(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】無線給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20240710BHJP
【FI】
H02J50/20
(21)【出願番号】P 2023147232
(22)【出願日】2023-09-11
【審査請求日】2023-09-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520354692
【氏名又は名称】エイターリンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久保内 智洋
(72)【発明者】
【氏名】小舘 直人
(72)【発明者】
【氏名】田邉 勇二
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-220293(JP,A)
【文献】特開2020-122688(JP,A)
【文献】特開2014-113039(JP,A)
【文献】特開昭62-077028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1の受信機に対して給電電波を介して無線により電力供給が可能な送信機において、
前記送信機は、
前記送信機が送信する前記給電電波の送信電力を検出する電力検出ステップと、
前記電力検出ステップにおいて検出した前記送信電力が所定値と一致しない場合に、前記送信電力が前記所定値に近づくように前記送信電力を制御する電力制御ステップと、
を実行可能であり、
前記送信機は、
制御部と、温度計測部と、
電力増幅部と、検波器と、検出器と、を備え、
前記検波器は、前記電力増幅部の出力信号の一部を前記検出器に出力し、
前記制御部は、前記検出器の出力に基づき前記電力増幅部に入力する入力電力を制御することにより、前記電力増幅部が出力する前記送信電力が前記所定値に近づくように前記送信電力を制御し、
前記制御部は、前記温度計測部により計測した前記計測温度に基づき補正した前記検出器の出力に基づき前記電力増幅部に入力する入力電力を制御する、
送信機。
【請求項2】
前記送信機は、
前記電力検出ステップにおいて検出した前記送信電力と、前記所定値との比較結果を出力する比較ステップと、
を実行可能であり、
前記電力制御ステップは、前記比較ステップにおいて出力した前記比較結果に基づき、前記送信電力が前記所定値に近づくように前記送信電力を制御するステップである、
請求項1記載の送信機。
【請求項3】
前記電力検出ステップは、前記電力増幅部が出力する前記給電電波の前記送信電力を検出するステップであり、
前記電力制御ステップは、前記制御部が、前記電力検出ステップにおいて検出した前記電力増幅部が出力する前記送信電力が前記所定値と一致しない場合に、前記電力増幅部に入力する入力電力を、前記送信電力が前記所定値に近づくように制御するステップである、
請求項1記載の送信機。
【請求項4】
前記制御部は、温度に対して係数が関連付けられたテーブルを参照し、前記検出器の出力値に前記計測温度に対して前記テーブルにより関連付けられた前記係数を演算することにより得られた値に基づき前記電力増幅部に入力する入力電力を制御する、
請求項1記載の送信機。
【請求項5】
前記電力制御ステップは、
前記電力検出ステップにおいて検出した前記送信電力が所定値を下回っている場合に、前記送信電力が前記所定値に到達するように前記送信電力を制御するステップと、
前記電力検出ステップにおいて検出した前記送信電力が所定値を上回っている場合に、前記送信電力が前記所定値に到達するように前記送信電力を制御するステップと、
を含む、
請求項1から4のいずれか記載の送信機。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか記載の送信機と、前記少なくとも1の受信機と、から構成される無線給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線により電力を送電する技術が知られている。
特許文献1には、負荷装置にその所望電圧を供給するように、送電装置により取得可能な情報のみに基づいて送電装置のみを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
受信機を機能させるのに十分な電力を受信機に対して送信できない場合があるという課題がある。
そこで、本開示は、上記課題を解決すべくなされたものであって、その目的は、受信機を機能させるのに十分な電力を受信機に対して送信する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
少なくとも1の受信機に対して給電電波を介して無線により電力供給が可能な送信機において、送信機は、送信機が送信する給電電波の送信電力を検出する電力検出ステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値と一致しない場合に、送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する電力制御ステップと、を実行可能な、送信機。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、受信機を機能させるのに十分な電力を受信機に対して送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【
図2】送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
【
図3】送信機100(第一実施形態)の構成例を表すブロック図である。
【
図4】送信機100(第二実施形態)の構成例を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。なお、以下の実施形態は、特許請求の範囲に記載された本開示の内容を不当に限定するものではない。また、実施形態に示される構成要素のすべてが、本開示の必須の構成要素であるとは限らない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。
【0009】
<概要>
<1 システム全体の構成図>
図1は、本実施形態に係るWPTシステム1の全体の構成を示す図である。
【0010】
図1に示すWPTシステム1は、例えば、送信機100、受信機200、第1情報処理装置300、及び第2情報処理装置400を備える。
図1に示すWPTシステム1は、例えば、ビル、又は工場等で利用される。なお、送信機100と第1情報処理装置300との接続、及び第1情報処理装置300と第2情報処理装置400との接続は、有線であっても無線であっても構わない。
【0011】
図1において、WPTシステム1が送信機100を3台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる送信機100の数は、3台に限定されない。WPTシステム1に含まれる送信機100は、2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。
【0012】
図1において、WPTシステム1が受信機200を7台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる受信機200の数は、7台に限定されない。WPTシステム1に含まれる受信機200は、6台以下であってもよいし、8台以上であってもよい。
【0013】
送信機100は、受信機200に対して給電電波を介して無線により電力供給が可能である。
【0014】
送信機100の給電電波は、略継続的な連続波とみなすことができる無線電波としても良い。
送信機100から送信される給電信号は所定の電力を有する無線周波数信号であり、かつ、この無線周波数信号に、休止期間以外の期間(例えば、4秒)と比較してわずかな期間である任意の周期の休止期間(例えば、50ミリ秒)を設けることで、略継続的な連続波とみなすことができる無線周波数信号とすることが好適である。
具体的に、送信機100から送信される給電信号(給電電波)は、一例として、所定の電力を有する連続波(CW)であってもよい。また、給電信号の周波数帯域は、送信機100と受信機200との間の距離を考慮して、例えば920MHz帯域である。例示した周波数帯域より高周波数の帯域であると、送信機100と受信機200の距離を短くしないと、受信機200が動作可能な所定の電力を給電できない可能性があるので、実用的範囲を考慮する(一例として送信機100と受信機200との間の距離が数mであるとか)ことで適切な周波数帯域を決定することができる。
なお、本開示においては送信機100が送信する無線電波の周波数は920MHz帯域を中心に互いに相違する。
【0015】
この際、WPTシステム1が設置された国の法律等により、所定の電力を有する給電信号を間欠的に行う制限が生じることがある。一例として、送信機100からの給電信号が、日本の電波法に規定する無線局の規定に該当する場合(免許の有無は問わない)、電波法に基づいて給電信号に対して一定の休止期間を設ける必要が生じる場合がある。この場合、ある程度の時間軸上で考えると、給電信号は連続波とは言えない。但し、休止期間を設けることが肝要であり、この休止期間はわずかであれば足りるので、送信機100から送信される給電信号は略継続的な連続波であると見なすことができる。給電信号の継続時間と休止期間の時間との比は、上述したように、送信機100から送信される給電信号が略連続的な連続波であると見なすことができる程度のものであればよいが、一例として、休止期間の時間が給電信号の継続時間の1/50~1/100程度である。
【0016】
送信機100の給電電波は、無変調、変調信号無し、無情報の無線電波とすることが好適である。
具体的に、一般に通信システムで使用される電波の特性を表す電波型式というものがある。電波型式は、主搬送波の変調の型式、主搬送波を変調する信号の性質、および伝送情報の型式を示すアルファベットまたは数値を組み合わせた3文字の文字列により表現される。
主搬送波の変調の型式は、無変調:N、振幅変調(両側波帯):A、振幅変調(単側波帯・全搬送波):H、振幅変調(単側波帯・低減搬送波):R、振幅変調(単側波帯・抑圧搬送波):J、振幅変調(独立側波帯):B、振幅変調(独立側波帯):C、角度変調(周波数変調):F、角度変調(位相変調):G、振幅変調及び角度変調を同時に又は一定の順序で変調:Dのいずれか1つからなる。
主搬送波を変調する信号の性質は、変調信号無し:0、副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャネル:1、副搬送波を使用するデジタル信号の単一チャネル:2、アナログ信号の単一チャネル:3、デジタル信号の2以上のチャネル:7、アナログ信号の2以上のチャネル:8、1以上のアナログ信号のチャネルと1以上のデジタル信号のチャネルの複合方式:9のいずれか1つからなる。
伝送情報の型式は、無情報:N、電信(聴覚受信):A、電信(自動受信):B、ファクシミリ:C、データ伝送・遠隔測定・遠隔指令:D、電話(音響):E、テレビジョン(映像):F、NからFまでの組合せ:Wのいずれか1つからなる。
本開示における、送信機100の給電電波の電波型式はN0Nであり、無変調:N、副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャネル:0、無情報:Nである。この場合、給電電波は、主搬送波が変調されず(無変調)、デジタル信号もなく(副搬送波を使用しないデジタル信号の単一チャネル)、伝送される情報もない(無情報)ことを示している。
これにより、変調がないため、周囲の他の通信システムとの干渉が少なくなることにより、安定したエネルギー伝送が可能になる。また、無変調であるため、送信エネルギーが搬送波に集中する。これにより、送信機と受信機間でエネルギーを効率的に伝送することができる。情報を伝送しないため、システムがシンプルであり、送信機と受信機の設計と実装を簡素なものとすることができる。
【0017】
なお、本明細書において、送信機100は無線で電力を送信するという意味での(電力)送信機100であり、同様に、受信機200は無線で電力を受信するという意味での(電力)受信機200である。後述するように、受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号(通信電波)として送信機100へ送信し、送信機100はかかるデータ信号を受信することがある。この場合、送信機100はデータ信号を受信する受信機であり、受信機200はデータ信号を送信する送信機として機能する。
【0018】
図1において、WPTシステム1が第1情報処理装置300を2台含む例を示しているが、WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300の数は、2台に限定されない。WPTシステム1に含まれる第1情報処理装置300は、1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0019】
送信機100は、例えば、受信機200へ給電信号、又はデータ信号を送信する。送信機100は、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。送信機100は、例えば、2.4GHz帯の電波により、受信機200へデータ信号を送信する。送信機100は、データ信号を、920MHz帯の電波により送信してもよい。
【0020】
送信機100は、例えば、1台の受信機200へ給電してもよいし、複数台の受信機200へ給電してもよい。送信機100は、例えば、1台の受信機200へデータ信号を送信してもよいし、複数台の受信機200へデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、他の送信機100と同じデータ信号を送信してもよいし、他の送信機100と異なるデータ信号を送信してもよい。送信機100は、例えば、所定のコマンド信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよいし、予め設定された信号をデータ信号として受信機200へ送信してもよい。
【0021】
送信機100は、例えば、受信機200から送信されるデータ信号を受信する。送信機100は、例えば、1台の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよいし、複数の受信機200から送信されるデータ信号を受信してもよい。送信機100は、受信機200から送信されるデータ信号を第1情報処理装置300へ送信する。送信機100は、送信機100の状態に関する情報を第1情報処理装置300へ送信する。
【0022】
受信機200は、例えば、送信機100から送信される給電信号、又はデータ信号を受信する。受信機200は、例えば、蓄電部を有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を蓄電部に貯える。受信機200は、例えば、所定のセンサを有する場合、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力によりセンサを駆動させる。
【0023】
受信機200は、例えば、受信機200の状態に関する情報、又はセンサによる計測結果に関する情報を、データ信号として送信機100へ送信する。
【0024】
第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200の動作を監視する情報処理装置である。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100、及び受信機200の状態に関する情報に基づき、送信機100、又は受信機200が予め設定された状態になっているか否かを判断する。予め設定された状態になっていると判断した場合、第1情報処理装置300は、所定の情報を第2情報処理装置400へ送信する。
【0025】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200についての情報を蓄積する。例えば、第1情報処理装置300は、送信機100から送信される、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を、第1情報処理装置300に設けられる記憶部に記憶する。
【0026】
また、第1情報処理装置300は、WPTシステム1に収容される送信機100の動作を制御する。例えば、第1情報処理装置300は、所定の指示、又は情報を送信機100へ送信する。
【0027】
また、第1情報処理装置300は、第2情報処理装置400の動作を制御する。
【0028】
第2情報処理装置400は、例えば、WPTシステム1の管理者が操作する情報処理装置である。第2情報処理装置400は、WPTシステム1に収容される送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっている旨の連絡を第1情報処理装置300から受信すると、送信機100、受信機200、又はこれらの両方が所定の状態になっていることをユーザに提示する。
【0029】
また、第2情報処理装置400は、第1情報処理装置300に蓄積されている、送信機100及び受信機200の状態に関する情報を分析し、所定の情報をユーザに提示する。所定の情報は、例えば、以下である。
・送信機100の配置に関する情報
・受信機200の配置に関する情報
・消費電力に関する情報
・電力量に関する情報
【0030】
<1.1 送信機と受信機の構成>
図2は、
図1に示す送信機100と、受信機200との構成例を表すブロック図である。
図2に示すように、送信機100と受信機200とは、例えば、互いに所定間隔で離間する。例えば、送信機100と受信機200とは、数m程度の距離だけ隔てられて設置される。具体的には、例えば、送信機100は、屋内の高所、例えば、天井、又は壁に設けられた所定の高位置に固定して設置される。受信機200は、屋内の所定のデバイスに設置されたり、給電が必要なデバイスの近傍に載置されたりする。また、受信機200は、ユーザにより携帯されてもよい。送信機100は、所定の周波数、例えば、920MHz帯の電波により、受信機200へ給電信号を送信する。受信機200は、送信機100から送信される給電信号を電力へ変換し、変換した電力を充電するか、又は、変換した電力を所定のデバイスへ供給する。
【0031】
送信機100は、例えば、発振器101、送信アンテナ102、マイコン(制御器)103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、キャパシタ、PLL107、電力増幅部108、電源109、検出器を有する。発振器101、マイコン103、データ送受信機104、データ送受信アンテナ105、キャパシタ、PLL107、電力増幅部108、電源109、検出器、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB(プリント基板)に実装されていてもよい。
【0032】
発振器101は、所定周波数帯、例えば、920MHz帯の信号を発振させる。発振された信号は、必要に応じて、増幅されて、不要周波数成分が除去されてもよい。
【0033】
送信アンテナ102は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に送信可能に形成されている。送信アンテナ102は、発振器101で発振された信号を、給電信号として放射する。
【0034】
マイコン103は、送信機100の動作を制御する。マイコン103は、例えば、ARMプロセッサを搭載した半導体素子により実現される。マイコン103は、GPIO、SPI、I2C、FPGA、DSP、SoC等の任意の集積回路を用いて実現することが可能である。マイコン103は、例えば、送信アンテナ102による電波の送信を制御する。
【0035】
データ送受信機104は、デジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機104は、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機104は、例えば、データ送受信アンテナ105で受信されるデータ信号から所定の信号を抽出し、デジタルデータに変換してマイコン103へ送信する。
【0036】
データ送受信アンテナ105は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ105は、データ送受信機104から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ105は、受信機200から送信されたデータ信号を受信する。
【0037】
キャパシタは、PLL107と、電源109と、GND(グランド、0V)の間に設けられ、高品質な信号を生成するためのバイパスコンデンサとしての役割を有する。
なお、キャパシタは、PLL107と接続され、高品質な信号を生成し、不要な高周波成分を除去するためのローパスフィルタとしての役割を有するキャパシタとしても構わない。ローパスフィルタは、抵抗器とキャパシタを含み、高周波成分をキャパシタに流し、低周波成分を通過させる機能を有する。発振器101と、PLL107との間にローパスフィルタを設置することで、不要な高周波成分を除去し、出力信号の品質を向上させることができる。
【0038】
PLL107は、Phase-Locked Loopとよばれる周波数と位相を制御するための電子回路である。PLLには、キャパシタが接続されており、キャパシタ容量に応じて、送信アンテナ102が送信する無線電波の周波数が変化する。本開示においては、キャパシタは、発振器101とPLL107との間に設けられる。
【0039】
電力増幅部108は、PLL107から出力された信号をマイコン103からの電力に基づき増幅し、送信アンテナ102に出力する電子回路である。
【0040】
電源109は、発振器101、マイコン103へ電力を供給する電源である。
【0041】
検出器は、送信機100が送信する無線電波の強度を検出するための電子回路である。
具体的に、検出器は、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力を検出することにより送信機100が送信する無線電波の強度を検出することができる。また、検出器は、送信アンテナ102が出力する送信電波の強度を直接検出する電子回路であっても良い。その他、検出器は、送信機100が送信する無線電波の強度を直接的、間接的に検出するための任意の電子回路を含む。
なお、具体的な検出器の構成は、送信機100(第一実施形態)、送信機100(第二実施形態)において詳しく説明する。
【0042】
受信機200は、例えば、受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207を有する。受信アンテナ201、整流器202、電力管理部203、蓄電部204、マイコン205、データ送受信機206、データ送受信アンテナ207、又はこれらのうち少なくともいずれかの組み合わせは、例えば、PCB又はFPC(フレキシブル基板)に実装されていてもよい。
【0043】
受信アンテナ201は、例えば、920MHz帯の電波を効率的に受信可能に形成されている。受信アンテナ201は、送信アンテナ102から放射された給電信号を受信する。
【0044】
整流器202は、給電信号として受信した電波を整流し、直流電圧に変換する。
【0045】
電力管理部203は、直流電圧を管理する。例えば、電力管理部203は、直流電圧に基づいて充電電圧を制御する。電力管理部203は、充電電圧を制御することで、蓄電部204を充電する。また、電力管理部203は、例えば、蓄電部204に所定容量以上の電力が蓄えられると、直流電圧を、接続される部材へ供給する。
【0046】
また、電力管理部203は、マイコン205からの制御に応じ、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0047】
蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて電力を蓄える。蓄電部204は、例えば、バッテリー、又はキャパシタ等により実現される。また、蓄電部204は、電力管理部203からの指示に応じて蓄えている電力を放出する。
【0048】
マイコン205は、受信機200の動作を制御する。マイコン205は、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204に蓄えられた電力により駆動される。マイコン205は、電力管理部203を制御し、蓄電部204に蓄えられた電力を放出させる。
【0049】
受信機200には、例えば、種々のセンサが接続可能である。例えば、熱センサ、温度センサ、光センサ、湿度センサ、振動センサ等が受信機200に接続される。受信機200に接続されたセンサは、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等を、継続的又は断続的に監視する。マイコン205は、受信機200の所定部位における電圧値、受信機200に接続されるセンサの状況、センサにより検出された情報等をデジタルデータとしてデータ送受信機206へ送信する。なお、センサは、受信機200に内蔵されていてもよい。
【0050】
データ送受信機206は、マイコン205から供給されるデジタルデータのアナログ化、アナログデータの変調等の処理を実施する。また、データ送受信機206は、データ送受信アンテナ207で受信されるデータ信号の復調、復調されたデータのデジタル化等の処理を実施する。データ送受信機206は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0051】
データ送受信アンテナ207は、例えば、2.4GHz帯の電波を効率的に送受信可能に形成されている。データ送受信アンテナ207は、データ送受信機206から供給されるデータ信号を放射する。また、データ送受信アンテナ207は、送信機100から送信されたデータ信号を受信する。例えば、データ送受信アンテナ207は、例えば、電力管理部203から供給される直流電圧、又は蓄電部204から放出される電力により駆動される。
【0052】
<1.3 送信機100の動作>
本開示における送信機100の動作を以下に説明する。
【0053】
送信機100は、送信機が送信する給電電波の送信電力を検出する電力検出ステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値と一致しない場合に、送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する電力制御ステップと、を実行可能である。
電力制御ステップは、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値を下回っている場合に、送信電力が所定値に到達するように送信電力を制御するステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値を上回っている場合に、送信電力が所定値に到達するように送信電力を制御するステップと、を含む、
具体的に、検出器は、送信機100が送信する無線電波の強度を検出すると、マイコン103に出力する。マイコン103は、検出器から入力された検出値に応じて、電源109が電力増幅部108に供給する電力を制御する。
【0054】
制御部103は、検出器の出力に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御することにより、電力増幅部が出力する送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する。
送信機100は、電力検出ステップにおいて検出した送信電力と、所定値との比較結果を出力する比較ステップと、を実行可能である。電力制御ステップは、比較ステップにおいて出力した比較結果に基づき、送信電力が所定値に到達するように送信電力を制御するステップである。
電力制御ステップは、制御部103が、電力検出ステップにおいて検出した電力増幅部108が出力する送信電力が所定値と一致しない場合に、電力増幅部に入力する入力電力を、送信電力が所定値に近づくように制御するステップである。
【0055】
具体的に、マイコン103は、検出器が検出した検出値を参照し、検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を下回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させる。所定期間経過後(例えば、5ミリ秒後)、マイコン103は、検出器が検出した検出値を再度参照し、検出値が所定値を下回っている場合は、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させる。このように、マイコン103は、検出値が所定値を下回っている場合は、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させていく。
一方、マイコン103は、検出器が検出した検出値を参照し、検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を上回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を減少させる。このように、マイコン103は、検出器が検出した検出値を定期的に参照することにより、電源109が電力増幅部108に供給する電力が所定値の略近傍(所定の範囲内)に収まるように制御する。
なお、マイコン103は、検出値を規定値と比較し、検出値と規定値との差が所定値以上乖離した場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を当該規定値に近づくように制御しても良い。具体的に、マイコン103は、電源109が電力増幅部108に供給する電力を当該規定値に近づくように増加または減少させる。
なお、検出器が検出する検出値は、送信機が送信する給電電波の送信電力である。給電電波の送信電力は電源109が電力増幅部108に供給する電力に応じたものである。よって、マイコン103が実行する電力制御ステップは、送信機が送信する給電電波の送信電力を所定の範囲内に収めるためのフィードバック制御となる。具体的に、5ミリ秒ごとの所定期間ごと(定期的)にフィードバック制御を実行しても良い。なお、フィードバック制御を実行する期間は5ミリ秒である必要は無く、任意の周期(期間)としても構わない。フィードバック制御を実行する期間は、WPTシステム1、送信機100、受信機200等の使用環境等に応じて、所定期間を定めても良い。また、フィードバック制御を実行する期間は、検出器が検出した検出値の変化の大きさに応じて定めても良い。例えば、検出器が検出した検出値の変化が所定以上の場合にのみ所定期間ごとのフィードバック制御が実行され、検出器が検出した検出値の変化が所定未満の場合にはフィードバック制御を実行しない構成としても良い。また、検出器が検出した検出値の変化が大きいほど、所定期間をより短く設定しても良い。これにより、送信機100の電力変動に応じて、速やかに電源109により電力増幅部108に供給する電力を制御することができる。
なお、電源109が電力増幅部108に供給する電力の増加幅および減少幅は、送信機が送信する給電電波の送信電力に応じて適宜適した値が設定される。増加幅および減少幅は固定値である必要は無く、送信機100の使用環境に応じてことなる値が設定される構成としても良い。例えば、増加幅および減少幅1dB等の固定値の増減幅としても良いし、検出器が検出した検出値に応じて3dBの増加(減少)が必要と判定した場合には、3dBの増加幅(減少幅)としても良い。
例えば、マイコン103は、送信機が送信する給電電波の送信電力が1Wを上回るように電力増幅部108に供給する電力を制御することが好適である。
また、法令等によっては規定値以上の強度の無線電波を送信することが許されない場合がある。その場合、増加幅に対して減少幅を大きめに設定することが好適である。これにより、目標値に対して無線電波の強度が上振れしている場合には大きな減少幅で無線電波の強度を抑制することができる。
【0056】
マイコン103によるフィードバック制御の周期(所定期間)、送信機が送信する給電電波の送信電力の増減幅は、基板の温度、その他、外部環境等の使用環境等に応じて、予め設定されたテーブル等を参照して制御しても良い。具体的に、マイコン103は、基板の温度、その他、外部環境等の使用環境等のセンシングデータに応じて、不図示のテーブル等を参照して、フィードバック制御の周期(所定期間)、送信機が送信する給電電波の送信電力の増減幅等を算出しても良い。
【0057】
なお、送信機100が送信する無線電波の強度は、電源109が電力増幅部108に供給する電力により制御される必要は必ずしもない。例えば、PLL107の制御、PLL107および電力増幅部108の間に挿入する減衰機、電力増幅部108のゲイン制御、の少なくともいずれか1以上の組み合わせにより制御する構成としても良い。
【0058】
電力検出ステップは、電力増幅部108が出力する給電電波の送信電力を検出するステップである。
具体的に、検出器は、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力を検出することにより送信機100が送信する無線電波の強度を間接的に検出する構成としても良い。検出器の構成は、送信機100(第一実施形態)、送信機100(第二実施形態)において詳しく説明する。
【0059】
<2.1 送信機100(第一実施形態)>
図3は、送信機100(第一実施形態)の構成例を表すブロック図である。
送信機100(第一実施形態)は、既に説明した送信機100において、方向性結合器121、対数検出器、ADコンバータ(ADC)、を備える。その他の構成は、
図2において説明した送信機100と同様であるため説明を省略する。
【0060】
方向性結合器121は、ある伝送路上の信号の一部を別の伝送路に取り出す(または挿入する)回路である。方向性結合器121は、特定の方向性の信号のみを取り出すことができる。なお、方向性結合器121は、後述する検波器122に比べ、出力信号は温度に対する特性(温度依存性)が安定している点が優れている。具体的に、方向性結合器121は、同一の入力信号に対して、周辺環境の温度に依らず同一の出力信号を出力することができる。
対数検出器は、信号の振幅を対数的に検出する回路である。
ADコンバータは、アナログ信号をデジタル信号に変換する回路である。
【0061】
方向性結合器121は、電力増幅部の出力信号の一部を検出器に出力する。
具体的に、方向性結合器121は、電力増幅部108に接続される。方向性結合器121は、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力の一部を分割して取り出す。
方向性結合器121の出力は、対数検出器に入力される。対数検出器の出力は、ADコンバータに入力される。ADコンバータの出力は、マイコン103に入力される。
【0062】
具体的に、方向性結合器121は、電力増幅部108から出力された電力の一部を分割して取り出し、検出器の一種である対数検出器(Log Detector)へ出力する。対数検出器は、入力された電力をアナログ信号である電圧や電流値として出力する。対数検出器の出力は、ADコンバータに入力されデジタル信号に変換される。ADコンバータから出力されるデジタル信号はマイコン103に入力される。なお、対数検出器は必須ではなく省略しても良い。
【0063】
<2.2 送信機100(第一実施形態)の動作>
本開示における送信機100(第一実施形態)の動作を以下に説明する。
送信機100(第一実施形態)においては、マイコン103は、方向性結合器121から、対数検出器、ADコンバータを介して検出した送信電力(検出値)に基づき、送信電力を制御する電力制御ステップを実行する。
具体的に、マイコン103は、検出した検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を下回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させる。
一方、マイコン103は、検出した検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を上回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を減少させる。
その他、送信機100(第一実施形態)の動作は、既に説明した送信機100の動作と同様であるため説明を省略する。
【0064】
<3.1 送信機100(第二実施形態)>
図4は、送信機100(第二実施形態)の構成例を表すブロック図である。
送信機100(第二実施形態)は、既に説明した送信機100において、検波器122と、ADコンバータ)ADCと、温度計測部と、を備える。その他の構成は、
図2において説明した送信機100と同様であるため説明を省略する。
【0065】
検波器122は、交流の電流や電圧を直流に変換する電子回路の一種である。検波器122は、無線通信における電波の振幅や周波数などを検出するのに用いることができる。検波器122により、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力を測定することができる。例えば、検波器はコンデンサおよびダイオードから構成され、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電流に対する電磁カップリングを利用することにより、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力を測定する。
なお、検波器122は、前述する方向性結合器121に比べ、ダイオードを回路に含んでいることにより、出力信号は温度に依存している。そのため、検波器122は、同一の入力信号に対して、周辺環境の温度に応じて異なった出力信号が出力される傾向にある。一方、検波器122は、検出精度において方向性結合器121に比べて優れているという利点もある。
ADコンバータは、送信機100(第一実施形態)と同様であるため説明を省略する。
温度計測部は、検波器122が含むダイオードが設けられた基板(PCB)の温度を計測可能な装置であることが好適である。なお、温度計測部は、検波器122の周辺の温度を計測可能な装置であっても良い。温度計測部は、送信機100の温度を検出する装置であっても良い。温度計測部は、計測した温度に関する情報(信号)をマイコン103に出力する。
【0066】
検波器122は、電力増幅部の出力信号の一部を検出器に出力する。
具体的に、検波器122は、電力増幅部108に接続される。検波器122は、電力増幅部108が送信アンテナ102に出力する電力を計測する。
検波器122の出力は、ADコンバータに入力される。ADコンバータの出力は、マイコン103に入力される。
【0067】
<3.2 送信機100(第二実施形態)の動作>
本開示における送信機100(第二実施形態)の動作を以下に説明する。
送信機100(第二実施形態)においては、マイコン103は、検波器122から、ADコンバータを介して検出した送信電力(検出値)に基づき、送信電力を制御する電力制御ステップを実行する。
具体的に、マイコン103は、検出した検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を下回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させる。
一方、マイコン103は、検出した検出値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を上回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を減少させる。
その他、送信機100(第一実施形態)の動作は、既に説明した送信機100の動作と同様であるため説明を省略する。
【0068】
<温度補正処理>
検波器122は、出力特性に温度依存性があるため、検出した検出値をそのまま用いると正確なフィードバック制御を行うことができない場合がある。本開示においては、温度計測部を用いた温度補正処理を以下に説明する。送信機100(第二実施形態)において、温度補正処理は必須ではないが、温度補正処理を実行することにより正確なフィードバック制御を実行することができる。
【0069】
制御部103は、温度計測部により計測した計測温度に基づき補正した検出器の出力に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御する。
制御部103は、温度に対して係数が関連付けられたテーブルを参照し、検出器の出力値に計測温度に対してテーブルにより関連付けられた係数を演算することにより得られた値に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御する。なお、係数は、計測温度に加えて、検出した送信電圧、送信電力等の検出値に関する値と関連付けられていても良い。例えば、テーブルは、ダイオードの端子間電圧に関する温度特性データシートに基づいて作成しても良い。
具体的に、マイコン103は、検出器から入力された検出値を参照する際に、温度計測部から温度に関する情報を取得する。マイコン103は、取得した温度を検索キーとして不図示の温度と係数とが関連付けて記憶されたテーブルを参照し、所定の係数を取得する。マイコン103は、検出値と、所定の係数との乗算、除算、加算、減算等の任意の演算を実行することにより、検出値を補正し、検出値の補正値を取得する。
なお、マイコン103は所定の係数を取得する際にテーブルを参照する必要は必ずしもない。例えば、マイコン103は、温度を引き数とする任意の関数、モデル等に基づき、所定の係数を計算する構成としても良い。
【0070】
マイコン103は、補正値に基づき、送信電力を制御する電力制御ステップを実行する。
具体的に、マイコン103は、補正値と所定値とを比較する。マイコン103は、補正値が所定値を下回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を増加させる。
一方、マイコン103は、補正値と所定値とを比較する。マイコン103は、検出値が所定値を上回っている場合に、電源109が電力増幅部108に供給する電力を減少させる。
なお、温度補正処理の際のフィードバック処理は、検出値を補正値とする以外は、送信機100(第二実施形態)におけるフィードバック制御と同様である。
【0071】
<付記>
以上の各実施形態で説明した事項を以下に付記する。
【0072】
(付記1)
少なくとも1の受信機(200)に対して給電電波を介して無線により電力供給が可能な送信機において、送信機(100)は、送信機が送信する給電電波の送信電力を検出する電力検出ステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値と一致しない場合に、送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する電力制御ステップと、を実行可能な、送信機。
これにより、送信機から出力される給電電波の送信電力が所定値に近づくように制御できる。受信機を機能させるのに適した電力を受信機に対して送信できる。
【0073】
(付記2)
送信機(100)は、電力検出ステップにおいて検出した送信電力と、所定値との比較結果を出力する比較ステップと、を実行可能であり、電力制御ステップは、比較ステップにおいて出力した比較結果に基づき、送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御するステップである、付記1記載の送信機。
これにより、送信機から出力される給電電波の送信電力が所定値に近づくように制御できる。
【0074】
(付記3)
送信機(100)は、制御部(103)と、電力増幅部(108)と、を備え、電力検出ステップは、電力増幅部(108)が出力する給電電波の送信電力を検出するステップであり、電力制御ステップは、制御部(103)が、電力検出ステップにおいて検出した電力増幅部(108)が出力する送信電力が所定値と一致しない場合に、電力増幅部に入力する入力電力を、送信電力が所定値に近づくように制御するステップである、付記1または2記載の送信機。
これにより、送信機から出力される給電電波の送信電力が所定値に近づくように制御できる。
【0075】
(付記4)
送信機(100)は、制御部(103)と、電力増幅部(108)と、方向性結合器(121)と、検出器と、を備え、方向性結合器(121)は、電力増幅部(108)の出力信号の一部を検出器に出力し、制御部(103)は、検出器の出力に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御することにより、電力増幅部が出力する送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する、付記1から3のいずれか記載の送信機。
方向性結合器は温度依存性がないため、温度に依存せずに、送信電力が適した電力となるように制御することができる。
【0076】
(付記5)
送信機(100)は、制御部(103)と、電力増幅部(108)と、検波器(122)と、検出器と、を備え、検波器(122)は、電力増幅部(108)の出力信号の一部を検出器に出力し、制御部(103)は、検出器の出力に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御することにより、電力増幅部が出力する送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する、付記1から3のいずれか記載の送信機。
検波器は方向性結合器に比べて精度が高く、より正確に、送信電力が適した電力となるように制御することができる。
【0077】
(付記6)
送信機(100)は、温度計測部と、を備え、制御部(103)は、温度計測部により計測した計測温度に基づき補正した検出器の出力に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御する、付記5記載の送信機。
制御部は、温度制御部により計測された温度に基づき送信機から送信される無線電波の送信電力を制御することにより、温度依存性がある検波器において標準的な温度から乖離した環境下においても、制御部は送信電力を適切に制御できる。
【0078】
(付記7)
制御部(103)は、温度に対して係数が関連付けられたテーブルを参照し、検出器の出力値に計測温度に対してテーブルにより関連付けられた係数を演算することにより得られた値に基づき電力増幅部に入力する入力電力を制御する、付記6記載の送信機。
これにより、温度依存性がある検波器において標準的な温度から乖離した環境下においても、制御部は送信電力を適切に制御できる。
【0079】
(付記8)
電力制御ステップは、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値を下回っている場合に、送信電力が所定値に到達するように送信電力を制御するステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値を上回っている場合に、送信電力が所定値に到達するように送信電力を制御するステップと、を含む、付記1から7のいずれか記載の送信機。
これにより、送信機から出力される給電電波の送信電力が所定値に近づくように制御できる。受信機を機能させるのに適した電力を受信機に対して送信できる。
【0080】
(付記9)
付記1から7のいずれか記載の送信機と、少なくとも1の受信機と、から構成される無線給電システム。
これにより、送信機から出力される給電電波の送信電力が所定値に近づくように制御できる。受信機を機能させるのに適した電力を受信機に対して送信できる。
【符号の説明】
【0081】
1 WPTシステム、300 第1情報処理装置、3001 記憶部、3004 制御部、3006 入力装置、3008 出力装置、400 第2情報処理装置、4001 記憶部、4004 制御部、4006 入力装置、4008 出力装置、100 送信機、200 受信機
【要約】
【課題】受信機を機能させるのに十分な電力を受信機に対して送信できない場合があるという課題がある。
【解決手段】少なくとも1の受信機に対して給電電波を介して無線により電力供給が可能な送信機において、送信機は、送信機が送信する給電電波の送信電力を検出する電力検出ステップと、電力検出ステップにおいて検出した送信電力が所定値と一致しない場合に、送信電力が所定値に近づくように送信電力を制御する電力制御ステップと、を実行可能な、送信機。
【選択図】
図3