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特許7518528液剤塗布装置及び液剤塗布装置に対するティーチング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】液剤塗布装置及び液剤塗布装置に対するティーチング方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20240710BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240710BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240710BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240710BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240710BHJP
   B05D 1/26 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H05K3/28 E
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D3/00 D
B05D1/26 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020128026
(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公開番号】P2022025289
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】599172069
【氏名又は名称】株式会社サンエイテック
(74)【代理人】
【識別番号】100098545
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100189717
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】角田 信
(72)【発明者】
【氏名】谷田川 智
(72)【発明者】
【氏名】青木 信彦
【審査官】小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-004878(JP,A)
【文献】特開2003-203216(JP,A)
【文献】特開平05-108131(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
B05C 11/00
B05C 11/10
B05C 5/00
B05D 3/00
B05D 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布対象物であるワークを載置するワーク支持台と、
前記ワークを撮像する撮像手段と、
前記ワークに液剤を塗布する液剤塗布手段と、
前記撮像手段及び前記液剤塗布手段を前記ワーク支持台に対して移動する移動手段と、
前記撮像手段で撮像するワーク画像を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段での撮像、前記液剤塗布手段での塗布、及び前記移動手段での移動を制御する制御手段と、
前記撮像手段で撮像する前記ワーク画像、及び前記記憶手段に記憶している蓄積ワーク画像を表示する表示手段と
を備え、
前記液剤塗布手段の塗布軌跡をあらかじめ設定するティーチング工程と、
前記ティーチング工程で設定した前記塗布軌跡で前記液剤を塗布する液剤塗布工程と
を行う液剤塗布装置であって、
前記制御手段が、
前記撮像手段で撮像している第1画像で前記ワーク又は前記ワーク支持台の特定位置について第1登録を行い、前記移動手段で前記撮像手段を所定距離移動させた後に前記撮像手段で撮像している第2画像で前記特定位置について第2登録を行い、前記第1登録と前記第2登録との間のピクセル数と前記所定距離とから、前記撮像手段で撮像される前記画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部と、
前記スケール算出部で算出された前記単位距離と前記撮像手段の前記ワーク支持台に対する位置情報とから画像用座標データを決定する画像用座標データ決定部と
前記撮像手段で撮像される撮像画像を前記表示手段に表示させ、表示された前記撮像画像を基に入力される2点の指示ポイントによって分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲を決定する分割ワーク画像取得範囲決定部と、
前記分割ワーク画像取得範囲決定部で決定された前記分割ワーク画像取得範囲で前記移動手段の移動範囲を決定する移動範囲決定部と、
前記分割ワーク画像を撮像するための前記移動手段での撮像間移動距離を決定する撮像間移動距離決定部と、
前記移動手段で前記撮像手段を移動させることで、異なる位置から前記ワークを撮像する分割ワーク画像取得部と、
前記分割ワーク画像取得部で取得した複数の前記分割ワーク画像を合成して前記蓄積ワーク画像とする画像合成部と
を有し、
前記分割ワーク画像取得範囲では、2点の前記指示ポイントからX方向の幅Wxと、Y方向の幅Wyとが決定され、
前記分割ワーク画像における撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、
前記蓄積ワーク画像に用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vby、
Vax>Vbx、Vay>Vby
とすると、
隣接する前記撮像エリアがそれぞれ重複撮像個所を有するように、
N(Nは整数)×Vbx>Wx
M(Mは整数)×Vby>Wy
の条件を満たすN及びMを用いて、前記移動範囲を、X方向をN×Vbx、Y方向をM×Vbyに決定し、
前記画像合成部では、前記重複撮像個所及び前記撮像エリアの周辺部を削除して合成し、
前記記憶手段では、前記蓄積ワーク画像を、前記画像用座標データ決定部で決定した前記画像用座標データとともに記憶し、
前記蓄積ワーク画像を前記表示手段に表示させ、
表示された前記蓄積ワーク画像を基に入力される前記塗布軌跡を、前記画像用座標データで記憶することで、前記ティーチング工程における前記塗布軌跡の設定を行う
ことを特徴とする液剤塗布装置。
【請求項2】
前記ティーチング工程では、
前記表示手段には、前記撮像手段で撮像する前記ワーク画像と、前記記憶手段に記憶している前記蓄積ワーク画像とを並べて表示でき、
表示されている前記蓄積ワーク画像で指示した位置を前記ワーク画像として撮像するように前記移動手段を移動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の液剤塗布装置。
【請求項3】
塗布対象物であるワークを載置するワーク支持台と、
前記ワークを撮像する撮像手段と、
前記ワークに液剤を塗布する液剤塗布手段と、
前記撮像手段及び前記液剤塗布手段を前記ワーク支持台に対して移動する移動手段と、
前記撮像手段で撮像するワーク画像を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段での撮像、前記液剤塗布手段での塗布、及び前記移動手段での移動を制御する制御手段と、
前記撮像手段で撮像する前記ワーク画像、及び前記記憶手段に記憶している蓄積ワーク画像を表示する表示手段と
を備え、
前記制御手段が、
前記撮像手段で撮像している第1画像で前記ワーク又は前記ワーク支持台の特定位置について第1登録を行い、前記移動手段で前記撮像手段を所定距離移動させた後に前記撮像手段で撮像している第2画像で前記特定位置について第2登録を行い、前記第1登録と前記第2登録との間のピクセル数と前記所定距離とから、前記撮像手段で撮像される前記画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部と、
前記スケール算出部で算出された前記単位距離と前記撮像手段の前記ワーク支持台に対する位置情報とから画像用座標データを決定する画像用座標データ決定部と
前記撮像手段で撮像される撮像画像を前記表示手段に表示させ、表示された前記撮像画像を基に入力される2点の指示ポイントによって分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲を決定する分割ワーク画像取得範囲決定部と、
前記分割ワーク画像取得範囲決定部で決定された前記分割ワーク画像取得範囲で前記移動手段の移動範囲を決定する移動範囲決定部と、
前記分割ワーク画像を撮像するための前記移動手段での撮像間移動距離を決定する撮像間移動距離決定部と、
前記移動手段で前記撮像手段を移動させることで、異なる位置から前記ワークを撮像する分割ワーク画像取得部と、
前記分割ワーク画像取得部で取得した複数の前記分割ワーク画像を合成して前記蓄積ワーク画像とする画像合成部と
を有し、
前記分割ワーク画像取得範囲では、2点の前記指示ポイントからX方向の幅Wxと、Y方向の幅Wyとが決定され、
前記分割ワーク画像における撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、
前記蓄積ワーク画像に用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vby、
Vax>Vbx、Vay>Vby
とすると、
隣接する前記撮像エリアがそれぞれ重複撮像個所を有するように、
N(Nは整数)×Vbx>Wx
M(Mは整数)×Vby>Wy
の条件を満たすN及びMを用いて、前記移動範囲を、X方向をN×Vbx、Y方向をM×Vbyに決定し、
前記画像合成部では、前記重複撮像個所及び前記撮像エリアの周辺部を削除して合成する液剤塗布装置に対するティーチング方法であって、
前記蓄積ワーク画像を、前記画像用座標データ決定部で決定した前記画像用座標データとともに取得し、
取得した前記蓄積ワーク画像を表示させて塗布軌跡を入力し、
入力された前記塗布軌跡を、前記画像用座標データで記憶し、
前記画像用座標データとして記憶した前記塗布軌跡を前記液剤塗布装置に提供する
ことを特徴とする液剤塗布装置に対するティーチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤塗布手段の塗布軌跡をあらかじめ設定するティーチング工程と、ティーチング工程で設定した塗布軌跡で液剤を塗布する液剤塗布工程とを行う液剤塗布装置に関し、又は液剤を塗布する液剤塗布装置に対するティーチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、ティーチングには、リモートティーチング、ダイレクトティーチング、数値入力によるティーチングがある。
リモートティーチングは、現物を撮像手段で映し、画面を見てティーチングを行うが、視野角が狭いと、全体を見たティーチングが行えない。
ダイレクトティーチングは、現物を目視する必要があるため、ティーチング工数が増えてしまう。
数値入力によるティーチングは、実際にティーチングを行う領域が分かりにくいという問題がある。
現物写真をデータとして取り込み、データとして取り込んだ写真に基づいてティーチングを行う方法もあるが、ティーチングを行った写真データと現物とを一致させる作業が容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-71408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、数値入力によるティーチングにおける課題を解決するために、ワークを撮像した撮像画像を塗布軌跡情報とともに表示することを提案しており、撮像画像を用いて塗布軌跡の設定を行うものではない。
なお、特許文献1には、撮像画像上における寸法と、実際の基板の寸法とを対応付ける縮尺情報を受け付けてもよい旨の記載があるが、どのようにして対応付けるかについては明らかにしていない。
【0005】
本発明は、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として設定できる液剤塗布装置を提供することを目的とする。
また本発明は、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として提供できる液剤塗布装置に対するティーチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の液剤塗布装置は、塗布対象物であるワーク1を載置するワーク支持台11と、前記ワーク1を撮像する撮像手段12と、前記ワーク1に液剤を塗布する液剤塗布手段13と、前記撮像手段12及び前記液剤塗布手段13を前記ワーク支持台11に対して移動する移動手段14と、前記撮像手段12で撮像するワーク画像16aを記憶する記憶手段18と、前記撮像手段12での撮像、前記液剤塗布手段13での塗布、及び前記移動手段14での移動を制御する制御手段15と、前記撮像手段12で撮像する前記ワーク画像16a、及び前記記憶手段18に記憶している蓄積ワーク画像16bを表示する表示手段16とを備え、前記液剤塗布手段13の塗布軌跡Bをあらかじめ設定するティーチング工程と、前記ティーチング工程で設定した前記塗布軌跡Bで前記液剤を塗布する液剤塗布工程とを行う液剤塗布装置であって、前記制御手段15が、前記撮像手段12で撮像している第1画像で前記ワーク1又は前記ワーク支持台11の特定位置21a、21bについて第1登録を行い、前記移動手段14で前記撮像手段12を所定距離L移動させた後に前記撮像手段12で撮像している第2画像で前記特定位置21a、21bについて第2登録を行い、前記第1登録と前記第2登録との間のピクセル数と前記所定距離Lとから、前記撮像手段12で撮像される前記画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部21と、前記スケール算出部21で算出された前記単位距離と前記撮像手段12の前記ワーク支持台11に対する位置情報とから画像用座標データ18を決定する画像用座標データ決定部22と、前記制御手段15は、前記撮像手段12で撮像される撮像画像を前記表示手段16に表示させ、表示された前記撮像画像を基に入力される2点の指示ポイント23a、23bによって前記分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲23cを決定する分割ワーク画像取得範囲決定部23と、前記分割ワーク画像取得範囲決定部23で決定された前記分割ワーク画像取得範囲23cで前記移動手段14の移動範囲を決定する移動範囲決定部24と、前記分割ワーク画像を撮像するための前記移動手段14での撮像間移動距離を決定する撮像間移動距離決定部25と、前記移動手段14で前記撮像手段12を移動させることで、異なる位置から前記ワーク1を撮像する分割ワーク画像取得部26と、前記分割ワーク画像取得部26で取得した複数の前記分割ワーク画像を合成して前記蓄積ワーク画像16bとする画像合成部27とを有し、前記分割ワーク画像取得範囲23cでは、2点の前記指示ポイント23a、23bからX方向の幅Wxと、Y方向の幅Wyとが決定され、前記分割ワーク画像における撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、前記蓄積ワーク画像16bに用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vby、Vax>Vbx、Vay>Vbyとすると、隣接する前記撮像エリアがそれぞれ重複撮像個所を有するように、N(Nは整数)×Vbx>WxM(Mは整数)×Vby>Wyの条件を満たすN及びMを用いて、前記移動範囲を、X方向をN×Vbx、Y方向をM×Vbyに決定し、前記画像合成部27では、前記重複撮像個所及び前記撮像エリアの周辺部を削除して合成し、前記記憶手段18では、前記蓄積ワーク画像16bを、前記画像用座標データ決定部22で決定した前記画像用座標データ18とともに記憶し、前記蓄積ワーク画像16bを前記表示手段16に表示させ、表示された前記蓄積ワーク画像16bを基に入力される前記塗布軌跡Bを、前記画像用座標データ18で記憶することで、前記ティーチング工程における前記塗布軌跡Bの設定を行うことを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の液剤塗布装置において、前記ティーチング工程では、前記表示手段16には、前記撮像手段12で撮像する前記ワーク画像16aと、前記記憶手段18に記憶している前記蓄積ワーク画像16bとを並べて表示でき、表示されている前記蓄積ワーク画像16bで指示した位置Aを前記ワーク画像16aとして撮像するように前記移動手段14を移動させることを特徴とする。
請求項3記載の本発明の液剤塗布装置に対するティーチング方法は、塗布対象物であるワーク1を載置するワーク支持台11と、前記ワーク1を撮像する撮像手段12と、前記ワーク1に液剤を塗布する液剤塗布手段13と、前記撮像手段12及び前記液剤塗布手段13を前記ワーク支持台11に対して移動する移動手段14と、前記撮像手段12で撮像するワーク画像16aを記憶する記憶手段18と、前記撮像手段12での撮像、前記液剤塗布手段13での塗布、及び前記移動手段14での移動を制御する制御手段15と、前記撮像手段12で撮像する前記ワーク画像16a、及び前記記憶手段18に記憶している蓄積ワーク画像16bを表示する表示手段16とを備え、前記制御手段15が、前記撮像手段12で撮像している第1画像で前記ワーク1又は前記ワーク支持台11の特定位置21aについて第1登録を行い、前記移動手段14で前記撮像手段12を所定距離L移動させた後に前記撮像手段12で撮像している第2画像で前記特定位置21bについて第2登録を行い、前記第1登録と前記第2登録との間のピクセル数と前記所定距離Lとから、前記撮像手段12で撮像される前記画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部21と、前記スケール算出部21で算出された前記単位距離と前記撮像手段12の前記ワーク支持台11に対する位置情報とから画像用座標データ18を決定する画像用座標データ決定部22と、前記撮像手段12で撮像される撮像画像を前記表示手段16に表示させ、表示された前記撮像画像を基に入力される2点の指示ポイント23a、23bによって分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲23cを決定する分割ワーク画像取得範囲決定部23と、前記分割ワーク画像取得範囲決定部23で決定された前記分割ワーク画像取得範囲23cで前記移動手段14の移動範囲を決定する移動範囲決定部24と、前記分割ワーク画像を撮像するための前記移動手段14での撮像間移動距離を決定する撮像間移動距離決定部25と、前記で前記撮像手段12を移動させることで、異なる位置から前記ワーク1を撮像する分割ワーク画像取得部26と、前記分割ワーク画像取得部26で取得した複数の前記分割ワーク画像を合成して前記蓄積ワーク画像16bとする画像合成部27とを有し、前記分割ワーク画像取得範囲23cでは、2点の前記指示ポイント23a、23bからX方向の幅Wxと、Y方向の幅Wyとが決定され、前記分割ワーク画像における撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、前記蓄積ワーク画像16bに用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vby、Vax>Vbx、Vay>Vbyとすると、隣接する前記撮像エリアがそれぞれ重複撮像個所を有するように、N(Nは整数)×Vbx>WxM(Mは整数)×Vby>Wyの条件を満たすN及びMを用いて、前記移動範囲を、X方向をN×Vbx、Y方向をM×Vbyに決定し、前記画像合成部27では、前記重複撮像個所及び前記撮像エリアの周辺部を削除して合成する液剤塗布装置に対するティーチング方法であって、前記蓄積ワーク画像16bを、前記画像用座標データ決定部22で決定した前記画像用座標データ18とともに取得し、取得した前記蓄積ワーク画像16bを表示させて塗布軌跡Bを入力し、入力された前記塗布軌跡Bを、前記画像用座標データ18で記憶し、前記画像用座標データ18として記憶した前記塗布軌跡Bを前記液剤塗布装置に提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液剤塗布装置によれば、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに記憶しているため、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として設定できる。
また本発明のティーチング方法によれば、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに取得するため、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例による液剤塗布装置を示す構成図
図2】同液剤塗布装置の制御手段を機能実現手段で表したブロック図
図3】同液剤塗布装置のスケール算出部での算出方法を示す説明図
図4】同液剤塗布装置の分割ワーク画像取得範囲決定部、移動範囲決定部、撮像間移動距離決定部、分割ワーク画像取得部、での決定方法及び画像取得方法を示す説明図
図5】同液剤塗布装置の分割ワーク画像取得部で取得される分割ワーク画像及び画像合成部で合成される蓄積ワーク画像を示す説明図
図6】同液剤塗布装置のティーチング工程における表示を示す画面イメージ図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による液剤塗布装置は、制御手段が、撮像手段で撮像している第1画像でワーク又はワーク支持台の特定位置について第1登録を行い、移動手段で撮像手段を所定距離移動させた後に撮像手段で撮像している第2画像で特定位置について第2登録を行い、第1登録と第2登録との間のピクセル数と所定距離とから、撮像手段で撮像される画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部と、スケール算出部で算出された単位距離と撮像手段のワーク支持台に対する位置情報とから画像用座標データを決定する画像用座標データ決定部と、撮像手段で撮像される撮像画像を表示手段に表示させ、表示された撮像画像を基に入力される2点の指示ポイントによって分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲を決定する分割ワーク画像取得範囲決定部と、分割ワーク画像取得範囲決定部で決定された分割ワーク画像取得範囲で移動手段の移動範囲を決定する移動範囲決定部と、分割ワーク画像を撮像するための移動手段での撮像間移動距離を決定する撮像間移動距離決定部と、移動手段で撮像手段を移動させることで、異なる位置からワークを撮像する分割ワーク画像取得部と、分割ワーク画像取得部で取得した複数の分割ワーク画像を合成して蓄積ワーク画像とする画像合成部とを有し、分割ワーク画像取得範囲では、2点の指示ポイントからX方向の幅Wxと、Y方向の幅Wyとが決定され、分割ワーク画像における撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、蓄積ワーク画像に用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vby、Vax>Vbx、Vay>Vbyとすると、隣接する撮像エリアがそれぞれ重複撮像個所を有するように、N(Nは整数)×Vbx>WxM(Mは整数)×Vby>Wyの条件を満たすN及びMを用いて、移動範囲を、X方向をN×Vbx、Y方向をM×Vbyに決定し、画像合成部では、重複撮像個所及び撮像エリアの周辺部を削除して合成し、記憶手段では、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに記憶し、蓄積ワーク画像を表示手段に表示させ、表示された蓄積ワーク画像を基に入力される塗布軌跡を、画像用座標データで記憶することで、ティーチング工程における塗布軌跡の設定を行うものである。
本実施の形態によれば、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに記憶しているため、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として設定できる。また、複数の分割ワーク画像を合成して蓄積ワーク画像とすることで、撮像時に生じるゆがみの影響を除去することができ、記憶した画像と実際のワークとの一致性を担保しやすい。また、ゆがみは撮像画像の周辺部に生じるため、撮像画像の周辺部を削除することでゆがみが少ない画像を得ることができる。また、塗布軌跡の入力に必要な部分だけを画像取得範囲とすることで、画像取得時間を短くできる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による液剤塗布装置において、ティーチング工程では、表示手段には、撮像手段で撮像するワーク画像と、記憶手段に記憶している蓄積ワーク画像とを並べて表示でき、表示されている蓄積ワーク画像で指示した位置をワーク画像として撮像するように移動手段を移動させるものである。
本実施の形態によれば、実際のワークの撮像画像で確認をしながら塗布軌跡を入力することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態による液剤塗布装置に対するティーチング方法は、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに取得し、取得した蓄積ワーク画像を表示させて塗布軌跡を入力し、入力された塗布軌跡を、画像用座標データで記憶し、画像用座標データとして記憶した塗布軌跡を液剤塗布装置に提供するものである。
本実施の形態によれば、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部で決定した画像用座標データとともに取得するため、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として提供できる。また、複数の分割ワーク画像を合成して蓄積ワーク画像とすることで、撮像時に生じるゆがみの影響を除去することができ、記憶した画像と実際のワークとの一致性を担保しやすい。また、ゆがみは撮像画像の周辺部に生じるため、撮像画像の周辺部を削除することでゆがみが少ない画像を得ることができる。また、塗布軌跡の入力に必要な部分だけを画像取得範囲とすることで、画像取得時間を短くできる。
【実施例
【0012】
以下本発明の一実施例による液剤塗布装置について説明する。
図1は本実施例による液剤塗布装置を示す構成図である。
本実施例による液剤塗布装置は、塗布対象物であるワーク1を支持するワーク支持台11と、ワーク1を撮像する撮像手段12と、ワーク1に液剤を塗布する液剤塗布手段13と、撮像手段12及び液剤塗布手段13をワーク支持台11に対して移動する移動手段14と、撮像手段12での撮像、液剤塗布手段13での塗布、及び移動手段14での移動を制御する制御手段15と、撮像手段12で撮像するワーク画像を表示する表示手段16と、入力手段17とを備え、液剤塗布手段13の塗布軌跡をあらかじめ設定するティーチング工程と、ティーチング工程で設定した塗布軌跡で液剤を塗布する液剤塗布工程を行うことができる。図1では、ワーク支持台11としてワーク1を載置する載置台を図示している。液剤塗布手段13は、吐出ヘッドを備えて液体材料を所定のパターンで塗布する。
【0013】
図2は本実施例による液剤塗布装置の制御手段を機能実現手段で表したブロック図である。
本実施例による液剤塗布装置は、撮像手段12で撮像するワーク画像を記憶する記憶手段18を備えている。
制御手段15は、撮像手段12で撮像している第1画像でワーク1又はワーク支持台11の特定位置について第1登録を行い、移動手段14で撮像手段12を所定距離移動させた後に撮像手段12で撮像している第2画像で特定位置について第2登録を行い、第1登録と第2登録との間のピクセル数と所定距離とから、撮像手段12で撮像される画像のピクセル当たりの単位距離を算出するスケール算出部21と、スケール算出部21で算出された単位距離と撮像手段12のワーク支持台11に対する位置情報とから画像用座標データを決定する画像用座標データ決定部22とを有している。
なお、撮像手段12のワーク支持台11に対する位置情報は、あらかじめ設定されており、この位置情報に基づいて撮像手段12は、移動手段14によって所定の位置に移動させることができる。
記憶手段18では、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部22で決定した画像用座標データとともに記憶する。
【0014】
制御手段15は、分割ワーク画像取得範囲決定部23と、移動範囲決定部24と、撮像間移動距離決定部25と、分割ワーク画像取得部26と、画像合成部27とを有している。
分割ワーク画像取得範囲決定部23では、撮像手段12で撮像される撮像画像を表示手段16に表示させ、表示された撮像画像を基に入力される2点の指示ポイントによって分割ワーク画像を取得する分割ワーク画像取得範囲を決定する。
移動範囲決定部24では、分割ワーク画像取得範囲決定部23で決定された分割ワーク画像取得範囲で移動手段14の移動範囲を決定する。
撮像間移動距離決定部25では、分割ワーク画像を撮像するための移動手段14での撮像間移動距離を決定する。撮像間移動距離は、隣接する分割ワーク画像に、それぞれ重複撮像個所を有するように決定する。
分割ワーク画像取得部26では、移動手段14で撮像手段12を移動させることで、異なる位置からワークを撮像する。
画像合成部27では、分割ワーク画像取得部26で取得した複数の分割ワーク画像から重複撮像個所を削除して合成し、蓄積ワーク画像とする。
【0015】
このように、複数の分割ワーク画像を合成して蓄積ワーク画像とすることで、撮像時に生じるゆがみの影響を除去することができ、記憶した画像と実際のワークとの一致性を担保しやすい。
特に、ゆがみは撮像画像の周辺部に生じるため、撮像画像の周辺部を削除することでゆがみが少ない画像を得ることができる。
更に、塗布軌跡の入力に必要な部分だけを画像取得範囲とすることで、画像取得時間を短くできる。
そして、ティーチング工程における塗布軌跡の設定は、蓄積ワーク画像を表示手段16に表示させ、表示された蓄積ワーク画像を基に入力される塗布軌跡を、画像用座標データで記憶することで行う。
このように、蓄積ワーク画像を、画像用座標データ決定部22で決定した画像用座標データとともに記憶しているため、蓄積ワーク画像と実際のワーク位置とを合致させることができ、蓄積ワーク画像を基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として設定できる。
【0016】
図3は本実施例による液剤塗布装置のスケール算出部での算出方法を示す説明図である。
図3(a)は第1登録を行う特定位置21aを示し、図3(b)は第2登録を行う特定位置21bを示している。
図3(a)に示すように、撮像手段12で撮像している第1画像でワーク1の特定位置21aについて第1登録を行う。
その後、図3(b)に示すように、移動手段14で撮像手段12を所定距離L移動させ、撮像手段12で撮像している第2画像で特定位置21bについて第2登録を行う。
そして、第1登録を行った特定位置21aと第2登録を行った特定位置21bとの間のピクセル数と所定距離Lとから、撮像手段12で撮像される画像のピクセル当たりの単位距離を算出する。例えば、第1登録と第2登録との間のピクセル数が100pixであり、所定距離Lが10mmであれば、単位距離は0.1mm/pixとなる。
なお、図3では、ワーク1の特定位置21a、21bを示しているが、ワーク支持台11の特定位置で行うこともできる。
【0017】
図4は本実施例による液剤塗布装置の分割ワーク画像取得範囲決定部、移動範囲決定部、撮像間移動距離決定部、分割ワーク画像取得部、での決定方法及び画像取得方法を示す説明図である。
図4(a)はワーク1としてプリント基板を示している。
図4(a)に示すように、撮像手段12で撮像されるワーク1を表示手段16に表示させ、表示されたワーク1を基に、2点の指示ポイント23a、23bを入力させる。
図4(b)に示すように、入力される2点の指示ポイント23a、23bによって分割ワーク画像取得範囲23cを決定する。
分割ワーク画像取得範囲23cは、一方の指示ポイント23aをワーク1の一方側上端とし、他方の指示ポイント23bをワーク1の他方側下端とした方形の範囲として決定する。すなわち、2点の指示ポイント23a、23bによって、横方向(X方向)の幅Wxと、縦方向(Y方向)の幅Wyとが決定される。
ここで、撮像手段12で撮像される撮像エリアの横幅及び縦幅をVax、Vay、合成に用いる撮像保存エリアの横幅及び縦幅をVbx、Vbyとすると、
N(Nは整数)×Vbx>Wx
M(Mは整数)×Vby>Wy
となるように、N及びMを決定する。
移動範囲決定部24で決定する移動手段14の移動範囲は、横方向(X方向)がN(Nは整数)×Vbxとなり、縦方向(Y方向)がM(Mは整数)×Vbyとなる。
なお、本実施例では、撮像保存エリアの横幅Vbx及び縦幅Vbyが、横方向(X方向)及び縦方向(Y方向)の撮像間移動距離となる。
【0018】
図4(c)から図4(n)は、N=6、M=2である場合での分割ワーク画像の撮像エリア(Vax、Vay)と撮像保存エリア(Vbx、Vby)を順に示している。
本実施例では、図4(h)に示す位置で分割ワーク画像を撮像した後に、図4(i)に示す位置に移動しているが、図4(n)に示す位置に移動させてもよい。図4(h)に示す位置から図4(n)に示す位置に移動させた場合には、その後は図4(m)に示す位置、図4(l)に示す位置、図4(k)に示す位置、図4(j)に示す位置、図4(i)に示す位置に移動させる。
【0019】
図5は本実施例による液剤塗布装置の分割ワーク画像取得部で取得される分割ワーク画像及び画像合成部で合成される蓄積ワーク画像を示す説明図である。
図5(a)は図4(c)から図4(n)で撮像した12枚の分割ワーク画像を示し、図5(b)は分割ワーク画像取得部26で取得した複数の分割ワーク画像から重複撮像個所を削除して合成した蓄積ワーク画像を示している。
【0020】
図6は本実施例による液剤塗布装置のティーチング工程における表示を示す画面イメージ図である。
表示手段16には、撮像手段12で撮像するワーク画像16aと、記憶手段18に記憶している蓄積ワーク画像16bとを並べて表示できる。
表示されている蓄積ワーク画像16bで指示した位置Aを、ワーク画像16aとして撮像するように移動手段14を移動させることができる。
図6では、蓄積ワーク画像16bで指示した位置Aを、ワーク画像16aとして撮像している状態を示している。蓄積ワーク画像16bに塗布軌跡Bを入力することができる。
従って、実際のワーク1の撮像画像で確認をしながら塗布軌跡Bを蓄積ワーク画像16bに入力することができる。
【0021】
本実施例では、液剤塗布手段13の塗布軌跡をあらかじめ設定するティーチング工程と、ティーチング工程で設定した塗布軌跡で液剤を塗布する液剤塗布工程を行うことができる液剤塗布装置として説明したが、液剤を塗布する液剤塗布工程を行うことができる液剤塗布装置に対するティーチング方法としても利用できる。
このようなティーチング方法は、蓄積ワーク画像16bを、画像用座標データ決定部22で決定した画像用座標データとともに取得し、取得した蓄積ワーク画像16bを表示手段16に表示させて塗布軌跡を入力し、入力された塗布軌跡を、画像用座標データで記憶部18に記憶し、画像用座標データとして記憶した塗布軌跡を液剤塗布装置に提供する。
蓄積ワーク画像16bを画像用座標データとともに取得することで、蓄積ワーク画像16bと実際のワーク位置とを合致させることができるため、蓄積ワーク画像16bを画像用座標データとともに通信ネットワークを用いて液剤塗布装置から取得し、蓄積ワーク画像16bを基に入力した塗布軌跡を、そのままティーチング工程における塗布軌跡として液剤塗布装置に対して提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明によれば、特に卓上用ロボットの生産性を高めることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 ワーク
11 ワーク支持台
12 撮像手段
13 液剤塗布手段
14 移動手段
15 制御手段
16 表示手段
16a ワーク画像
16b 蓄積ワーク画像
17 入力手段
18 記憶手段
21 スケール算出部
21a、21b 特定位置
22 画像用座標データ決定部
23 分割ワーク画像取得範囲決定部
23a、23b 指示ポイント
23c 分割ワーク画像取得範囲
24 移動範囲決定部
25 撮像間移動距離決定部
26 分割ワーク画像取得部
27 画像合成部
A 位置
B 塗布軌跡
L 所定距離
Vax、Vbx 横幅
Vay、Vby 縦幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6