(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】固体照明光源を備えた空間光変調器画像表示プロジェクタ装置
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20240710BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240710BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
H04N5/74 K
(21)【出願番号】P 2022186105
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2019557365の分割
【原出願日】2018-04-20
【審査請求日】2022-12-19
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー エス ペティット
(72)【発明者】
【氏名】マイケル テリー デイビス
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ フランシス ハラス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マーシャル フェライ
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0019645(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0249436(US,A1)
【文献】特開2017-58656(JP,A)
【文献】特表2015-533225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 , 21/14
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロジェクタであって、
第1の色を有する第1の光を生成するための第1の光源と、
前記第1の色を有する第2の光を生成するための第2の光源と、
前記第1の色を有する第3の光を生成するための第3の光源と、
前記第1の光と前記第2の光とを反射
し、第2の色と第3の色とを有する光を通過させるためのフィルタと、
前記第3の光源に光学的に結合される第1の側と前記フィルタに光学的に結合される第2の側とを有する固定燐光体であって、
前記第1の側で前記第3の光を受信することに応答して
前記第2の色と
前記第3の色とを有する第4の光を生成し、
前記第2の側で前記第2の光を受信することに応答して前記第2の色と前記第3の色とを有する第5の光を生成する、
ための、前記固定燐光体と、
前記第1の光と前記第2の色を有する前記第4の光の第1の部分
と前記第2の色を有する前記第5の光の第1の部分とを通過させ、前記第3の色を有する前記第4の光の第2の部分
と前記第3の色を有する前記第5の光の第2の部分とを反射するためのダイクロイックミラーと、
を含み、
前記第2の光源と前記第3の光源とを明るくして前記第1の光源を明るくせず、
前記第1の光源を明るくして前記第2の光源と前記第3の光源とを明るくしない、
ことを交互にするように構成される、プロジェクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記ダイクロイックミラーからの前記第4の光の第1の部分を受け取って変調するための第1の空間光変調器と、
前記ダイクロイックミラーからの前記第4の光の第2の部分を受け取って変調するための第2の空間光変調器と、
前記第1の空間光変調器によって変調された前記第4の光の第1の部分と前記第2の空間光変調器によって変調された前記第4の光の第2の部分とを合成するためのコンバイナと、
を更に含む、プロジェクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記第1及び第2の光源がレーザー光源である、プロジェクタ。
【請求項4】
請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記第1の空間光変調器が第1の変調モジュールであり、前記第2の空間光変調器が第2の変調モジュールである、プロジェクタ。
【請求項5】
請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記第1及び第2の空間光変調器がデジタルマイクロミラーデバイスである、プロジェクタ。
【請求項6】
請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記コンバイナが、ダイクロック層を含むプリズムである、プロジェクタ。
【請求項7】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記第1の色が青であり、前記第2の色が赤であり、前記第3の色が緑である、プロジェクタ。
【請求項8】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記第1の光源がレーザーダイオードである、プロジェクタ。
【請求項9】
請求項2に記載のプロジェクタであって、
前記ダイクロイックミラーから前記第1の空間光変調器への前記第4の光の第1の部分を提供するための第1の全内反射(TIR)プリズムと、
前記ダイクロイックミラーから前記第2の空間光変調器への前記第4の光の第2の部分を提供するための第2のTIRプ
リズムと、
を更に含む、プロジェクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のプロジェクタであって、
前記第1のTIRプリズムが、第1のプリズムと第2のプリズムと前記第1のプリズムと前記第2のプリズムとの間の第1の空気インターフェースを含み、
前記第2のTIRプリズムが、第3のプリズムと第4のプリズムと前記第3のプリズムと前記第4のプリズムとの間の第2の空気インターフェースを含む、プロジェクタ。
【請求項11】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記第2の光源が前記固定燐光体の第2の側をポン
ピングするように構成され、前記第3の光源が前記固定燐光体の第1の側をポン
ピングするように構成される、プロジェクタ。
【請求項12】
請求項1に記載のプロジェクタであって、
前記第3の光源が青色レーザーダイオードである、プロジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、画像表示プロジェクタ装置及び方法に関し、詳細には、固体照明(SSI)光源を備えた空間光変調器(SLM)画像表示投射に関する。
【背景技術】
【0002】
例示のSLMプロジェクタが、米国特許番号US9,195,123に記載されており、これは参照により本願に組み込まれる。この例示のシステムは、青色レーザーを、青色光の直接的光源として、及び、青色レーザーからの青色光で燐光体を励起することによるその他の色の光の間接的光源として用いる。
【0003】
また、カラーホイール及び入力光ビームの相対運動を用いてカラーシーケンスを生成するためのその他の配置が可能である。米国特許番号US8,496,352は、参照により本願に組み込まれており、半径方向に離間された異なるロケーションにおいてそれぞれの色を放射する燐光体の同心環状トラック又はリングを有する例示のカラーホイールを記載している。
【文献】米国特許番号US9,195,123
【文献】米国特許番号US8,496,352
【0004】
テキサス・インスツルメンツのDLP(登録商標)デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を備える幾つかのプロジェクタにおいて、赤、緑、及び青色光が、光路において合成される。
【発明の概要】
【0005】
説明される例において、プロジェクタが、第1の色の第1の光を生成するための光源を含む。また、プロジェクタは、第1の光を選択的に受け取るため、及び、第1の光に応答して第2の色の第2の光を生成するための燐光体を含む。また、プロジェクタは、第3の色の第3の光を生成するために、第2の光の一部を通すためのダイクロイックミラーを含む。ダイクロイックミラーは、第2の光の一部を、第4の色の第4の光として反射する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】例示の投射システム及び例示の光源を示す。
【
図1B】例示の投射システム及び例示の光源を示す。
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【
図9】
図8の例示のアーキテクチャの改変を図示する。
【0015】
【
図10】赤外線(IR)光源を有する例示の配置を図示する。
【0016】
【
図11】IR光源を有する別の例示の配置を図示する。
【0017】
【
図12】IR光源を有する別の例示の配置を図示する。
【0018】
【0019】
【
図14】3部分全内反射(TIR)プリズム及びデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する例示の変調モジュールの図である。
【0020】
【
図15】2部分逆TIR(RTIR)プリズム及びDMDを有する別の例示の変調モジュールの図である。
【0021】
【
図16】4部分TIRプリズム及びDMDを有する別の例示の変調モジュールの図である。
【0022】
【
図17】二つの空間光変調器(SLM)を備える例示のコンバイナキューブの図である。
【0023】
【
図18】二つのSLMを備える例示のフィリップスコンバイナの図である。
【0024】
【
図19A】コンバイナキューブを備える3部分TIRを有する例示の2チップアーキテクチャの図である。
【
図19B】コンバイナキューブを備える3部分TIRを有する例示の2チップアーキテクチャの図である。
【
図19C】コンバイナキューブを備える3部分TIRを有する例示の2チップアーキテクチャの図である。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面において、特に指示のない限り、対応する数字及び記号は、概して、対応する部分を指す。図面は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。
【0030】
本記載において、「結合される」という用語は、介在要素を用いて成される接続を含み得、付加的な要素及び種々の接続が、「結合される」任意の要素間に存在し得る。
【0031】
例示のプロジェクタ配置が、テキサス・インスツルメンツのDLP(登録商標)デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)など、空間光変調器(SLM)を包含する。SLMのミラーは、それぞれのシーケンシャルに生成される色によるミラーの照射のためのそれぞれの時間セグメントに同期される設定を備えるパルス幅変調(PWM)強度グレースケールを用いて、個別に設定される。「2チップ」アーキテクチャは、二つのDMDを有する。従って、2チップアーキテクチャは、光を両方のDMD上に向け、そのため、光の一色が第1のDMDによって変調され、光の二つの他の色が第2のDMDによって変調される。2チップアーキテクチャは、発光レーザーダイオード、レーザー/燐光体及びレーザーアーキテクチャを用いて高効率を実現する。例示の2チップアーキテクチャが後述される。本願で説明される他の例が、高出力の黄色及び青色レーザーダイオードのみを用い、合成及び頂部側ポンピングの両方のための一つのフィルタを備える。
【0032】
図1A及び
図1B(集合的に「
図1」)は、例示の投射システム100及び例示の光源を示す。
図1Aは、青色レーザー及び黄色燐光体を用いる例示の光源を示す。例示の黄色燐光体が、Denaultらの『効率的及び安定的なレーザー駆動白色照明』AIP Advances 3,072107(2013)に記載されており、当該文献は参照により本願に組み込まれる。黄色光源の使用によって多くの利点が実現し、こうした利点には、(a)例えば白色照明光源において用いられる、高効率の燐光体変換、(b)効率性を増大させるための青色レーザーダイオードバックライト、(c)光出力を増加させるために頂部側ポンピングを用い得ること、(d)赤、緑、及び青(RGB)実装における場合と同数であり、そのため、RGB実装と比べてコストが増加しない、3つのみのレーザーダイオードの使用、及び、(e)黄及び/又は緑色燐光体の混合物を用いる回転ホイール実装などの実装のための種々の選択肢が含まれる。
図1A及び
図1Bの例示の配置では、燐光体は、ホイール上に搭載されるのではなく、固定されている。
【文献】Denault, et al.“Efficient and Stable Laser-driven White Lighting” AIP Advances 3,072107(2013)
【0033】
オートモーティブ、舞台照明、及び一般照明において用いるために、レーザーダイオードベンダーは、白色レーザーダイオードを開発してきた。これらのレーザーダイオードは、黄色燐光体を輝尽するための青色光を用いて青色波長源を黄色光に変換する。残りの青色光は、白色光源をつくるため、黄色燐光体によって発せられる光に付加される。レーザーダイオードは、燐光体パラメータを変更することによって黄色光のみを生成するように適合され得る。この黄色レーザーダイオードは、輝度を改善するために2チップアーキテクチャによって用いられ得る。
【0034】
さらに後述するように、光源の黄色光102及び青色光104が、2チップアーキテクチャのためのシーケンシャルな色駆動をつくるために用いられる。
図1Aの例において、レーザーダイオード108からの青色光106が、長波長パスフィルタ110で反射し、燐光体112に当たる。さらに後述するように、燐光体112は、光を、広帯域スペクトルの黄色光102に変調する。また、青色レーザーダイオード114が燐光体112を輝尽する。レンズ(図示せず)が、長波長パスフィルタ110を通過する黄色光102を集束する。ここで、黄色光102は、レーザーダイオード116からの青色光104と交互になっている。後述する2チップアーキテクチャは、黄色光102を、赤及び緑色光成分に分離する。黄色燐光体は、(分割されるとき)所望の緑及び赤、又は任意のその他の所望の色域を生成するために選ばれるスペクトルを有する。フィルタスタックにノッチフィルタを付加することによって、一層広い色域をつくることができる。レーザーダイオード108は、その光出力を増大させるために、燐光体112の頂部側をポンピングする。これが、黄色燐光体からの光出力の10%~20%の付加を提供し得る。
【0035】
青色光104は、光164としてダイクロイックミラー153を通過する。この例では、ダイクロイックミラー153は緑色光を反射する。他の例において、ダイクロイックミラー153は青色光104を反射する一方、赤色光を通過させ得る。青色光104がレーザーダイオード116から提供される(例えば、レーザーダイオード116によって生成される)とき、光164は青色であり、プリズム166を通過して空間光変調器168を照射する。変調された光172は、プリズム170を通過して、ダイクロック層176を含むコンバイナ174へ伝わる。この例では、ダイクロック層176は、赤色光及び青色光を反射し、緑色光を通過させる。光172は、投射光学系178への光180として、ダイクロック層176で反射する。
【0036】
黄色光102は、ダイクロイックミラー153によって分離される。黄色光102の赤色成分は、ダイクロイックミラー153を通過し、青色光104のための上記された経路をたどる。黄色光102の緑色部分は、ダイクロイックミラー153によって光154として反射される。光154は、プリズム156を通過して空間光変調器158を照射する。変調された光162は、プリズム160及びダイクロック層176を通過し、光180を提供するために光172と合成する。従って、光180において、赤色光が空間光変調器168によって変調され、緑色光が空間光変調器158によって変調される。光180は投射光学系178へ伝わる。このように、SLM158、168を用いて2チップアーキテクチャに黄色光102及び青色光104を交互に提供することによって、並びに、ダイクロイックミラー153を用いて黄色光102を赤色成分及び緑色成分に分割することによって、光源は、2チップシステムを駆動するための赤、緑、及び青色光を提供する。
図1Bは、レーザーダイオード108によって提供(例えば、生成)される頂部側ポンプを備える黄色燐光体152を備える、代替の例示の光源150を示す。光源150を用いて、レーザーダイオード108を活性化することによって黄色光102が提供され、レーザーダイオード116を活性化することによって青色光104が提供される。
【0037】
図2A及び
図2B(集合的に「
図2」)は、他の例示の光源を示す。
図2における要素の参照符号が、
図1における要素の参照符号に対応する場合、
図2におけるこれらの要素は、
図1における対応する要素に類似する機能を行う。例えば、
図2における黄色光202、青色光204、青色光206、レーザーダイオード208、長波長パスフィルタ210、及びレーザーダイオード216は、それぞれ、
図1における黄色光102、青色光104、青色光106、レーザーダイオード108、長波長パスフィルタ110、及びレーザーダイオード116に対応する。
図2Aは、底部及び頂部側ポンプを備える固定黄色スタティック燐光体252を有する例示の光源200を示す。レーザーダイオード208が頂部側の光を提供し、レーザーダイオード254が、離れた底部側の光を提供する。レーザーダイオード208及び254を活性化することによって、黄色光が提供される。レーザーダイオード216を活性化することによって、青色光が提供される。
【0038】
図2Bは、(
図2Bにおける方位で)底部のレーザーダイオード254側ポンプと(
図2Bにおける方位で)頂部のレーザーダイオード208側ポンプとを備える、透過性燐光体ホイール256を有する例示の光源250を示す。短波長パスフィルタ258が、燐光体ホイール256の裏側に置かれる。短波長パスフィルタ258は、レーザーダイオード254からの光が、燐光体ホイール256に通過することを可能にするが、レーザーダイオード254(及びレーザーダイオード208)からの光の相互作用によってつくられる黄色光は反射する。レーザーダイオード208及び254を活性化することによって、黄色光が提供される。レーザーダイオード216を活性化することによって、青色光が提供される。少なくとも一つの例において、緑色(又は、緑及び黄の合成)の燐光体が、透過性燐光体ホイールにおいて用いられ得る。
図1及び
図2の例による照明は、
図1A及び後述するような
図3~
図21に示す2チップアーキテクチャなどの、2チップアーキテクチャを照射する。
【0039】
本願における幾つかのDMD SLMの例示のイメージングシステム設計は、レーザーダイオード及びレーザー/燐光体光源照明を用いる。レーザー/燐光体光源は、従来の光源ベースのシステムに対して幾つかの効率の利点を提供する。また、システムにおけるDMDのエタンデュを最良に整合させるために、燐光体上のレーザースポットサイズが低減され得る。しかし、レーザー/燐光体ベースのシステムにおいて、所望の色点を実現するために、燐光体が発した色をフィルタすることが必要となり得る。そのようなフィルタリングの一例が、黄色放射燐光体を用いること、及び、そうした燐光体が発した黄色を所望の赤色を実現するためにフィルタすることである。別の例は、所望の緑色点を実現するために、緑色燐光体放射をフィルタすることである。これらの例の各々において、(燐光体によって生成される)光のフルスペクトルが、スペクトルの不要な部分を取り除くためにフィルタされる。
【0040】
燐光体を照射するレーザーの数は、プロジェクタのルーメン出力に関連する。レーザーを付加するとルーメンが一層高くなるが、付加的な電力のコストを伴う。また、付加的なレーザーの使用は、燐光体に、光生成効力(例えば、入力ワットあたりのルーメン)を低減させ得、レーザーの付加的な数は、システムのコストを増加させる。マルチチップシステムアーキテクチャは、単一チップアーキテクチャにおけるレーザー/燐光体ベースの光源を用いることで生じるいくつかの問題を減少又はなくし得る。二つのDMD光変調器を用いるフルカラー投射表示システムの例が、米国特許番号US5,612,753に記載されており、当該文献は、参照により本願に組み込まれる。
【文献】米国特許番号US5,612,753
【0041】
米国特許番号US5,612,753の
図3は、白色光照明光源を用いる2変調器プロジェクタを図示し、この2変調器プロジェクタにおいて、(例えば、メタルハライドアークランプなどからの)白色光は、回転カラーホイールのカラーフィルタセグメントを通過する。カラーホイールによって発せられるそれぞれのシーケンシャルな色光は、色分離プリズムを介して中継され、この色分離プリズムは、ドミナントな第1の色を第1のDMD変調器へ通過させ、他の第2の色を第2のDMD変調器へ通過させる。色合成プリズムは、単一投射レンズによるイメージングのため、反射された個別のDMD変調された光を再合成するために全内反射プリズム(TIRプリズム)と協働する。このシステムにおいて、カラーホイールは常に原色の一つを通過させ、その他の二つを交互に通過させる。第1のDMDは、赤(ドミナントカラー)の変調に対処し、第2のDMDは、緑及び青(その他の色)の時間順次的な変調に対処する。
【0042】
図3から
図13は、白色光源の代わりにレーザー光源及び燐光体放射を用いる、及び、個別に変調された色を合成するための2プリズムキューブを用いる、2つのデジタルマイクロミラー(DMD)チップを有するアーキテクチャにおける照明の例を図示する。参照により本願に組み込まれる、2014年11月27に公開された米国特許出願公開番号US2014/0347634は、2チップ及び3チップSLMアーキテクチャを照射するために燐光体及びレーザー光源を有するプロジェクタアーキテクチャを開示する。
【文献】米国特許出願公開番号US2014/0347634
【0043】
図3は、例示のアーキテクチャ300を図示する。第1の光源322からの青色レーザー光B1が、レンズ325、第1の角度付けられたフィルタ324、及びレンズ328を介して、燐光体ホイール309の表側上へ伝わる。燐光体ホイール309は、黄色放射燐光体318で被覆された円形セグメントを有する(
図3における表示A参照)。例えば、光源は、レーザーダイオード光源であり得る。黄色セグメントは連続的であり、黄色セグメントは、ホイール309の一回転にわたり、入射レーザー光を露出し、ホイール309は、フレーム毎に少なくとも一回り回転する。黄色光Yは、後方へ、レンズ328を介して第1の角度付けられたフィルタ324へ発し、フィルタ324は、少なくとも赤色成分Rを、ドミナントカラーとして、レンズ331、光トンネル333、及びレンズ334を介して第1の全内反射プリズム(TIRプリズム)光学素子326へ反射させる。第1のTIRプリズム光学素子326は、変調のため、光Rを第1のDMD332に提供する。第2の青色レーザー光源310からの青色レーザー光B2は、角度付けられた偏光フィルタ312、4分の1波長板(QWP)315、及びレンズ337を介して、燐光体ホイール309の裏側上へ伝わる。ホイール309の裏側は、緑色放射燐光体314で被覆された、180°強のセグメントを有し(
図3における表示B参照)、これが、フレームの50%強の間、青色入射レーザー光B2に応答して緑色光Gを発し、残りのフレーム時間の間、青色入射光B2を、反射性(例えば、アルミニウム)リフレクタ317で反射する。シーケンシャルに発せられた緑及び青色は、後方へ、4分の1波長板315を介し、角度付けられた偏光フィルタ312へ進み、角度付けられた偏光フィルタ312が、偏光シフトされた青及び緑色光を、レンズ338、光トンネル340、レンズ342、及びミラー344を介して、第2のTIRプリズム光学素子316へ反射し、第2のTIRプリズム光学素子316は、共通の時間順次的な変調のために、緑及び青色光を第2のDMD330に提供する。2プリズムキューブコンバイナ306が、ターゲット表面上に対する形成される画像の投射のため、変調されたドミナントカラー(R)及びその他の色(G及びB2)の光を、変調された複合ビーム336に合成する。緑色燐光体セグメント314の相対的に弧状の範囲及びレーザーオン/オフ時間は、所望の色(白色)点を設定するために、それぞれの色変調時間を変更するように選ばれ得る。
【0044】
図4は、単一レーザー光源422及び単色燐光体ホイール409を有する例示の2チップアーキテクチャ400を図示する。単色燐光体ホイール409は、黄色燐光体418の弧状セグメント、緑色放射燐光体414の弧状セグメント、及び青色を反射する表面417の弧状セグメントの円形配置を有する(
図4における表示A)。これらの弧状セグメントの各々は、異なる長さを有し得る。この例では、赤及び緑色が黄色のために合成するので、青色レーザー光B2が、黄色放射燐光体セグメント又は緑色放射燐光体セグメント上に入射する時間にわたり、黄色放射燐光体セグメント又は緑色放射燐光体セグメントは緑色を発し、レーザー光が黄色燐光体セグメント上に入射する時間にわたり、黄色燐光体セグメントは赤色を放射する。青色レーザー光B2は、燐光体ホイール409上に(第1の角度付けられた偏光フィルタ424、4分の1波長板415、及びレンズ434を介する透過によって)向けられ、一つの空間光変調器に向けられる。赤/緑色又は緑色(これらは、対応する黄色燐光体418又は緑色燐光体セグメント414の励起によって発せられる)は、後方へ、レンズ434及び4分の1波長板415を介し、第1の角度付けられた偏光フィルタ424で反射され、レンズ436、光トンネル438、及びレンズ440を介して通過する。赤色光は、個別の変調のため、第2のフィルタ425を介し、第1のTIRプリズム416及び第1のDMD430まで透過される。第2のフィルタ425は、緑色光を、第2のTIRプリズム426及び第2のDMD432へ反射する。第1及び第2のフィルタ424、425は、第2のDMD432による緑色光を用いた時間順次的な変調のため、(ホイール409の反射表面417で反射された)位相シフトされた青色光を第2のTIRプリズム426へ反射する。表示スクリーン(図示せず)におけるフレーム表示時間の間、連続的な赤色及び時間順次的な緑色/青色変調の視覚統合のための画像の投射のため、2プリズムキューブコンバイナ406が、時間順次的に変調された色を合成する。
【0045】
図4の表示B~Eは、
図4の配置において燐光体ホイール409のために用いられ得る、多くのその他のセグメント構成の幾つか(それぞれ、409b~eと標示される)を図示する。表示B及びCは、ホイール409b及び409cを図示し、ホイール409b及び409cは、ホイールの反射性表面上の円形リングバンド状に配される黄色燐光体418を有する。表示Bにおける黄色燐光体418セグメントは、表示Aにおける黄色燐光体418及び緑色燐光体セグメント414両方の位置を占め、リング上の正反対の場所における青色レーザー光反射表面417の二つの約30°の弧状セグメントによって遮られる連続的なリング形状を有する。表示Cは、ただ一つの青色光反射表面417が黄色燐光体418を遮ることを除いて、表示Bに類似している。表示B又は表示Cの構成のいずれも、緑色セグメントを有さない。例えば、黄色セグメントの燐光体組成は、
図5Aに図示されるものに類似する放射スペクトルを提供し得、この場合、黄色燐光体は、入射青色レーザー光によって励起されるとき、赤色光及び緑色光両方を放射する。所望の赤色成分R及び緑色成分Gを、変調のためにそれぞれの個別の第1及び第2のDMD430、432に向けるために、ダイクロックフィルタ425は、発せられた光をフィルタするように適切に選ばれる。
【0046】
図4の表示D及びEは、ホイール409d及び409eを示し、ホイール409d及び409eは、表示B及びCにおける黄色燐光体418セグメントに関して示したものに類似する円形リングバンド状に配される、緑色放射燐光体414セグメントを有する。上記したように、青色光反射表面417の一つ又は複数の弧状セグメントが、同様に、緑色燐光体セグメントリングを遮る。表示D及びEのホイールは、黄色燐光体セグメントを有さない。緑色セグメントの燐光体組成は、
図5Bに図示される例示の放射スペクトルなど、赤及び緑色放射の両方を提供するように選ばれる。それぞれの個別の第1及び第2のDMD430、432による変調のため、所望の赤色成分R及び緑色成分Gを隔離及び方向付けするために、ダイクロックフィルタ425が、発せられた光をフィルタし得る。黄色及び緑色燐光体418、414に対する応答の異なる高さ(
図5A、
図5Bに示したスペクトルによって示される)は、それぞれの第1及び第2のDMD430、432において、(ミラーのオン/オフタイミングを調節することにより)異なる減衰を適用することによって平衡され得る。
【0047】
図6は、アルミニウムホイールの光反射表面上の黄色燐光体618及び緑色燐光体614(これらは、
図5A、
図5Bに示したものに類似する放射スペクトルを有する)の被覆を用いるホイール609の例示の構成を図示する。黄色燐光体618及び緑色燐光体614は、各々、円形バンドの150°の部分を占め、被覆されていない領域617が残りの60°の部分を占める。従って、光反射表面は、被覆されていない領域617において露出される。ホイール609は、利用可能なフレームイメージング時間毎に、整数1又はそれよりも大きな数の回転を回転され得る。
【0048】
図7は、別の例示のアーキテクチャ700を図示する。この例では、燐光体ホイール709は、燐光体リングセグメントを遮る青色光反射表面417(
図4)の全て又は一部の代わりに、青色光透過スリット719を有する(
図7における表示A)。この例では、赤色光燐光体放射R及び緑色光燐光体放射Gは、
図4の例に関して説明したものと同じであり得る。しかし、ホイール709は、青色レーザー光B2の少なくとも一部を、個別の経路上に、レンズ734を介し、ミラー736で反射し、ミラー738で反射し、レンズ740を介し、フィルタ727で反射し、レンズ742を介し、光トンネル744を介し、レンズ746を介し、フィルタ725で反射し、TIRプリズム726を介し、第2のDMD732へ伝わる。この例示のアーキテクチャ700では、ホイールが回転するので、レーザー光源722によって発せられた青色レーザー光B2の少なくとも一部が、燐光体ホイール709の光透過スリット719を通過する。例えば、光透過スリット719は、
図4の例において上述した青色光反射表面417の一つ又は複数の位置に付加される、一つ又は複数の弧状スリット又は青色光透過窓であり得る。レーザー光源722からの光が、フィルタ724を介し、レンズ748を介し、回転ホイール709の光透過スリット719まで通過するとき、その光の少なくとも一部が、ホイールを通過し得、緑色光を用いるタイミングシーケンシャルな変調のために、個別の経路(これは、付加的なフィルタ727と、赤色及び/又は緑色放射光中継経路を備えるいくつかの共通要素とを含み得る)に沿って第2のDMD732に(例えば、反射光学系などによって)向けられ得る。任意選択で、透過スリット719は、燐光体セグメント部分と統合され得、それゆえ、緑色及び青色光は、フレーム変調サイクルの少なくとも一部の間、共に変調され得る。
図4の例と同様、フィルタ725は、赤色光を、TIRプリズム716を介してDMD730まで通し、コンバイナ706が、DMD730及びDMD732からの変調された光を合成して、ターゲット表面上の画像のための合成された光を提供する。
図7における表示B~Eは、燐光体ホイール709に用いることのできるその他の構成709b~eのいくつかを図示し、これらは、
図4における表示B~Eに示した燐光体セグメント414、418の構成に対応する燐光体セグメント714及び718の構成を備える。しかし、青色光反射表面417(
図4)のための位置として
図4に示した位置に、青色光透過スリット719が置かれている。透過された青色光を拡散するために、スロットは、散光要素(図示せず)を含み得る。
【0049】
図8は、別の例示のアーキテクチャ800を図示する。この例では、透過性燐光体ホイール809が、全ての色を生成する。また、この例では、ホイール809は、ホイール全体或いはホイールの少なくとも一部が光透過材料であり得る。燐光体材料は、ホイール809の一つの表面上にあり、ホイールの反対の表面に向けられるレーザー光によって励起される。例えば、ホイール809は、光透過性バンドを含み得、光透過性バンドは、青色レーザー光透過を提供するために、黄色光をつくる燐光体によって覆われた第1の角度の黄色光セグメント818、緑色光をつくる燐光体によって覆われた第2の角度の緑色光セグメント814、及び、一つ又は複数の第3の角度範囲の被覆されていないセグメント821を有する(
図8における表示A)。ホイール809が回ると、(レーザー光源822から、覆われていない裏面に向けられる)青色レーザー光B2が、レンズ836及びホイール809を通過し得、黄色燐光体セグメント818又は緑色燐光体セグメント814の一方に当たるか、或いは、被覆されていないセグメント821を通過し得る。
図5A及び
図5Bに図示されるようなスペクトルに関して、黄又は緑色燐光体に当たる光が、赤及び緑色光を放射する。燐光体が発した赤色光は、レンズ838、レンズ840、光トンネル842、レンズ844、及びフィルタ825を介し、第1のTIRプリズム816まで通過する。第1のTIRプリズム816は、単色変調のため、赤色光をDMD830に提供する。燐光体が発した緑色光及び光源を直接透過した青色光は、レンズ838、レンズ840、光トンネル842、及びレンズ844を介し、フィルタ825で反射して、第2の
TIRプリズム826まで通過する。第2のTIRプリズム826は、時系列変調のため、緑又は青色光をDMD832に提供する。コンバイナ806が、DMD830及びDMD832からの変調された光を合成する。ホイール809は、フィルタ及びディフューザー要素835両方を収容し得る。他の例示のホイール構成809b~eを、
図8の表示B~Eに示す。
【0050】
図9は、色を分離及び合成するために単一フィルタを用いる、
図8の例示のアーキテクチャ800の改変例900を図示する。この例では、燐光体ホイール909を備える光源922が、レンズ940及び942を介して、並びに、燐光体ホイール909から、レンズ934、光トンネル936、レンズ938、TIRプリズム構造916、及び色分離プリズム構造906を介し、DMD930、932への同じ経路を介して、赤色、緑色及び青色を生成する。TIRプリズム構造916は、光を、適切な角度で色分離プリズム構造906内に向け、(a)赤色光は、中央に置かれる角度付けられたダイクロックフィルタ927(f1)の反射によって、一つの出口面において第1のDMD930に向けられ、(b)緑及び青色光は、同じダイクロックフィルタ927を介する透過によって別の出口面において第2のDMD932に向けられる。変調されたビームは、合成色画像の表示のため、同様の反射及び透過経路に沿って及び同じTIRプリズム構造916を介して投射レンズ(図示せず)へ戻る。上記したように、赤及び緑色光は、
図5A及び5Bに示したものに類似する放射スペクトルを有する緑及び黄色燐光体914、918によって生成され得る。同じ原理が、上記したような反射性燐光体ホイール配置に適合可能である。
【0051】
図10~
図12は、赤外線(IR)光源が投射システム内に導入された例示の配置1000、1100、1200を図示する。
図10に示すように、一つ又は複数の他の色を用いる共通の及び/又は時系列方式での変調のためのリレー光学系の少なくとも一部に従うレーザー光源1010によって、IR光が導入される。光源1022及び燐光体1018は赤色光を生成し、赤色光は、レンズ1027を通過し、フィルタ1024で反射し、レンズ1031、光トンネル1033、レンズ1034、フィルタ1025、及びTIRプリズム1016を介してSLM1030へ伝わる。光源1022及び燐光体1018は緑色光も生成し、緑色光は、レンズ1027を通過し、フィルタ1024で反射し、レンズ1031、光トンネル1033、及びレンズ1034を介し、フィルタ1025で反射し、TIRプリズム1026を介してSLM1032へ伝わる。光源1022は、燐光体ホイール1009及びレンズ1036を介して光を通過させることによって青色光を生成し、青色光は、ミラー1038、1040、及び1042で反射し、フィルタ1024、レンズ1031、光トンネル1033、レンズ1034を通過し、フィルタ1025で反射し、TIRプリズム1026を介してSLM1032へ伝わる。コンバイナ1006が、SLM1030及び1032からの変調された光を合成し、これが投射光学系(図示せず)へ伝わる。
【0052】
図11において、青色レーザー光源1122と燐光体ホイール1109との間に位置する青色入力レーザー光透過フィルタ1124において、燐光体ホイールが生成した光経路の方向に、IRレーザー光源1110がIR光を導入する。
図12において、青色レーザー光源1222と燐光体ホイール1209との間に位置する青色入力レーザー光透過フィルタ1224において、燐光体ホイールが生成した光経路の方向に、IRレーザー光源1210がIR光を導入する。或る例示の配置1100において、光源1122並びに燐光体1114及び1118が赤色光を生成し、赤色光は、レンズ1127を通過し、フィルタ1124で反射し、レンズ1131、光トンネル1133、レンズ1134、フィルタ1125、及びTIRプリズム1116を介してSLM1130へ伝わる。光源1122並びに燐光体1114及び1018は緑色光も生成し、緑色光は、レンズ1127を通過し、フィルタ1124で反射し、レンズ1131、光トンネル1133、及びレンズ1134を介し、フィルタ1125で反射し、TIRプリズム1126を介してSLM1132へ伝わる。光源1122は青色光を生成し、青色光は、燐光体ホイール1109で反射し、レンズ1127を介し、フィルタ1124で反射し、レンズ1131、光トンネル1133、及びレンズ1134を介し、フィルタ1125で反射し、TIRプリズム1126を介してSLM1132へ伝わる。コンバイナ1106が、SLM1130及び1132からの変調された光を合成し、これが投射光学系(図示せず)へ伝わる。
【0053】
例示の配置1200において、光源1222は燐光体ホイール1209と共に、赤、緑、及び青色光を生成する。光源1222は、偏光フィルタ1224、4分の1波長板1225、及びレンズ1228を介して、燐光体ホイール1209へ伝わる青色光を生成する。燐光体(又は燐光体ホイール1209の反射)からの着色光は、レンズ1228及び4分の1波長板1225を通過し、偏光フィルタ1224で反射し、レンズ1230を介し、ミラー1232で反射し、レンズ1234及びカラーホイール(これは、燐光体ホイール1209に統合されている)を介し、統合トンネル1236へ伝わる。統合トンネル1236から、光は、変調及び投射光学系(図示せず)へ伝わる。
【0054】
例えば、導入されたIR光は、IR光源イメージング能力を必要とするシミュレーションの状況において有用であり得る。また、幾つかの応用例における赤色増強のために、赤色レーザーが付加され得る。例えば、紫外線(UV)又は電磁スペクトルの別の非可視領域において、同じ原理がその他の光の導入に適用可能である。
【0055】
変調又は投射は、本願で説明される例のいずれかにおける赤、緑、及び青色原色に限定されず、同じ原理が、主要又は二次的な色のその他の選択肢に容易に適用可能である。
【0056】
2チップアーキテクチャの例示の実装が、赤、緑、及び青色光をつくるためにレーザーの単一バンクを有する。そうした配置において、レーザーは燐光体光出力をつくり、この光が赤及び緑色成分に分かれる。青色時間の間、青色光は第1(又は第2)のDMDへ通過し、この時間の間、第2のDMDのミラーはオフ状態である。全ての光がレーザーのただ一つのバンクによって生成されるので、効率が向上する。
【0057】
図13は、
図7を参照して上述した例示のアーキテクチャ700のような、一つの適切なアーキテクチャ1300を示す。このシステム設計は、光源1322として単一レーザバンクを用いる。燐光体1314又は1318によって生成された(又は燐光体ホイール1309で反射された)光は、レンズ1327を介して第1のフィルタ1324へ伝わる。光源1322及び燐光体1314は赤色光を生成し、赤色光は、レンズ1327を通過し、フィルタ1324で反射し、レンズ1331、光トンネル1333、レンズ1334、フィルタ1325、及びTIRプリズム1316を介してSLM1330へ伝わる。光源1322及び燐光体1314は緑色光も生成し、緑色光は、レンズ1327を通過し、フィルタ1324で反射し、レンズ1331、光トンネル1333、及びレンズ1334を介し、フィルタ1325で反射し、TIRプリズム1326を介してSLM1332へ伝わる。光源1322は青色光を生成し、青色光は、レンズ1323、燐光体ホイール1309、及びレンズ1336を通過し、ミラー1338で反射し、レンズ1339を介し、ミラー1340で反射し、レンズ1341を介し、ミラー1342で反射し、レンズ1343、フィルタ1324、レンズ1331、光トンネル1333、及びレンズ1334を介し、フィルタ1325で反射し、TIRプリズム1326を介してSLM1332へ伝わる。この例では、赤色光は第1のSLM1330に対して分離し、緑色光は第2のSLM1332へ伝わる。青色光が存在するとき、青色光は第2のSLM1332に送られる。(代替の配置において、SLM1330が、フィルタ変更によって青色光も受け取り得ることに留意されたい。)SLM1330及び1332は、二つの光経路を個別に変調する。カラーキューブコンバイナ1306が「オン」状態光を再合成する。
図13に示したアーキテクチャ1300では、フィルタ1325は赤色光を通すが、フィルタ変更によ
って赤色光を反射するようにもし得る。同様の配置が、緑/青色チャネルに適用可能である。従って、フィルタ1325は、青及び緑色光を通し、赤色光を反射する短波長パスフィルタであり得る。この配置では、ドミナントカラー(この例では、赤色)は、比較可能な単一変調器システムにおけるよりも、最大3時間明るい。なぜなら、そうした色の個別の変調が、(共有の変調器で変調される場合のフレームの3分の1のみに対する投射ではなく)完全なフレームに対する投射を可能とするからである。その他の2色(この例では、緑及び青色)は、単一チップ配置におけるより50%(すなわち、1.5倍)明るい。なぜなら、これら2色が、フレームの3分の1ではなく、フレームの2分の1に対して投射し、そのため、(3色が変調器を共有するのではなく)2色のみが変調器を共有するからである。ドミナントカラーとして赤色を選択することは必要要件ではないが、共有されていない(第1の)DMDによる変調のために選ばれる色は、通常、最大量の増強を必要とする色である。ドミナントカラー経路に適用される減衰は、適正なカラー平衡点を得るために、緑及び青色に対して赤色出力を増強するように適切に制御され得る。白色光源が均一にカラー平衡される場合、ドミナント(赤色)カラー経路の50%の減衰は、比較可能な単一変調器システムより50%高い総投射ルーメン出力を備える均一のカラー平衡をつくり得る。
【0058】
アーキテクチャの第2のタイプが、フィルタ1325前の光源1350を改変する。例えば、
図8を参照して上述したものに類似する配置において、透過性燐光体ホイールを用いるために、照明モジュールが変更され得る。
【0059】
ホイールは、単一の燐光体或いは二つの燐光体を(青色反射又は透過セグメントと共に)用い得、黄及び緑色燐光体からのスペクトルが、緑及び赤色のそれらの二つの成分に分離されている。例えば、単一の黄色燐光体を用いるシステムが、良好な白色点を生成し得、プリズムを用いる良好な赤色の選択を可能にし得るが、緑色は、ITU-R勧告BT.709の緑色点のちょうど内側に色点を与えられて、悪化し得る。単一緑色燐光体が用いられる場合、緑色点は良好であり得る(勧告709の外)が、白色点は不良(非常にシアンがかった白色点)であり得る。緑及び黄色の両方の燐光体を用いるアプローチで二つの緑色及び二つの赤色がつくられ得るが、両方の色に対して同一シーケンスがつくられ得、それにより、二つの緑色の混合で単一の緑色が得られ得、二つの赤色の混合で単一の赤色が得られ得る。
【0060】
例示の照明アーキテクチャにおいて、光路が、緑色SLMに送られる(燐光体からの)光に対する青色除去フィルタを有するが、青色時間の間、青色光は、(青色バイパス経路を介して)進むことができる。青色バイパス(例えば、
図13に示すものなど)を備えたアーキテクチャの場合、フィルタ1324は、緑及び黄色燐光体のために青色光を除去する。透過性燐光体システムの場合、燐光体セクションのために、燐光体ホイールの出力においてフィルタが追加され得、青色セクションのためにディフューザーが用いられ得る。
【0061】
図14~
図21は、個別に変調された色を合成するための二つのSLMを有する付加的なアーキテクチャの例を図示する。
図14は、光源からの照明を投射ビームの変調と合成する、例示の変調モジュール1400を示す。この例において、光1402は、全内反射(TIR)によってSLM1410に向けられる。光1402は、プリズム1404に入り、プリズム1404と空隙1406との間のプリズム‐大気インターフェースにおいて入射角を有する。この例では、プリズムはガラスであるが、プラスチック及びその他の適切な材料が代わりに用いられてもよい。プリズム‐大気インターフェース上での光1402の入射角が臨界角より大きいので、光1402は、光1408としてSLM1410上へ反射する。SLM1410の各ピクセルは、オン状態又はオフ状態である。オン状態光は、光1412として或る角度で反射する。オフ状態光は、光1414として別の角度で反射する。この例では、光1412は、6つのプリズム‐大気インターフェースを横断する。この6つのプリズム‐大気インターフェースとは、プリズム1404と空隙1406との間、空隙1406とプリズム1416との間、プリズム1416と空隙1418との間、空隙1418とプリズム1420との間、並びに、プリズム1420と大気との間である。光1412が、これらのプリズム‐大気インターフェースの各々において、これらの障壁の臨界角より小さな角度で入射角を有するので、光1412は、
図14に示すように通過する。光1412は、画像をつくるために用いられる所望の変調された光である。光1414は、プリズム1416と空隙1418との間のプリズム‐大気インターフェースにおいて、臨界角より大きな角度で入射角を有する。このように、光1414は、光1422として反射する。幾つかの例において、光1422は、この浪費光を吸収するためのライトトラップ(図示せず)に入る。従って、変調モジュール1400は、光1402を受け取り、SLM1410によって変調された光1412を提供する。これが、3片TIRプリズムであり、オフ状態の光を、オン状態の光の経路とは異なる経路に向ける。
【0062】
図15は、別の例示の変調モジュール1500を示す。光1502は、プリズム1504を介してSLM1506に伝わる。SLM1506からのオン状態光は、光1508として反射し、光1508は光1510として反射する。所望の変調された光を提供するため、光1510は、
図15に示すようにプリズム1512を通過する。オフ状態光1514は、光1518として、(プリズム1504と空隙1516との間の)プリズム‐大気インターフェースで反射する。幾つかの例において、光1516は、この浪費光を吸収するためのライトトラップ(図示せず)に入る。オン状態光が、変調の後、全内反射によって反射するので、
図15の配置は、逆全内反射(RTIR)変調モジュールと呼ばれることもある。
【0063】
図16は、別の例示の変調モジュール1600を示す。光1602は、光1610として、(プリズム1604と空隙1608との間の)プリズム‐大気インターフェースで反射する。光1610は、プリズム1612、及び1614を介してSLM1616に伝わる。SLM1616からのオン状態光1618は、所望の変調された光を提供するために、プリズム1614、1612、1604、及び1606を通過する。オフ状態光1620は、光1624として、(プリズム1614と空隙1622との間の)プリズム‐大気インターフェースで反射する。幾つかの例において、光1624はこの浪費光を吸収するためのライトトラップ(図示せず)に入る。プリズム1604とプリズム1606との間の角度が、プリズム1612とプリズム1614との間の角度とは個別に選択可能であるので、変調モジュール1600は、幾つかの応用例において有用である。
図16は、オフ状態の光を、オン状態の光の経路とは異なる経路に向けるために、DMD近辺の一つのプリズムを用いる、別のプリズム配置である。
【0064】
図17は、例示のコンバイナ1700を示す。変調モジュール1702及び1706は、変調された光をプリズム1710に提供する。プリズム1710は、ダイクロックフィルタ1712を含み、ダイクロックフィルタ1712は、光1704の色を反射するが、光1708の色を通過させる。例えば、光1708は赤色光であり得、光1704は青又は緑色光であり得る。この例では、ダイクロックフィルタ1712は、一層低い周波数の赤色光を通過させ、一層高い周波数の緑及び青色光を反射する、長波長パスフィルタである。その結果、光1708及び1704が合成し、所望の画像のため投射光学系(
図17に図示せず)へ伝わる。
【0065】
図18は、別の例示のコンバイナ1800を示す。変調モジュール1806からの光1808は、光1816としてTIRによって反射し、光1818として、(プリズム1812と空隙1814との間の)プリズム‐大気インターフェースでTIRによって再び反射される。変調モジュール1802からの光1804は、プリズム1810及び1812を通過する。その結果、光1804及び光1818が合成され、所望の画像のため投射光学系(
図18に図示せず)に向けられる。
【0066】
図19A~
図19C(集合的に「
図19」)は、
図14~
図18において上述したような変調モジュール及びコンバイナを有する、例示のアーキテクチャ1900を示す。しかし、変調モジュール及び/又はコンバイナのための異なる入射角及び出射角が、構成要素の相対的な位置決めの変更を必要とし得る。
図19Aは、アーキテクチャ1900の側部図である。
図19Bは、入射光1902の視点からの、アーキテクチャ1900の別の(
図19Aのy軸の周りを90度回転された)側部図である。
図19Cは、アーキテクチャ1900の(
図19Aのx軸の周りを90度回転された)底部図である。本記載(例えば、
図19~
図21に関する記載)において、「頂部」、「底部」、及び「側部」という用語は、単に(互いに対する)相対的な参照であり、参照の任意のその他の枠組みを指すものではない。例えば、
図19Aにおける「頂部」が地面に向けられている場合でも、それは本記載における「頂部」であることに変わりない。
図19Aを参照すると、光1902が、レンズ1904及び1906を介してフィルタ1908へ伝わる。この例では、フィルタ1908は、長波長パスフィルタである。光1902は、
図1Aの光源、又は、光源150(
図1B)、200(
図2A)、250(
図2B)、若しくは1350(
図13)の一つなどの光源によって提供される。
図19Cに示すように、フィルタ1908は、45度の角度を有し、そのため、一層高い周波数の光1921(この例では、青及び緑色)をミラー1920に反射する。
図19Bに示すように、ミラー1920は、一層高い周波数の光1921を、レンズ1924を介して、SLM1930を含む変調モジュール1932に反射する。
図19Aに示すように、光1902からの赤色光は、フィルタ1908を介して光1911としてミラー1910へ伝わり、ミラー1910は、そのような光を(赤色光1912として)レンズ1914を介して、SLM1918を含む変調モジュール1916内へ反射する。レンズ1914及び1924は、光を、それぞれ、SLM1918及びSLM1930にわたって一層均一に分布させるように配される。コンバイナ1926は、変調モジュール1916及び1932の変調された光出力を合成し、合成された変調された光を投射光学系1928まで通過させる。しかし、アーキテクチャ1900は、後述するその他の例ほどコンパクトではない。
【0067】
図20A~
図20C(集合的に「
図20」)は、
図14~
図18における上述したような変調モジュール及びコンバイナを有する、別の例示のアーキテクチャを示す。アーキテクチャ1900(
図19)と同様、変調モジュール及び/又はコンバイナのための異なる入射角及び出射角が、構成要素の相対的な位置決めの変更を必要とし得る。
図20Aは、アーキテクチャ2000の側部図である。
図20Bは、入射光2002の視点からの、アーキテクチャ2000の別の(
図20Aのy軸の周りを90度回転された)側部図である。
図20Cは、アーキテクチャ2000の(
図20Aのx軸の周りを90度回転された)底部図である。光2002は、
図1Aの光源、又は、光源150(
図1B)、200(
図2A)、250(
図2B)、若しくは1350(
図13)の一つなどの光源によって提供される。
図20Aに示すように、光2002は、レンズ2004及び2006を介してフィルタ2008へ伝わる。この例では、フィルタ2008は長波長パスフィルタである。フィルタ2008は45度の角度を有し、そのため、一層高い周波数の光2010(この例では、青及び緑色)を、レンズ2018を介して、SLM2022を含む変調モジュール2024内へ反射する。光2002からの赤色光は、フィルタ2008を介して、光2013として、ミラー2015及びミラー2014へ伝わる。また、
図20Bを参照すると、ミラー2014は、そのような光を(赤色光2016として)、レンズ2020を介して、SLM2032を含む変調モジュール2030内へ反射する。レンズ2018及び2020は、それぞれ、SLM2022及びSLM2032にわたって一層均一に分布させるように配される。コンバイナ2026は、変調モジュール2024及び2030の変調された光出力を合成し、合成された変調された光を投射光学系2028まで通過させる。
【0068】
図21は、
図14~
図18において上述したような変調モジュール及びコンバイナを有する、別の例示のアーキテクチャを示す。アーキテクチャ1900(
図19)及び2000(
図20)と同様、変調モジュール及び/又はコンバイナのための異なる入射角及び出射角が、構成要素の相対的な位置決めの変更を必要とし得る。アーキテクチャ2100において、光2102が、レンズ2104及び2106を介してフィルタ2108へ伝わる。光2102は、
図1Aの光源、又は、光源150(
図1B)、200(
図2A)、250(
図2B)、若しくは1350(
図13)の一つなどの光源によって提供される。この例では、フィルタ2108は長波長パスフィルタである。フィルタ2108は、一層高い周波数の光2110(この例では、青及び緑色)を、SLM2116を含む変調モジュール2114内へ反射する。一層低い周波数の光2112(この例では、赤色)は、フィルタ2108を介して、SLM2120を含む変調モジュール2118内へ伝わる。コンバイナ2126が、変調された光2124及び変調された光2122を合成し、合成された変調された光を投射光学系2128を介してターゲット画像平面まで通過させる。また、一層高い周波数の光2110及び一層低い周波数の光2112は、フィルタ2108をテレントリック光空間に置くために、付加的なレンズ(明確にするために図示せず)を通過し得、そのため、入ってくる光(分離されたとき)は、SLM2116及び2120にわたるカラーバリエーションが少なくなり得る。アーキテクチャ2100は非常にコンパクトである。
【0069】
図22は、例示の方法2200のフローチャートである。方法2200は、第1の色の光を第2の色の光を生成する燐光体上に向けるステップ2202で始まる。少なくとも一つの例において、第1の色は青色であり、第2の色は黄色である。第1の色の光は、例えば、
図1A~
図1B及び
図2A~
図2Bの配置の一つを用いて、燐光体に選択的に印加され得る。ステップ2204で、燐光体(第2の色の光)によって発せられた黄色光は、緑及び赤など、第3及び第4の色をつくるためにフィルタされる。ステップ2206で、色の一つ(例えば、緑)の光が、
図1AのDMDなど、第1の空間光変調器によって変調される。ステップ2208で、他の二つの色(例えば、赤及び青)が、
図1Aに関して上述したように、第2の空間光変調器によって交互に変調される。ステップ2210は、二つの変調器の出力を合成する。
【0070】
図23は、別の例示の方法2300のフローチャートである。方法2300は、第1の色を第2の色の光を生成する燐光体上に向けるステップ2302で始まる。少なくとも一つの例において、第1の色は青色であり、第2の色は黄色である。第1の色の光は、例えば、燐光体ホイールを用いて、燐光体に選択的に印加される。例えば、ステップ2304は、第3の色(例えば緑)を生成するために、第1の色の光を第2の燐光体上に向ける。ステップ2306で、燐光体からの光は、赤及び緑色など、構成要素色にフィルタされる。ステップ2308で、色の一つ(例えば緑)の光が、DMDなど、第1の空間光変調器によって変調される。ステップ2310で、他の二つの色(例えば、赤及び青)が、上述したように、第2の空間光変調器によって交互に変調される。ステップ2312は、投射のため二つの変調器の出力を合成する。
【0071】
2018年3月6日に出願された、米国特許出願番号15/913,690は、参照により本願に組み込まれる。また、米国特許第9,939,719号及び米国特許第9,664,989号が参照により本願に組み込まれる。
【文献】米国特許出願番号US15/913,690
【文献】米国特許第9,939,719号
【文献】米国特許第9,664,989号
【0072】
特許請求の範囲内で、説明された例における改変が可能であり、他の例が可能である。