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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】外用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20240710BHJP
   A61K 31/23 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 31/07 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240710BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240710BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240710BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240710BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20240710BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240710BHJP
   C07D 239/50 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K31/23
A61K31/07
A61K47/44
A61K47/10
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/06
A61P17/14
A61P17/00
C07D239/50
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020045940
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2020172482
(43)【公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2019074500
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002819
【氏名又は名称】大正製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】弁理士法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坂本 小織
(72)【発明者】
【氏名】田中 大之
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 祐也
【審査官】今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051980(JP,A)
【文献】特開平11-302131(JP,A)
【文献】特開2003-012468(JP,A)
【文献】特開2001-199843(JP,A)
【文献】特開2002-060322(JP,A)
【文献】特表2009-519936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Science Direct
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5w/v%以上のミノキシジル、(b)0.1~12万単位のレチノール、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、又はビタミンA油、(c)0.001~2w/v%のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(d)20~80w/v%の低級アルコールを含有することを特徴とする外用医薬組成物。
【請求項2】
剤形が、液剤、ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、又はゲル剤である、請求項1に記載の外用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミノキシジル及びレチノール又はその誘導体を配合した外用医薬組成物に関する。
【0002】
ミノキシジルは化学名を6-(1-ピペリジニル)-2、4-ピリミジンジアミン-3-オキサイドと称し、育毛剤としての適応が知られており(特許文献1)、優れた育毛・発毛効果を発揮する薬剤として多数の報告がある。
【0003】
ミノキシジルを配合した育毛剤に求められる基本的な性能は、頭皮からのミノキシジルの吸収性に優れることである(特許文献2)。頭皮からのミノキシジルの吸収性を確保するためには、製剤中のミノキシジルが溶解状態で存在することが好ましく、製剤中で結晶析出等が生じないことが求められる。ミノキシジルは水やほとんどの油に対して溶解性が悪く、特に高濃度のミノキシジルの溶解性を確保するため、エタノールの配合や、リン酸やクエン酸などの酸を配合して製剤のpHを調整することが広く行われている(特許文献3、4)。
【0004】
一方、レチノール又はその誘導体は、皮膚や粘膜の機能を正常化することが知られる成分である(特許文献5)。レチノール又はその誘導体は脂溶性が高く油に溶解する成分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第4139619号明細書
【文献】特開平11-349451号公報
【文献】WO2001/76541
【文献】特開2012-25770号公報
【文献】特開2017-075111
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ミノキシジルは油に対して溶解性が悪いが、レチノール又はその誘導体は脂溶性が高く油に溶解する成分である。本発明者らは、これらを配合した製剤を調製すると、直後に製剤が白濁し、レチノール由来の油滴が残存することが分かった。すなわち、ミノキシジルとレチノール又はその誘導体はそれぞれ配合する手段が異なり、両成分を配合しても直後に分離や濁りがなく、油滴のない安定な製剤を検討する必要があることが分かった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ミノキシジルとレチノール又はその誘導体を配合し、透明な外用医薬組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、意外なことに、ミノキシジル、レチノール又はその誘導体、特定の非イオン界面活性剤、及び低級アルコールを配合すると、調製直後に製剤が白濁せず、レチノールパルミチン酸エステル由来の油滴が残存しない、透明な製剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)(a)ミノキシジル、(b)レチノール又はその誘導体、(c)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、(d)低級アルコールを含有することを特徴とする外用医薬組成物、
(2)ミノキシジルの濃度が5w/v%以上である、(1)に記載の外用医薬組成物、
(3)レチノール又はその誘導体の濃度が0.1万~100万単位/100mLである、(1)に記載の外用医薬組成物、
(4)剤形が、液剤、ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、又はゲル剤である、(1)~(3)のいずれかに記載の外用医薬組成物、
である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ミノキシジル及びレチノール又はその誘導体を含有し、透明な外用医薬組成物を提供することが可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の外用医薬組成物において用いるミノキシジルは、通常医薬品に用いられる品質のものを適宜使用することができる。また、本発明における外用医薬組成物において、ミノキシジルの含有量が多くなるにつれミノキシジルの溶解性の課題が大きくなるため、外用医薬組成物中におけるミノキシジルの濃度が高いほど、本発明を実施する意義が大きい。具体的には、本発明の外用医薬組成物中3w/v%以上が好ましく、より好ましくは5w/v%以上であり、上限は15w/v%である。
【0012】
本発明の外用医薬組成物中におけるレチノール又はその誘導体としては、レチノール、レチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、ビタミンA油などが挙げられる。本発明のレチノール又はその誘導体の含有量は、本発明の効果の点から本発明の外用医薬組成物中好ましくは0.1万~100万単位/100mLであり、より好ましくは1万~20万単位/100mLである。また、低温保存時の製剤安定性の観点から、さらに好ましくは1万~12万単位/100mLであり、さらに好ましくは1万~5万単位/100mLである。
【0013】
本発明の外用医薬組成物中における特定の界面活性剤とは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である。本発明のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60などが挙げられる。本発明のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、本発明の低温安定性の効果の点から本発明の外用医薬組成物中0.001w/v%以上が好ましく、より好ましくは0.005w/v%以上である。また、上限は皮膚刺激性などの安全性やミノキシジルの皮膚吸収も考慮すると3w/v%以下が好ましく、より好ましくは2w/v%以下である。本発明のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の含有量は、本発明の効果の点からレチノール又はその誘導体の1重量部に対して1重量部~50重量部がより好ましい。
【0014】
また、本発明の低級アルコールとしては、炭素数1~5のものが好ましく、例えばエタノールやイソプロパノールなどが好ましく、これらを組み合わせて使用しても良い。本発明の低級アルコールの含有量は、本発明の外用医薬組成物中20w/v%以上が好ましく、より好ましくは30w/v%以上であり、更に好ましくは35w/v%以上であり、更に好ましくは50w/v%以上である。上限は80w/v%が好ましい。
【0015】
本発明の外用医薬組成物のpH調整は、通常使用されるpH調整剤を使用することができ、具体的には、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸などの有機酸やリン酸、塩酸、硫酸などの無機酸を挙げることができる。低温保存時の製剤安定性の観点から、酒石酸以外の有機酸や無機酸が好ましい。本発明の医薬外用組成物のpHは、5~8.1に調整することが好ましい。
【0016】
本発明の外用医薬組成物には、多価アルコールを配合することができ、具体的には、例えば1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。多価アルコールの含有量は、本発明の外用医薬組成物中0.1w/v%以上、好ましくは5w/v%以上、より好ましくは10w/v%以上であり、上限はべたつきが少なくなるなどの使用感も考慮すると30w/v%以下が好ましい。
【0017】
本発明の外用医薬組成物は、更に必要により水を配合することができる。水の含有量は、本発明の外用医薬組成物中2~75w/v%が好ましく、より好ましくは5~50w/v%であり、更に好ましくは5~30w/v%である。
【0018】
本発明の外用医薬組成物は、上記した各成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要な活性成分や補助成分を加えることができる。本発明の外用医薬組成物に添加、配合することが好ましい薬効成分としては、メントール、ビタミンEアセテート、ヒノキチオール、塩酸ピリドキシン、グリチルレチン酸、塩酸ジフェンヒドラミン、パントテニールエチルエーテルから成る群より選ばれた成分が挙げられる。
【0019】
これら選択成分の添加量は、特に制約はなく、使用感やミノキシジルの安定性又は溶剤系組成等を考慮しながら実験的に定めることができる。
【0020】
本発明の外用医薬組成物においては、上記した成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、一般の外用剤に用いられる種々の活性成分や補助成分を配合することができる。例えば、賦形剤、育毛成分(6-ベンジルアミノプリン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、何首鳥等)、血管拡張剤(塩化カルプロニウム、ニコチン酸ベンジル、センブリ抽出液、オタネニンジンエキス、チクセツニンジンチンキ、トウガラシチンキ等)、抗ヒスタミン剤(塩酸イソチペンジル等)、抗炎症剤(グアイアズレン等)、角質溶解剤(尿素、サリチル酸等)、殺菌剤(グルコン酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、第4級アンモニウム塩、ピロクトンオラミン等)、保湿剤(ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸等)、各種動植物(イチイ、ボタンピ、カンゾウ、オトギリソウ、附子、ビワ、カワラヨモギ、コンフリー、アシタバ、サフラン、サンシシ、ローズマリー、セージ、モッコウ、セイモッコウ、ホップ、プラセンタ、ノコギリヤシ、パンプキンシード等)の抽出物、ビタミン類(アスコルビン酸、硝酸チアミン、シアノコバラミン、ビオチン等)、抗酸化剤(ジブチルヒドロキシトルエン、ピロ亜硫酸ナトリウム、トコフェロール、エデト酸ナトリウム、アスコルビン酸、イソプロピルガレート等)、溶解補助剤(アジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、各種植物油、各種動物油、アルキルグリセリルエーテル、炭化水素類等)、代謝賦活剤、ゲル化剤(水溶性高分子等)、粘着剤、香料、清涼化剤(ハッカ油、カンフル等)、染料等の通常使用される成分を配合することができる。
【0021】
また、本発明の外用医薬組成物は、液状の剤形であることが好ましく、例えば液剤、ローション剤、エアゾール剤、トニック剤、ゲル剤などの適当な外用医薬組成物とすることができる。
【0022】
本発明の外用医薬組成物の調製は、常法に従い、上記各成分を含有することにより調製される。
【0023】
かくして得られる本発明の外用医薬組成物は、頭髪用剤、睫毛用剤、眉毛用剤等の皮膚適用製剤等として使用することができる。
【0024】
以下に、実施例、比較例及び試験例を記載し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例等により何ら制約されるものではない。
【実施例
【0025】
(実施例1)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.14の外用医薬組成物を得た。
【0026】
(実施例2)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル20万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.15の外用医薬組成物を得た。
【0027】
(実施例3)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を0.0268g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物を得た。
【0028】
(実施例4)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル1万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.12の外用医薬組成物を得た。
【0029】
(実施例5)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル12万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物を得た。
【0030】
(実施例6)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル1万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を0.00536g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.12の外用医薬組成物を得た。
【0031】
(実施例7)
ミノキシジル5g、レチノール酢酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.17の外用医薬組成物を得た。
【0032】
(実施例8)
ミノキシジル5g、レチノール5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物を得た。
【0033】
(実施例9)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、濃グリセリン10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.98の外用医薬組成物を得た。
【0034】
(実施例10)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、プロピレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.09の外用医薬組成物を得た。
【0035】
(実施例11)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、濃グリセリン10g、プロピレングリコール10g、エタノール50g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH5.84の外用医薬組成物を得た。
【0036】
(実施例12)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.11の外用医薬組成物を得た。
【0037】
(実施例13)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物を得た。
【0038】
(実施例14)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、クエン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.34の外用医薬組成物を得た。
【0039】
(実施例15)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、乳酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.24の外用医薬組成物を得た。
【0040】
(実施例16)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、ポリエチレングリコール0.2g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.16の外用医薬組成物を得た。
【0041】
(実施例17)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール14g、プロピレングリコール11g、エタノール40g、酒石酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH6.38の外用医薬組成物を得た。
【0042】
(実施例18)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、濃グリセリン10g、エタノール50g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌溶解してpH8.03の外用医薬組成物を得た。
【0043】
(比較例1)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ポリソルベート60を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌した。撹拌後も製剤が白濁し、透明な製剤は調製できなかった。
【0044】
(比較例2)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル20万単位、ポリソルベート60を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌した。撹拌後も製剤が白濁し、透明な製剤は調製できなかった。
【0045】
(比較例3)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル5万単位、ステアリン酸ポリオキシル40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌した。撹拌後も製剤が白濁し、レチノールパルミチン酸エステルの油滴も残存し、透明な製剤は調製できなかった。
【0046】
(比較例4)
ミノキシジル5g、レチノールパルミチン酸エステル20万単位、ステアリン酸ポリオキシル40を1g、1,3-ブチレングリコール10g、エタノール60g、リン酸適量、精製水で全量を100mLとし、撹拌した。撹拌後も製剤が白濁し、レチノールパルミチン酸エステルの油滴も残存し、透明な製剤は調製できなかった。
【0047】
実施例1~18、比較例1~4の処方及び調製後のpHを表1~表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
(製剤の外観)
実施例1~18、比較例1~4の調製直後の外観を評価した。製剤の外観が透明であるものを○、透明でないものを×とした。結果を表3~4に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
比較例1~2の製剤は、白濁し、透明な製剤は調製できなかった。また、比較例3~4の製剤は、白濁し、レチノールパルミチン酸エステル由来の油滴も認められた。一方、実施例1~18の製剤はミノキシジル及びレチノールパルミチン酸エステル、レチノール酢酸エステル、レチノールを可溶化し、透明な製剤が得られた。
【0054】
(低温安定性)
実施例1~18の製剤をそれぞれ30mLの透明ペットボトル容器に25mLずつ充填し、5℃1週間保存した結果、実施例2の製剤は容器底面に白色粒状の析出物が認められたが、その他実施例の製剤では析出物は認めらなかった。
【0055】
この結果から、製剤中のレチノール又は誘導体の濃度は12万単位/100mLまでが低温保存時の製剤安定性も良好という最も好ましい結果となった。
【0056】
本発明により、ミノキシジル、及びレチノール又はその誘導体を含有した外用組成物において、製剤安定性に優れた外用医薬組成物を提供することが可能になった。