(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】非常電話用中継装置
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20240710BHJP
H04Q 1/54 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H04M11/00 303
H04Q1/54
(21)【出願番号】P 2020088703
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】桜井 裕司
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04277655(US,A)
【文献】特開2001-309406(JP,A)
【文献】特開2000-307684(JP,A)
【文献】特開平08-223611(JP,A)
【文献】特開平07-015755(JP,A)
【文献】特開平04-158637(JP,A)
【文献】特開平01-181365(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B1/76-3/44
3/50-3/60
7/00-7/015
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
H04Q1/54-1/56
3/42
3/58-3/62
3/70-3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
を備える
と共に、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、の一方又は両方を備え、
前記第1の線路長検出回路の検出結果により、受話音声のエコーを低減するために前記第2の線路側のインピーダンスを可変制御し、
前記第2の線路長検出回路の検出結果により、送話音声のエコーを低減するために前記第1の線路側のインピーダンスを可変制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置。
【請求項2】
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
を備える
と共に、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、の一方又は両方を備え、
前記第1の線路長検出回路の検出結果により、前記受話増幅回路の増幅率を制御し、
前記第2の線路長検出回路の検出結果により、前記送話増幅回路の増幅率を制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置。
【請求項3】
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、
前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、
を備え
、
前記第1の線路長検出回路の検出結果と前記第2の線路長検出回路の検出結果とに基づいて、前記受話増幅回路の増幅率及び前記送話増幅回路の増幅率を制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置。
【請求項4】
前記第1の2線-4線変換回路と前記第1の線路との間に設けられるループ制御及び極性検出回路と、
前記第2の2線-4線変換回路と前記第2の線路との間に設けられるループ検出及び極性制御回路と、
を備え、
前記ループ制御及び極性検出回路は、前記ループ検出及び極性制御回路からの第1の制御信号を受けて、前記非常電話機のオフフックによるループ閉成を前記第1の線路側に伝達すると共に、前記第1の線路の極性を検出し、その検出結果に応じて前記給電回路による前記非常電話機への給電の極性を制御する第2の制御信号を生成し、
前記ループ検出及び極性制御回路は、前記非常電話機のオフフックによるループ閉成を検出して前記第1の制御信号を生成すると共に、前記第2の制御信号を受けて、前記給電回路による給電の極性を制御する
ことを特徴とする請求項1
~請求項3のいずれかに記載の非常電話用中継装置。
【請求項5】
前記ループ制御及び極性検出回路は、前記第1の2線-4線変換回路に絶縁回路を介することなく直接的に接続され、
前記ループ検出及び極性制御回路及び前記給電回路は、絶縁回路を介して、前記第2の2線-4線変換回路に接続されている
ことを特徴とする請求項
4に記載の非常電話用中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車道路に沿って配設される非常電話機を敷設する際に用いられる非常電話用中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等では、複数の非常電話機が、道路脇に所定間隔で設置されている。この複数の非常電話機は、専用の非常電話用回線の2線の線路に、並列に接続されており、その内のいずれか1台の非常電話機がオフフックされると、電話局の交換機を通じて、管理センターの受付台と電話接続されて、通話できるように構成されている(例えば特許文献1(特開2018-186441号公報)参照)。
【0003】
そして、電話局の交換機から所定の距離の場所に複数の非常電話機を設置する場合には、非常用電話回線の2線の線路に主装置が接続され、この主装置に対して、設置しようとする複数の非常電話機を接続するようにしている。
【0004】
図8は、電話局の交換機から所定の距離の場所に、主装置を用いて、複数の非常電話機を設置する場合の構成例を説明するための図である。
【0005】
この
図8の例では、電話局の交換機(以下、局交換機という)100に対して非常電話用回線の2線の線路101が接続され、この線路101に、局交換機100から所定の距離だけ離れた場所に、主装置301が接続される。
【0006】
この場合に、主装置301は、局交換機100に接続されている非常電話用回線の2線の線路101の端部に接続される。そして、この主装置301に対して、2線の線路101とは別の2線の線路111が接続され、この線路111に、複数の非常電話機201が所定の距離間隔で接続される。
【0007】
また、
図8の例では、局交換機100には、非常電話用回線の2線の線路101とは別回線の非常電話用回線の2線の線路102が接続され、この別回線の線路102にも、局交換機100から所定の距離だけ離れた場所に、主装置302が接続される。そして、この主装置302に対して、2線の線路102とは別の2線の線路121が接続され、この線路121に、所定の距離間隔で、別のグループの複数の非常電話機202が接続される。
【0008】
主装置301及び302のそれぞれは、例えばマイクロプロセッサからなる制御部を備えており、複数の非常電話機201及び複数の非常電話機202のそれぞれを管理制御する機能を備えていると共に、複数の非常電話機201及び複数の非常電話機202のそれぞれに給電する給電回路を備えている。
【0009】
そして、局交換機100に接続されている2線の線路101に接続されている主装置301に接続されている複数の非常電話機201の場合には、当該非常電話機201のいずれかがオフフックされると、それが主装置301で検出され、この主装置301の制御により局交換機100に、非常電話機201によるオフフックによる発呼が伝達される。局交換機100は、この発呼を管理センター(図示は省略)に着信させ、当該管理センターとオフフックされた非常電話機201との間に通話路を生成し、非常電話の通話を可能にする。主装置302に接続されている複数の非常電話機202の場合も同様にして、主装置302の管理制御を介して非常電話の通話がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、従来の非常電話のシステムにおいては、局交換機100から所定の距離の場所に非常電話機を設置する場合には、局交換機100に接続されている2線の線路101,102の端部に主装置301,302を設け、この主装置301,302に、さらに、局交換機100に接続されている2線の線路101,102のそれぞれを延長するように配設される別の2線の線路111,121を接続し、設置しようする複数の非常電話機201,202を、当該別の2線の線路111,121に接続する。そして、主装置301、主装置302の管理制御を介して非常電話の通話がなされるように構成されている。
【0012】
このため、主装置301,302は、管理制御のために、例えばマイクロプロセッサからなる制御部を備える必要があり、構成が複雑になると共に、コスト高となるという問題があった。
【0013】
また、従来の非常電話のシステム構成においては、局交換機100に接続されている2線の線路101,102の端部に主装置301,302が接続され、この主装置301,302に接続される別の2線の線路111,121に複数の非常電話機201、202を、それぞれ主装置301,302が管理制御する構成であり、2線の線路111,121を更に延長する構成は考慮されていなかった。
【0014】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした非常電話用中継装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、この発明は、
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
を備えると共に、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、の一方又は両方を備え、
前記第1の線路長検出回路の検出結果により、受話音声のエコーを低減するために前記第2の線路側のインピーダンスを可変制御し、
前記第2の線路長検出回路の検出結果により、送話音声のエコーを低減するために前記第1の線路側のインピーダンスを可変制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置を提供する。
【0016】
上述の構成の、この発明による非常電話用中継装置においては、第1の線路側に第1の2線-4線変換回路が設けられ、第2の線路側に第2の2線-4線変換回路が設けられるので、第1の2線-4線変換回路と、第2の2線-4線変換回路との間には、非常電話機側からみたとき、2線の送話路と2線の受話路が形成され、送話路には送話音声増幅回路が設けられ、受話路には受話音声増幅回路が設けられている。したがって、第2の線路が、電話局の交換機から遠方に在る場合においても、当該第2の線路に接続されている非常電話機からの送話音声は増幅されて管理センターに送られ、また、管理センターからの受話音声は増幅されて非常電話機に送られ、良好な通話音声を得られる。
【0017】
そして、非常電話用中継装置の給電回路から、第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電がなされるので、第2の線路が、電話局の交換機から遠方に在る場合においても、当該第2の線路に接続されている非常電話機に確実に給電がなされる。
【0018】
また、この請求項1の発明によれば、第1の線路長検出回路で、自装置からオフフックされた非常電話機までの線路長が検出され、その検出結果により、受話音声のエコーを低減するために第2の線路側のインピーダンスが可変制御される。また、第2の線路長検出回路で、電話局の交換機から自装置までの線路長が検出され、その検出結果により、送話音声のエコーを低減するために第1の線路側のインピーダンスが可変制御される。これにより、エコーが低減された通話音声が得られる。
【0019】
また、請求項2の発明は、
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
を備えると共に、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、の一方又は両方を備え、
前記第1の線路長検出回路の検出結果により、前記受話増幅回路の増幅率を制御し、
前記第2の線路長検出回路の検出結果により、前記送話増幅回路の増幅率を制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置を提供する。
【0020】
この請求項2の発明においては、第1の線路長検出回路で、自装置からオフフックされた非常電話機までの線路長が検出され、その検出結果により、受話増幅回路の増幅率が制御される。また、第2の線路長検出回路で、電話局の交換機から自装置までの線路長が検出され、その検出結果により、送話増幅回路の増幅率が制御される。これにより、通話音声の音量低減を軽減することができる。
【0021】
また、請求項3の発明は、
電話局の交換機側の2線式の第1の線路と、前記第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている2線式の第2の線路との間に設けられ、前記電話局の交換機を通じた非常電話の通話を可能とするための非常電話用中継装置であって、
前記第1の線路側に設けられる第1の2線-4線変換回路と、
前記第2の線路側に設けられる第2の2線-4線変換回路と、
前記第1の2線-4線変換回路と、前記第2の2線-4線変換回路との間に設けられ、前記非常電話機からの送話音声信号を増幅する送話増幅回路及び前記非常電話機への受話音声信号を増幅する受話増幅回路と、
前記第2の線路に接続されている1~複数の非常電話機に給電を行う給電回路と、
自装置から前記1~複数の非常電話機の内のオフフックされた非常電話機までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第2の線路の2線間の回線電圧により検出する第1の線路長検出回路と、
前記電話局の交換機から自装置までの線路長を、前記オフフックによるループ形成時の前記第1の線路側の2線間の回線電圧により検出する第2の線路長検出回路と、
を備え、
前記第1の線路長検出回路の検出結果と前記第2の線路長検出回路の検出結果とに基づいて、前記受話増幅回路の増幅率及び前記送話増幅回路の増幅率を制御する
ことを特徴とする非常電話用中継装置を提供する。
【0022】
この請求項3の発明においては、第1の線路長検出回路で、自装置からオフフックされた非常電話機までの線路長が検出され、また、第2の線路長検出回路で、電話局の交換機から自装置までの線路長が検出される。そして、第1の線路長検出回路の検出結果と第2の線路長検出回路の検出結果とに基づいて、すなわち、自装置からオフフックされた非常電話機までの線路長と電話局の交換機から自装置までの線路長とに基づいて、受話増幅回路の増幅率及び送話増幅回路の増幅率が制御される。これにより、通話音声の音量低減を軽減することができる。
【0023】
また、請求項4の発明は、請求項1~請求項3のいずれかに記載の発明の非常電話用中継装置において、
前記第1の2線-4線変換回路と前記第1の線路との間に設けられるループ制御及び極性検出回路と、
前記第2の2線-4線変換回路と前記第2の線路との間に設けられるループ検出及び極性制御回路と、
を備え、
前記ループ制御及び極性検出回路は、前記ループ検出及び極性制御回路からの第1の制御信号を受けて、前記非常電話機のオフフックによるループ閉成を前記第1の線路側に伝達すると共に、前記第1の線路の極性を検出し、その検出結果に応じて前記給電回路による前記非常電話機への給電の極性を制御する第2の制御信号を生成し、
前記ループ検出及び極性制御回路は、前記非常電話機のオフフックによるループ閉成を検出して前記第1の制御信号を生成すると共に、前記第2の制御信号を受けて、前記給電回路による給電の極性を制御する
ことを特徴とする。
【0024】
この請求項4の発明においては、ループ検出及び極性制御回路は、非常電話機のオフフックによるループ閉成を検出し、電話局の交換機に伝達する。電話局の交換機は、管理センターに着信させ、管理センターが応答すると、それに応じて、電話局の交換機側に接続されている第1の線路の極性を反転させる。ループ制御及び極性検出回路は、第1の線路の極性反転を検出すると、それに応じた第2の線路の極性を反転させて、非常電話機と管理センターとの通話を可能にする。
【0025】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、
前記ループ制御及び極性検出回路は、前記第1の2線-4線変換回路に絶縁回路を介することなく直接的に接続され、
前記ループ検出及び極性制御回路及び前記給電回路は、絶縁回路を介して、前記第2の2線-4線変換回路に接続されている
ことを特徴とする。
【0026】
この請求項5の発明によれば、電話局の交換機側に接続されている第1の線路が接続される側との絶縁を不要にした構成としたことにより、絶縁用のトランスなどが不要となり、構成を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、電話局の交換機よりも遠方に設けられる非常電話機は、この発明による非常電話用中継装置を経由して設けることにより、支障なく、管理センターに対する非常電話の通話が可能となる。しかも、この発明による非常電話用中継装置は、電話局の交換機側に接続されている他の非常電話用中継装置に接続されている2線式の線路と、この2線式の線路を延長するように配設する別の2線式の線路との間に、さらに設けることが可能である。したがって、電話局の交換機に接続されている1個の非常用電話の回線を、この発明による非常電話用中継装置を、別の2線の線路を介して順次に接続することで、非常電話用中継装置の設置個数に応じて順次に延長することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】この発明による非常電話用中継装置を用いた非常電話のシステム構成例を示す図である。
【
図2】この発明による非常電話用中継装置の実施形態の構成例を示すブロック図である。
【
図3】この発明による非常電話用中継装置の実施形態の要部の回路構成例を示す図である。
【
図4】この発明による非常電話用中継装置の実施形態の回路構成例を示す図である。
【
図5】この発明による非常電話用中継装置の実施形態の他の回路構成例を示す図である。
【
図6】
図5の回路構成例の一部の回路例を示す図である。
【
図7】
図5の回路構成例の一部の回路例の説明に用いる図である。
【
図8】主装置を用いた従来の非常電話のシステム構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、この発明による非常電話用中継装置の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0031】
[この発明による非常電話用中継装置を用いた非常電話のシステム構成例]
図1は、この発明による非常電話用中継装置を用いた非常電話のシステム構成例を示す図である。この
図1において、前述した
図8のシステム構成図と同様の部分には、同一の参照番号を付与してある。
【0032】
すなわち、
図1のシステム構成例においては、局交換機100に対して非常電話用回線の2線の線路101が接続され、この線路101に、所定間隔で第1のグループの複数の非常電話機201が接続されている。そして、局交換機100に接続されている非常電話用回線の2線の線路101の端部に、この発明による非常電話用中継装置401が接続される。そして、この非常電話用中継装置401に対して、2線の線路101を延長するように別の2線の線路111が接続され、この線路111に、所定間隔で第2のグループの複数の非常電話機202が接続される。
【0033】
さらに、
図1のシステム構成例においては、第2のグループの複数の非常電話機202が接続されている線路111の端部には、別の、この発明による非常電話用中継装置402が接続される。そして、この非常電話用中継装置402に対して、2線の線路111を延長するように、さらに別の2線の線路112が接続され、この線路112に、所定間隔で他のグループの複数の非常電話機205が接続される。
【0034】
図1のシステム構成例においては、局交換機100から線路101の長さ分の距離D1だけ離れた位置に非常電話用中継装置401が配設され、局交換機100から線路101の長さ分と、線路111の長さ分との和の長さ分の距離D2だけ離れた位置に非常電話用中継装置402が配設される。すなわち、この発明による非常電話用中継装置を用いた非常電話のシステムにおいては、一つの非常電話用の電話回線に、この発明による非常電話用中継装置を介して別の2線の線路を接続し、さらに、その別の線路に対して、非常電話用中継装置を介して別の2線の線路を接続するように構成することができる。
【0035】
なお、非常電話用中継装置402に接続されている2線の線路112に、別の非常電話用中継装置を接続し、当該別の非常電話用中継装置に2線の線路を接続し、その2線の線路に、複数台の非常電話機を所定間隔で接続するようにして、さらに延長することができるものである。
【0036】
図1では、詳細な図示は省略したが、局交換機100に、非常電話用回線の2線の線路101とは別回線の非常電話用回線の2線の線路102が接続される場合には、線路101と同様に非常電話用中継装置を用いて順次に線路を延長することができるように構成されている。
【0037】
[この発明による非常電話用中継装置の実施形態]
以下に、この発明による非常電話用中継装置の実施形態を図を参照しながら説明する。この実施形態の非常電話用中継装置は、当該非常電話用中継装置に対して、局交換機100側に接続される2線式の第1の線路と、この第1の線路を延長するように設けられ、1~複数の非常電話機が接続されている局交換機100側とは反対側に接続される2線式の第2の線路とが異なるだけで、その内部構成は全く同一とされる。
【0038】
すなわち、
図1のシステム構成例における非常電話用中継装置401では、第1の線路は線路101であり、第2の線路は線路111であって、第2の線路111に接続される複数の非常電話機202による局交換機100を通じた非常電話の通話を可能とするものである。また、非常電話用中継装置402では、第1の線路は、線路111であり、第2の線路は線路112であって、第2の線路112に接続される複数の非常電話機205による局交換機100を通じた非常電話の通話を可能とするものである。したがって、非常電話用中継装置401と非常電話用中継装置402とでは、構成は同一である。
【0039】
この実施形態の非常電話用中継装置は、第2の線路に接続される複数の非常電話機のそれぞれについての交換管理制御をすることなく、当該複数の非常電話機の内の任意の非常電話機によるオフフック操作に応じて、局交換機を通じた非常電話の通話を可能とする構成を備える。なお、以下の説明においては、非常電話用中継装置401の場合を例にとって、この発明による非常電話用中継装置の実施形態の説明を行う。
【0040】
図2は、この発明による非常電話用中継装置の実施形態の構成例を、非常電話用中継装置401の場合を例にとって示したブロック図である。
【0041】
図2に示すように、この実施形態の非常電話用中継装置401においては、局交換機100側の2線式の第1の線路、この例では線路101に、ループ制御/極性検出回路10が接続され、また、局交換機100側とは反対側の2線式の第2の線路、この例では線路111に、ループ検出/極性制御回路20が接続される。
【0042】
そして、ループ制御/極性検出回路10は、第1の2線-4線変換回路を構成する2線-4線変換回路30に接続され、ループ検出/極性制御回路20は、第2の2線-4線変換回路を構成する2線-4線変換回路40に接続される。
【0043】
2線-4線変換回路30は、ループ制御/極性検出回路10側の2線を、2線の送話路及び2線の受話路からなる4線に変換する。また、2線-4線変換回路40は、ループ検出/極性制御回路20側の2線を、2線の送話路及び2線の受話路からなる4線に変換する。なお、この明細書の説明において、送話及び受話は、非常電話用中継装置401に接続される第2の線路に接続される非常電話機202側からみたときの概念としている。
【0044】
そして、
図2に示すように、2線-4線変換回路30と2線-4線変換回路40との間の4線の内の2線の送話路中には、送話音声増幅回路50が設けられ、2線の受話路中には、受話音声増幅回路60が設けられる。
【0045】
この実施形態の非常電話用中継装置401には、内部回路の電源電圧を生成するために、商用交流電源電圧を直流電圧に変換するAC/DC変換回路70が設けられている。このAC/DC変換回路70には、ACコンセントに差し込まれるACプラグ71が接続されている。このAC/DC変換回路70は、図示は省略するが、トランスを備え、商用交流電圧はトランスの一次巻線に接続され、2次巻線には整流回路が設けられて、その整流回路により、この実施形態の非常電話用中継装置401の直流電源電圧が生成される。
【0046】
このAC/DC変換回路70からの直流電源電圧は、給電回路80に供給されると共に、非常電話用中継装置401の各部に供給される。給電回路80は、ループ検出/極性制御回路20に接続される2線の線路111に接続されている非常電話機202に対して、2線の線路111を通じて給電を行うものである。
【0047】
以上のように構成される、この実施形態の非常電話用中継装置401における非常電話の動作について説明する。
【0048】
第2の線路としての2線の線路111に接続されている複数の非常電話機202のいずれかで、オフフック操作がなされて、2線の線路111について閉ループが形成されると、非常電話用中継装置401では、ループ検出/極性制御回路20で、当該閉ループの形成が検出され、その検出結果が、ループ制御/極性検出回路10に送られる。ループ制御/極性検出回路10は、このループ検出/極性制御回路20からの閉ループ形成の検出結果に基づいて2線の線路101間の閉ループを形成して局交換機100に伝達する。
【0049】
局交換機100は、この閉ループの形成によりいずれかの非常電話機のオフフックを検出して、管理センター(図示は省略)に非常電話機による発呼を着信させる。そして、管理センターが応答すると、局交換機100は、2線の線路101の極性を反転させる。
【0050】
非常電話用中継装置401のループ制御/極性検出回路10は、この2線の線路101の極性反転を検出し、その検出結果がループ検出/極性制御回路20に送られる。ループ検出/極性制御回路20は、このループ制御/極性検出回路20からの極性反転の検出結果に基づいて2線の線路111の極性を反転させる。
【0051】
以上の動作により、オフフックした非常電話機202と、管理センターとの間に、非常電話用中継装置401を介した通話路が生成されて、非常電話の通話がなされる。このとき、非常電話機202からの送話音声は、非常電話用中継装置401の送話音声増幅回路50により増幅されて管理センターに送られ、管理センターからの受話音声は、非常電話用中継装置401の受話音声増幅回路60により増幅されて非常電話機202に送られるので、非常電話機202が局交換機100から遠方であっても、良好な通話音声の大きさで通話がなされる。
【0052】
そして、終話のため非常電話機202でオンフックがされて、2線の線路111のループが開放されると、非常電話用中継装置401のループ検出/極性制御回路20で、当該ループ開放が検出され、その検出結果がループ制御/極性検出回路10に送られる。ループ制御/極性検出回路10は、ループ開放を局交換機100に伝達する。これにより、終話が完了する。
【0053】
なお、非常電話用中継装置402の2線の線路112に接続されている複数の非常電話機205の内のいずれかでオフフック操作がなされて、2線の線路112について閉ループが形成されると、上述と同様にして、非常電話用中継装置402のループ検出/極性制御回路20で当該閉ループの形成が検出され、その検出結果が、ループ制御/極性検出回路10に送られ、このループ制御/極性検出回路10で2線の線路111間の閉ループが形成されて、非常電話用中継装置401に伝達する。
【0054】
非常電話用中継装置401では、上述した非常電話機202のいずれかでオフフックされた場合と同様にしてループ検出/極性制御回路20で当該閉ループの形成が検出され、その検出結果が、ループ制御/極性検出回路10に送られ、このループ制御/極性検出回路10で、2線の線路101間の閉ループを形成して局交換機100に伝達する。
【0055】
すると、局交換機100は、上述した非常電話機202がオフフックされた場合と同様にして、この閉ループの形成によりいずれかの非常電話機のオフフックを検出して、管理センターに非常電話機による発呼を着信させ、管理センターが応答すると、局交換機100は、2線の線路101の極性を反転させる。
【0056】
非常電話用中継装置401のループ制御/極性検出回路10は、この2線の線路101の極性反転を検出し、その検出結果をループ検出/極性制御回路20に送る。非常電話用中継装置401のループ検出/極性制御回路20は、このループ制御/極性検出回路20からの極性反転の検出結果に基づいて2線の線路111の極性を反転させる。
【0057】
そして、非常電話用中継装置402のループ制御/極性検出回路10は、この2線の線路111の極性反転を検出し、その検出結果をループ検出/極性制御回路20に送るので、非常電話用中継装置402のループ検出/極性制御回路20は、2線の線路112の極性を反転させる。
【0058】
以上の動作により、オフフックした非常電話機205と、管理センターとの間に、非常電話用中継装置401及び非常電話用中継装置402を介した通話路が生成されて、非常電話の通話がなされる。このとき、非常電話機205からの送話音声は、非常電話用中継装置402の送話音声増幅回路50及び非常電話用中継装置401の送話音声増幅回路50により増幅されて管理センターに送られる。また、管理センターからの受話音声は、非常電話用中継装置401の受話音声増幅回路60及び非常電話用中継装置402の受話音声増幅回路60により増幅されて非常電話機205に送られるので、非常電話機205が局交換機100から遠方であっても、良好な通話音声の大きさで通話がなされる。
【0059】
そして、終話のため非常電話機205でオンフックがされて、2線の線路112のループが開放されると、上述した非常電話機205でのオフフックの場合と同様にして、非常電話用中継装置402と非常電話用中継装置401とが、上述の非常電話機でのオンフック操作時の動作を行うことで、終話の動作がなされる。
【0060】
[非常電話用中継装置の具体的回路構成例]
[第1の例]
非常電話用中継装置は、局交換機100に対して直流電圧について影響を与えないように、絶縁をする必要がある。このため、
図2において、点線で囲む部分は、局交換機100に対して、直流的に絶縁されるように構成される。
【0061】
図3は、非常電話用中継装置401において、点線で囲む部分の絶縁を考慮した場合における具体的回路構成例である。この例では、ループ制御/極性検出回路10と2線-4線変換回路との間及びループ検出/極性制御回路20と2線-4線変換回路40との間は、トランスを用いることで絶縁がなされている。
【0062】
すなわち、
図3に示すように、2線-4線変換回路30は、トランス31を備えており、このトランス31の一方の巻線31aの一端及び他端は、ループ制御/極性検出回路10を通じて2線の線路101の一方及び他方に接続されている。また、トランス31の他方の巻線31bの一端は、抵抗32を介して接地され、他端は、インピーダンス整合用回路34と抵抗33との直列回路を介して接地されている。なお、インピーダンス整合用回路と抵抗との並列回路を介して接地するようにしてもよい。
【0063】
インピーダンス整合用回路34は、ここでは図示を省略するが、例えばコンデンサと抵抗の直列回路で構成され、受話音声についてのエコー低減用である。なお、インピーダンス整合用回路34は、コンデンサと抵抗の並列回路で構成することもできる。
【0064】
そして、巻線31bの一端と抵抗32との接続点と、抵抗33とインピーダンス整合用回路34との接続点とは受話音声増幅回路60の入力端に接続される。また、トランス31の巻線31bの他端とインピーダンス整合用回路34との接続点には、送話音声増幅回路50の出力端が接続される。
【0065】
また、2線-4線変換回路40は、トランス41を備えており、このトランス41の一方の巻線41aの一端及び他端は、ループ検出/極性制御回路20を通じて2線の線路111の一方及び他方に接続されている。また、トランス41の他方の巻線41bの一端は、抵抗42を介して接地され、他端は、インピーダンス整合用回路44と抵抗43との直列回路を介して接地されている。なお、インピーダンス整合用回路と抵抗との並列回路を介して接地するようにしてもよい。
【0066】
インピーダンス整合用回路44は、ここでは図示を省略するが、例えばコンデンサと抵抗の直列回路で構成され、送話音声についてのエコー低減用である。なお、インピーダンス整合用回路44も、コンデンサと抵抗の並列回路で構成することもできる。
【0067】
そして、トランス41の巻線41bの一端と抵抗42との接続点と、抵抗43とインピーダンス整合用回路44との接続点とは送話音声増幅回路50の入力端に接続される。また、トランス41の巻線41bの他端とインピーダンス整合用回路44との接続点には、受話音声増幅回路50の出力端が接続される。
【0068】
そして、
図3に示すように、この例においては、ループ検出/極性制御回路20を通じて2線の線路111の一方に接続されるトランス41の巻線41aの一端は、アノードが接地されているダイオード82のカソードに接続され、また、2線の線路111の他方に接続されるトランス41の巻線41aの他端は、ダイオード81のアノードに接続される。ダイオード81のカソードは給電回路80に接続されている。
【0069】
以上のようにして、この第1の例の非常電話用中継装置401では、局交換機100側の第1の2線の線路101側と、複数の非常電話機202側との両方にトランス31,41を設けることで、絶縁を実現するようにしている。なお、AC/DC変換回路70は、上述したように、内部にトランスを備え、そのトランスにより、絶縁を実現しているものである。
【0070】
[第2の例]
この第2の例は、ループ制御/極性検出回路10とループ検出/極性制御回路20との回路を工夫することで、局交換機100側の第1の2線の線路側のトランス31を省略して、非常電話用中継装置の構成を簡略化することができるようにした例である。
【0071】
図4は、非常電話用中継装置401の場合の第2の例の具体的回路構成例である。この
図4において、
図3に示したものと同様の部分には、同一参照符号を付して示し、その説明は省略する。
【0072】
図4に示すように、この例においては、ループ制御/極性検出回路10は、フォトカプラー11と、スイッチ回路12とからなる。フォトカプラー11は、発光ダイオード11Dと、フォトトランジスタ11Tとからなる。そして、フォトカプラー11の発光ダイオード11Dのカソードが、局交換機100側の2線の線路101の一方の線101aに接続され、アノードが、スイッチ回路12を介して、この例の非常電話用中継装置401の2線-4線変換回路30Aに接続される。
【0073】
この例の非常電話用中継装置401の2線-4線変換回路30Aは、トランス31は備えず、フォトカプラー11の発光ダイオード11Dのアノードは、抵抗32と受話音声増幅回路60の一方の入力端との接続点に、直接、接続される。
【0074】
そして、フォトカプラー11のフォトトランジスタ11Tのエミッタは接地され、コレクタは、後述するループ検出/極性制御回路20の切替スイッチ回路22及び23の制御端に接続される。フォトトランジスタ11Tは、発光ダイオード11Dの発光に応じてオンとなり、非発光のときにはオフとなる。このフォトトランジスタ11Tのオン、オフにより、切替スイッチ回路22及び23が切替制御される。
【0075】
そして、この例においては、局交換機100側の2線の線路101の他方の線101bは、インピーダンス整合用回路34と送話音声増幅回路50との接続点に、直接、接続される。
【0076】
また、ループ検出/極性制御回路20は、この例では、フォトカプラー21と、2個の切替スイッチ回路22及び23とで構成される。フォトカプラー21は、互いに逆向きの状態で並列に接続された2個の発光ダイオード21D1及び21D2と、フォトトランジスタ21Tとからなる。
【0077】
フォトカプラー21の2個の発光ダイオード21D1及び21D2は、2線-4線変換回路40のトランス41の巻線41aの一端と、2線の線路111の一方の線111aとの間に接続される。そして、この例においては、2線の線路111の他方の線111bは、2線-4線変換回路40のトランス41の巻線41aの他端に接続される。
【0078】
そして、フォトカプラー21のフォトトランジスタ21Tのエミッタは接地され、コレクタは、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12の制御端に接続される。フォトトランジスタ21Tは、2個の発光ダイオード21D1及び21D2のいずれかの発光に応じてオンとなり、2個の発光ダイオード21D1及び21D2が非発光のときにはオフとなる。このフォトトランジスタ21Tのオン、オフにより、スイッチ回路12がオン、オフ制御される。
【0079】
そして、この例では、局交換機100側での2線の線路101の極性反転を伝達するために、給電回路80と2線の線路111との間に、給電回路80からの2線の線路111に供給する給電電圧の極性を反転させるために、切替スイッチ回路22及び23が設けられている。
【0080】
すなわち、切替スイッチ回路22は、ダイオード81と2線の線路111との間に設けられる。そして、切替スイッチ回路22の可動端子cが、ダイオード81のアノードに接続され、切替スイッチ回路22の一方の固定端子aが2線の線路111の一方の線111aに接続され、他方の固定端子bが2線の線路111の他方の線111bに接続される。
【0081】
また、切替スイッチ回路23は、ダイオード82と2線の線路111との間に設けられる。そして、切替スイッチ回路23の可動端子cが、ダイオード82のカソードに接続され、切替スイッチ回路23の一方の固定端子aが2線の線路111の一方の線111aに接続され、他方の固定端子bが2線の線路111の他方の線111bに接続される。
【0082】
そして、これらの切替スイッチ回路22及び23は、ループ制御/極性検出回路10のフォトカプラー11のフォトトランジスタ11Tのオン、オフにより、互いに連動して、切替スイッチ回路22及び23の一方が固定端子aに接続される状態のときには、他方は固定端子bに接続され、また、一方が固定端子bに接続される状態のときには、他方は固定端子aに接続されるように切替制御される。
【0083】
この非常電話用中継装置401のループ制御/極性検出回路10及びループ検出/極性制御回路20の動作について、以下に説明する。なお、いずれかの非常電話機でオフフックがなされる前には、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12はオフの状態であり、ループ検出/極性制御回路20の切替スイッチ回路22は固定端子bに、切替スイッチ回路23は固定端子aに、それぞれ接続されている状態となる。
【0084】
第2の線路としての2線の線路111に接続されている複数の非常電話機202のいずれかでオフフック操作がなされて、2線の線路111について閉ループが形成されると、非常電話用中継装置401では、ループ検出/極性制御回路20のフォトカプラー21の発光ダイオード21D2が発光するので、フォトトランジスタ21Tがオンとなり、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12がオンとなる。このスイッチ回路12がオンになることより、2線の線路101を通じて局交換機100に、閉ループの形成が伝達される。
【0085】
前述したように、局交換機100は、この閉ループの形成の検出に基づいて、管理センター(図示は省略)に非常電話機による発呼を着信させる。そして、管理センターが応答すると、局交換機100は、2線の線路101の極性を反転させる。
【0086】
すると、非常電話用中継装置401のループ制御/極性検出回路10のフォトカプラー11の発光ダイオード11Dが発光するので、フォトトランジスタ11Tがオンとなり、ループ検出/極性制御回路20の切替スイッチ回路22及び23の切替状態を切り替える。これにより、給電回路80による給電電圧の2線の線路111の極性が反転させられ、オフフックした非常電話機202と、管理センターとの間に、非常電話用中継装置401を介した通話路が生成されて、非常電話の通話がなされる。
【0087】
なお、このとき、給電回路80からの給電電圧の、2線の線路111の極性が反転されたときには、フォトカプラー21の発光ダイオード21D2に代わって、発光ダイオード21D1が発光するので、フォトトランジスタ21Tのオン状態は維持され、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12はオン状態を維持する。
【0088】
そして、終話のため非常電話機202でオンフックがされて、2線の線路111のループが開放されると、非常電話用中継装置401のループ検出/極性制御回路20のフォトカプラー21の発光ダイオード21D1及び21D2が共に非発光の状態となるので、フォトトランジスタ21Tがオフとなり、このため、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12はオフとなり、ループ開放が局交換機100に伝達される。これにより、終話が完了する。
【0089】
そして、非常電話用中継装置401のループ制御/極性検出回路10のフォトカプラー11の発光ダイオード11Dが非発光の状態となるので、フォトトランジスタ11Tがオフとなり、これにより、ループ検出/極性制御回路20の切替スイッチ回路22及び23の切替状態は初期状態に戻され、給電回路80からの給電電圧の、2線の線路111の極性が元に戻される。
【0090】
以上のように、この第2の例の構成においては、局交換機100側に直流電圧について変動を与えることはないので、第1の例において、非常電話用中継装置401の局交換機100側の2線の線路に対して設けたトランス31を省略することができて、構成を簡略化することができる。
【0091】
[第3の例]
上述の例の非常電話用中継装置では、送話音声増幅回路50及び受話音声増幅回路60は、増幅率は固定とした。また、インピーダンス整合用回路34及び44も、固定値とした。
【0092】
しかしながら、非常電話用中継装置の局交換機100側とは反対側の接続される第2の線路の長さは長く、当該第2の線路に接続される多数の非常電話機のそれぞれと非常電話用中継装置との間の距離は、かなり異なるものとなる。
図1の例においては、非常電話用中継装置401の第2の線路111に接続される非常電話機202のそれぞれと、非常電話用中継装置401との間の2線の線路の長さは、例えば、D11=500メートル,D12=1500メートル,・・・D13=4500メートルとなっている。
【0093】
また、非常電話用中継装置は、局交換機100に接続される1個の非常電話用回線に対して、
図1に示したように、複数台が順次に延長するように接続することができる。このため、局交換機100から非常電話用中継装置までの2線の線路の長さは、例えば、D1=5000メートル、D2=10000メートル・・・と、異なるものとなる。
【0094】
したがって、送話音声増幅回路50及び受話音声増幅回路60の増幅率を固定としたときには、非常電話機から管理センターに送られる送話音声が、非常電話機毎に異なったり、また、非常電話機のそれぞれにおいて異なる受話音量となってしまったりする恐れがある。また、非常電話機によって、送話音声や受話音声についてのエコーの低減が適切でなくってしまう恐れがある。
【0095】
第3の例は、以上の問題を解決した例である。
図5は、非常電話用中継装置401の場合の第3の例を示す具体的回路構成例である。この
図5において、
図4に示したものと同様の部分には、同一参照符号を付して示し、その説明は省略する。
【0096】
図5に示すように、この第3の例の非常電話用中継装置401の2線-4線変換回路30Bは、電圧検出回路35を備えると共に、インピーダンスを可変とする可変インピーダンス整合用回路34Bを備える。また、この第3の例の非常電話用中継装置401の2線-4線変換回路40Bは、電圧検出回路45を備えると共に、インピーダンスを可変とする可変インピーダンス整合用回路44Bを備える。
【0097】
この例では、可変インピーダンス整合用回路34B及び44Bは、それぞれ例えば抵抗とコンデンサとの直列回路からなる複数通りのインピーダンス回路を切り替える回路で構成される。なお、可変インピーダンス整合用回路34B及び44Bのインピーダンス回路は、抵抗とコンデンサとの並列回路で構成してもよい。可変インピーダンス整合用回路34B及び44Bは、同様の構成を有するので、ここでは、可変インピーダンス整合用回路44Bの場合の例を
図6に示し、可変インピーダンス整合用回路34Bの構成例は説明を省略する。
【0098】
すなわち、この例の可変インピーダンス整合用回路44Bは、切替スイッチ回路440と、4個のインピーダンス回路とからなる。4個のインピーダンス回路は、この例では、抵抗441とコンデンサ442との直列回路、抵抗443とコンデンサ444との直列回路、抵抗445とコンデンサ446との直列回路、抵抗447とコンデンサ448との直列回路、の4個の直列回路からなる。切替スイッチ回路440は、この4個の直列回路のいずれかを選択するように切り替えられる。
【0099】
そして、この第3の例では、送話音声増幅回路50B及び受話音声増幅回路60Bは、増幅率が外部からの制御信号により変更制御される構成の増幅率可変増幅回路で構成されている。
【0100】
2線-4線変換回路30Bの電圧検出回路35は、抵抗32と、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12との接続点と、2線の線路101の他方の線101bとの間に接続されており、ループ制御/極性検出回路10のスイッチ回路12がオンとされたときの第1の線路側、
図5の例では、2線の線路101側の線間電圧E1を検出する。第1の線路側の線間電圧E1は、局交換機100から非常電話用中継装置までの2線の線路の長さに応じたものとなる。
【0101】
また、2線-4線変換回路40Bの電圧検出回路45は、抵抗42とトランス41の巻線41bの一端との接続点と、可変インピーダンス回路44Bとトランス41の巻線41bの他端との接続点との間に接続されており、非常電話機202でオフフックされたときの第2の線路側、
図5の例では、2線の線路111側の線間電圧E2を検出する。第2の線路側の線間電圧E2は、非常電話用中継装置401から非常電話機202までの2線の線路の長さに応じたものとなる。
【0102】
そして、電圧検出回路35は、検出した線間電圧E1に応じた制御信号CTL1を生成し、当該制御信号CTL1により、送話音声増幅回路50Bの増幅率を、非常電話用中継装置の局交換機100側の線路長が長いほど大きくするように制御すると共に、受話音声のエコー低減用の可変インピーダンス整合用回路34Bの切替スイッチ回路を、非常電話用中継装置の局交換機100側の線路長に応じた適切なものとなるように切り替え制御する。
【0103】
また、電圧検出回路45は、検出した線間電圧E2に応じた制御信号CTL2を生成し、当該制御信号CTL2により、受話音声増幅回路60Bの増幅率を、非常電話用中継装置からオフフックされた非常電話機までの第2の線路側の線路長が長いほど、大きくするように制御すると共に、送話音声のエコー低減用の可変インピーダンス整合用回路44Bの切替スイッチ回路を、非常電話用中継装置からオフフックされた非常電話機までの第2の線路側の線路長に応じた適切なものとなるように切り替え制御する。
【0104】
図7は、可変インピーダンス整合用回路44Bの場合の4個のインピーダンス回路と、電圧検出回路45で検出された線間電圧E2と、非常電話用中継装置からオフフックされた非常電話機までの第2の線路側の線路長(距離)との関係の一例を示す図である。
図7において、パターン1,2,3,4は、インピーダンス整合用回路44Bの切替スイッチ回路440の端子1,2,3,4に、それぞれ対応する。線間電圧Ea,Eb,Ec,Ed,Eeの大きさは、Ea>Eb>Ec>Ed>Eeとなっている。そして、R1、R2、R3、R4は、それぞれ抵抗441,443,445,447の値であり、C1,C2,C3,C4は、それぞれコンデンサ442,444,446,448の静電容量である。
【0105】
例えば、
図1において、非常電話用中継装置401からD11=500メートル、離れた位置の非常電話機202でオフフックされた場合には、電圧検出回路45で検出された線間電圧E2は、Ea<E2≦Ebとなるので、電圧検出回路45からの制御信号CTL2により、切替スイッチ回路440は、
図7のパターン1に対応する端子1に接続される。また、非常電話用中継装置401からD12=1500メートル、離れた位置の非常電話機202でオフフックされた場合には、電圧検出回路45で検出された線間電圧E2は、Eb<E2≦Ecとなるので、電圧検出回路45からの制御信号CTL2により、切替スイッチ回路440は、
図7のパターン2に対応する端子2に接続される。さらに、非常電話用中継装置401からD3=3500メートル、離れた位置の非常電話機202でオフフックされた場合には、電圧検出回路45で検出された線間電圧E2は、Ed<E2≦Eeとなるので、電圧検出回路45からの制御信号CTL2により、切替スイッチ回路440は、
図7のパターン4に対応する端子4に接続される。
【0106】
同様にして、電圧検出回路35で検出された線間電圧E1と、局交換機100から非常電話用中継装置からオフフックされた非常電話機がまでの第1の線路側の線路長(距離)との関係に基づいて、電圧検出回路35からの制御信号CTL1により可変インピーダンス整合用回路34Bが制御される。
【0107】
以上説明したように、第3の例の非常電話用中継装置によれば、オフフックされた非常電話機の、局交換機100からの距離及び非常電話用中継装置からの距離に応じて、送話音声及び受話音声の増幅率が制御されると共に、送話音声及び受話音声についての整合用インピーダンスが切替制御されるので、2線の線路を延長したとしても、非常電話における通話音声の品質の低下を防止することができる。
【0108】
[他の実施形態又は変形例]
なお、上述の実施形態の第3の例の非常電話用中継装置では、送話音声及び受話音声の両方について、増幅率の制御及びエコー低減のためのインピーダンス制御を行うようにしたが、送話音声及び受話音声のいずれか一方についてのみ増幅率の制御及びエコー低減のためのインピーダンス制御を行うようにしてもよい。
【0109】
なお、上述の実施形態の第3の例の非常電話用中継装置では、送話音声の増幅率は、電圧検出回路35で検出される非常電話用中継装置と局交換機100との間の距離に応じた電圧に基づいて制御し、受話音声の増幅率は、電圧検出回路45で検出される非常電話用中継装置とオフフックされた非常電話機との間の距離に応じた電圧に基づいて制御するようにした。しかし、送話音声の増幅率及び受話音声の増幅率は、非常電話用中継装置と局交換機100との間の距離と、非常電話用中継装置とオフフックされた非常電話機との間の距離との合計の距離に応じて、制御した方が望ましく、その場合には、電圧検出回路35の検出電圧と電圧検出回路45の検出電圧とから生成した制御信号により、送話音声増幅回路50B及び受話音声増幅回路60Bの増幅率を制御するようにする。
【0110】
また、可変インピーダンス整合用回路34B及び44Bは、上述の例では、4通りのインピーダンス回路を切り替えるように構成したが、4通りに限られるものではなく、より細かく、多数のインピーダンス回路を切り替えるように構成してもよい。また、可変インピーダンス整合用回路34B及び44Bは、連続的にインピーダンスを可変制御可能なものを用いても勿論良い。
【符号の説明】
【0111】
10…ループ制御/極性検出回路、20…ループ検出/極性制御回路、100…局交換機、30.30A,30B…2線-4線変換回路、40,40B…2線-4線変換回路、50…送話音声増幅回路,50B…増幅率可変の送話音声増幅回路、60…受話音声増幅回路,60B…増幅率可変の受話音声増幅回路、70…AC/DC変換回路、80…給電回路、101,102,111,112…2線の線路