(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】記録装置及び記録媒体の逆搬送方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240710BHJP
B65H 5/02 20060101ALI20240710BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20240710BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B65H5/02 Z
B65H5/00 B
B41J11/02
(21)【出願番号】P 2020130388
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-06-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 健司
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-246280(JP,A)
【文献】特開2017-132173(JP,A)
【文献】特開2019-162746(JP,A)
【文献】特開2012-153151(JP,A)
【文献】特開2007-196444(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111114130(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B65H 5/02
B65H 5/00
B41J 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、
前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第1ブレードと、
前記第1ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部と、
を備え、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部の順に配置され、
前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して接触させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して離間させ
、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第2ブレードを備え、
前記ブレード移動部は、前記第2ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動可能であり、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部、前記第2ブレードの順に配置され、
前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の記録装置において、
前記第1ブレードが取り付けられ、前記第1ブレードによって前記表面から除去された前記洗浄液を貯留する貯留部を備え、
前記ブレード移動部は、前記貯留部を移動することで前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の記録装置において、
前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、
前記第2ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、
前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項
2に記載の記録装置において、
前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、
前記貯留部から前記洗浄液槽につながる前記洗浄液の流路を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、
前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第1ブレードと、
前記第1ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部と、
を備え、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部の順に配置され、
前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して接触させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して離間させ
、
前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、
前記第1ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、
前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動し、
前記表面に当接することで、前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第2ブレードを備え、
前記第2ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、
前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで前記第2ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動可能であり、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部、前記第2ブレードの順に配置され、
前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の記録装置において、
前記ブレード移動部は、前記複数のローラーの回転軸方向から見て前記洗浄液槽を傾斜させることで、前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、
前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第1ブレードと、
前記第1ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部と、
を備え、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部の順に配置され、
前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して接触させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して離間させ
、
前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、
前記第1ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、
前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動し、
前記ブレード移動部は、前記複数のローラーの回転軸方向から見て前記洗浄液槽を傾斜させることで、前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、
前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、
前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、
前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、
前記搬送ベルトの正転及び逆転、並びに、前記洗浄液付着部及び前記ブレードの前記接離方向の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置され、
前記制御部は、前記搬送ベルトを逆転させる際、前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させ、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させ、その後、前記ブレードを前記表面に対して離間させ、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、
前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、
前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、
前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、
前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、
を備え、
前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置される記録装置における記録媒体の逆搬送方法であって、
前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させる工程と、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させる工程と、前記ブレードを前記表面に対して離間させる工程と、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させる工程と、を有することを特徴とする記録媒体の逆搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録媒体の逆搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な記録装置が使用されている。このうち、記録媒体を搬送する搬送ベルトと、搬送される記録媒体にインクを吐出して記録する記録ヘッドと、搬送ベルトを洗浄する洗浄手段と、を備える記録装置がある。例えば、特許文献1には、搬送ベルトと、搬送される記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドと、搬送ベルトを洗浄する洗浄液付着手段と、を備えるインクジェット記録装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送ベルトと記録ヘッドとを備える記録装置においては、記録媒体を通常の記録動作の際とは反対方向に記録媒体を搬送する逆搬送を行う場合がある。しかしながら、特許文献1のインクジェット記録装置のように、搬送ベルトを洗浄する洗浄手段を備える構成においては、洗浄手段で使用した洗浄液が搬送ベルトの表面に残り、搬送ベルトの表面に残った洗浄液が記録媒体を逆搬送することで記録媒体に付着する場合があった。
【0005】
そこで、特許文献1のインクジェット記録装置では、記録媒体の搬送方向における記録ヘッドのノズル間距離と、記録媒体の剥離位置から洗浄液付着手段までの距離と、の関係に基づいて、洗浄液が記録媒体を逆搬送することで記録媒体に付着することを抑制する。しかしながら、特許文献1のインクジェット記録装置では、記録媒体の逆搬送量が短い場合でしか、洗浄液が記録媒体に付着することを抑制することはできない。一方、搬送ベルトに載置された記録媒体に捲れが生じた場合や、記録された画像を確認したい場合など、記録媒体の逆搬送量を多くしたい場合は多く、特許文献1のインクジェット記録装置では、対応できない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の記録装置は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第1ブレードと、前記第1ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部の順に配置され、前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して接触させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して離間させることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するための別の本発明の記録装置は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、前記搬送ベルトの正転及び逆転、並びに、前記洗浄液付着部及び前記ブレードの前記接離方向の移動を制御する制御部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置され、前記制御部は、前記搬送ベルトを逆転させる際、前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させ、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させ、前記ブレードを前記表面に対して離間させ、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するための記録媒体の逆搬送方法は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置される記録装置における記録媒体の逆搬送方法であって、前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させる工程と、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させる工程と、前記ブレードを前記表面に対して離間させる工程と、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させる工程と、を有することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例1に係る記録装置の概略側面図。
【
図2】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例1に係る記録装置の概略側面図。
【
図3】本発明の実施例1に係る記録装置の電気的構成を表すブロック図。
【
図4】記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例2に係る記録装置の概略側面図。
【
図5】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例2に係る記録装置の概略側面図。
【
図6】記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例3に係る記録装置の概略側面図。
【
図7】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例3に係る記録装置の概略側面図。
【
図8】記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例4に係る記録装置の概略側面図。
【
図9】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例4に係る記録装置の概略側面図。
【
図10】記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例5に係る記録装置の概略側面図。
【
図11】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例5に係る記録装置の概略側面図。
【
図12】本発明の実施例6に係る記録装置を用いて行う記録媒体の逆搬送方法のフローチャート。
【
図13】逆搬送方向に搬送する前に記録媒体を正搬送方向に搬送する際の本発明の実施例6に係る記録装置の概略側面図。
【
図14】記録媒体を逆搬送方向に搬送する際の本発明の実施例6に係る記録装置の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の記録装置は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第1ブレードと、前記第1ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部の順に配置され、前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して接触させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第1ブレードを前記表面に対して離間させることを特徴とする。
【0011】
本態様によれば、記録ヘッドと洗浄液付着部との間に第1ブレードを備えており、搬送ベルトが逆転し逆搬送しているときには第1ブレードを搬送ベルトの表面に対して接触させることで、搬送ベルトの表面に付着した洗浄液が記録媒体に至る前に第1ブレードにより除去することが可能になる。このため、記録媒体を逆搬送させた際に記録媒体に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0012】
本発明の第2の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、前記第1ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、回転ブラシを用いて搬送ベルトを効果的に洗浄できる。また、洗浄液槽を移動することで第1ブレードを搬送ベルトの表面に対して接離方向に移動する構成とすることで、回転ブラシが設けられた洗浄液槽の移動機構と第1ブレードの移動機構とを共通化でき、装置構成を簡単にすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第2ブレードを備え、前記ブレード移動部は、前記第2ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動可能であり、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部、前記第2ブレードの順に配置され、前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、搬送ベルトに対して、正搬送方向において洗浄液付着部の下流側に第2ブレードを備える。そして、搬送ベルトが正転しているときには第2ブレードを搬送ベルトの表面に対して接触させる。このため、記録動作の実行中など記録媒体を正搬送方向に搬送させている際に、洗浄液付着部により搬送ベルトの表面に付着した洗浄液を記録媒体に至る前に第2ブレードで除去することができる。
【0016】
本発明の第4の態様の記録装置は、前記第2の態様において、前記表面に当接することで、前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去する第2ブレードを備え、前記第2ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで前記第2ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動可能であり、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記第1ブレード、前記洗浄液付着部、前記第2ブレードの順に配置され、前記ブレード移動部は、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、搬送ベルトに対して、正搬送方向において洗浄液付着部の下流側に第2ブレードを備える。そして、搬送ベルトが正転しているときには第2ブレードを搬送ベルトの表面に対して接触させる。このため、記録動作の実行中など記録媒体を正搬送方向に搬送させている際に、洗浄液付着部により搬送ベルトの表面に付着した洗浄液を記録媒体に至る前に第2ブレードで除去することができる。また、本態様によれば、洗浄液槽を移動することで第1ブレードに加えて第2ブレードを搬送ベルトの表面に対して接離方向に移動する構成とすることで、回転ブラシが設けられた洗浄液槽の移動機構と第1ブレードの移動機構と第2ブレードの移動機構とを共通化でき、装置構成を簡単にすることができる。
【0018】
本発明の第5の態様の記録装置は、前記第2または第4の態様において、前記ブレード移動部は、前記複数のローラーの回転軸方向から見て前記洗浄液槽を傾斜させることで、前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、洗浄液槽を傾斜させることで、第1ブレードを表面に対して接離方向に移動することができる。
【0020】
本発明の第6の態様の記録装置は、前記第3の態様において、前記第1ブレードが取り付けられ、前記第1ブレードによって前記表面から除去された前記洗浄液を貯留する貯留部を備え、前記ブレード移動部は、前記貯留部を移動することで前記第1ブレードを前記表面に対して前記接離方向に移動することを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、第1ブレードが取り付けられ、第1ブレードによって搬送ベルトの表面から除去された洗浄液を貯留する貯留部を備える。このため、第1ブレードによって搬送ベルトの表面から除去された洗浄液で装置を汚してしまうことを抑制できる。また、ブレード移動部は、貯留部を移動することで第1ブレードを搬送ベルトの表面に対して接離方向に移動する構成なので、貯留部の移動機構と第1ブレードの移動機構とを共通化でき、装置構成を簡単にすることができる。
【0022】
本発明の第7の態様の記録装置は、前記第6の態様において、前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、前記第2ブレードは、前記洗浄液槽に固定され、前記ブレード移動部は、前記洗浄液槽を移動することで、前記搬送ベルトが逆転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して離間させ、前記搬送ベルトが正転しているときには前記第2ブレードを前記表面に対して接触させることを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、回転ブラシを用いて搬送ベルトを効果的に洗浄できる。また、本態様によれば、搬送ベルトが正転しているときには第2ブレードを搬送ベルトの表面に対して接触させる。このため、記録動作の実行中など記録媒体を正搬送方向に搬送させている際に、洗浄液付着部により搬送ベルトの表面に付着した洗浄液を記録媒体に至る前に第2ブレードで除去することができる。
【0024】
本発明の第8の態様の記録装置は、前記第6の態様において、前記洗浄液付着部は、前記洗浄液を貯留する洗浄液槽と、前記表面に接触しつつ一部が前記洗浄液に浸漬された状態で回転する回転ブラシと、を有し、前記貯留部から前記洗浄液槽につながる前記洗浄液の流路を備えることを特徴とする。
【0025】
本態様によれば、回転ブラシを用いて搬送ベルトを効果的に洗浄できる。また、本態様によれば、貯留部から洗浄液槽につながる洗浄液の流路を備えるので、洗浄液を繰り返し使用することができ、洗浄液の無駄使いを抑制できる。
【0026】
本発明の第9の態様の記録装置は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、前記搬送ベルトの正転及び逆転、並びに、前記洗浄液付着部及び前記ブレードの前記接離方向の移動を制御する制御部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置され、前記制御部は、前記搬送ベルトを逆転させる際、前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させ、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させ、前記ブレードを前記表面に対して離間させ、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させることを特徴とする。
【0027】
本態様によれば、正搬送方向において洗浄液付着部の下流側にブレードを備えており、搬送ベルトを逆転させる際、洗浄液付着部を非接触位置に位置させ、ブレードを搬送ベルトの表面に接触させた状態で該表面のうちの洗浄液付着部が接触していた領域がブレードを超えるまで搬送ベルトを正転させ、ブレードを表面に対して離間させ、ブレードが表面に対して離間した状態で搬送ベルトを逆転させる。このため、記録媒体を逆搬送させた際に記録媒体に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0028】
本発明の第10の態様の記録媒体の逆搬送方法は、正転方向及び前記正転方向とは逆の逆転方向に回転可能な複数のローラーと、前記複数のローラーに張架され、前記複数のローラーを正転することで正転して表面の載置範囲に載置された記録媒体を正搬送方向に搬送し、前記複数のローラーを逆転することで逆転して前記載置範囲に載置された前記記録媒体を逆搬送方向に搬送する無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトに載置された前記記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、前記記録媒体が前記載置範囲から外れて前記記録媒体が前記表面から剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、前記表面に洗浄液を付着させる洗浄液付着部と、前記洗浄液付着部を前記洗浄液が前記表面に対して付着する接触位置及び前記洗浄液付着部が前記表面に対して付着しない非接触位置に移動する洗浄液付着部移動部と、前記表面に当接することで前記洗浄液付着部によって前記表面に付着した前記洗浄液を除去するブレードと、前記洗浄液付着部移動部の移動方向に対応する方向であって、前記ブレードを前記表面に対して接触する方向及び離間する方向である、接離方向に移動するブレード移動部と、を備え、前記搬送ベルトに対して、前記正搬送方向において上流側から、前記記録ヘッド、前記洗浄液付着部、前記ブレードの順に配置される記録装置における記録媒体の逆搬送方法であって、前記洗浄液付着部を前記非接触位置に位置させる工程と、前記ブレードを前記表面に接触させた状態で前記表面のうちの前記洗浄液付着部が接触していた領域が前記ブレードを超えるまで前記搬送ベルトを正転させる工程と、前記ブレードを前記表面に対して離間させる工程と、前記ブレードが前記表面に対して離間した状態で前記搬送ベルトを逆転させる工程と、を有することを特徴とする。
【0029】
本態様によれば、正搬送方向において洗浄液付着部の下流側にブレードを備える記録装置において、搬送ベルトを逆転させる際、洗浄液付着部を非接触位置に位置させ、ブレードを搬送ベルトの表面に接触させた状態で該表面のうちの洗浄液付着部が接触していた領域がブレードを超えるまで搬送ベルトを正転させ、ブレードを表面に対して離間させ、ブレードが表面に対して離間した状態で搬送ベルトを逆転させる。このため、記録媒体を逆搬送させた際に記録媒体に洗浄液が付着することを抑制することができる。
【0030】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
[実施例1]
最初に、本発明の実施例1の記録装置1の概要について
図1及び
図2を参照して説明する。
【0031】
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、ロール状の記録媒体Mをセットするセット部2を備えている。また、記録装置1は、セット部2から送出された記録媒体Mを正搬送方向A1及び正搬送方向A1とは反対方向である逆搬送方向A2に搬送可能な搬送装置40を備えている。ここで、正搬送方向A1とは記録媒体Mに記録を行う際の記録媒体Mの搬送方向である。搬送装置40は、正搬送方向A1の上流側に位置する従動ローラー3と、正搬送方向A1の下流側に位置する駆動ローラー4と、該従動ローラー3及び該駆動ローラー4に架け渡された無端ベルトである搬送ベルト5と、搬送ベルト5の種々のパラメーターを調整する調整ローラー6と、を備えている。調整ローラー6で調整可能なパラメーターとは、具体的には、搬送ベルト5の周長、及び搬送ベルト5の張力である。また、記録装置1は、搬送ベルト5を洗浄する洗浄部10を備えている。ここで、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際には駆動ローラー4を正転方向C1に回転させることで搬送ベルト5を正転方向C1に回転させる。逆に、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際には駆動ローラー4を逆転方向C2に回転させることで搬送ベルト5を逆転方向C2に回転させる。なお、以下では、正転方向C1に回転させることを正転と呼び、逆転方向C2に回転させることを逆転と呼ぶ。
【0032】
ここで、搬送ベルト5は外側表面である支持面5aに粘着剤が塗られた粘着性ベルトである。
図1及び
図2で表されるように、粘着剤が塗られた支持面5aに記録媒体Mが貼り付けられた状態で、記録媒体Mは搬送ベルト5に支持されて搬送される。搬送ベルト5における記録媒体Mの支持領域は、従動ローラー3と駆動ローラー4とで架橋された上側の領域である。すなわち、記録媒体Mは、従動ローラー3と対向する位置で支持面5aに貼り付けられ、駆動ローラー4と対向する位置で支持面5aから剥離される。また、駆動ローラー4は
図3で表される搬送モーター28の駆動力により回転するローラーであり、従動ローラー3は駆動ローラー4を回転させることに伴う搬送ベルト5の回転に従動することで回転するローラーである。
【0033】
なお、調整ローラー6も従動ローラー3と同様、駆動ローラー4を回転させることに伴う搬送ベルト5の回転に従動することで回転するローラーである。調整ローラー6は、幅方向Bにおける一方側の端部及び他方側の端部が、それぞれ独立して鉛直方向Dに移動可能な構成となっている。これにより、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側の周長と、搬送ベルト5の幅方向Bにおける他方側の周長と、を個別に変更することができる。搬送ベルト5の周長が、幅方向Bにおける一方側と他方側との間で異なると、記録媒体Mを搬送する際に記録媒体Mが蛇行する虞がある。そのため、搬送ベルト5は、幅方向Bにおける一方側と他方側との間の周長差をできるだけ小さくすることが好ましい。例えば、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側の周長が、搬送ベルト5の幅方向Bにおける他方側の周長より長い場合には、調整ローラー6の幅方向Bにおける一方側の端部を鉛直方向Dの上側に移動させることで、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側の周長が短くなり、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側と他方側との間の周長差を小さくすることができる。あるいは、同様の状況において、調整ローラー6の幅方向Bにおける他方側の端部を鉛直方向Dの下側に移動させることで、搬送ベルト5の幅方向Bにおける他方側の周長が長くなり、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側と他方側との間の周長差を小さくすることができる。なお、この周長差はゼロにすることが理想的ではあるが、記録媒体Mが蛇行しない程度であれば、多少の周長差があってもよい。
【0034】
また、調整ローラー6は、搬送ベルト5の張力を調整することにも用いることができる。例えば、調整ローラー6の幅方向Bにおける一方側の端部及び他方側の端部を、互いに等しい移動量で鉛直方向Dに移動させることで、搬送ベルト5の幅方向Bにおける一方側と他方側との間の周長差を変えることなく、搬送ベルト5の張力を調整することができる。具体的には、調整ローラー6の幅方向Bにおける一方側の端部及び他方側の端部を鉛直方向Dの上側に移動させることで、搬送ベルト5の張力が弱くなる。また、調整ローラー6の幅方向Bにおける一方側の端部及び他方側の端部を鉛直方向Dの下側に移動させることで、搬送ベルト5の張力が強くなる。
【0035】
また、記録装置1は、搬送方向Aと交差する幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ7と、キャリッジ7に取り付けられた記録ヘッド8と、を備えている。記録ヘッド8は、搬送方向Aに搬送される記録媒体Mにインクを吐出して画像を形成可能な吐出部として機能する。記録ヘッド8は、搬送ベルト5における記録媒体Mの支持領域と対向する位置に設けられ、インクを吐出可能である。本実施例の記録装置1は、正搬送方向A1及び逆搬送方向A2と交差する幅方向Bにキャリッジ7を往復移動させながら、搬送される記録媒体Mに記録ヘッド8からインクを吐出して画像を形成することが可能である。このような構成のキャリッジ7を備えていることにより、本実施例の記録装置1は、所定の搬送量で記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送させることと、記録媒体Mを停止した状態でキャリッジ7を幅方向Bに移動させながらインクを吐出させることと、を繰り返すことで、記録媒体Mに所望の画像を形成可能である。
【0036】
なお、本実施例の記録装置1は、記録媒体Mの所定量の搬送とキャリッジ7の往復移動とを交互に繰り返して記録を行う所謂シリアルプリンターである。しかしながら、記録媒体Mの幅方向Bに沿ってライン状にノズルが形成されたラインヘッドを使用して、連続的に記録媒体Mを搬送しながら連続的に記録を行う所謂ラインプリンターであってもよい。
【0037】
また、キャリッジ7よりも正搬送方向A1の上流側における搬送ベルト5と対向する位置に、媒体貼り付け部9が形成されている。媒体貼り付け部9が幅方向Bに亘り記録媒体Mを搬送ベルト5に押し当てることで、皺などの発生が抑制された状態で記録媒体Mが搬送ベルト5に対して貼り付けられる。
【0038】
画像が形成された記録媒体Mは、本実施例の記録装置1から排出されると、本実施例の記録装置1よりも後段に設けられた、媒体Mに吐出されたインクの成分を揮発させる乾燥装置や画像が形成された記録媒体Mを巻き取る巻取装置などに送られる。
【0039】
ここで、記録媒体Mとしては、被捺染材を好ましく用いることができる。被捺染材とは、捺染の対象となる布地や、衣服や、その他の服飾製品等のことを言う。布地には、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれる。また、衣服や、その他の服飾製品には、縫製後のTシャツ、ハンカチ、スカーフ、タオル、手提げ袋、布製のバッグ、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャー類等の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0040】
さらに、記録媒体Mとしては、上記被捺染材の他、普通紙、上質紙、及び光沢紙などのインクジェット記録用専用紙等を用いることができる。また、記録媒体Mとしては、例えば、インクジェット記録用に表面処理をしていない、すなわち、インク吸収層を形成していないプラスチックフィルム、並びに紙等の基材上にプラスチックがコーティングされているもの及びプラスチックフィルムが接着されているものも用いることができる。当該プラスチックとしては、特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、及びポリプロピレンが挙げられる。
【0041】
記録媒体Mとして被捺染材を用いた場合、被捺染材は記録媒体Mに吐出されたインクが裏側の面まで滲む現象であるインクの裏抜けをし易いので、搬送ベルト5がインクで汚れる場合がある。そこで、本実施例の記録装置1は、裏抜けして搬送ベルト5に付着したインクを洗浄するための洗浄部10を備えている。本実施例の洗浄部10は、洗浄液15を貯蔵した洗浄液槽12と、洗浄液槽12の洗浄液15に浸されて搬送ベルト5と接触する回転ブラシ11と、を備えている。本実施例では、洗浄液15として水を用いている。ただし、洗浄液15として他の液体を用いてもよい。例えば、所定の洗浄成分を含む液体を洗浄液15として用いてもよい。
【0042】
洗浄部10は、正搬送方向A1において回転ブラシ11よりも下流側の位置で、支持面5aに付着した洗浄液15を除去することが可能な下流側ブレード13を備えている。また、逆搬送方向A2において回転ブラシ11よりも下流側の位置で、別の表現をすると、正搬送方向A1において回転ブラシ11よりも上流側の位置で、支持面5aに付着した洗浄液15を除去することが可能な上流側ブレード14と、を備えている。下流側ブレード13及び上流側ブレード14はともに幅方向Bに沿って延設され、幅方向Bに沿う方向から見て洗浄液槽12の従動ローラー3側の側面部の先端に下流側ブレード13が設けられ、幅方向Bに沿う方向から見て洗浄液槽12の駆動ローラー4側の側面部の先端に上流側ブレード14が設けられている。
【0043】
ここで、本実施例の記録装置1は、複数のローラーである従動ローラー3、駆動ローラー4及び調整ローラー6に張架された無端状の搬送ベルト5を、これらの複数のローラーを正転方向C1に正転することで正転して、搬送ベルト5の表面である支持面5aの載置範囲に載置された記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する。また、これらの複数のローラーを逆転方向C2に逆転することで、搬送ベルト5を逆転して載置範囲に載置された記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する。洗浄部10は、移動可能に構成されており、
図1で表されるように、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際は、下流側ブレード13が支持面5aに接触する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aから離間する状態となる。一方、
図2で表されるように、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際は、下流側ブレード13が支持面5aから離間する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aに接触する状態となる。
【0044】
ここで、洗浄部10の移動機構について説明する。
図1及び
図2で表されるように、洗浄部10は、2つのエアーシリンダー16を有している。エアーシリンダー16のうちのエアーシリンダー16Aは幅方向Bに沿う方向から見て洗浄液槽12の上流側ブレード14が設けられる側の底面部に配置され、エアーシリンダー16のうちのエアーシリンダー16Bは幅方向Bに沿う方向から見て洗浄液槽12の下流側ブレード13が設けられる側の底面部に配置されている。エアーシリンダー16A及びエアーシリンダー16Bは、いずれも、鉛直方向Dに沿って変位可能である。このため、これらを個別に変位させることで、
図1で表されるように下流側ブレード13を支持面5aに接触させつつ上流側ブレード14を支持面5aから離間する状態とすることができるとともに、
図2で表されるように下流側ブレード13を支持面5aから離間させつつ上流側ブレード14を支持面5aに接触する状態とすることができる。
【0045】
なお、上記のように、本実施例の記録装置1では、洗浄部10の移動機構として2つのエアーシリンダー16を有している。しかしながら、このような構成に限定されない。洗浄部10の移動機構として、1つまたは3つ以上のエアーシリンダー16を有していてもよいし、エアーシリンダー16以外の洗浄部10の移動機構を有していてもよい。
【0046】
次に、本実施例の記録装置1における電気的な構成について
図3を用いて説明する。
図3で表されるように、本実施例の記録装置1は、制御部20を備えている。制御部20には、記録装置1の全体の制御を司るCPU21が設けられている。CPU21は、システムバス22を介して、CPU21が実行する各種制御プログラム等を格納したROM23と、データを一時的に格納可能なRAM24とに接続されている。
【0047】
また、CPU21は、システムバス22を介して、記録ヘッド8を駆動する、すなわち、インクを吐出させるためのヘッド駆動部25と接続されている。
【0048】
また、CPU21は、システムバス22を介して、キャリッジモーター27、搬送モーター28、送出モーター29及び回転ブラシ駆動モーター30と接続される、モーター駆動部26と接続されている。ここで、キャリッジモーター27は、記録ヘッド8を搭載したキャリッジ7を幅方向Bに往復移動させるためのモーターである。また、搬送モーター28は、駆動ローラー4を駆動するためのモーターである。また、送出モーター29は、セット部2の回転機構であり、記録媒体Mを搬送ベルト5に送出するためにセット部2を駆動するモーターである。そして、回転ブラシ駆動モーター30は、回転ブラシ11の駆動モーターである。
【0049】
また、CPU21は、システムバス22を介して、エアーシリンダー16を駆動するエアーシリンダー駆動部31と接続されている。
【0050】
さらに、CPU21は、システムバス22を介して、画像データ等のデータ及び信号の送受信を行うためのPC34、と接続される入出力部33と接続されている。
【0051】
ここで一旦まとめると、本実施例の記録装置1は、正転方向C1及び逆転方向C2に回転可能な複数のローラーである従動ローラー3、駆動ローラー4及び調整ローラー6を備えている。また、該複数のローラーに張架され、該複数のローラーを正転することで正転して支持面5aの載置範囲に載置された記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送し、該複数のローラーを逆転することで逆転して支持面5aの載置範囲に載置された記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する無端状の搬送ベルト5を備えている。また、搬送ベルト5に載置された記録媒体Mにインクを吐出して記録を行う記録ヘッド8を備えている。そして、記録媒体Mが支持面5aの載置範囲から外れて記録媒体Mが支持面5aから剥離した位置よりも前記正搬送方向における下流の位置において、支持面5aに洗浄液15を付着させる洗浄液付着部を構成する回転ブラシ11と、支持面5aに当接することで回転ブラシ11によって支持面5aに付着した洗浄液15を除去する第1ブレードとしての上流側ブレード14と、上流側ブレード14を支持面5aに対して接触する方向及び離間する方向である接離方向に移動するブレード移動部としてのエアーシリンダー16と、を有する、洗浄部10を備えている。なお、
図1及び
図2を比較するとわかるように、本実施例における「接離方向」は、幅方向Bから見て鉛直方向Dに対して傾斜する斜め方向であるが、鉛直方向Dや水平方向などであってもよい。ここで、本実施例の記録装置1においては、
図1及び
図2で表されるように、搬送ベルト5に対して、正搬送方向A1において上流側から、記録ヘッド8、上流側ブレード14、回転ブラシ11の順に配置されている。そして、制御部20がエアーシリンダー駆動部31を制御することにより、エアーシリンダー16は、
図2で表されるように搬送ベルト5が逆転しているときには上流側ブレード14を支持面5aに対して接触させ、
図1で表されるように搬送ベルト5が正転しているときには上流側ブレード14を支持面5aに対して離間させる。
【0052】
このように、本実施例の記録装置1は、記録ヘッド8と回転ブラシ11との間に上流側ブレード14を備えており、搬送ベルト5が逆転し記録媒体Mを逆搬送しているときには上流側ブレード14を搬送ベルト5の支持面5aに対して接触させる。このことで、搬送ベルト5の支持面5aに付着した洗浄液15が記録媒体Mに至る前に、上流側ブレード14により該洗浄液15を除去することが可能になる。このため、本実施例の記録装置1は、記録媒体Mを逆搬送させた際に記録媒体Mに洗浄液15が付着することを抑制することができる。
【0053】
また、本実施例の記録装置1は、洗浄液付着部として、洗浄液15を貯留する洗浄液槽12と、支持面5aに接触しつつ一部が洗浄液15に浸漬された状態で回転する回転ブラシ11と、を有している。そして、上流側ブレード14は、洗浄液槽12に固定され、エアーシリンダー16は、洗浄液槽12を移動することで上流側ブレード14を支持面5aに対して接離方向に移動する。本実施例の記録装置1は、回転ブラシ11を用いて搬送ベルト5を効果的に洗浄できる。また、本実施例の記録装置1は、洗浄液槽12を移動することで上流側ブレード14を記録媒体Mの支持面5aに対して接離方向に移動する構成としていることで、回転ブラシ11が設けられた洗浄液槽12の移動機構と上流側ブレード14の移動機構とを共通化しており、装置構成を簡単にしている。
【0054】
また、上記のように、本実施例の記録装置1は、支持面5aに当接することで回転ブラシ11によって支持面5aに付着した洗浄液15を除去する第2ブレードとしての下流側ブレード13を備えている。また、エアーシリンダー16は、下流側ブレード13を支持面5aに対して接離方向に移動可能である。ここで、本実施例の記録装置1においては、
図1及び
図2で表されるように、搬送ベルト5に対して、正搬送方向A1において上流側から、記録ヘッド8、上流側ブレード14、回転ブラシ11、下流側ブレード13の順に配置されている。そして、エアーシリンダー16は、
図2で表されるように搬送ベルト5が逆転しているときには下流側ブレード13を支持面5aに対して離間させ、
図1で表されるように搬送ベルト5が正転しているときには下流側ブレード13を支持面5aに対して接触させる。
【0055】
このように、本実施例の記録装置1は、搬送ベルト5に対して、正搬送方向A1において回転ブラシ11の下流側に下流側ブレード13を備える。そして、搬送ベルト5が正転しているときには下流側ブレード13を記録媒体Mの支持面5aに対して接触させる。このため、本実施例の記録装置1は、記録動作の実行中など記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送させている際に、回転ブラシ11により搬送ベルト5の支持面5aに付着した洗浄液15を記録媒体Mに至る前に下流側ブレード13で除去することができる。
【0056】
また、下流側ブレード13に関して別の観点から説明すると、本実施例の記録装置1においては、下流側ブレード13は、洗浄液槽12に固定されている。そして、エアーシリンダー16は、洗浄液槽12を移動することで下流側ブレード13を支持面5aに対して接離方向に移動可能である。このように、本実施例の記録装置1においては、洗浄液槽12を移動することで上流側ブレード14に加えて下流側ブレード13を搬送ベルト5の支持面5aに対して接離方向に移動する構成としていることで、回転ブラシ11が設けられた洗浄液槽12の移動機構と上流側ブレード14の移動機構と下流側ブレード13の移動機構とを共通化しており、装置構成を簡単にしている。
【0057】
また、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16は、
図2で表されるように、幅方向Bから見て、別の表現をすると、複数のローラーの回転軸方向から見て、洗浄液槽12を傾斜させることで、上流側ブレード14及び下流側ブレード13を支持面5aに対して接離方向に移動する。このように、本実施例の記録装置1は、洗浄液槽12を傾斜させることで、上流側ブレード14及び下流側ブレード13を支持面5a対して接離方向に移動する構成であるが、このような構成に限定されない。
【0058】
[実施例2]
次に、実施例2の記録装置1について
図4及び
図5を参照して説明する。
図4は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。また、
図5は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の記録装置1は、洗浄部10におけるブレード移動部の構成以外は実施例1の記録装置1と同様の構成であるため、下記の説明箇所以外は実施例1の記録装置1と同様の特徴を有しており、構成が共通する部分についての説明は省略する。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0059】
上記のように、実施例1の記録装置1においては、ブレード移動部として、エアーシリンダー16A及びエアーシリンダー16Bと、2つのエアーシリンダー16を備えていた。一方、
図4及び
図5で表されるように、本実施例の記録装置1においては、ブレード移動部として、実施例1の記録装置1におけるエアーシリンダー16Bと同様のエアーシリンダー16Bと、洗浄液槽12を回転可能に支持する支持部17と、を備えている。
【0060】
そして、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16Bを鉛直方向Dに伸縮させることで、
図4で表されるように下流側ブレード13を支持面5aに接触させつつ上流側ブレード14を支持面5aから離間する状態とすることができるとともに、
図5で表されるように下流側ブレード13を支持面5aから離間させつつ上流側ブレード14を支持面5aに接触する状態とすることができる。なお、実施例1の記録装置1と同様、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際は、
図4で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aに接触する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aから離間する状態となる。一方、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際は、
図5で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aから離間する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aに接触する状態となる。
【0061】
[実施例3]
次に、実施例3の記録装置1について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。また、
図7は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の記録装置1は、洗浄部10の構成以外は実施例1及び実施例2の記録装置1と同様の構成であるため、下記の説明箇所以外は実施例1及び実施例2の記録装置1と同様の特徴を有しており、構成が共通する部分についての説明は省略する。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0062】
上記のように、実施例1及び実施例2の記録装置1においては、上流側ブレード14及び下流側ブレード13はともに洗浄液槽12に設けられていた。一方、
図6及び
図7で表されるように、本実施例の記録装置1は、洗浄液15を貯留することが可能な貯留部18(貯留部18A)を備え、下流側ブレード13は洗浄液槽12に設けられているものの、上流側ブレード14は貯留部18Aに設けられている。また、
図6及び
図7で表されるように、洗浄液槽12の底面部には洗浄液槽12を鉛直方向Dに沿って移動可能なエアーシリンダー16Dが設けられ、貯留部18Aの底面部には貯留部18Aを鉛直方向Dに沿って移動可能なエアーシリンダー16Cが設けられている。
【0063】
そして、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16C及びエアーシリンダー16Dを鉛直方向Dに伸縮させることで、
図6で表されるように下流側ブレード13を支持面5aに接触させつつ上流側ブレード14を支持面5aから離間する状態とすることができるとともに、
図7で表されるように下流側ブレード13を支持面5aから離間させつつ上流側ブレード14を支持面5aに接触する状態とすることができる。なお、実施例1及び実施例2の記録装置1と同様、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際は、
図6で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aに接触する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aから離間する状態となる。一方、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際は、
図7で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aから離間する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aに接触する状態となる。
【0064】
このように、本実施例の記録装置1においては、上流側ブレード14が取り付けられ、上流側ブレード14によって支持面5aから除去された洗浄液15を貯留する貯留部18Aを備え、ブレード移動部としてのエアーシリンダー16Cは、貯留部18Aを移動することで上流側ブレード14を支持面5aに対して接離方向に移動する。上記のように、本実施例の記録装置1は、上流側ブレード14が取り付けられ、上流側ブレード14によって搬送ベルト5の支持面5aから除去された洗浄液15を貯留する貯留部18Aを備える。このため、本実施例の記録装置1は、上流側ブレード14によって搬送ベルト5の支持面5aから除去された洗浄液15が装置内で散乱して該洗浄液15で装置を汚してしまうことを抑制できる。ここで、貯留部18Aは、洗浄液15の除去時には洗浄液15が外部に飛び散らないように支持面5aに近い位置にあることが好ましく、洗浄液15の除去時以外には搬送ベルト5の回転の妨げにならないよう支持面5aから遠い位置にあることが好ましい。ここで、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16Cは、貯留部18Aを移動することで上流側ブレード14を搬送ベルト5の支持面5aに対して接離方向に移動する構成なので、貯留部18Aの移動機構と上流側ブレード14の移動機構とをエアーシリンダー16Cで共通化でき、装置構成を簡単にすることができる。
【0065】
また、別の観点から説明すると、下流側ブレード13は、洗浄液槽12に固定されている。そして、エアーシリンダー16Dは、洗浄液槽12を移動することで、
図6で表されるように搬送ベルト5が逆転しているときには下流側ブレード13を支持面5aに対して離間させ、
図7で表されるように搬送ベルト5が正転しているときには下流側ブレード13を支持面5aに対して接触させる。このため、記録動作の実行中など記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送させている際に、回転ブラシ11により搬送ベルト5の支持面5aに付着した洗浄液15を記録媒体Mに至る前に下流側ブレード13で除去することができる。
【0066】
[実施例4]
次に、実施例4の記録装置1について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。また、
図9は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の記録装置1は、洗浄部10の構成以外は実施例1から実施例3の記録装置1と同様の構成であるため、下記の説明箇所以外は実施例1から実施例3の記録装置1と同様の特徴を有しており、構成が共通する部分についての説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例3と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0067】
上記のように、実施例3の記録装置1においては、下流側ブレード13は洗浄液槽12に設けられ、上流側ブレード14は貯留部18Aに設けられていた。一方、
図8及び
図9で表されるように、本実施例の記録装置1は、貯留部18として貯留部18Bを備え、下流側ブレード13は貯留部18Bに設けられ、上流側ブレード14は洗浄液槽12に設けられている。また、
図8及び
図9で表されるように、本実施例の記録装置1は、洗浄液槽12及び貯留部18Bを水平方向Eに沿って移動可能なエアーシリンダー16Eが設けられている。
【0068】
そして、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16Eを水平方向Eに伸縮させることで、
図8で表されるように下流側ブレード13を支持面5aに接触させつつ上流側ブレード14を支持面5aから離間する状態とすることができるとともに、
図9で表されるように下流側ブレード13を支持面5aから離間させつつ上流側ブレード14を支持面5aに接触する状態とすることができる。なお、実施例1から実施例3の記録装置1と同様、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際は、
図8で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aに接触する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aから離間する状態となる。一方、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際は、
図9で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aから離間する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aに接触する状態となる。
【0069】
[実施例5]
次に、実施例5の記録装置1について
図10及び
図11を参照して説明する。
図10は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。また、
図11は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の記録装置1は、洗浄部10の構成以外は実施例1から実施例4の記録装置1と同様の構成であるため、下記の説明箇所以外は実施例1から実施例4の記録装置1と同様の特徴を有しており、構成が共通する部分についての説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例4と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0070】
上記のように、実施例3及び実施例4の記録装置1においては、1つの貯留部18を設け、下流側ブレード13及び上流側ブレード14のうちの一方は洗浄液槽12に設けられ、他方は貯留部18に設けられていた。一方、
図10及び
図11で表されるように、本実施例の記録装置1は、貯留部18として貯留部18Cと貯留部18Dとを備え、下流側ブレード13は貯留部18Dに設けられ、上流側ブレード14は貯留部18Cに設けられている。また、
図10及び
図11で表されるように、本実施例の記録装置1は、貯留部18Cの底面部には貯留部18Cを鉛直方向Dに沿って移動可能なエアーシリンダー16Fが設けられ、貯留部18Dの底面部には貯留部18Dを鉛直方向Dに沿って移動可能なエアーシリンダー16Gが設けられている。
【0071】
そして、本実施例の記録装置1においては、エアーシリンダー16F及びエアーシリンダー16Gを鉛直方向Dに伸縮させることで、
図10で表されるように下流側ブレード13を支持面5aに接触させつつ上流側ブレード14を支持面5aから離間する状態とすることができるとともに、
図11で表されるように下流側ブレード13を支持面5aから離間させつつ上流側ブレード14を支持面5aに接触する状態とすることができる。なお、実施例1から実施例4の記録装置1と同様、記録媒体Mを正搬送方向A1に搬送する際は、
図10で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aに接触する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aから離間する状態となる。一方、記録媒体Mを逆搬送方向A2に搬送する際は、
図11で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aから離間する状態となるとともに、上流側ブレード14が支持面5aに接触する状態となる。
【0072】
また、
図10及び
図11で表されるように、本実施例の記録装置1は、貯留部18から洗浄液槽12につながる洗浄液15の流路19を備えている。詳細には、本実施例の記録装置1は、貯留部18Cから洗浄液槽12につながり貯留部18Cに溜まった洗浄液15を洗浄液槽12に戻すことが可能な洗浄液15の流路19Aと、貯留部18Dから洗浄液槽12につながり貯留部18Dに溜まった洗浄液15を洗浄液槽12に戻すことが可能な洗浄液15の流路19Bと、を備えている。このように、本実施例の記録装置1は、貯留部18から洗浄液槽12につながる洗浄液15の流路を備えるので、洗浄液15を繰り返し使用することができ、洗浄液15の無駄使いを抑制できる。なお、実施例3及び実施例4の記録装置1に、本実施例のような流路19を適用してもよい。
【0073】
[実施例6]
次に、実施例6の記録装置1について
図12から
図14を参照して説明する。このうち、
図13は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図1に対応する図である。また、
図14は本実施例の記録装置1の概略側面図であり、実施例1の記録装置1の
図2に対応する図である。ここで、本実施例の記録装置1は、洗浄部10の構成以外は実施例1から実施例5の記録装置1と同様の構成であるため、下記の説明箇所以外は実施例1から実施例5の記録装置1と同様の特徴を有しており、構成が共通する部分についての説明は省略する。なお、上記実施例1から実施例5と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。
【0074】
上記のように、実施例1から実施例5の記録装置1では、下流側ブレード13に加えて上流側ブレード14を備えていた。一方、
図13及び
図14で表されるように、本実施例の記録装置1は、下流側ブレード13は備えるものの上流側ブレード14は備えていない。このように、本実施例の記録装置1は、上流側ブレード14を備えていないため、
図12で表されるフローチャートに基づいて記録媒体の逆搬送を行う。
【0075】
具体的には、本実施例の記録装置1を用いて記録媒体の逆搬送方法を実行すると、最初に、ステップS110において、
図13で表される状態からエアーシリンダー16Hを鉛直方向Dに縮ませて回転ブラシ11を支持面5aから離間させる。なお、この際、エアーシリンダー16Iは伸ばした状態を維持する。
【0076】
次に、ステップS120で、搬送ベルト5を正転方向C1に正転させる。ここで、本ステップにおける搬送ベルト5の移動量は、ステップS110の実行時における支持面5aのうちの回転ブラシ11が接触していた領域が下流側ブレード13を少なくとも超える移動量となる。なお、エアーシリンダー16Iは伸ばした状態が維持されるので、下流側ブレード13を支持面5aに接触させた状態で搬送ベルト5の正転は行われる。
【0077】
次に、ステップS130で、
図14で表されるように、エアーシリンダー16Iを鉛直方向Dに縮ませて下流側ブレード13を支持面5aから離間させる。なお、この際、回転ブラシ11が支持面5aから離間した状態は維持される。
【0078】
次に、ステップS140で、
図14で表されるように下流側ブレード13及び回転ブラシ11を支持面5aから離間させた状態を維持しつつ、搬送ベルト5を逆転させて、所望量の記録媒体の逆搬送を行う。そして、本ステップの終了に伴い、本実施例における記録媒体の逆搬送方法を終了する。なお、搬送ベルト5を逆転させる前に、支持面5aにおける下流側ブレード13と接触していた領域を拭き取る工程を実行してもよい。
【0079】
本実施例の記録装置1は、実施例1の記録装置1と同様、制御部20を備えており、制御部20は、搬送ベルト5の正転及び逆転、並びに、回転ブラシ11及び下流側ブレード13の接離方向の移動を制御する。そして、制御部20は、まず、搬送ベルト5を逆転させる際、ステップS110で表されるように、回転ブラシ11を支持面5a対して接触しない非接触位置に位置させる。そして、ステップS120で表されるように、下流側ブレード13を支持面5aに接触させた状態で支持面5aのうちの回転ブラシ11が接触していた領域が下流側ブレード13を超えるまで搬送ベルト5を正転させる。そして、ステップS130で表されるように、下流側ブレード13を支持面5aに対して離間させる。そして、ステップS140で表されるように、下流側ブレード13を支持面5aに対して離間した状態で搬送ベルト5を逆転させる。本実施例の記録装置1は、制御部20の制御によりこのような動作をすることで、記録媒体Mを逆搬送させた際に記録媒体Mに洗浄液15が付着することを抑制することができる。
【0080】
記録媒体の逆搬送方法の観点から、上記について別の表現をすると、本実施例の記録装置1を用いて、以下の各工程を実行する記録媒体の逆搬送方法を実行することで、記録媒体Mを逆搬送させた際に記録媒体Mに洗浄液15が付着することを抑制することができる。具体的には、最初に、ステップS110で表されるように、回転ブラシ11を非接触位置に位置させる工程を実行する。次に、ステップS120で表されるように、下流側ブレード13を支持面5aに接触させた状態で支持面5aのうちの回転ブラシ11が接触していた領域が下流側ブレード13を超えるまで搬送ベルト5を正転させる工程を実行する。次に、ステップS130で表されるように、下流側ブレード13を支持面5aに対して離間させる工程を実行する。そして、ステップS140で表されるように、下流側ブレード13が支持面5aに対して離間した状態で搬送ベルト5を逆転させる工程を実行する。
【0081】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1…記録装置、2…セット部、3…従動ローラー、4…駆動ローラー、
5…搬送ベルト、5a…支持面(表面)、6…調整ローラー、7…キャリッジ、
8…記録ヘッド、9…媒体貼り付け部、10…洗浄部、
11…回転ブラシ(洗浄液付着部)、12…洗浄液槽(洗浄液付着部)、
13…下流側ブレード(第2ブレード)、14…上流側ブレード(第1ブレード)、
15…洗浄液、16…エアーシリンダー(ブレード移動部)、
16A…エアーシリンダー、16B…エアーシリンダー、16C…エアーシリンダー、
16D…エアーシリンダー、16E…エアーシリンダー、16F…エアーシリンダー、
16G…エアーシリンダー、16H…エアーシリンダー、16I…エアーシリンダー、
17…支持部(ブレード移動部)、18…貯留部、18A…貯留部、18B…貯留部、
18C…貯留部、18D…貯留部、19…流路、19A…流路、19B…流路、
20…制御部、21…CPU、22…システムバス、23…ROM、24…RAM、
25…ヘッド駆動部、26…モーター駆動部、27…キャリッジモーター、
28…搬送モーター、29…送出モーター、30…回転ブラシ駆動モーター、
31…エアーシリンダー駆動部、33…入出力部、34…PC、40…搬送装置、
M…記録媒体