサ22が検出した天井付近の温度(以下、第1温度という)、及び、湿度センサ23が検出した湿度をリモコン30に送信する。
【0031】
(2) リモコン30は第2温度センサ33を内蔵している。第2温度センサ33は、リモコン30が設置されたより低層範囲の温度(以下、第2温度という)を測定する。
【0032】
(3) リモコン30は第1温度と湿度から暑さ指数を決定する。
【0033】
(4) リモコン30は暑さ指数が閾値A以上でも、第2温度が閾値B未満の場合、熱中症リスク警報を発報しない。リモコン30は暑さ指数が閾値A以上、かつ、第2温度が閾値B以上の場合、熱中症リスク警報を発報する。熱中症リスク警報を発報する場合、リモコン30は、例えば、ディスプレイに警告メッセージを表示したり、現在の室温を表示したりする。リモコン30が音楽や音声を発生してもよい。
【0034】
このように、本開示のリモコン30は、天井付近の暑さ指数のみでは熱中症リスクの発報などの熱中症対策制御を行うと判断せず、リモコン30が配置されている低層範囲の温度も用いて判断するので、低層範囲では熱中症対策制御が必要ない状況で熱中症対策制御を行うことを抑制できる。
【0035】
<用語について>
熱中症対策制御とは、熱中症のリスク(発症)を抑制するための制御をいう。本開示では、熱中症対策制御は、熱中症リスク警報の発報又は強制運転指示という態様で説明される。
【0036】
天井付近とは、天井の室内側及び天井裏のどちらも含む。天井付近は、熱ごもりしやすい空間であればよい。天井付近は必ずしも天井すれすれの空間をいうのでなく、室内高が高い空間の場合等、室内高に応じて天井から室内側に離れた空間も含みうる。
【0037】
熱中症リスク情報は、人間や動物が熱中症になるリスクの指標となる情報であればよい。本開示では、熱中症リスク情報は、暑さ指数という用語で説明されるが、不快指数等でもよい。
【0038】
第2温度センサは、第1温度センサとは異なる位置に設けられる。第2温度センサは、好ましくは、天井付近よりも低い、人が生活する高さに配置される。
【0039】
<システム構成例>
図2は、本開示の空調システム100のシステム構成例を示す。空調システム100は、家屋、ビル、工場、公共施設等の建築物内に含まれる対象空間SPにおいて冷房や暖房等の空気調和を実現するシステムである。室内機20は複数台あってもよい。
【0040】
空調システム100は、冷媒回路を含み、冷媒回路において冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、対象空間SPの冷房又は暖房を行う。空調システム100は、冷房モード及び暖房モードを含む複数の運転モードを有しており、運転モードに応じた運転を行う。具体的に、空調システム100は、冷房モード時には冷房運転を行い、暖房モード時には暖房運転を行う。
【0041】
空調システム100は、主として、熱源ユニットとしての1台の室外ユニット10と、利用ユニットとしての1台以上の室内機20と、各種設定に係るコマンドを入力する入力装置としてのリモートコントロール装置(以下、「リモコン30」と称する)と、を有している。
【0042】
空調システム100では、室外ユニット10と、室内機20と、が冷媒連絡配管(ガス連絡配管GP)で接続されることで冷媒回路が構成されている。また、空調システム100では、各ユニット間の信号の伝送路として機能する複数の通信ネットワーク(ネットワークNW1、ネットワークNW2)が構築されている。また、空調システム100において、室外ユニット10、室内機20、及びリモコン30が、通信ネットワークで接続される。ネットワークNW2は有線でも無線でもよい。
【0043】
ここで、リモコン30は、空調システム100の設置時又はメンテナンス時に作業を担当するサービスマンや空調システム100の管理者又は利用者が保持する、近距離無線通信機能を備えた携帯通信端末(以下、単に「端末110」と称する)と通信(近距離無線通信)を行えるように構成されている。リモコン30は、端末110から送信された信号を受信することで、空調システム100の各種設定に係るコマンドを入力する。端末110は自機で測定した温度(第2温度に相当)を端末110に送信することができる。
【0044】
なお、本開示において、リモコン30及び端末110間で行われる近距離無線通信は、13.56MHzの周波数を用いるNFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等でよい。
【0045】
室内機20は、ネットワークNW2を介して不図示のサーバ装置と通信することができる。室内機20は端末110と、ネットワークNW1を介して通信してもよい。
【0046】
続いて、
図1に基づいて、対象空間SPにおける室内機20及びリモコン30の設置態様を補足する。室内機20は施設1の対象空間SPに設置されている。室内機20は、対象空間SPの天井CIに設置される天井埋込型の空調室内機である。各室内機20は、対象空間SPにおいて吸気口及び排気口が天井CIから露出するように設置されている。各室内機20は、主として、冷媒回路を構成する要素として、複数の冷媒配管、室内熱交換器、及び開閉弁等の各種弁を有している(図示省略)。また、各室内機20は、室内熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気流を生成する室内ファンを有している(図示省略)。
【0047】
また、各室内機20は、吸気口を介して流入する空気から塵埃を取り除くフィルタ25を有している。また、各室内機20は、対象空間SPの温度を検出する第1温度センサ22、湿度センサ23等、所定の値を検出するセンサを有している。
【0048】
また、室内機20は、室内機20内の室内ファンや各種弁等の動作を制御する室内ユニット制御部24を有している。室内ユニット制御部24は、室内機20内に配置される基板に実装されている。室内ユニット制御部24は、CPUやメモリなど一般的なコンピュータの構成を含んでいる。
【0049】
また、室内ユニット制御部24は、対応するリモコン30と、通信を行うための通信モジュールを含んでいる。室内ユニット制御部24は、対応するリモコン30とネットワークNW2を介して電気的に接続されており、互いに信号の送受信を行う。
【0050】
なお、
図2では、室内機20が第1温度センサ22及び湿度センサ23を有しているが、第1温度センサ22及び湿度センサ23は天井裏に配置されてもよい。また、
図2では室内機20が第1温度センサ22及び湿度センサ23を有しているが、冷暖機能を有さない換気装置が第1温度センサ22及び湿度センサ23を有していてもよい。
【0051】
図3は、正面視(使用時)におけるリモコン30の外観図である。リモコン30が施設1の対象空間SPに設置されている。
【0052】
リモコン30は、室内機20と対応付けられており、対応する室内機20と同一の対象空間SPに設置されている。リモコン30は、対象空間SPの側壁SWに、取付部材を介して固定されている。リモコン30は、いわゆる有線式のリモートコントロール装置であって、ネットワークNW2を介して、対応する室内機20(室内ユニット制御部24)と電気的に接続されている。
【0053】
リモコン30は、各種設定に係るコマンドを、空調システム100に入力するためのコマンド入力装置として機能する。また、リモコン30は、各種情報を表示する表示装置として機能する。また、リモコン30は、端末110を介した第2温度の入力を行う際に、端末110から送信された第2温度を受信するためのコマンド受信装置として機能する。また、リモコン30は、要求されるデータを端末110に対して送信するデータ送信装置として機能する。
【0054】
リモコン30は、対応する室内機20又は自己の各種設定に係るコマンドを入力される。リモコン30に入力されるコマンドによって行われる各種設定には、例えば、設定温度、運転モード、設定風量、設定風向、及び運転スケジュールの設定等の動作設定や、設置時やメンテナンス時において設定される初期設定、表示部32における表示態様の設定、及びリモコン30から端末110に対するデータ送信に係る設定等が含まれる。
【0055】
リモコン30は、主として、入力手段としてのリモコン入力部31と、表示手段としての表示部32と、第2温度センサ33と、近距離無線通信部34と、リモコン30内の各部の動作を制御するリモコン制御部35と、を有している。
【0056】
また、リモコン30は、図示しない電源ケーブルを介して、対応する室内機20に含まれる電源部(図示省略)に電気的に接続されており、当該電源部から電源供給されている。なお、リモコン30への電源供給の態様については、必ずしもこれに限定されず、適宜変更が可能である。例えば、リモコン30は、図示しない電源ケーブルを介して、他の電源部(例えば、商用電源等)から電源供給を受けてもよいし、独立した電源部(例えば、二次電池等)を有していてもよい。
【0057】
<リモコンのハードウェア構成>
次に、
図4を参照して、リモコン30が有するリモコン制御部35のハードウェア構成について説明する。
図4は、リモコン制御部35のハードウェア構成の一例を示す図である。リモコン制御部35は、プロセッサ201、メモリ202、補助記憶装置203、I/F(Interface)装置204、通信装置205を有する。なお、リモコン制御部35の各ハードウェアは、バス207を介して相互に接続されている。
【0058】
プロセッサ201は、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスを有する。プロセッサ201は、各種プログラムをメモリ202上に読み出して実行する。プロセッサ201は、リモコン30の全体を制御する制御部130に相当する。
【0059】
メモリ202は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の主記憶デバイスを有する。プロセッサ201とメモリ202とは、いわゆるコンピュータを形成し、プロセッサ201が、メモリ202上に読み出した各種プログラムを実行する。
【0060】
補助記憶装置203は、各種プログラムや、各種プログラムがプロセッサ201によって実行される際に用いられる各種データを格納する。
【0061】
I/F装置204は、外部装置の一例である表示部32、リモコン入力部31と、リモコン30とを接続する接続デバイスである。表示部32はいわゆるディスプレイ装置として、リモコン30の操作メニューや設定温度などを表示する。リモコン入力部31は、リモコン30に対する各種の設定の入力を受け付ける。
【0062】
通信装置205は、ネットワークNW2を介して室内機20と通信するための通信デバイスである。
【0063】
<機能について>
次に、
図5を参照して、空調システム100が有する各装置の機能構成について詳細に説明する。
図5は、空調システム100における室内機20、及びリモコン30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。
【0064】
<<室内機>>
室内機20は、通信部41、湿度検出部42、及び、第1温度検出部43、を有している。室内機20が有するこれら各部は、室内ユニット制御部24のプロセッサがメモリに展開されたプログラムの命令を実行することで実現される機能又は手段である。
【0065】
第1温度検出部43は、第1温度センサ22を制御して室内機20の吸入口を通過する空気の第1温度を検出する。第1温度検出部43は天井付近の温度を検出すればよい。第1温度が検出されるのは、空調機が停止している場合に限られない。第1温度検出部43は、例えば定期的(1分程度から60分程度の間隔)に第1温度を自動的に検出する。
【0066】
湿度検出部42は、湿度センサ23を制御して空調機の吸入口又は湿度センサ23の周囲の湿度を検出する。湿度が検出されるのは、空調機が停止している場合に限られない。湿度検出部42は、例えば定期的(1分程度から60分程度の間隔)に湿度を自動的に検出する。第1温度と湿度の検出タイミングはほぼ同じであることが好ましい。これらは相対湿度の算出に使用されるためである。
【0067】
通信部41はネットワークNW2を介してリモコン30と通信する。本開示では、通信部41は、第1温度と湿度をリモコン30に送信する。
【0068】
<<リモコン>>
リモコン30は、通信部11、第2温度検出部12、暑さ指数決定部13、判断部14、警報発報部15、及び、表示制御部16を有している。リモコンが有するこれら各部は、
図4に示されている各構成要素のいずれかが、補助記憶装置203からメモリ202に展開されたプログラムに従ったプロセッサ201からの命令によって動作することで実現される機能、又は手段である。
【0069】
通信部11は室内機20と通信し、室内機20から第1温度及び湿度を受信する。なお、通信部11は、室内機20に対し第1温度及び湿度を要求してもよいし、室内機20から第1温度及び湿度がプッシュ送信されてもよい。
【0070】
第2温度検出部12は、第2温度センサ33を制御し、室内機20からの要求に応じて、第1温度と湿度を受信したことに応じて、又は、定期的(1分程度から60分程度の間隔に、リモコン30の周囲の温度を検出する。リモコン30は通常、人が生活する高さにあるので、ユーザーの体感する温度を検出できる。
【0071】
暑さ指数決定部13は、第1温度及び湿度を用いて暑さ指数を決定する。本開示では、暑さ指数に基づいて熱中症リスクを判断するためである。暑さ指数の算出式を式(1)に示す。ただし、本開示では
図6の早見表から暑さ指数決定部13が暑さ指数を決定する。
暑さ指数=0.7 × 湿球温度 + 0.3 × 黒球温度 ……(1)
暑さ指数決定部13が不快指数を算出してもよい。この場合、不快指数により熱中症リスクが判断される。
【0072】
判断部14は、暑さ指数と閾値Aの比較、及び、第2温度と閾値Bの比較に基づいて、熱中症リスク警報を発報するか否か判断する。詳細は後述する。判断部14が参照する閾値Aと閾値Bは閾値記憶部17に記憶されている。閾値記憶部17の構成については
図7にて後述する。
【0073】
警報発報部15は、判断部14が熱中症リスクがあると判断した場合、熱中症リスク警報を発報する。熱中症リスク警報は、例えば、熱中症に関する警告メッセージの表示である。警報発報部15は、音声などを付加して注意喚起してもよい。
【0074】
表示制御部16は、熱中症リスク警報があると判断されると、リモコン30が内蔵する表示部32に警告メッセージ表示する。
【0075】
<暑さ指数を使用した熱中症対策制御の判断例>
熱中症を予防するために提案された指標として暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)がある。また、暑さ指数は、日中の蒸し暑さを表し、数字が大きいほど蒸し暑く不快であることを示す。暑さ指数が高いほど熱中症リスクも高くなる傾向があることが知られている。以下、暑さ指数を用いた熱中症リスク警報の判断方法を説明する。
【0076】
図6を参照して、暑さ指数を使用した熱中症対策制御の判断例について説明する。
図6は暑さ指数の早見表である。まず、暑さ指数のみに基づく判断方法を説明する。
図6では、列見出しが湿度、行見出しが第1温度であり、湿度と第1温度に対応付けて暑さ指数がテーブル状に配置されている。暑さ指数は上記の式(1)に示したように算出方法が決まっているため早見表から、湿度と第1温度が対応する値として決定することができる。
【0077】
図6では、暑さ指数がその発報レベルに応じて三段階に区分されている。この三段階の発報レベルは暑さ指数に基づく危険レベル、厳重警戒レベル、及び、警戒レベルに対応させられており、暑さ指数と同様に、危険レベル、厳重警戒レベル、及び、警戒レベルと称する。
・危険レベルは、暑さ指数が31℃以上の範囲である。
・厳重警戒レベルは、暑さ指数が28℃以上~31℃未満の範囲である。
・警戒レベルは、暑さ指数が25℃以上~28℃未満の範囲である。
【0078】
判断部14は、暑さ指数が31℃以上の場合、危険レベルの判断基準を満たすと判断する。判断部14は、暑さ指数が28℃以上~31℃未満の場合、厳重警戒レベルの判断基準を満たすと判断する。判断部14は、暑さ指数が25℃以上~28℃未満の場合、警戒レベルの判断基準を満たすと判断する。
【0079】
例えば、暑さ指数が危険レベル又は厳重警戒レベルを満たす場合に、第2リスク状態に相当し、発報される熱中症リスク警報が第2熱中症対策制御に相当する。暑さ指数が警戒レベルを満たす場合に、第1リスク状態に相当し、発報される熱中症リスク警報が第1熱中症対策制御に相当する。
【0080】
空調が行われていない場合や空調の運転設定が適切でない場合には熱中症リスクが生じうるので、熱中症リスク警報の発報は、空調運転が停止中か否かに関係なく判断される。
【0081】
しかし、室内機は主に天井付近に設置されることが多く、運転停止中の熱ごもりや温度の高い空気が上方に留まりやすいことなどによって、熱中症リスク警報の判断基準を早期に満たす場合がある(誤警報のおそれがある)。そこで、判断部14は、リモコン30が測定する第2温度を用いて、判断基準を緩和する。
【0082】
例えば、暑さ指数が危険レベルの判断基準を満たした場合を説明する。
図6によれば、危険レベルを満たす暑さ指数のWBGT推定値が31℃である。この場合、判断部14は、第2温度が31℃より低い例えば27℃未満である場合、暑さ指数が31℃以上でも、熱中症リスク警報の発報を行わないと判断する。この27℃という閾値は、危険レベルを満たす暑さ指数のWBGT推定値である31℃より低く、かつ、快適湿度帯である40~60%の湿度で不快領域がない温度として設定されている。
【0083】
暑さ指数が厳重警戒レベルの判断基準を満たした場合も同様である。
図6によれば、厳重警戒レベルを満たす暑さ指数のWBGT推定値が28℃である。この場合、判断部14は、第2温度が、28℃より低い例えば27℃未満である場合、暑さ指数が28℃以上でも、熱中症対策制御を行わないと判断する。
【0084】
暑さ指数が警戒レベルの判断基準を満たした場合を説明する。
図6によれば、警戒レベルを満たす暑さ指数のWBGT推定値が25℃である。この場合、判断部14は、第2温度がこの25℃より低い24℃未満である場合、暑さ指数が25℃以上でも、熱中症対策制御を行わないと判断する。この24℃という閾値は、どの湿度でも警戒領域範囲外となる温度であればよいが、実用上、暑さ指数のWBGT推定値である25℃から1~2℃低い値として設定されている。
【0085】
図7は、閾値記憶部17に記憶されている閾値Aと閾値Bの一例を示す。
図7に示すように、警戒レベル、厳重警戒レベル、及び、危険レベルに対し、WBGT推定値と第2温度と比較される閾値とが対応付けて設定されている。WBGT推定値が閾値A、第2温度と比較される閾値が閾値Bである。
【0086】
判断部14は、まず、暑さ指数と閾値Aとを比較し、暑さ指数が閾値A以上となった発報レベルに対応付けられた閾値Bと第2温度とを比較し、熱中症リスク警報を発報するか否か判断する。なお、以下では、説明のため、発報レベルに対応した各閾値A(31,28,25)を、閾値A1(31)、閾値A2(28)、閾値A3(25)、という。各閾値B(27,27,24)を、閾値B1(27)、閾値B2(27)、閾値B3(24)、という。閾値B1又は閾値B2は第2閾値の一例であり、閾値B3は第1閾値の一例である。
【0087】
<動作及び処理>
次に、
図8を参照して、リモコン30が熱中症リスク警報を発報する処理について説明する。
図8は、リモコン30が第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、熱中症リスク警報を発報する処理を説明するシーケンス図である。
【0088】
S1:例えば定期的に、室内機20の第1温度検出部43が天井付近の第1温度を検出し、湿度検出部42が天井付近の湿度を検出する。
【0089】
S2:室内機20の通信部41は第1温度と湿度をリモコン30に送信する。
【0090】
S3:リモコン30の通信部11は、第1温度と湿度を受信する。第2温度検出部12は、第1温度と湿度を受信したことを契機に、又は、定期的に第2温度を検出する。リモコン30は室内の端末110からNFC等で第2温度を受信してもよい。
【0091】
S4:次に、暑さ指数決定部13は、第1温度と湿度を
図6の早見表で照合し、暑さ指数を決定する。
【0092】
S5:判断部14は、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、熱中症リスク警報を発報するか判断する。この判断の詳細を
図9にて説明する。
【0093】
S6:判断部14が熱中症リスク警報を発報すると判断した場合、警報発報部15が熱中症リスク警報を発報する。表示制御部16は、熱中症リスク警報の発報に応じて、警告メッセージや現在の室温を表示する。熱中症リスク警報を発報するリモコン30の表示例については
図10A~
図10Cに示す。
【0094】
なお、熱中症リスク警報はリモコン30でなく、又は、リモコン30と共に室内機20が表示してもよい。この場合、リモコン30が熱中症リスク警報の発報を室内機20に要求してもよいし、ステップS5の判断を室内機20(リモコン30が第2温度を室内機20に送信する)が行ってもよい。
【0095】
図9は、判断部14が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、熱中症リスク警報を発報する処理を説明するフローチャート図である。
【0096】
まず、判断部14は、暑さ指数が閾値A1(例えば31℃)以上か否か判断する(S101)。ステップS101の判断がYesの場合、判断部14は、第2温度が閾値B1(例えば27℃)以上か否か判断する(S102)。
【0097】
ステップS102の判断がYesの場合、判断部14は、危険レベルの熱中症リスク警報を発報すると判断する(S103)。
【0098】
ステップS101の判断がNoの場合、判断部14は、暑さ指数が閾値A2(例えば28℃)以上か否か判断する(S104)。ステップS104の判断がYesの場合、判断部14は、第2温度が閾値B2(例えば27℃)以上か否か判断する(S105)。
【0099】
ステップS105の判断がYesの場合、判断部14は、厳重警戒レベルの熱中症リスク警報を発報すると判断する(S106)。
【0100】
ステップS104の判断がNoの場合、判断部14は、暑さ指数が閾値A3(例えば25℃)以上か否か判断する(S107)。ステップS107の判断がYesの場合、判断部14は、第2温度が閾値B3(例えば24℃)以上か否か判断する(S108)。
【0101】
ステップS108の判断がYesの場合、判断部14は、警戒レベルの熱中症リスク警報を発報すると判断する(S109)。
【0102】
また、警報発報部15が熱中症リスク警報を発報した場合、判断部14は、発報の停止条件を判断する。危険レベルの熱中症リスク警報を発報した場合、判断部14は、第2温度が閾値B1-αより小さいか判断する(S110)。αは、発報するか否かの判断がハンチングしないための定数(例えば1~3℃)である。
【0103】
ステップS110の判断がYesの場合、判断部14は、熱中症リスク警報の発報を停止すると判断する。表示制御部16は、警告メッセージや現在の室温の表示を終了する(S111)。
【0104】
厳重警戒レベルの熱中症リスク警報を発報した場合、判断部14は、第2温度が閾値B2-βより小さいか判断する(S112)。βは、発報するか否かの判断がハンチングしないための定数(例えば1~3℃)である。
【0105】
ステップS112の判断がYesの場合、判断部14は、熱中症リスク警報の発報を停止すると判断する。表示制御部16は、警告メッセージや現在の室温の表示を終了する(S113)。
【0106】
警戒レベルの熱中症リスク警報を発報した場合、判断部14は、第2温度が閾値B3-γより小さいか判断する(S114)。γは、発報するか否かの判断がハンチングしないための定数(例えば1~3℃)である。
【0107】
ステップS114の判断がYesの場合、判断部14は、熱中症リスク警報の発報を停止すると判断する。表示制御部16は、警告メッセージや現在の室温の表示を終了する(S115)。
【0108】
なお、熱中症リスク警報の発報の停止は、ユーザーがリモコン30を操作し、発報機能を無効化することでも可能である。
【0109】
図9の処理は、室内機20が運転停止中か否かに関わりなく実行されている。しかし、
図9の処理は室内機20が運転停止中にのみ実行されてもよい。運転停止中は天井付近に熱ごもりが発生しやすいためである。運転停止中か否かは、リモコン30自身が運転開始の操作を受け付けることで判断できる。あるいは、リモコン30が室内機20からファンの動作状況を受信することで判断できる。
【0110】
<熱中症リスク警報を発報するリモコンの表示例>
図10A~
図10Cは熱中症リスク警報を発報するリモコン30の表示例である。
図10A(a)(b)は危険レベルの熱中症リスク警報を示し、
図10B(a)(b)は厳重警戒レベルの熱中症リスク警報を示し、
図10C(a)(b)は警戒レベルの熱中症リスク警報を示す。
【0111】
図10A(a)に示すように、危険レベルの熱中症リスク警報において、表示制御部16は、バックライトを一定時間表示し、「熱中症の危険あり」という警告メッセージ301を表示する。ユーザーは熱中症の危険があることを把握できる。表示制御部16は、
図10A(b)に示すように、一定時間ごとに警告メッセージを現在の室温表示302に切り替える。現在の室温により、ユーザーは冷房運転を開始するか否か判断しやすくなる。なお、室内機20が送信した湿度をリモコン30が表示してもよい。また、一定時間ごとに表示が変化することで、ユーザーは熱中症リスク警報が発報されていることに気づきやすくなる。
【0112】
図10B(a)に示すように、厳重警戒レベルの熱中症リスク警報において、表示制御部16は、バックライトを一定時間表示し、「熱中症の可能性あり」という警告メッセージ303を表示する。ユーザーは熱中症の可能性があることを把握できる。
図10B(b)に示す室温表示304については
図10A(b)と同様でよい。
【0113】
図10C(a)に示すように、警戒レベルの熱中症リスク警報において、表示制御部16は、バックライトを一定時間表示し、「熱中症に注意」という警告メッセージ305を表示する。ユーザーは熱中症に注意すべきであることを把握できる。
図10C(b)に示す室温表示306については
図10A(b)と同様でよい。
【0114】
なお、警報発報部15は、ユーザーが携帯する端末110に熱中症リスク警報を通知してもよい。この場合、端末110にはアプリケーションがインストールされており、アプリケーションが室内機20の通知先としてサーバ装置に登録されている。リモコン30の警報発報部15が送信した熱中症リスク警報は、サーバ装置を介して端末110に送信される。
【0115】
また、
図10A、Bが第2警報情報の表示に相当し、
図10Cが第1警報情報の表示に相当する。
【0116】
<主な効果>
本開示のリモコン30は、天井付近の暑さ指数のみでは熱中症リスク警報を発報すると判断せず、低層範囲の温度も用いて判断するので、低層範囲では熱中症リスク警報の発報が必要ない状況で熱中症リスク警報を発報することを抑制できる。
【実施例2】
【0117】
本実施例では、熱中症対策制御として強制的に空調を開始するリモコン30について説明する。本実施例では、暑さ指数が閾値A以上、かつ、第2温度が閾値B以上の場合、強制的に空調を開始する。本実施例では、暑さ指数が危険レベル又は厳重警戒レベルを満たす場合に、実行される強制空調が第2熱中症対策制御に相当し、暑さ指数が警戒レベルを満たす場合に、実行される強制空調が第1熱中症対策制御に相当する。
【0118】
本実施例においては、上記の実施例にて説明した
図1の室内機20及びリモコン30の設置態様、
図2のシステム構成例、
図3のリモコン30の外観図、及び、
図4のハードウェア構成図を援用できるものとして説明する。
【0119】
図11は、空調システム100における室内機20、及びリモコン30の機能をブロックに分けて説明する機能ブロック図の一例である。なお、
図11の説明において、
図5と同一の符号を付した構成要素は同様の機能を果たすので、主に本実施例の主要な構成要素についてのみ説明する場合がある。
【0120】
<<室内機>>
室内機20は、
図5に対し、動体検出部44及びスケジュール取得部45を有している。動体検出部44は、対象空間SPにおいて動くもの(例えば人や動物)を検出する。動体検出部44は、赤外線を検知する人感センサや、定期的に撮影を繰り返し画像間の差異により動体があったことを検出するカメラなどでよい。
【0121】
スケジュール取得部45は、対象空間SPが予約して使用される場合に、対象空間SPの予約に関するスケジュールを、不図示のスケジュール管理サーバから取得する。例えば、対象空間SPが直接、予約されているスケジュール、又は、対象空間SPを使用する時間帯を登録した一人以上のユーザーのスケジュールなどを取得する。
【0122】
図12は、スケジュール取得部45が取得したスケジュールの一例である。
図12では、会議室が直接、予約された場合の各会議室のスケジュールを示す。
図12に示すように、会議室に対応付けて、会議を行う参加者、会議の議題、会議の開始日時と終了日時などが登録されている。会議室が対象空間SPに対応する。会議の開始日時が、リモコン30が、室内機20の強制運転を開始するタイミングの基準となる。
【0123】
<<リモコン>>
図11に戻って説明する。リモコン30は、
図5に対し、運転部18を有している。運転部18は、ユーザーによる運転開始の操作がなくても、例えば、室内の温度又は湿度を下げる運転を行う。具体的な設定温度や設定湿度は、例えば熱中症リスク警報や強制運転が行われない温度や湿度でよい。運転部18は、危険レベル、厳重警戒レベル、及び、警戒レベルに応じて、異なる温度や湿度で強制運転を行ってよい。
【0124】
<動作及び処理>
次に、
図13を参照して、リモコン30が強制運転を行う処理について説明する。
図13は、リモコン30が第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、強制運転を行う処理を説明するシーケンス図である。
【0125】
S21:例えば定期的に、室内機20の第1温度検出部43が天井付近の第1温度を検出し、湿度検出部42が天井付近の湿度を検出する。また、スケジュール取得部45が対象空間SPの予約に関するスケジュールをスケジュール管理サーバから取得する。
【0126】
S22:室内機20の通信部41は、第1温度、湿度、スケジュール、及び動体有無をリモコン30に送信する。
【0127】
S23:リモコン30の通信部11は、第1温度、湿度及びスケジュールを受信する。第2温度検出部12は、これらを受信したことを契機に、又は、定期的に第2温度を検出する。リモコン30は室内の端末110からNFC等で第2温度を受信してもよい。
【0128】
S24:次に、暑さ指数決定部13は、第1温度と湿度を
図6の早見表で照合し、暑さ指数を決定する。
【0129】
S25:判断部14は、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、強制運転するか否か判断する。判断部14は、更に、動体の検出の有無、及び、スケジュールに基づいて、強制運転するか否か判断する。この判断の詳細を
図14にて説明する。
【0130】
S26:判断部14が強制運転すると判断した場合、運転部18が温度又は湿度を下げる運転を開始する。
【0131】
S27:リモコン30の通信部11は、危険レベル、厳重警戒レベル、及び、警戒レベルに応じた設定温度及び設定湿度と共に運転開始を室内機20に要求する。一例として、危険レベルの設定温度は閾値B-α、設定湿度は40%、厳重警戒レベルの設定温度は閾値B-β、設定湿度はなし、警戒レベルの設定温度はなし、設定湿度は湿度を設定しない除湿要求(快適な湿度を設定してもよい)である。
【0132】
図14は、判断部14が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、更に、動体の検出の有無、及び、スケジュールに基づいて強制運転する処理を説明するフローチャート図である。
図14の説明では主に
図9との相違を説明する。ステップS201~S206については
図9のステップS101、S102,S104、S105、S107、S108と同様でよい。
【0133】
なお、暑さ指数と比較される閾値A、及び、第2温度と比較される閾値Bは、熱中症リスク警報と強制運転とで同じでよい。ただし、強制運転は、ユーザーの同意なしに空調機を運転させる制御なので、強制運転において、暑さ指数と比較される閾値A、及び、第2温度と比較される閾値Bは、熱中症リスク警報よりも運転開始が判断されにくいように決定されていてもよい。
【0134】
次に、ステップS207において、判断部14は、動体を検出したか判断する。判断部14は通信部11を介して、室内機20に対し動体の有無を問い合わせる。動体の有無を室内機20が検知してもよい。動体が検出された場合、判断部14は強制運転すると判断する。動体を検出しない場合、判断部14は、現在から一定時間内に、対象空間SPを使用する予定(予約)がスケジュールに登録されているか否か判断する。一定時間は、対象空間SPの温度や湿度を不快でない範囲に下げるために必要な時間でよい。一定時間は、例えば10~15分程度である。
【0135】
ステップS207の判断がYesの場合、判断部14は、ステップS202に続いて、危険レベルに対応する運転を開始すると判断する(S208)。ステップS207の判断がYesの場合、判断部14は、ステップS204に続いて、厳重警戒レベルに対応する運転を開始すると判断する(S209)。ステップS207の判断がYesの場合、判断部14は、ステップS206に続いて、警戒レベルに対応する運転を開始すると判断する(S210)。
【0136】
運転終了の判断(S211~S216)については、
図9のステップS110~S115と同様でよい。運転終了の判断(S211、S213、S215)を満たす場合、判断部14は強制運転を終了すると判断する(S212、S214、S216)。
【0137】
図14の処理は、室内機20が運転停止中か否かに関わりなく実行されている。しかし、
図14の処理は室内機20が運転停止中にのみ実行されてもよい。
【0138】
<主な効果>
本開示のリモコン30は、天井付近の暑さ指数のみでは強制運転を行うと判断せず、低層範囲の温度も用いて判断するので、低層範囲では強制運転が必要ない状況で強制運転を行うことを抑制できる。
【実施例3】
【0139】
本実施例では、熱中症対策制御として熱中症リスク警報の発報と強制的に空調を、第2温度に応じて切り替えるリモコン30について説明する。本実施例では、暑さ指数が危険レベル又は厳重警戒レベルを満たす場合に、実行される強制空調が第2熱中症対策制御に相当し、暑さ指数が警戒レベルを満たす場合に、熱中症リスク警報が発報されることが第1熱中症対策制御に相当する。
【0140】
本実施例においては、実施例2にて説明した
図11の機能ブロック図を援用して説明する。また、
<動作及び処理>
図15は、リモコン30が第1温度、湿度、及び、第2温度に基づいて、強制運転を行う処理を説明するシーケンス図である。まず、ステップS31~S34については
図13のステップS21~S24と同様でよい。
【0141】
S35:判断部14は、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、動体の有無、及び、スケジュールに基づいて、熱中症リスク警報の発報又は強制運転を行うか判断する。この判断の詳細を
図16にて説明する。
【0142】
S36:判断部14が強制運転すると判断した場合、運転部18が温度又は湿度を下げる運転を開始する。ステップS37の処理は
図13のステップS27と同様でよい。
【0143】
S38:判断部14が熱中症リスク警報を発報すると判断した場合、警報発報部15が熱中症リスク警報を発報する。この処理は
図8のステップS6と同様でよい。
【0144】
図16は、判断部14が、暑さ指数と閾値A、第2温度と閾値Bを比較し、更に、動体の検出の有無、及び、スケジュールに基づいて熱中症リスク警報又は強制運転する処理を説明するフローチャート図である。
図16の説明では主に
図14との相違を説明する。
【0145】
図16では、第2温度が閾値B1以上(S302)、又は、第2温度が閾値B2以上(S304)の場合、動体検出及びスケジュール判断を経て(S307)、判断部14が強制運転すると判断している(S308,S309)。
【0146】
一方、第2温度が閾値B3以上(S306)の場合、判断部14が熱中症リスク警報を発報すると判断している(S310)。
【0147】
運転終了の判断(S311~S314)については、
図14のステップS211~S214と同様でよい。熱中症リスク警報の発報の終了判断(S315、S316)については、
図9のステップS114,S115と同様でよい。
【0148】
なお、
図16において、第2温度が閾値B2以上(S304)の場合に、強制運転でなく熱中症リスク警報の発報が行われてもよい。あるいは、第2温度が閾値B1以上(S302)、又は、第2温度が閾値B2以上(S304)の場合に、熱中症リスク警報の発報が行われ、第2温度が閾値B3以上(S306)の場合、強制運転が行われてもよい。
【0149】
<主な効果>
本開示のリモコン30は、第2温度に応じて、強制運転を行うか、熱中症リスク警報を発報するかを切り替えることができる。例えば、第2温度が暑さ指数の危険レベルや厳重警戒レベルを満たす場合、早期に対象空間の室温を下げ、第2温度が暑さ指数の警戒レベルを満たすだけの場合は消費電力を抑制できる。
【0150】
<その他の適用例>
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0151】
例えば、リモコン30は、実施例1の熱中症リスク警報の発報と実施例2の強制運転とを両方行ってもよい。
【0152】
また、実施例1,2において、リモコン30が熱中症対策制御を行うかを判断しているが、この判断を室内機20が行ってもよい。この場合、室内機20は、第2温度をリモコン30、閾値Aと閾値Bを受信し、暑さ指数を算出する。したがって、室内機20は、リモコン30と同様に熱中症対策制御を行うかを判断できる。
【0153】
また、本開示では、対象空間SPの上下方向で温度が異なることに着目しているが、横方向に温度が異なる対象空間SPであっても、本開示の技術を適用できる。
また、本開示では、暑さ指数と第2温度の値から熱中症対策制御を行うか判断しているが、暖房運転時には発報させず、送風運転、冷房運転、除湿運転、換気運転中であれば発報を許可するようにしてもよい。
【0154】
また、実施例1,2において、リモコン30が熱中症対策制御を行うかを判断しているが、この判断をネットワーク上のサーバ装置が行ってもよい。この場合、室内機20が第1温度、湿度、及び、第2温度をサーバ装置に送信し、判断結果をサーバ装置から受信する。閾値Aと閾値Bはサーバ装置に予め設定されている。
【0155】
また、
図5などの構成例は、室内機20,及び、リモコン30による処理の理解を容易にするために、主な機能に応じて分割したものである。処理単位の分割の仕方や名称によって本願発明が制限されることはない。室内機20,及び、リモコン30の処理は、処理内容に応じて更に多くの処理単位に分割することもできる。また、1つの処理単位が更に多くの処理を含むように分割することもできる。
【0156】
上記で説明した本開示の各機能は、プログラムの実行によるソフトウェア処理だけでなく、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【符号の説明】
【0157】
20 室内機
30 リモコン
100 空調システム