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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】輻射量算出装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20240710BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G01J5/48 C
G01J5/48 D
G01V8/20 Q
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022140597
(22)【出願日】2022-09-05
(65)【公開番号】P2023041637
(43)【公開日】2023-03-24
【審査請求日】2022-09-05
(31)【優先権主張番号】P 2021148977
(32)【優先日】2021-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】濱村 航明
(72)【発明者】
【氏名】足利 朋義
(72)【発明者】
【氏名】宮原 良輔
(72)【発明者】
【氏名】大賀 隆寛
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038153(JP,A)
【文献】国際公開第2021/152671(WO,A1)
【文献】特開2017-181210(JP,A)
【文献】特開2014-115262(JP,A)
【文献】国際公開第2021/130932(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/065218(WO,A1)
【文献】特開平05-052383(JP,A)
【文献】特開2012-004630(JP,A)
【文献】特開平06-147991(JP,A)
【文献】日本建築学会論文報告集,1978年06月,第268号,第109~119頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 5/00 - G01J 5/90
G01J 1/02
G01J 1/42 - G01J 1/46
G01B 11/00 - G01B 11/30
G01K 13/00
G01N 25/00 - G01N 25/72
G01S 7/48 - G01S 7/51
G01S 17/00 - G01S 17/95
G01V 8/10 - G01V 8/26
F24F 11/00 - F24F 11/89
F24F 110/10
F24F 120/00 - F24F 120/20
H04N 5/222- H04N 5/257
H04N 7/18
H04N 23/00
H04N 23/40 - H04N 23/76
H04N 23/90 - H04N 23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間内の任意の点における輻射量を算出する装置であって、
前記対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定する、第1~第N(Nは以上の整数)の検知部(1A~1N)と、
前記第1~第Nの検知部が測定した輻射温度分布である第1~第Nの輻射温度分布に基づいて、前記対象空間における複数の輻射発生源(2A、2B)からの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する、制御部(110)と、
を備え、
前記対象空間に複数の輻射発生源があり、
前記制御部は、前記複数の輻射発生源それぞれの立体角投射率を求め、前記立体角投射率を足し合わせて、前記複数の輻射発生源からの、前記輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出し、
前記制御部は、前記第1~第Nの検知部が測定した輻射温度分布である第1~第Nの輻射温度分布に基づいて、前記対象空間における前記複数の輻射発生源の位置を特定し、
前記制御部は、さらに、前記第1~第Nの輻射温度分布から同じ輻射発生源を検出した場合に、前記第1~第Nの検知部を基準としたときの、前記輻射発生源に対する、前記第1~第Nの検知部と前記輻射量を算出したい点とがなす角度である正対の度合い、または前記第1~第Nの検知部と前記輻射発生源との間の距離の少なくとも1つに基づいて、前記第1~第Nの輻射温度分布それぞれの評価を決める、
輻射量算出装置(100)。
【請求項2】
前記制御部は、前記対象空間における前記複数の輻射発生源の位置を、三次元座標で特定する、
請求項に記載の輻射量算出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
輻射量算出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空調機に搭載したサーモセンサにより居室内を走査して、周壁面の温度と、周壁面と人体との間の距離とを算出し、居室内における壁から人体への輻射温度を算出している(特許文献1(特開2011-242129号公報))。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来は、単一のサーモセンサの情報を用いているため、対象空間内の人体や物体の位置関係を正確に測定することができず、対象空間内の任意の点の周囲の輻射発生源を正確に把握できないため、任意の点における輻射量を正確に算出できない場合があるという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点の輻射量算出装置は、対象空間内の任意の点における輻射量を算出する装置であって、第1~第N(Nは1以上の整数)の検知部と、制御部と、を備える。第1~第Nの検知部は、それぞれ異なる位置から対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定する。制御部は、第1~第Nの検知部が測定した輻射温度分布である第1~第Nの輻射温度分布に基づいて、対象空間における1又は複数の輻射発生源からの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0005】
この輻射量算出装置では、対象空間内の人体物体の位置関係を正確に把握でき、任意の点における輻射量を正確に算出することができる。
【0006】
第2観点の輻射量算出装置は、第1観点の装置であって、第1~第Nの検知部を2以上備える。制御部は、第1~第Nの検知部が測定した輻射温度分布である第1~第Nの輻射温度分布に基づいて、対象空間における前記1又は複数の輻射発生源の位置を特定する。
【0007】
この輻射量算出装置では、複数の輻射温度分布を用いて、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0008】
第3観点の輻射量算出装置は、第1観点の装置であって、対象空間における1又は複数の輻射発生源を検出する検出部、をさらに備える。制御部は、検出部が取得した検出データに基づいて、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を特定する。
【0009】
この輻射量算出装置では、検出部が取得した検出データを用いることで、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0010】
第4観点の輻射量算出装置は、第3観点の装置であって、制御部は、第1~第Nの検知部が測定した輻射温度分布である第1~第Nの輻射温度分布にさらに基づいて、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を特定する。
【0011】
この輻射量算出装置では、輻射温度分布と、検出部が取得した検出データを用いることで、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができることができる。
【0012】
第5観点の輻射量算出装置は、第3観点の装置であって、検出部は、3Dカメラ又は測域センサを含む。
【0013】
この輻射量算出装置では、3Dカメラ又は測域センサなどを用いて、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0014】
第6観点の輻射量算出装置は、第4観点の装置であって、検出部は、可視カメラを含む。
【0015】
この輻射量算出装置では、輻射温度分布と、可視カメラの画像を用いて、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0016】
第7観点の輻射量算出装置は、第1観点から第6観点のいずれかの装置であって、制御部は、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を、三次元座標で特定する。
【0017】
この輻射量算出装置では、対象空間における輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0018】
第8観点の輻射量算出装置は、第1観点から第7観点のいずれかの装置であって、制御部は、輻射量を算出したい点における、1又は複数の輻射発生源の立体角投射率を求め、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0019】
この輻射量算出装置では、輻射発生源の立体角投射率を求めて輻射量を算出することで、輻射量を正確に算出することができる。
【0020】
第9観点の輻射量算出装置は、第1観点から第8観点のいずれかの装置であって、対象空間に複数の輻射発生源がある。制御部は、複数の輻射発生源それぞれの立体角投射率を求め、立体角投射率を足し合わせて、複数の輻射発生源からの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0021】
この輻射量算出装置では、複数の輻射発生源の立体角投射率を求めて、立体角投射率を合計して輻射量を算出することで、対象空間内に輻射発生源が複数ある場合であっても、輻射量を正確に算出することができる。
【0022】
第10観点の輻射量算出装置は、第2観点の装置であって、制御部は、第1~第Nの輻射温度分布それぞれからの複数の輻射発生源の検出の有無に関する情報と、第1~第Nの検知部の位置情報とに基づいて、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源を特定する。
【0023】
この輻射量算出装置では、対象空間内に輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼさない輻射発生源がある場合であっても、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源を特定することで、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源による輻射量を算出することができる。
【0024】
第11観点の輻射量算出装置は、第2観点の装置であって、制御部は、第1~第Nの輻射温度分布から同じ輻射発生源を検出した場合に、第1~第Nの検知部を基準としたときの、輻射発生源に対する、第1~第Nの検知部と輻射量を算出したい点とがなす角度である正対の度合い、または第1~第Nの検知部と輻射発生源との間の距離の少なくとも1つに基づいて、第1~第Nの輻射温度分布それぞれの評価を決める。
【0025】
この輻射量算出装置では、第1~第Nの輻射温度分布の評価を決定することで、複数の検知部のうち、評価の高い検知部の輻射温度分布に基づいて、輻射発生源から受ける輻射量を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】輻射量算出装置100の機能ブロック図である。
図2】対象空間を天井側から見た例を示す図である。
図3A】検知部の撮影画像の例を示す図である。
図3B】検知部の撮影画像の他の例を示す図である。
図3C】検知部の撮影画像の他の例を示す図である。
図4】対象空間の概略斜視図である。
図5】輻射量算出装置100のフローチャートである。
図6】任意の位置において輻射影響を受ける輻射発生源を特定する場合を説明するための図である。
図7】検出した人体が輻射影響を受ける輻射発生源を特定する場合を説明するための図である。
図8A】対象空間におけるサーモセンサの設置例を示す図である。
図8B】輻射発生源に対する、検知部と輻射量を算出したい点とがなす角度である正対の度合いを説明するための図である。
図9】検知部と輻射発生源との間の距離を説明するための図である。
図10】輻射量算出装置200の機能ブロック図である。
図11】体感温度算出システム400の機能ブロック図である。
図12】体感温度算出システム400のフローチャートである。
図13】輻射量算出装置600の機能ブロック図である。
図14】輻射量算出装置600のフローチャートである。
図15】輻射量算出装置700の機能ブロック図である。
図16】輻射量算出装置800の機能ブロック図である。
図17】輻射量算出装置800のフローチャートである。
図18】ステレオカメラを説明するための図である。
図19】ライトフィールドカメラを説明するための図である。
図20】ToFカメラを説明するための図である。
図21】構造化照明を説明するための図である。
図22A】構造化照明の照明パターンの例を示す図である。
図22B】構造化照明の照明パターンの他の例を示す図である。
図22C】構造化照明の照明パターンの他の例を示す図である。
図23】測域センサを説明するための図である。
図24】輻射量算出装置900の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<第1実施形態>
(1)輻射量算出装置の概要
本実施形態では、輻射量算出装置は、対象空間の同一範囲を測定する複数台のサーモセンサを用いて対象空間の任意の点の周囲の輻射発生源の3次元の位置関係を把握することで、対象空間内の任意の点における輻射量を高精度に推定する。輻射量算出装置は、対象空間内の任意の点、例えば人体の位置から見て、室温との温度差が大きい物体(壁を含む)を抽出し、物体の位置と大きさから算出した形態係数(立体角投射率)と物体の温度を用いて、人体の位置における輻射量(輻射温度)を推定する。
【0028】
(2)輻射量算出装置の構成
本実施形態の輻射量算出装置100は、図1に示すように、第1~第N検知部1A~1N(Nは2以上の整数)と、制御部110と、を備える。本実施形態では、Nは3とする。
【0029】
(2-1)検知部
第1~第3検知部1A~1Cは、それぞれ異なる位置から対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定する。本実施形態では、第1~第3検知部1A~1Cはサーモセンサである。第1~第3サーモセンサ1A~1Cが、対象空間に設置されている。第1~第3サーモセンサ1A~1Cは、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが設置されている部屋全体を撮影する。
【0030】
対象空間を天井側から見た例を図2に示す。図2に示すように、対象空間に、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが設置されている。また、対象空間に、第1、第2輻射発生源2A、2Bが存在する。また、対象空間に、人体3が存在する。
【0031】
(2-2)制御部
制御部110はコンピュータにより実現されるものである。制御部110は、図1に示すように主として、人体位置特定部112と、輻射発生源特定部114と、輻射温度推定部116と、を有している。制御部110は、制御演算装置と、記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。図1に示す人体位置特定部112と、輻射発生源特定部114と、輻射温度推定部116は、制御演算装置により実現される機能ブロックである。記憶装置は、データベースとして用いることができる。
【0032】
制御部110は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を特定し、1又は複数の輻射発生源からの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。本実施形態では、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、第1、第2輻射発生源2A、2Bからの、人体3の位置に対する射出温度を算出する。
【0033】
(2-2-1)人体位置特定部
人体位置特定部112は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、対象空間における人体の位置を特定する。
【0034】
人体位置特定部112は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cで検出された人体の位置の3次元座標を、三角測量により算出する。
【0035】
本実施形態では、人体位置特定部112は、第1、第2サーモセンサ1A、1Bの位置から人体3の位置までの角度を測ることで、人体3の位置の3次元座標を算出する。また、第2、第3サーモセンサ1B、1Cの位置から人体3の位置までの角度を測ることで、人体3の位置の3次元座標を算出する。また、第1、第3サーモセンサ1A、1Cの位置から人体3の位置までの角度を測ることで、人体3の位置の3次元座標を算出する。
【0036】
(2-2-2)輻射発生源特定部
輻射発生源特定部114は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、人体の位置の周囲にある輻射発生源を特定する。輻射発生源として、例えば、電子機器等がある。
【0037】
輻射発生源特定部114は、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を、三次元座標で特定する。輻射発生源特定部114は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cで検出された輻射発生源の位置の3次元座標を、三角測量により算出する。
【0038】
本実施形態では、輻射発生源特定部114は、第1、第2サーモセンサ1A、1Bから第1輻射発生源2Aまでの角度を測ることで、第1輻射発生源2Aの位置の3次元座標を算出する。また、第2、第3サーモセンサ1B、1Cから第1輻射発生源2Aまでの角度を測ることで、第1輻射発生源2Aの位置の3次元座標を算出する。また、第1、第3サーモセンサ1A、1Cから第1輻射発生源2Aまでの角度を測ることで、第1輻射発生源2Aの位置の3次元座標を算出する。
【0039】
また、輻射発生源特定部114は、第1、第2サーモセンサ1A、1Bから第2輻射発生源2Bまでの角度を測ることで、第2輻射発生源2Bの位置の3次元座標を算出する。また、第2、第3サーモセンサ1B、1Cから第2輻射発生源2Bまでの角度を測ることで、第2輻射発生源2Bの位置の3次元座標を算出する。また、第1、第3サーモセンサ1A、1Cから第2輻射発生源2Bまでの角度を測ることで、第2輻射発生源2Bの位置の3次元座標を算出する。
【0040】
(2-2-3)輻射温度推定部
輻射温度推定部116は、対象空間内の人体3の位置から見て、室温との温度差が大きい第1、第2輻射発生源2A、2Bを抽出し、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置と大きさから算出した形態係数(立体角投射率)と、第1、第2輻射発生源2A、2Bの温度を用いて、輻射量を推定する。
【0041】
輻射温度推定部116は、人体位置特定部112から、人体3の位置情報が入力される。また、輻射温度推定部116は、輻射発生源特定部114から、第1、第2輻射発生源2A、2Bの特定情報が入力される。第1、第2輻射発生源2A、2Bの特定情報は、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置情報、第1、第2輻射発生源2A、2Bの大きさに関する情報などが含まれる。また、輻射温度推定部116は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cから第1~第3の輻射温度分布が入力される。
【0042】
第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置は、輻射発生源特定部114を用いて算出される。また、第1輻射発生源2Aの位置が算出されるので、第1輻射発生源2Aの大きさは、第1輻射発生源2Aと第1~第3サーモセンサ1A~1Cとの間の距離によって、1ピクセル当たりの面積が決まることで算出される。また、第2輻射発生源2Bの位置が算出されるので、第2輻射発生源2Bの大きさは、第2輻射発生源2Bと第1~第3サーモセンサ1A~1Cとの間の距離によって、1ピクセル当たりの面積が決まることで算出される。
【0043】
輻射温度推定部116は、複数の物体(輻射発生源)の形態係数をそれぞれ求め、形態係数を足し合わせて、複数の輻射発生源からの、人体の位置に対する輻射温度(輻射量)を算出する。輻射量Trを算出するための数式1は次の通りである。
【0044】
【数1】
但し、
Φi:物体iの形態係数
Tr_ave :抽出した物体以外の平均表面温度
Tr_i :抽出した物体の平均表面温度
【0045】
(3)輻射量算出装置の全体動作
輻射量算出装置100のフローチャートを図5に示す。
【0046】
まず、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが、対象空間の同一範囲の輻射温度分布を取得する(ステップS1)。
【0047】
第1~第3サーモセンサ1A~1Cが撮影した画像の例を図3A図3Cに示す。図3A図3Cに示すように、第1~第3サーモセンサ1A~1Cによって、第1、第2輻射発生源2A、2Bと、人体3が撮影されている。
【0048】
例えば、図2に示すように、第1輻射発生源2Aは、第1サーモセンサ1Aからの距離が近く、第2、第3サーモセンサ1B、1Cからの距離が離れている。従って、第1輻射発生源2Aは、図3Aに示す第1サーモセンサ1Aが撮影した画像での大きさの方が、図3B図3Cに示す第2、第3サーモセンサ1B、1Cが撮影した画像での大きさよりも大きい。
【0049】
また、図2に示すように、第2輻射発生源2Bは、第3サーモセンサ1Cからの距離が近く、第1、第2サーモセンサ1A、1Bからの距離が離れている。従って、第2輻射発生源2Bは、図3Cに示す第3サーモセンサ1Cが撮影した画像での大きさの方が、図3A図3Bに示す第1、第2サーモセンサ1A、1Aが撮影した画像での大きさよりも大きい。
【0050】
また、図2に示すように、人体3は、第2サーモセンサ1Bからの距離が近く、第1、第3サーモセンサ1A、1Cからの距離が離れている。従って、人体3は、図3Bに示す第2サーモセンサ1Bが撮影した画像での大きさの方が、図3A図3Cに示す第1、第3サーモセンサ1A、1Cが撮影した画像での大きさよりも大きい。
【0051】
次に、人体位置特定部112が対象空間における人体3の位置を特定する(ステップS2)。ステップS2では、ステップS1で第1~第3サーモセンサ1A~1Cを用いて取得した輻射温度分布に基づいて、対象空間における人体3の位置を特定する。本実施形態では、図3Aに示す第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、人体3を囲む点線の四角形の上辺の中心点P31を対象空間における人体3の位置として特定する。また、図3Bに示す第2サーモセンサ1Bの撮影画像において、人体3を囲む点線の四角形の上辺の中心点P32を対象空間における人体3の位置として特定する。また、図3Cに示す第3サーモセンサ1Cの撮影画像において、人体3を囲む点線の四角形の上辺の中心点P33を対象空間における人体3の位置として特定する。
【0052】
対象空間の概略斜視図を図4に示す。例えば、図4に示すように、対象空間における人体3の位置は、図3A図3Cの撮影画像に基づいて、(x、y、z)であると特定される。
【0053】
次に、輻射発生源特定部114が人体の位置の周囲の輻射発生源を特定する(ステップS3)。ステップS3で、ステップS1で得られた第1~第3サーモセンサ1A~1Cの輻射温度分布によって、人体3の周囲に、第1、第2輻射発生源2A、2Bが存在することが特定されている。
【0054】
本実施形態では、図3Aに示す第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、第1輻射発生源2Aを示す四角形の上辺の中心点P11を対象空間における第1輻射発生源2Aの位置として特定する。また、図3Bに示す第2サーモセンサ1Bの撮影画像において、第1輻射発生源2Aを示す四角形の上辺の中心点P12を対象空間における第1輻射発生源2Aの位置として特定する。また、図3Cに示す第3サーモセンサ1Cの撮影画像において、第1輻射発生源2Aを示す四角形の上辺の中心点P13を対象空間における第1輻射発生源2Aの位置として特定する。
【0055】
また、本実施形態では、図3Aに示す第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、第2輻射発生源2Bを示す四角形の上辺の中心点P21を対象空間における第2輻射発生源2Bの位置として特定する。また、図3Bに示す第2サーモセンサ1Bの撮影画像において、第2輻射発生源2Bを示す四角形の上辺の中心点P22を対象空間における第2輻射発生源2Bの位置として特定する。また、図3Cに示す第3サーモセンサ1Cの撮影画像において、第2輻射発生源2Bを示す四角形の上辺の中心点P23を対象空間における第2輻射発生源2Bの位置として特定する。
【0056】
例えば、図4に示すように、対象空間における第1輻射発生源2Aの位置は、図3A図3Cの撮影画像に基づいて、(x、y、z)であると推定される。また、対象空間における第2輻射発生源2Bの位置は、図3A図3Cの撮影画像に基づいて、(x、y、z)であると推定される。
【0057】
次に、輻射温度推定部116が対象空間の人体の位置における輻射温度を推定する(ステップS4)。第1、第2輻射発生源2A、2Bの形態係数をそれぞれ求め、第1、第2輻射発生源2A、2Bの形態係数を足し合わせて、第1、第2輻射発生源2A、2Bからの、人体3の位置に対する輻射温度を算出する。
【0058】
(4)体感温度算出システム
輻射量算出装置100で算出した輻射量(輻射温度)を用いて、対象空間内の任意の地点における、高精度に輻射温度を考慮したPMV(予測平均温冷感申告)を算出できる。
【0059】
PMVは、温度、湿度、気流、輻射、着衣量、活動量の6つの温熱要素から算出される-3から+3の7段階評価尺度による数値で表される温熱環境評価指標である。PMVは、-3(寒い)、-2(涼しい)、-1(やや涼しい)、0(中立)、+1(やや暖かい)、+2(暖かい)及び+3(暑い)の7段階の快適性で判定される。一般的に、人が快適と感じているときのPMVは、-0.5~+0.5である。例えば、PMV=0のとき95%の人が快適と感じる温熱環境とされる。
【0060】
人の体感温度は、温熱環境だけでなく、心理的要因にも作用されるので、PMVと体感温度が異なる場合がありうる。例えば、興奮すると暑く感じる場合や、悲しいと寒く感じる場合など、温熱環境が一定でも体感温度は心理的要因により変化しうる。
【0061】
対象空間内の任意の点の輻射温度を正確に算出することで、対象空間内に存在する人ごとに輻射温度を正確に反映したPMVを算出できる。また、このPMVと個人の感情を組み合わせることで対象空間内の人ごとの体感温度を把握できる。
【0062】
体感温度算出システム400の一例を図11に示す。体感温度算出システム400は、輻射量算出装置100と、カメラ300と、制御部410と、を備える。輻射量算出装置100は、対象空間内の任意の点における輻射量(輻射温度)を算出する。カメラ300は、例えば可視カメラである。カメラ300は、対象空間内に存在する人を撮影する。
【0063】
制御部410は、温冷感取得部412と、感情推定部414と、体感温度算出部416と、を有している。
【0064】
温冷感取得部412は、輻射量算出装置100で算出した輻射温度と、その他のPMVの算出に必要なパラメータ(温度、湿度、気流、着衣量、活動量)を取得して、所定の公式に代入してPMVを算出する。
【0065】
輻射温度以外の、PMVの算出に必要なパラメータは、公知の技術で算出される。または、輻射温度以外の、PMVの算出に必要なパラメータは、固定値を利用してもよい。
【0066】
例えば、対象空間に空気調和装置が設置されている場合、温冷感取得部412は、空気調和装置が備える温度センサ及び湿度センサから、それぞれ、対象空間の温度(気温)及び湿度の値を取得してもよい。また、対象空間に空気調和装置が設置されている場合、温冷感取得部412は、空気調和装置の吹き出し風量に基づいて算出された対象空間の気流の値を用いてもよい。
【0067】
また、例えば、温冷感取得部412は、着衣量の値及び活動量の値として標準的な環境を想定した所定の値を用いてもよい。また、温冷感取得部412は、所定の値を用いる代わりに、カメラ等から取得した対象空間内の人の状態に基づいて、着衣量及び活動量の値を算出して用いてもよい。
【0068】
感情推定部414は、対象空間内に存在する人の感情を推定する。感情推定部414は、人の感情を公知の技術により推定する。例えば、感情推定部414は、カメラ300の撮影画像データを用いて、対象空間内に存在する人の表情や体の動きなどに基づいて、人の感情を推定する。
【0069】
体感温度算出部416は、温冷感取得部412で算出したPMVと、感情推定部414で推定した対象空間内に存在する人の感情とに基づいて、対象空間内に存在する人の体感温度を算出する。
【0070】
体感温度算出システム400のフローチャートを図12に示す。
【0071】
まず、輻射量算出装置100が対象空間の人体の位置における輻射温度を推定する(ステップS11)。ステップS11では、図5に示したフローチャートの手順で、輻射量算出装置100が対象空間の人体の位置における輻射温度を推定する。
【0072】
温冷感取得部412が、ステップS11で推定した対象空間の人体の位置における輻射温度と、輻射温度以外のパラメータ(温度、湿度、気流、着衣量、活動量)とを用いて、PMVを算出する(ステップS12)。
【0073】
感情推定部414は、カメラ300が撮影した対象空間内の人の撮影画像データを取得する(ステップS13)。感情推定部414は、ステップS13で取得した撮影画像データに基づいて、人の感情を推定する(ステップS14)。
【0074】
次に、体感温度算出部414が、ステップS12で算出したPMVと、ステップS13で推定した人の感情に基づいて、対象空間内に存在する人の体感温度を算出する(ステップS15)。
【0075】
体感温度算出システム400は、輻射量算出装置100で算出した輻射温度を用いて取得したPMVと、公知の技術によって推定した人の感情を組み合わせることで、対象空間内の個人の体感温度を正確に算出できる。
【0076】
(5)特徴
(5-1)
本実施形態に係る輻射量算出装置100は、対象空間内の任意の点における輻射量を算出する装置であって、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cと、制御部110と、を備える。第1~第3のサーモセンサ1A~1Cは、それぞれ異なる位置から対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定する。制御部110は、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、第1、第2の輻射発生源2A、2Bからの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0077】
人の温熱快適性を評価するPMV(予測平均温冷感申告)は温度、湿度、気流、輻射、着衣量、活動量の6つの温熱要素から算出され、オフィスづくりの温熱指数として使われている。温熱6要素の中の1つである輻射は床壁面(ペリメーターゾーンとインテリアゾーン)や電子機器等の輻射発生源による輻射の影響によって、空間内の位置によって大きく異なる可能性がある。そのため、居室内の個々の人体への輻射量を高精度に評価するためには、個々の人体の位置に合わせて輻射量を把握する必要がある。
【0078】
従来、PMV等の温熱快適性指標を算出するための要素の1つである輻射温度を測定する方法として、サーモセンサを用いて、居室内を走査して温度測定を行い、周壁面や床の温度を測定し、輻射温度を算出する方法などがある。
【0079】
単一のカメラやセンサで対象空間を撮影した場合、人体や物体の位置関係を正確に測定できない。従って、輻射量を算出する際に、単一のカメラやセンサから見て検出することができる輻射発生源の形態係数(立体角投射率)を求めるか、または位置関係を容易に把握できる壁床からの輻射のみを考慮することになる。そのため、対象空間の任意の点における周囲の輻射発生源の形態係数を求めて、対象空間内の任意の点における輻射量を正確に算出することは難しい。
【0080】
対象空間内の任意の点における輻射量を正確に算出するためには、対象点の周囲の輻射発生源の3次元的な位置関係を立体的に把握する必要がある。
【0081】
この輻射量算出装置100では、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cが、それぞれ異なる位置から対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定することで、対象空間内の人体や物体の位置関係を正確に把握でき、任意の点における輻射量を正確に算出することができる。
【0082】
(5-2)
本実施形態に係る輻射量算出装置100では、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cを2以上備える。制御部110は、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、対象空間における第1、第2の輻射発生源2A、2Bの位置を特定する。
【0083】
この輻射量算出装置100では、第1~第3の輻射温度分布を用いて、対象空間内の第1、第2の輻射発生源2A、2Bの位置を正確に特定することができる。
【0084】
(5-3)
本実施形態に係る輻射量算出装置100では、制御部110は、対象空間における第1、第2の輻射発生源2A、2Bの位置を、三次元座標で特定する。
【0085】
この輻射量算出装置100では、対象空間における輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0086】
(5-4)
本実施形態に係る輻射量算出装置100では、制御部110は、輻射量を算出したい点における、第1、第2の輻射発生源2A、2Bの立体角投射率を求め、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0087】
この輻射量算出装置100では、輻射発生源の立体角投射率を求めて輻射量を算出することで、輻射量を正確に算出することができる。
【0088】
(5-5)
本実施形態に係る輻射量算出装置100では、対象空間に第1、第2の輻射発生源2A、2Bがある。制御部110は、第1、第2の輻射発生源2A、2Bそれぞれの立体角投射率を求め、第1、第2の輻射発生源2A、2Bの立体角投射率を足し合わせて、第1、第2の輻射発生源2A、2Bからの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。
【0089】
この輻射量算出装置100では、第1、第2の輻射発生源2A、2Bの立体角投射率を求めて、第1、第2の輻射発生源2A、2Bの立体角投射率を合計して輻射量を算出することで、対象空間内に輻射発生源が複数ある場合であっても、輻射量を正確に算出することができる。
【0090】
(6)変形例
(6-1)変形例1A
変形例1Aの輻射量算出装置では、制御部は、第1~第3の輻射温度分布それぞれからの複数の輻射発生源の検出の有無に関する情報と、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cの位置情報とに基づいて、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源を特定する。
【0091】
対象空間の任意の位置において輻射影響を受ける輻射発生源を特定する場合について説明する。
【0092】
図6に示すように、第1エリア5Aには、第1サーモセンサ1Aと、第1輻射発生源2Aが存在する。また、第2エリア5Bには、第2、第3サーモセンサ1B、1Cと、第2輻射発生源2Bが存在する。
【0093】
図6に示すように、遮蔽物4が第1輻射発生源2Aと第2輻射発生源2Bの間に存在する場合、第1サーモセンサ1Aの撮影画像からは、第1輻射発生源2Aのみが検知される。また、第2、第3サーモセンサ1B、1Cの撮影画像からは、第2輻射発生源2Bのみが検知される。
【0094】
従って、第1輻射発生源2Aと第2輻射発生源2Bの間に遮蔽物4が存在することが、第1~第3サーモセンサ1A~1Cによる第1~第3の輻射温度分布の測定値から判断できる。
【0095】
第1エリア5A内の任意の位置においては、第1輻射発生源2Aのみによって、輻射の影響を受ける。また、第2エリア5B内の任意の位置においては、第2輻射発生源2Bのみによって輻射の影響を受ける 。
【0096】
次に、検出した人体が輻射の影響を受ける輻射発生源を特定する場合について説明する。
【0097】
図7に示すように、対象空間に遮蔽物4が存在する。遮蔽物4で区切られた一方の空間には、第1サーモセンサ1Aと、第1輻射発生源2Aが存在する。遮蔽物4で区切られた他方の空間には、第2、第3サーモセンサ1B、1Cと、第2輻射発生源2Bと、人体3が存在する。
【0098】
第2サーモセンサ1Bと第3サーモセンサ1Cは、人体3と第2輻射発生源2Bを共に検出できる。従って、第2輻射発生源2Bは人体3に輻射の影響を与える。
【0099】
一方、第1サーモセンサ1Aは、第1輻射発生源2Aを検出しているが、人体3を検出できない。従って、第1輻射発生源2Aは人体3に輻射の影響を与えない。
【0100】
このように、人体3を検出している第2、第3サーモセンサ1B、1Cが検出した第2輻射発生源2Bのみを、人体3が輻射の影響を受ける輻射発生源と判断することで、人体3に対する輻射量を算出する際に、人体3が輻射の影響を受けない輻射発生源を除くことができる。
【0101】
変形例1Aの輻射量算出装置では、対象空間内に輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼさない輻射発生源がある場合であっても、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源を特定することで、輻射量を算出したい点に対して輻射の影響を及ぼす輻射発生源による輻射量を算出することができる。
【0102】
(6-2)変形例1B
変形例1Bの輻射量算出装置では、制御部は、第1~第3の輻射温度分布から同じ輻射発生源を検出した場合に、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cを基準としたときの、輻射発生源に対する、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cと輻射量を算出したい点とがなす角度である正対の度合い、または第1~第3のサーモセンサ1A~1Cと輻射発生源との間の距離の少なくとも1つに基づいて、第1~第3の輻射温度分布それぞれの評価を決める。
【0103】
対象空間におけるサーモセンサの設置例を図8Aに示す。図8Aに示すように、対象空間に、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cが設置されている。また、対象空間に第1輻射発生源2Aが存在する。
【0104】
以下に、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cを基準としたときの、輻射発生源に対する、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cと輻射量を算出したい点とがなす角度である正対の度合いについて説明する。図8Bに示す観測点Pは、輻射量を算出したい点である。
【0105】
図8Bに示すように、第1輻射発生源2Aに対して、第1サーモセンサ1Aと観測点Pがなす角はθ1である。第1輻射発生源2Aに対して、第2サーモセンサ1Bと観測点Pがなす角はθ2である。第1輻射発生源2Aに対して、第3サーモセンサ1Cと観測点Pがなす角はθ3である。
【0106】
サーモセンサと観測点Pがなす角が小さいほど、観測点Pが輻射発生源から受ける輻射量を正確に測定している。
【0107】
第1輻射発生源2Aに対して、第1~第3サーモセンサ1A~1Cと観測点Pがなす角θ1, θ2, θ3のうち、第2サーモセンサ1Bと観測点Pがなす角θ2が最も小さい。従って、第1~第3サーモセンサ1A~1Cのうち、第2サーモセンサ1Bが、観測点Pが第1輻射発生源2Aから受ける輻射量を最も正確に測定している。
【0108】
次に、第1~第3のサーモセンサ1A~1Cと輻射発生源との間の距離を説明する。
【0109】
図9に示すように、第1サーモセンサ1Aと輻射発生源2A(2A)との間の距離をL1とする。第2サーモセンサ1Bと第1輻射発生源2A(2A)との間の距離をL2とする。第3サーモセンサ1Cと第1輻射発生源2A(2A)との間の距離をL3とする。
【0110】
第1~第3サーモセンサ1A~1Cと第1輻射発生源2A(2A~2A)との間の距離は、L1<L2<L3である。第1~第3サーモセンサ1A~1Cのうち、第1輻射発生源2A(2A~2A)に対して、第1サーモセンサ1A、第2サーモセンサ1B、第3サーモセンサ1Cの順で、サーモセンサからの距離が近い。
【0111】
サーモセンサからの距離が近い方が1ピクセル辺りの検知範囲が狭いため、第1~第3サーモセンサ1A~1Cのうち、第1サーモセンサ1Aが、第1輻射発生源の温度を詳細に測定することになる。
【0112】
変形例1Bの輻射量算出装置では、第1~第3の輻射温度分布の評価を決定することで、第1~第3サーモセンサ1A~1Cのうち、評価の高いサーモセンサの輻射温度分布に基づいて、輻射発生源から受ける輻射量を正確に算出することができる。
【0113】
(6-3)変形例1C
本実施形態では、輻射量算出装置100が、第1~第3の検知部1A~1Cを備える場合について説明したが、これに限るものではない。輻射量算出装置が取得部を備え、取得部が外部の第1~第Nの検知部(Nは2以上の整数)からのデータを取得するようにしてもよい。
【0114】
変形例1Cの輻射量算出装置200の機能ブロック図を図10に示す。輻射量算出装置200は、制御部210と、取得部220と、を備える。取得部220は、第1~第N検知部1A~1Nから第1~第Nの輻射温度分布を取得する。
【0115】
制御部210は、人体位置特定部212と、輻射発生源特定部214と、輻射温度推定部216と、を有する。制御部210は本実施形態の制御部110と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0116】
(6-4)変形例1D
本実施形態では、対象空間に第1、第2の輻射発生源2A、2Bが存在する場合について説明したが、これに限るものではなく、輻射発生源の個数に特に制限はない。
【0117】
また、対象空間に存在する輻射発生源は1つでもよい。制御部は、輻射量を算出したい点における、1つの輻射発生源の立体角投射率を求め、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。これにより、1つの輻射発生源の立体角投射率を求めて輻射量を算出することで、輻射量を正確に算出することができる。
【0118】
(6-5)変形例1E
本実施形態では、例えば、第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、人体3を囲む点線の四角形の上辺の中心点P31を対象空間における人体3の位置として特定する場合について説明したが、これに限るものではない。第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、人体3を囲む四角形のいずれかの辺の中心点、又は人体を囲む四角形のいずれかの端点、又は人体3を囲む四角形の重心を対象空間における人体3の位置として特定するようにしてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、例えば、第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、第1輻射発生源2Aを示す四角形の上辺の中心点P11を対象空間における第1輻射発生源2Aの位置として特定する場合について説明したが、これに限るものではない。第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、第1輻射発生源2Aを囲む四角形のいずれかの辺の中心点、又は第1輻射発生源2Aを囲む四角形のいずれかの端点、又は第1輻射発生源2Aを囲む四角形の重心を対象空間における第1輻射発生源2Aの位置として特定するようにしてもよい。
【0120】
また、第1サーモセンサ1Aの撮影画像において、第2輻射発生源2Bの位置を変形例1Eで説明したように特定してもよい。また、第2、第3サーモセンサ1B、1Cの撮影画像において、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置を変形例1Eで説明したように特定してもよい。
【0121】
(6-6)変形例1F
本実施形態では、例えば、第1輻射発生源2Aの大きさは、第1輻射発生源2Aと、第1~第3サーモセンサ1A~1Cとの間の距離によって、1ピクセル当たりの面積が決まることで算出される場合について説明したが、これに限るものではない。第1輻射発生源2Aの大きさは、輻射発生源特定部114で算出された第1輻射発生源2Aの3次元座標のうち、第1輻射発生源2Aの輪郭の端点の座標を用いて、人体3から見た第1輻射発生源2Aの面積を算出することで求めてもよい。
【0122】
<第2実施形態>
(1)輻射量算出装置の概要
本実施形態の輻射量算出装置では、サーモカメラと可視カメラを用いて、輻射発生源の位置を特定し、対象空間内の任意の点における輻射量を高精度に推定する。
【0123】
(2)輻射量算出装置の構成
本実施形態の輻射量算出装置600は、図13に示すように、第1~第N検知部1A~1N(Nは1以上の整数)と、制御部610と、検出部620と、を備える。本実施形態では、Nは3とする。
【0124】
(2-1)検知部
第1~第3検知部1A~1Cは、それぞれ異なる位置から対象空間の同一範囲の輻射温度分布を測定する。本実施形態では、第1~第3検知部1A~1Cはサーモセンサである。第1~第3サーモセンサ1A~1Cが、対象空間に設置されている。第1~第3サーモセンサ1A~1Cは、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが設置されている部屋全体を撮影する。対象空間に、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが設置されている。また、対象空間に、第1、第2輻射発生源2A、2Bが存在する。また、対象空間に、人体3が存在する。
【0125】
(2-2)検出部
検出部620は、対象空間を撮影した撮影画像から検出データを取得する。本実施形態では、検出部620は可視カメラである。対象空間に可視カメラ620が設置されている。可視カメラ620は、対象空間内に、第1、第2輻射発生源2A、2Bが存在することを検出する。また、可視カメラ620は、対象空間内に、人体3が存在することを検出する。
【0126】
(2-3)制御部
制御部610はコンピュータにより実現されるものである。制御部610は、図13に示すように主として、人体位置特定部612と、輻射発生源特定部614と、輻射温度推定部616と、を有している。制御部610は、制御演算装置と、記憶装置とを備える。制御演算装置には、CPU又はGPUといったプロセッサを使用できる。制御演算装置は、記憶装置に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の画像処理や演算処理を行う。さらに、制御演算装置は、プログラムに従って、演算結果を記憶装置に書き込んだり、記憶装置に記憶されている情報を読み出したりすることができる。図13に示す人体位置特定部612と、輻射発生源特定部614と、輻射温度推定部616は、制御演算装置により実現される機能ブロックである。記憶装置は、データベースとして用いることができる。
【0127】
制御部610は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布と、可視カメラ620の検出データに基づいて、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を特定する。制御部610は、1又は複数の輻射発生源からの、輻射量を算出したい点に対する輻射量を算出する。本実施形態では、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布に基づいて、第1、第2輻射発生源2A、2Bからの、人体3の位置に対する射出温度を算出する。
【0128】
(2-3-1)人体位置特定部
人体位置特定部612は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布と、可視カメラ620の検出データに基づいて、対象空間における人体の位置を特定する。人体位置特定部612は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cと可視カメラ602で検出された人体の位置の3次元座標を、三角測量により算出する。
【0129】
(2-3-2)輻射発生源特定部
輻射発生源特定部614は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布と、可視カメラ620の検出データに基づいて、人体の位置の周囲にある輻射発生源を特定する。輻射発生源として、例えば、電子機器等がある。
【0130】
輻射発生源特定部614は、対象空間における1又は複数の輻射発生源の位置を、三次元座標で特定する。輻射発生源特定部614は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cと可視カメラ620で検出された輻射発生源の位置の3次元座標を、三角測量により算出する。
【0131】
(2-3-3)輻射温度推定部
輻射温度推定部616は、対象空間内の人体3の位置から見て、室温との温度差が大きい第1、第2輻射発生源2A、2Bを抽出し、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置と大きさから算出した形態係数(立体角投射率)と、第1、第2輻射発生源2A、2Bの温度を用いて、輻射量を推定する。
【0132】
輻射温度推定部616は、人体位置特定部112から、人体3の位置情報が入力される。また、輻射温度推定部616は、輻射発生源特定部114から、第1、第2輻射発生源2A、2Bの特定情報が入力される。第1、第2輻射発生源2A、2Bの特定情報は、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置情報、第1、第2輻射発生源2A、2Bの大きさに関する情報などが含まれる。また、輻射温度推定部616は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cから第1~第3の輻射温度分布が入力される。
【0133】
第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置は、輻射発生源特定部614を用いて算出される。また、例えば、第1輻射発生源2Aの位置が算出されるので、第1輻射発生源2Aの大きさは、第1輻射発生源2Aと第1~第3サーモセンサ1A~1Cとの間の距離によって、1ピクセル当たりの面積が決まることで算出される。輻射温度推定部616は、複数の物体(輻射発生源)の形態係数をそれぞれ求め、形態係数を足し合わせて、複数の輻射発生源からの、人体の位置に対する輻射温度(輻射量)を算出する。輻射量Trを算出するための数式は、第1実施形態で説明した数式1と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0134】
(3)輻射量算出装置の全体動作
輻射量算出装置600のフローチャートを図14に示す。
【0135】
対象空間の輻射温度分布を取得するステップS1と、人体の位置における輻射温度を推定するステップS4は、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0136】
ステップS21では、可視カメラ620が、可視カメラ620の撮影画像から検出データを取得する。
【0137】
次に、人体位置特定部612が、ステップS1で取得した対象空間の同一範囲の輻射温度分布と、ステップS21で取得した検出データに基づいて、人体の位置を特定する(ステップS22)。ステップS22では、第1~第3のサーモカメラ1A~1Cと、可視カメラ620を用いて、複数台のカメラで撮影した画像から三角測量の原理により、人体の位置を特定する。
【0138】
次に、輻射発生源特定部614が、ステップS1で取得した対象空間の同一範囲の輻射温度分布と、ステップS21で取得した検出データに基づいて、人体の位置の周囲の輻射発生源を特定する(ステップS23)。ステップS23では、第1~第3のサーモカメラ1A~1Cと、可視カメラ620を用いて、複数台のカメラで撮影した画像から三角測量の原理により、人体の位置の周囲の輻射発生源の位置を特定する。
【0139】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態に係る輻射量算出装置600では、対象空間における第1、第2輻射発生源1A、1Bを検出する可視カメラ620を備える。制御部610は、第1~第3サーモセンサ1A~1Cが測定した輻射温度分布である第1~第3の輻射温度分布と、可視カメラ620が取得した検出データとに基づいて、対象空間における第1、第2輻射発生源1A、1Bの位置を特定する。
【0140】
この輻射量算出装置600では、輻射温度分布と、可視カメラ620の撮影画像から取得したデータを用いて、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができることができる。
【0141】
(5)変形例
(5-1)変形例2A
本実施形態では、検出部が3つであり、第1~第3検知部1A~1Cが第1~第3のサーモセンサである場合について説明したが、これに限るものではない。変形例2Aでは、検出部は1つであり、第1検知部1Aはサーモセンサである。
【0142】
変形例2Aでは、人体位置特定部612は、第1サーモセンサ1Aが測定した輻射温度分布と、可視カメラ620の撮影画像から取得した検出データに基づいて、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置を特定する。人体位置特定部612は、第1のサーモカメラ1Aと可視カメラ620を用いて、2台のカメラで撮影した画像から三角測量の原理により、人体の位置を特定する。
【0143】
また、輻射発生源特定部614は、第1サーモセンサ1Aが測定した輻射温度分布と、可視カメラ620の撮影画像から取得した検出データに基づいて、第1、第2輻射発生源2A、2Bの位置を特定する。輻射発生源特定部614は、第1サーモカメラ1Aと可視カメラ620を用いて、2台のカメラで撮影した画像から三角測量の原理により、人体の位置の周囲の輻射発生源の位置を特定する。
【0144】
また、輻射温度推定部616は、第1サーモセンサ1Aが測定した輻射温度分布に基づいて、輻射量を算出する。輻射温度推定部616は本実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0145】
変形例2Aでは、サーモセンサが1台であっても、輻射温度分布と、可視カメラの撮影画像から取得した検出データに基づいて、精度よく輻射発生源の位置を特定することができる。
【0146】
(5-2)変形例2B
本実施形態では、輻射量算出装置600が、第1~第3の検知部1A~1Cと、検出部620を備える場合について説明したが、これに限るものではない。輻射量算出装置が取得部を備え、取得部が外部の第1~第Nの検知部(Nは1以上の整数)からのデータと、検出部からのデータとを取得するようにしてもよい。
【0147】
変形例2Bの輻射量算出装置700の機能ブロック図を図15に示す。輻射量算出装置700は、制御部710と、取得部740と、を備える。取得部740は、第1~第N検知部1A~1Nから第1~第Nの輻射温度分布を取得する。また、取得部740は検出部720からの検出データを取得する。
【0148】
制御部710は、人体位置特定部712と、輻射発生源特定部714と、輻射温度推定部716と、を有する。制御部710は本実施形態の制御部610と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0149】
(5-3)変形例2C
本実施形態では、検知部620が可視カメラである場合について説明したが、これに限るものではない。検知部は、3Dカメラ、または側域センサ(LiDAR)でもよい。
【0150】
変形例2Cの輻射量算出装置800のブロック図を図16に示す。
【0151】
変形例2Cの輻射量算出装置800は、図16に示すように、第1~第N検知部1A~1N(Nは1以上の整数)と、制御部810と、検知部820と、を備える。本実施形態では、Nは3とする。制御部810は、人体位置特定部812と、輻射発生源特定部814と、輻射温度推定部816と、を有する。変形例2Cでは、検知部820は、ステレオカメラである。
【0152】
第1~第Nの検知部1A~1Nと、輻射温度推定部816は、第2実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0153】
人体位置特定部812は、ステレオカメラ820が取得した検出データに基づいて、対象空間における人体の位置を特定する。
【0154】
輻射発生源特定部814は、ステレオカメラ820が取得した検出データに基づいて、対象空間における第1、第2輻射発生源1A、1Bの位置を特定する。
【0155】
変形例2Cの輻射量算出装置800のフローチャートを図17に示す。
【0156】
対象空間の輻射温度分布を取得するステップS1と、人体の位置における輻射温度を推定するステップS4は、第1実施形態と同じであるため、詳細な説明を省略する。
【0157】
ステップS31では、ステレオカメラ820は、ステレオカメラ820の撮影画像から検出データを取得する。
【0158】
次に、ステップS32で、人体位置特定部812は、ステップS31で取得した検出データを用いて、人体の位置を特定する。また、ステップS33で、輻射発生源特定部814は、ステップS31で取得した検出データを用いて、人体の位置の周囲の輻射発生源を特定する。図18に示すように、2つのステレオカメラ820(820a、820b)の視差Sを基に、三角測量の原理により、対象物(輻射発生源)10までの距離Dを計算する。ステレオカメラ820を用いて、対象物10までの距離Dを算出するための数式2は次の通りである。
【0159】
【数2】
但し、
B:基線長
F:焦点距離
S:視差
【0160】
変形例2Cの検出部820が3Dカメラである場合、3Dカメラはステレオカメラに限るものではなく、ライトフィールドカメラ、ToFカメラ、構造化照明などでもよい。
【0161】
ライトフィールドカメラでは、図19に示すように、対象物20とマイクロレンズ22との間にメインレンズ21を配置し、画像センサ23の前に配置したマイクロレンズ22により現れる視差を基に、対象物20までの距離を計算する。
【0162】
また、ToFカメラでは、図20に示すように、光源31から赤外線を対象物30に照射し、カメラ32までの赤外光反射波の到達時間を基に、対象物30までの距離を計算する。
【0163】
また、構造化照明では、図21に示すように、カメラ42とは別に設置したプロジェクター(照明)41から格子状等の特殊な光を対象物40に照射し、カメラ42で光の当たり方を観察して、対象物40までの距離を計算する。構造化照明における照明パターンの例を図22A図22Cに示す。図22Aは線状の照明パターンである。図22Bは格子状の照明パターンである。図22Cは点状の照明パターンである。
【0164】
また、側域センサ(LiDAR)では、図23に示すように、センサー装置51から対象物50に向かって放ったレーザー光の反射光をセンサー装置51の光センサーで検出し、その到達時間を基に、対象物50までの距離を計算する。
【0165】
変形例2Cの輻射量算出装置800では、3Dカメラ又は測域センサなどを用いて、対象空間内の輻射発生源の位置を正確に特定することができる。
【0166】
(5-4)変形例2D
変形例2Dの輻射量算出装置では、取得部を備え、取得部が外部の第1~第Nの検知部(Nは1以上の整数)からのデータを取得する。
【0167】
変形例2Dの輻射量算出装置900の機能ブロック図を図24に示す。輻射量算出装置900は、制御部910と、取得部940と、を備える。取得部940は、第1~第N検知部1A~1Nから第1~第Nの輻射温度分布を取得する。また、取得部940は検出部920からの検出データを取得する。
【0168】
制御部910は、人体位置特定部912と、輻射発生源特定部914と、輻射温度推定部916と、を有する。制御部910は変形例2Cの制御部810と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0169】
(5-5)
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0170】
100、200、600、700、800、900 輻射量算出装置
110、210、410、610、710、810、910 制御部
112、212、612、712、812、912 人体位置特定部
114、214、612、712、812、912 輻射発生源特定部
116、216、616、716、816、916 輻射温度推定部
1A~1N 第1~第N検知部
2A、2B、2A~2A 第1、第2輻射発生源
3 人体
4 遮蔽物
5A、5B 第1、第2エリア
220、740、940 取得部
300 カメラ
400 体感温度算出システム
412 温冷感取得部
414 感情推定部
416 体感温度算出部
620、720、820、820a、820b、920 検出部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0171】
【文献】特開2011-242129号公報
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23
図24