IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-印刷装置 図1
  • 特許-印刷装置 図2
  • 特許-印刷装置 図3
  • 特許-印刷装置 図4
  • 特許-印刷装置 図5
  • 特許-印刷装置 図6
  • 特許-印刷装置 図7
  • 特許-印刷装置 図8
  • 特許-印刷装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240710BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
B41J2/165 303
B41J2/17 203
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020162954
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055497
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】下村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 聖也
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-073154(JP,A)
【文献】特開2005-111939(JP,A)
【文献】特開2008-143039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0307026(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、前記記録位置において吐出面から液体を吐出することで前記媒体に記録する記録部と、
前記記録部の移動方向である第1移動方向と交差する第2移動方向に沿って、前記記録部に対するメンテンナンス動作が可能となるメンテナンス位置と、前記メンテナンス位置から離れた非メンテナンス位置とに移動可能に設けられるメンテナンス部と、
を備え、
前記メンテナンス部には、前記メンテナンス部が前記非メンテナンス位置にある状態において、前記記録部の一部が前記第1移動方向に移動することを許容する少なくとも1つの許容部が形成され
前記メンテナンス部は、前記第2移動方向の移動に伴って前記吐出面の前記液体を掻き取る掻取部を有し、
前記第1移動方向から見て、前記掻取部の少なくとも一部と前記許容部が前記第2移動方向にオーバーラップし、
前記掻取部は、前記第1移動方向から見て前記メンテナンス部の少なくとも一部を2つの領域に区画するブレードであり、
前記2つの領域は、前記ブレードによって掻き取られた液体が流れる領域と、前記液体が流れる領域とは反対の領域であり、
前記許容部は、前記2つの領域のうち、前記液体が流れる領域とは反対の領域内に形成され、
前記メンテナンス部は、
前記ブレードを保持するブレード保持部と、
前記第2移動方向に移動可能に設けられ、前記第1移動方向において前記ブレード保持部を支持する支持部と、
を備え、
前記許容部は、
前記支持部に形成された第1許容部と、
前記ブレード保持部に形成され、前記第2移動方向において前記第1許容部よりも前記ブレードに向けて窪んだ第2許容部と、
を有する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記許容部は、前記記録部の一部が前記許容部を前記第1移動方向に通過可能に形成される、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、
前記ブレードは、前記第1移動方向から見て、前記第2移動方向と交差する交差方向に延びる、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の印刷装置において、
前記メンテナンス部は、前記ブレードによって掻き取られた前記液体を収容する液体収容部を有し、
前記第2移動方向において前記液体収容部の少なくとも一部と前記許容部がオーバーラップする、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項に記載の印刷装置において、
前記記録部は、鉛直方向と交差する方向を前記第1移動方向として移動可能に設けられ、
前記メンテナンス部は、前記第2移動方向に見て、前記第1移動方向と直交する方向に沿った傾斜状態で配置され、
前記液体収容部は、前記鉛直方向において前記ブレードに対する下方に位置し、
前記許容部は、前記鉛直方向において前記ブレードに対する上方に位置する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか一項に記載の印刷装置において、
前記許容部は凹部である、
ことを特徴とする印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のプリンタは、ヘッドユニットと、ヘッドユニットを昇降させるヘッド昇降機構と、ヘッドユニットの吐出面を払拭するワイパユニットと、ワイパユニットを移動させるワイパ移動機構とを有する。ヘッドユニットが印刷を行う場合、ワイパユニットは、ヘッドユニットに隣り合う待機位置にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-159672号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のプリンタにおいて、ヘッドユニットから離れた待機位置にワイパユニットを待機させるためには、ヘッドユニットの幅とワイパユニットの幅との合計幅に相当する大きさが装置本体に必要となり、装置が大型化する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為の、本発明に係る印刷装置は、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、前記記録位置において吐出面から液体を吐出することで前記媒体に記録する記録部と、前記記録部の移動方向である第1移動方向と交差する第2移動方向に沿って、前記記録部に対するメンテンナンス動作が可能となるメンテナンス位置と、前記メンテナンス位置から離れた非メンテナンス位置とに移動可能に設けられるメンテナンス部と、を備え、前記メンテナンス部には、前記メンテナンス部が前記非メンテナンス位置にある状態において、前記記録部の一部が前記第1移動方向に移動することを許容する少なくとも1つの許容部が形成されることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るプリンター及び媒体の搬送経路を表す図。
図2】実施形態に係るプリンターの内部のラインヘッド及び周辺部を表す斜視図。
図3】実施形態に係るプリンターのラインヘッドの斜視図。
図4】実施形態に係るプリンターのラインヘッドの一部の底面図。
図5】実施形態に係るプリンターのラインヘッドを案内するガイド部の斜視図。
図6】実施形態に係るプリンターにおいて非メンテナンス位置に配置されたワイパーユニットを表す斜視図。
図7】実施形態に係るプリンターのブレードユニットの斜視図。
図8】実施形態に係るプリンターのラインヘッド及びワイパーユニットの配置状態を表す平面図。
図9】実施形態に係るプリンターのワイパーユニットを+B方向に見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明について概略的に説明する。
第1の態様に係る印刷装置は、媒体への記録が可能となる記録位置と、前記記録位置から離れた退避位置とに移動可能に設けられ、前記記録位置において吐出面から液体を吐出することで前記媒体に記録する記録部と、前記記録部の移動方向である第1移動方向と交差する第2移動方向に沿って、前記記録部に対するメンテンナンス動作が可能となるメンテナンス位置と、前記メンテナンス位置から離れた非メンテナンス位置とに移動可能に設けられるメンテナンス部と、を備え、前記メンテナンス部には、前記メンテナンス部が前記非メンテナンス位置にある状態において、前記記録部の一部が前記第1移動方向に移動することを許容する少なくとも1つの許容部が形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部の一部が、前記メンテナンス部の一部を構成する少なくとも1つの前記許容部において、前記第1移動方向に移動することが許容されるので、前記第2移動方向において前記記録部の一部と前記メンテナンス部とをオーバーラップさせることが可能となる。これにより、前記記録部の一部と前記メンテナンス部が前記第2移動方向にオーバーラップしない構成に比べて、前記印刷装置が前記第2移動方向に大型化することを抑制できる。
【0008】
第2の態様に係る印刷装置は、第1の態様において、前記許容部は、前記記録部の一部が前記許容部を前記第1移動方向に通過可能に形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録部の前記第1方向の移動が前記許容部までにおいて停止される構成に比べて、前記第1移動方向における前記記録部の移動可能な範囲が拡がる。これにより、前記記録部が前記媒体に記録を行う位置を、前記メンテナンス部から遠い位置に設定することが可能となるので、搬送される前記媒体が前記メンテナンス部と干渉することを防ぐことができる。
【0009】
第3の態様に係る印刷装置は、第1の態様又は第2の態様において、前記メンテナンス部は、前記第2移動方向の移動に伴って前記吐出面の前記液体を掻き取る掻取部を有し、前記第1移動方向から見て、前記掻取部の少なくとも一部と前記許容部が前記第2移動方向にオーバーラップすることを特徴とする。
本態様によれば、前記掻取部と前記許容部が前記第2移動方向にオーバーラップせずに並ぶ構成に比べて、前記メンテナンス部の前記第2移動方向の幅が小さくなるので、前記印刷装置が前記第2移動方向に大型化することを抑制できる。
【0010】
第4の態様に係る印刷装置は、第3の態様において、前記掻取部は、前記第1移動方向から見て前記メンテナンス部の少なくとも一部を2つの領域に区画するブレードであり、前記許容部は、前記ブレードによって区画される2つの領域のうち、前記液体が流れる領域とは反対の領域内に形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記メンテナンス部において前記液体が流れる領域内に前記許容部を形成しなくて済む。つまり、前記液体が流れる領域を減少させずに済むので、前記液体が流れ難くなることを抑制できる。
【0011】
第5の態様に係る印刷装置は、第4の態様において、前記ブレードは、前記第1移動方向から見て、前記第2移動方向と交差する交差方向に延びることを特徴とする。
本態様によれば、前記ブレードが前記第1移動方向から見て前記第2移動方向と直交する方向に延びる構成と比べて、前記許容部を形成可能な領域の一部が、前記第2移動方向に拡大される。これにより、前記第2移動方向における前記記録部と前記メンテナンス部との重ね代が大きくなるので、前記印刷装置が前記第2移動方向に大型化することを抑制できる。
【0012】
第6の態様に係る印刷装置は、第4の態様又は第5の態様において、前記メンテナンス部は、前記ブレードによって掻き取られた前記液体を収容する液体収容部を有し、前記第2移動方向において前記液体収容部の少なくとも一部と前記許容部がオーバーラップすることを特徴とする。
本態様によれば、前記第2移動方向において前記液体収容部と前記許容部がオーバーラップしない構成に比べて、前記メンテナンス部の前記第2移動方向の幅を小さくできるので、前記印刷装置が前記第2移動方向に大型化することを抑制できる。
【0013】
第7の態様に係る印刷装置は、第6の態様において、前記記録部は、鉛直方向と交差する方向を前記第1移動方向として移動可能に設けられ、前記メンテナンス部は、前記第2移動方向に見て、前記第1移動方向と直交する方向に沿った傾斜状態で配置され、前記液体収容部は、前記鉛直方向において前記ブレードに対する下方に位置し、前記許容部は、前記鉛直方向において前記ブレードに対する上方に位置することを特徴とする。
本態様によれば、前記液体収容部が前記ブレードに対する下方に位置することで、前記掻取部によって掻き取られた前記液体が、前記液体収容部へ自重の作用によって流れるので、前記液体を前記液体収容部に捕集し易くすることができる。
さらに、前記許容部が、前記ブレードに対する上方の空き領域に位置することで、前記メンテナンス部における前記ブレードの周辺の領域が無駄なく利用されるので、前記メンテナンス部が大型化することを抑制できる。
【0014】
第8の態様に係る印刷装置は、第4の態様から第7の態様のいずれか1つにおいて、前記メンテナンス部は、前記ブレードを保持するブレード保持部と、前記第2移動方向に移動可能に設けられ、前記第1移動方向において前記ブレード保持部を支持する支持部と、を備え、前記許容部は、前記支持部に形成された第1許容部と、前記ブレード保持部に形成され、前記第2移動方向において前記第1許容部よりも前記ブレードに向けて窪んだ第2許容部と、を有することを特徴とする。
本態様によれば、前記第2許容部と前記第1許容部が同じ大きさの構成に比べて、前記第2許容部が前記第1許容部よりも前記ブレードに向けて窪んでいることで、前記ブレード保持部の体積及び質量を減らすことができる。これにより、前記メンテナンス部から前記ブレード保持部を取り出して前記ブレードの交換などを行う場合、前記ブレード保持部を取り出し易くすることができる。
【0015】
以下、本発明に係る印刷装置の一例としての実施形態のプリンター1を具体的に説明する。
図1に示されるように、プリンター1は、記録用紙に代表される媒体Mに対し、液体の一例であるインクKを吐出することで記録を行うインクジェット方式の装置として構成される。なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。
X方向は、プリンター1の操作者から見た装置幅方向であり、水平方向である。X方向のうち左に向かう方向を+X方向、右に向かう方向を-X方向とする。
Y方向は、媒体Mの搬送方向と交差する媒体Mの幅方向且つ装置奥行き方向であり、水平方向である。また、Y方向は、後述するA方向及びB方向の両方と交差する。Y方向の手前に向かう方向を+Y方向、奥に向かう方向を-Y方向とする。さらに、Y方向は、後述するワイパーユニット80の移動方向の一例であり、Z方向及び後述するA方向の両方と交差する。
Z方向は、装置高さ方向であり、一例として、鉛直方向である。Z方向の上に向かう方向を+Z方向、下に向かう方向を-Z方向とする。
【0016】
プリンター1において、媒体Mは、破線で表す搬送経路Tを通って搬送される。X-Z面に示されるA-B座標系は、直交座標系である。
A方向は、搬送経路Tのうち後述するラインヘッド40と対向する領域における媒体Mの搬送方向である。A方向の上流に向かう方向を-A方向、下流に向かう方向を+A方向とする。また、A方向は、Z方向に対して交差する交差方向の一例である。本実施形態において、A方向は、搬送経路Tの+A方向の位置が-A方向の位置よりも+Z方向に位置するように傾いた方向である。具体的には、A方向は、Z方向に対して20°~40°の範囲で傾斜し、より具体的には概ね30°傾斜する。換言すると、A方向は、X方向に対して概ね60°傾斜する。
【0017】
B方向は、後述する吐出面42と直交する直交方向の一例であり、後述するラインヘッド40が後述する搬送ユニット10に対し進退する方向である。また、B方向は、ラインヘッド40の移動方向である第1移動方向の一例である。さらに、B方向は、鉛直方向と交差する方向である。B方向においてラインヘッド40が搬送ユニット10に近づく方向を+B方向、搬送ユニット10から離れる方向を-B方向とする。B方向は、-B方向の位置が+B方向の位置よりも+Z方向に位置するように傾いた方向である。
【0018】
プリンター1は、装置本体の一例としての筐体2を有する。筐体2のZ方向の中央よりも+Z方向には、記録された媒体Mが排出される空間を含む排出部3が形成される。また、筐体2には、複数の媒体カセット4が設けられる。
複数の媒体カセット4には、媒体Mが収容される。各媒体カセット4に収容された媒体Mは、ピックローラー6及び搬送ローラー対7、8によって搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tには、外部装置から媒体Mが搬送される搬送路T1と、筐体2に設けられた手差トレイ9から媒体Mが搬送される搬送路T2とが合流する。
【0019】
搬送経路Tには、搬送ユニット10と、媒体Mを搬送する複数の搬送ローラー対11と、媒体Mが搬送される経路を切り替える複数のフラップ12と、媒体MのY方向の幅を検出する媒体幅センサー13とが配置される。
搬送ユニット10は、2つのプーリー14と、2つのプーリー14に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト15と、一方のプーリー14を駆動する不図示のモーターとを有する。媒体Mは、搬送ベルト15のベルト面に吸着されつつ、後述するラインヘッド40と対向する位置を+A方向に搬送される。
搬送経路Tは、媒体幅センサー13から+A方向に延びる。搬送経路Tにおける搬送ユニット10よりも下流には、排出部3に向かう搬送路T3及び搬送路T4と、媒体Mの表裏を反転させるための反転路T5とが設けられる。排出部3の底部には、排出トレイ21が設けられる。排出トレイ21は、媒体Mが載置される載置面21Aを有する。
【0020】
また、筐体2内には、インクKを収容するインクタンク23と、インクKの廃液を貯留する廃液貯留部16と、プリンター1の各部の動作を制御する制御部26とが設けられる。インクタンク23は、不図示のチューブを介してラインヘッド40へインクKを供給する。廃液貯留部16は、後述するワイパーユニット80又はキャップユニット110において回収された廃液としてのインクKを貯留する。
制御部26は、不図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成され、プリンター1における媒体Mの搬送や、ラインヘッド40及びワイパーユニット80を含む各部の動作を制御する。
【0021】
図2に示されるように、筐体2の内部には、1組の側壁の一例として、サイドフレーム32及びサイドフレーム34が設けられる。サイドフレーム32とサイドフレーム34は、Y方向に間隔をあけて対向配置される。
サイドフレーム32は、一例として、板金で構成されており、筐体2の内部においてA-B面に沿って直立される。また、サイドフレーム32は、筐体2のY方向の中央に対する-Y方向に配置される。サイドフレーム32には、Y方向に貫通する貫通孔36が形成される。貫通孔36の大きさ及び形状は、後述するワイパーユニット80が貫通孔36をY方向に通過可能となる大きさ及び形状とされる。
【0022】
サイドフレーム34は、一例として、板金で構成されており、筐体2の内部においてA-B面に沿って直立される。また、サイドフレーム34は、筐体2のY方向の中央に対する+Y方向に配置される。サイドフレーム34には、貫通孔は形成されない。サイドフレーム32及びサイドフレーム34は、横フレーム38A、38B、38Cによって繋げられる。また、サイドフレーム32とサイドフレーム34との間の空間には、ラインヘッド40が配置される。
【0023】
図1に示されるように、プリンター1は、媒体Mに記録するラインヘッド40と、ラインヘッド40の後述するノズルNを清掃するワイパーユニット80とを備える。さらに、プリンター1は、ラインヘッド40をB方向に移動させるヘッド移動ユニット58(図2)と、ノズルNを覆うキャップユニット110とを備える。
キャップユニット110は、不図示のラック及びピニオンを含む駆動機構によって、A方向の往復移動が可能とされる。また、キャップユニット110は、ラインヘッド40が後述する記録位置に移動される場合、ラインヘッド40に対して-A方向に退避される。さらに、キャップユニット110は、ラインヘッド40が後述する退避位置にある場合、複数のノズルNを覆うように+A方向に移動され、複数のノズルNから吐出されたインクKを回収する。キャップユニット110に回収されたインクKは、廃液貯留部16に送られる。
【0024】
図3に示されるように、ラインヘッド40は、記録部の一例であり、吐出面42を備える。吐出面42は、一例として、A-Y面に沿って配置される。また、吐出面42は、インクKが吐出される複数のノズルNを有する。複数のノズルNは、複数の吐出口の一例であり、媒体MのY方向の全域をカバーする。そして、ラインヘッド40は、後述する記録位置において、吐出面42の複数のノズルNからインクKを吐出することで媒体Mに記録する。
このように、ラインヘッド40は、媒体MのY方向への移動を伴わずに媒体MのY方向の全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。但し、インク吐出ヘッドの構成は、ラインヘッド40に限らず、キャリッジに搭載されて媒体MのY方向に移動しながらインクを吐出するシリアルタイプの構成でもよい。
【0025】
また、ラインヘッド40は、Y方向に延在される。ラインヘッド40のY方向の両端部には、それぞれ1つの支持フレーム52が取り付けられる。支持フレーム52は、A-B面に沿った側板として構成されており、ラインヘッド40から-B方向へ延びる。なお、ラインヘッド40及び支持フレーム52は、サイドフレーム32とサイドフレーム34(図2)との間に配置される。つまり、ラインヘッド40は、サイドフレーム32とサイドフレーム34との間でB方向に移動可能とされる。
【0026】
2つの支持フレーム52には、Y方向の外側へ突出する突出部54がそれぞれ2つ設けられる。2つの突出部54は、ラインヘッド40の一部の一例であり、支持フレーム52においてB方向に間隔をあけて配置される。
突出部54は、支持フレーム52からY方向の外側に延びる軸部55と、軸部55の先端部に回転可能に設けられたベアリング56とを有する。軸部55は、Y方向に沿った中心軸を有する円柱状に形成される。ベアリング56は、軸部55の中心軸の周りに回転可能である。支持フレーム52において、-B方向のベアリング56と+B方向のベアリング56との間隔に相当する長さは、B方向における貫通孔36(図2)の幅に相当する長さよりも長い。
【0027】
図2に示されるように、支持フレーム52には、ラック57が設けられる。ラック57は、Y方向を厚さ方向とする板状の部材であり、B方向に延びる。ラックの-A方向の端部には、B方向に並ぶ複数の歯部57Aが形成される。
ヘッド移動ユニット58は、ラインヘッド40を移動させる移動機構部の一例である。また、ヘッド移動ユニット58は、ラインヘッド40が搬送ベルト15(図1)に対してB方向に進退するように、ラインヘッド40を、記録位置と退避位置とに移動可能に構成される。換言すると、ヘッド移動ユニット58は、ラインヘッド40の移動方向が鉛直方向及び水平方向の両方と交差するように、ラインヘッド40をB方向に移動させる。また、ヘッド移動ユニット58は、ピニオン59と、ピニオン59を回転させる不図示のモーターとを含んで構成され、制御部26(図1)によって駆動が制御される。
ピニオン59の外周面に形成された歯部59Aは、歯部57Aと噛み合う。これにより、ピニオン59が正方向に回転された場合、ラインヘッド40が記録位置に移動され、ピニオン59が逆方向に回転された場合、ラインヘッド40が退避位置に移動される。
【0028】
ラインヘッド40の記録位置とは、ラインヘッド40によって媒体Mへの情報の記録が可能となるときのラインヘッド40の停止位置を意味する。なお、ラインヘッド40の記録位置は、不図示の調整ユニットによってB方向に位置の調整が可能であるため、1つ以上存在する。
ラインヘッド40の退避位置とは、ラインヘッド40が、記録位置に対して-B方向に離れたときのラインヘッド40の停止位置を意味する。ラインヘッド40の退避位置には、ラインヘッド40を再び記録位置へ移動可能となる待機位置と、ラインヘッド40を筐体2の外側へ取り出し可能となる交換位置とが含まれる。
【0029】
図4に示されるように、B方向から見て、吐出面42のA方向の中央を通りY方向に延びる一点鎖線を中心線Cとする。軸部55及びベアリング56は、B方向から見て、中心線C上に位置する。換言すると、中心線Cは、ベアリング56の回転軸線と平行に位置する。
【0030】
図5に示されるように、サイドフレーム32には、ラインヘッド40(図1)をB方向に案内する案内部材の一例としてのガイド部材62が設けられる。ガイド部材62は、貫通孔36によって-B方向の部位と+B方向の部位とに分断される。具体的には、ガイド部材62は、第1ガイド部材64と、第2ガイド部材72とで構成される。
第1ガイド部材64は、サイドフレーム32において、貫通孔36に対する-B方向の部位に設けられる。また、第1ガイド部材64は、縦溝部の一例としてのガイドレール65と、ガイドレール65に繋がるガイドレール69とを有する。
【0031】
ガイドレール65は、ラインヘッド40に向けて+Y方向に開口されており、B方向から見て断面U字状に形成される。また、ガイドレール65は、B方向を案内方向としてほぼ直線状に延びる。ガイドレール65は、ベアリング56(図3)をB方向に案内する。
具体的には、ガイドレール65は、A-B面に沿って配置された底壁65Aと、底壁65AのA方向の両端部からそれぞれ+Y方向に直立する一組の側壁65Bとを有する。ガイドレール65の-B方向の端部は、+Z方向に開放される。ガイドレール65の+B方向の端部は、貫通孔36の縁部に位置しており、貫通孔36に向けて開放される。ガイドレール65の+B方向における中央と端部との間には、規制部68が形成される。規制部68は、Y-Z面に沿った板部であり、-B方向に位置するベアリング56が規制部68よりも+B方向に移動することを規制する。
【0032】
+A方向の側壁65Bにおいて、規制部68よりも+B方向に位置する部位の一部は切り欠かれる。側壁65Bの切り欠き部分には、ガイドレール69の一端部が繋がる。
ガイドレール69は、+Y方向に開口された断面U字状に形成されており、ガイドレール65と同様の幅を有する。また、ガイドレール69は、ガイドレール65との合流部位から+Z方向に延びる。ここで、ラインヘッド40は、-Y方向の2つのベアリング56が、ガイドレール65、69によって案内されることで、第1ガイド部材64から+Z方向に離脱可能である。
【0033】
第2ガイド部材72は、サイドフレーム32の貫通孔36に対する+B方向の部位に設けられる。また、第2ガイド部材72は、縦溝部の一例としてのガイドレール73と、横溝部の一例としてのガイドレール74とを有する。
ガイドレール73は、B方向に延びる。ガイドレール74は、A方向に延びる。つまり、ガイドレール73とガイドレール74とは直交する。具体的には、ガイドレール73は、A-B面に沿って配置された底壁73Aと、底壁73AのA方向の両端部から+Y方向に直立する一組の側壁73Bとを有する。ガイドレール73の-B方向の端部は、-B方向に開放される。ガイドレール73の+B方向の端部は閉じられる。なお、ガイドレール73のA方向の幅は、ガイドレール65のA方向の幅とほぼ同じ幅とされる。
【0034】
ガイドレール74は、キャップユニット110(図1)に向けて+Y方向に開口された断面U字状に形成され、A方向を案内方向として直線状に延びる。また、ガイドレール74は、ガイドレール73との交差部において分断される。具体的には、ガイドレール74は、A-B面に沿って配置された底壁74Aと、底壁74AのB方向の両端部から+Y方向に直立する一組の側壁74Bとを有する。
なお、底壁65Aと底壁73Aは、+Y方向のほぼ同じ位置にある。これにより、ベアリング56(図3)が、貫通孔36を間にしてガイドレール65及びガイドレール73の一方から他方に移動された場合、ベアリング56が進入し易くなる。
【0035】
サイドフレーム34(図3)には、不図示のガイド部材が設けられる。このガイド部材は、貫通孔36が無い点を除いて、筐体2のY方向の中央を通り且つY方向と直交する不図示の仮想面に対して、ガイド部材62とほぼ対称に構成される。このため、サイドフレーム34のガイド部材の図示及び説明は省略する。
【0036】
図6に示されるように、ワイパーユニット80は、メンテナンス部の一例であり、吐出面42(図3)を清掃する清掃部として機能する。また、ワイパーユニット80は、不図示の駆動ユニットによって、Y方向の往復移動が可能とされる。ワイパーユニット80を駆動する駆動ユニットの一例として、不図示のタイミングベルト及びプーリーがある。Y方向は、B方向と交差する第2移動方向の一例である。
ワイパーユニット80は、Y方向に沿って、ラインヘッド40(図3)に対するメンテナンス動作が可能となるときの位置であるメンテナンス位置と、メンテナンス位置から離れた位置である非メンテナンス位置とに移動可能に設けられる。
ワイパーユニット80は、Y方向に見て、B方向と直交するA方向に沿った傾斜状態で配置される。
【0037】
また、ワイパーユニット80は、ラインヘッド40(図3)が記録位置に移動される場合、ラインヘッド40に対して-Y方向に退避される。また、ワイパーユニット80は、ラインヘッド40が退避位置にある状態において、一旦、+Y方向に移動された後で、-Y方向に移動されながら吐出面42(図3)を清掃する。換言すると、ワイパーユニット80は、吐出面42に付着したインクKを吐出面42から掻き取る。具体的には、ワイパーユニット80は、ブレードユニット82と、ワイパーキャリッジ104とを備える。
ブレードユニット82は、ブレード保持部の一例であり、後述するメインブレード97を保持する。具体的には、ブレードユニット82は、ユニット本体83と、ブレード部96と、ベースフレーム101と、取付フレーム102と、不図示のカバー部材とを有する。
【0038】
図7に示されるように、ユニット本体83は、-B方向に開口する箱状に形成される。具体的には、ユニット本体83は、底壁84と、周壁85とを有する。
底壁84は、B方向に所定の厚さを有する板状に形成される。また、底壁84は、底壁84の-B方向の面であり、且つA-Y面に沿った底面84Aを有する。
周壁85は、底壁84の外周縁から-B方向に直立される。また、周壁85は、一例として、横側壁86と、縦側壁87と、縦壁88と、傾斜壁89と、横壁91とを含む複数の壁から成る。
【0039】
横側壁86は、周壁85のうち+A方向の端部に位置し、B-Y面に沿ってY方向に延びる。横側壁86の外面86Aを+Y方向に延長した仮想面SAを二点鎖線SAで示す。また、A-Y面内において、横側壁86の+Y方向の端に相当する位置を点Aで示す。
縦側壁87は、周壁85のうち+Y方向の端部に位置し、A-B面に沿ってA方向に延びる。縦側壁87の外面87Aを+A方向に延長した仮想面SBを二点鎖線SBで示す。二点鎖線SAと二点鎖線SBとの交点を点Eで示す。また、A-Y面内において、縦側壁87の+A方向の端に相当する位置を点Dで示す。
【0040】
縦壁88は、横側壁86の+Y方向の端部から-A方向に延びる。また、縦壁88は、A-B面に沿う。
傾斜壁89は、縦壁88の-A方向の端部からA方向と交差する方向に延びる。具体的には、傾斜壁89は、+Y方向の端部が-Y方向の端部よりも-A方向に位置するように傾斜される。A-Y面内において、縦壁88と傾斜壁89とが交わる位置を点Bで示す。
横壁91は、傾斜壁89の+Y方向の端部から縦側壁87の+A方向の端部まで+Y方向に延びる。また、横壁91は、A-B面に沿う。A-Y面内において、傾斜壁89と横壁91とが交わる位置を点Cで示す。
【0041】
ユニット本体83をB方向から見た場合、ユニット本体83のA方向の中央に対してA方向且つY方向に位置する部位は、A方向に沿った辺とY方向に沿った辺とを有する四角形から、五角形ABCDEを取り除いた外形を有する。ユニット本体83において、五角形ABCDEに対応する部分を除いた部位を第2許容部92とする。つまり、ワイパーユニット80には、第2許容部92が形成される。
【0042】
第2許容部92は、ユニット本体83において点Eから-Y方向及び-A方向に窪んだ部位である。換言すると、第2許容部92は、ブレードユニット82に形成され、Y方向において後述する第1許容部107(図9)よりもメインブレード97に向けて窪んだ部位である。
具体的には、第2許容部92は、縦壁88、傾斜壁89及び横壁91によって形成される。また、第2許容部92は、ワイパーユニット80(図6)が非メンテナンス位置にある状態において、突出部54(図3)をB方向に通過可能とする部位である。さらに、第2許容部92は、Z方向において、後述するメインブレード97に対する+Z方向即ち上方に位置する。
【0043】
また、ユニット本体83は、ブレード取付部93と、インク収容部94と、被挿入部95とを有する。
ブレード取付部93は、周壁85に囲まれた部位であり且つユニット本体83におけるA方向の中央部から+A方向の端部までの室部である。
インク収容部94は、液体収容部の一例である。また、インク収容部94は、周壁85に囲まれた部位であり且つユニット本体83のA方向の中央部よりも-A方向の室部である。さらに、インク収容部94は、ユニット本体83と不図示のカバー部材とで囲まれた空間部であり、ブレード取付部93の内部と連通される。
【0044】
インク収容部94には、後述するメインブレード97によって掻き取られたインクKが収容される。また、インク収容部94は、Z方向において、後述するメインブレード97に対する-Z方向即ち下方に位置する。
被挿入部95は、ユニット本体83においてインク収容部94の一部に対する-A方向の部位に形成される。被挿入部95には、インクKを吸引するワイパー針103(図6)が+Y方向に挿入される。そして、ワイパー針103が吸引動作を行うことで、インク収容部94のインクKがユニット本体83の外部に排出される。
【0045】
ブレード部96は、掻取部の一例であり、メインブレード97と、サブブレード98とを有する。
メインブレード97は、ブレードの一例である。B方向から見て、メインブレード97が延びる方向をQ方向とする。Q方向は、Y方向及びA方向の両方と交差する方向である。また、メインブレード97は、Q方向と直交する方向に所定の厚さを有する板状に形成されたゴムから成る。さらに、メインブレード97は、一例として、-Y方向の端部が+Y方向の端部よりも+A方向に位置するように傾斜する。これにより、メインブレード97は、B方向から見て、ワイパーユニット80の一部であるブレード取付部93を後述する2つの領域S1、領域S2(図9)に区画する。
メインブレード97は、吐出面42(図3)と接触されることで、弾性変形されながらインクKを掻き取る。つまり、メインブレード97は、ワイパーユニット80のY方向の移動に伴って、吐出面42のインクKを掻き取る。
【0046】
図9に示されるように、ブレード取付部93は、メインブレード97によって、領域S1と領域S2とに区画される。
領域S1は、メインブレード97に対して-A方向且つ-Y方向の位置にある。また、領域S1は、メインブレード97によって掻き取られたインクKが流れる領域である。
領域S2は、メインブレード97に対して+A方向且つ+Y方向の位置にある。また、領域S2は、メインブレード97に対して領域S1とは反対の領域である。ここで、第2許容部92は、領域S2内に形成される。
【0047】
図7に示されるように、サブブレード98は、メインブレード97の+Y方向の端部に対して+Y方向に配置される。また、サブブレード98は、B方向から見て、Y方向に所定の厚さを有する板状に形成されたゴムから成る。さらに、サブブレード98は、一例として、A方向に沿って延在される。そして、サブブレード98は、ラインヘッド40(図3)の+Y方向の側面と接触されることで、ラインヘッド40の+Y方向の側面に付着したインクKを掻き取る。
【0048】
ベースフレーム101は、ブレード取付部93にネジ99を用いて締結される。取付フレーム102は、ベースフレーム101と共にメインブレード97の+B方向の下端部を挟んだ状態で、ベースフレーム101に取り付けられる。これにより、メインブレード97が保持される。同様に、サブブレード98もベースフレーム101にネジ99を用いて締結される。なお、メインブレード97及びサブブレード98は、ユニット本体83の-B方向の端面よりも-B方向に突出される。
【0049】
図8に示されるように、筐体2には、後述するワイパーキャリッジ104をY方向に案内するガイド部33が設けられる。ガイド部33は、一例として、Y方向に沿って平行な第1ガイドレール35及び第2ガイドレール37を有する。第2ガイドレール37は、B方向から見て、第1ガイドレール35に対して+A方向に配置される。
【0050】
図9に示されるように、ワイパーキャリッジ104は、支持部の一例である。また、ワイパーキャリッジ104は、Y方向に移動可能に設けられ、B方向においてブレードユニット82を支持する。具体的には、ワイパーキャリッジ104は、第1フレーム部材105と、第2フレーム部材122とを備える。
第1フレーム部材105は、搭載部106と、第1アーム部112と、第1被案内部114と、第2アーム部115と、第2被案内部116とを有する。第1被案内部114及び第2被案内部116をまとめて被案内部113とする。被案内部113は、ガイド部33との接触によりY方向に案内される。
【0051】
搭載部106には、ブレードユニット82が搭載される。また、搭載部106の+Y方向の端部には、-Y方向に窪んだ第1許容部107が形成される。つまり、ワイパーキャリッジ104には第1許容部107が形成される。
第1許容部107は、B方向から見た場合、A方向に沿った辺とY方向に沿った辺とを有する四角形から、台形FGHIで示された部分を取り除いた外形を有する。また、第1許容部107は、ワイパーユニット80が非メンテナンス位置にある状態において、突出部54(図3)をB方向に通過可能とする部位である。具体的には、第1許容部107は、縦壁108、傾斜壁109及び横壁111によって形成される。
ここで、第2許容部92及び第1許容部107をまとめて許容部90とする。許容部90は、ワイパーユニット80に形成される。また、許容部90は、ワイパーユニット80が非メンテナンス位置にある状態において、突出部54(図3)がB方向に移動することを許容する部位である。
【0052】
縦壁108は、台形FGHIの上底FGに相当する部分であり、A-B面に沿ってA方向に延びる。傾斜壁109は、台形FGHIの斜辺FIに相当する部分であり、+A方向に向かうほど+Y方向に位置するように傾斜される。横壁111は、台形FGHIの辺GHに相当する部分であり、Y方向に沿う。
ここで、B方向から見て、五角形ABCDEの一部と台形FGHIの一部とは、Y方向にオーバーラップする。換言すると、五角形ABCDEの一部と台形FGHIの一部とは、Y方向に重ね代L1〔mm〕を有する。B方向から見て、五角形ABCDEの一部と台形FGHIの一部とがオーバーラップする領域を領域Sとする。領域S内には、ガイドレール65、73が位置する。
【0053】
第1アーム部112は、搭載部106の-A方向の端部から-B方向に直立する。第1被案内部114は、第1アーム部112の-B方向の端部に形成される。また、第1被案内部114には、記述のタイミングベルトの一部が取り付けられる。
第2アーム部115は、搭載部106の+A方向の端部から+A方向に延びる。第2被案内部116は、第2アーム部115の+A方向の端部に形成される。また、第2被案内部116には、第2ガイドレール37と接触するコロ119が回転可能に設けられる
第2フレーム部材122は、第1被案内部114に取り付けられることで、第1被案内部114と共に第1ガイドレール35の一部をY方向に挟む。
このように、ワイパーキャリッジ104は、ブレードユニット82を搭載した状態でY方向の移動が可能である。
なお、プリンター1において、搭載部106よりも+A方向の位置で且つ第2被案内部116よりも-Y方向の位置には、一例として、基板124(図8)が配置される。
【0054】
B方向から見て、ブレード部96の一部であるブレード部96の+Y方向の端部と、許容部90とは、Y方向にオーバーラップする。換言すると、ブレード部96の一部と許容部90とは、Y方向に重ね代L2〔mm〕を有する。
インク収容部94の一部であるインク収容部94の+Y方向の端部と、許容部90とは、Y方向にオーバーラップする。換言すると、インク収容部94の一部と許容部90とは、Y方向に重ね代L3〔mm〕を有する。
【0055】
次に、プリンター1の作用について、図1から図9までを参照して説明する。なお、個別の図番の記載を省略する。
【0056】
プリンター1によれば、ラインヘッド40の一部である突出部54が、ワイパーユニット80の一部を構成する許容部90において、B方向に移動することが許容されるので、Y方向において突出部54とワイパーユニット80とをオーバーラップさせることが可能となる。これにより、突出部54とワイパーユニット80がY方向にオーバーラップしない構成に比べて、プリンター1がY方向に大型化することを抑制できる。
プリンター1によれば、ラインヘッド40のB方向の移動が許容部90までに停止される構成に比べて、B方向におけるラインヘッド40の移動可能な範囲が拡がる。これにより、ラインヘッド40が媒体Mに記録を行う位置を、ワイパーユニット80から遠い位置に設定することが可能となるので、搬送される媒体Mがワイパーユニット80と干渉することを防ぐことができる。
【0057】
プリンター1によれば、ブレード部96と許容部90がY方向にオーバーラップせずに並ぶ構成に比べて、ワイパーユニット80のY方向の幅が小さくなるので、プリンター1がY方向に大型化することを抑制できる。
プリンター1によれば、ワイパーユニット80においてインクKが流れる領域に許容部90を形成しなくて済む。つまり、インクKが流れる領域を減少させずに済むので、インクKが流れ難くなることを抑制できる。
【0058】
プリンター1によれば、メインブレード97がB方向から見てY方向と直交する方向に延びる構成と比べて、許容部90を形成可能な領域の一部がY方向に拡大される。これにより、Y方向におけるラインヘッド40とワイパーユニット80との重ね代が大きくなるので、プリンター1がY方向に大型化することを抑制できる。
プリンター1によれば、Y方向においてインク収容部94と許容部90がオーバーラップしない構成に比べて、ワイパーユニット80のY方向の幅を小さくできるので、プリンター1がY方向に大型化することを抑制できる。
【0059】
プリンター1によれば、インク収容部94がメインブレード97に対する下方に位置することで、メインブレード97によって掻き取られたインクKが、インク収容部94へ自重の作用によって流れるので、インクKをインク収容部94に捕集し易くすることができる。さらに、許容部90が、メインブレード97に対する上方の空き領域に位置することで、ワイパーユニット80におけるメインブレード97の周辺の領域が無駄なく利用されるので、ワイパーユニット80が大型化することを抑制できる。
【0060】
プリンター1によれば、第2許容部92と第1許容部107が同じ大きさの構成に比べて、第2許容部92が第1許容部107よりもメインブレード97に向けて窪んでいることで、ブレードユニット82の体積及び質量を減らすことができる。これにより、ワイパーユニット80からブレードユニット82を取り出してメインブレード97の交換などを行う場合、ブレードユニット82を取り出し易くすることができる。
【0061】
本発明の実施形態に係るプリンター1は、以上のべたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内での部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
【0062】
プリンター1において、B方向から見て、ブレード部96の全体と許容部90とがY方向にオーバーラップする構成であってもよい。また、メンテナンス部は、吐出面42のインクKを掻き取るものに限らず、例えば、吐出面42を覆うと共に試験的に突出されたインクKを受け取るキャップユニットであってもよい。
許容部90は、領域S1に形成されてもよい。
メインブレード97は、B方向から見て、A方向に沿って延びてもよい。また、メインブレード97は、ワイパーユニット80の全部を2つの領域に区画するものであってもよい。
【0063】
プリンター1において、インク収容部94の全体と許容部90とが、Y方向にオーバーラップする構成であってもよい。
ラインヘッド40は、B方向に昇降する構成に限らず、Z方向に昇降する構成でもよい。ワイパーユニット80は、X方向に沿った状態で配置されてもよい。
許容部90の数は、第1許容部107及び第2許容部92のように、2つではなく1つ又は3つ以上であってもよい。
【0064】
ラインヘッド40は、第1許容部107をB方向に通過するものに限らず、例えば、第2許容部92とY方向に隣り合う位置まで移動して停止され且つ搭載部106よりも-B方向に位置するものであってもよい。この構成の場合、第2許容部92とメインブレード97とがY方向にオーバーラップするので、プリンター1のY方向の幅をさらに小さくできる。
許容部90は、部材の一部が切り欠かれた「切り欠き部」であってもよい。
【0065】
B方向から見て、領域Sとガイドレール65、73とがオーバーラップするのは、ワイパーユニット80が、ホームポジションである非メンテナンス位置以外の位置にある場合でもよい。例えば、インク収容部94のインクKを廃棄する場合のワイパーユニット80の位置などがある。
ワイパーユニット80は、-Y方向ではなく+Y方向に退避してもよい。
メンテナンス部は、ワイパーユニット80に限らない。例えば、Y方向に移動することで媒体Mの幅を検知する媒体幅検知ユニットであってもよい。
突出部54は、軸部55とベアリング56とで構成される回転可能な部位に限らず、ラインヘッド40からY方向に突出された回転しない凸部でもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…プリンター、2…筐体、3…排出部、4…媒体カセット、6…ピックローラー、
7…搬送ローラー対、8…搬送ローラー対、9…手差トレイ、10…搬送ユニット、
11…搬送ローラー対、12…フラップ、13…媒体幅センサー、14…プーリー、
15…搬送ベルト、16…廃液貯留部、21…排出トレイ、21A…載置面、
23…インクタンク、26…制御部、32…サイドフレーム、33…ガイド部、
34…サイドフレーム、35…第1ガイドレール、36…貫通孔、
37…第2ガイドレール、38A…横フレーム、38B…横フレーム、
38C…横フレーム、40…ラインヘッド、42…吐出面、52…支持フレーム、
54…突出部、55…軸部、56…ベアリング、57…ラック、57A…歯部、
58…ヘッド移動ユニット、59…ピニオン、59A…歯部、62…ガイド部材、
64…第1ガイド部材、65…ガイドレール、65A…底壁、65B…側壁、
68…規制部、69…ガイドレール、72…第2ガイド部材、73…ガイドレール、
73A…底壁、73B…側壁、74…ガイドレール、74A…底壁、74B…側壁、
80…ワイパーユニット、82…ブレードユニット、83…ユニット本体、84…底壁、
84A…底面、85…周壁、86…横側壁、86A…外面、87…縦側壁、
87A…外面、88…縦壁、89…傾斜壁、90…許容部、91…横壁、
92…第2許容部、93…ブレード取付部、94…インク収容部、95…被挿入部、
96…ブレード部、97…メインブレード、98…サブブレード、99…ネジ、
101…ベースフレーム、102…取付フレーム、103…ワイパー針、
104…ワイパーキャリッジ、105…第1フレーム部材、106…搭載部、
107…第1許容部、108…縦壁、109…傾斜壁、110…キャップユニット、
111…横壁、112…第1アーム部、113…被案内部、114…第1被案内部、
115…第2アーム部、116…第2被案内部、119…コロ、
122…第2フレーム部材、124…基板、C…中心線、K…インク、L1…重ね代、
L2…重ね代、L3…重ね代、N…ノズル、S1…領域、S2…領域、T1…搬送路、
T2…搬送路、T3…搬送路、T4…搬送路、T5…反転路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9