(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】サーバシステム、冷媒漏洩修理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240710BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2022150270
(22)【出願日】2022-09-21
【審査請求日】2023-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 龍三郎
【審査官】太田 龍一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-223055(JP,A)
【文献】特開2022-070128(JP,A)
【文献】特開2018-032184(JP,A)
【文献】特開2021-139615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0196430(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各空気調和機の冷媒漏洩の修理に対する保証加入の有無を示す保証加入情報(614)を記憶する記憶手段(49)と、
所定の空気調和機(7)の前記冷媒漏洩が検知されたことを示す漏洩通知を取得する取得手段(41)と、
前記所定の空気調和機(7)に対応する前記保証加入情報(614)と当該保証加入情報(614)に基づく修理提案を示す修理提案情報(612)とに関する通知情報を、当該所定の空気調和機(7)のユーザが使用する情報端末(6)に送信する送信手段(41)と、
を備えるサーバシステム(2)。
【請求項2】
前記通知情報は、前記保証加入情報(614)に基づく修理促進を示す修理促進情報(612)を含む、
請求項
1に記載のサーバシステム(2)。
【請求項3】
前記修理促進情報(612)は、修理業者による前記冷媒漏洩の修理の日程候補を示す情報(615b)を含む、
請求項
2に記載のサーバシステム(2)。
【請求項4】
前記修理促進情報は、前記漏洩通知を取得した日時を示す情報(615a)を含む、
請求項
2に記載のサーバシステム(2)。
【請求項5】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のサーバシステム(2)と、前記情報端末(6)と、を備える冷媒漏洩修理システム(1)であって、
前記情報端末(6)は、
前記保証加入情報を含む表示画面を表示する表示制御手段(64)を備え、
前記表示画面は、修理業者への修理依頼を行うための修理依頼手段(618)を含む、
冷媒漏洩修理システム。
【請求項6】
請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のサーバシステム(2)と、前記空気調和機(7)と、を備える冷媒漏洩修理システム(1)であって、
前記空気調和機(7)は、
当該空気調和機の運転時における冷媒の状態を検知する検知手段(72)と、
前記検知による検知結果に応じて、前記冷媒漏洩の有無を判定する判定手段(70a)と、
前記冷媒漏洩が有ると判定された場合、前記漏洩通知を前記サーバシステムへ送信する通信手段(71)と、
を備え、
前記判定手段(70a)は、外気温度の変化に基づく前記空気調和機の試運転期間における前記検知結果に応じて、前記冷媒漏洩の有無を判定する処理を実行する、
冷媒漏洩修理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバシステム、及び冷媒漏洩修理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気調和機が冷媒漏洩によって生じた運転状態の変化を検知し、管理サーバに冷媒漏洩が生じた旨を示す漏洩通知(漏洩コール)を送ることで、管理サーバが空気調和機のユーザに対して冷媒漏洩が生じていることを通知する技術が提案されている(特許文献1参照)。これにより、ユーザは、修理費用や修理に要する時間等を考慮して、修理業者に修理依頼するか否かを判断する。ユーザが、修理依頼すると判断した場合には、修理業者に電話等で修理依頼を行い、その後に修理が行われていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ユーザが修理業者に修理依頼するか否かを判断する際に、現在の空気調和機の保証期間や修理の依頼先等の保証内容を調べるための手間が掛かってしまうため、すぐに修理依頼を行うとは限らない。特に冷媒漏洩の場合には、回路の腐食等により運転が不可能になった場合とは異なり、運転効率が下がるだけで空気調和機の運転自体は可能である。そのため、ユーザは、冷媒漏洩を放置しがちである。また、製造者による無償保証期間(メーカ保証期間)内の場合には、無償で修理することが可能であるが、無償保証期間外の場合には、ユーザは費用負担を受け入れるかどうかも検討することとなり、ますます冷媒漏洩を放置しがちとなる。
【0005】
また、ユーザが修理依頼を延期し、空気調和機による冷暖房が低下していると体感した頃になって修理依頼した場合には、ほとんどの冷媒が漏洩しているという事態が生じてしまう。更に、ユーザが本格的に冷暖房運転を行う頃になって修理依頼しても、修理依頼が混み合って直ぐに修理できないことが多いため、より冷媒の漏洩が進んでしまうという事態も生じてしまう。
【0006】
本開示は、上記事情を考慮し、冷媒漏洩しても運転可能な空気調和機のユーザが自発的に冷媒漏洩の修理依頼を行うことを促進させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示の第1の態様は、各空気調和機の冷媒漏洩の修理に対する保証加入の有無を示す保証加入情報を記憶する記憶手段と、所定の空気調和機の前記冷媒漏洩が検知されたことを示す漏洩通知を取得する取得手段と、前記所定の空気調和機に対応する前記保証加入情報を含む通知情報を、当該所定の空気調和機のユーザが使用する情報端末に送信する送信手段と、を備えるサーバシステムである。
【0008】
第1の態様によれば、サーバシステムは情報端末に対して、修理が必要であることだけでなく、保証加入の有無を含めて通知することで、空気調和機のユーザが自発的に冷媒漏洩の修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0009】
(2)本開示の第2の態様は、前記保証加入情報は、前記保証加入の有無及び前記冷媒漏洩の修理の保証有効期間を示す情報を含む、第1の態様に記載のサーバシステムである。
【0010】
第2の態様によれば、サーバシステムは情報端末に対して保証加入の有無及び冷媒漏洩の修理の保証有効期間を含めて通知することで、ユーザが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0011】
(3)本開示の第3の態様は、前記通知情報は、前記保証加入情報に基づく修理促進を示す修理促進情報を含む、第1又は第2の態様に記載のサーバシステム。
【0012】
第3の態様によれば、保証加入の有無だけでなく、修理を促進する旨を含めて通知することで、ユーザが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0013】
(4)本開示の第4の態様は、前記修理促進情報は、修理業者による前記冷媒漏洩の修理の日程候補を示す情報を含む、第3の態様に記載のサーバシステムである。
【0014】
第4の態様によれば、サーバシステムは情報端末に対して具体的な修理日程の候補を含めて通知することで、ユーザが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0015】
(5)本開示の第5の態様は、前記修理促進情報は、前記漏洩通知を取得した日時を示す情報を含む、第3又は第4の態様に記載のサーバシステムである。
【0016】
第5の態様によれば、サーバシステムは情報端末に対して、漏洩状態を検知した日時の情報も含めて通知することで、ユーザが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0017】
(6)本開示の第6の態様は、前記記憶手段は、前記冷媒漏洩の修理の履歴を示す修理履歴情報を、前記保証加入情報に関連づけて記憶する、第1乃至第5のいずれか一つの態様に記載のサーバシステムである。
【0018】
第6の態様によれば、サーバシステムは、冷媒漏洩の修理の履歴を示す修理履歴情報を記憶することで、修理に役立てることができる。
【0019】
(7)本開示の第7の態様は、第1乃至第6のいずれか一つの態様に記載のサーバシステムと、前記情報端末と、を備える冷媒漏洩修理システムであって、前記情報端末は、前記修理促進情報を含む表示画面を表示する表示制御手段を備え、前記表示画面は、修理業者への修理依頼を行うための修理依頼手段を含む、冷媒漏洩修理システムである。
【0020】
第7の態様によれば、表示画面を見たユーザに修理依頼を行うことを促すことができる。
【0021】
(8)本開示の第7の態様は、第1乃至第6のいずれか一つの態様に記載のサーバシステムと、前記空気調和機と、を備える冷媒漏洩修理システムであって、前記空気調和機は、当該空気調和機の運転時における冷媒の状態を検知する検知手段と、前記検知による検知結果に応じて、前記冷媒漏洩の有無を判定する判定手段と、前記冷媒漏洩が有ると判定された場合、前記漏洩通知を前記サーバシステムへ送信する通信手段と、を備え、前記判定手段は、外気温度の変化に基づく前記空気調和機の試運転期間における前記検知結果に応じて、前記冷媒漏洩の有無を判定する処理を実行する、冷媒漏洩修理システムである。
【0022】
第8の態様によれば、空気調和機は、外気温度の変化に基づく前記空気調和機の試運転期間における前記検知結果に応じて、本格的な冷暖房シーズンに入る前に自動的に冷媒漏洩の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係り、空気調和機の冷媒漏洩に関する商流を示した図である。
【
図2】日本における本格的な冷暖房運転前の試運転の開始時期を示した図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷媒漏洩修理システムの全体構成図である。
【
図4】管理端末及びユーザ端末の概略的な構成図である。
【
図9】空気調和機の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
【
図10】空気調和機の通信系統を示す概略的な構成図である。
【
図11】空気調和機の冷媒漏洩に対する保証加入の手続き及び処理を示すシーケンス図である。
【
図12】空気調和機の漏洩通知及び修理依頼の処理並びに修理対応を示すシーケンス図である。
【
図13】漏洩判定処理を示すフローチャートである。
【
図14】ユーザ端末が表示する表示画面の例を示す図である。
【
図15】ユーザ端末が表示する表示画面の変形例を示す図である。
【
図16】空気調和機の修理対応後の手続き及び処理を示すシーケンス図である。
【
図17】空気調和機の冷媒漏洩に関する商流の変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1乃至
図17を用いて、本発明の実施形態について説明する。
【0025】
〔実施形態の概略〕
まずは、
図1及び
図2を用いて、実施形態の概略について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和機の冷媒漏洩に関する商流を示した図である。
図2は、本格的な冷暖房運転前の試運転の開始時期を示した図である。
【0026】
図1に示されているように、各ユーザA,B,Cの各空気調和機7a,7b,7cがインターネット等を介して遠隔管理サーバ4と接続されている。遠隔管理サーバ4は、空気調和機7a,7b,7cの冷媒漏洩を遠隔で監視して、空気調和機7a,7b,7cの各ユーザA,B,Cに対して冷媒漏洩が検知されたことを示す漏洩報告を行うと共に、販売店(修理部門)Xに対して、冷媒漏洩が発生した空気調和機のユーザへ修理を促すように指示する。空気調和機7a,7b,7cは、空気調和機7の一例であり、1台以上であれば何台であってもよい。また、ユーザA,B,Cは、ユーザUの一例であり、1人以上であれば何人であってもよい。
【0027】
遠隔管理サーバ4は、空気調和機7の製造者(メーカ)、又は漏洩通知サービスを行うサービス業者によって管理されている。但し、販売店が大規模な場合、遠隔管理サーバ4は販売店Xによって管理されてもよい。販売店Xは、空気調和機7をユーザに販売する店舗又は業者であり、ここでは空気調和機7の修理を担う修理部門を有している。
【0028】
ここで、
図1を用いて、空気調和機の冷媒漏洩に関する商流について説明する。なお、
図1では、所定の空気調和機としてユーザAの空気調和機7aの冷媒漏洩が発生した状況が示されている。
【0029】
S1:まず、販売店Xが各ユーザUに空気調和機7を販売する際に、冷媒漏洩の保証に入ることを希望しているユーザUは、販売店Xに対して空気調和機7の販売代金に加えて冷媒漏洩の修理のための保証料を支払う。冷媒漏洩が発生する確率を年間1%とすれば、保証有効期間が10年の場合、この間の発生確率は10%となるため、保証料は修理に要する費用の1/100程度となる。
【0030】
S2:ユーザUが冷媒漏洩の保証を希望する場合、保証料は、各ユーザUから販売店Xを介して保証業者Yに支払われる。また、販売店Xは、遠隔管理サーバ4に対して保証加入情報(
図8参照)を登録する。
【0031】
S3:各ユーザは、自ら遠隔管理サーバ4に対して、ユーザUに関する情報を示すユーザ情報(
図6参照)、及び空気調和機に関する情報を示す機器情報(
図7参照)を登録する。なお、業務用冷凍空調機器の場合には、これらの情報はフロン排出抑制法で登録が求められている情報であるため、ユーザの工数が増加するものではない。
【0032】
S4:空気調和機7は、もともと後述の温度センサ72,85a,85b等を備えており、自機で本格的な運転開始時期を判断できるため、本格的な運転開始時期の一定期間前に試運転を行う。例えば、空気調和機7aは、冷媒漏洩の有無を判定し、漏洩している場合には、遠隔管理サーバ4に対して漏洩通知(漏洩コール)を送信する。
【0033】
ここで、
図2を用いて、試運転の時期について説明する。
図2は、日本(東京、大阪等)における冷暖房運転前の試運転の開始時期を示した図である。
図2に示されているように、6月中旬から9月中旬までの一般的な冷房運転期間の一定期間前(例えば、2週間前)に、空気調和機7は冷房試運転を行う。冷房試運転は、一日の最高気温が閾値(例えば、25℃)を超えた場合に開始される。また、11下旬から3月中旬までの一般的な暖房運転期間の一定期間前(例えば、2週間前)に、空気調和機7は暖房試運転を行う。暖房試運転は、一日の最低気温が閾値(例えば、10℃)未満になった場合に開始される。
【0034】
S5:
図1に戻り、遠隔管理サーバ4は、漏洩通知を送って来た空気調和機7aのユーザAに対して、従来通り、冷媒漏洩が発生した旨を示す漏洩報告を行う。これにより、ユーザAは、空気調和機7aの冷媒漏洩が発生したことを把握することができる。更に本実施形態では、遠隔管理サーバ4は、販売店Xに対して、ユーザAに修理を促す旨の指示を行う。この際、ユーザAのユーザ情報及び空気調和機7aに関する機器情報、並びに、冷媒漏洩の修理に特化した漏洩保証に関する保証加入情報も送信される。
【0035】
S6:販売店Xは、ユーザAに保証の適用により冷媒漏洩の修理を行う連絡を行い、修理の日程調整した上で、修理対応を行う。仮に、冷媒漏洩が無償保証期間(メーカ保証期間)内に発生した場合には、製造者が修理代金を負担することとなる。また、冷媒漏洩が製品保証期間終了後に発生した場合であっても漏洩保証期間内であれば、保証業者が修理代金を負担することになる。これらの場合、販売店Xは、ユーザAに対して、ユーザ負担が無い旨を伝える。このようにして、費用負担の問題を予め解決しておくことにより、ユーザは修理を依頼し易くなるため、本格的な冷暖房運転の時期の前に修理を行うことができる。
【0036】
S7:無償保証期間(メーカ保証期間)外であって漏洩保証期間内の場合には、販売店Xは、修理完了後に保証業者Yに修理完了を報告して、保証業者Yから保証料を受け取る。
【0037】
S8:更に、販売店Xは、遠隔管理サーバ4に修理履歴情報を登録する。
【0038】
以上説明したように、処理S1~S8の商流により、冷媒漏洩の検知時点から修理が実行されるまでの時間を短縮することで、冷媒の漏洩量を減少することが可能となる。
【0039】
〔冷媒漏洩修理システムの全体構成〕
続いて、
図3を用いて、冷媒漏洩修理システム1の全体構成について説明する。
【0040】
まず、
図3を用いて、本実施形態の冷媒漏洩修理システムの構成の概略について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る冷媒漏洩修理システムの全体構成図である。
【0041】
図3に示されているように、本実施形態の冷媒漏洩修理システム1は、サーバシステム2、ユーザ端末6、及び空気調和機7によって構築されている。更に、サーバシステム2は、管理端末3、及び遠隔管理サーバ4によって構築されている。管理端末3、遠隔管理サーバ4、ユーザ端末6、及び空気調和機7は、インターネット等の通信ネットワーク100に接続されることで通信することができる。通信ネットワーク100の接続形態は、無線又は有線のいずれでも良い。
【0042】
ユーザ端末6及び空気調和機7は、ユーザUによって管理及び使用される。
【0043】
管理端末3は、PC(Personal Computer)等であり、販売店Xの店員又は販売店Xの修理部門の担当者の操作によりユーザ端末6に対して修理促進を示す修理促進情報等を送信する。
【0044】
遠隔管理サーバ4は、単一又は複数のコンピュータによって構成されている。遠隔管理サーバ4は、上述のように、空気調和機7の製造者(メーカ)、又は漏洩通知サービスを行うサービス業者によって管理されている。但し、販売店が大規模な場合は、販売店Xによって管理されてもよい。遠隔管理サーバ4は、空気調和機7の冷媒漏洩を遠隔で監視して、空気調和機7のユーザUに対して冷媒漏洩が発生した旨を示す漏洩報告情報等を送信すると共に、販売店Xに対してユーザUへ修理を促すことを指示する旨を示す修理促進指示情報等を送信する。
【0045】
ユーザ端末6は、PC等であり、管理端末3から、修理促進を示す修理促進情報を受信することで、後述の
図14又は
図15に示されているような表示画面610(620)を表示して、ユーザUに修理依頼の選択を促す等の処理を行う。
【0046】
空気調和機7は、
図2に示すように、冷房試運転及び暖房試運転の時期(日)になると自動的に試運転を行い、冷媒漏洩が発生している場合には遠隔管理サーバ4に対して漏洩通知(漏洩コール)を送信する。
【0047】
〔冷媒漏洩修理システムの各構成〕
次に、
図4乃至
図10を用いて、冷媒漏洩修理システムを構築している、管理端末3、隔管理サーバ4、ユーザ端末6、及び空気調和機7の構成を説明する。
【0048】
<管理端末、ユーザ端末の構成>
まずは、
図4を用いて管理端末3の概略的な構成を説明する。
図4は、管理端末及びユーザ端末の概略的な構成図である。
【0049】
図4に示すように、管理端末3は、制御部30、通信部31、操作部32、表示制御部34、及び記憶部39を有している。
【0050】
これらのうち、制御部30は、管理端末3全体の制御を行う役割を果たし、CPU(Central Processing Unit)等の各種演算デバイスである。
【0051】
通信部31は、通信ネットワーク100を介して、他の装置(端末、サーバ)との間で各種情報を送受信するための通信デバイスである。
【0052】
操作部32は、キーボードやマウス等によって操作者からの操作を受け付けるためのデバイスである。
【0053】
表示制御部34は、ディスプレイに画面を表示させるための表示デバイスであり、GPU(Graphics Processing Unit)、ディスプレイコントローラ等である。
【0054】
記憶部39は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)等の記憶デバイスである。
【0055】
なお、ユーザ端末6は、制御部60、通信部61、操作部62、表示制御部64、及び記憶部69を有しているが、これらはそれぞれ、制御部30、通信部31、操作部32、表示制御部34、及び記憶部39と同様の構成であるため説明を省略する。
【0056】
<遠隔管理サーバの構成>
次に、
図5を用いて遠隔管理サーバ4の概略的な構成を説明する。
図5は、遠隔管理サーバの概略的な構成図である。
【0057】
図4に示すように、遠隔管理サーバ4は、制御部40、通信部41、及び記憶部49を有している。
【0058】
これらのうち、制御部40は、遠隔管理サーバ4全体の制御を行う役割を果たし、CPU等の各種演算デバイスである。
【0059】
通信部31は、通信ネットワーク100を介して、他の装置(端末、サーバ)との間で各種情報を送受信するための通信デバイスである。なお、通信部41は、取得部又は送信部の一例である。
【0060】
記憶部39は、ROM、RAM、SSD等の記憶デバイスである。記憶部39には、以下に示すような各種テーブルが記憶されて管理されている。
【0061】
(ユーザ情報管理テーブル)
記憶部39には、
図6に示されているようなユーザ情報管理テーブルが記憶されている。
図6は、ユーザ情報管理テーブルの概念図である。ユーザ情報管理テーブルでは、ユーザID、ユーザ名、ユーザの連絡先、及びユーザの住所(又は居所)が関連付けられたユーザ情報が管理されている。ユーザの連絡先は、例えば、ユーザ端末のメールアドレス、ユーザの電話番号等である。なお、ユーザID、ユーザ名、ユーザの連絡先、及びユーザの住所(又は居所)の少なくとも1つの情報は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報の一例である。
【0062】
(機器情報管理テーブル)
記憶部39には、
図7に示されているような機器情報管理テーブルが記憶されている。
図7は、機器情報管理テーブルの概念図である。機器情報管理テーブルでは、ユーザID毎に、機器特定情報、及び修理業者情報が関連付けられた機器情報が管理されている。
【0063】
機器特定情報は、空気調和機を特定するための情報であり、機器ID、機器名、製造番号、販売年月日、及び無償保証期間(メーカ保証期間)の各情報が含まれている。なお、機器ID、機器名、及び製造番号の少なくとも1つは、空気調和機を識別するための機器識別情報の一例である。
【0064】
修理業者情報は、機器IDで示される空気調和機7の故障を修理する修理業者を特定するための情報であり、例えば、業者名及び業者の連絡先の各情報が含まれている。
【0065】
(保証情報管理テーブル)
記憶部39には、
図8(a)、(b)、(c)に示されているような保証情報管理テーブルが記憶されている。
図8は、各保証情報管理テーブルの概念図である。
図8(a)、(b)、(c)には、それぞれ
図1の空気調和機7a,7b,7cに関する保証情報が示されている。
図8(a)はユーザAが漏洩保証に加入して修理が完了した状態を示し、
図8(b)はユーザBが漏洩保証に加入したが修理が行われていない(又は修理が行われているが完了していない)状態を示し、
図8(c)はユーザCが漏洩保証に加入していない状態を示している。なお、
図8は、3つの保証情報が示されているが、これに限るものではない。
【0066】
保証情報管理テーブルでは、機器ID毎に、保証加入情報、及び修理履歴情報が関連付けて管理される。
【0067】
保証加入情報は、無償保証(メーカ保証)とは別で冷媒漏洩に特化した(専用の)延長保証を示す情報であり、漏洩修理保証加入有無、保証有効期間、保証加入年月日、及び保証終了年月日の各情報が含まれている。漏洩修理保証加入有無を示す情報としては、ユーザUが冷媒漏洩に特化した延長保証を希望した場合には「有」、希望していない場合には「無」で管理されている。
【0068】
修理履歴情報は、冷媒漏洩に特化した延長保証を利用して冷媒漏洩が修理された場合の履歴を示す情報であり、修理対応日、保証料、及び対応内容の各情報が含まれている。なお、保証料は、保証業者Yが支払った金額を示している。
【0069】
<空気調和機の構成>
次に、
図9を用いて、空気調和機7の冷媒回路を示す概略的な構成を説明し、
図10を用いて、空気調和機7の通信系統を示す概略的な構成を説明する。
【0070】
(空気調和機の冷媒回路の構成)
図9は、空気調和機の冷媒回路を示す概略的な構成図である。
図9に示されている空気調和機7は、室内機7Aと室外機7Bとを備えたセパレートタイプであるが、このタイプに限るものではない。
【0071】
室内機7Aと室外機7Bとは冷媒配管73を介して接続されている。この冷媒配管73を流れる冷媒の循環により蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷媒回路が構成されている。室内機7Aは、室内膨張弁74、室内側熱交換器75、及び室内ファン76を備えている。室内膨張弁74は、冷媒圧力の調節や冷媒流量の調節を行うことが可能な電動膨張弁が用いられている。
【0072】
室内側熱交換器75は、例えばクロスフィンチューブ式の熱交換器とされており、室内の空気と熱交換するために用いられる。室内ファン76は、室内の空気を室内機7Aの内部に取り込み、取り込んだ空気と室内側熱交換器75との間で熱交換を行った後、当該空気を室内に吹き出すように構成されている。室内ファン76は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。
【0073】
室内機7Aは、更に各種のセンサを備えている。例えば、室内機7Aは、温度センサ77を備えている。温度センサ77は、室内ファン76によって室内機7A内に取り込んだ空気の温度を検出する。温度センサ77によって検出された信号は、後述する制御部70(
図10参照)に入力される。
【0074】
室内膨張弁74や室内ファン76は、空気調和機7の運転スイッチのオンオフ操作や、各種センサの出力に応じて制御部70により動作制御される。
【0075】
室外機7Bは、圧縮機80、室外側熱交換器81、四路切換弁82、室外ファン83、及び室外膨張弁84を備えている。
【0076】
圧縮機80は可変容量型(能力可変型)であり、内蔵されているモータをインバータ制御することによって、このモータの運転回転数を変更することができる。ただし、圧縮機80は一定容量型であってもよい。また、圧縮機80は複数台設けられていてもよい。この場合、容量可変型の圧縮機と一定容量形の圧縮機とが混在していてもよい。
【0077】
室外側熱交換器81は、例えばクロスフィンチューブ式の熱交換器であり、空気を熱源として冷媒と熱交換するために用いられる。室外ファン83は、インバータ制御によって運転回転数を調整可能なモータを備えている。室外ファン83は、屋外の空気を室外機7Bの内部に取り込み、取り込んだ空気と室外側熱交換器81との間で熱交換を行った後、当該空気を室外機7Bの外部に吹き出すように構成されている。
【0078】
四路切換弁82は、冷媒配管73における冷媒の流れを反転させ、圧縮機80から吐出される冷媒を室外側熱交換器81と室内側熱交換器75とに切り換えて供給する。これにより、空気調和機7は、冷房運転と暖房運転とを切り換えて行うことができる。
【0079】
室外機7Bは、更に各種のセンサを備えている。例えば、室外機7Bは、温度センサ85a,85b,87及び圧力センサ86a,86b,88を備えている。温度センサ85aは、圧縮機80の吸入管に設けられ、吸入管温度を検知する。温度センサ85bは、吐出管に設けられ、吐出管温度を検知する。温度センサ87は、冷媒配管73における室外膨張弁84の前に設けられ、冷媒配管温度を検知する。圧力センサ86aは、圧縮機80の吸引側に設けられ、低圧圧力を検知する。圧力センサ86bは、圧縮機80の吐出側に設けられ、高圧圧力を検知する。圧力センサ88は、冷媒配管73における室外膨張弁84の前に設けられ、冷媒圧力を検知する。また、温度センサとして、室外側熱交換器81のガス側及び液側の温度を測定するものを備えていてもよい。
【0080】
温度センサ85a,85b、及び圧力センサ86a,86bによって検出された信号は、後述する制御部70(
図10参照)に入力される。
【0081】
圧縮機80、室外ファン83、及び室外膨張弁84は、各種センサの出力に応じて制御部70により動作制御される。
【0082】
(空気調和機の通信系統の構成)
図10は、空気調和機の通信系統を示す概略的な構成図である。
【0083】
図10に示すように、空気調和機7は、制御部70、温度センサ77、温度センサ85a、温度センサ85b、圧力センサ86a、及び圧力センサ86bを有している。なお、温度センサ77、温度センサ85a、温度センサ85b、温度センサ87、圧力センサ86a、圧力センサ86b、及び圧力センサ88は、検知手段の一例であり、
図9を用いて既に説明しているため、ここでの説明は省略する。
【0084】
制御部40は、遠隔管理サーバ4全体の制御を行う役割を果たし、CPU等の各種演算デバイスである。また、制御部70は、機能的に判定部70aを有している。
【0085】
判定部70aは、温度センサ77、温度センサ85a、温度センサ85b、圧力センサ86a、及び圧力センサ86のうちの少なくとも一つセンサから出力された信号(検知結果)に応じて、冷媒漏洩の有無を判定する。冷媒漏洩の有無を判断する手法は様々あるが、例えば、判定部70aは、圧力センサ86aによる検知結果である吸入圧力(低圧)と圧力センサ86bによる検知結果である吐出圧力(高圧)との差圧によって、冷媒量を測定して漏洩検知の有無を判断する。
【0086】
通信部71は、通信ネットワーク100を介して、他の装置(端末、サーバ)との間で各種情報を送受信するための通信デバイスである。通信部71が無線通信を行う場合、LPWA(Low Power Wide Area)と呼ばれる特定小電力無線通信を利用してデータ(情報)を送信する。この特定小電力無線通信は、例えば携帯電話事業者が提供する4G回線や5G回線のように比較的大きな電力で高速通信する無線通信方式とは異なり、低消費電力で長距離通信を実現する。LPWAの場合、通信ネットワーク100に、例えば、SigFogネットワークが含まれる。このSigFogネットワークは、100bpsの通信速度で、1回当たり12byteのデータを1日に最大140回(1か月当たり約50kB)通信することができる。現状では、年間数百円程度で利用でき、非常に低い電力で通信を行うことができる。但し、SigFogネットワークに限らず、他の特定小電力無線通信のネットワークを使用してもよい。
【0087】
〔冷媒漏洩修理システムの処理又は動作〕
続いて、
図11乃至
図16を用いて、冷媒漏洩修理システム1の処理又は動作を説明する。なお、管理端末3、遠隔管理サーバ4、及びユーザ端末6には、これらが互いに通信可能な専用のアプリケーションがインストールされている。また、空気調和機7及び遠隔管理サーバ4には、これらが互いに通信可能な専用のアプリケーションがインストールされている。
【0088】
<冷媒漏洩の保証加入手続き>
まずは、
図11を用いて、空気調和機7の冷媒漏洩に対する保証加入の手続き及び処理を説明する。
図11は、空気調和機の冷媒漏洩に対する保証加入の手続き及び処理を示すシーケンス図である。
【0089】
S11:ユーザUは、販売店Xから空気調和機7を購入し、更に販売店Xに漏洩保証(冷媒漏洩の延長保証)に入るための保証料を支払う。
【0090】
S12:販売店Xは、保証業者Yに対して、ユーザUから受け取った保証料を支払う。
【0091】
S13:管理端末3の操作部32は、販売店Xの店員から保証加入情報の入力を受け付ける。
【0092】
S14:管理端末3の通信部31は、遠隔管理サーバ4に対して、操作部32によって受け付けられた保証加入情報を送信する。これにより、遠隔管理サーバ4の通信部41は、保証加入情報を受信する。なお、この場合、管理端末3は、保証加入した空気調和機7を識別するための機器識別情報を、遠隔管理サーバ4に対して、保証加入情報とともに送信する。
【0093】
S15:遠隔管理サーバ4の制御部40は、通信部41によって受信された保証加入情報を記憶部49に記憶する。保証加入情報は
図8に示されているように、機器識別情報(
図8の例では、機器ID)に関連付けられたテーブル形式で記憶される。
【0094】
S16:一方、ユーザ端末6の操作部62は、ユーザUから、ユーザUのユーザ情報及び上記S11で購入した空気調和機7の機器情報の入力を受け付ける。なお、この時点では、修理履歴情報は記憶されていない。
【0095】
S17:ユーザ端末6の通信部61は、遠隔管理サーバ4に対して、操作部62によって受け付けられたユーザ情報及び機器情報を送信する。これにより、遠隔管理サーバ4の通信部41は、ユーザ情報及び機器情報を受信する。
【0096】
S18:遠隔管理サーバ4の制御部40は、通信部41によって受信されたユーザ情報及び機器情報を記憶部49に記憶する。ユーザ情報は
図6に示されているようにテーブル形式で記憶され、機器情報は
図7に示されているようにテーブル形式で記憶される。
【0097】
以上により、空気調和機7の保証加入の手続き及び処理が終了する。
【0098】
<漏洩通知・修理依頼・修理対応>
続いて、
図12乃至
図15を用いて、空気調和機の漏洩通知及び修理依頼の処理並びに修理対応を説明する。
図12は、空気調和機の漏洩通知及び修理依頼の処理並びに修理対応を示すシーケンス図である。
【0099】
S31:空気調和機7は、漏洩判定処理を行う。ここで、
図13を用いて、漏洩判定処理について説明する。
図13は、漏洩判定処理を示すフローチャートである。
【0100】
S311:各センサのいずれかが冷媒の状態を検知する。冷房運転における冷媒の状態を検知する方法としては、上述の方法の他にも、例えば、圧力センサ88から求めた冷媒飽和温度と温度センサ87で得られた膨張弁前温度との差から求めた冷媒過冷却度が、閾値より小さくなると冷媒漏洩状態と判断する方法がある。また、圧力センサ86aから求めた冷媒飽和温度と温度センサ85aで得られた圧縮機80の吸入温度との差から求めた冷媒過熱度が、閾値より大きくなると冷媒漏洩状態と判断する方法がある。更に、圧力センサ86bから求めた冷媒飽和温度と温度センサ85bで得られた圧縮機80の吐出温度との差から求めた冷媒過熱度が、運転状態に応じた値より大きくなると冷媒漏洩状態と判断する方法がある。但し、方法は上記に限るものではなく、上記各センサで得られた値に加えて、例えば室内外温度や圧縮機80の回転数などを含めて総合的に冷媒漏洩状態を検出する方法もある。
【0101】
S312:判定部70aは、各センサのうちの少なくとも一つのセンサの検知による検知結果に応じて、冷媒漏洩の有無を判定し、漏洩が発生していない場合には(S312:NO)、上記処理S311に戻る。一方、冷媒漏洩が発生している場合には(S312:YES)、次の処理S32に進む。
【0102】
S32:
図12に戻り、通信部71は、冷媒漏洩が検知されたことを示す漏洩通知を遠隔管理サーバ4に送信する。この漏洩通知には、送信元である空気調和機7を識別するための機器IDが含まれている。これにより、遠隔管理サーバ4の通信部41は、漏洩通知を受信する。
【0103】
S33:遠隔管理サーバ4の制御部40は、通信部41によって受信された機器IDを検索キーとして各機器情報管理テーブル(
図7参照)を検索することにより、対応する機器情報を特定する。また、制御部40は、機器IDで示される空気調和機7のユーザUのユーザIDを特定する。更に、制御部40は、通信部41によって受信された機器IDを検索キーとして各保証情報管理テーブル(
図8参照)を検索することにより、対応する保証加入情報を特定する。
【0104】
S34:更に、制御部40は、処理S33で特定したユーザIDを検索キーとしてユーザ情報管理テーブル(
図6)を検索することにより、対応するユーザの連絡先を特定する。これにより、漏洩報告の報告先を特定することができる。
【0105】
S35:通信部41は、販売店の管理端末3に対して、ユーザUに修理を促進する旨の指示を示す修理促進指示情報を送信する。この修理促進指示情報には、処理S33,S34で特定された各情報(ユーザ情報、機器情報、保証加入情報)が含まれている。これにより、管理端末3の通信部31は、修理促進指示情報を受信する。
【0106】
S36:また、遠隔管理サーバ4の通信部41は、処理S34で報告先が特定されたユーザ端末6に対して、冷媒漏洩した旨の報告を示す漏洩報告情報を送信する。この漏洩報告情報には、処理S33,S34で特定された各情報(ユーザ情報、機器情報)が含まれている。これにより、ユーザUは、第一報として漏洩が発生したことを把握することができる。
【0107】
S37:管理端末3の操作部32は、修理促進の指示を受けた販売店Xの店員から修理促進を示す修理促進情報の作成を受け付ける。
【0108】
S38:管理端末3の通信部31は、処理S35で受信したユーザ情報の連絡先に係るユーザ端末6に対して、操作部32によって作成された修理促進情報を送信する。これにより、ユーザ端末6の通信部61は、修理促進情報を受信する。なお、処理S36において、通信部41は、漏洩報告情報に保証加入情報を含めて、ユーザ端末6に送信してもよい。この場合、処理S36の前に、遠隔管理サーバ4が処理S37と同様に修理促進情報の作成を受け付け、処理S36において、通信部41は、作成された修理促進情報を、ユーザ端末6に対して送信する。この場合は、サーバシステム2ではなく、遠隔管理サーバ4単独による修理促進となり、処理S35、S37、S38は省略してもよい。
【0109】
S39:ユーザ端末6の表示制御部64は、ユーザ端末6のディスプレイ又は外付けのディスプレイに対して、
図14に示されているような表示画面610を表示させる。ここで、
図14を用いて、表示画面610について説明する。
図14は、ユーザ端末が表示する表示画面の例を示す図である。
【0110】
図14に示されているように、表示画面610には、ユーザ名等のユーザ特定情報611、修理を促すコメント612、機器情報表示欄613、保証加入情報表示欄614、及び促進内容情報表示欄615が表示されている。ユーザ特定情報611は、処理35で受信されたユーザ情報に基づいて作成された情報である。なお、ここでは、所定のユーザとして、ユーザAのユーザ名が示されている。なお、ユーザ特定情報は、ユーザ名でなくユーザIDでもよいし、ユーザID及びユーザ名の両方でもよい。また、ユーザ特定情報には、ユーザUの連絡先や住所が含まれてもよい。また、修理を促すコメント612は一例であって、修理を促す内容であれば、
図14に示されている内容でなくてもよい。
【0111】
修理を促すコメント612は、処理S37で販売店Xの店員によって作成された情報である。なお、コメント612は、販売店Xの店員によって作成されず、予め用意された定型文が自動的に設定されてもよい。
【0112】
機器情報表示欄613には、処理S35で受信された機器情報が表示されている。保証加入情報表示欄614には、処理S35で受信された保証加入情報が表示されている。促進内容情報表示欄615には、処理S37で販売店Xの店員によって作成された内容が表示されている。促進内容情報には、漏洩通知を取得した日時を示す情報615a、及び販売店(修理業者)による冷媒漏洩の修理の日程候補を示す情報615bが含まれている。
【0113】
また、表示画面610の下部には、ユーザが販売店(修理部門)への修理依頼を行うための「修理依頼する」ボタン618、及びユーザが販売店(修理部門)への修理依頼を行わないための「修理依頼しない」ボタン619が表示されている。なお、「修理依頼する」ボタン618は、修理依頼手段の一例である。
【0114】
S40:ユーザUが「修理依頼する」ボタン618を選択すると、操作部61が修理依頼の選択を受け付ける。
【0115】
S41:通信部61は、操作部61が修理依頼の選択を受け付けたことに基づき、処理S38の応答として、管理端末3に修理依頼する旨の回答を送信する。これにより、管理端末3の通信部31は、修理依頼を受信する。なお、処理S40で、「修理依頼しない」ボタン619が選択された場合には、通信部61は、処理S38の応答として管理端末3に修理しない旨の回答を送信するか、何も送信しない。
【0116】
S42:管理端末3が修理依頼する旨の回答を受信した場合には、修理業者としての販売店の修理部門が、空気調和機7の修理対応を行う。
【0117】
なお、
図15に、
図14の表示画面の変形例を示す。
図15は、ユーザ端末が表示する表示画面の変形例を示す図である。
【0118】
図15に示されているように、表示画面620には、ユーザID等のユーザ特定情報621、修理を促すコメント622、機器情報表示欄623、及び詳細内容を閲覧する場合に選択されるURL624が表示されている。ユーザ特定情報621は、ユーザ特定情報611と同様の内容である。修理を促すコメント622は、冷媒漏洩しているため、URL624にアクセスする旨のコメントが表示されている。機器情報表示欄623は、機器情報表示欄613と同様の内容である。URL624は、
図14の保証加入情報表示欄614及び促進内容情報表示欄615を含むような別の表示画面を表示するためにアクセスするための情報である。また、別の表示画面には、
図14に示されているような「修理依頼する」ボタン618及び「修理依頼しない」ボタン619も含まれている。また、表示画面620の下部には、この表示画面620を閉じるための「閉じる」ボタン629が表示されている。
【0119】
なお、
図15では、機器情報表示欄623が表示されているが、この機器情報表示欄623も上記別の表示画面に表示するようにしてもよい。ユーザ端末6が専用のプリケーションではなく電子メールで受信するような場合には、電子メールで、ユーザ特定情報621、修理を促すコメント622、及びURL624が送られることが考えられる。
【0120】
以上により、空気調和機の漏洩通知及び修理依頼の処理並びに修理対応が終了する。
【0121】
<修理対応後の手続き及び処理>
続いて、
図16を用いて、空気調和機7の修理対応後の手続き及び処理を説明する。
図16は、空気調和機の修理対応後の手続き及び処理を示すシーケンス図である。
【0122】
S51:修理対応後、販売店Xは、保証業者Yに対して修理完了報告を行い、保証業者Yから保証料を受け取る。
【0123】
S52:管理端末3の操作部32は、販売店Xの店員から修理の対応結果の入力を受け付ける。対応結果として、修理対応日、保証業者Yから受け取った保証料、修理の対応内容が入力される。この場合、修理対象である空気調和機7を識別するための機器IDも入力される。
【0124】
S53:管理端末3の通信部31は、遠隔管理サーバ4に対して、操作部32によって受け付けられた内容を含む修理履歴情報を送信する。この修理履歴情報には、処理S52で入力された機器IDが含まれている。これにより、遠隔管理サーバ4の通信部41は、修理履歴情報を受信する。
【0125】
S54:遠隔管理サーバ4の制御部40は、通信部41によって受信された機器IDを検索キーとして保証情報管理テーブル(
図8参照)を検索することにより、当該機器IDの保証情報管理テーブルを特定し、通信部41によって受信された修理履歴情報を記憶する。
【0126】
以上により、空気調和機の修理対応後の手続き及び処理が終了する。
【0127】
〔商流の変形例〕
図1では、空気調和機7の冷媒漏洩に関する商流を示したが、
図17を用いて、商流の変形例を示す。
図17は、空気調和機の冷媒漏洩に関する商流の変形例を示した図である。
【0128】
図17に示されている変形例では、新たに製造者(修理部門)Zが登場する代わりに、修理部門を持たない販売店X'が登場する。販売店X'は、ユーザUとの関係を継続するため、必ずユーザUの修理情報を把握しておくことを希望することが多いため、
図17に示すような情報の流れが生じる。なお、
図1と同一の処理又は手続きは、
図1と同一の符号を付して説明を省略する。
【0129】
この変形例の場合、
図1のS2はS2aとS2bの2段階処理になり、
図1のS5はS5aとS5bの2段階の処理になり、
図1のS8はS8aとS8bの2段階の処理になる。
【0130】
即ち、ユーザUが冷媒漏洩の保証を希望する場合、保証料は、各ユーザUから販売店X'に支払われ(S2a)、製造者Zから保証業者Yに支払われる(S2b)。
【0131】
また、遠隔管理サーバ4は、製造者Zに修理促進指示を送り(S5a)、製造者Zが販売店に漏洩報告を送る(S5b)。この場合、製造者Zが修理するため、製造者Zは、ユーザAに保証の適用により冷媒漏洩の修理を行う連絡を行い、修理の日程調整した上で、修理対応する(S6')。更に、無償保証期間(メーカ保証期間)外であって漏洩保証期間内の場合には、製造者Zは、修理完了後に保証業者Yに修理完了を報告して、保証業者Yから保証料を受け取る(S7')。
【0132】
また、製造者Zは遠隔管理サーバ4に修理履歴情報を登録し(S8a)、製造者Zは販売店X'に修理完了報告を行う(S8b)。
【0133】
以上により、空気調和機の冷媒漏洩に関する商流の変形例の説明が終了する。
【0134】
〔実施形態の効果〕
(1)以上説明したように本実施形態によれば、サーバシステム2はユーザ端末6に対して、修理が必要であることだけでなく、保証加入の有無を含めて通知することで、ユーザの修理に係る費用面での懸念を除くことができるため、空気調和機7のユーザUが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。冷媒漏洩しても運転可能な空気調和機7においてユーザUが自発的に修理依頼を促進して、漏洩発生から修理までの期間を短くすることで、冷媒漏洩量を抑制することができる。
【0135】
(2)サーバシステム2はユーザ端末6に対して、保証加入の有無及び冷媒漏洩の修理の保証有効期間を含めて通知することで、ユーザUが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0136】
(3)サーバシステム2は、保証加入の有無だけでなく、修理を促進する旨を含めて通知することで、ユーザが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0137】
(4)サーバシステム2はユーザ端末6に対して、具体的な修理日程の候補を含めて通知することで、ユーザUが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0138】
(5)サーバシステム2はユーザ端末6に対して、漏洩状態を検知した日時の情報も含めて通知することで、ユーザUが自発的に修理依頼を行うことを促進させることができる。
【0139】
(6)サーバシステム2は冷媒漏洩の修理の履歴を示す修理履歴情報を記憶することで、修理に役立てることができる。
【0140】
(7)ユーザ端末6は
図14に示すような表示画面610を表示させることで、表示画面610を見たユーザUに、修理依頼を行うことを促すことできる。
【0141】
(8)空気調和機7は、外気温度の変化に基づく空気調和機の試運転期間における検知結果に応じて、本格的な冷暖房シーズンに入る前に自動的に冷媒漏洩の有無を判定することができる。
【0142】
〔補足〕
(1)制御部30,40,60,70は、各プログラムによって処理を実行し、各プログラムを(非一時的な)記録媒体に記録することも、通信ネットワーク100を介して提供することも可能である。
【0143】
(2)制御部30,40,60,70を構成するCPUは、単一だけでなく、複数であってもよい。
【0144】
(3)管理端末3及びユーザ端末6はPC等であるが、ノート型パソコン又はデスクトップパソコンであってもよい。また、管理端末3及びユーザ端末6は、タブレット端末、スマートフォン、スマートウォッチ等であってもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 冷媒漏洩修理システム
2 サーバシステム
3 管理端末
4 遠隔管理サーバ
6 ユーザ端末(情報端末の一例)
7 空気調和機
40 制御部
41 通信部(取得手段の一例、送信手段の一例)
49 記憶部(記憶手段の一例)
60 制御部
61 通信部
62 操作部
64 表示制御部(表示制御手段の一例)
69 記憶部
70 制御部
70a 判定部(判定手段の一例)
71 通信部(通信手段の一例)
77 温度センサ(検知手段の一例)
85a 温度センサ(検知手段の一例)
85b 温度センサ(検知手段の一例)
86a 圧力センサ(検知手段の一例)
86b 圧力センサ(検知手段の一例)
618 「修理依頼する」ボタン(修理依頼手段の一例)
619 「修理依頼しない」ボタン