(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ポリエステル樹脂、化粧品容器用樹脂組成物、成形体、化粧品容器及びポリエステル樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08G 63/672 20060101AFI20240710BHJP
C08G 63/78 20060101ALI20240710BHJP
C08L 67/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C08G63/672
C08G63/78
C08L67/02
(21)【出願番号】P 2020102458
(22)【出願日】2020-06-12
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】P 2019119832
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004466
【氏名又は名称】三菱瓦斯化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】安達 恒貴
(72)【発明者】
【氏名】永井 雅之
(72)【発明者】
【氏名】森下 隆実
【審査官】岡部 佐知子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/009914(WO,A1)
【文献】特開2012-162586(JP,A)
【文献】特開2014-231192(JP,A)
【文献】特開2006-225621(JP,A)
【文献】特開2008-291277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C08L
C08K
C08J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオール構成単位とジカルボン酸構成単位とを含むポリエステル樹脂であって、
全ジオール構成単位中の1モル%以上8モル%未満が、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)であり、
前記ジオール構成単位(α)が、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンに由来するジオール構成単位であり、
前記ジオール構成単位が、エチレングリコールに由来する単位(γ)を更に含み、
全ジカルボン酸構成単位中の10モル%以上40モル%以下が、イソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)であ
り、
全ジカルボン酸構成単位中の60モル%以上90モル%以下が、テレフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(δ)である、ポリエステル樹脂。
【請求項2】
ガラス転移温度が70℃以上110℃以下である、請求項
1に記載のポリエステル樹脂。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のポリエステル樹脂を含む、化粧品容器用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1
又は2に記載のポリエステル樹脂を含む、成形体。
【請求項5】
請求項1
又は2に記載のポリエステル樹脂を含む、化粧品容器。
【請求項6】
請求項1
又は2に記載のポリエステル樹脂を製造するための方法であって、
環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と、イソフタル酸に由来する骨格を有するエステル化合物(B)と、を混合して反応させる工程を含み、
以下の(1)及び(2)の条件を満たす、ポリエステル樹脂の製造方法:
(1)前記エステル化合物(A)は、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1~1.5dl/gである;
(2)前記エステル化合物(B)は、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
【請求項7】
前記エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の2~80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)である、請求項
6に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記エステル化合物(B)に含まれる全ジカルボン酸構成単位中の1~50モル%がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)である、請求項
6又は
7に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル樹脂、化粧品容器用樹脂組成物、成形体、化粧品容器及びポリエステル樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)等の飽和結晶性ポリエステル樹脂は、機械強度、耐熱性、透明性、リサイクル性及びガスバリアー性に優れていることから、それを成形して得られるボトルは清涼飲料、炭酸飲料、調味料、洗剤、化粧品などの容器の素材として広く採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1においては、ジオール構成単位とジカルボン酸構成単位とを有するポリエステル樹脂であって、前記ジオール構成単位の10~60モル%が環状アセタール骨格を有するジオール単位であり、前記ジカルボン酸構成単位の50~100モル%が2,6-ナフタレンジカルボン酸単位であるポリエステル樹脂を、前述のような用途に適用することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、化粧品の容器としてポリエステル樹脂を用いる場合、当該ポリエステル樹脂にはとりわけ透明性、耐熱性及び良好な色調であることが求められる。これらの性能は、ポリエステル樹脂の組成に応じて変化するものであるが、本発明者らが検討したところ、ポリエステル樹脂を構成するジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の含有量が所定の範囲を超えると熱による黄変が生じやすいことが判明している。さらに、本発明者らが検討したところ、色調を良好にするべく使用され得るイソフタル酸についても、その含有量によっては透明性、耐熱性及び色調のバランスに大きく影響を与えることが判明している。特許文献1においては、上記観点からポリエステル樹脂の組成を調整するという技術思想はなく、したがって同文献に記載のポリエステル樹脂には透明性、耐熱性及び色調のバランスの観点から依然として改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記の従来技術が有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れるポリエステル樹脂を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリエステル樹脂を構成するジオール単位中の環状アセタール骨格を有するジオール単位の含有量と、ジカルボン酸単位中のイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位の含有量とを各々所定の範囲に調整することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含する。
[1]
ジオール構成単位とジカルボン酸構成単位とを含むポリエステル樹脂であって、
全ジオール構成単位中の1モル%以上8モル%未満が、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)であり、
全ジカルボン酸構成単位中の10モル%以上40モル%以下が、イソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)である、ポリエステル樹脂。
[2]
前記ジオール構成単位(α)が、下記式(a)又は(b)で表される化合物に由来するジオール構成単位である、[1]に記載のポリエステル樹脂。
【化1】
(式(a)中、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素数が1~10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~10の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数が6~10の2価の芳香族炭化水素基を表す。)
【化2】
(式(b)中、R
1は前記と同義であり、R
3は、炭素数が1~10の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~10の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数が6~10の1価の芳香族炭化水素基を表す。)
[3]
前記ジオール構成単位(α)が、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサンに由来するジオール構成単位である、[1]又は[2]に記載のポリエステル樹脂。
[4]
前記ジオール構成単位が、エチレングリコールに由来する単位(γ)を更に含む、[1]~[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[5]
前記ジカルボン酸構成単位が、テレフタル酸に由来する単位(δ)を更に含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[6]
ガラス転移温度が70℃以上110℃以下である、[1]~[5]のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
[7]
[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む、化粧品容器用樹脂組成物。
[8]
[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む、成形体。
[9]
[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含む、化粧品容器。
[10]
[1]~[6]のいずれかに記載のポリエステル樹脂を製造するための方法であって、
環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と、イソフタル酸に由来する骨格を有するエステル化合物(B)と、を混合して反応させる工程を含み、
以下の(1)及び(2)の条件を満たす、ポリエステル樹脂の製造方法:
(1)前記エステル化合物(A)は、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1~1.5dl/gである;
(2)前記エステル化合物(B)は、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
[11]
前記エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の2~80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)である、[10]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
[12]
前記エステル化合物(B)に含まれる全ジカルボン酸構成単位中の1~50モル%がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)である、[10]又は[11]に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポリエステル樹脂は、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
【0011】
<ポリエステル樹脂>
本実施形態のポリエステル樹脂は、ジオール構成単位とジカルボン酸構成単位とを含むポリエステル樹脂であって、全ジオール構成単位中の1モル%以上8モル%未満が、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)であり、全ジカルボン酸構成単位中の10モル%以上40モル%以下が、イソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)である。本実施形態のポリエステル樹脂は、上記のように構成されているため、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れる。したがって、本実施形態のポリエステル樹脂は、化粧品容器等、これらの性能が要求される用途に好適に用いることができる。特に、化粧品容器用途にポリエステル樹脂を適用する場合、色調を考慮してイソフタル酸を共重合成分として用いることが考えられるが、化粧品容器はヒケやボイドを避けるために貼り合わせ(インサート成形)によって製造されることも多く、イソフタル酸を共重合成分として含む従来のポリエステル樹脂では、貼り合わせの界面において白化が生じるという問題がある。一方、結晶性を下げるべくイソフタル酸の使用量を上げると十分な耐熱性の確保が難しくなる。本実施形態のポリエステル樹脂は、ジオール構成単位(α)及びジカルボン酸構成単位(β)の含有量を各々適切な範囲とすることにより、インサート成形に供した場合でも界面の白化を防止できるだけでなく、十分な耐熱性を確保することができる。したがって、本実施形態のポリエステル樹脂は、とりわけ化粧品容器に好適に用いることができる。
【0012】
(ジオール構成単位)
本実施形態のポリエステル樹脂は、ジオール構成単位として、全ジオール構成単位中1モル%以上8モル%未満の環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)を含む。ジオール構成単位(α)の含有量が1モル%未満であると、十分な耐熱性が得られない。また、ジオール構成単位(α)の含有量が8モル%以上であると、変色しやすくなる等、色調に不具合が生じやすくなる。一方、本実施形態においては、ジオール構成単位(α)の含有量を1モル%以上としているため、耐熱性が良好となる。また、ジオール構成単位(α)の含有量を8モル%未満としているため、耐熱性のみならず色調も良好となり、とりわけ、高温下にさらされた場合であっても黄変が生じにくくなる。
上記と同様の観点から、ジオール構成単位(α)の含有量は、1モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上6モル%以下であることがより好ましい。
【0013】
本実施形態において、入手性の観点や、半結晶化時間をより効果的に長くする観点から、ジオール構成単位(α)が、下記式(a)又は(b)で表される化合物に由来するジオール構成単位であることが好ましい。
【0014】
【化3】
(式(a)中、R
1及びR
2は、各々独立して、炭素数が1~10の2価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~10の2価の脂環式炭化水素基、又は炭素数が6~10の2価の芳香族炭化水素基を表す。)
【0015】
【化4】
(式(b)中、R
1は前記と同義であり、R
3は、炭素数が1~10の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数が3~10の1価の脂環式炭化水素基、又は炭素数が6~10の1価の芳香族炭化水素基を表す。)
【0016】
一般式(a)及び(b)において、R1及びR2は、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、以下に限定されないが、例えば、イソプロピレン基、イソブチレン基が挙げられる。また、R3は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、又はこれらの構造異性体が好ましい。これらの構造異性体としては、以下に限定されないが、例えば、イソプロピル基、イソブチル基が挙げられる。これらのジオールにより、半結晶化時間をより効果的に長くすることが可能である。
【0017】
一般式(a)及び(b)で表される化合物としては、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン等が好ましい。すなわち、エステル化合物(A)に含有される環状アセタール骨格を有するジオール構成単位が、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、又は5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサンに由来するジオール構成単位であることが好ましく、これらのジオールは容易に入手でき半結晶化時間をより効果的に長くすることが可能である。
なお、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)は、前述したものの中の1種類を含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
【0018】
本実施形態のポリエステル樹脂において、環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)以外のジオール構成単位(環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位)は特に限定されない。環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位としては、特に限定されないが、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール類;1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,2-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5-デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6-デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7-デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロドデカンジメタノール等の脂環式ジオール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテル化合物類;4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレンビスフェノール(ビスフェノールF)、4,4’-シクロヘキシリデンビスフェノール(ビスフェノールZ)、4,4’-スルホニルビスフェノール(ビスフェノールS)等のビスフェノール類;前記ビスフェノール類のアルキレンオキシド付加物;ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルベンゾフェノン等の芳香族ジヒドロキシ化合物;及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物のアルキレンオキシド付加物等のジオールが例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性、及びジオールの入手の容易さを考慮するとエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が好ましく、エチレングリコールがより好ましい。すなわち、ジオール構成単位が、エチレングリコールに由来する単位(γ)を更に含むことがより好ましい。本実施形態において、単位(γ)の含有量は、全ジオール構成単位中、92モル%以上99モル%以下であることが好ましく、93モル%以上99モル%以下であることがより好ましく、94モル%以上99モル%以下であることがさらに好ましい。
【0019】
なお、環状アセタール骨格を有しないジオール構成単位は、上記したものの中の1種類を含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
【0020】
(ジカルボン酸構成単位)
本実施形態のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸構成単位として、全ジカルボン酸構成単位中10モル%以上40モル%以下のイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)を含む。ジカルボン酸構成単位(β)の含有量が10モル%未満であると、十分な透明性が得られない。また、ジカルボン酸構成単位(β)の含有量が40モル%超であると、十分な耐熱性が得られない。一方、ジカルボン酸構成単位(β)の含有量が10モル%以上であることにより、透明性が向上する。また、ジカルボン酸構成単位(β)の含有量が40モル%以下であることにより、耐熱性が良好となる。なお、本実施形態のポリエステル樹脂に含まれるジオール構成単位(α)には、熱履歴によって黄変が生じやすいという性質があるが、ジカルボン酸構成単位(β)を上記した範囲で含むことにより、このような黄変を十分に抑制することができる。すなわち、本実施形態においては、ジカルボン酸構成単位(β)の含有量を上記のように調整しているため、ジオール構成単位(α)の含有量を前述のとおりに調整していることと相俟って、透明性、耐熱性及び色調のバランスが飛躍的に向上する。
なお、本実施形態のポリエステル樹脂に含まれるジオール構成単位(α)にはガスバリア性能を低下させる性質があるが、ジカルボン酸構成単位(β)を上記した範囲で含むことにより、ガスバリア性能を損ねることがない。このように、本実施形態のポリエステル樹脂によれば、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れるのみならず、ガスバリア性能も確保することができる。
上記と同様の観点から、ジカルボン酸構成単位(β)の含有量は、13モル%以上36モル%以下であることが好ましく、16モル%以上32モル%以下であることがより好ましい。
【0021】
本実施形態のポリエステル樹脂において、ジカルボン酸構成単位(β)以外のジカルボン酸構成単位は特に限定されない。ジカルボン酸構成単位(β)以外のジカルボン酸構成単位としては、以下に限定されないが、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-カルボキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5-カルボキシ-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-カルボキシエチル)-1,3-ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、フタル酸、2-メチルテレフタル酸、1,3-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。ポリエステル樹脂の機械強度、耐熱性を考慮すると芳香族ジカルボン酸が好ましく、ジカルボン酸の入手の容易さを考慮するとテレフタル酸がより好ましい。すなわち、ジカルボン酸構成単位が、テレフタル酸に由来する単位(δ)を更に含むことがより好ましい。本実施形態において、単位(δ)の含有量は、ジカルボン酸構成単位中、60モル%以上90モル%以下であることが好ましく、64モル%以上87モル%以下であることがより好ましく、68モル%以上84モル%以下であることがさらに好ましい。
【0022】
なお、ジカルボン酸構成単位は上記したものの中の1種類を含んでもよく、2種類以上を含んでもよい。
【0023】
(ガラス転移温度)
本実施形態のポリエステル樹脂のガラス転移温度は、70℃以上110℃以下であることが好ましい。
ガラス転移温度は、例えば、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ガラス転移温度を上記範囲に調整するためには、例えば、上述したポリエステル樹脂中のジオール構成単位及びジカルボン酸単位の種類や含有量を適宜調整すればよい。
【0024】
<ポリエステル樹脂の製造方法>
本実施形態のポリエステル樹脂を製造するための方法については、上述した組成が得られる限り特に限定されない。本実施形態において、ポリエステル樹脂の製造方法は、環状アセタール骨格を有するエステル化合物(A)と、イソフタル酸に由来する骨格を有するエステル化合物(B)と、を混合して反応させる工程を含み、以下の(1)及び(2)の条件を満たすことが好ましい:
(1)前記エステル化合物(A)は、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶液中25℃で測定した極限粘度が0.1~1.5dl/gである;
(2)前記エステル化合物(B)は、酸価が1μ当量/g以上150μ当量/g未満である。
【0025】
本実施形態において、エステル化合物(A)は環状アセタール骨格を有するものであり、環状アセタール骨格を有する構成単位の具体例としては、本実施形態のポリエステル樹脂の構成単位として例示したものと同様である。また、エステル化合物(A)に含まれ得る環状アセタール骨格を有しない構成単位としては、本実施形態のポリエステル樹脂の各構成単位として例示したものを参照して適宜採用することができる。
【0026】
上記(1)のとおり、エステル化合物(A)の極限粘度は、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒中25℃で測定した値が0.1~1.5dl/gであることが好ましい。ポリエステル化合物(A)の極限粘度は、より好ましくは0.3~1.0dl/g、さらに好ましくは0.4~0.8dl/g、よりさらに好ましくは0.4~0.75dl/gである。上記極限粘度が0.1dl/g以上である場合、エステル化合物(A)の取り扱い性が向上する傾向にある。具体的には溶融状態での粘度が過度に低くなることを防止し、十分な機械物性が確保されるため、例えばポリエステル樹脂の製造装置から取り出してペレット化することが容易となる。また、上記極限粘度が1.5dl/g以下である場合、ポリエステル樹脂の原料として使用する際に溶融粘度が過剰に大きくなることを防止でき、他の原料であるエステル化合物(B)との混合物の流動性が確保され、流動性を得るための加熱が不要となる傾向にあるため好ましい。
【0027】
本実施形態において、エステル化合物(B)はイソフタル酸に由来する骨格を有するものであり、イソフタル酸以外に由来する構成単位を含んでもよい。エステル化合物(B)に含まれ得るイソフタル酸以外に由来する構成単位の具体例としては、本実施形態のポリエステル樹脂の各構成単位として例示したものを参照して適宜採用することができる。
【0028】
上記(2)のとおり、エステル化合物(B)の酸価は、1μ当量/g以上150μ当量/g未満であることが好ましく、より好ましくは2μ当量/g以上120μ当量/g以下であり、さらに好ましくは4μ当量/g以上100μ当量/g以下である。酸価を1μ当量/g以上150μ当量/g未満の範囲にすることでポリエステル樹脂(C)のゲル化や分子量分布の増大を抑え、ポリエステル樹脂中のジエチレングリコール(DEG)の含有量が低減される傾向にある。なお、上記酸価は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0029】
本実施形態において、ポリエステル樹脂が前述した組成を有するように、エステル化合物(A)及びエステル化合物(B)の組成やこれらの混合比率を調整することができる。かかる観点から、エステル化合物(A)に含まれる全ジオール構成単位中の2~80モル%が環状アセタール骨格を有するジオール構成単位(α)であることが好ましい。また、エステル化合物(B)に含まれる全ジカルボン酸構成単位中の1~50モル%がイソフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位(β)であることが好ましい。
【0030】
<化粧品容器用樹脂組成物>
本実施形態の化粧品容器用樹脂組成物は、本実施形態のポリエステル樹脂を含むものである。このように構成されているため、本実施形態の化粧品容器用樹脂組成物によれば、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れる化粧品容器を得ることができる。すなわち、本実施形態の化粧品容器は、本実施形態のポリエステル樹脂を含むものであり、このように構成されているため、本実施形態の化粧品容器は、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れる。
【0031】
本実施形態の化粧品容器用樹脂組成物は、任意成分を含有していてもよい。任意成分としては、特に限定されないが、例えば、種々公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、界面活性剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料及び結晶化核剤等が挙げられる。
【0032】
<成形体>
本実施形態の成形体は、本実施形態のポリエステル樹脂を含むものである。このように構成されているため、本実施形態の成形体は、透明性、耐熱性及び色調のバランスに優れる。ここで、本実施形態のポリエステル樹脂は、半結晶化時間が比較的長いため、厚物成形時に透明性を維持し、また二次成形時に予熱温度を上昇できるため、歪みを低減でき、容器の耐熱性が向上するなどの長所を有し、このような長所を成形体に付与することができる。成形体の具体例としては、以下に限定されないが、射出成形体、シート、フィルム、パイプ、繊維等の押し出し成形体、ボトル、発泡体等が挙げられる。より詳細には、シートは単層でも多層でもよく、フィルムも単層でも多層でもよく、また未延伸のものでも、一方向、又は二方向に延伸されたものでもよく、鋼板などに積層してもよい。繊維は単一成分型でも複合型でもよく、また短繊維でも長繊維でもよい。またモノフィラメントの断面形状については特に限定されるものではなく、例えば、丸形、楕円形、三角・四角・六角などの多角形、星形・X字形・Y字形・H字形・花びら形・帽子形などの異形断面、及び中空形などを挙げることができ、これらの形状を一部変更したものや合成したものでもよい。また、産業資材への使用にあたっては、これらの各種の断面形状を組み合わせてもよい。ボトルはダイレクトブローボトルでもインジェクションブローボトルでもよく、射出成形されたものでもよい。発泡体は、ビーズ発泡体でも押出し発泡体でもよい。
【実施例】
【0033】
以下実施例により本実施形態を更に具体的に説明する。ただし、本実施形態は実施例により限定するものではない。各評価は以下のように行い、評価結果は表1~3に示した。
【0034】
〔ポリエステル樹脂(C)の評価〕
1.環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率等
ポリエステル樹脂中の環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率、テレフタル酸単位の比率、イソフタル酸単位の比率およびDEG量を1H-NMR測定にて算出した。測定装置はBruker BioSpin K.K.製、AscendTM500を用いた。溶媒には重クロロホルムを用いた。なお、重クロロホルムに不溶な場合は、トリフルオロ酢酸を数滴使用し、重クロロホルムに溶解させた。
2.極限粘度
ポリエステル樹脂をフェノール/1,1,2,2,-テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)に90℃で加熱溶解させ、0.2、0.4、0.6g/dlの溶液を調製した。その後、25℃まで冷却して測定用サンプルを調製した。装置はViscotek社製 相対粘度計Y501を用い、温度25℃で測定を行った。
3.ガラス転移温度
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、(株)島津製作所製、示差走査型熱量計(型式:DSC/TA-50WS)を使用し、試料約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30mL/min)気流中昇温速度20℃/minで測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
4.熱劣化試験後の黄変度
ポリエステル樹脂(C)のペレットを260℃、30分の条件で大気中で加熱処理し、この処理前後の黄変度を目視にて観察し、以下のように評価した。
変化なし:○
やや黄変:△
黄変:×
【0035】
〔成形体の透明性〕
JSW製J85AD型射出成型機を使用し、ポリエステル樹脂(C)から成形片を作製した。すなわち、シリンダー温度250℃及び金型温度50℃として、50Φ、厚み5.0mmの円板を射出成形し、それをインサート成形することにより、厚み10mmの円板成型片を得た。
上記のようにして得られた円板成型片の透明性を以下のように評価した。
外観不良無し :○
接着界面が白化:×
【0036】
〔エステル化合物(A)の評価〕
1.環状アセタール骨格を有するジオールの共重合率
上述の〔ポリエステル樹脂(C)の評価〕1.と同様の方法で実施した。
2.極限粘度
エステル化合物(A)をフェノール/1,1,2,2,-テトラクロロエタンの混合溶媒(質量比=6:4)に90℃で加熱溶解させ、0.2、0.4、0.6g/dlの溶液を調製した。その後、25℃まで冷却して測定用サンプルを調製した。装置はViscotek社製 相対粘度計Y501を用い、温度25℃で測定を行った。
【0037】
〔エステル化合物(B)の評価〕
1.ジカルボン酸構成単位に対するジオールの構成単位(G/A)
エステル化合物中のジオールの共重合率とジカルボン酸の共重合率を1H-NMR測定にて算出した。測定装置はBruker BioSpin K.K.製、AscendTM500で測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。なお、重クロロホルムに不溶な場合はトリフルオロ酢酸を数滴使用し、重クロロホルムに溶解させた。
2.酸価
エステル化合物1.5gをo-クレゾール/1,1,2,2-テトラクロロエタン/クロロホルムの混合溶媒(質量比70:15:15)50mLに加熱溶解した。この溶液を0.1N水酸化カリウムのエタノール溶液で電位差滴定した。滴定は平沼産業株式会社製 自動滴定装置 COM-1600にて行った。
【0038】
<製造例1:エステル化合物(B1)の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置にジカルボン酸構成単位(全てテレフタル酸に由来するジカルボン酸構成単位)に対するジオール構成単位(全てエチレングリコールに由来するジオール構成単位)のモル比が2.0である種オリゴマー(D1)を仕込み、ジカルボン酸、環状アセタール骨格を持たないジオールを所定のモル比になるように添加し、240℃、常圧にてエステル化反応を行い、生成する水を留去しながら、エステル化合物(B1)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B1)の評価結果を表1に示す。
【0039】
<製造例2~6:エステル化合物(B2)~(B6)及び(B8)~(B10)の製造>
各原料の配合量を表1に示すとおりに変更したことを除き、製造例1と同様にしてエステル化合物(B2)~(B6)及び(B8)~(B10)を得た。反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B2)~(B6)及び(B8)~(B10)の評価結果を表1に示す。なお、表中の「-」は該当する原料を使用していないことを表す。
【0040】
<製造例7:エステル化合物(B7)の製造>
充填塔式精留塔、分縮器、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた3Lのポリエステル製造装置に、テレフタル酸ジメチル、ナフタレンジカルボン酸ジメチル、エチレングリコールとテトラブトキシチタンを添加し、230℃、常圧にてエステル交換反応を行い、生成するメタノールを留去しながら、エステル化合物(B7)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及びエステル化合物(B7)の評価結果を表1に示す。
【0041】
【0042】
表1において、以下の略称を使用した(表2~3でも同様)。
・PTA :高純度テレフタル酸
・DMT :テレフタル酸ジメチル
・NDCM:ナフタレンジカルボン酸ジメチル
・EG :エチレングリコール
・TBT :テトラブトキシチタン
・G/A :ジカルボン酸構成単位に対するジオール構成単位のモル比
【0043】
<実施例1>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製ALTESTER S3012を使用した(以下、エステル化合物(A1)と記載する。)。その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例1で製造したエステル化合物(B1)を使用した。
全縮器、コールドトラップ、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた1Lのポリエステル製造装置に表3に記載の量のエステル化合物(B1)を仕込み、常圧、窒素雰囲気下で内温を250℃まで昇温した。昇温後、触媒として二酸化ゲルマニウム、熱安定剤としてリン酸トリエチル、塩基性化合物として酢酸カリウム、補色剤として酢酸コバルトを添加し、エステル化合物(A1)を加え、280℃まで昇温しながら100Pa以下の圧力となるまで徐々に減圧し、主に環状アセタール骨格を有しないジオールを留去した。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂(C1)を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及び得られたポリエステル樹脂(C1)の評価結果を表3に示す。
【0044】
<実施例2~3及び比較例1~3,6,7>
エステル化合物(B)の種類と各原料の配合量を表3に示すとおりに変更したことを除き、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂(C2)~(C6),(C9),(C10)を得た。反応に使用した各成分の仕込み量及び得られたポリエステル樹脂(C2)~(C6),(C9),(C10)の評価結果を表3に示す。
【0045】
<比較例4>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製 ALTESTER S4500を使用した(以下、エステル化合物(A2)と記載する。)。その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例7で製造したエステル化合物(B7)を使用した。
全縮器、コールドトラップ、撹拌翼、加熱装置、窒素導入管を備えた1Lのポリエステル製造装置に、表3に示す配合にて、表3に記載の量のエステル化合物(B7)を仕込み、常圧、窒素雰囲気下で内温を260℃まで昇温した。昇温後、触媒として二酸化ゲルマニウム、熱安定剤としてリン酸トリエチル、塩基性化合物として酢酸カリウム、補色剤として酢酸コバルトを添加し、エステル化合物(A2)を加え、280℃まで昇温しながら100Pa以下の圧力となるまで徐々に減圧し、主に環状アセタール骨格を有しないジオールを留去した。徐々に反応物の粘度が上昇し、適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂(C7)を得た。
【0046】
<比較例5>
エステル化合物(A)として、三菱ガス化学社製 ALTESTER S5812を使用した。(以下、エステル化合物(A3)と記載する。)その評価結果を表2に示す。また、エステル化合物(B)として、製造例8で製造したエステル化合物(B8)を使用し、触媒として、二酸化ゲルマニウムの代わりに三酸化アンチモン及びテトラブトキシチタンを使用し、各原料を表3に示す配合にて仕込んだ以外は、比較例4と同じ条件で反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。
反応に使用した各成分の仕込み量及び得られたポリエステル樹脂の評価結果を表3に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
表2~3において、表1について前述した略称の他、次の略称を使用した。
・SPG :3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン
・GeO2:二酸化ゲルマニウム
・TEP :リン酸トリエチル
・AcOK:酢酸カリウム
・(AcO)2Co:酢酸コバルト