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特許7518521浄水システムおよび浄水システム用の制御部
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】浄水システムおよび浄水システム用の制御部
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240710BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
C02F1/00 B
C02F1/00 X
C02F1/00 V
E03C1/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023159043
(22)【出願日】2023-09-22
(62)【分割の表示】P 2019104660の分割
【原出願日】2019-06-04
(65)【公開番号】P2023174690
(43)【公開日】2023-12-08
【審査請求日】2023-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000108557
【氏名又は名称】タイム技研株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 泰浩
(72)【発明者】
【氏名】前田 博久
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-019640(JP,A)
【文献】特開2016-148170(JP,A)
【文献】特開2001-225062(JP,A)
【文献】特開2006-281164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00、1/28
E03C1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道管と接続する原水経路と、
前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、
前記原水路に設けられた第1電磁弁と、
前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2電磁弁と、
前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、
前記合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
前記合流部と前記カランとの間の経路に設けられたフローセンサと、
前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを制御する制御部とを備えた浄水システムにおいて、
前記制御部は、前記カランの操作パターンに応じた、前記フローセンサから出力される出力信号の変動のパターンに基づいて、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の開閉を制御し、原水モードから浄水モードへと操作者の任意に切換え可能であることを特徴とする浄水システム。
【請求項2】
水道管と接続する原水経路と、
前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、
前記原水路に設けられた第1電磁弁と、
前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2電磁弁と、
前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、
前記合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
前記合流部と前記カランとの間の経路に設けられたフローセンサとを備えた浄水システムに用いられる制御部において、
前記カランの操作パターンに応じた、前記フローセンサから出力される出力信号の変動のパターンに基づいて、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の開閉を制御し、前記浄水システムを原水モードから浄水モードへと操作者の任意に切換え可能であることを特徴とする制御部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に開示の技術は、水道水や地下水等の水を浄化して一般家庭用或いは業務用の飲料水として供給する浄水システムおよび浄水システム用の制御部に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水道管に接続して家庭用水の浄化を行う浄水システムは多数提案されている。例えば、特許文献1には水道管に浄水器を介在させた側管を設けるとともに、水道管および側管にはそれぞれ原水の流通を開閉する電磁弁を備え、電磁弁を制御することにより原水と(側管の浄水器を流通した)浄水とをタッチパネルの操作で切換え操作するアンダーシンク型浄水器を用いた浄水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3776670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、既に設置されている流し台に特許文献1に開示されるアンダーシンク型浄水器を用いた浄水装置を設置する場合、原水(水道水)と浄水とを切換え操作するためのタッチパネルを流し台の上面あるいは側面等に設置する必要があるため、追加工事が必要となることから、簡易に浄水装置を設置することができないという問題があった。
【0005】
本願に開示される技術は、カランの下流にフローセンサを備え、カランの操作に応じたフローセンサの出力に基づいて原水と浄水とを切換可能にすることにより、既に設置されている流し台に、容易に、浄水システムを設置することが可能な浄水システムおよび浄水システム用の制御部を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係る浄水システムは、水道管と接続する原水経路と、前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、前記原水路に設けられた第1電磁弁と、前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2電磁弁と、前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、前記合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、前記合流部と前記カランとの間の経路に設けられたフローセンサと、前記第1電磁弁と前記第2電磁弁とを制御する制御部とを備えた浄水システムにおいて、前記制御部は、前記カランの操作パターンに応じた、前記フローセンサから出力される出力信号の変動のパターンに基づいて、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の開閉を制御し、原水モードから浄水モードへと操作者の任意に切換え可能であることを特徴とする。
【0007】
前記目的を達成するため請求項2に係る制御部は、水道管と接続する原水経路と、前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、前記原水路に設けられた第1電磁弁と、前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2電磁弁と、前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、前記合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
前記合流部と前記カランとの間の経路に設けられたフローセンサとを備えた浄水システムに用いられるものであって、前記制御部は、前記カランの操作パターンに応じた、前記フローセンサから出力される出力信号の変動のパターンに基づいて、前記第1電磁弁および前記第2電磁弁の開閉を制御し、前記浄水システムを原水モードから浄水モードへと操作者の任意に切換え可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る浄水システムおよび請求項2に係る制御部では、カランの操作パターンに応じた、フローセンサから出力される出力信号の変動のパターンに基づいて、第1電磁弁および第2電磁弁の開閉を制御し、原水モードから浄水モードへと操作者の任意に切換え可能である。したがって、特許文献1に開示されたような操作用のタッチパネルを必要としないため、例えば、流し台の下部に浄水システムを設置する際に、流し台の上面あるいは側面などに操作部分の追加工事を行う必要がない。そのため、既設の流し台やカランなどに、容易に浄水システムを設置することができる。また、機器代金、工事費も抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明にかかる一実施形態である浄水システムの構成を説明するブロック図である。
図2】本発明にかかる浄水システムの制御部を説明するブロック図である。
図3】本発明にかかる浄水システムの制御部の制御フローチャート(その1)である。
図4】本発明にかかる浄水システムの制御部の制御フローチャート(その2)である。
図5】本発明にかかる浄水システムの制御部の制御フローにおけるタイミングチャート(その1)である。
図6】本発明にかかる浄水システムの制御部の制御フローにおけるタイミングチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明にかかる一実施形態である浄水システム1について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、本発明にかかる浄水システム1の構成を説明するブロック図である。浄水システム1には、水用水道管2と湯用水道管3とが並列に設けられている。水用水道管2と湯用水道管3とは蛇口(以下「カラン」)の内部に設けられた図示しないミキシングバルブに連結しており、水用水道管2および湯用水道管3を通過した湯および水はミキシングバルブの作用(以下「カランの操作」と言う)により湯、水あるいはこれらを混合した温水をカランから吐出するようになっている。
【0012】
水用水道管2は、水道水(以下「原水」という)が流入する流入管4と、流入管4に接続した分流器18により分岐された(原水が通過する)主管5と(フィルタ16と逆止弁15とから構成される)浄水器20を介在させた側管6と、主管5と側管6とを合流器19により合流した合流管7とから構成されており、主管5および側管6にはそれぞれ、主管5を開閉する第1電磁弁10(SV1)および側管6を開閉する第2電磁弁11(SV2)が設けられている。また、主管5および側管6には、第1電磁弁10および第2電磁弁11のそれぞれ下流側に、逆止弁14および逆止弁13が設けられている。また、合流管7には水の流量を測定するフローセンサ17が設けられている。ここで、逆止弁の設置は、上記本実施形態に限定するものではなく、必要があれば、適宜、適切な位置に適切な数を設ければよい。また、湯用水道管3には湯用水道管3を開閉する第3電磁弁12(SV3)が設けられている。
【0013】
次に、本発明にかかる浄水システム1の制御部30について図2を参照して説明する。
【0014】
図2は、本発明にかかる浄水システム1の制御部30を説明するブロック図である。制御部30には、CPUなどから構成される演算装置31が設けられており、演算装置31には、(リセット信号を入力する)リセット32、ブザー33、振動子34、設定スイッチ35、メモリ36、第1電磁弁駆動回路37、第2電磁弁駆動回路38、第3電磁弁駆動回路39およびフローセンサ回路40が接続されている。
【0015】
第1電磁弁駆動回路37、第2電磁弁駆動回路38および第3電磁弁駆動回路39は、それぞれ、第1電磁弁10、第2電磁弁11および第3電磁弁12を駆動制御する回路である。本実施形態では、下述するように、フローセンサ17の出力信号がフローセンサ回路40を介して演算装置31に入力し、入力したフローセンサ17の出力信号に基づいて第1電磁弁駆動回路37、第2電磁弁駆動回路38および第3電磁弁駆動回路39を介して、第1電磁弁10、第2電磁弁11および第3電磁弁12を開閉制御する。
【0016】
次に、本発明にかかる浄水システム1の水用水道管2において、原水と(側管6を通過した)水(以下「浄水」という)とを切換える制御手順について図3から図6を参照して説明する。
【0017】
図3および図4は、浄水システム1の水用水道管2において、制御部30により原水と浄水とを切換えるための制御フローチャートであり、図5および図6は、浄水システム1の制御部30の制御フローにおけるタイミングチャートである。
【0018】
まず、ステップS0で浄水システム1の電源をONにする。すると、ステップS1で浄水システム1は運転スタンバイ状態になる。運転スタンバイ状態では、第1電磁弁10(SV1)は「開」に、第2電磁弁11(SV2)は「閉」になるように制御部30により制御される。この場合、図5の(A)に示すように、第2電磁弁11(SV2)が「閉」になった後に第1電磁弁10(SV1)が「開」になるように制御される。これにより、運転スタンバイ状態では原水が主管5を流通する。(以下、この状態を「原水モード」と言い、カランから浄水が吐出する状態を「浄水モード」という。)そして、浄水システム1が原水モードになったら、制御部30は、ブザー33からブザー音「ピー」を発声させる。これにより、浄水システム1が原水モードであることを操作者に認識させることができる。ここで、第2電磁弁11(SV2)を「閉」した後に第1電磁弁10(SV1)を「開」にすることにより、浄水器20への原水の流入を抑止することができる。そのため、フィルタ6の過度の使用が抑止され、フィルタ6の寿命の短命化を抑止することができる。
【0019】
ステップS2では、浄水モードの検出を行う。本実施形態では、カランをT0秒間「閉」にして再度「開」にするというカラン操作を実行する。すると、図5の(D)に示すように、フローセンサ17の出力信号がT0秒間「OFF」になった後、再度、出力信号が出力される(以下、これを「浄水モード切換え信号」という)。すなわち、浄水モード切換え信号を検出したら(Y)、制御部30は、浄水システム1を原水モードから浄水モードへ切換えるように、第1電磁弁10(SV1)と第2電磁弁11(SV2)を制御するため、ステップS3に進む。もし検出しなかったら(N)、ステップS2に留まり、浄水モード切換え信号の検出を待つ。このように、本発明にかかる浄水システム1では、カランの操作により、原水モードから浄水モードへ切換える。
【0020】
ステップS3では、水用水道管2に流れている水量が所定量以上あるかどうかを確認する。水用水道管2に水が流れるとフローセンサ17から図5の(B)に示すようにクロック信号がフローセンサ17からの出力信号として出力される。クロック信号の周波数(Hz)は水用水道管2に流れる水量が多いほど高周波数になる。そこで、ステップS3では、フローセンサ17の出力信号が、(水量が所定量以上あるかどうかを確認するための閾値である)A1Hzより大きいかを判断し、大きい場合(Y)は流量が適正とあると判断して、ステップS4に進む。A1Hz以下の場合(N)は、ステップS3に留まり、フローセンサ17の出力信号がA1Hzを超えるまで待つ。
【0021】
ステップS4およびステップS5では、浄水システム1を原水モードから浄水モードに切換える。図5の(D)に示すように、まず、ステップS4で、第2電磁弁11(SV2)を「開」とし、その後、ステップS5で第1電磁弁10(SV1)を「閉」となるように制御部30により制御される。ここで、第1電磁弁10(SV1)を「閉」後に第2電磁弁11(SV2)を「開」にしたり、第1電磁弁10(SV1)の「閉」と第2電磁弁11(SV2)の「開」を同時に行うと水用水道管2に流れている水量が一時減少するため、制御部30が、例えば、カランの閉止等と誤検知する恐れがある。このため、上記の手順で第1電磁弁10(SV1)と第2電磁弁11(SV2)を制御することにより、水用水道管2に流れている水量が所定以上であることを維持しつつ浄水システム1を原水モードから浄水モードに切換えることができる。
【0022】
浄水システム1が原水モードから浄水モードに切換ったら、ステップS6で、制御部30は、ブザー33からブザー音「ピッ」を発声させる。これにより、浄水システム1が原水モードから浄水モードへ切換ったことを操作者に認識させることができる。すなわち、ブザー33からブザー音によりカランから吐出している水が原水か浄水かを識別することができる。
【0023】
ステップS7およびステップS8では、浄水モードへ切換後、水用水道管2に流れている水量が所定以上を維持しつつ(ステップS7で「Y」)、T1秒を超える(ステップS8で「Y」)場合、カランから流出している水が飲用可能な浄水であると判断し、ステップS9で、制御部30は、ブザー33からブザー音「ピピッ」を発声させる。これにより、カランから吐出している水が飲用可能な浄水であることを操作者に認識させることができる。
【0024】
ステップS7で、水用水道管2に流れている水量が所定以下の場合(N)は、カランが「閉」となっているか、または、水用水道管2に不具合は生じている恐れがある。この場合は、ステップS12に進み、浄水システム1を浄水モードから原水モードに戻す(切換える)ようにする。
【0025】
ステップS10では、水用水道管2に流れている水量が所定量以上あるかどうかを再度確認する。上記ステップS7の場合と同様、水用水道管2に流れている水量が所定以下の場合(N)は、カランが「閉」となっているか、または、水用水道管2に不具合は生じている恐れがあるので、ステップS12に進み、浄水システム1を浄水モードから原水モードに戻す(切換える)ようにする。
【0026】
ステップS10で、水用水道管2に流れている水量が所定量を超えている場合は、正常に浄水がカランから吐出しているものと判断する。
【0027】
ステップS11で、浄水が所定時間であるT2秒を超えて連続的のカランから吐出すると、図6の(F)に示すように、ステップS12で第2電磁弁11(SV2)を「閉」にした後、ステップS13で第1電磁弁10(SV1)を「開」にして、浄水システム1を浄水モードから原水モードに切換え、ステップS14において、制御部30は、ブザー33からブザー音「ピー」を発声させる。これにより、浄水システム1が原水モードであることを操作者に認識させる。浄水システム1が原水モードに切換ったら、ステップS2に戻り、浄水モードの検出状態になる。このように、浄水モードの連続吐出時間を制限することにより、浄水モードの過度な使用を防止して、浄水器20内のフィルタ16の寿命の短命化を抑止する。
【0028】
また、ステップS11で、浄水モードの使用時間の積算時間を判定してもよい。T2秒をフィルタ16の使用可能時間(寿命時間)とすることにより、ステップS11で、フィルタ16の寿命を判定し、寿命に達したら、ステップS14におけるブザー33からブザー音を他と異なる、例えば、「ピッピッピー」とすることにより、フィルタ16の寿命を操作者に知らせて、フィルタ16の交換を促すことができる。
【0029】
図6の(E)に示すように、浄水モードの状態でカランを「閉」にして吐出を止めると、上記のように、ステップS12からステップS14を実施して、浄水システム1を浄水モードから原水モードに切換える。
【0030】
上述のように、本発明にかかる浄水システム1では、簡易な操作パターンでカランの操作を行うことにより、原水モードと浄水モードとを切換えることができる。このため、特許文献1に開示されたような操作用のタッチパネルなどを必要としない。これにより、例えば、流し台の下部に浄水システムを設置する際に、流し台の上面あるいは側面などに操作部分の追加工事を行う必要がないため、既設の流し台やカランなどに、容易に浄水システムを設置することができる。また、機器代金、工事費も抑止することができるのである。
【0031】
次に、湯用水道管3に設けられた第3電磁弁12(SV3)の制御について説明する。図6の(G)および(H)に示すように、第3電磁弁12(SV3)と第2電磁弁11(SV2)とは排他的に開閉制御される。すなわち、第2電磁弁11(SV2)が「開」時には第3電磁弁12(SV3)は「閉」に(図6の(G))、第2電磁弁11(SV2)が「閉」時には第3電磁弁12(SV3)は「開」に(図6の(H))なるように制御部30により制御される。これにより、浄水と湯が同時にカランから吐出することを防止することができ、浄水に湯が混入する事故を防ぐことができる。
【0032】
ここで、浄水システム1は浄水システムの一例であり、水用水道管2は原水経路の一例であり、主管5は原水路の一例であり、側管6は浄水路の一例であり、分流器18は分岐部の一例であり、合流器19は合流部の一例であり、第1電磁弁10(SV1)は第1の電磁弁の一例であり、第2電磁弁11(SV2)は第2の電磁弁の一例であり、第3電磁弁12(SV3)は第3の電磁弁の一例であり、浄水器20は浄水器の一例であり、フローセンサ17はフローセンサの一例であり、制御部30は制御部の一例であり、ブザー33はブザーの一例である。
【0033】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明はかかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることが、理解されるべきである。
【0034】
上記実施形態では、ブザー33のブザー音にて、浄水システム1が原水モードか浄水モードかを識別したが、識別方法はこれに限定するものではなく、例えば、図2に示すように振動子34を備え、振動信号(振動パターン)により識別可能にしてもよい。これにより聴覚障害者であっても識別することが可能になる。また、ブザー音と振動信号の両方を併用してもよい。この場合、音声が聞き取りにくい環境でも確実に識別することが可能になる。識別手段は、ブザー音や振動信号に限定することなく、LEDなどで視覚的に識別可能にしてもよい。
【0035】
また、ブザー音は上記実施形態に示したものに限定するものではなく、様々なパターンのブザー音を採用することができるし、上記実施形態に示した場合以外でも様々な状態に応じて適宜、適切なブザー音を発声してもよい。さらに言えば、例えば、浄水モード時においては「ピッ、ピッ、ピッ、・・・」と連続的にブザー音を発声してもよい。この場合、浄水モードがより正確に認識させることができる。
【0036】
また、ブザー33に代えてスピーカを採用してもよい。この場合、メロディにより浄水システムの各状態を識別できるようにして、浄水システムを違和感なく快適に利用してもらうことができる。
【0037】
また、上記実施形態に示した浄水システム1を原水モードから浄水モードに切換えるためのカランの操作パターンは一例であって、これに限定するものではない。勿論ながら、他の操作パターンを採用してもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、主管5などの開閉に電磁弁を採用したが、これに限定するものではなく、例えば、電池弁などを採用してもよい。これにより、電源に電池を採用可能となり、商用電源を用いる場合に比べ、電気工事が不要になる。
【0039】
また、上記実施形態に示した浄水システム1では湯用水道管3も含めた構成になっているが、水用水道管2のみの構成としてもよい。
【0040】
前記実施形態から把握できる技術的思想について記載する。
(1)水道管と接続する原水経路と、
前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、
前記原水路に設けられた第1の電磁弁と、
前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2の電磁弁と、
前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、
合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
合流部とカランとの間の経路に設けられたフローセンサと、
前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁とを制御する制御部とを備えた浄水システムにおいて、
前記制御部は、前記カランの操作に応じて前記フローセンサから出力される出力信号に基づいて、前記第1の電磁弁および前記第2の電磁弁の開閉制御し、原水と浄水とを切換え可能にしたことを特徴とする浄水システム。
【0041】
(2)前記制御部にはブザーを備え、ブザー音により、原水と浄水とのいずれに切り換えたかを識別可能にしたことを特徴とする技術的思想(2)に記載の浄水システム。
【0042】
(3)前記制御部には振動子を備え、該振動子による振動信号により原水と浄水とのいずれに切換ったか切り換えたかを識別可能にしたことを特徴とする技術的思想(1)又は(2)に記載の浄水システム。
【0043】
(4)前記カランに接続する温水路を備えた浄水システムにおいて、
前記温水路には第3の電磁弁を備え、
前記制御部は、前記第2の電磁弁と前記第3の電磁弁とを排他的に動作させることを特徴とする技術的思想(1)及至(3)のいずれか1項に記載の浄水システム。
【0044】
(5)前記カラン操作は所定の時間間隔でカランの開閉を実施することにより原水と浄水とを切換可能とすることを特徴とする技術的思想(1)及至(4)のいずれか1項に記載の浄水システム。
【0045】
(6)水道管と接続する原水経路と、
前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、
前記原水路に設けられた第1の電磁弁と、
前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2の電磁弁と、
前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、
合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
合流部とカランとの間の経路に設けられたフローセンサと、
前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁とを制御する制御部とを備えた浄水システムにおいて、
前記制御部は、前記カランの操作に応じて前記フローセンサから出力される出力信号に基づいて、前記第1の電磁弁および前記第2の電磁弁の開閉制御し、原水と浄水とを切換え可能にし、
前記制御部の制御には、前記フローセンサから出力される出力信号に基づいて、前記第1の電磁弁を閉弁および前記第2の電磁弁を開弁して、原水から浄水へ切換える制御が含まれる、
ことを特徴とする浄水システム。
【0046】
(7)水道管と接続する原水経路と、
前記原水経路を原水路と、浄水器を介在させた浄水路とに分岐する分岐部と、
前記原水路に設けられた第1の電磁弁と、
前記浄水路において前記分岐部と前記浄水器との間に設けられた第2の電磁弁と、
前記分岐部により分岐された前記原水路と前記浄水路とを合流させる合流部と、
前記合流部と接続し、原水或いは浄水を流出するカランと、
前記合流部と前記カランとの間の経路に設けられたフローセンサと、
前記第1の電磁弁と前記第2の電磁弁とを制御する制御部とを備えた浄水システムにおいて、
前記制御部は、前記カランの操作に応じて前記フローセンサから出力される出力信号に基づいて、前記第1の電磁弁および前記第2の電磁弁の開閉を制御し、原水と浄水とを切換え可能にし、
前記制御部の制御には、前記第1の電磁弁が開いている状態および前記第2の電磁弁が閉じている状態で、前記カランから原水が流出して前記フローセンサから前記出力信号が出力されているときに、前記カランの操作に応じて前記出力信号がいったん途切れてから再び出力されるパターンに基づいて、前記第1の電磁弁を開いている状態から閉じている状態にし、かつ前記第2の電磁弁を閉じている状態から開いている状態にして、原水から浄水へ切換える制御が含まれる、ことを特徴とする浄水システム。
【符号の説明】
【0047】
1・・浄水システム
2・・水用水道管
3・・湯用水道管
4・・流入管
5・・主管
6・・側管
7・・合流管
10・・第1電磁弁(SV1)
11・・第2電磁弁(SV2)
12・・第3電磁弁(SV3)
13、14、15・・逆止弁
16・・フィルタ
17・・フローセンサ
18・・分流器
19・・合流器
20・・浄水器
30・・制御部
33・・ブザー
図1
図2
図3
図4
図5
図6