(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/0485 20220101AFI20240710BHJP
G06F 3/0483 20130101ALI20240710BHJP
G06F 3/04845 20220101ALI20240710BHJP
G09G 5/34 20060101ALI20240710BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240710BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G06F3/0485
G06F3/0483
G06F3/04845
G09G5/34 M
G09G5/37 310
G09G5/37 600
G09G5/00 530M
(21)【出願番号】P 2023143840
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2022074559の分割
【原出願日】2018-04-03
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500033117
【氏名又は名称】株式会社MIXI
(72)【発明者】
【氏名】猪子 敏行
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197358(JP,A)
【文献】国際公開第2012/043003(WO,A1)
【文献】特開2009-125077(JP,A)
【文献】国際公開第2013/021539(WO,A1)
【文献】特開2009-294171(JP,A)
【文献】特開2008-289014(JP,A)
【文献】特開2014-204395(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190002(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048-3/04895
G09G 5/00-5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの操作に基づいて、
ディスプレイの上端が前記ユーザの視点に対して第1の方向を向いた状態での閲覧が想定された第1画像と
、前記ディスプレイの上端が、前記ユーザの視点に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向を向いた状態での閲覧が想定された第2画像を含む複数の画像を含むコンテンツの少なくとも一部を
前記ディスプレイに表示させ、
前記ディスプレイの回転を
前記ユーザに促すための報知を、前記第1画像とともに前記ディスプレイに表示させ、
前記報知が行われた場合、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知するまで前記第2画像の表示を制限し、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知すると前記第2画像を表示させる、
処理をプロセッサに実行させるプログラム。
【請求項2】
前記第1画像が前記ディスプレイに表示された場合、前記第1画像を、前記ユーザの視点に対して第1スクロール方向にスクロールさせ、
前記第2画像が前記ディスプレイに表示された場合、前記第2画像を、前記ユーザの視点に対して前記第1スクロール方向とは異なる第2スクロール方向にスクロールさせる、
処理をプロセッサに実行させる請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
プロセッサを有し、前記プロセッサは、
ユーザの操作に基づいて、
ディスプレイの上端が前記ユーザの視点に対して第1の方向を向いた状態での閲覧が想定された第1画像と
、前記ディスプレイの上端が、前記ユーザの視点に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向を向いた状態での閲覧が想定された第2画像を含む複数の画像を含むコンテンツの少なくとも一部を
前記ディスプレイに表示させ、
前記ディスプレイの回転を
前記ユーザに促すための報知を、前記第1画像とともに前記ディスプレイに表示させ、
前記報知が行われた場合、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知するまで前記第2画像の表示を制限し、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知すると前記第2画像を表示させる、
情報処理装置。
【請求項4】
プロセッサが、ユーザの操作に基づいて、
ディスプレイの上端が前記ユーザの視点に対して第1の方向を向いた状態での閲覧が想定された第1画像と
、前記ディスプレイの上端が、前記ユーザの視点に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向を向いた状態での閲覧が想定された第2画像を含む複数の画像を含むコンテンツの少なくとも一部を
前記ディスプレイに表示させ、
プロセッサが、前記ディスプレイの回転を
前記ユーザに促すための報知を、前記第1画像とともに前記ディスプレイに表示させ、
プロセッサが、前記報知が行われた場合、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知するまで前記第2画像の表示を制限し、前記ディスプレイの
上端が、前記第1の方向から前記第2の方向まで回転
したことを検知すると前記第2画像を表示させる、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータネットワークを介して携帯端末等の情報処理装置に配信されるウェブサイト(Webページ,Webサービス)やオンラインゲーム、アプリケーションソフトウェア(以下「アプリ」という。)等のオンラインサービスが広く普及している。
【0003】
特許文献1には、1ページが複数のコマから構成されるマンガを画面に表示させるために、ページの中で指定された範囲(例えば、ページ内に描かれた1つのコマ)を切り換えながら、表示画面に拡大して表示する画像表示装置が開示されている。このため、特許文献1に開示されている画像表示装置は、表示画面に表示する範囲を順次切り換えるための各種パラメータが設定された表示範囲切換リストが生成され、これに表示する順序と対応付けて、表示対象のコマ、表示中心の座標、表示倍率が設定されている。これにより、生成した表示範囲切換リストに従って、表示範囲を順に切り換えながら表示画面にWebページを表示する。
【0004】
従って、特許文献1に開示されている画像表示装置では、大きなWebページであっても、ユーザは画像の上下左右へのスクロールや拡大・縮小といった煩雑なコントローラー操作を必要とせずに、Webページの隅々まで快適に閲覧することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年では、情報処理装置で閲覧可能なマンガとして、紙媒体のマンガを画像データとして取り込んだものだけではなく、当初から情報処理装置へ配信することを想定してマンガを画像データで作成する場合もある。このような情報処理装置に配信することを想定して作成されるマンガは、紙媒体では表現できなかった多様な表現ができることが期待される。
【0007】
ここで、特許文献1に開示されている画像表示装置は、上下左右へのスクロール等を行うものである。この目的は、紙媒体を画像データとして取り込んだページ単位であり、かつコマ割りがされたマンガをユーザに快適に閲覧させるものであり、マンガの表現を多用化させるものではない。そこで、情報処理装置に表示されるマンガ等のコンテンツに対して、より多様な表現を可能とする技術開発が求められている。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、画面に表示されるコンテンツに対してより多様な表現を可能とする、情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の情報処理装置、コンテンツ表示方法及びコンテンツ表示プログラムは以下の手段を採用する。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「情報処理装置」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置であって、前記画面に表示される前記コンテンツを一方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、前記画面を基準面とした所定角度の水平回転の実行をユーザに促すための回転報知を、前記コンテンツの進行に応じた所定の報知タイミングで行う回転報知手段と、を備える。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「コンテンツ表示方法」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示するコンテンツ表示方法であって、前記画面に表示される前記コンテンツを一方向にスクロールさせる第1工程と、前記画面を基準面とした所定角度の水平回転の実行をユーザに促すための回転報知を、前記コンテンツの進行に応じた所定の報知タイミングで行う第2工程と、を有する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一態様である「コンテンツ表示プログラム」は、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツを画面に表示する情報処理装置が備えるコンピュータを、前記画面に表示される前記コンテンツを一方向にスクロールさせるスクロール制御手段と、前記画面を基準面とした所定角度の水平回転の実行をユーザに促すための回転報知を、前記コンテンツの進行に応じた所定の報知タイミングで行う回転報知手段と、して機能させる。
【0013】
上記「情報処理装置」には、以下に例示するように、種々の技術的限定を加えてもよい。また、同趣旨の技術的限定を、「コンテンツ表示方法」が実行する処理ステップや「コンテンツ表示プログラム」の機能に加えてもよい。
【0014】
前記回転報知手段は、前記回転報知として前記画面の回転をユーザに促すための回転報知画像を前記コンテンツと共に前記画面に表示する。
【0015】
前記コンテンツは、前記画面を回転させる回転タイミング及び前記画面の回転角度を示す回転情報が付加され、前記回転報知手段は、前記回転情報に基づいて前記回転報知を行う。
【0016】
前記スクロール制御手段は、前記画面に表示されているコンテンツが前記画面を回転させる回転タイミングに達した場合、前記画面の回転を検知するまで前記回転タイミング以降の前記静止画像を前記画面に表示しない。
【0017】
前記スクロール制御手段は、前記画面に表示されている前記コンテンツが前記画面を回転させる回転タイミングに達した場合に前記コンテンツのスクロールを停止させる。
【0018】
前記スクロール制御手段は、前記画面に対する指示体を用いたユーザの操作に応じて前記コンテンツをスクロールさせ、前記指示体の移動速度に基づく慣性力に応じて前記静止画像の移動量を制御し、前記画面に表示される前記コンテンツが前記画面を回転させる回転タイミングに達しても、前記慣性力に応じて前記コンテンツのスクロールを継続させる。
【0019】
前記スクロール制御手段は、予め定められた速度で前記静止画像をスクロールさせる。
【0020】
前記速度は、前記静止画像に応じて異なる。
【0021】
前記スクロール制御手段は、前記コンテンツをスクロールさせる所定の条件を満たしたか否かを予め定められたタイミングで判定し、前記条件を満たした場合に前記コンテンツをスクロールさせる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、画面に表示されるコンテンツに対してより多様な表現を可能とする、という効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るマンガ配信システムの構成図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る携帯端末の電気的構成を示すブロック図である 。
【
図4】本発明の第1実施形態に係るマンガを示すマンガデータを示す模式図である 。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る画面回転操作をユーザが行うことによって、ユ ーザ視点での画面に表示される画像の態様を示す図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る回転報知画像を示す図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る携帯端末のマンガ表示機能に関する機能ブロッ ク図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る携帯端末のマンガ表示処理の流れを示すフロー チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明に係る情報処理装置、コンテンツ表示方法、及びコンテンツ表示プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
[1.第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0026】
[1-1.マンガ配信システムの構成]
図1は、本実施形態に係るマンガ配信システム1の概略構成図である。マンガ配信システム1は、通信回線2、複数の携帯端末3、及びサーバ4を含んで構成される。
【0027】
通信回線2は、コンピュータネットワークを形成するものであり、例えば、電気事業者によって提供される広域通信回線である。
【0028】
携帯端末3は、例えば、スマートフォンやタブレット端末、ノートパソコン等の情報処理端末であり、通信回線2を介して配信されるオンラインサービスをユーザが利用するために用いられる。携帯端末3は、画像を表示するタッチパネルディスプレイ3a、音を出力するスピーカー3b、音が入力されるマイク3c、及び被写体を撮像するカメラ3d等を備える。ここで、タッチパネルディスプレイ3aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)及びタッチセンサを備える。LCDは、各種画像を表示し、タッチセンサは、指、スタイラス、又はペン等の指示体を用いて行われる各種入力操作を受け付ける。なお、以下の説明ではタッチパネルディスプレイ3aを画面3aともいう。
【0029】
サーバ4は、通信回線2を介して、携帯端末3へオンラインサービスを配信する情報処理装置である。
【0030】
本実施形態に係るマンガ配信システム1は、デジタルデータとされたマンガをサーバ4から通信回線2を介して携帯端末3へオンラインサービスの一つとして配信する。ここでいうマンガとは、連続した複数の静止画像によって形成されるコンテンツの一例であり、複数の静止画像が絵で構成され、全体としてストーリー性を有するものである。ユーザは、携帯端末3へ配信されたマンガを専用のアプリケーションソフト(以下「マンガ閲覧アプリ」という。)を用いて閲覧する。マンガ閲覧アプリは、携帯端末3に予めインストールされている。なお、マンガ閲覧アプリは、マンガデータがサーバ4から携帯端末3にダウンロードされていれば、携帯端末3とサーバ4とが通信していない状態(オフライン状態)でも機能する。
【0031】
[1-2.サーバの構成]
図2は、本実施形態に係るサーバ4の電気的構成を示すブロック図である。
【0032】
本実施形態に係るサーバ4は、サーバ4全体の動作を司る主制御部であるCPU(Central Processing Unit)20、各種プログラム及び各種データ等が予め記憶されたROM
(Read Only Memory)22、CPU20による各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(Random Access Memory)24、各種プログラム及び各種データを記憶する記憶手段としてのHDD(Hard Disk Drive)26を備えている。
【0033】
HDD26は、携帯端末3に配信するマンガを示すマンガデータを記憶する。なお、記憶手段は、HDD26に限らず、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ等の他の記憶媒体であってもよい。
【0034】
さらに、サーバ4は、キーボード及びマウス等で構成されて各種操作の入力を受け付ける操作入力部28、各種画像を表示する例えば液晶ディスプレイ装置等のモニタ30、通信回線2を介して携帯端末3等の他の情報処理装置等と接続され、他の情報処理装置等との間で各種データの送受信を行う外部インタフェース32を備えている。
【0035】
これらCPU20、ROM22、RAM24、HDD26、操作入力部28、モニタ30、及び外部インタフェース32は、システムバス34を介して相互に電気的に接続されている。従って、CPU20は、ROM22、RAM24、及びHDD26へのアクセス、操作入力部28に対する操作状態の把握、モニタ30に対する画像の表示、並びに外部インタフェース32を介した他の情報処理装置等との各種データの送受信等を行なうことができる。
【0036】
[1-3.携帯端末の電気的構成]
図3は、携帯端末3の電気的構成を示す機能ブロック図である。
【0037】
携帯端末3は、
図1に示される構成に加え、主制御部40、主記憶部42、補助記憶部44、通信部46、及び操作ボタン48を備える。
【0038】
主制御部40は、例えば、CPU、マイクロプロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)等であり、携帯端末3の全体の動作を制御する。
【0039】
主記憶部42は、例えば、RAMやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成されており、主制御部40による各種プログラムに基づく処理の実行時のワークエリア等として用いられる。
【0040】
補助記憶部44は、例えば、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、画像等の各種データ及び主制御部40の処理に利用されるプログラム等を保存する。補助記憶部44に記憶されるプログラムは、例えば、携帯端末3の基本的な機能を実現するためのOS(Operating System)、各種ハードウェアを制御するためのドライバ、電子メールやウェブブラウジング、その他各種機能を実現するためのプログラム等である。また、補助記憶部44には、サーバ4から配信されたマンガをタッチパネルディスプレイ3aに表示させるためのマンガ閲覧アプリが予め記憶されている。
【0041】
通信部46は、例えばNIC(Network Interface Controller)であり、通信回線2に接続する機能を有する。なお、通信部46は、NICに代えて又はNICと共に、無線LAN(Local Area Network)に接続する機能、無線WAN(Wide Area Network)に接続する機能、例えばBluetooth(登録商標)等の近距離の無線通信、及び赤外線通信等を可能とする機能を有してもよい。
【0042】
操作ボタン48は、携帯端末3の側面に設けられ、携帯端末3を起動又は停止させるための電源ボタンやスピーカー3bが出力する音のボリューム調整ボタン等である。
【0043】
これら主制御部40、主記憶部42、補助記憶部44、通信部46、タッチパネルディスプレイ3a、スピーカー3b、マイクロフォン3c、カメラ3d、及び操作ボタン48は、システムバス49を介して相互に電気的に接続されている。従って、主制御部40は、主記憶部42及び補助記憶部44へのアクセス、タッチパネルディスプレイ3aに対する画像の表示、ユーザによるタッチパネルディスプレイ3aや操作ボタン48に対する操作状態の把握、マイクロフォン3cへの音の入力、スピーカー3bからの音の出力、カメラ3dに対する制御、及び通信部46を介した各種通信網や他の情報処理装置へのアクセス等を行える。
【0044】
[1-4.携帯端末のマンガ表示機能]
携帯端末3は、サーバ4から配信されたマンガをマンガ閲覧アプリが有する機能(以下「マンガ表示機能」という。)を用いて画面3aに表示させ、ユーザによるマンガの閲覧を可能とする。なお、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに表示されるマンガを画面3aの縦方向又は横方向(画面3aの長軸方向又は短軸方向)のうち一方向にのみスクロールさせる。すなわち、マンガは画面3aを基準に一方向にスクロールする。
【0045】
[1-4-1.画面回転操作]
本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aを基準面とした所定角度の水平回転の実行をユーザに促すための回転報知を、マンガの進行に応じた所定の報知タイミングで行う。回転報知が行われると、ユーザは、携帯端末3でマンガを読みながら画面3aを水平回転させる画面回転操作を行う。なお、本実施形態に係る携帯端末3は、携帯端末3本体に画面3aが一体不可分で備えられているため、以下の説明における画面3aの回転と携帯端末3の回転は同義である。
【0046】
これにより、マンガ表示機能は、画面3aに表示するマンガのスクロール方向が一方向であっても、ユーザに画面3aを水平回転させることで、ユーザ視点を基準としてマンガのスクロール方向を上下左右又は斜め方向等の様々な方向に変化させることが可能となる。すなわち、画面3aに表示されるマンガは、疑似的に縦方向や横方向等にスクロールされることとなる。従って、マンガ表示機能は、例えば、画面3aに表示するマンガに動画のような動きを感じさせる等、画面3aに表示されるマンガに対してより多様な表現を可能とする。
【0047】
図4,5を参照して、本実施形態に係る画面回転操作について詳細に説明する。
【0048】
図4は、画面3aに表示されるマンガを示すマンガデータ50の一例を示す模式図である。マンガデータ50は、一方向にのみマンガがスクロールされ、かつ画面回転操作が行われることを前提として作成される。
図4の例ではマンガが画面3aの縦方向(長軸方向)にスクロールされる形態を示したものである。なお、マンガデータ50は、複数の静止画像52によって構成される。静止画52の大きさは、横方向(画面3aの短軸方向に対応)の長さは一定であるものの、縦方向(画面3aの長軸方向に対応)の長さは、マンガの作家が任意に決定できる。
【0049】
図5は、画面回転操作をユーザが行うことによって、ユーザ視点で画面3aに表示される画像の態様である。なお、
図5における矢印Sは、画面3aに表示されるマンガのスクロール方向である。また、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに表示される画像を画面3aの水平回転に応じて自動的に回転させる機能(いわゆる画面3aの自動回転機能)をオフとする。
【0050】
図5(A)は、携帯端末3の上端3tをユーザ視点で上側にしてユーザが保持した状態であり、以下の説明では、この状態を正保持状態という。正保持状態では、マンガはユーザ視点で上から下へスクロールする。
図5(B)は、携帯端末3が正保持状態から90°右回転され、携帯端末3の上端3tがユーザ視点の右側に位置する状態であり、以下の説明では、この状態を右回転保持状態という。右回転保持状態では、マンガはユーザ視点で右から左へスクロールする。
図5(C)は、携帯端末3が右回転保持状態から90°右回転(正保持状態から180°回転)され、携帯端末3の上端3tがユーザ視点で下側に位置する状態であり、以下の説明では、この状態を逆保持状態という。逆保持状態では、マンガはユーザ視点で下から上へスクロールする。
【0051】
すなわち、
図4における静止画像52Aは、
図5(A)に示されるように携帯端末3が正保持状態でユーザに保持されてマンガが閲覧されることを想定して作成される。また、
図4における静止画像52Bは、
図5(B)に示されるように携帯端末3が右回転保持状態でユーザに保持されてマンガが閲覧されることを想定して作成される。また、
図4における静止画像52Cは、
図5(C)に示されるように携帯端末3が逆保持状態でユーザに保持されてマンガが閲覧されることを想定して作成される。すなわち、マンガデータ50を構成する静止画像52は、ユーザが画面回転操作を行うことを前提とし、画面3a(携帯端末3)の回転に応じた向きに配列される。
【0052】
なお、
図5に示される携帯端末3を回転させる回転角度は一例である。例えば、ユーザに携帯端末3を正保持状態から45°回転させて斜め向きに保持させ、斜め向きにスクロールすることを想定して作成された画像が画面3aに表示されてもよい。
【0053】
[1-4-2.回転報知]
マンガ表示機能は、画面3aの回転をユーザに促すための回転報知を所定の報知タイミングで行う。一例として、本実施形態に係るマンガ表示機能は回転報知として、
図5,6に示すように、画面3aの回転をユーザに促すための回転報知画像54をマンガと共に画面3aに表示する。ユーザは、回転報知画像54が画面3aに表示されると、回転報知画像54の表示に応じて携帯端末3を回転させ、マンガの閲覧を継続する。回転角度は、例えば、0から180°の範囲と回転方向とが組み合わされて表される。
【0054】
本実施形態に係る回転報知画像54は、
図6(A)に示されるように、画面3a(携帯端末3)の回転方向を示す矢印画像54Aと回転角度を示す数字画像54Bとで構成され、画面3aの4隅の何れかの位置にマンガに重畳して表示される。また、本実施形態に係る回転報知画像54の表示位置は、画面3aにおけるマンガのスクロール方向側の上端である。ユーザの視線はマンガのスクロール方向に向くため、回転報知画像54をマンガのスクロール方向側の上端に表示することで、ユーザは違和感なく自然に回転報知画像54を認識できる。
【0055】
なお、回転報知画像54の構成や表示位置はこれに限られず、ユーザが回転報知を認識できれば、他の構成や表示位置でもよい。例えば
図6(B)に示されるように、回転報知画像54は、携帯端末3を示す端末模式画像54Cと矢印画像54Aとで構成されてもよい。端末模式画像54Cは、ユーザが保持するべき回転状態がユーザに認識可能なように表示される。また、回転報知画像54は、ユーザに認識され易くするために、点滅等の強調表示がされてもよい。
【0056】
ここで、マンガデータ50は、画面3aを回転させる回転タイミング及び画面3aの回転角度を示す回転情報が付加される。そして、マンガ表示機能は、サーバ4から配信されたマンガ(マンガデータ50)に付加された回転情報に基づいて回転報知を行う。これにより、マンガ表示機能は、簡易な処理によって画面3aの回転をユーザに促すことができる。なお、画面3aの回転タイミング及び回転角度は、マンガの作家の意図に沿って定められるものである。
【0057】
図4を参照して回転情報について説明する。
図4に示される矢印A1,A2は、回転タイミングを示す。回転タイミングは、一例として、静止画像52Aと静止画像52Bとの間、静止画像52Bと静止画像52Cとの間であるが、これに限られず、一つの静止画像52の途中が回転タイミングとされてもよい。なお、回転タイミングは、一例として、マンガデータ50の先頭を基準とした座標により表される。
【0058】
本実施形態に係る報知タイミングは、ユーザが画面3aを回転させる回転タイミングと同じされるが、これに限られない。報知タイミングを回転タイミングよりも前のタイミングとしてもよく、例えば、回転タイミングよりも所定ページ数前又は所定コマ数前を報知タイミングとしてもよい。
【0059】
報知タイミングを回転タイミングよりも前のタイミングとする場合、マンガ表示機能は、回転タイミングをユーザが明確に認識できるように、例えば、回転タイミングに達するまでカウントダウン表示を行い、回転タイミングに達した後には画面3aが回転されるまで回転報知画像54を強調表示する。カウントダウン表示は、例えば、回転タイミングに達するまでの残りページ数又は残りコマ数を表示する。回転報知画像54の強調表示は、例えば、回転報知画像54の色の変化、回転報知画像54の拡大、回転報知画像54の点滅等である。
【0060】
なお、ユーザが回転報知画像54で報知された回転角度よりも大きい回転角度で画面3aを回転させた場合には、画面3aの回転状態がマンガのスクロール方向にとって適正な回転状態となるように、回転報知画像54が更新表示されてもよい。
【0061】
また、マンガ表示機能は、画面3aに表示されているマンガが回転タイミングに達した場合、画面3aの回転を検知するまで当該回転タイミング以降の静止画像52(マンガのシーン)を画面3aに表示しない処理(以下「回転検知処理」という。)を行ってもよい。
【0062】
換言すると、マンガ表示機能は、マンガが回転タイミングに達した後に画面3aの回転を検知した場合にのみ、画面3aに表示するマンガのシーンを次のシーンに遷移させる一方、画面3aの回転を検知しない状態では次のシーンは表示されない。すなわち、当該次のシーンは画面3aの回転に合わせて作成された静止画像52であるため、回転検知処理を行うことによって、ユーザはマンガのシーンに応じた適切な画面3aの回転角度でマンガを閲覧することになる。
【0063】
なお、回転検知処理は、検知した画面3aの実際の回転角度と回転情報が示す回転角度とが一致した場合に、画面3aに表示するマンガのシーンを次のシーンに遷移させてもよいし、画面3aの回転を検知した場合、検知した回転角度にかかわらず画面3aに表示するマンガのシーンを次のシーンに遷移させてもよい。
【0064】
[1-4-3.スクロール操作]
マンガ表示機能は、画面3aに対する指示体を用いたユーザの操作に応じてマンガをスクロールさせる。なお、本実施形態に係る指示体は、一例としてユーザの指である。
【0065】
ユーザは、画面3aに表示されるマンガをスクロールさせる場合に、例えば、画面3aに触れている自身の指をスクロール方向に移動(スワイプ又はフリック)させる。本実施形態に係るスクロール方向は、上述のように、携帯端末3を基準として上端3tから下端3uとするが、これに限らず、右から左としてもよい。マンガ表示機能は、画面3aにマンガが表示されている状態で、スワイプ又はフリックされたこと(以下「スクロール操作」という。)を画面3a(タッチパネルディスプレイ3a)が検知した場合にマンガをスクロールさせる。
【0066】
また、マンガ表示機能は、スクロール操作を行うユーザの指の移動速度に応じて、マンガのスクロール速度を変化させる。すなわち、指の移動速度が速いほど、マンガの静止画像52のスクロール量が多い。
【0067】
そして、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに表示されるマンガが回転タイミングに達した場合にマンガのスクロールを停止させるスクロール停止制御を行う。すなわち、本実施形態に係るマンガ表示機能は、回転タイミングにおいてマンガが回転されない限り、マンガをそれ以上スクロールさせない。従って、ユーザは、マンガの作家の意図に沿ったスクロール状態でマンガを閲覧することができる。
【0068】
また、ユーザは、マンガの進行を戻すためにそれまでとは逆方向にスクロール操作(以下「逆方向スクロール操作」という。)を行う場合がある。逆方向スクロール操作が行われて画面3aに表示されているマンガが回転報知タイミングに達した場合、回転報知画像54は、通常のスクロール操作(以下「順方向スクロール操作」という。)とは異なる位置に表示されてもよい。
【0069】
例えば、
図5(B)のように、順方向スクロール操作において画面3aの左上に回転報知画像54が表示される場合、逆方向スクロール操作では画面3aの右上に回転報知画像54が表示される。すなわち、逆スクロール操作が行われている場合、回転報知画像54は順方向スクロール操作が行われている場合とは左右逆の位置に表示される。なお、マンガデータ50は、逆方向スクロール操作に対応した回転タイミング及び回転角度を示す回転情報が付加され、マンガ表示機能は、逆方向スクロール操作が行われた場合、当該回転情報に基づいて回転報知画像54を画面3aに表示してもよい。
【0070】
[1-4-4.慣性スクロール]
本実施形態に係るマンガ表示機能は、スクロール操作を行うユーザの指の移動速度に基づく慣性力に応じてマンガを構成する静止画像52のスクロール量を変化させる。具体的には、ユーザの指の移動速度が速いほど、指が画面3aから離れてもマンガのスクロールが継続して行われる。なお、ここでいう慣性力は、ユーザの指の移動速度に応じて予め定められる疑似的な慣性力であり、この慣性力は時間経過、すなわち指を画面3aから離した後のスクロール量と共に小さくなる。また、以下の説明では、慣性力によるスクロールを慣性スクロールという。
【0071】
ここで、マンガ表示機能は、画面3aに表示されるマンガが回転タイミングに達しても、慣性力に応じてマンガのスクロールを継続させるスクロール継続制御を行ってよい。すなわち、スクロール継続制御は、回転タイミングにおいて画面3aが回転されない限り、マンガをそれ以上スクロールさせないのではなく、慣性力が生じている場合には回転タイミングに達してもスクロールを継続させる。従って、スクロール継続制御は、ユーザのスクロール操作に応じたスムーズなスクロールを可能とする。
【0072】
なお、ユーザは、回転タイミングに合わせて画面3aを回転できないと、自身が認識しているスクロール方向とマンガのスクロール方向とが異なり、違和感を覚える可能性がある。このため、マンガ表示機能は、回転タイミングに達しても画面3aが回転されないままスクロール継続制御によってマンガのスクロールが継続されている場合、回転報知画像54を点滅させたり、拡大して表示させる等の強調表示を行い、ユーザに画面3aの回転をより強く促す。
【0073】
スクロール停止制御又はスクロール継続制御の何れを用いるかは、一例としてユーザの設定により決定されてもよいし、マンガの作家の希望に応じて予め設定されてもよい。また、一つのマンガにおいて、スクロール停止制御とスクロール継続制御が混在してもよい。例えば、静止画像52Cにマンガのストーリーにとっての重要な会話が含まれている場合には、スクロール停止制御が行われスクロールを停止させる。一方、マンガのスピード感を表現したいシーンでは、スクロール継続制御が行われ、スクロールを停止させることなくマンガを進行させる。
【0074】
[1-4-5.条件スクロール]
本実施形態に係るマンガ表示機能は、マンガをスクロールさせる所定の条件(以下「スクロール条件」という。)を満たしたか否かを予め定められたタイミング(以下「条件検知タイミング」という。)で判定し、スクロール条件を満たした場合にマンガをスクロール(進行)させてもよい。なお、マンガ表示機能は、条件検知タイミングにおいてスクロール条件を満たさない場合には、マンガをスクロールさせない。
【0075】
マンガ表示機能は、例えば、スクロール条件として携帯端末3からユーザに指示が出され、当該指示に沿った入力が携帯端末3に行われた場合にマンガをスクロールさせる。なお、携帯端末3からのユーザへの指示は、例えば、画面3aに表示される。すなわち、条件検知タイミングは、当該指示が画面3aに表示された後である。また、当該指示と共に、条件検知タイミングとなるタイミングが画面3aに表示されてもよい。
【0076】
一例として、携帯端末3からのユーザに対する指示は、マンガのストーリーに関連付けられている。例えば、マンガの主人公が後ろを向く動作を行うシーンを予め定められたタイミングとし、このシーンにおいて実際にユーザが携帯端末3を所持して携帯端末3と共に後ろを向く動作を行った場合に、マンガをスクロールさせる。この場合におけるスクロール条件は、携帯端末3が備える加速度センサが所定値以上の加速度を検知することである。すなわち、条件検知タイミングにおいてユーザが、所持している携帯端末3と共に後ろを振り向き、携帯端末3が備える加速度センサがスクロール条件を満たす所定値以上の加速度を検知した場合にマンガがスクロールする。
【0077】
また、携帯端末3を頭部装着ディスプレイ装置(Head Mount Display:HMD)とし、ディスプレイにマンガを表示させる形態では、条件検知タイミングにおいてユーザが後ろを振り向くとスクロール条件を満たしたと判定してマンガ表示機能がマンガをスクロールさせてもよい。
【0078】
このように、条件スクロールを行うマンガ表示機能は、マンガをスクロールさせるために新たなユーザ操作等を必要とするため、ユーザにとってインタラクティブ性の高いマンガの表現を可能とする。
【0079】
[1-4-6.エフェクト]
本実施形態に係るマンガは、種々のエフェクト(画像効果)が与えられてもよい。エフェクトは、マンガの一部に与えられるものであり、例えば、マンガのシーンの一部(マンガを構成する静止画像52の一部)がエフェクトにより動的に変化する。
【0080】
なお、エフェクトが与えられるシーン(静止画像52)は、予めエフェクトの内容と共に設定されている。マンガ表示機能は、エフェクトが設定されているシーンが画面3aに表示されるタイミングで、当該シーンに設定されているエフェクトを実行する。
【0081】
より具体的には、マンガを構成する画像の一部が動画像とされ、マンガ表示機能はエフェクトとして、スクロールにより動画像が表示されると動画像の再生を開始し、動画像の再生が終了すると次の静止画像52にスクロールしてもよい。すなわち、マンガは、静止画像52と静止画像52との間に動画像が含まれてもよい。
【0082】
また、マンガ表示機能はエフェクトとして、所定の静止画像52を拡大縮小、上下左右への微小振動、又は回転等させてもよい。また、マンガ表示機能はエフェクトとして、画面3aに表示されている所定の静止画像52をフェードアウトさせ、次の静止画像52をフェードインさせて静止画像を画面3aに表示させてもよい。
【0083】
また、マンガ表示機能はエフェクトとして、所定の静止画像52に対して、他の静止画像を重畳して表示させてもよい。例えば、人物を含む静止画像52が表示された後に、当該静止画像52に重畳して吹き出しを示す静止画像が表示されたり、他の人物を示す静止画像等が表示されてもよい。
【0084】
また、マンガを構成する静止画像52の一部に、画面3aに対して疑似的に奥行き方向
(又は手前方向)に異なる静止画像52が配置され、マンガ表示機能はエフェクトとして、画面3aの奥行方向に疑似的に配置された複数の静止画像52を順に画面3aに表示させてもよい。このエフェクトは、換言すると、複数の静止画像52をあたかも紙芝居のように順に画面3aに表示させるものである。
【0085】
このように、エフェクトを行うマンガ表示機能は、マンガに対するより多様な表現を可能とする。
【0086】
[1-5.マンガ表示機能の機能ブロック]
図7は、本実施形態に係る携帯端末3にインストールされたマンガ閲覧アプリのマンガ表示機能に関する機能ブロック図である。携帯端末3が備える主制御部40は、マンガ表示制御部60、スクロール制御部62、回転報知部64、回転判定部66、及びエフェクト制御部68を備える。主制御部40が備える各機能によって実行される処理は、補助記憶部44に記憶されているプログラムによって実現される。
【0087】
マンガ表示制御部60は、サーバ4から配信されたマンガを画面3aに表示させる。
【0088】
スクロール制御部62は、画面3aに表示されるマンガを指示体による画面3aに対する操作に応じて一方向にスクロールさせる。なお、スクロール制御部62は、スクロール停止制御やスクロール継続制御、回転検知処理等を行う。
【0089】
回転報知部64は、回転報知画像54をマンガの進行に応じた報知タイミングで画面3aに表示する。また、回転報知部64は、サーバ4から配信されるマンガ(マンガデータ)に付加された回転情報に基づいて回転報知を行う。なお、回転報知部64は、回転報知画像54を画面3aに表示した後に画面3aが回転した場合、回転報知画像54の表示を停止する。
【0090】
回転判定部66は、画面3a、すなわち携帯端末3が回転されたか否かを判定する。なお、携帯端末3の回転は、携帯端末3が備える加速度センサやジャイロ等の各種センサが検知する。
【0091】
エフェクト制御部68は、エフェクトが設定されているシーン(静止画像52)が画面3aに表示された場合に、当該シーンに対してエフェクトを実行する。
【0092】
[1-6.マンガ表示処理のフローチャート]
図8は、携帯端末3が備える主制御部40によって実行されるマンガ表示処理の流れを示すフローチャートである。マンガ表示処理を実行するためのプログラム(マンガ閲覧アプリ)は補助記憶部44の所定領域に予め記憶されている。
【0093】
まず、ステップ100では、サーバ4から配信されたマンガをマンガ表示制御部60が画面3aに表示させる。
【0094】
次のステップ102では、画面3aに対してユーザによるスクロール操作が行われたか否かをスクロール制御部62が検知し、肯定判定の場合はステップ104へ移行する。
【0095】
ステップ104では、スクロール制御部62が画面3aに表示されているマンガをスクロールさせる。
【0096】
次のステップ106では、画面3aに表示されるマンガが回転報知画像54の報知タイミングとなったか否かを回転報知部64が判定し、肯定判定の場合はステップ108へ移行し、否定判定の場合はステップ114へ移行する。
【0097】
ステップ108では、回転報知部64が画面3aに回転報知画像54を画面3aに表示させる。
【0098】
次のステップ110では、画面3a(携帯端末3)が回転したか否かを回転判定部66が判定し、肯定判定の場合はステップ112へ移行する。一方、否定判定の場合はステップ108へ戻り、回転報知部64による回転報知画像54の表示が継続される。
【0099】
ステップ112では、回転報知部64が回転報知画像54の画面3aへの表示を停止させることで、回転報知画像54を非表示とする。
【0100】
次のステップ114では、画面3aに表示されているマンガのシーンにエフェクトが設定されているか否かをエフェクト制御部68が判定し、肯定判定の場合はステップ116へ移行し、否定判定の場合はステップ118へ移行する。
【0101】
ステップ116では、画面3aに表示されているマンガのシーンに設定されているエフェクトをエフェクト制御部68が実行する。
【0102】
ステップ118では、画面3aに表示されているマンガが終了したか否かをマンガ表示制御部60が判定し、肯定判定の場合に本マンガ表示処理を終了し、否定判定の場合はステップ102へ移行し、マンガの表示を継続する。なお、一例として、マンガ表示制御部60は、画面3aに表示されているマンガがそれ以上スクロールできない場合にマンガが終了したと判定する。
【0103】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末3は、連続した複数の静止画像52によって形成されるマンガを画面3aに表示する。そして、マンガ表示処理は、画面3aに表示されるマンガを一方向にスクロールさせ、画面3aを基準面とした所定角度の水平回転の実行をユーザに促すための回転報知を、マンガの進行に応じた所定の報知タイミングで行う。
【0104】
これにより、携帯端末3は、画面3aに表示するマンガのスクロール方向が一方向であっても、ユーザに画面3aを水平回転させることで、ユーザ視点を基準としてマンガのスクロール方向を上下左右又は斜め方向等の様々な方向に変化させることが可能となる。従って、携帯端末3は、例えば、画面3aに表示するマンガに動画のように動きを感じさせる表現を可能とし、この結果、画面3aに表示されるマンガに対してより多様な表現を可能とする。
【0105】
[2.第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について説明する。
【0106】
本実施形態に係るマンガ配信システム1、サーバ4、及び携帯端末3の構成は、第1実施形態に係るマンガ配信システム1、サーバ4、及び携帯端末3の構成と同様であるので説明を省略する。
【0107】
本実施形態に係るマンガ表示機能は、予め定められた速度(以下「スクロール速度」という。)で静止画像52をスクロールさせる。すなわち、本実施形態に係るマンガ表示機能は、画面3aに表示されるマンガをスクロール速度に基づいて自動的にスクロール(以下「自動スクロール」という。)させる。なお、スクロール速度は、マンガデータ50において例えば静止画像52毎に設定されている。そして、スクロール制御部62がマンガデータ50に設定されたスクロール速度を読み取り、画面3aに表示される静止画像52を読み取ったスクロール速度でスクロールさせる。また、これに限らず、マンガデータ50全体で一定のスクロール速度が設定されてもよいし、連続した複数の静止画像52をグループとし、このグループ毎にスクロール速度が設定されてもよい。
【0108】
また、本実施形態に係るマンガ表示機能は、スクロール停止制御又はスクロール継続制御の何れかを行う。
【0109】
本実施形態に係るスクロール停止制御は、画面3aに表示されるマンガが回転タイミングとなった場合、画面3aが回転するまでマンガの自動スクロールを停止させ、画面3aが回転した後にマンガの自動スクロールを再開させる。本実施形態に係るスクロール継続制御は、画面3aに表示されるマンガが回転タイミングとなっても、ユーザによる画面3aの回転の有無にかかわらず自動スクロールを継続する。
【0110】
なお、本実施形態に係るマンガ表示機能は、回転報知画像54の報知タイミングを回転タイミングよりも前のタイミングとする。そして、マンガ表示機能は、回転タイミングをユーザが明確に認識できるように、例えば、回転タイミングに達するまで回転報知画像54と共にカウントダウン表示を行い、回転タイミングに達した後には画面3aが回転されるまで回転報知画像54を強調表示する。カウントダウン表示は、例えば、回転タイミングに達するまでの残りページ数、残りコマ数、又は時間を表示する。回転報知画像54の強調表示は、例えば、回転報知画像54の色の変化、回転報知画像54の拡大、回転報知画像54の点滅等である。
【0111】
このように、本実施形態に係るマンガ表示機能は、回転報知画像54と共にカウントダウン表示を行うことにより、ユーザは回転タイミングを予め認識することができるので、ユーザは自動スクロールであっても回転タイミングに合わせて画面3aをスムーズに回転できる。
【0112】
なお、スクロール速度は、マンガのシーン(静止画像52)に応じて異なってもよい。例えば、スピード感を表現したいシーンではスクロール速度が相対的に速くされ、壮大な自然を表すシーンではスクロール速度が相対的に遅くされる。これにより、マンガの表現がより多様化される。
【0113】
また、本実施形態に係るマンガ表示機能は、一部のシーン(静止画像52)で自動スクロールを行い、他のシーンではスクロールをユーザのスクロール操作(以下「手動スクロール」という。)で行うとしてもよい。この場合、マンガ表示機能は、例えば、自動スクロールするタイミング又は手動スクロールするタイミングを画面3aにカウントダウンで表示したり、画面3aに表示されているマンガのスクロール状態が自動スクロール又は手動スクロールであることを画面3aに表示してもよい。
【0114】
[3.他の実施形態]
以上、本発明を、上記各実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0115】
例えば、上記実施形態では、コンテンツをマンガとする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、コンテンツを構成する静止画像52を文章で構成された小説等としてもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、回転報知を画面3aに表示する回転報知画像54とする形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、回転報知を音声としてもよい。この場合、音声によって、回転角度、回転方向、回転タイミングを報知してもよいし、音声と回転報知画像54とを組み合わせてもよい。
【0117】
また、上記実施形態では、マンガ表示機能として慣性スクロール、条件スクロール、及びエフェクトの機能について説明したが、マンガ表示機能はこれらの機能を有していなくてもよいし、これらの機能の一部のみを有していてもよい。
【0118】
また、上記実施形態で説明したマンガ表示処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
3 携帯端末(情報処理装置)
3a 画面
52 静止画像
54 回転報知画像
62 スクロール制御部(スクロール制御手段)
64 回転報知部(回転報知手段)