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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
H02M7/12 H
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021020213
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122759
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2023-10-23
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】関 淳志
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-002983(JP,A)
【文献】特開平05-122939(JP,A)
【文献】米国特許第10124680(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力ノードと第1のノードとの間に接続された第1のサイリスタと、
第2の入力ノードと前記第1のノードとの間に接続された第2のサイリスタと、
前記第1の入力ノードと第2のノードとの間に接続された第1のダイオードと、
前記第2の入力ノードと前記第2のノードとの間に接続された第2のダイオードと、
前記第1のノードと第3のノードとの間に接続された誘導素子と、
前記第3のノードと第1の出力ノードとの間に接続された第3のダイオードと、
前記第3のノードと第2の出力ノードとの間に接続されたスイッチング素子と、
前記第1の出力ノードと前記第2の出力ノードとの間に接続された容量素子と、
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードを介して受ける入力電圧を検知する検知部と、
前記入力電圧に応じて、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記スイッチング素子を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、起動時における前記入力電圧の第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である第1の期間に、前記第2のサイリスタ及び前記スイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第1のサイリスタをオン状態に維持し、起動時における前記入力電圧の前記第1の半周期に続く第2の半周期の後半内で振幅絶対値が第2の閾値以下である第2の期間に、前記第1のサイリスタ及び前記スイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第2のサイリスタをオン状態に維持し、
前記制御回路は、
前記第1のサイリスタを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のサイリスタを駆動する第2の駆動部と、
前記スイッチング素子を駆動する第3の駆動部と、
前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部に接続される第1の駆動電源部と、
前記第3の駆動部に接続される第2の駆動電源部と、
を有する
スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1の半周期内で前記第1の期間を除く第3の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ及び前記スイッチング素子をオフ状態に維持し、前記第2の半周期内で前記第2の期間を除く第4の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ及び前記スイッチング素子をオフ状態に維持する
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第1の駆動部へ伝達する第1の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第2の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第2の駆動部へ伝達する第2の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第3の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第2の駆動部へ伝達する第3の絶縁伝達部と、
を有する
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第1の駆動部へ伝達する第1の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第2の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第2の駆動部へ伝達する第2の絶縁伝達部と、
を有し、
前記信号発生部及び前記第3の駆動部は、前記第2のノードに電気的に接続され、
前記第3の駆動部は、前記信号発生部に電気的に接続され、前記信号発生部で発生した信号が伝達される
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードと前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のダイオード及び前記第2のダイオードとの間に接続されたノイズフィルタをさらに備えた
請求項1からのいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
第1の入力ノードと第1のノードとの間に接続された誘導素子と、
前記第1のノードと第1の出力ノードとの間に接続された第1のスイッチング素子と、
前記第1のノードと第2の出力ノードとの間に接続された第2のスイッチング素子と、
第2の入力ノードと前記第1の出力ノードとの間に接続された第1のサイリスタと、
前記第2の入力ノードと前記第2の出力ノードとの間に接続された第2のサイリスタと、
前記第1の出力ノードと前記第2の出力ノードとの間に接続された容量素子と、
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードを介して受ける入力電圧を検知する検知部と、
前記入力電圧に応じて、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、起動時における前記入力電圧の第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である第1の期間に、前記第1のサイリスタ及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第2のサイリスタ及び前記第1のスイッチング素子をオン状態に維持し、起動時における前記入力電圧の前記第1の半周期に続く第2の半周期の後半内で振幅絶対値が第2の閾値以下である第2の期間に、前記第2のサイリスタ及び前記第1のスイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第1のサイリスタ及び前記第2のスイッチング素子をオン状態に維持する
スイッチング電源装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1の半周期内で前記第1の期間を除く第3の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持し、前記第2の半周期内で前記第2の期間を除く第4の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持する
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記第1のサイリスタを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のサイリスタを駆動する第2の駆動部と、
ダイオードを介して前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の一方に接続され、ダイオードを介さずに前記第1の駆動部及び前記第2の駆動部の他方に接続される駆動電源部と、
を有する
請求項又はに記載のスイッチング電源装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記第1のスイッチング素子を駆動する第3の駆動部と、
前記第2のスイッチング素子を駆動する第4の駆動部と、
ダイオードを介して前記第3の駆動部及び前記第4の駆動部の一方に接続され、ダイオードを介さずに前記第3の駆動部及び前記第4の駆動部の他方に接続される駆動電源部と、
を有する
請求項又はに記載のスイッチング電源装置。
【請求項10】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第1の駆動部へ伝達する第1の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第2の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第2の駆動部へ伝達する第2の絶縁伝達部と、
を有する
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項11】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第3の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第3の駆動部へ伝達する第3の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第4の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第4の駆動部へ伝達する第4の絶縁伝達部と、
を有する
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項12】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第3の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第3の駆動部へ伝達する第3の絶縁伝達部と、
を有し、
前記信号発生部及び前記第4の駆動部は、前記第2の出力ノードに電気的に接続され、
前記第4の駆動部は、前記信号発生部に電気的に接続され、前記信号発生部で発生した信号が伝達される
請求項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項13】
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードと前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタとの間に接続されたノイズフィルタをさらに備えた
請求項から12のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【請求項14】
第1の入力ノードと第1のノードとの間に接続された誘導素子と、
前記第1のノードと第1の出力ノードとの間に接続された第1のスイッチング素子と、
第2の入力ノードと前記第1の出力ノードとの間に接続された第2のスイッチング素子と、
前記第1のノードと第2の出力ノードとの間に接続された第1のサイリスタと、
前期第2の入力ノードと前記第2の出力ノードとの間に接続された第2のサイリスタと、
前記第1の出力ノードと前記第2の出力ノードとの間に接続された容量素子と、
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードを介して受ける入力電圧を検知する検知部と、
前記入力電圧に応じて、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、起動時における前記入力電圧の第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である第1の期間に、前記第1のサイリスタ及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第2のサイリスタ及び前記第1のスイッチング素子をオン状態に維持し、起動時における前記入力電圧の前記第1の半周期に続く第2の半周期の後半内で振幅絶対値が前記第1の閾値より大きい第2の閾値以下である第2の期間に、前記第2のサイリスタ及び前記第1のスイッチング素子をオフ状態に維持しながら前記第1のサイリスタ及び前記第2のスイッチング素子をオン状態に維持する
スイッチング電源装置。
【請求項15】
前記制御回路は、前記第1の半周期内で前記第1の期間を除く第3の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持し、前記第2の半周期内で前記第2の期間を除く第4の期間に、前記第1のサイリスタ、前記第2のサイリスタ、前記第1のスイッチング素子及び前記第2のスイッチング素子をオフ状態に維持する
請求項14に記載のスイッチング電源装置。
【請求項16】
前記制御回路は、
前記第1のサイリスタを駆動する第1の駆動部と、
前記第2のサイリスタを駆動する第2の駆動部と、
前記第1のスイッチング素子を駆動する第3の駆動部と、
前記第2のスイッチング素子を駆動する第4の駆動部と、
ダイオードを介して前記第1の駆動部及び前記第3の駆動部に接続され、ダイオードを介さずに前記第2の駆動部及び前記第4の駆動部に接続される駆動電源部と、
を有する
請求項14又は15に記載のスイッチング電源装置。
【請求項17】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第1の駆動部へ伝達する第1の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第2の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第2の駆動部へ伝達する第2の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第3の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第3の駆動部へ伝達する第3の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第4の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第4の駆動部へ伝達する第4の絶縁伝達部と、
をさらに有する
請求項16に記載のスイッチング電源装置。
【請求項18】
前記制御回路は、
信号発生部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第1の駆動部へ伝達する第1の絶縁伝達部と、
前記信号発生部と前記第1の駆動部とを電気的に絶縁し、前記信号発生部で発生した信号を前記第3の駆動部へ伝達する第3の絶縁伝達部と、
を有し、
前記信号発生部及び前記第2の駆動部は、前記第2の出力ノードに電気的に接続され、
前記第2の駆動部は、前記信号発生部に電気的に接続され、前記信号発生部で発生した信号が伝達され、
前記信号発生部及び前記第4の駆動部は、前記第2の出力ノードに電気的に接続され、
前記第4の駆動部は、前記信号発生部に電気的に接続され、前記信号発生部で発生した信号が伝達される
請求項16に記載のスイッチング電源装置。
【請求項19】
前記第1の入力ノード及び前記第2の入力ノードと前記第1のスイッチング素子、前記第2のスイッチング素子との間に接続されたノイズフィルタをさらに備えた
請求項14から18のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電源と負荷回路との間に配されるスイッチング電源装置は、交流電源から受ける交流電力を直流電力に変換して負荷回路へ出力する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】欧州特許出願公開第3349343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スイッチング電源装置では、交流電源による交流電力の供給が開始される起動時において、出力側の容量素子が充電されていないことなどにより、突入電流が発生することがある。このとき、スイッチング電源装置には、突入電流を簡易な制御で抑制することが望まれる。
【0005】
本開示は、突入電流を簡易な制御で抑制できるスイッチング電源装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るスイッチング電源装置は、第1のサイリスタと第2のサイリスタと第1のダイオードと第2のダイオードと誘導素子と第3のダイオードとスイッチング素子と容量素子と検知部と制御回路とを有する。第1のサイリスタは、第1の入力ノードと第1のノードとの間に接続される。第2のサイリスタは、第2の入力ノードと第1のノードとの間に接続される。第1のダイオードは、第1の入力ノードと第2のノードとの間に接続される。第2のダイオードは、第2の入力ノードと第2のノードとの間に接続される。誘導素子は、第1のノードと第3のノードとの間に接続される。第3のダイオードは、第3のノードと第1の出力ノードとの間に接続される。スイッチング素子は、第3のノードと第2の出力ノードとの間に接続される。容量素子は、第1の出力ノードと第2の出力ノードとの間に接続される。検知部は、第1の入力ノード及び第2の入力ノードを介して受ける入力電圧を検知する。制御回路は、入力電圧に応じて、第1のサイリスタ、第2のサイリスタ、スイッチング素子を制御する。制御回路は、第1の期間に、第2のサイリスタ及びスイッチング素子をオフ状態に維持しながら第1のサイリスタをオン状態に維持する。第1の期間は、起動時における入力電圧の第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である期間である。制御回路は、第2の期間に、第1のサイリスタ及びスイッチング素子をオフ状態に維持しながら第2のサイリスタをオン状態に維持する。第2の期間は、起動時における入力電圧の第2の半周期の後半内で振幅絶対値が第2の閾値以下である期間である。第2の半周期は、第1の半周期に続く半周期である。制御回路は、第1の駆動部と第2の駆動部と第3の駆動部と第1の駆動電源部と第2の駆動電源部とを有する。第1の駆動部は、第1のサイリスタを駆動する。第2の駆動部は、第2のサイリスタを駆動する。第3の駆動部は、スイッチング素子を駆動する。第1の駆動電源部は、第1の駆動部及び第2の駆動部に接続される。第2の駆動電源部は、第3の駆動部に接続される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るスイッチング電源装置によれば、突入電流を簡易な制御で抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図2】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時及び定常時の動作を示す波形図。
図3】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時の動作を示す図。
図4】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置の定常時の動作を示す図。
図5】第1の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図6】第1の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図7】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図8】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時の動作を示す波形図。
図9】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時の動作を示す図。
図10】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置の定常時の動作を示す図。
図11】第2の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図12】第2の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図13】第2の実施形態の第3の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図14】第2の実施形態の第4の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図15】第3の実施形態に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図16】第3の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時の動作を示す波形図。
図17】第3の実施形態に係るスイッチング電源装置の起動時の動作を示す図。
図18】第3の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図19】第3の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図20】第3の実施形態の第3の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
図21】第3の実施形態の第4の変形例に係るスイッチング電源装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係るスイッチング電源装置の実施形態について説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
第1の実施形態にかかるスイッチング電源装置は、交流電源と負荷回路との間に配され、交流電源から受ける交流電力を直流電力に変換して負荷回路へ出力する。このとき、スイッチング電源装置は、交流電力の力率改善を行いつつ直流電力に変換するために、PFC(Power Factor Correction)回路を用いる。
【0011】
スイッチング電源装置は、例えばPFC回路として、ダイオードブリッジ、インダクタ、スイッチング素子、ダイオード、平滑コンデンサを用いた構成が考えられる。ダイオードブリッジは、ダイオード4個がブリッジ接続されて構成され得る。この構成では、ダイオードブリッジにて交流電圧を全波整流した後、スイッチング素子のスイッチング動作でインダクタへのエネルギーの蓄積と放出とが繰り返され、それに応じて、ダイオードを介した平滑コンデンサに対する電流の停止と注入とが繰り返される。これにより、スイッチング電源装置は、交流電流の位相を交流電圧の位相に近づけながら直流出力電圧を生成でき、力率改善を図ることができる。
【0012】
一方で、スイッチング電源装置では、交流電源による交流電力の供給が開始される起動時において、回路を交流電源に接続した瞬間に、突入電流が発生することがある。起動時において、平滑コンデンサの電圧が低いため、平滑コンデンサに過渡電流として急峻な電流が流れ、それに応じて回路に突入電流が流れ得る。
【0013】
突入電流を防止するために、交流電源及び平滑コンデンサの間の電流経路に対して、機械式のリレーとその両端に並列に抵抗素子が接続された回路が直列に接続された構成が考えられる。この構成では、機械式のリレーを用いているため、スイッチング電源装置が大型化しやすく、例えば車両に搭載される場合に、搭載されるスペースの要求を満たすことが困難になる。
【0014】
突入電流を防止するとともに装置の大型化を抑制するために、機械式のリレーに代えて、ダイオードブリッジのダイオード4個のうち2つをサイリスタに置き換えた構成が考えられる。この構成では、入力電圧の位相角を計算し、所定の位相角でサイリスタをゲート駆動するような制御が考えられる。この場合、スイッチング電源装置は、起動時において、位相角の計算に加えて制御すべき位相角範囲を計算することなどによりサイリスタのゲート駆動の制御が複雑になりやすい。これにより、制御負荷が増大して動作遅延等が発生し、サイリスタのゲート駆動が適切なタイミングからずれることなどにより、制御の精度が劣化しやすい。
【0015】
そこで、本実施形態では、スイッチング電源装置において、起動時に、検知される入力電圧そのものを用いた制御を行い、その振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタをオンさせることで、突入電流の抑制制御の簡易化を図る。
【0016】
具体的には、スイッチング電源装置1は、図1に示すように、フルブリッジ型のスイッチング電源装置として構成され得る。図1は、スイッチング電源装置1の構成を示す図である。スイッチング電源装置1は、交流電源PSと負荷回路LDとの間に配され、交流電源PSから受ける交流電力を直流電力に変換して負荷回路LDへ出力する。スイッチング電源装置1は、入力ノードNin1,Nin2及び出力ノードNout1,Nout2を有し、入力ノードNin1,Nin2に交流電源PSが接続され、出力ノードNout1,Nout2に負荷回路LDが接続され得る。入力ノードNin2を基準とした入力ノードNin1の電圧を入力電圧Vinと呼び、出力ノードNout2を基準とした出力ノードNout1の電圧を出力電圧Voutと呼ぶことにする。入力電圧Vinは交流電圧であり、出力電圧Voutは直流電圧である。
【0017】
スイッチング電源装置1は、起動時において、入力電圧Vin及び出力電圧Voutをモニターしながら、出力電圧Voutを所定レベルまで徐々に増加させる。スイッチング電源装置1は、定常時において、入力電圧Vin及び出力電圧Voutをモニターしながら、スイッチング素子によるスイッチング動作を行い、所望の電圧範囲の出力電圧Voutを生成する。
【0018】
スイッチング電源装置1は、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2、ダイオードD1、ダイオードD2、誘導素子L1、ダイオードD3、スイッチング素子SW1、容量素子C1、電圧検知部2、電圧検知部3、及び制御回路10を有する。
【0019】
サイリスタSCR1、サイリスタSCR2、ダイオードD1、ダイオードD2は、ブリッジ接続され、交流電源PSからの交流電流を全波整流するダイオードブリッジとして機能し得る。
【0020】
サイリスタSCR1は、入力ノードNin1とノードN1との間に電気的に接続される。サイリスタSCR1は、制御回路10からの制御に応じて、入力ノードNin1からノードN1に向かう方向へ電流を整流する整流素子として機能し得る。サイリスタSCR1は、アノードが入力ノードNin1に接続され、カソードがノードN1に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。サイリスタSCR1は、制御回路10からアクティブレベルVa1の制御信号をゲートで受けた際にオンして入力ノードNin1からノードN1への整流素子として機能する。サイリスタSCR1は、制御回路10からノンアクティブレベルVna1の制御信号をゲートで受けた際にオフして入力ノードNin1とノードN1とを電気的に遮断する。
【0021】
アクティブレベルVa1の制御信号は、サイリスタSCR1をオンさせるゲート電圧VH1(例えば、5V)に対応する。アクティブレベルVa1は、カソード基準であり、サイリスタSCR1のカソード電位をVk1とすると、次の数式1で表される。
Va1=Vk1+VH1・・・数式1
【0022】
ノンアクティブレベルVna1の制御信号は、サイリスタSCR1をオフさせるゲート電圧VL1(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna1は、カソード基準であり、サイリスタSCR1のカソード電位Vk1を用いて、次の数式2で表される。
Vna1=Vk1+VL1・・・数式2
【0023】
サイリスタSCR2は、入力ノードNin2とノードN1との間に電気的に接続される。サイリスタSCR2は、制御回路10からの制御に応じて、入力ノードNin2からノードN1に向かう方向へ電流を整流する整流素子として機能し得る。サイリスタSCR2は、アノードが入力ノードNin2に接続され、カソードがノードN1に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。サイリスタSCR2は、制御回路10からアクティブレベルVa2の制御信号をゲートで受けた際にオンして入力ノードNin2からノードN1への整流素子として機能する。サイリスタSCR2は、制御回路10からノンアクティブレベルVna2の制御信号をゲートで受けた際にオフして入力ノードNin2とノードN1とを電気的に遮断する。
【0024】
アクティブレベルVa2の制御信号は、サイリスタSCR2をオンさせるゲート電圧VH2(例えば、5V)に対応する。アクティブレベルVa2は、カソード基準であり、サイリスタSCR2のカソード電位をVk2とすると、次の数式3で表される。
Va2=Vk2+VH2・・・数式3
【0025】
ノンアクティブレベルVna2の制御信号は、サイリスタSCR2をオフさせるゲート電圧VL2(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna2は、カソード基準であり、サイリスタSCR2のカソード電位Vk2を用いて、次の数式4で表される。
Vna2=Vk2+VL2・・・数式4
【0026】
サイリスタSCR1及びサイリスタSCR2は、いずれも、カソードがノードN1に接続されているから、ノードN1の電位をVn1とすると、次の数式5が成り立つ。
Vk1=Vk2=Vn1・・・数式5
【0027】
ダイオードD1は、入力ノードNin1とノードN2との間に電気的に接続される。ダイオードD1は、カソードが入力ノードNin1に接続され、アノードがノードN2に接続される。ダイオードD1は、ノードN2から入力ノードNin1に向かう方向へ電流を整流する整流素子として機能する。
【0028】
ダイオードD2は、入力ノードNin2とノードN2との間に電気的に接続される。ダイオードD2は、カソードが入力ノードNin2に接続され、アノードがノードN2に接続される。ダイオードD2は、ノードN2から入力ノードNin2に向かう方向へ電流を整流する整流素子として機能する。
【0029】
誘導素子L1は、ノードN1とノードN3との間に電気的に接続される。誘導素子L1は、例えばコイルであり、一端がノードN1に接続され、他端がノードN3に接続される。誘導素子L1は、定常時に電磁エネルギーの蓄積・放出を行うことでスイッチング電源装置1の力率改善に寄与し得る。
【0030】
ダイオードD3は、ノードN3と出力ノードNout1との間に電気的に接続される。ダイオードD3は、アノードがノードN3に接続され、カソードが出力ノードNout1及び容量素子C1に接続される。ダイオードD3は、ノードN3から出力ノードNout1に向かう方向へ整流する整流素子として機能する。
【0031】
スイッチング素子SW1は、ノードN3と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。スイッチング素子SW1は、制御回路10からの制御に応じて、ノードN3と出力ノードNout2との間を電気的に接続・遮断させる。スイッチング素子SW1は、例えば、NチャネルMOSFET型のトランジスタであり、ソースがノードN2に接続され、ドレインがノードN3に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。以下、スイッチング素子SW1がNチャネルMOSFETであることを前提にトランジスタの電極をドレイン、ゲート、ソースと記載するが、スイッチング素子SW1がIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)の場合は、ドレインをコレクタ、ソースをエミッタと読み替えることができる。スイッチング素子SW1は、制御回路10からアクティブレベルVa3の制御信号をゲートで受けた際にオンしてノードN3と出力ノードNout2とを電気的に接続する。スイッチング素子SW1は、制御回路10からノンアクティブレベルVna3の制御信号をゲートで受けた際にオフしてノードN3と出力ノードNout2とを電気的に遮断する。なお、NチャネルMOSFET型のトランジスタには、寄生ダイオードが備わっており、寄生ダイオードのアノード側はソースと、カソード側はドレインとそれぞれ接続されている。したがって、ゲートが受ける制御信号がアクティブレベルかノンアクティブレベルかに関わらず、ソースからドレインへの電流は常に導通できる。スイッチング素子SW1がIGBTの場合は寄生ダイオードがないため、ノードNout2からノードN3へは電流が流れない。
【0032】
アクティブレベルVa3の制御信号は、スイッチング素子SW1をオンさせるゲート電圧VH3(例えば、15V)に対応する。アクティブレベルVa3は、ソース基準であり、スイッチング素子SW1のソース電位をVs1とすると、次の数式6で表される。
Va3=Vs1+VH3・・・数式6
【0033】
ノンアクティブレベルVna3の制御信号は、スイッチング素子SW1をオフさせるゲート電圧VL3(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna3は、ソース基準であり、スイッチング素子SW1のソース電位Vs1を用いて、次の数式7で表される。
Vna3=Vs1+VL3・・・数式7
【0034】
スイッチング素子SW1は、ソースがノードN2に接続されているから、ノードN2の電位をVn2とすると、次の数式8が成り立つ。
Vs1=Vn2・・・数式8
【0035】
容量素子C1は、出力ノードNout1と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。容量素子C1は、例えばアルミ電解コンデンサやフィルムコンデンサ、セラミックコンデンサなどの平滑コンデンサであり、一端が出力ノードNout1に接続され、他端が出力ノードNout2に接続される。容量素子C1は、定常時に電荷の放電・充電を行うことで、スイッチング電源装置1の力率改善に寄与でき、出力電圧Voutを生成できる。
【0036】
電圧検知部2は、入力ノードNin1及び入力ノードNin2を介して受ける入力電圧Vinを検知する。電圧検知部2は、検出ノード2aを含む。検出ノード2aは、入力ノードNin1及びサイリスタSCR1の間に電気的に接続され、制御回路10に電気的に接続される。電圧検知部2は、検出ノード2aの電圧を、検出された入力電圧Vinとして制御回路10へ伝達する。
【0037】
電圧検知部3は、出力ノードNout1及び出力ノードNout2から負荷回路LDへ出力される出力電圧Voutを検知する。電圧検知部3は、検出ノード3aを含む。検出ノード3aは、ダイオードD3及び出力ノードNout1の間に電気的に接続され、制御回路10に電気的に接続される。電圧検知部3は、検出ノード3aの電圧を、検出された出力電圧Voutとして制御回路10へ伝達する。
【0038】
制御回路10は、電圧検知部2で検知された入力電圧Vinと電圧検知部3で検知された出力電圧Voutとに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2、スイッチング素子SW1を制御する。
【0039】
制御回路10は、起動時において、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタSCR1又はサイリスタSCR2をオンさせる。このとき、制御回路10は、スイッチング素子SW1をオフ状態に維持し、スイッチング動作の制御を行わない。また、出力ノードNout1と負荷回路LDとの間に接続されたスイッチLDSWをオフさせることなどにより、負荷回路LDへの接続が遮断された状態であってもよい。
【0040】
例えば、制御回路10は、第1の期間に、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1をオフ状態に維持しながらサイリスタSCR1をオン状態に維持する。第1の期間は、起動時における入力電圧の第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である期間である。制御回路10は、第3の期間に、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1をオフ状態に維持する。第3の期間は、第1の半周期内で第1の期間を除く期間である。
【0041】
また、制御回路10は、第2の期間に、サイリスタSCR1及びスイッチング素子SW1をオフ状態に維持しながらサイリスタSCR2をオン状態に維持する。第2の期間は、起動時における入力電圧の第2の半周期の後半内で振幅絶対値が第2の閾値以下である期間である。第2の半周期は、第1の半周期に続く半周期である。制御回路10は、第4の期間に、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1をオフ状態に維持する。第4の期間は、第2の半周期内で第2の期間を除く期間である。
【0042】
これにより、スイッチング電源装置1は、容量素子C1に徐々に電荷を蓄積して、出力電圧Voutを徐々に増加させることができる。このため、容量素子C1に過渡的に流れる電流の変化を緩やかにすることができ、突入電流を抑制できる。
【0043】
制御回路10は、出力電圧Voutが所定レベルVに達すると、起動時の動作を終了する。制御回路10は、定常時において、負荷回路LDへの接続が行われた状態(例えば、スイッチLDSWがオンに維持された状態)で、スイッチング素子SW1によるスイッチング動作の制御を行う。これにより、スイッチング電源装置1は、所望の電圧範囲内の出力電圧Voutを生成することができる。
【0044】
制御回路10は、ゲート駆動信号発生機能16、絶縁機能17、絶縁機能18、絶縁機能19、ゲート駆動機能11、ゲート駆動機能12、ゲート駆動機能13、ゲート駆動電源機能14、ゲート駆動電源機能15、容量素子C11、容量素子C12を有する。
【0045】
スイッチング電源装置1が車両に搭載される場合、バッテリBTで保持される直流電圧Vbat(例えば、12V)がDCDCコンバータCV1で制御用の直流電圧Vcont1(例えば、5V)に変換されゲート駆動信号発生機能16及びゲート駆動電源機能14へ供給される。また、バッテリBTで保持される直流電圧VbatがDCDCコンバータCV2で制御用の直流電圧Vcont2(例えば、15V)に変換されゲート駆動電源機能15へ供給される。
【0046】
ゲート駆動信号発生機能16は、直流電圧Vcont1を用いて、ゲート駆動機能11~13へ供給すべきゲート駆動信号を(例えばグランド基準で)発生させる機能であり、ハードウェア的に実装され得る。ゲート駆動信号発生機能16は、マイクロコンピュータやDSPなど、ソフトウェアを用いて発生させるデジタル信号処理回路で実装され得る。ゲート駆動信号発生機能16は、ゲート駆動信号GDSCR1を発生させて絶縁機能17経由でゲート駆動機能11へ供給する。ゲート駆動信号GDSCR1は、サイリスタSCR1をオン・オフさせるタイミングを制御する信号である。ゲート駆動信号発生機能16は、ゲート駆動信号GDSCR2を発生させて絶縁機能18経由でゲート駆動機能12へ供給する。ゲート駆動信号GDSCR2は、サイリスタSCR2をオン・オフさせるタイミングを制御する信号である。ゲート駆動信号発生機能16は、ゲート駆動信号GDSW1を発生させて絶縁機能19経由でゲート駆動機能13へ供給する。ゲート駆動信号GDSW1は、スイッチング素子SW1をオン・オフさせるタイミングを制御する信号である。
【0047】
絶縁機能17は、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能11とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能16で発生したゲート駆動信号GDSCR1をゲート駆動機能11へ伝達する。これにより、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能11とで信号の基準が異なる場合、基準の違いによらずに信号を伝達できる。
【0048】
絶縁機能18は、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能12とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能16で発生したゲート駆動信号GDSCR2をゲート駆動機能12へ伝達する。これにより、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能12とで信号の基準が異なる場合、基準の違いによらずに信号を伝達できる。
【0049】
絶縁機能19は、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能13とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能16で発生したゲート駆動信号GDSW1をゲート駆動機能13へ伝達する。これにより、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能13とで信号の基準が異なる場合、基準の違いによらずに信号を伝達できる。
【0050】
絶縁機能17,18,19は、それぞれ、ゲート駆動機能11,12,13に対応する。各絶縁機能17~19は、フォトカプラ、磁気カプラ、又は容量カプラを有していてもよい。フォトカプラを有する場合、各絶縁機能17~19は、光結合された発光素子及び受光素子を有し、ゲート駆動信号に応じて発光素子を発光させ、その光を受光素子で受光して、対応するゲート駆動機能へ伝達する。磁気カプラを有する場合、各絶縁機能17~19は、磁気結合された送信カプラ及び受信カプラを有し、ゲート駆動信号に応じて送信カプラから磁界を発生させ、その磁界に応じて受信カプラで誘導電流を発生させて、対応するゲート駆動機能へ伝達する。容量カプラを有する場合、各絶縁機能17~19は、容量結合された送信電極及び受信電極を有し、ゲート駆動信号に応じて送信電極から電界を発生させ、その電界に応じて受信電極で電流を発生させて、対応するゲート駆動機能へ伝達する。
【0051】
ゲート駆動機能11は、サイリスタSCR1を駆動する機能であり、ハードウェア的に回路として実装され得る。ゲート駆動機能11は、例えば、トランジスタのプッシュプル回路などで、電流増幅させる回路が備わったICとして実装され得る。ゲート駆動機能11は、制御信号CSSCR1を生成してサイリスタSCR1のゲートに供給し、サイリスタSCR1を駆動する。
【0052】
ゲート駆動機能11は、信号入力ノードが絶縁機能17経由でゲート駆動信号発生機能16に接続される。ゲート駆動機能11は、サイリスタSCR1用のゲート駆動信号GDSCR1を絶縁機能17経由でゲート駆動信号発生機能16から受ける。ゲート駆動機能11は、電源入力ノードが容量素子C11の一端及びゲート駆動電源機能14に接続される。ゲート駆動機能11は、基準入力ノードが容量素子C11の他端及びノードN1に接続される。ゲート駆動機能11は、サイリスタSCR1のカソード電位Vk1を基準電位として受ける。
【0053】
ゲート駆動機能12は、サイリスタSCR2を駆動する機能であり、ハードウェア的に回路として実装され得る。ゲート駆動機能12は、例えば、トランジスタのプッシュプル回路などで、電流増幅させる回路が備わったICとして実装され得る。ゲート駆動機能12は、制御信号CSSCR2を生成してサイリスタSCR2のゲートに供給し、サイリスタSCR2を駆動する。
【0054】
ゲート駆動機能12は、信号入力ノードが絶縁機能18経由でゲート駆動信号発生機能16に接続される。ゲート駆動機能12は、サイリスタSCR2用のゲート駆動信号GDSCR2を絶縁機能18経由でゲート駆動信号発生機能16から受ける。ゲート駆動機能12は、電源入力ノードが容量素子C11の一端及びゲート駆動電源機能14に接続される。ゲート駆動機能12は、基準入力ノードが容量素子C11の他端及びノードN1に接続される。ゲート駆動機能12は、サイリスタSCR2のカソード電位Vk2を基準電位として受ける。
【0055】
ここで、サイリスタSCR1のカソードとサイリスタSCR2のカソードとがともにノードN1に接続されており、基準電位が共通であるため、ゲート駆動電源機能14は、ゲート駆動機能11及びゲート駆動機能12に対して共用できる。
【0056】
ゲート駆動電源機能14は、ゲート駆動電圧VSCRを発生させてゲート駆動機能11及びゲート駆動機能12へ供給する。ゲート駆動電圧VSCRは、サイリスタSCR1又はサイリスタSCR2をオンさせるゲート電圧VH1,VH2に対応し、例えば
H1≒VH2≒VSCR
である。ゲート駆動電源機能14は、電圧Vcont1を用いてゲート駆動電圧VSCR(例えば、5V)を生成し、ゲート駆動電圧VSCRを容量素子C11に蓄積する。
【0057】
ゲート駆動機能11は、容量素子C11に蓄積されたゲート駆動電圧VSCRを電源入力ノードで受ける。このとき、容量素子C11は、ゲート駆動電圧VSCRを保持する。サイリスタSCR1のカソード電位Vk1が変動し、容量素子C11の他端の電位が変動すると、容量素子C11の一端の電位も同様に変動する。これにより、ゲート駆動機能11は、カソード電位Vk1が変動した場合にそれに応じて変動するアクティブレベルVa1のゲート駆動電圧VSCRを電源ノードで受けることができる。このため、ゲート駆動機能11は、ゲート駆動信号GDSCR1に応じて、数式1,2に示すアクティブレベルVa1、ノンアクティブレベルVna1の制御信号CSSCR1を生成してサイリスタSCR1のゲートに供給できる。すなわち、制御回路10は、サイリスタSCR1のゲート電圧をカソード基準でVH1又はVL1に維持されるように制御できる。
【0058】
同様に、ゲート駆動機能12は、容量素子C11に蓄積されたゲート駆動電圧VSCRを電源入力ノードで受ける。このとき、容量素子C11は、ゲート駆動電圧VSCRを保持する。サイリスタSCR2のカソード電位Vk2が変動し、容量素子C11の他端の電位が変動すると、容量素子C11の一端の電位も同様に変動する。これにより、ゲート駆動機能12は、カソード電位Vk2が変動した場合にそれに応じて変動するアクティブレベルVa2のゲート駆動電圧VSCRを電源ノードで受けることができる。このため、ゲート駆動機能12は、ゲート駆動信号GDSCR2に応じて、数式3,4に示すアクティブレベルVa2、ノンアクティブレベルVna2の制御信号CSSCR2を生成してサイリスタSCR2のゲートに供給できる。すなわち、制御回路10は、サイリスタSCR2のゲート電圧をカソード基準でVH2又はVL2に維持されるように制御できる。
【0059】
ゲート駆動機能13は、スイッチング素子SW1を駆動する機能であり、ハードウェア的に回路として実装され得る。ゲート駆動機能13は、例えば、トランジスタのプッシュプル回路などで、電流増幅させる回路が備わったICとして実装され得る。ゲート駆動機能13は、制御信号CSSW1を生成してスイッチング素子SW1のゲートに供給し、スイッチング素子SW1を駆動する。
【0060】
ゲート駆動機能13は、信号入力ノードが絶縁機能19経由でゲート駆動信号発生機能16に接続される。ゲート駆動機能13は、スイッチング素子SW1用のゲート駆動信号GDSW1を絶縁機能19経由でゲート駆動信号発生機能16から受ける。ゲート駆動機能13は、電源入力ノードが容量素子C12の一端及びゲート駆動電源機能14に接続される。ゲート駆動機能13は、基準入力ノードが容量素子C12の他端及びノードN2に接続される。ゲート駆動機能13は、スイッチング素子SW1のソース電位Vs1を基準電位として受ける。
【0061】
ゲート駆動電源機能15は、ゲート駆動電圧VSWを発生させてゲート駆動機能13へ供給する。ゲート駆動電圧VSWは、スイッチング素子SW1をオンさせるゲート電圧VH3に対応し、例えば
H3≒VSW
である。ゲート駆動電源機能15は、電圧Vcont2を用いてゲート駆動電圧VSW(例えば、15V)を生成し、ゲート駆動電圧VSWを容量素子C12に蓄積する。
【0062】
ゲート駆動機能13は、容量素子C12に蓄積されたゲート駆動電圧VSWを電源入力ノードで受ける。このとき、容量素子C12は、ゲート駆動電圧VSWを保持する。スイッチング素子SW1のソース電位Vs1が変動し、容量素子C12の他端の電位が変動すると、容量素子C12の一端の電位も同様に変動する。これにより、ゲート駆動機能13は、ソース電位Vs1が変動した場合にそれに応じて変動するアクティブレベルVa3のゲート駆動電圧VSWを電源ノードで受けることができる。このため、ゲート駆動機能13は、ゲート駆動信号GDSW1に応じて、数式6,7に示すアクティブレベルVa3、ノンアクティブレベルVna3の制御信号CSSW1を生成してスイッチング素子SW1のゲートに供給できる。すなわち、制御回路10は、スイッチング素子SW1のゲート電圧をソース基準でVH3又はVL3に維持されるように制御できる。
【0063】
各ゲート駆動電源機能14,15は、トランスなどの電圧を発生させる素子とそれを電圧源として出力電圧を安定化させる電源ICとを直列に組み合わせた回路で実装されてもよい。
【0064】
なお、絶縁機能17~19とゲート駆動機能11~13とは、対応する組が一体化したICとして実装されてもよい。もしくは、絶縁機能17~19とゲート駆動機能11~13とゲート駆動電源機能14,15とは、対応する組が一体化された部品として、高周波パルスを伝達させるパルストランスを用いて実装されてもよい。
【0065】
次に、スイッチング電源装置1の動作について図2図4を用いて説明する。図2は、スイッチング電源装置1の起動時及び定常時の動作を示す波形図である。図3は、スイッチング電源装置1の起動時の動作を示す図である。図4は、スイッチング電源装置1の定常時の動作を示す図である。
【0066】
タイミングt1において、入力ノードNin1,Nin2への入力電圧Vinの供給が開始される。入力電圧Vinは、交流電圧であり、基準電位(例えば、0V)を中心に正弦波状に変化する。基準電位より高い振幅を正振幅、低い振幅を負振幅と呼ぶことにすると、入力電圧Vinは、タイミングt1から数えて奇数番目の半周期T,T,T,Tで正振幅となり、偶数番目の半周期T,T,T,Tで負振幅となる。
【0067】
タイミングt1~t2の期間T11において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth1と比較する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1より大きいことに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。これにより、期間T11において、図3(a)に示すように、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧Voutが初期値V0(≒0V)に維持される。
【0068】
タイミングt2において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1になったことに応じて、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL2,VL3に維持しながら、サイリスタSCR1のゲート電圧をVL1からVH1へ変更する。タイミングt2~t3の期間T12において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1以下であることに応じて、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL2,VL3に維持しながら、サイリスタSCR1のゲート電圧をVH1に維持する。これにより、期間T12において、図3(b)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR1→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD2→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV0からV1へ上昇する。
【0069】
期間T12は、半周期Tの後半内で入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1以下である期間である。期間T11は、半周期Tにおける期間T12を除く期間である。
【0070】
タイミングt3~t4の期間T21において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth2と比較する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2より大きいことに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。これにより、期間T21において、図3(c)に示すように、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1に維持される。
【0071】
タイミングt4において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2になったことに応じて、サイリスタSCR1及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL3に維持しながら、サイリスタSCR2のゲート電圧をVL2からVH2へ変更する。タイミングt4~t5の期間T22において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2以下であることに応じて、サイリスタSCR1及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL3に維持しながら、サイリスタSCR2のゲート電圧をVH2に維持する。これにより、期間T22において、図3(d)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR2→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD1→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1からV2へ上昇する。
【0072】
期間T22は、半周期Tの後半内で入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2以下である期間である。閾値Vth2は、閾値Vth1より大きい。このため、期間T22の長さは、期間T12の長さより長い。期間T21は、半周期Tにおける期間T22を除く期間である。
【0073】
タイミングt5~t6の期間T31において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth3と比較する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth3より大きいことに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。これにより、期間T31において、図3(a)に示すように、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV2に維持される。
【0074】
タイミングt6において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth3になったことに応じて、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL2,VL3に維持しながら、サイリスタSCR1のゲート電圧をVL1からVH1へ変更する。タイミングt6~t7の期間T32において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth3以下であることに応じて、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL2,VL3に維持しながら、サイリスタSCR1のゲート電圧をVH1に維持する。これにより、期間T32において、図3(b)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR1→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD2→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV2からV3へ上昇する。
【0075】
期間T32は、半周期Tの後半内で入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth3以下である期間である。閾値Vth3は、閾値Vth2より大きい。このため、期間T32の長さは、期間T22の長さより長い。期間T31は、半周期Tにおける期間T32を除く期間である。
【0076】
タイミングt7~t8の期間T41において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth4と比較する。制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth4より大きいことに応じて、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL2,VL3に維持する。これにより、期間T41において、図3(c)に示すように、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2及びスイッチング素子SW1が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV3に維持される。
【0077】
タイミングt8において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth4になったことに応じて、サイリスタSCR1及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL3に維持しながら、サイリスタSCR2のゲート電圧をVL2からVH2へ変更する。タイミングt8~t9の期間T42において、制御回路10は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth4以下であることに応じて、サイリスタSCR1及びスイッチング素子SW1のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VL3に維持しながら、サイリスタSCR2のゲート電圧をVH2に維持する。これにより、期間T42において、図3(d)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR2→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD1→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV3からV4へ上昇する。
【0078】
期間T42は、半周期Tの後半内で入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth4以下である期間である。閾値Vth4は、閾値Vth3より大きい。このため、期間T42の長さは、期間T32の長さより長い。期間T41は、半周期Tにおける期間T42を除く期間である。
【0079】
タイミングt9において、制御回路10は、出力電圧Voutが所望の電圧V4に達したことに応じて、起動時の動作を終了し、定常時の動作に切り替える。なお、第1の実施形態では、半周期が4回発生した段階で出力電圧Voutが所望の電圧V4に達した例を記載しているが、半周期の回数はこれに限定されない。出力電圧Voutが所望の電圧V4に達するまで、この動作を繰り返してよい。
【0080】
タイミングt9~t10の期間において、奇数番目の半周期T内であることに応じて、制御回路10は、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2のゲート電圧を、それぞれ、VH1,VL2に維持する。また、制御回路10は、スイッチング素子SW1のゲート電圧について、VH3とVL3を交互にスイッチングする。これにより、サイリスタSCR2がオフ状態に維持され、図4(a)と図4(b)の動作を交互に繰り返す。すなわち、図4(a)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR1→誘導素子L1→スイッチング素子SW1→ダイオードD2→交流電源PSの経路で電流が流れ、誘導素子L1に電磁エネルギーが蓄積される。続いて、図4(b)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR1→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD2→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電流が注入されて出力電圧Voutが所定の値に近づく。なお、負荷回路LDが接続されているため、スイッチング素子SW1のオンオフに関わらず、容量素子C1から負荷LDに電流は供給されるため、出力電圧Voutは常に緩やかに減少している。したがって、詳細に記述すれば、容量素子C1の電圧Voutはスイッチング素子SW1がオンしている期間は緩やかに減少し、スイッチング素子SW1がオフしている期間は急激に増大する、という動作を繰り返す。
【0081】
タイミングt10~t11において、偶数番目の半周期T内であることに応じて、制御回路10は、サイリスタSCR1、サイリスタSCR2のゲート電圧を、それぞれ、VL1,VH2に維持する。また、制御回路10は、スイッチング素子SW1のゲート電圧について、VH3とVL3を交互にスイッチングする。これにより、サイリスタSCR1がオフ状態に維持され、図4(c)と図4(d)の動作を交互に繰り返す。すなわち、図4(c)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR2→誘導素子L1→スイッチング素子SW1→ダイオードD1→交流電源PSの経路で電流が流れ、誘導素子L1に電磁エネルギーが蓄積される。続いて、図4(d)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR2→誘導素子L1→ダイオードD3→容量素子C1→ダイオードD1→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電流が注入されて出力電圧Voutが所定の値に近づく。なお、負荷回路LDが接続されているため、スイッチング素子SW1のオンオフに関わらず、容量素子C1から負荷LDに電流は供給されるため、出力電圧Voutは常に緩やかに減少している。したがって、詳細に記述すれば、容量素子C1の電圧Voutはスイッチング素子SW1がオンしている期間は緩やかに減少し、スイッチング素子SW1がオフしている期間は急激に増大する、という動作を繰り返す。
【0082】
以降、タイミングt11~t12の期間において、奇数番目の半周期T7内の動作は半周囲T内の動作と同じであり、タイミングt12~t13の期間において、偶数番目の半周期T8内の動作は半周囲T6内の動作と同じである。
【0083】
以上のように、第1の実施形態では、スイッチング電源装置1において、起動時に、検知される入力電圧Vinそのものを用いた制御を行い、その振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタSCR1,SCR2をオンさせる。これにより、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できる。
【0084】
また、第1の実施形態では、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できるので、その制御を行うための制御回路10の構成を簡素化できる。
【0085】
なお、第1の実施形態の第1の変形例として、スイッチング電源装置101は、図5に示すように、絶縁機能19(図1参照)が省略された構成であってもよい。図5は、第1の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置101の構成を示す図である。例えば、図1に示す構成に対して、ノードN2をゲート駆動機能12とゲート駆動信号発生機能16とに電気的に接続するラインを追加し、そのラインに容量素子C12の他端を接続する。これにより、ゲート駆動信号発生機能16は、スイッチング素子SW1のソース基準でゲート駆動信号GDSW1を生成でき、ゲート駆動信号発生機能16とゲート駆動機能12とで信号の基準をそろえることができる。このため、図5に示すように、ゲート駆動機能12をゲート駆動信号発生機能16に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能16からゲート駆動機能12へ直接的にゲート駆動信号GDSW1を供給できる。すなわち、絶縁機能19(図1参照)を省略できるので、制御回路110の構成をさらに簡素化できる。
【0086】
また、第1の実施形態の第2の変形例として、スイッチング電源装置201は、図6に示すように、ノイズフィルタ220をさらに有していてもよい。図6は、第1の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置201の構成を示す図であり、簡略化のため制御回路の図示を省略している。例えば、ノイズフィルタ220は、入力ノードNin1及び入力ノードNin2とサイリスタSCR1、サイリスタSCR2、ダイオードD1及びダイオードD2との間に電気的に接続される。ノイズフィルタ220は、コモンモードコイルL2,L3、ライン間コンデンサC2,C3、ライン・アース間コンデンサC4,C5,C6,C7を含む。
【0087】
コモンモードコイルL2,L3は、それぞれ、一端が入力ノードNin1,Nin2に接続され、他端がサイリスタSCR1,SCR2及びダイオードD1,D2の間のノードに接続される。コモンモードコイルL2,L3は、コアに互いに同相巻きに構成され、コイルに流れる電流の磁束を互いに打ち消し合いコモンモードノイズを減衰させ得る。
【0088】
ライン間コンデンサC2,C3は、それぞれ、一端が入力ノードNin1とサイリスタSCR1とを接続するラインに接続され、他端が入力ノードNin2とサイリスタSCR2とを接続するラインに接続される。ライン間コンデンサC2,C3は、ノイズをライン間でバイパスさせ、ノーマルモードノイズを減衰させ得る。
【0089】
ライン・アース間コンデンサC4,C5は、それぞれ、一端が入力ノードNin1とサイリスタSCR1とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC4,C5は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0090】
ライン・アース間コンデンサC6,C7は、それぞれ、一端が入力ノードNin2とサイリスタSCR2とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC6,C7は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0091】
このように、スイッチング電源装置201は、ノイズフィルタ220をさらに有することで、ノイズの外部への放射を抑制でき、外部からのノイズの影響を低減できる。
【0092】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかるスイッチング電源装置について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0093】
第1の実施形態では、フルブリッジ型のスイッチング電源装置を例示しているが、第2の実施形態では、ダイオードブリッジを有さないブリッジレス型のスイッチング電源装置を例示する。
【0094】
具体的には、スイッチング電源装置301は、図7に示すように、ダイオードD1,D2が省略され、誘導素子L1、サイリスタSCR1,SCR2、スイッチング素子SW1、制御回路10(図1参照)に代えて、誘導素子L11、サイリスタSCR11,SCR12、スイッチング素子SW11,SW12、制御回路310を有する。
【0095】
誘導素子L11は、入力ノードNin1とノードN11との間に電気的に接続される。誘導素子L11は、例えば、コイルであり、一端が入力ノードNin1に接続され、他端がノードN11に接続される。
【0096】
サイリスタSCR11は、入力ノードNin2と出力ノードNout1との間に電気的に接続される。サイリスタSCR11は、カソードがノードN13を介して出力ノードNout1に接続され、アノードが入力ノードNin2に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。サイリスタSCR11は、制御回路10からアクティブレベルVa11の制御信号をゲートで受けた際にオンし、ノンアクティブレベルVna11の制御信号をゲートで受けた際にオフする。
【0097】
アクティブレベルVa11の制御信号は、サイリスタSCR11をオンさせるゲート電圧VH11(例えば、5V)に対応する。アクティブレベルVa11は、カソード基準であり、サイリスタSCR11のカソード電位をVk11とすると、次の数式9で表される。
Va11=Vk11+VH11・・・数式9
【0098】
ノンアクティブレベルVna11の制御信号は、サイリスタSCR11をオフさせるゲート電圧VL11(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna11は、カソード基準であり、サイリスタSCR11のカソード電位Vk11を用いて、次の数式10で表される。
Vna11=Vk11+VL11・・・数式10
【0099】
サイリスタSCR12は、入力ノードNin2と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。サイリスタSCR12は、カソードが入力ノードNin2に接続され、アノードが出力ノードNout2に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。サイリスタSCR12は、制御回路10からアクティブレベルVa12の制御信号をゲートで受けた際にオンし、ノンアクティブレベルVna12の制御信号をゲートで受けた際にオフする。
【0100】
アクティブレベルVa12の制御信号は、サイリスタSCR12をオンさせるゲート電圧VH12(例えば、5V)に対応する。アクティブレベルVa12は、カソード基準であり、サイリスタSCR12のカソード電位をVk12とすると、次の数式11で表される。
Va12=Vk12+VH12・・・数式11
【0101】
ノンアクティブレベルVna12の制御信号は、サイリスタSCR12をオフさせるゲート電圧VL12(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna12は、カソード基準であり、サイリスタSCR12のカソード電位Vk12を用いて、次の数式12で表される。
Vna12=Vk12+VL12・・・数式12
【0102】
スイッチング素子SW11は、ノードN11と出力ノードNout1との間に電気的に接続される。スイッチング素子SW11は、例えばNチャネルMOSFET型のトランジスタであり、ソースがノードN11に接続され、ドレインが出力ノードNout1に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。スイッチング素子SW11は、制御回路10からアクティブレベルVa13の制御信号をゲートで受けた際にオンし、ノンアクティブレベルVna13の制御信号をゲートで受けた際にオフする。
【0103】
アクティブレベルVa13の制御信号は、スイッチング素子SW11をオンさせるゲート電圧VH13(例えば、15V)に対応する。アクティブレベルVa13は、ソース基準であり、スイッチング素子SW11のソース電位をVs11とすると、次の数式13で表される。
Va13=Vs11+VH13・・・数式13
【0104】
ノンアクティブレベルVna13の制御信号は、スイッチング素子SW11をオフさせるゲート電圧VL13(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna13は、ソース基準であり、スイッチング素子SW11のソース電位Vs11を用いて、次の数式14で表される。
Vna13=Vs11+VL13・・・数式14
【0105】
スイッチング素子SW12は、ノードN11と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。スイッチング素子SW12は、例えばNチャネルMOSFET型のトランジスタであり、ソースがノードN14を介して出力ノードNout2に接続され、ドレインがノードN11に接続され、ゲートが制御回路10に接続される。スイッチング素子SW12は、制御回路10からアクティブレベルVa14の制御信号をゲートで受けた際にオンし、ノンアクティブレベルVna14の制御信号をゲートで受けた際にオフする。
【0106】
アクティブレベルVa14の制御信号は、スイッチング素子SW12をオンさせるゲート電圧VH14(例えば、15V)に対応する。アクティブレベルVa14は、ソース基準であり、スイッチング素子SW12のソース電位をVs12とすると、次の数式15で表される。
Va14=Vs12+VH14・・・数式15
【0107】
ノンアクティブレベルVna14の制御信号は、スイッチング素子SW12をオフさせるゲート電圧VL14(例えば、0V)に対応する。ノンアクティブレベルVna14は、ソース基準であり、スイッチング素子SW12のソース電位Vs12を用いて、次の数式16で表される。
Vna14=Vs12+VL14・・・数式16
【0108】
制御回路310は、電圧検知部2で検知された入力電圧Vinと電圧検知部3で検知された出力電圧Voutとに応じて、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW11、スイッチング素子SW12を制御する。制御回路310は、起動時において、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタSCR11又はサイリスタSCR12をオンさせる。例えば、制御回路310は、第1の期間に、サイリスタSCR11及びスイッチング素子SW12をオフ状態に維持しながらサイリスタSCR12及びスイッチング素子SW11をオン状態に維持する。第1の期間は、起動時における入力電圧Vinの第1の半周期の後半内で振幅絶対値が第1の閾値以下である期間である。制御回路310は、第3の期間に、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW11、スイッチング素子SW12をオフ状態に維持する。第3の期間は、第1の半周期内で第1の期間を除く期間である。制御回路310は、第2の期間に、サイリスタSCR12及びスイッチング素子SW11をオフ状態に維持しながらサイリスタSCR11及びスイッチング素子SW12をオン状態に維持する。第2の期間は、起動時における入力電圧Vinの第1の半周期に続く第2の半周期の後半内で振幅絶対値が第2の閾値以下である期間である。制御回路310は、第4の期間に、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW12及びスイッチング素子SW11をオフ状態に維持する。第4の期間は、第2の半周期内で第2の期間を除く期間である。
【0109】
図7に示されるように、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW11、スイッチング素子SW12の制御信号の基準は、それぞれ、ノードN13の電位、ノードN12の電位、ノードN11の電位、ノードN14の電位となり、互いに異なる。このため、制御回路310は、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW11、スイッチング素子SW12に対する制御信号を別々に生成するように構成される。例えば、制御回路310は、ゲート駆動信号発生機能319、絶縁機能315,316,317,318、ゲート駆動機能311,312,313,314、ゲート駆動電源機能321,322,323,324、容量素子C21,C22,C23,C24を有する。
【0110】
スイッチング電源装置1が車両に搭載される場合、バッテリBTで保持される直流電圧Vbat(例えば、12V)がDCDCコンバータCV1で制御用の直流電圧Vcont1(例えば、5V)に変換されゲート駆動信号発生機能319及びゲート駆動電源機能321,322へ供給される。また、バッテリBTで保持される直流電圧VbatがDCDCコンバータCV2で制御用の直流電圧Vcont2(例えば、15V)に変換されゲート駆動電源機能323,324へ供給される。
【0111】
ゲート駆動信号発生機能319は、ゲート駆動信号GDSCR11を発生させて絶縁機能315経由でゲート駆動機能311へ供給する。ゲート駆動信号発生機能319は、ゲート駆動信号GDSCR12を発生させて絶縁機能316経由でゲート駆動機能312へ供給する。ゲート駆動信号発生機能319は、ゲート駆動信号GDSW11を発生させて絶縁機能317経由でゲート駆動機能313へ供給する。ゲート駆動信号発生機能319は、ゲート駆動信号GDSW12を発生させて絶縁機能318経由でゲート駆動機能314へ供給する。
【0112】
絶縁機能315は、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能311とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能319で発生したゲート駆動信号GDSCR11をゲート駆動機能311へ伝達する。
【0113】
絶縁機能316は、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能312とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能319で発生したゲート駆動信号GDSCR12をゲート駆動機能312へ伝達する。
【0114】
絶縁機能317は、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能313とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能319で発生したゲート駆動信号GDSW11をゲート駆動機能313へ伝達する。
【0115】
絶縁機能318は、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能314とを電気的に絶縁しながら、ゲート駆動信号発生機能319で発生したゲート駆動信号GDSW12をゲート駆動機能314へ伝達する。
【0116】
ゲート駆動機能311は、サイリスタSCR11を駆動する機能である。ゲート駆動機能311は、信号入力ノードが絶縁機能315経由でゲート駆動信号発生機能319に接続され、電源入力ノードが容量素子C21の一端及びゲート駆動電源機能321に接続され、基準入力ノードが容量素子C21の他端及びノードN13に接続される。
【0117】
ゲート駆動機能312は、サイリスタSCR12を駆動する機能である。ゲート駆動機能312は、信号入力ノードが絶縁機能316経由でゲート駆動信号発生機能319に接続され、電源入力ノードが容量素子C22の一端及びゲート駆動電源機能322に接続され、基準入力ノードが容量素子C22の他端及びノードN12に接続される。
【0118】
ゲート駆動機能313は、スイッチング素子SW11を駆動する機能である。ゲート駆動機能313は、信号入力ノードが絶縁機能317経由でゲート駆動信号発生機能319に接続され、電源入力ノードが容量素子C23の一端及びゲート駆動電源機能323に接続され、基準入力ノードが容量素子C23の他端及びノードN11に接続される。
【0119】
ゲート駆動機能314は、スイッチング素子SW12を駆動する機能である。ゲート駆動機能314は、信号入力ノードが絶縁機能318経由でゲート駆動信号発生機能319に接続され、電源入力ノードが容量素子C24の一端及びゲート駆動電源機能324に接続され、基準入力ノードが容量素子C24の他端及びノードN14に接続される。
【0120】
ゲート駆動電源機能321は、ゲート駆動電圧VSCR11を発生させてゲート駆動機能311へ供給する。ゲート駆動電圧VSCR11は、サイリスタSCR11をオンさせるゲート電圧VH11に対応し、例えば
H11≒VSCR11
である。ゲート駆動電源機能321は、電圧Vcont1を用いてゲート駆動電圧VSCR11(例えば、5V)を生成し、ゲート駆動電圧VSCR11を容量素子C21に蓄積する。
【0121】
ゲート駆動機能311は、容量素子C21に蓄積されたゲート駆動電圧VSCR11を電源入力ノードで受ける。ゲート駆動機能311は、ゲート駆動信号GDSCR11に応じて、数式9,10に示すアクティブレベルVa11、ノンアクティブレベルVna11の制御信号CSSCR11を生成してサイリスタSCR11のゲートに供給できる。すなわち、制御回路310は、サイリスタSCR11のゲート電圧をカソード基準でVH11又はVL11に維持されるように制御できる。
【0122】
ゲート駆動電源機能322は、ゲート駆動電圧VSCR12を発生させてゲート駆動機能312へ供給する。ゲート駆動電圧VSCR12は、サイリスタSCR12をオンさせるゲート電圧VH12に対応し、例えば
H12≒VSCR12
である。ゲート駆動電源機能322は、電圧Vcont1を用いてゲート駆動電圧VSCR12(例えば、5V)を生成し、ゲート駆動電圧VSCR12を容量素子C22に蓄積する。
【0123】
ゲート駆動機能312は、容量素子C22に蓄積されたゲート駆動電圧VSCR12を電源入力ノードで受ける。ゲート駆動機能312は、ゲート駆動信号GDSCR12に応じて、数式11,12に示すアクティブレベルVa12、ノンアクティブレベルVna12の制御信号CSSCR12を生成してサイリスタSCR12のゲートに供給できる。すなわち、制御回路310は、サイリスタSCR12のゲート電圧をカソード基準でVH12又はVL12に維持されるように制御できる。
【0124】
ゲート駆動電源機能323は、ゲート駆動電圧VSW11を発生させてゲート駆動機能313へ供給する。ゲート駆動電圧VSW11は、スイッチング素子SW11をオンさせるゲート電圧VH13に対応し、例えば
H13≒VSW11
である。ゲート駆動電源機能323は、電圧Vcont2を用いてゲート駆動電圧VSW11(例えば、15V)を生成し、ゲート駆動電圧VSW11を容量素子C23に蓄積する。
【0125】
ゲート駆動機能313は、容量素子C23に蓄積されたゲート駆動電圧VSW11を電源入力ノードで受ける。ゲート駆動機能313は、ゲート駆動信号GDSW11に応じて、数式13,14に示すアクティブレベルVa13、ノンアクティブレベルVna13の制御信号CSSW11を生成してスイッチング素子SW11のゲートに供給できる。すなわち、制御回路310は、スイッチング素子SW11のゲート電圧をソース基準でVH13又はVL13に維持されるように制御できる。
【0126】
ゲート駆動電源機能324は、ゲート駆動電圧VSW12を発生させてゲート駆動機能314へ供給する。ゲート駆動電圧VSW12は、スイッチング素子SW12をオンさせるゲート電圧VH14に対応し、例えば
H14≒VSW12
である。ゲート駆動電源機能324は、電圧Vcont2を用いてゲート駆動電圧VSW12(例えば、15V)を生成し、ゲート駆動電圧VSW12を容量素子C24に蓄積する。
【0127】
ゲート駆動機能314は、容量素子C24に蓄積されたゲート駆動電圧VSW12を電源入力ノードで受ける。ゲート駆動機能314は、ゲート駆動信号GDSW12に応じて、数式15,16に示すアクティブレベルVa14、ノンアクティブレベルVna14の制御信号CSSW12を生成してスイッチング素子SW12のゲートに供給できる。すなわち、制御回路310は、スイッチング素子SW12のゲート電圧をソース基準でVH14又はVL14に維持されるように制御できる。
【0128】
また、スイッチング電源装置301の起動時に動作が、図8及び図9に示すように、次の点で第1の実施形態と異なる。図8は、スイッチング電源装置301の起動時の動作を示す波形図である。図9は、スイッチング電源装置301の起動時の動作を示す図である。
【0129】
タイミングt21において、入力ノードNin1,Nin2への入力電圧Vinの供給が開始される。
【0130】
タイミングt21~t22の期間T11において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、少なくともサイリスタSCR12及びスイッチング素子SW12のゲート電圧を、それぞれ、VL12,VL14に維持する。サイリスタSCR11及びスイッチング素子SW11のゲート電圧はそれぞれ、VL11,VL13もしくはVH11,VH13であってもよい。制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth1と比較する。制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1より大きいことに応じて、少なくともサイリスタSCR12及びスイッチング素子SW12のゲート電圧を、それぞれ、VL12,VL14に維持する。サイリスタSCR11及びスイッチング素子SW11のゲート電圧はそれぞれ、VL11,VL13もしくはVH11,VH13であってもよい。これにより、期間T11において、図9(a)に示すように、少なくともサイリスタSCR12及びスイッチング素子SW12が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧Voutが初期値V0(≒0V)に維持される。
【0131】
タイミングt22において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1になったことに応じて、サイリスタSCR12のゲート電圧をVL12からVH12へ変更する。なお、この時、回路効率向上の観点から、スイッチング素子SW11のゲート電圧をVL13からVH13へ変更する方が好ましい。スイッチング素子SW12のゲート電圧はVL14に維持し、サイリスタSCR11のゲート電圧は、VL11であっても、VH11であってもよい。
【0132】
タイミングt22~t23の期間T12において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth1以下であることに応じて、スイッチング素子SW12のゲート電圧をVL14に維持しながら、サイリスタSCR12及びスイッチング素子SW11のゲート電圧を、それぞれ、VH12,VH13に維持する。これにより、期間T12において、図9(b)に示すように、交流電源PS→誘導素子L11→スイッチング素子SW11→容量素子C1→サイリスタSCR12→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV0からV1へ上昇する。なお、スイッチング素子SW11がNチャネルMOSFETの場合は、第1の実施形態で記載したように寄生ダイオードが備わっているため、ゲート電圧をVL13に維持してもよい。なぜなら、寄生ダイオードを通って電流が流れるためである。
【0133】
タイミングt23~t24の期間T21において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が増加傾向にあることに応じて、少なくともサイリスタSCR11及びスイッチング素子SW11のゲート電圧を、それぞれ、VL11,VL13に維持する。サイリスタSCR12及びスイッチング素子SW12のゲート電圧はそれぞれ、VL12,VL14もしくはVH12,VH14であってもよい。制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が減少傾向になったら、入力電圧Vinの振幅絶対値を閾値Vth2と比較する。制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2より大きいことに応じて、サイリスタSCR11及びスイッチング素子SW11のゲート電圧を、それぞれ、VL11,L13に維持する。これにより、期間T21において、図9(c)に示すように、サイリスタSCR11、スイッチング素子SW11が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1に維持される。サイリスタSCR12及びスイッチング素子SW12のゲート電圧はそれぞれ、VL12,VL14もしくはVH12,VH14であってもよい。
【0134】
タイミングt24において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2になったことに応じて、サイリスタSCR11のゲート電圧をVL11からVH11へ変更する。なお、この時、回路効率向上の観点から、スイッチング素子SW12のゲート電圧をVL14からVH14へ変更する方が好ましい。スイッチング素子SW11のゲート電圧はVL13に維持し、サイリスタSCR12のゲート電圧は、VL12であっても、VH12であってもよい。
【0135】
タイミングt24~t25の期間T22において、制御回路310は、入力電圧Vinの振幅絶対値が閾値Vth2以下であることに応じて、少なくともサイリスタSCR11及びスイッチング素子SW12のゲート電圧を、それぞれ、VH11,VH14に維持する。これにより、期間T22において、図9(d)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR11→容量素子C1→スイッチング素子SW12→誘導素子L11→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1からV2へ上昇する。なお、スイッチング素子SW12がNチャネルMOSFETの場合は、第1の実施形態で記載したように寄生ダイオードが備わっているため、ゲート電圧をVL14に維持してもよい。なぜなら、寄生ダイオードを通って電流が流れるためである。
【0136】
タイミングt25~t26の期間T31において、タイミングt21~t22の期間T11と同様の動作が行われる。タイミングt26~t27の期間T32において、タイミングt22~t23の期間T12と同様の動作が行われる。タイミングt27~t28の期間T41において、タイミングt23~t24の期間T21と同様の動作が行われる。タイミングt28~t29の期間T42において、タイミングt24~t25の期間T22と同様の動作が行われる。
【0137】
タイミングt29において、制御回路310は、出力電圧Voutが所望の電圧V4に達したことに応じて、起動時の動作を終了し、定常時の動作に切り替える。定常時の動作は、実質的に、第1の実施形態と同様の動作が行われ得る。
【0138】
すなわち、奇数番目の半周期T内であることに応じて、制御回路310は、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12のゲート電圧を、それぞれ、VL11,VH12に維持する。また、制御回路310は、スイッチング素子SW12のゲート電圧についてVH14とVL14を交互にスイッチングし、スイッチング素子SW11のゲート電圧についてVL13とVH13を交互にスイッチングする。なお、スイッチング素子SW12とスイッチング素子SW11のゲート電圧が同時にVH14およびVH13にはならない。これにより、サイリスタSCR11がオフ状態に維持され、サイリスタSCR12がオン状態に維持され、スイッチング素子SW12がオンオフし、スイッチング素子SW11がオフオンすることで、図10(a)と図10(b)の動作を交互に繰り返す。すなわち、図10(a)に示すように、交流電源PS→誘導素子L11→スイッチング素子SW12→サイリスタSCR12→交流電源PSの経路で電流が流れ、誘導素子L11に電磁エネルギーが蓄積される。続いて、図10(b)に示すように、交流電源PS→誘導素子L11→スイッチング素子SW11→容量素子C1→サイリスタSCR12→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電流が注入されて出力電圧Voutが所定の値に近づく。なお、負荷回路LDが接続されているため、スイッチング素子SW12およびスイッチング素子SW11のオンオフに関わらず、容量素子C1から負荷LDに電流は供給されるため、出力電圧Voutは常に緩やかに減少している。したがって、詳細に記述すれば、容量素子C1の電圧Voutはスイッチング素子SW12がオンしている期間は緩やかに減少し、スイッチング素子SW12がオフしている期間は急激に増大する、という動作を繰り返す。
【0139】
偶数番目の半周期T内であることに応じて、制御回路310は、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12のゲート電圧を、それぞれ、VH11,VL12に維持する。また、制御回路310は、スイッチング素子SW11のゲート電圧について、VH13とVL13を交互にスイッチングすると同時に、スイッチング素子SW12のゲート電圧について、VL14とVH14を交互にスイッチングする。なお、スイッチング素子SW11とスイッチング素子SW12のゲート電圧が同時にVH13およびVH14にはならない。これにより、サイリスタSCR12がオフ状態に維持され、サイリスタSCR11がオン状態に維持され、スイッチング素子SW11がオンオフし、スイッチング素子SW12がオフオンすることで、図10(c)と図10(d)の動作を交互に繰り返す。すなわち、図10(c)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR11→スイッチング素子SW11→誘導素子L11→交流電源PSの経路で電流が流れ、誘導素子L11に電磁エネルギーが蓄積される。続いて、図10(d)に示すように、交流電源PS→サイリスタSCR11→容量素子C1→スイッチング素子SW12→誘導素子L11→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電流が注入されて出力電圧Voutが所定の値に近づく。なお、負荷回路LDが接続されているため、スイッチング素子SW11のオンオフに関わらず、容量素子C1から負荷LDに電流は供給されるため、出力電圧Voutは常に緩やかに減少している。したがって、詳細に記述すれば、容量素子C1の電圧Voutはスイッチング素子SW11がオンしている期間は緩やかに減少し、スイッチング素子SW11がオフしている期間は急激に増大する、という動作を繰り返す。以降、タイミングt11~t12の期間において、奇数番目の半周期T7内の動作は半周囲T内の動作と同じであり、タイミングt12~t13の期間において、偶数番目の半周期T8内の動作は半周囲T6内の動作と同じである。
【0140】
以上のように、第2の実施形態では、スイッチング電源装置301において、起動時に、検知される入力電圧Vinそのものを用いた制御を行い、その振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタSCR11,SCR12をオンさせる。これにより、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できる。
【0141】
また、第2の実施形態では、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できるので、その制御を行うための制御回路310の構成を簡素化できる。
【0142】
なお、スイッチング電源装置301は、ブリッジレス型であるため、電流経路が通るダイオード、サイリスタ、トランジスタの素子数を、第1の実施形態のスイッチング電源装置1に比べて少なくすることができる。例えば、図3(b)、図3(d)では、電流経路が通る素子数が3個であるのに対して、図9(b)、図9(d)では、電流経路が通る素子数が2個で済む。これにより、スイッチング電源装置301は、素子による電力損失を低減できる。
【0143】
また、第2の実施形態の第1の変形例として、スイッチング電源装置401は、図11に示すように、複数のゲート駆動機能に対してゲート駆動電源機能が共通化された構成であってもよい。図11は、第2の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置401の構成を示す図である。例えば、ゲート駆動電源機能321とゲート駆動機能311との間にダイオードD21を追加し、ゲート駆動電源機能323とゲート駆動機能313との間にダイオードD22を追加する。ダイオードD21は、カソードがゲート駆動機能311に接続され、アノードがゲート駆動電源機能321及びゲート駆動機能312に接続される。すなわち、制御回路410において、ゲート駆動電源機能321は、ダイオードD21を介してゲート駆動機能311に接続され、ダイオードD21を介さずにゲート駆動機能312に接続される。ダイオードD22は、カソードがゲート駆動機能313に接続され、アノードがゲート駆動電源機能323及びゲート駆動機能314に接続される。すなわち、制御回路410において、ゲート駆動電源機能323は、ダイオードD22を介してゲート駆動機能313に接続され、ダイオードD22を介さずにゲート駆動機能314に接続される。ダイオードD21,D22は、それぞれ、容量素子C21,C23の一端の電位がゲート駆動電源機能321,323からゲート駆動機能へ供給されるゲート駆動電圧より高くなった場合に電流が容量素子C21,C23の一端からゲート駆動電源機能321,323側へ逆流することを防止できる。すなわち、ゲート駆動機能311,312に対してゲート駆動電源機能321を共通化でき、ゲート駆動機能313,314に対してゲート駆動電源機能323を共通化できる。これにより、ゲート駆動電源機能322,324(図18参照)を省略できるので、制御回路410の構成をさらに簡素化できる。
【0144】
また、第2の実施形態の第2の変形例として、スイッチング電源装置501は、図12に示すように、絶縁機能318(図7参照)が省略された構成であってもよい。図12は、第2の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置501の構成を示す図である。例えば、図7に示す構成に対して、ノードN14をゲート駆動機能314とゲート駆動信号発生機能319とに電気的に接続するラインを追加し、そのラインに容量素子C24の他端を接続する。これにより、ゲート駆動信号発生機能319は、スイッチング素子SW12のソース基準でゲート駆動信号GDSW12を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能314とで信号の基準をそろえることができる。このため、図12に示すように、ゲート駆動機能314をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能314へ直接的にゲート駆動信号GDSW12を供給できる。すなわち、絶縁機能318(図18参照)を省略できるので、制御回路510の構成をさらに簡素化できる。
【0145】
また、第2の実施形態の第3の変形例として、スイッチング電源装置601は、図13に示すように、絶縁機能318(図11参照)が省略された構成であってもよい。図13は、第2の実施形態の第3の変形例に係るスイッチング電源装置601の構成を示す図である。例えば、図11に示す構成に対して、ノードN14をゲート駆動機能314とゲート駆動信号発生機能319とに電気的に接続するラインを追加し、そのラインに容量素子C24の他端を接続する。これにより、ゲート駆動信号発生機能319は、スイッチング素子SW12のソース基準でゲート駆動信号GDSW12を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能314とで信号の基準をそろえることができる。このため、図13に示すように、ゲート駆動機能314をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能314へ直接的にゲート駆動信号GDSW12を供給できる。すなわち、絶縁機能318(図11参照)を省略できるので、制御回路610の構成をさらに簡素化できる。
【0146】
また、第2の実施形態の第4の変形例として、スイッチング電源装置701は、図14に示すように、ノイズフィルタ220をさらに有していてもよい。図14は、第2の実施形態の第4の変形例に係るスイッチング電源装置701の構成を示す図であり、簡略化のため制御回路の図示を省略している。例えば、ノイズフィルタ220は、入力ノードNin1及び入力ノードNin2と誘導素子L11、サイリスタSCR11、サイリスタSCR12、スイッチング素子SW11及びスイッチング素子SW12との間に電気的に接続される。ノイズフィルタ220は、コモンモードコイルL2,L3、ライン間コンデンサC2,C3、ライン・アース間コンデンサC4,C5,C6,C7を含む。
【0147】
コモンモードコイルL2は、一端が入力ノードNin1に接続され、他端が誘導素子L11を介してスイッチング素子SW11及びスイッチング素子SW12の間のノードに接続される。コモンモードコイルL3は、一端が入力ノードNin2に接続され、他端がサイリスタSCR11及びサイリスタSCR12の間のノードに接続される。コモンモードコイルL2,L3は、コアに互いに同相巻きに構成され、コイルに流れる電流の磁束を互いに打ち消し合いコモンモードノイズを減衰させ得る。
【0148】
ライン間コンデンサC2,C3は、それぞれ、一端が入力ノードNin1と誘導素子L11とを接続するラインに接続され、他端が入力ノードNin2とサイリスタSCR11,SCR12とを接続するラインに接続される。ライン間コンデンサC2,C3は、ノイズをライン間でバイパスさせ、ノーマルモードノイズを減衰させ得る。
【0149】
ライン・アース間コンデンサC4,C5は、それぞれ、一端が入力ノードNin1と誘導素子L11とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC4,C5は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0150】
ライン・アース間コンデンサC6,C7は、それぞれ、一端が入力ノードNin2とサイリスタSCR11,SCR12とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC6,C7は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0151】
このように、スイッチング電源装置701は、ノイズフィルタ220をさらに有することで、ノイズの外部への放射を抑制でき、外部からのノイズの影響を低減できる。
【0152】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかるスイッチング電源装置について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0153】
第2の実施形態では、複数のサイリスタ及び複数のスイッチング素子のゲート電圧の基準となるノードが互いに異なる構成を例示しているが、第3の実施形態では、複数のサイリスタ及び複数のスイッチング素子のゲート電圧の基準となるノードが共通化される構成を例示する。
【0154】
具体的には、スイッチング電源装置801は、図15に示すように、誘導素子L11、サイリスタSCR11,SCR12、スイッチング素子SW11,SW12、制御回路310(図7参照)に代えて、誘導素子L21、サイリスタSCR21,SCR22、スイッチング素子SW21,SW22、制御回路810を有する。
【0155】
誘導素子L21は、入力ノードNin1とノードN21との間に電気的に接続される。誘導素子L21は、一端が入力ノードNin1に接続され、他端がノードN21に接続される。
【0156】
サイリスタSCR21は、ノードN21と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。サイリスタSCR21は、カソードがノードN21に接続され、アノードが出力ノードNout2に接続され、ゲートが制御回路810に接続される。
【0157】
サイリスタSCR22は、入力ノードNin2と出力ノードNout2との間に電気的に接続される。サイリスタSCR22は、カソードがノードN22を介して入力ノードNin2に接続され、アノードが出力ノードNout2に接続され、ゲートが制御回路810に接続される。
【0158】
スイッチング素子SW21は、ノードN21と出力ノードNout1との間に電気的に接続される。スイッチング素子SW21は、例えばNチャネルMOSFET型のトランジスタであり、ソースがノードN21に接続され、ドレインが出力ノードNout1に接続され、ゲートが制御回路810に接続される。
【0159】
スイッチング素子SW22は、入力ノードNin2と出力ノードNout1との間に電気的に接続される。スイッチング素子SW22は、例えばNチャネルMOSFET型のトランジスタであり、ソースがノードN22を介して入力ノードNin2に接続され、ドレインが出力ノードNout1に接続され、ゲートが制御回路810に接続される。
【0160】
図15に示されるように、サイリスタSCR21及びスイッチング素子SW21は、ゲート電圧の基準となるノードが共通化される。サイリスタSCR21のカソードとスイッチング素子SW21のソースとは、いずれも、ノードN21に接続される。サイリスタSCR22及びスイッチング素子SW22は、ゲート電圧の基準となるノードが共通化される。サイリスタSCR22のカソードとスイッチング素子SW22のソースとは、いずれも、ノードN22に接続される。
【0161】
これに応じて、サイリスタSCR21の制御信号の基準とスイッチング素子SW21の制御信号の基準とが共通化でき、サイリスタSCR22の制御信号の基準とスイッチング素子SW22の制御信号の基準とが共通化できることから、制御回路810の構成が簡略化され得る。制御回路810は、制御回路310(図7参照)に対して、ゲート駆動電源機能321、ゲート駆動電源機能322、容量素子C21、容量素子C22が省略される。容量素子C23は、一端がゲート駆動機能311の電源ノードとゲート駆動機能313の電源ノードとに共通接続され、他端がゲート駆動機能311の基準ノードとゲート駆動機能313の基準ノードとに共通接続される。容量素子C23は、一端がゲート駆動電源機能323に接続され、他端がノードN21に接続される。容量素子C24は、一端がゲート駆動機能312の電源ノードとゲート駆動機能314の電源ノードとに共通接続され、他端がゲート駆動機能312の基準ノードとゲート駆動機能314の基準ノードとに共通接続される。容量素子C24は、一端がゲート駆動電源機能324に接続され、他端がノードN22に接続される。
【0162】
制御回路810は、電圧検知部2で検知された入力電圧Vinと電圧検知部3で検知された出力電圧Voutとに応じて、サイリスタSCR21、サイリスタSCR22、スイッチング素子SW21、スイッチング素子SW22を制御する点は、第2の実施形態と同様である。制御回路810による制御の内容も、第2の実施形態と同様である。
【0163】
また、スイッチング電源装置801の起動時に動作が、図16及び図17に示すように、第2の実施形態と同様である。図16は、スイッチング電源装置801の起動時の動作を示す波形図である。図17は、スイッチング電源装置801の起動時の動作を示す図である。
【0164】
例えば、タイミングt31~t32の期間T11において、タイミングt21~t22(図8参照)の期間T11と同様の動作が行われる。これにより、期間T11において、図17(a)に示すように、少なくともサイリスタSCR22、スイッチング素子SW22が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧Voutが初期値V0(≒0V)に維持される。なお、サイリスタSCR21およびスイッチング素子SW21は、図17(a)ではオフ状態を示しているが、オンであってもよい。
【0165】
タイミングt32~t33の期間T12において、タイミングt22~t23の期間T12と同様の動作が行われる。すなわち、サイリスタSCR22がオン状態に維持され、スイッチング素子SW22はオフ状態に維持される。これにより、期間T12において、図17(b)に示すように、交流電源PS→誘導素子L21→スイッチング素子SW21→容量素子C1→サイリスタSCR22→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV0からV1へ上昇する。なお、スイッチング素子SW21は回路効率の観点からオン状態に維持することが望ましい。
【0166】
タイミングt33~t34の期間T21において、タイミングt23~t24の期間T21と同様の動作が行われる。これにより、期間T21において、図17(c)に示すように、少なくともサイリスタSCR21、スイッチング素子SW21が、それぞれ、オフ状態に維持され、交流電源PSから電流は流れず、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1に維持される。なお、サイリスタSCR22およびスイッチング素子SW22は、図17(c)ではオフ状態を示しているが、オンであってもよい。
【0167】
タイミングt34~t35の期間T22において、タイミングt24~t25の期間T22と同様の動作が行われる。すなわち、サイリスタSCR21がオン状態に、スイッチング素子SW21はオフ状態に維持される。これにより、期間T22において、図17(d)に示すように、交流電源PS→スイッチング素子SW22→容量素子C1→サイリスタSCR21→誘導素子L21→交流電源PSの経路で電流が流れ、容量素子C1に電荷が蓄積され、容量素子C1で生成される出力電圧VoutがV1からV2へ上昇する。なお、スイッチング素子SW22は回路効率の観点からオン状態に維持することが望ましい。
【0168】
タイミングt35~t36の期間T31において、タイミングt31~t32の期間T11と同様の動作が行われる。タイミングt36~t37の期間T32において、タイミングt32~t33の期間T12と同様の動作が行われる。タイミングt37~t38の期間T41において、タイミングt33~t34の期間T21と同様の動作が行われる。タイミングt38~t39の期間T42において、タイミングt34~t35の期間T22と同様の動作が行われる。
【0169】
タイミングt39において、制御回路810は、出力電圧Voutが所望の電圧V4に達したことに応じて、起動時の動作を終了し、定常時の動作に切り替える。定常時の動作は、実質的に、第1の実施形態と同様の動作が行われ得る。
【0170】
以上のように、第3の実施形態では、スイッチング電源装置801において、起動時に、検知される入力電圧Vinそのものを用いた制御を行い、その振幅絶対値が閾値より小さい期間に選択的にサイリスタSCR21,SCR22をオンさせる。これにより、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できる。
【0171】
また、第3の実施形態では、入力電圧の位相角を計算するなど複雑な制御を行う場合に比べて、起動時における突入電流を抑制するための制御を簡易化できるので、その制御を行うための制御回路810の構成を簡素化できる。
【0172】
なお、スイッチング電源装置801は、ブリッジレス型であるため、電流経路が通るダイオード、サイリスタ、トランジスタの素子数を、第1の実施形態のスイッチング電源装置1に比べて少なくすることができる。例えば、図3(b)、図3(d)では、電流経路が通る素子数が3個であるのに対して、図17(b)、図17(d)では、電流経路が通る素子数が2個で済む。これにより、スイッチング電源装置801は、素子による電力損失を低減できる。
【0173】
また、第3の実施形態の第1の変形例として、スイッチング電源装置901は、図18に示すように、複数のゲート駆動機能に対してゲート駆動電源機能が共通化された構成であってもよい。図18は、第3の実施形態の第1の変形例に係るスイッチング電源装置901の構成を示す図である。例えば、ゲート駆動電源機能323とゲート駆動機能311,313との間にダイオードD31を追加する。ダイオードD31は、カソードがゲート駆動機能311,313に接続され、アノードがゲート駆動電源機能323及びゲート駆動機能312,314に接続される。すなわち、制御回路910において、ゲート駆動電源機能323は、ダイオードD31を介してゲート駆動機能311,313に接続され、ダイオードD31を介さずにゲート駆動機能312,314に接続される。ダイオードD31は、容量素子C23の一端の電位がゲート駆動電源機能323からゲート駆動機能312,314へ供給されるゲート駆動電圧より高くなった場合に電流が容量素子C23の一端からゲート駆動電源機能323側へ逆流することを防止できる。すなわち、ゲート駆動電源機能324(図15参照)を省略できるので、制御回路910の構成をさらに簡素化できる。
【0174】
また、第3の実施形態の第2の変形例として、スイッチング電源装置1001は、図19に示すように、絶縁機能316,318(図15参照)が省略された構成であってもよい。図19は、第3の実施形態の第2の変形例に係るスイッチング電源装置1001の構成を示す図である。例えば、図15に示す構成に対して、ノードN22をゲート駆動機能312,314とゲート駆動信号発生機能319とに電気的に接続するラインを追加し、そのラインに容量素子C24の他端を接続する。これにより、ゲート駆動信号発生機能319は、サイリスタSCR22のカソード基準でゲート駆動信号GDSCR22を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能312とで信号の基準をそろえることができる。このため、図19に示すように、ゲート駆動機能312をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能312へ直接的にゲート駆動信号GDSCR22を供給できる。同様に、ゲート駆動信号発生機能319は、スイッチング素子SW22のソース基準でゲート駆動信号GDSW22を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能314とで信号の基準をそろえることができる。このため、図19に示すように、ゲート駆動機能314をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能314へ直接的にゲート駆動信号GDSW12を供給できる。すなわち、絶縁機能316,318(図15参照)を省略できるので、制御回路1010の構成をさらに簡素化できる。
【0175】
また、第3の実施形態の第3の変形例として、スイッチング電源装置1101は、図20に示すように、絶縁機能316,318(図18参照)が省略された構成であってもよい。図20は、第3の実施形態の第3の変形例に係るスイッチング電源装置1101の構成を示す図である。例えば、図18に示す構成に対して、ノードN22をゲート駆動機能312,314とゲート駆動信号発生機能319とに電気的に接続するラインを追加し、そのラインに容量素子C24の他端を接続する。これにより、ゲート駆動信号発生機能319は、サイリスタSCR22のカソード基準でゲート駆動信号GDSCR22を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能312とで信号の基準をそろえることができる。このため、図20に示すように、ゲート駆動機能312をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能312へ直接的にゲート駆動信号GDSCR22を供給できる。同様に、ゲート駆動信号発生機能319は、スイッチング素子SW22のソース基準でゲート駆動信号GDSW22を生成でき、ゲート駆動信号発生機能319とゲート駆動機能314とで信号の基準をそろえることができる。このため、図20に示すように、ゲート駆動機能314をゲート駆動信号発生機能319に電気的に接続でき、ゲート駆動信号発生機能319からゲート駆動機能314へ直接的にゲート駆動信号GDSW22を供給できる。すなわち、絶縁機能316,318(図18参照)を省略できるので、制御回路1110の構成をさらに簡素化できる。
【0176】
また、第3の実施形態の第4の変形例として、スイッチング電源装置1201は、図21に示すように、ノイズフィルタ220をさらに有していてもよい。図21は、第3の実施形態の第4の変形例に係るスイッチング電源装置1201の構成を示す図であり、簡略化のため制御回路の図示を省略している。例えば、ノイズフィルタ220は、入力ノードNin1及び入力ノードNin2と誘導素子L21、スイッチング素子SW21及びスイッチング素子SW22との間に電気的に接続される。ノイズフィルタ220は、コモンモードコイルL2,L3、ライン間コンデンサC2,C3、ライン・アース間コンデンサC4,C5,C6,C7を含む。
【0177】
コモンモードコイルL2は、一端が入力ノードNin1に接続され、他端が誘導素子L21を介してスイッチング素子SW21に接続される。コモンモードコイルL3は、一端が入力ノードNin2に接続され、他端がスイッチング素子SW22に接続される。コモンモードコイルL2,L3は、コアに互いに同相巻きに構成され、コイルに流れる電流の磁束を互いに打ち消し合いコモンモードノイズを減衰させ得る。
【0178】
ライン間コンデンサC2,C3は、それぞれ、一端が入力ノードNin1と誘導素子L21とを接続するラインに接続され、他端が入力ノードNin2とスイッチング素子SW22とを接続するラインに接続される。ライン間コンデンサC2,C3は、ノイズをライン間でバイパスさせ、ノーマルモードノイズを減衰させ得る。
【0179】
ライン・アース間コンデンサC4,C5は、それぞれ、一端が入力ノードNin1と誘導素子L21とを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC4,C5は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0180】
ライン・アース間コンデンサC6,C7は、それぞれ、一端が入力ノードNin2と水チング素子SW22のソースとを接続するラインに接続され、他端がグランド電位に接続される。ライン・アース間コンデンサC6,C7は、ノイズをグランド電位にバイパスさせ、コモンモードノイズを減衰させ得る。
【0181】
このように、スイッチング電源装置1201は、ノイズフィルタ220をさらに有することで、ノイズの外部への放射を抑制でき、外部からのノイズの影響を低減できる。
【0182】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0183】
1,101,201,301,401,501,601,701,801,901,1001,1101,1201 スイッチング電源装置
2,3 電圧検知部
10,110,310,410,510,610,810,910,1010,1110 制御回路
220 ノイズフィルタ
11,12,13,311,312,313,314 ゲート駆動機能
14,15,321,322,323,324 ゲート駆動電源機能
16,319 ゲート駆動信号発生機能
17,18,19,315,316,317,318 絶縁機能
C1,C11,C12,C21,C22,C23,C24 容量素子
D1,D2,D3,D21,D22,D31 ダイオード
L1,L11,L21 誘導素子
SCR1,SCR2,SCR11,SCR12,SCR21,SCR22 サイリスタ
SW1,SW11,SW12,SW21,SW22 スイッチング素子
図1
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