(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】バスバー積層体及びそれを備える電子部品実装モジュール、バスバー積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20240710BHJP
H01G 2/02 20060101ALI20240710BHJP
H01G 2/08 20060101ALI20240710BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20240710BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240710BHJP
H01G 9/008 20060101ALI20240710BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20240710BHJP
H01L 23/36 20060101ALI20240710BHJP
H05K 1/02 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
H01G4/228 J
H01G2/02
H01G2/08 A
H01G4/30 201H
H01G4/38 A
H01G9/008
H01L23/28 A
H01L23/36 C
H05K1/02 L
(21)【出願番号】P 2018107427
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-04-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】一倉 修
(72)【発明者】
【氏名】山谷 浩司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 翼
(72)【発明者】
【氏名】黒須 満
(72)【発明者】
【氏名】玉井 裕也
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】行武 哲太郎
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-115842号公報
【文献】実願平4-66719号(実開平6-26117号)のCD-ROM
【文献】特開2006-5096号公報
【文献】特開平10-340630号公報
【文献】特開2009-259915号公報
【文献】特開2005-56954号公報
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G2/02
H01G2/08
H01G4/228
H01G4/30
H01G4/38
H01G9/008
H01L23/28
H01L23/36
H05K1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の外部端子を半田付けする領域をそれぞれ備える第一のバスバーと第二のバスバーとが絶縁して積層されるバスバー積層体と、前記バスバー積層体に面実装された電子部品と、を備える電子部品実装モジュールであって、
前記第一のバスバーは、開口部を備え、
前記第二のバスバーは、前記第一のバスバー側に突出し、半田付けする領域である凸状体を備え、
前記第二のバスバーの前記凸状体は前記開口部に対応する位置に配置され、
前記第一のバスバーの半田付けする領域と前記凸状体の半田付けする領域とを、リフロー半田による前記電子部品の外部端子を半田付けが可能な程度に同一高さであり、
前記電子部品は、台座に外部端子を挿通した状態で前記台座に嵌装され、前記台座の底面で面接触により、前記第一のバスバーの半田付けする領域と前記凸状体の半田付けする領域と、に
、前記第一のバスバーの外面と前記台座の底面とが面一になるように、実装される
ことを特徴とする電子部品実装モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電子部品実装モジュールにおいて、
前記外部端子は、前記台座に挿入され、前記台座の底面に沿って互いに離間する方向に曲折された一対のリード端子である
ことを特徴とする電子部品実装モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の電子部品実装モジュールにおいて、
前記外部端子の少なくとも先端が、前記凸状体の頭頂部内に配置され
、
前記凸状体のテーパ形状の側壁または/及び前記第一のバスバーの前記開口部の側壁には絶縁材が設けられる
ことを特徴とする電子部品実装モジュール。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の電子部品実装モジュールにおいて、
半田付領域を含む前記バスバー積層体が樹脂モールドされた
ことを特徴とする電子部品実装モジュール。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか一項に記載の電子部品実装モジュールにおいて、
前記バスバー積層体の、前記電子部品の実装側に対する裏面に、面一に接着されたヒートシンクを備える
ことを特徴とする電子部品実装モジュール。
【請求項6】
電子部品の外部端子を半田付けする領域をそれぞれ備える第一のバスバーと第二のバスバーとが絶縁して積層されるバスバー積層体と、前記バスバー積層体に面実装された電子部品と、を備える電子部品実装モジュールの製造方法において、
前記第一のバスバーに、開口部を形成する工程、並びに、前記第二のバスバーに、前記第一のバスバー側に突出し半田付けする領域である凸状体を形成する工程、を遂行した後、
前記第二のバスバーの前記凸状体を前記開口部に対応する位置に配置し、前記第一のバスバーと前記第二のバスバーとを絶縁積層する工程を有し、
ここで、前記第一のバスバーの半田付けする領域と前記凸状体の半田付けする領域とは、リフロー半田による前記電子部品の外部端子を半田付けが可能な程度に同一高さであり、 台座の底面に外部端子を挿通した状態で前記台座に嵌装された前記電子部品を、前記台座の底面で面接触により、前記第一のバスバーの半田付けする領域と前記凸状体の半田付けする領域と、に
、前記第一のバスバーの外面と前記台座の底面とが面一になるように、実装する工程、をさらに有する
ことを特徴とする電子部品実装モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された陽極のバスバーと陰極のバスバーとで半田実装面の高さを揃えてリフロー半田を使用可能とした、バスバーを用いた表面実装タイプの電子部品モジュール等に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電子部品を搭載するモジュールにおいて大電流が印加される導電材料には金属板(バスバー)を用いることで抵抗が下がり、発熱を低減させると共に放熱性を向上させることができることが知られている。大電流を使用する場合には、小型の電子デバイスの実装に汎用されているいわゆるプリント配線基板等では放熱が追い付かず熱が蓄積されてしまうので、電子部品等が熱損傷を受ける懸念が生じる。
【0003】
このため例えばコンデンサを複数個実装する場合には、陽極のバスバーと陰極のバスバーとを絶縁層(例えば絶縁シートや絶縁材の塗布層)を介して積層(貼り合わせ)し、当該貼り合わせたバスバーの一面に並べて複数個実装することで、放熱性を向上させる。
【0004】
下記特許文献1の
図4及び当該説明記載箇所には、「
図4に示す第2の実施例のコンデンサモジュール31では、基板32が、絶縁シート33の両面に第1,第2の金属板34,35を貼り合わせた構造を有する。
図6に、絶縁シート33を平面図で示す。絶縁シート33は、本実施例では、シリコーン樹脂からなり、0.1~0.05mm程度の厚みを有する。もっとも、絶縁シート33は、エポキシ樹脂(レジスト)などの他の合成樹脂を用いて構成されていてもよい。」と記載されている。
【0005】
すなわち特許文献1では、第1の金属板34と第2の金属板35との間に絶縁シート33を挟んだ状態で貼り合わせ、積層コンデンサ3のリード端子3a,3bが、金属板に垂直に貫通立設され、リード端子3a,3bが金属板34,35と半田付けされる構造が開示されている。
【0006】
特許文献1の
図4に明示されているように、リード端子3aが上側の金属板34の底面に半田16で半田付けされて、リード端子3bが下側の金属板35の底面に半田17で半田付けされる。このため、このような構造では、ちょうど絶縁シート33及び下側の金属板35の厚さに相当する高さ分だけ、一対のリード端子3a,3bの半田付される高さが互いに相異なるものとなっている。この場合の半田付作業は、手作業により個々に半田付される場合には何ら問題は生じないが、フロー半田等を用いてある程度のスループットを期待して量産工程を考慮する場合にはこれに対応できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来、積層した二枚のバスバーに複数の表面実装タイプまたはリード挿入タイプの電子部品を実装する際に、陽極のバスバーと陰極のバスバーとで実装面の高さ(すなわち、陽極と陰極の各リード端子の各バスバーへの半田付ポイントの高さ)が異なるため、リフロー半田等を使用することができず、電子部品の実装作業が煩雑になってしまう課題がある。
【0009】
すなわち、従来のように一対のリード端子の半田付高さが互いに相異なるものとなる場合には、手作業によりそれぞれ半田付作業をすれば何ら問題はないが、量産工程などにおいて多用されるリフロー半田工程を利用しようとすれば、半田付ポイントの高さが異なる場合にはその工程遂行が困難となる。各バスバーは、大電流であればあるほど熱放散等を考慮してある程度の厚さを有するものであるが、リフロー半田工程にとって当該バスバー電極体の厚さに対応する半田付ポイントの高さの差異は無視できるものではない。
【0010】
このため、陰極バスバーと陽極バスバーとを貼り合わせて用いた電子部品モジュールの各リード端子(表面実装タイプ)を、より量産効率の高いリフロー半田を利用して各バスバーに半田付できる構造が求められている。本発明は上述の問題点に鑑み為されたものであり、積層された陽極のバスバーと陰極のバスバーとで半田実装面の高さを揃えてリフロー半田を使用可能とした、バスバーを用いた表面実装タイプの電子部品モジュール等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のバスバー積層体は、電子部品の外部端子を半田付けする領域をそれぞれ備える第一のバスバーと第二のバスバーとが絶縁して積層されるバスバー積層体であって、第一のバスバーは、開口部を備え、第二のバスバーは、第一のバスバー側に突出し、半田付けする領域である凸状体を備え、第二のバスバーの凸状体は開口部に対応する位置に配置され、第一のバスバーの半田付けする領域と凸状体の半田付けする領域とを、リフロー半田による電子部品の外部端子を半田付けが可能な程度に同一高さにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の電子部品実装モジュールは、第一のバスバー側で外部端子が半田付された前記電子部品を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の電子部品実装モジュールは、好ましくは第一リード端子の先端が、半田付凸状体の頭頂部内に配置されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の電子部品実装モジュールは、さらに好ましくは半田付領域を含むバスバー積層体が樹脂モールドされたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の電子部品実装モジュールは、さらに好ましくはバスバー積層体の、電子部品の実装側に対する裏面に、面一に接着されたヒートシンクを備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明のバスバー積層体の製造方法は、絶縁積層された第一のバスバーと第二 電子部品の外部端子を半田付けする領域をそれぞれ備える第一のバスバーと第二のバスバーとが絶縁して積層されるバスバー積層体の製造方法において、第一のバスバーに、開口部を形成する工程、並びに、第二のバスバーに、第一のバスバー側に突出し半田付けする領域である凸状体を形成する工程、を遂行した後、第二のバスバーの凸状体を開口部に対応する位置に配置し、第一のバスバーと第二のバスバーとを絶縁積層する工程を有し、第一のバスバーの半田付けする領域と凸状体の半田付けする領域とは、リフロー半田による電子部品の外部端子を半田付けが可能な程度に同一高さであるバスバー積層体の製造方法とする。
【発明の効果】
【0017】
積層された陽極のバスバーと陰極のバスバーとで半田実装面の高さを揃えてリフロー半田を使用可能とした、バスバーを用いた表面実装タイプの電子部品モジュール等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】電子部品実装モジュールの全体概要を説明する斜視図である。
【
図2】コンデンサの中央で切断した場合の構成態様を説明する断面図である。
【
図3】本実施形態のバスバー積層体の全体構成概要を説明する図である。
【
図4】表面実装タイプとして構成されたコンデンサを説明する図である。
【
図5】表面実装のチップタイプセラミックコンデンサを実装した第二の本実施形態の電子部品実装モジュールを説明する概要図である。
【
図6】破線で示す樹脂でモールドされたコンデンサ実装モジュールの典型例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本実施形態で例示するバスバー積層体は、大電流を利用する例えばコンデンサ等の複数の電子部品を、リフロー半田で平面状に並べて表面実装されて、車載用途等に利用されることができる。従来、バスバー積層体は、上層側のバスバーと下層側のバスバーとのそれぞれが相当程度の厚さを有していることから、実装される電子部品のリード端子が半田付される各バスバーの半田付ポイントに、高さ方向において当該厚さに相当する程度の相違が生じていた。
【0020】
また、電子部品実装モジュールの技術トレンドは、小型・軽量化の進展とともに、実装される電子部品のチップ化がさらに進んでいる。仮に、実装する電子部品においてチップ部品とリード端子部品が混在するとなると、電気的・機械的に接続固定する半田付が二工程となるので工程が増えてコスト増大を招くため、いずれかに統一されることが好ましいことから、現在はコンデンサとコイルのチップ化が期待されているところである。
【0021】
実施形態で提案する構成によれば、リフロー半田付後の必須工程である半田付品質確認の工程が容易となり、半田フィレットを画像処理または目視で確認することにより、半田付の品質を評価・確認することが可能となる。また、リフロー半田可能な程度の同一高さは、段差が0.6mm以下であることが好ましく、0.3mm以下とすることがさらに好ましいところ、本実施形態においては各バスバーへの半田付高さの差異をこのようなリフロー半田可能な程度以内に同一高さとすることができる。
【0022】
図1は、電子部品実装モジュール1000の全体概要を説明する斜視図である。
図1に示すように、電子部品実装モジュール1000は、第一のバスバー1300と絶縁シート1400と第二のバスバー1500(
図1では不図示)とを備え、第一のバスバー1300上には台座1200に装着された状態のコンデンサ1100が複数個表面実装されている。また、第二のバスバー1500の外面側には、ヒートシンク1600が面実装(面接触)されている。
【0023】
図1に示すように、バスバー積層体は大電流の供給が可能であり、かつ放熱性にも優れているため、多数のコンデンサ1100等の電子部品を高密度で搭載しても、当該電子部品が熱損傷を受けることは回避可能である。特にコンデンサ1100は高熱に弱いことが知られているが、本発明のバスバー積層体においては高信頼性かつ高耐久性の特性を維持可能である。各バスバー1300,1500は、大電流及び放熱を考慮して一定程度の厚さを有する金属で構成されているが、これにより強度的にもかなり強い特性が得られるものとなっている。従って、熱によりその寿命が大きく左右されるコンデンサ等であっても問題なく集積可能となる。
【0024】
また、
図2(a)はコンデンサ1100の中央で切断した場合の構成態様を説明する断面図であり、
図2(b)はその拡大図である。
図2(a)において、第二のバスバー1500の外面側には面一に熱伝導フィルム1610とヒートシンク1600が貼付されており、これにより第二のバスバー1500の熱を効率的に外部へ放散することができる。第二のバスバー1500の外面側には、端子の突出や半田フィレット等の突起障害物が存在しないことから、熱伝導フィルム1610やヒートシンク1600を面一に大面積接触にて貼付することができるので、熱放散特性が向上する。なお、熱伝導フィルム1610は省略して直接ヒートシンク1600のみを設けてもよい。
【0025】
また、
図2(b)に示すように、第二のバスバー1500が備える第一電極用半田付凸状体1510は、第一のバスバー1300の凸状体用開口部1310内に配置されて、第一のバスバー1300の外面とはリフロー半田が可能な程度に略同一高さとされている。
【0026】
そして、第一リード端子1110および第二リード端子1120は、台座1200に挿通されてその底面で曲折されており、コンデンサ1100に台座1200がセットせれることによって表面実装タイプの電子部品として取り扱い可能とされている。また、
図2(b)から理解できるように、第一リード端子1110は第一電極用半田付凸状体1510の平らな頭頂部にリフロー半田付される。ここで、第一リード端子1110の少なくとも先端部は、台座1200から少し突出した状態で、第一電極用半田付凸状体1510の平らな頭頂部内からはみ出ることなく収まっているものとする。
【0027】
これにより、上方から観察した場合に、第一リード端子1110の先端部が視認等(視認またはカメラ画像取得及びその処理)可能(視認またはカメラ画像取得及びその処理)となるので、その周りに形成される半田フィレットの状態観察によってリフロー半田の品質確認を行うことができる。また、第二リード端子1120の先端部は、台座1200から少し突出した状態で、第一のバスバー1300にリフロー半田付されている。
【0028】
このような構成により、第一電極用半田付凸状体1510の頭頂部と、第一のバスバー1300の凸状体用開口部1310の周縁部の平面と、の相互の高さを揃えることが可能となり、リフロー半田の利用も容易となる。
【0029】
図3は、本実施形態のバスバー積層体の全体構成概要を説明する図である。
図3において、バスバー積層体は、紙面上層側に記載されている第一のバスバー1300と、下層側に記載されている第二のバスバー1500と、第一のバスバー1300と第二のバスバー1500との間に配設された絶縁シート1400とを備える。第二のバスバー1500は、第一のバスバー1300側に突出した第一電極用半田付凸状体1510の平坦な頭頂部に、表面実装される電子部品の第一リード端子が、紙面上面側にリフロー半田固定される。また、第一電極用半田付凸状体1510は、第一電極用半田付凸状体1510に対応する位置に第一のバスバー1300に設けられた凸状体用開口部1310内に所望のクリアランスを設けて非接触となるように配置される。
【0030】
また、第一のバスバー1300は、凸状体用開口部1310の周縁部において表面実装される電子部品の第二リード端子1120が、紙面上面側にリフロー半田固定される。すなわち、本実施形態で示す表面実装タイプの電子部品は、実装側においてリフロー半田付けされるものとする。より詳細には
図3のバスバー積層体では、紙面上面側の第一のバスバー1300の上面に電子部品が表面実装されるものとなり、紙面上面側の第一のバスバー1300の上面でリフロー半田により当該電子部品のリード端子が半田付固定されるものとなる。各リード端子は、既に説明したようにバスバーに挿入固定されるものではなく、台座底面で曲折されて面接触で実装して半田付されるものである。
【0031】
各バスバー1300,1500は相当程度の厚さを有する金属で形成されており、熱伝導性に優れるとともに大電流を低抵抗で流すことができるものである。バスバー積層体のスムースな放熱効果により、バスバー積層体に搭載される複数の電子部品の熱損傷を防止することができる。
【0032】
図3から理解できるように、第二のバスバー1500が備える第一電極用半田付凸状体1510に対応する箇所に、より大きな口径の凸状体用開口部1310が第一のバスバー1300に設けられる。第一のバスバー1300の外面側に搭載された表面実装電子部品の第二リード端子1120は、凸状体用開口部1310の周辺部において第一のバスバー1300に電気的及び機械的にリフロー半田付固定される。なお、絶縁シート1200は、絶縁特性を有する各種フィルム(例えばポリイミドフィルム)やレジスト等の絶縁材の塗布によって形成してもよい。
【0033】
なお、
図3等において、第一のバスバー1300と第二のバスバー1500との間の、凸状体用開口部1310における絶縁特性をリフロー半田時等においてもより確実に維持するために、絶縁シート1400の第一電極用半田付凸状体1510に対応する開口面積を凸状体用開口部1310の開口面積より小さいものとすることができる。
【0034】
また、絶縁シート1400の当該箇所の開口からは第一電極用半田付凸状体1510のみが露出されるものとして、その他の第二のバスバー1500の平面部位は露出されないようにするものとできる。これにより、仮にリフロー半田が過剰に凸状体用開口部1310辺縁部に付着してその内周壁を伝って第二のバスバー1500側に漏出したとしても、絶縁シート1400で阻止されて第二のバスバー1500に半田が接触することができないものとなり、絶縁特性を確実かつ安全に確保できるものとなる。さらに好ましくは、第一電極用半田付凸状体1510を形成する側壁(
図2ではテーパ状)や凸状体用開口部1310の側壁(
図2では垂直周壁)にレジスト剤等の絶縁材を配置・塗布等することにより、絶縁特性がさらに向上するものとなる。
【0035】
また、
図4は、表面実装タイプとして構成された本実施形態で例示実装されるコンデンサ1100を説明する図である。
図4では、電子部品の典型例としてコンデンサ構成を説明しているが、本発明の電子部品はコンデンサに限定されるものではなく、任意の表面実装タイプ電子デバイスであってよい。
図4に示すように、コンデンサ1100は台座1200にリード端子1110,1120を挿通した状態で嵌装されていることにより、台座1200の底面で面接触により実装可能となる。
【0036】
また、第一リード端子1110と第二リード端子1120とは、それぞれ台座1200に挿通されて底面で底面に沿って曲折されて、その少なくとも先端部分が台座1200の辺縁部から突出した状態となる。このため、コンデンサ1100及び台座1200を上方から平面視した場合には、台座1200のエッジから第一リード端子1110と第二リード端子1120の各先端部分が視認できる状態とされている。
【0037】
また、台座1200の底面には、第一リード端子1110と第二リード端子1120とのそれぞれの周囲に一対の補助端子1130がそれぞれ設けられており、リフロー半田工程において、第一リード端子1110と第二リード端子1120と共に各補助端子1130も半田付されることにより、その固定強度が増大して耐衝撃性や耐振動性を向上させるものとなる。
【0038】
また、
図5は、表面実装のチップタイプセラミックコンデンサ2100を実装した第二の本実施形態の電子部品実装モジュールを説明する概要図である。チップタイプセラミックコンデンサ2100は、第一電極2110と第二電極2120とを備えており、第一電極2110が第一電極用半田付凸状体1510の平坦な頭頂部内にリフロー半田付されるとともに、第二電極2120が第一のバスバー1300にリフロー半田付される。既に説明しているように、第一電極用半田付凸状体1510は、平板状の第二のバスバー1500の一部が凸形状とされたものであり、第二のバスバー1500の一部である。
【0039】
このように形成することにより、第一電極2110に対する半田フィレットの一部が、より好ましくは全て、第一電極用半田付凸状体1510の平坦な頭頂部内に形成されることとなるので、上方からの平面視の観察・評価によって、リフロー半田工程の品質チェックと確認を容易に迅速に遂行できるものとなる。また、第一電極2110と第二電極2120との底面全体が半田付されることにより、実装強度が増大して耐振動性や耐衝撃性が向上するとともに熱放熱特性も向上することから、セラミックコンデンサ2100の信頼性や耐久性・寿命が向上するものとなる。ここで、リフロー半田付けされる表面実装部品の外部端子としては、例えば
図2で例示したリード端子や
図5で例示する電極端子であってよい。
【0040】
図6は、破線で示す樹脂1700でモールドされたコンデンサ実装モジュールの典型例を説明する図である。
図6においては、第一のバスバー1300と第二のバスバー1500とコンデンサ1100の一部(典型的には台座を含む略下半分)を樹脂1700でモールドした状態を示している。なお、
図6には明示していないが各リード端子1110,1120は既に半田付されているものである。
【0041】
図6に示すように、樹脂1700でモールドすれば、当該樹脂1700が、第一電極用半田付凸状体1510の周囲空間や、凸状体用開口部1310内にも入り込んで充填されるので、放熱特性が向上するのみではなく、全体の強度も大きく増大するものとなり、耐振動性や耐衝撃性・耐久性が向上する。また、半田付に加えてコンデンサ1100が各バスバー1300,1500とモールド一体化されるので、コンデンサ1100が樹脂1700でも固定されるものとなって、耐衝撃性も大幅に向上するものとなる。
【0042】
特に、
図3及び
図6から明らかなように、板状平面体の平坦なバスバーではなく凹凸形状を備えその表面積が増大したバスバー1300,1500とされているので、樹脂1700との接触面積を大きく確保できるものとなり、放熱特性や接着強度はこれにより増大するものとできる。大きな振動や衝撃・加速度が加わった場合でも、樹脂1700全体で形状保持するため、リード端子1120,1110のみで固定している場合に比べて、リード端子1120,1110への負荷の負担が小さくて済む。また、図示していないが、樹脂1700にはコンデンサ1100のガス抜きのための任意の経路孔を設けてもよい。また、ヒートシンク1600を設けた状態で、さらに樹脂1700でモールドするものとしてもよい。
【0043】
本実施形態で例示する電子部品は、電子部品から突出したリード端子をバスバーの挿通孔に貫通させる必要はない。このため、電子部品を表面実装する場合において、電子部品とバスバーとの配向や相対的な向きを表面実装可能な範囲で自由に設計し変更することが可能である。従って、電子部品の実装における汎用性や自由度が向上するものとできる。
【0044】
本発明のバスバー積層体や電子部品実装モジュール等は、上述の実施形態で説明した構成や方法に限定されるものではなく、当業者に自明な範囲でかつ本発明の技術思想の範囲内で適宜その構成を変更し、組み合わせ適用し、また方法を変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、コンデンサを典型例とする複数の電子部品の実装モジュールに好適である。
【符号の説明】
【0046】
1000・・電子部品実装モジュール、1100・・コンデンサ、1110・・第一リード端子、1120・・第二リード端子、1130・・補助端子、1200・・台座、1300・・第一のバスバー、1310・・凸状体用開口部、1400・・絶縁シート、1500・・第二のバスバー、1510・・第一電極用半田付凸状体、1600・・ヒートシンク、1700・・樹脂。