(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】焼成してなるパン類のボリューム向上剤、焼成してなるパン類の柔らかさ向上剤、焼成してなるパン類のパン生地の製造方法及び焼成してなるパン類の製造方法
(51)【国際特許分類】
A21D 2/18 20060101AFI20240710BHJP
A21D 13/00 20170101ALI20240710BHJP
A23L 29/30 20160101ALI20240710BHJP
【FI】
A21D2/18
A21D13/00
A23L29/30
(21)【出願番号】P 2021071584
(22)【出願日】2021-04-21
(62)【分割の表示】P 2019183001の分割
【原出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-07-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226415
【氏名又は名称】物産フードサイエンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 雄一
(72)【発明者】
【氏名】安井 忍
(72)【発明者】
【氏名】栃尾 巧
【審査官】村松 宏紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-144634(JP,A)
【文献】特開平05-000041(JP,A)
【文献】特開昭61-187740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A21D、A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する、
焼成してなるパン類のボリューム向上剤;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%(ただし、単糖が40~50質量%、二糖が40~50質量%、三糖が8~13質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~5質量%の糖組成の還元水飴、及び単糖が37~43質量%、二糖が26~32質量%、三糖が15~21質量%、四糖が6~10質量%、五糖以上が4~8質量%の糖組成の還元水飴を除く)。
【請求項2】
前記還元水飴は、五糖以上が50質量%以上の糖組成の還元水飴である、
ことを特徴とする請求項1に記載の
焼成してなるパン類のボリューム向上剤。
【請求項3】
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する、
焼成してなるパン類の柔らかさ向上剤;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%(ただし、単糖が40~50質量%、二糖が40~50質量%、三糖が8~13質量%、四糖が1~5質量%、五糖以上が1~5質量%の糖組成の還元水飴、及び単糖が37~43質量%、二糖が26~32質量%、三糖が15~21質量%、四糖が6~10質量%、五糖以上が4~8質量%の糖組成の還元水飴を除く)。
【請求項4】
前記還元水飴は、五糖以上が50質量%以上の糖組成の還元水飴である、
ことを特徴とする請求項3に記載の
焼成してなるパン類の柔らかさ向上剤。
【請求項5】
パン生地を組成する材料に、
焼成してなるパン類のボリュームを向上するために、請求項1
または2に記載の剤を混合する工程を含む、
焼成してなるパン類の
パン生地の製造方法。
【請求項6】
パン生地を組成する材料に、
焼成してなるパン類の柔らかさを向上するために、請求項
3または4に記載の剤を混合する工程を含む、
焼成してなるパン類の
パン生地の製造方法。
【請求項7】
請求項1
または2に記載の剤を
、焼成してなるパン類のボリュームを向上するために混合させたパン生地を
焼成する工程を含む、
焼成してなるパン類の製造方法。
【請求項8】
請求項
3または4に記載の剤を
、焼成してなるパン類の柔らかさを向上するために混合させたパン生地を
焼成する工程を含む、
焼成してなるパン類の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドウ加熱食品のボリューム向上剤、ドウ伸展性向上剤、ドウ加熱食品の柔らかさ向上剤、ドウ加熱食品の食感向上剤、ドウの製造方法及びドウ加熱食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦等の穀粉を用いたドウ加熱食品においては、パン類、菓子類、パイ、ピザ、ドーナツ、饅頭等、非常に幅広い製品群が存在する。このうち、食パンをはじめとするパン類は、日本人の食生活に欠かせない食品となっており、市場規模が非常に大きいため、食品産業において極めて重要な位置を占めている。
【0003】
パンの製造には、小麦粉、食塩、糖類、脱脂粉乳等の乳製品などを原材料として使用するが、他に品質改良剤を添加して、高品質なパンを製造する試みがなされてきた。
【0004】
このような品質改良剤として、乳化剤(例えば、ジアセチル酒石酸モノグリセリド(DATEM)、モノグリセリド、ステアロイル乳酸ナトリウム(SSL)等)、脂肪物質(例えば、脂肪、レシチン等)、キャリヤー又は増量剤(例えば、澱粉、糖等)が使用される場合がある。
【0005】
しかしながら、近年、特に、化学合成された乳化剤に対する消費者の抵抗感が増しつつある。したがって、乳化剤を、消費者に好まれる食品添加物や酵素製剤をはじめとする加工助剤に置換しようとする動きが高まっている。
【0006】
また製パン自体に求められるニーズも、多様化しつつある。例えば、生地(ドウ)については、pH調整の容易性、機械耐性の向上、伸展性の向上等が求められ、一方で、焼成後のパンについては、食感及び風味の向上等が求められてきた。
【0007】
そこで、一連の製パン工程にわたって複合的な効果を奏する添加剤が提案されてきた。
【0008】
特許文献1には、食用油脂、ヘミセルラーゼ、マルトース及びα―アミラーゼを含む製パン用生地改良剤を用いることで、生地の作業性が良好でありながら、パンの老化防止による食感の維持が可能となる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、製パン用生地改良剤として、複数の物質を組み合わせて使用することから、製パンのコストが高くなるという難点を有していた。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、化学合成された乳化剤等を用いることなく低コストで効果的にパン類のボリュームを向上させる剤、パン類のドウの伸展性を向上させる剤、パン類の柔らかさを向上させる剤及びパン類の食感を向上させる剤、並びにパン類のドウの製造方法及びパン類の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るパン類のボリューム向上剤は、
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0013】
本発明の第2の観点に係るパン類のドウ伸展性向上剤は、
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0014】
本発明の第3の観点に係るパン類の柔らかさ向上剤は、
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0015】
本発明の第4の観点に係るパン類の食感向上剤は、
下記の糖組成の還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0016】
本発明の第5の観点に係るパン類のドウの製造方法は、
ドウを組成する材料に、本発明の第1乃至4のいずれか1つの観点に係る剤を混合する工程を含む。
【0017】
本発明の第6の観点に係るパン類の製造方法は、本発明の第1乃至4のいずれか1つの観点に係る剤を含むドウを加熱する工程を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、化学合成された乳化剤等を用いることなく低コストで効果的にパン類のボリュームを向上させる剤、パン類のドウの伸展性を向上させる剤、パン類の柔らかさを向上させる剤及びパン類の食感を向上させる剤、並びにパン類のドウの製造方法及びパン類の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施例の食パンのボリューム向上効果を検証したグラフ図である。
【
図2】本実施例のパン生地の伸展性向上効果を検証したグラフ図である。
【
図3】本実施例の食パンの柔らかさ向上効果を検証したグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明によるドウ加熱食品のボリューム向上剤について詳細に説明する。
【0021】
本発明のドウ加熱食品のボリューム向上剤は、所定の還元水飴を有効成分として含有する。該ボリューム向上剤を用いることで、ドウ加熱食品の(加熱後の)ボリュームを向上させることができる。
【0022】
本発明で用いられる還元水飴は、下記の糖組成を有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0023】
還元水飴は、水飴を還元して得られる糖アルコールの一種である。糖アルコールは、アルデヒド基(-CHO)を持つ糖を還元し、末端をアルコール(-CH2OH)に変化させた化合物をいう。糖アルコールは、一般に、高圧下で触媒を用いて糖を還元(水素付加)することにより得られる。ここで、水飴はデンプンを酸や酵素などで糖化して得られるものであり、単糖(ブドウ糖)及び多糖(オリゴ糖、デキストリンなど)の混合物である。よって、還元水飴も、単糖の糖アルコール及び多糖(二糖、三糖又は四糖以上)の糖アルコールのうち、2種以上の糖アルコールを含む混合物である。本発明では、後述する実施例で示すように、各種の還元水飴を用いることで、食品同士の付着を抑制することができる。
【0024】
還元水飴は、糖化の程度により高糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において単糖アルコールが30~50質量%、二糖アルコールが20~50質量%、三糖以上の糖アルコールが25質量%以下)、中糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において単糖アルコールが30質量%未満かつ五糖以上の糖アルコールが50質量%未満)及び低糖化還元水飴(糖の総重量を100%とした場合において五糖以上の糖アルコールが50質量%以上)に分けられる場合があるが、本発明においては、
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%
の糖組成の還元水飴が用いられる。
【0025】
なお、本発明において、糖組成とは、糖の総質量に占める各糖の質量割合を百分率で示すものをいう。すなわち、糖の総質量を100とした場合の、各糖の質量百分率である。
【0026】
糖組成は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。すなわち、還元水や水を試料としてHPLCに供してクロマトグラムを得る。当該クロマトグラムにおいて、全ピークの面積の総和が「糖の総質量」に、各ピークの面積が「各糖の質量」に相当する。よって、試料における各糖の質量百分率は、検出された全ピークの面積の総和に対する各ピークの面積の割合として算出することができる。HPLCの条件は、定法に従って適宜設定することができるが、下記条件を例示することができる。
(HPLCの条件)
カラム:Shodex SUGAR KS-802 HQ(8.0mm ID×300mm) 2本
溶離液:高純水
流速:1.0mL/分
注入量:200μL
カラム温度:50℃
検出:示差屈折率検出器Shodex RI
【0027】
本発明において、還元水飴は、市販されているものをそのまま用いてもよく、当業者に公知の方法に従って製造して用いてもよい。還元水飴の公知の製造方法としては、原料となる水飴(原料糖)に水素を添加する還元反応を挙げることができる。
【0028】
水素添加による還元反応は、例えば、40~75質量%の原料糖水溶液を、還元触媒と併せて高圧反応器中に仕込み、反応器中の水素圧を4.9~19.6MPa、反応液温を 70~180℃として、混合攪拌しながら、水素の吸収が認められなくなるまで反応を行なえばよい。その後、還元触媒を分離し、イオン交換樹脂処理、必要であれば活性炭処理等で脱色脱塩した後、所定の濃度まで濃縮すれば、高濃度の還元水飴を作ることができる 。
【0029】
本発明で用いられる還元水飴として、ドウ加熱食品のボリューム向上効果の観点から以下の糖組成の還元水飴が好適に用いられ得る;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~50質量%、
三糖が7~16質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0030】
本明細書において、「ドウ加熱食品」の「ドウ」は、穀粉を用いた加熱食品の製造に用いられる生地である。ドウを組成する主たる材料としては、水及び穀粉などの澱粉を主体とする食材(小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉、トウモロコシ粉、ジャガイモ粉、テフ粉、ひえ粉、きな粉、大豆粉、ヒヨコ豆粉、エンドウ豆粉、緑豆粉、そば粉、アマランサス粉、片栗粉、くず粉、タピオカ粉、栗粉、どんぐり粉など)を挙げることができる 。また、ドウには、上記以外に任意の副材料を配合することができ、そのような副材料としては、例えば、イーストや油脂、甘味料や食塩などの調味料、乳製品、卵、グルテン、各種の食品添加物、生地改良剤などを挙げることができる。
【0031】
本発明において、ドウを加熱して食品を製造する際の加熱方法は特に限定されず、例えば、焼く(焼成)、蒸す(蒸製)、揚げる(油調)などの任意の方法でドウを加熱することができる。
【0032】
本明細書において、「ドウ加熱食品」は、前述のドウを加熱して得られた食品をいう。ドウ加熱食品として、これに限定されるものではないが、例えば、パン類(食パン、イギリスパン、コッペパン、バターロール、イングリッシュマフィン、クロワッサン、ピザ、ベーグル、バンズ、乾パン、パネトーネ、餡パン、ジャムパン、クリームパン、揚げパン、発酵ドーナツ等)、スポンジケーキ、ドーナツ、饅頭、パイ、カステラ、ビスケット、クッキー、クラッカー、かりんとう、ホットケーキ、バームクーヘン、スコーン、マフィン等を例示することができる。
【0033】
本発明のボリューム向上剤を、ドウを組成する材料に混合して加熱することで、ドウ加熱食品のボリュームを向上させることができる。ドウ加熱食品のボリューム向上効果の観点から、穀粉(例えば、小麦粉)100重量部に対して、該還元水飴を、0重量部超40重量部以下、好ましくは1重量部以上25重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上20重量部以下、混合することができる。
【0034】
本明細書において、ドウ加熱食品の「ボリューム向上(ボリュームを向上させる、ボリュームが向上する等)」とは、例えば、(該還元水飴を混合して)加熱した後(例えば、加熱1日後)のドウ加熱食品のボリュームが、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品のボリュームに比して、増加していることをいう。ボリュームの測定方法は、特に限定されるものではないが、目視で確認する方法、レーザー体積測定器で比容積を測定する方法等が例示される。
【0035】
次に、本発明によるドウ伸展性向上剤について詳細に説明する。
【0036】
本発明のドウ伸展性向上剤は、所定の還元水飴を有効成分として含有する。該ドウ伸展性向上剤を用いることで、ドウの伸展性を向上させる(ドウの伸びを良くする)ことができる。ドウの伸展性が向上することで、ドウ加熱食品の製造工程において、例えばドウを伸ばす際にドウがちぎれる等のリスクを低減することができる。このように、ドウの伸展性が向上することでドウの加工がしやすくなるとともに、生地へのダメージ軽減及び機械耐性向上が実現し、ドウ加熱食品を効率的に製造できる。
【0037】
本発明で用いられる還元水飴は、下記の糖組成を有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0038】
還元水飴の詳細については前述の通りである。また、ドウの詳細についても前述の通りである。
【0039】
本発明のドウ伸展性向上剤を、ドウを組成する材料に混合することで、ドウ伸展性を向上させることができる。ドウ伸展性向上効果の観点から、穀粉(例えば、小麦粉)100重量部に対して、該還元水飴を、0重量部超40重量部以下、好ましくは1重量部以上25重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上20重量部以下、混合することができる。
【0040】
本明細書において、「ドウ伸展性向上(ドウの伸展性を向上させる、ドウの伸展性が向上する等)」とは、例えば、(該還元水飴を混合して作製した)ドウの伸展性(伸び)が、該還元水飴を混合せずに作製したドウの伸展性(伸び)に比して、増加する(伸びやすくなる)ことをいう。伸展性の測定方法は、特に限定されるものではないが、目視で確認する方法、モルダー成型時における伸展方向(モルダーのローラー回転方向)の生地の長さを測定する方法等が例示される。
【0041】
次に、本発明によるドウ加熱食品の柔らかさ向上剤について詳細に説明する。
【0042】
本発明のドウ加熱食品の柔らかさ向上剤は、所定の還元水飴を有効成分として含有する。該柔らかさ向上剤を用いることで、ドウ加熱食品の加熱後の柔らかさを向上させることができる。
【0043】
本発明で用いられる還元水飴は、下記の糖組成を有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0044】
還元水飴の詳細については前述の通りである。また、ドウ加熱食品の詳細についても前述の通りである。
【0045】
本発明の柔らかさ向上剤を、ドウを組成する材料に混合して加熱することで、ドウ加熱食品の柔らかさを向上させることができる。柔らかさ向上効果の観点から、穀粉(例えば、小麦粉)100重量部に対して、該還元水飴を、0重量部超20重量部以下、好ましくは5重量部以上18重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上15重量部以下、混合することができる。
【0046】
本明細書において、ドウ加熱食品の「柔らかさ向上(柔らかさを向上させる、柔らかさが向上する等)」とは、例えば、(該還元水飴を混合して)加熱した後(例えば、加熱3日後)のドウ加熱食品の柔らかさが、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品の柔らかさに比して、増加していることをいう。柔らかさの測定方法は、特に限定されるものではないが、実際に喫食して確認する方法、短手方向に所定の厚さにドウ加熱食品をスライスし、クラムから所定長さ角の立方体(クラム立方体)を切り出し、クリープメータのプランジャーを用いて、クラム立方体を所定の圧縮速度で例えば70体積%圧縮変形するまで圧縮し、その時の最大荷重を測定する方法等が例示される。
【0047】
次に、本発明によるドウ加熱食品の食感向上剤について詳細に説明する。
【0048】
本発明のドウ加熱食品の食感向上剤は、所定の還元水飴を有効成分として含有する。該食感向上剤を用いることで、ドウ加熱食品の食感を向上させることができる。
【0049】
本発明で用いられる還元水飴は、下記の糖組成を有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0050】
還元水飴の詳細については前述の通りである。また、ドウ加熱食品の詳細についても前述の通りである。
【0051】
本発明の食感向上剤を、ドウを組成する材料に混合して加熱することで、ドウ加熱食品の食感を向上させることができる。食感向上効果の観点から、穀粉(例えば、小麦粉)100重量部に対して、該還元水飴を、0重量部超20重量部以下、好ましくは5重量部以上18重量部以下、さらに好ましくは5重量部以上15重量部以下、混合することができる。
【0052】
本明細書において、ドウ加熱食品の「食感向上」とは、より具体的には、「口溶け向上」、「弾力性向上」、「しっとり感向上」及び「歯切れ向上」をいう。「口溶け向上」は、(該還元水飴を混合して加熱した)ドウ加熱食品を喫食した場合に、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品に比して、口の中でモチャモチャした感じが続くことなく、よりスムーズに咀嚼されることをいう。「弾力性向上」は、(該還元水飴を混合して加熱した)ドウ加熱食品を喫食した場合に、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品に比して、ドウ加熱食品の歯ごたえ、噛みごたえ又はもっちり感が向上していることをいう。「しっとり感向上」は、(該還元水飴を混合して加熱した)ドウ加熱食品を喫食した場合に、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品に比して、口の中でパサパサした感じがより少ないことをいう。「歯切れ向上」とは、(該還元水飴を混合して加熱した)ドウ加熱食品を喫食した場合に、該還元水飴を混合せずに製造したドウ加熱食品に比して、歯にまとわりつく又は歯に引っ付く感じがより少ないことをいう。したがって、本発明はまた、前述の糖組成を有する還元水飴を有効成分として含有するドウ加熱食品の「口溶け向上剤」、「弾力性向上剤」、「しっとり感向上剤」及び「歯切れ向上剤」をも提供する。ドウ加熱食品の「食感向上」、「口溶け向上」、「弾力性向上」、「しっとり感向上」及び「歯切れ向上」の測定方法は、実際に喫食して官能評価により測定する方法等が例示される。
【0053】
本発明のドウ加熱食品の「口溶け向上剤」は、以下の糖組成の還元水飴が用いられる;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0054】
なお、本発明のドウ加熱食品の「口溶け向上剤」は、口溶け向上効果の観点から以下の糖組成の還元水飴が好適に用いられ得る;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~50質量%、
三糖が7~16質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0055】
本発明のドウ加熱食品の「弾力性向上剤」は、以下の糖組成の還元水飴が用いられる;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0056】
なお、本発明のドウ加熱食品の「弾力性向上剤」は、弾力性向上効果の観点から以下の糖組成の還元水飴が好適に用いられ得る;
単糖が1~10質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が5~81質量%。
【0057】
本発明のドウ加熱食品の「しっとり感向上剤」は、以下の糖組成の還元水飴が用いられる;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0058】
なお、本発明のドウ加熱食品の「しっとり感向上剤」は、しっとり感向上効果の観点から以下の糖組成の還元水飴が好適に用いられ得る;
単糖が1~10質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が5~81質量%。
【0059】
本発明のドウ加熱食品の「歯切れ向上剤」は、以下の糖組成の還元水飴が用いられる;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0060】
なお、本発明はまた、一連の製パン工程にわたって複合的な効果を奏する剤を提供することができる。例えば、本発明によるドウ伸展性向上かつドウ加熱食品のボリューム向上剤は、下記の糖組成を有する還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0061】
また、例えば、本発明によるドウ伸展性向上かつドウ加熱食品の柔らかさ向上剤は、下記の糖組成を有する還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0062】
また、例えば、本発明によるドウ伸展性向上かつドウ加熱食品の食感向上剤は、下記の糖組成を有する還元水飴を有効成分として含有する;
単糖が1~50質量%、
二糖が6~55質量%、
三糖が7~25質量%、
四糖が1~10質量%、
五糖以上が1~81質量%。
【0063】
本発明はまた、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品のボリューム及び柔らかさ向上剤、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品のボリューム及び食感向上剤、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品の柔らかさ及び食感向上剤、ドウ加熱食品のボリューム及び柔らかさ向上剤、ドウ加熱食品のボリューム及び食感向上剤、又はドウ加熱食品の柔らかさ及び食感向上剤をも提供することができ、これらはいずれも、上記の糖組成を有する還元水飴を有効成分として含有する。
【0064】
次に、本発明のドウの製造方法について説明する。
【0065】
本発明のドウの製造方法は、前述のドウ加熱食品のボリューム向上剤、ドウ伸展性向上剤、ドウ加熱食品の柔らかさ向上剤又はドウ加熱食品の食感向上剤を、ドウを組成する材料に混合する工程を含む。
【0066】
各剤に用いられる還元水飴の詳細及び混合する量については前述の通りである。また、ドウの詳細についても前述の通りである。
【0067】
次に、本発明のドウ加熱食品の製造方法について説明する。
【0068】
本発明のドウの製造方法は、前述のドウ加熱食品のボリューム向上剤、ドウ伸展性向上剤、ドウ加熱食品の柔らかさ向上剤又はドウ加熱食品の食感向上剤を含むドウを加熱する工程を含む。
【0069】
各剤に用いられる還元水飴の詳細及び混合する量については前述の通りである。また、ドウ及びドウ加熱食品の詳細並びに加熱の方法についても前述の通りである。
【0070】
以上説明したように、本発明によれば、優れた効果を有する、ドウ加熱食品のボリュームを向上させる剤、ドウの伸展性を向上させる剤、ドウ加熱食品の柔らかさを向上させる剤及びドウ加熱食品の食感を向上させる剤、並びにドウの製造方法及びドウ加熱食品の製造方法を提供することができる。
【0071】
また、本発明による剤の有効成分である還元水飴は、ドウに混合するだけで優れた効果を発揮するため、低コストでドウ加熱食品を製造することができる。また、本発明によれば、化学合成された乳化剤等を用いることがないため、食品の安全性を重視する近年の消費者のニーズにこたえることができる。
【0072】
また、本発明は、一連の製パン工程にわたって複合的な効果を奏する剤(例えば、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品のボリューム向上剤、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品の柔らかさ向上剤、ドウ伸展性向上かつドウ加熱食品の食感向上剤など)を提供することができる。本発明によれば、所定の還元水飴を混合するだけで複合的な効果を奏することができるため、いくつもの添加物を使用する必要なく、低コストで優れた製パン改良剤を提供することができる。
【0073】
さらに、還元水飴は、刺激的な味又は臭いを有しないため、食品本来の食味に影響を与えず、また、良好な甘味質を呈するため、食品の味を向上させることが期待される。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
以下の実施例では、特段の記載のない限り、百分率(%)は質量%を示す。また、本実施例において、高糖化還元水飴、中糖化還元水飴及び低糖化還元水飴については、表1に記載の市販品(物産フードサイエンス株式会社製)を用いた(ずれも固形分70%濃度の液体)。
【0076】
【0077】
なお、以下の実施例において、配合における各原料の数値は、小麦粉100重量部に対する値として示される。
【0078】
(実施例1)
ストレート法によって食パンを製造し、パンのボリュームについて検証した。
【0079】
製造した食パンの配合を表2に示す。表2に記載の通り、実施例食パンとして、高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パンを製造した。また、コントール(比較例食パン)として、還元水飴を用いず、グラニュー糖のみを添加した食パンを製造した。なお、各種の実施例食パン及びコントール(比較例食パン)を各々8個ずつ製造した。
【0080】
【0081】
(食パン製造方法)
以下の手順で各食パンを製造した。
(1)表2に示すショートニング以外の材料をミキサー(愛工舎製作所)に入れ、低速で5分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で1分間混捏した。その後、ショートニングを投入し、低速で2分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で2分間混捏した。
(2)一次発酵:本捏生地を28℃、湿度75%で60分間置くことにより発酵させた。
(3)分割:一次発酵後の生地を1玉380gに分割し、丸めた。
(4)ベンチタイム:丸めた生地を室温で25分間置いて休ませた。
(5)成型:休ませた生地をモルダー(コトブキベーキングマシン)に通し、成型した。
(6)最終発酵:成型後の生地を38℃、湿度85%で60分間置くことにより発酵させた 。
(7)焼成:発酵後の生地を下火200℃、上火190℃で25分間焼成した。
【0082】
(食パンのボリューム評価方法)
上述の通り製造した各食パンについて、焼成1日後のボリュームを評価した。より詳細には、焼成後の食パンを室温で60分間放冷した後、ポリエチレンバッグに入れて室温で1日間置いた。その後、レーザー体積測定器(SNS社製、VolscanVSP600)を用いて、各々の食パン8個の比容積を測定し、8個の比容積の平均値を算出した。
【0083】
(結果)
結果を
図1に示す。還元水飴を添加していないコントール(比較例食パン)に比して、各種の実施例食パン(高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パン)では、ボリュームが向上した。ボリューム向上の効果は特に、高糖化還元水飴(SE600)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パンで顕著であった。このように、添加するグラニュー糖の一部を所定の還元水飴に置換することで、食パンのボリュームを向上させることが示された。
【0084】
以上より、本実施例の還元水飴を用いた食パンは、ボリュームが向上していることが証明された。
【0085】
(実施例2)
パン生地の伸展性について検証した。
【0086】
パン生地の配合は、上述の表2の通りである。表2に記載の通り、実施例パン生地として、高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いたパン生地を作製した。また、コントール(比較例パン生地)として、還元水飴を用いず、グラニュー糖のみを添加したパン生地を作製した。なお、各種の実施例パン生地及びコントール(比較例パン生地)を各々8サンプルずつ作製した。
【0087】
(パン生地作製方法)
以下の手順で各パン生地を製造した。
(1)表2に示すショートニング以外の材料をミキサー(愛工舎製作所)に入れ、低速で5分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で1分間混捏した。その後、ショートニングを投入し、低速で2分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で2分間混捏した。
(2)一次発酵:本捏生地を28℃、湿度75%で60分間置くことにより発酵させた。
(3)分割:一次発酵後の生地を1玉380gに分割し、丸めた。
(4)ベンチタイム:丸めた生地を室温で25分間置いて休ませた。
【0088】
(パン生地の伸展性評価方法)
上記の通り休ませたパン生地を、モルダー(コトブキベーキングマシン)に通し、モルダーに通した後の伸展方向(モルダーのローラー回転方向)のパン生地の長さを測定した。各々のパン生地8サンプルの生地の長さを測定し、8サンプルの生地の長さの平均値を算出した。
【0089】
(結果)
結果を
図2に示す。還元水飴を添加していないコントール(比較例パン生地)に比して、各種の実施例パン生地(高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いたパン生地)では、モルダー成型時のパン生地が長く、伸展性が向上した。このように、添加するグラニュー糖の一部を所定の還元水飴に置換することで、パン生地の伸展性を向上させることが示された。
【0090】
以上より、本実施例の還元水飴を用いたパン生地は、伸展性が向上していることが証明された。
【0091】
(実施例3)
ストレート法によって食パンを製造し、パンの柔らかさについて検証した。
【0092】
製造した食パンの配合を表3に示す。表3に記載の通り、実施例食パンとして、高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パンを製造した。また、コントール(比較例食パン)として、還元水飴を用いず、グラニュー糖のみを添加した食パンを製造した。なお、各種の実施例食パン及びコントール(比較例食パン)を各々8個ずつ製造した。
【0093】
【0094】
(食パン製造方法)
以下の手順で各食パンを製造した。
(1)表3に示すショートニング以外の材料をミキサー(愛工舎製作所)に入れ、低速で5分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で1分間混捏した。その後、ショートニングを投入し、低速で2分間、続いて中速で3分間、さらに続いて高速で2分間混捏した。
(2)一次発酵:本捏生地を28℃、湿度75%で60分間置くことにより発酵させた。
(3)分割:一次発酵後の生地を1玉220gに分割し、丸めた。
(4)ベンチタイム:丸めた生地を室温で25分間置いて休ませた。
(5)成型:休ませた生地をモルダー(コトブキベーキングマシン)に通し、型詰め(U字詰)した。
(6)最終発酵:成型後の生地を38℃、湿度85%で50分間置くことにより発酵させた 。
(7)焼成:発酵後の生地を下火220℃、上火210℃で45分間焼成した。
【0095】
(食パンの柔らかさ評価方法)
上述の通り製造した各食パンについて、焼成3日後の柔らかさを評価した。より詳細には、焼成後の食パンを室温で60分間放冷した後、ポリエチレンバッグに入れて室温で3日間置いた。その後、短手方向に2.5cm厚さにスライスし、クラムから5cm角の立方体(クラム立方体)を切り出した。クリープメータ(山電)の直径5cm円盤型 のプランジャーを用いて、クラム立方体を圧縮速度1mm/秒で70体積%圧縮変形するまで圧縮し、その時の最大荷重を測定した。各々の食パン8個の最大荷重を測定し、8個の最大荷重の平均値を算出した。
【0096】
(結果)
結果を
図3に示す。還元水飴を添加していないコントール(比較例食パン)に比して、各種の実施例食パン(高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パン)では、最大荷重の値が低下し、柔らかさが向上した。このように、添加するグラニュー糖の一部を所定の還元水飴に置換することで、食パンの柔らかさを向上させることが示された。
【0097】
以上より、本実施例の還元水飴を用いた食パンは、柔らかさが向上していることが証明され、本実施例の還元水飴は食パンに柔らかい食感を与えることが示された。
【0098】
(実施例4)
ストレート法によって製造した食パンの食感について検証した。
【0099】
実施例3において製造した以下の食パンを喫食し、食感を評価した。
・実施例食パン:高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パン
・コントール(比較例食パン):還元水飴を用いず、グラニュー糖のみを添加した食パン
【0100】
(食感の評価方法)
熟練したパネラー5名が、各食パンを喫食し、口溶け、弾力性、しっとり感及び歯切れの項目について、コントール(比較例食パン)を基準として、以下に示す通り官能評価を行った。
++:コントロールよりさらに好ましい
+ :コントロールより好ましい
± :コントロールと同程度
- :コントロールより劣る
【0101】
(結果)
結果を表4に示す。還元水飴を添加していないコントール(比較例食パン)に比して、各種の実施例食パン(高糖化還元水飴(SE600)、中糖化還元水飴(SE57)又は低糖化還元水飴(SE30、SE100)を用いた食パン)では、食感が向上した。特に、口溶け向上効果に優れているのは高糖化還元水飴(SE600)及び低糖化還元水飴(SE30、SE100)であり、弾力性向上効果に優れているのは中糖化還元水飴(SE57)及び低糖化還元水飴(SE30、SE100)であり、しっとり感向上効果に優れているのは中糖化還元水飴(SE57)及び低糖化還元水飴(SE30、SE100)であった。
【0102】
【0103】
以上より、本実施例の還元水飴は、食パンに良好な食感(口溶け、弾力性、しっとり感及び歯切れ)を与えることが示された。