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特許7518602導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】導電材料、接続構造体及び接続構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/22 20060101AFI20240710BHJP
   B23K 35/14 20060101ALI20240710BHJP
   B23K 35/363 20060101ALI20240710BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20240710BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20240710BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240710BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20240710BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20240710BHJP
   C22C 12/00 20060101ALN20240710BHJP
   C22C 13/00 20060101ALN20240710BHJP
   C22C 13/02 20060101ALN20240710BHJP
   C22C 28/00 20060101ALN20240710BHJP
【FI】
H01B1/22 A
H01B1/22 D
B23K35/14 Z
B23K35/363 D
B23K35/363 E
H01B1/00 L
H01B5/16
H05K1/14 A
H05K1/18 F
B23K35/26 310A
B23K35/26 310C
B23K35/26 310D
C22C12/00
C22C13/00
C22C13/02
C22C28/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018220039
(22)【出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2019096616
(43)【公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】P 2017226913
(32)【優先日】2017-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 弾一
(72)【発明者】
【氏名】保井 秀文
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】野崎 大進
【審判官】富澤 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-315637(JP,A)
【文献】特開2015-196724(JP,A)
【文献】特開2009-283453(JP,A)
【文献】国際公開第2017/179532(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 35/14 - 35/363
H01B 1/00 - 5/16
H05K 1/14 - 1/18
C22C 12/00 - 28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、前記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を含む導電材料(ただし、第1のはんだ粒子と、該第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子とが融着した融着粒子を含む導電材料を除く)であり、
前記第1のはんだ粒子の含有量が、前記第2のはんだ粒子の含有量よりも多く、
前記第2のはんだ粒子の液相線温度が、前記第1のはんだ粒子の液相線温度よりも高く、
前記第2のはんだ粒子におけるはんだが、共晶ではなく、
25℃における前記導電材料の粘度が、20Pa・s以上500Pa・s以下である、導電材料。
【請求項2】
前記第2のはんだ粒子の液相線温度が、280℃以下である、請求項1に記載の導電材料。
【請求項3】
前記第1のはんだ粒子の液相線温度と前記第2のはんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、10℃以上である、請求項1又は2に記載の導電材料。
【請求項4】
前記導電材料100重量%中の前記第1のはんだ粒子の含有量の、前記導電材料100重量%中の前記第2のはんだ粒子の含有量に対する比が、1以上200以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項5】
導電ペーストである、請求項1~4のいずれか1項に記載の導電材料。
【請求項6】
第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、
第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、
前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、
前記接続部の材料が、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電材料であり、
前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体。
【請求項7】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている、請求項6に記載の接続構造体。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載の導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、
前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、
前記第1のはんだ粒子の液相線温度以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法。
【請求項9】
前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る、請求項8に記載の接続構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ粒子を含む導電材料に関する。また、本発明は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異方性導電ペースト及び異方性導電フィルム等の異方性導電材料が広く知られている。上記異方性導電材料では、バインダー樹脂中に導電性粒子が分散されている。
【0003】
上記異方性導電材料は、各種の接続構造体を得るために使用されている。上記異方性導電材料による接続としては、例えば、フレキシブルプリント基板とガラス基板との接続(FOG(Film on Glass))、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))、半導体チップとガラス基板との接続(COG(Chip on Glass))、並びにフレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))等が挙げられる。
【0004】
上記異方性導電材料により、例えば、フレキシブルプリント基板の電極とガラスエポキシ基板の電極とを電気的に接続する際には、ガラスエポキシ基板上に、導電性粒子を含む異方性導電材料を配置する。次に、フレキシブルプリント基板を積層して、加熱及び加圧する。これにより、異方性導電材料を硬化させて、導電性粒子を介して電極間を電気的に接続して、接続構造体を得る。
【0005】
下記の特許文献1には、はんだ粒子と、上記はんだの融点よりも高い温度で硬化する熱硬化性樹脂と、はんだ付け時の熱で活性化して上記半田の表面の酸化膜を除去する活性剤を含むはんだペーストが開示されている。上記はんだ粒子は、錫-ビスマス系のはんだから構成されている。上記活性剤は、上記はんだの融点以上の温度で活性化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-150413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のはんだ粒子を含む導電材料を用いて導電接続を行う際には、上方の複数の電極と下方の複数の電極とが電気的に接続され、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ接続が行われる。横方向の電極間は、電気的に接続されないことが望ましい。
【0008】
従来のはんだ粒子を含むはんだペースト等の導電材料では、はんだ粒子の電極(ライン)上への移動速度が遅く、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量が均一にならないという課題がある。特に、微細な回路を有する基板の導電接続において、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量が均一にならないという課題がある。
【0009】
一般に、はんだを含む導電材料は、基板上に配置された後、リフロー等により加熱されて用いられる。その際、リフロー炉の温度勾配等によって、基板が均一に加熱されず、基板上に配置された導電材料の加熱温度がばらつくことがある。導電性粒子としてはんだ粒子のみを含む従来の導電材料では、基板の一部において、はんだ粒子の融点よりも高温に加熱された場所が発生すると、高温に加熱された場所に位置するはんだ粒子だけではなく、高温に加熱された場所の周囲に位置するはんだ粒子も共に凝集して、はんだ粒子の巨大凝集物が生成されることがある。はんだ粒子の巨大凝集物が生成されると、横方向の電極間にブリッジが形成され、横方向の電極間の絶縁信頼性が低くなることがある。
【0010】
また、はんだ粒子の巨大凝集物が生成されることによっても、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量が均一にならないことがある。また、上下の電極間の一部においてはんだの量が減少して、電極間の導通信頼性が低くなることがある。従来の導電材料では、加熱時の温度ばらつきに対応することは困難である。
【0011】
また、従来のはんだ粒子を含むはんだペースト等の導電材料では、はんだ粒子の電極(ライン)上への移動速度が遅く、接続されるべき上下の電極間にはんだ粒子を十分に寄せ集めることができず、接続されてはならない横方向の電極間において、上下の電極間のはんだと離れて、はんだが残存することがある。
【0012】
本発明の目的は、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量を均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量を少なくすることができる導電材料を提供することである。また、本発明の目的は、上記導電材料を用いた接続構造体及び接続構造体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の広い局面によれば、熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、前記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有しかつはんだ粒子とは異なる金属粒子とを含む金属粒子とを含むか、又は、熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、前記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を含み、導電材料が前記第2のはんだ粒子を含む場合に、前記第1のはんだ粒子の含有量が、前記第2のはんだ粒子の含有量よりも多く、25℃における導電材料の粘度が、20Pa・s以上500Pa・s以下である、導電材料が提供される。
【0014】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、導電材料が前記金属粒子を含む場合に、前記金属粒子の液相線温度が、280℃以下であり、導電材料が前記第2のはんだ粒子を含む場合に、前記第2のはんだ粒子の液相線温度が、280℃以下である。
【0015】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、導電材料が前記金属粒子を含む場合に、前記第1のはんだ粒子の液相線温度と前記金属粒子の液相線温度との差の絶対値が、10℃以上であり、導電材料が前記第2のはんだ粒子を含む場合に、前記第1のはんだ粒子の液相線温度と前記第2のはんだ粒子の液相線温度との差の絶対値が、10℃以上である。
【0016】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、導電材料が前記第2のはんだ粒子を含む場合に、前記第2のはんだ粒子におけるはんだが、共晶ではない。
【0017】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、導電材料が前記金属粒子を含む場合に、導電材料100重量%中の前記第1のはんだ粒子の含有量の、導電材料100重量%中の前記金属粒子の含有量に対する比が、1以上200以下であり、導電材料が前記第2のはんだ粒子を含む場合に、導電材料100重量%中の前記第1のはんだ粒子の含有量の、導電材料100重量%中の前記第2のはんだ粒子の含有量に対する比が、1以上200以下である。
【0018】
本発明に係る導電材料のある特定の局面では、前記導電材料が、導電ペーストである。
【0019】
本発明の広い局面によれば、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、前記第1の接続対象部材と、前記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備え、前記接続部の材料が、上述した導電材料であり、前記第1の電極と前記第2の電極とが、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている、接続構造体が提供される。
【0020】
本発明に係る接続構造体のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている。
【0021】
本発明の広い局面によれば、上述した導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、前記導電材料を配置する工程と、前記導電材料の前記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、前記第1の電極と前記第2の電極とが対向するように配置する工程と、前記第1のはんだ粒子の液相線温度以上に前記導電材料を加熱することで、前記第1の接続対象部材と前記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、前記導電材料により形成し、かつ、前記第1の電極と前記第2の電極とを、前記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える、接続構造体の製造方法が提供される。
【0022】
本発明に係る接続構造体の製造方法のある特定の局面では、前記第1の電極と前記接続部と前記第2の電極との積層方向に前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、前記第1の電極と前記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、前記接続部中のはんだ部が配置されている接続構造体を得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る導電材料は、熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有しかつはんだ粒子とは異なる金属粒子とを含むか、又は、熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を含む。本発明に係る導電材料では、導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の含有量が、上記第2のはんだ粒子の含有量よりも多い。本発明に係る導電材料では、25℃における導電材料の粘度が、20Pa・s以上500Pa・s以下である。本発明に係る導電材料では、上記の構成が備えられているので、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量を均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
図2図2(a)~(c)は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体を製造する方法の一例の各工程を説明するための断面図である。
図3図3は、接続構造体の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0026】
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、(1)熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有しかつはんだ粒子とは異なる金属粒子とを含むか、又は、(2)熱硬化性成分と、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を含む。本発明に係る導電材料では、導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の含有量が、上記第2のはんだ粒子の含有量よりも多い。本発明に係る導電材料では、25℃における導電材料の粘度が、20Pa・s以上500Pa・s以下である。
【0027】
本発明に係る導電材料では、上記の構成が備えられているので、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量を均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量を少なくすることができる。
【0028】
はんだを含む導電材料は、基板上に配置された後、リフロー等により加熱されて用いられる。その際、加熱時の温度ばらつきにより、基板が均一に加熱されず、基板上に配置された導電材料の加熱温度がばらつくことがある。導電性粒子としてはんだ粒子のみを含む従来の導電材料では、基板の一部において、はんだ粒子の融点よりも高温に加熱された場所が発生すると、高温に加熱された場所に位置するはんだ粒子だけではなく、高温に加熱された場所の周囲に位置するはんだ粒子も共に凝集して、はんだ粒子の巨大凝集物が生成されることがある。
【0029】
本発明者らは、基板上に配置された導電材料の加熱温度がばらついたとしても、特定の複数種のはんだ粒子を用いること又は特定のはんだ粒子と特定の金属粒子とを用いることで、高温に加熱された場所の周囲に位置するはんだ粒子の凝集を抑制することができることを見出した。本発明では、はんだ粒子の巨大凝集物の生成を効果的に抑制することができ、横方向の電極間のブリッジの形成を効果的に抑制することができる。さらに、横方向の電極間の絶縁信頼性を効果的に高めることができる。ブリッジとは、はんだ粒子の巨大凝集物が隣接する電極まで拡がることにより形成された導通経路を意味する。なお、上下の電極間を接続する場合に、上記隣接する電極間は、例えば、接続されてはならない横方向に隣接する電極間である。
【0030】
また、基板上に配置された導電材料の加熱温度がばらついたとしても、高温に加熱された場所の周囲に位置するはんだ粒子の凝集を抑制することによって、はんだ粒子の巨大凝集物の生成を効果的に抑制することができ、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量を均一にすることができる。さらに、上下の電極間に配置されるはんだ粒子の量を十分に確保することができる。結果として、上下の電極間の導通信頼性を効果的に高めることができる。
【0031】
また、本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、複数のはんだ粒子が、上下の対向した電極間に集まりやすく、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、接続されてはならない横方向の電極間に配置され難く、接続されてはならない横方向の電極間に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。結果として、本発明では、接続されてはならない横方向の電極間において、はんだの残存量を少なくすることができる。
【0032】
本発明では、上記のような効果を得るために、上記導電材料が特定のはんだ粒子を含むこと又は上記導電材料が特定のはんだ粒子と特定の金属粒子とを含むことは大きく寄与する。
【0033】
さらに、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。本発明では、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせる際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態でも、そのずれを補正して電極同士を接続させることができる(セルフアライメント効果)。
【0034】
電極上にはんだをより一層均一に配置する観点からは、上記導電材料は、25℃で液状であることが好ましく、導電ペーストであることが好ましい。
【0035】
本発明に係る導電材料では、25℃における導電材料の粘度が、20Pa・s以上500Pa・s以下である。電極上にはんだをより一層均一に配置する観点からは、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
【0036】
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
【0037】
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電ペーストは異方性導電ペーストであることが好ましく、上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。電極上にはんだをより一層均一に配置する観点からは、上記導電材料は、導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
【0038】
以下、導電材料に含まれる各成分を説明する。なお、本明細書中において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」と「メタクリル」との一方又は双方を意味する。
【0039】
(第1のはんだ粒子及び第2のはんだ粒子)
上記導電材料は、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有しかつはんだ粒子とは異なる金属粒子とを含むか、又は、第1のはんだ粒子と、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を含む。なお、本発明では、上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記導電材料において、2種類のはんだ粒子の含有量は互いに異なる。本発明では、上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記導電材料において、含有量が多い方のはんだ粒子を上記第1のはんだ粒子とし、含有量が少ない方のはんだ粒子を上記第2のはんだ粒子とする。本発明では、上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記導電材料において、上記第1のはんだ粒子の含有量と上記第2のはんだ粒子の含有量とは異なる。
【0040】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだにより形成されている。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、中心部分及び外表面のいずれもがはんだである粒子である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の代わりに、はんだ以外の材料から形成された基材粒子と該基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に導電性粒子が集まり難くなる。また、上記導電性粒子では、導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。
【0041】
上記はんだは、液相線温度(融点)が450℃以下である金属(低融点金属)であることが好ましい。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、液相線温度(融点)が450℃以下である金属粒子(低融点金属粒子)であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、液相線温度(融点)が450℃以下の金属を示す。低融点金属の液相線温度(融点)は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、液相線温度(融点)が150℃未満のはんだ粒子であることが好ましい。
【0042】
上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)は、好ましくは280℃以下、より好ましくは240℃以下である。上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)の下限は特に限定されない。上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)は、100℃以上であってもよい。上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0043】
上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)と上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)との差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。上記差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0044】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0045】
上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子は共晶であることが好ましい。上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第2のはんだ粒子におけるはんだは、共晶ではないことが好ましい。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子が、上記の好ましい態様を満足することで、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0046】
また、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は錫を含むことが好ましい。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子における錫の含有量が、上記下限以上であると、はんだ部と電極との接続信頼性がより一層高くなる。
【0047】
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP-AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX-800HS」)等を用いて測定することができる。
【0048】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだ部が電極間を導通させる。例えば、はんだ部と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の使用により、はんだ部と電極との接合強度が高くなる結果、はんだ部と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性及び接続信頼性がより一層高くなる。
【0049】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子を構成する金属は特に限定されない。該金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫-銀合金、錫-銅合金、錫-銀-銅合金、錫-ビスマス合金、錫-亜鉛合金、錫-インジウム合金等が挙げられる。電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫-銀合金、錫-銀-銅合金、錫-ビスマス合金、錫-インジウム合金であることが好ましい。錫-ビスマス合金、錫-インジウム合金であることがより好ましい。
【0050】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線温度が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウム等を含む金属組成が挙げられる。低融点で鉛フリーである錫-インジウム系(117℃共晶)、又は錫-ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むか、又は錫とビスマスとを含むことが好ましい。
【0051】
はんだ部と電極との接合強度をより一層高めるために、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだ部と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記第1のはんだ粒子100重量%中又は上記第2のはんだ粒子100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
【0052】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、さらに好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下、より一層好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層均一に配置することができる。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径は、5μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0053】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径は、例えば、任意のはんだ粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各はんだ粒子の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりのはんだ粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個のはんだ粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりのはんだ粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記はんだ粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0054】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径の変動係数が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層均一に配置することができる。但し、上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の粒子径のCV値は、5%未満であってもよい。
【0055】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0056】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:第1のはんだ粒子又は第2のはんだ粒子の粒子径の標準偏差
Dn:第1のはんだ粒子又は第2のはんだ粒子の粒子径の平均値
【0057】
上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の形状は特に限定されない。上記第1のはんだ粒子及び上記第2のはんだ粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
【0058】
導電材料100重量%中、上記第1のはんだ粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。上記第1のはんだ粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを均一に配置することが容易であり、導通信頼性がより一層効果的に高くなる。導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第1のはんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
【0059】
上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、導電材料100重量%中、上記第2のはんだ粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上である。上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、導電材料100重量%中、上記第2のはんだ粒子の含有量は、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは35重量%以下である。上記第2のはんだ粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを均一に配置することが容易であり、導通信頼性がより一層効果的に高くなる。導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記第2のはんだ粒子の含有量は多い方が好ましい。
【0060】
導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の含有量は、上記第2のはんだ粒子の含有量よりも多い。上記導電材料が上記第2のはんだ粒子を含む場合に、導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量の、導電材料100重量%中の上記第2のはんだ粒子の含有量に対する比は、好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。上記比(導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量/導電材料100重量%中の上記第2のはんだ粒子の含有量)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができる。また、上記比(導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量/導電材料100重量%中の上記第2のはんだ粒子の含有量)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0061】
(金属粒子)
上記金属粒子は、はんだ粒子とは異なる。上記金属粒子は、上記第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)と異なる液相線温度(融点)を有する。
【0062】
上記金属粒子を構成する金属は特に限定されない。上記金属粒子を構成する金属としては、亜鉛、インジウム、錫、鉛及びビスマス等が挙げられる。上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、上記金属粒子は、インジウム、錫又はビスマスを含むことが好ましく、錫を含むことがより好ましい。上記金属粒子が、上記の好ましい態様を満足することで、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0063】
上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、上記金属粒子の液相線温度は、好ましくは280℃以下、より好ましくは240℃以下である。上記金属粒子の液相線温度(融点)の下限は特に限定されない。上記金属粒子の液相線温度(融点)は、100℃以上であってもよい。上記金属粒子の液相線温度(融点)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0064】
上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)と上記金属粒子の液相線温度(融点)との差の絶対値は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15℃以上であり、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。上記差の絶対値が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができ、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0065】
上記金属粒子の液相線温度(融点)は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」等が挙げられる。
【0066】
上記金属粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは40μm以下である。上記金属粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層均一に配置することができる。上記金属粒子の粒子径は、5μm以上30μm以下であることが特に好ましい。
【0067】
上記金属粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。金属粒子の粒子径は、例えば、任意の金属粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各金属粒子の粒子径の平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの金属粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の金属粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。レーザー回折式粒度分布測定では、1個当たりの金属粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記金属粒子の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定により算出することが好ましい。
【0068】
上記金属粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上であり、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記金属粒子の粒子径の変動係数が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層均一に配置することができる。但し、上記金属粒子の粒子径のCV値は、5%未満であってもよい。
【0069】
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
【0070】
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:金属粒子の粒子径の標準偏差
Dn:金属粒子の粒子径の平均値
【0071】
上記金属粒子の形状は特に限定されない。上記金属粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状等の球形状以外の形状であってもよい。
【0072】
上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、導電材料100重量%中、上記金属粒子の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは45重量%以下、特に好ましくは40重量%以下、最も好ましくは35重量%以下である。上記金属粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができ、電極間にはんだを均一に配置することが容易であり、導通信頼性及び絶縁信頼性がより一層効果的に高くなる。
【0073】
導通信頼性及び接続信頼性をより一層高める観点からは、上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、上記第1のはんだ粒子の含有量が、上記金属粒子の含有量よりも多いことが好ましい。
【0074】
上記導電材料が上記金属粒子を含む場合に、導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量の、導電材料100重量%中の上記金属粒子の含有量に対する比は、好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。上記比(導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量/導電材料100重量%中の上記金属粒子の含有量)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上下の電極間の複数の箇所において、はんだ量をより一層均一にすることができる。また、上記比(導電材料100重量%中の上記第1のはんだ粒子の含有量/導電材料100重量%中の上記金属粒子の含有量)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、横方向の電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、さらに、横方向の電極間において、はんだの残存量をより一層少なくすることができる。
【0075】
(熱硬化性成分:熱硬化性化合物)
上記熱硬化性成分は特に限定されない。上記熱硬化性成分は、加熱により硬化可能な熱硬化性化合物と、熱硬化剤とを含んでいてもよい。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。導電材料の硬化性及び粘度をより一層良好にする観点、導通信頼性をより一層効果的に高める観点、及び絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点からは、エポキシ化合物又はエピスルフィド化合物が好ましく、エポキシ化合物がより好ましい。上記熱硬化性成分は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、エポキシ化合物と、硬化剤とを含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0076】
上記エポキシ化合物は、少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物である。上記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールS型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ビフェニルノボラック型エポキシ化合物、ビフェノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、フルオレン型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、ジシクロペンタジエン型エポキシ化合物、アントラセン型エポキシ化合物、アダマンタン骨格を有するエポキシ化合物、トリシクロデカン骨格を有するエポキシ化合物、ナフチレンエーテル型エポキシ化合物、及びトリアジン核を骨格に有するエポキシ化合物等が挙げられる。上記エポキシ化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
上記エポキシ化合物は、常温(23℃)で液状又は固体であり、上記エポキシ化合物が常温で固体である場合には、上記エポキシ化合物の溶融温度は、上記はんだ粒子の融点以下であることが好ましい。
【0078】
絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性成分は、エポキシ化合物を含むことが好ましい。
【0079】
硬化物の耐熱性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物は、イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。
【0080】
上記イソシアヌル骨格を有する熱硬化性化合物としてはトリイソシアヌレート型エポキシ化合物等が挙げられ、日産化学工業社製TEPICシリーズ(TEPIC-G、TEPIC-S、TEPIC-SS、TEPIC-HP、TEPIC-L、TEPIC-PAS、TEPIC-VL、TEPIC-UC)等が挙げられる。
【0081】
導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、より一層好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記熱硬化性化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層均一に配置し、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層効果的に高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0082】
導電材料100重量%中、上記エポキシ化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上であり、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、より一層好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。上記エポキシ化合物の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだを電極上により一層均一に配置し、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記エポキシ化合物の含有量は多い方が好ましい。
【0083】
(熱硬化性成分:熱硬化剤)
上記熱硬化剤は特に限定されない。上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤等のチオール硬化剤、ホスホニウム塩、酸無水物硬化剤、熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0084】
導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能とする観点からは、上記熱硬化剤は、イミダゾール硬化剤、チオール硬化剤、又はアミン硬化剤であることが好ましい。また、上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときの保存安定性を高める観点からは、上記熱硬化剤は、潜在性の硬化剤であることが好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性チオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
【0085】
上記イミダゾール硬化剤は特に限定されない。上記イミダゾール硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-ベンジル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メタトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-パラトルイル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール等における1H-イミダゾールの5位の水素をヒドロキシメチル基で、かつ、2位の水素をフェニル基またはトルイル基で置換したイミダゾール化合物等が挙げられる。
【0086】
上記チオール硬化剤は特に限定されない。上記チオール硬化剤としては、トリメチロールプロパントリス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
【0087】
上記アミン硬化剤は特に限定されない。上記アミン硬化剤としては、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0088】
上記ホスホニウム塩は特に限定されない。上記ホスホニウム塩としては、テトラノルマルブチルホスホニウムブロマイド、テトラノルマルブチルホスホニウムO-Oジエチルジチオリン酸、メチルトリブチルホスホニウムジメチルリン酸塩、テトラノルマルブチルホスホニウムベンゾトリアゾール、テトラノルマルブチルホスホニウムテトラフルオロボレート、及びテトラノルマルブチルホスホニウムテトラフェニルボレート等が挙げられる。
【0089】
上記酸無水物硬化剤は特に限定されず、エポキシ化合物等の熱硬化性化合物の硬化剤として用いられる酸無水物であれば広く用いることができる。上記酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、フタル酸誘導体の無水物、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸、無水グルタル酸、無水コハク酸、グリセリンビス無水トリメリット酸モノアセテート、及びエチレングリコールビス無水トリメリット酸等の2官能の酸無水物硬化剤、無水トリメリット酸等の3官能の酸無水物硬化剤、並びに、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、及びポリアゼライン酸無水物等の4官能以上の酸無水物硬化剤等が挙げられる。
【0090】
上記熱カチオン開始剤は特に限定されない。上記熱カチオン開始剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
【0091】
上記熱ラジカル発生剤は特に限定されない。上記熱ラジカル発生剤としては、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ-tert-ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
【0092】
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだが電極上により一層均一に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は、80℃以上140℃以下であることが特に好ましい。
【0093】
はんだを電極上により一層均一に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記第1のはんだ粒子又は上記第2のはんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことがさらに好ましい。
【0094】
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
【0095】
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上であり、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、さらに好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が、上記下限以上であると、導電材料を十分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が、上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
【0096】
(フラックス)
上記導電材料は、フラックスを含んでいてもよい。フラックスを用いることで、はんだを電極上により一層均一に配置することができる。上記フラックスは特に限定されない。上記フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを用いることができる。
【0097】
上記フラックスとしては、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、アミン化合物、有機酸、アミン化合物の有機酸塩及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0098】
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、又は松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0099】
上記カルボキシル基を2個以上有する有機酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等が挙げられる。
【0100】
上記アミン化合物としては、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、フェニルイミダゾール、カルボキシベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、及びカルボキシベンゾトリアゾール等が挙げられる。上記アミン化合物の有機酸塩としては、上記アミン化合物と上記有機酸との塩等が挙げられる。
【0101】
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記ロジン類としては、アビエチン酸、及びアクリル変性ロジン等が挙げられる。フラックスはロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
【0102】
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ましくは80℃以上であり、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、さらに好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだが電極上により一層均一に配置される。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上140℃以下であることが特に好ましい。
【0103】
フラックスの活性温度(融点)が80℃以上190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
【0104】
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
【0105】
はんだを電極上により一層均一に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記第1のはんだ粒子又は上記第2のはんだ粒子におけるはんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
【0106】
はんだを電極上により一層均一に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
【0107】
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、上記第1のはんだ粒子又は上記第2のはんだ粒子の表面上に付着していてもよい。
【0108】
フラックスの融点が、はんだの融点より高いことにより、電極部分にはんだ粒子を効率的に凝集させることができる。これは、接合時に熱を付与した場合、接続対象部材上に形成された電極と、電極周辺の接続対象部材の部分とを比較すると、電極部分の熱伝導率が電極周辺の接続対象部材部分の熱伝導率よりも高いことにより、電極部分の昇温が速いことに起因する。はんだ粒子の融点を超えた段階では、はんだ粒子の内部は溶解するが、表面に形成された酸化被膜は、フラックスの融点(活性温度)に達していないので、除去されない。この状態で、電極部分の温度が先に、フラックスの融点(活性温度)に達するため、優先的に電極上に移動したはんだ粒子の表面の酸化被膜が除去され、はんだ粒子が電極の表面上に濡れ拡がることができる。これにより、電極上に効率的にはんだ粒子を凝集させることができる。
【0109】
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、はんだを電極上により一層均一に配置することができる。
【0110】
上記加熱によりカチオンを放出するフラックスとしては、上記熱カチオン開始剤(熱カチオン硬化剤)が挙げられる。
【0111】
電極上にはんだをより一層均一に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記フラックスは、酸化合物と塩基化合物との塩であることが好ましい。
【0112】
上記酸化合物は、カルボキシル基を有する有機化合物であることが好ましい。上記酸化合物としては、脂肪族系カルボン酸であるマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、クエン酸、リンゴ酸、環状脂肪族カルボン酸であるシクロヘキシルカルボン酸、1,4-シクロヘキシルジカルボン酸、芳香族カルボン酸であるイソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、及びエチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。電極上にはんだをより一層均一に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記酸化合物は、グルタル酸、シクロヘキシルカルボン酸、又はアジピン酸であることが好ましい。
【0113】
上記塩基化合物は、アミノ基を有する有機化合物であることが好ましい。上記塩基化合物としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ベンズヒドリルアミン、2-メチルベンジルアミン、3-メチルベンジルアミン、4-tert-ブチルベンジルアミン、N-メチルベンジルアミン、N-エチルベンジルアミン、N-フェニルベンジルアミン、N-tert-ブチルベンジルアミン、N-イソプロピルベンジルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、イミダゾール化合物、及びトリアゾール化合物が挙げられる。電極上にはんだをより一層均一に配置する観点、絶縁信頼性をより一層効果的に高める観点、及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記塩基化合物は、ベンジルアミンであることが好ましい。
【0114】
導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は、好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。上記フラックスの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、更に、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
【0115】
(フィラー)
本発明に係る導電材料は、フィラーを含んでいてもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。上記導電材料がフィラーを含むことにより、基板の全電極上に対して、はんだを均一に凝集させることができる。
【0116】
上記導電材料は、上記フィラーを含まないか、又は上記フィラーを5重量%以下で含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物を用いている場合には、フィラーの含有量が少ないほど、電極上にはんだが移動しやすくなる。
【0117】
導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は、好ましくは0重量%(未含有)以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだが電極上により一層均一に配置される。
【0118】
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、チキソ剤、レベリング剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0119】
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電材料である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
【0120】
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した導電材料を用いて、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程を備える。本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程を備える。本発明に係る接続構造体の製造方法は、上記はんだ粒子の液相線温度以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程を備える。
【0121】
本発明に係る接続構造体及び接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、はんだ粒子を電極上に均一に配置することができ、第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだ粒子を電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子の量をかなり少なくすることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
【0122】
また、電極上にはんだを均一に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、上記導電材料は、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
【0123】
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、好ましくは100%以下である。
【0124】
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましい。本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、複数のはんだ粒子が電極間に多く集まりやすくなり、複数のはんだ粒子を電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、複数のはんだ粒子の一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだ粒子におけるはんだの量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
【0125】
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、導電ペーストと比べて、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることができず、はんだ粒子の凝集が阻害されやすい傾向がある。
【0126】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
【0127】
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
【0128】
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、上記導電材料は、熱硬化性成分と、はんだ粒子と、はんだ粒子とは異なる金属粒子とを含む。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。本実施形態では、導電材料として、導電ペーストが用いられている。
【0129】
接続部4は、複数のはんだ粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性化合物が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
【0130】
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ粒子は存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだ粒子は存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだ粒子が存在していてもよい。
【0131】
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数のはんだ粒子が集まり、複数のはんだ粒子及び金属粒子が溶融した後、はんだ粒子及び金属粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、はんだ粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このことによっても、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料にフラックスが含まれる場合に、フラックスは、一般に、加熱により次第に失活する。
【0132】
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだ粒子ではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだ粒子の量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだ粒子が硬化物部中に存在していてもよい。
【0133】
はんだ粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。はんだ粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
【0134】
接続構造体1,1Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが配置されていることが好ましい。接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0135】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の60%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の70%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の80%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の90%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ部が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0136】
上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の60%以上が配置されていることが好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の70%以上が配置されていることがより好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の90%以上が配置されていることがさらに好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の95%以上が配置されていることが特に好ましい。上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の99%以上が配置されていることが最も好ましい。上記接続部中のはんだ部が、上記の好ましい態様を満足することで、導通信頼性をより一層高めることができる。
【0137】
次に、図2では、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
【0138】
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数の第1のはんだ粒子11Aと、第1のはんだ粒子11Aの液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子11Cとを含む導電材料11を配置する(第1の工程)。第2のはんだ粒子11Cに代えて、第1のはんだ粒子11Aの液相線温度と異なる液相線温度を有し、はんだ粒子とは異なる金属粒子を用いてもよい。用いた導電材料11は、熱硬化性成分11Bとして、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含む。上記金属粒子の代わりに、上記第1のはんだ粒子の液相線温度と異なる液相線温度を有する第2のはんだ粒子を用いることもできる。
【0139】
第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電材料11を配置する。導電材料11の配置の後に、第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
【0140】
導電材料11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
【0141】
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電材料11において、導電材料11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電材料11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
【0142】
次に、第1のはんだ粒子11Aの液相線温度(融点)以上に導電材料11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(熱硬化性化合物)の硬化温度以上に導電材料11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していた第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。導電フィルムではなく、導電ペーストを用いた場合には、第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。また、第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4が、導電材料11により形成される。導電材料11により接続部4が形成され、複数の第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cが十分に移動すれば、電極間に位置していない第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cの移動が開始してから、電極間に第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cの移動が完了するまでに、温度を一定に保持しなくてもよい。
【0143】
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電材料11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間により一層効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、第1のはんだ粒子11A及び第2のはんだ粒子11Cが第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。
【0144】
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、第1の電極2aと第2の電極3aとのアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、第1の電極2aと第2の電極3aとを接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に自己凝集している溶融したはんだが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料のはんだ粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
【0145】
第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)での導電材料の粘度は、好ましくは50Pa・s以下、より好ましくは10Pa・s以下、さらに好ましくは1Pa・s以下であり、好ましくは0.1Pa・s以上、より好ましくは0.2Pa・s以上である。上記粘度が、上記上限以下であれば、はんだを効率的に凝集させることができる。上記粘度が、上記下限以上であれば、接続部でのボイドを抑制し、接続部以外への導電材料のはみだしを抑制することができる。
【0146】
上記第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)での導電材料の粘度は、STRESSTECH(REOLOGICA社製)等を用いて、歪制御1rad、周波数1Hz、昇温速度20℃/分、測定温度範囲25~200℃の条件で測定可能である。但し、第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)が200℃を超える場合には、温度上限を第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)とする。測定結果から、第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)での粘度が評価される。
【0147】
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電材料11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
【0148】
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上であり、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
【0149】
上記第3の工程における加熱方法としては、上記第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)以上及び熱硬化性化合物の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
【0150】
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
【0151】
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
【0152】
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
【0153】
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、はんだが電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、導電ペーストを用いることで、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、はんだを電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を十分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップ等の他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
【0154】
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
【0155】
本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極及び上記第2の電極は、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されていることが好ましい。上記第1の電極及び上記第2の電極が、エリアアレイ又はペリフェラルにて配置されている場合において、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。上記エリアアレイとは、接続対象部材の電極が配置されている面にて、格子状に電極が配置されている構造のことである。上記ペリフェラルとは、接続対象部材の外周部に電極が配置されている構造のことである。電極が櫛型に並んでいる構造の場合は、櫛に垂直な方向に沿ってはんだが凝集すればよいのに対して、上記エリアアレイ又はペリフェラル構造では電極が配置されている面において、全面にて均一にはんだが凝集する必要がある。そのため、従来の方法では、はんだ量が不均一になりやすいのに対して、本発明の方法では、本発明の効果がより一層効果的に発揮される。
【0156】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0157】
熱硬化性成分(熱硬化性化合物):
熱硬化性化合物1:エポキシ化合物、ADEKA社製「EP-3300」
熱硬化性化合物2:フェノールノボラック型エポキシ化合物、DOW社製「DEN431」
【0158】
熱硬化性成分(熱硬化剤):
熱硬化剤1:チオール硬化剤、SC有機化学社製「TMMP」、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)
熱硬化剤2:酸無水物硬化剤、新日本理化社製「リカシッドTH」
【0159】
第1のはんだ粒子及び第2のはんだ粒子:
はんだ粒子1:SnBiはんだ粒子、融点138℃、三井金属鉱業社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:30μm
はんだ粒子2:SnBiはんだ粒子、融点138℃、三井金属鉱業社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm
はんだ粒子3:SnBiはんだ粒子、融点138℃、三井金属鉱業社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:5μm
はんだ粒子4:SnBiはんだ粒子、融点138℃、三井金属鉱業社製「Sn42Bi58」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:2μm
はんだ粒子5:SnAgCuはんだ粒子、融点220℃、三井金属鉱業社製「Sn96.5Ag3Cu0.5」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm
はんだ粒子6:SnAgCuはんだ粒子、融点220℃、三井金属鉱業社製「Sn96.5Ag3Cu0.5」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:30μm
はんだ粒子7:SnInはんだ粒子、融点117℃、千住金属工業社製「Sn48In52」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm
はんだ粒子8:SnInAgはんだ粒子、融点168℃、千住金属工業社製「Sn48In50Ag2」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm
はんだ粒子9:SnBiはんだ粒子、融点160℃、千住金属工業社製「Sn66Bi34」を選別したはんだ粒子、平均粒子径:10μm
【0160】
金属粒子:
金属粒子1:インジウム、融点156℃、和光純薬工業社製「In100」、平均粒子径:30μm
金属粒子2:錫、融点232℃、和光純薬工業社製「Sn100」、平均粒子径:30μm
【0161】
フラックス:
フラックス1:昭和化学社製「ベンジルアミングルタル酸塩」
【0162】
(実施例1~6,8,9,12~15,18、参考例7,10,11,16,17、及び比較例1~7)
(1)導電材料(異方性導電ペースト)の作製
下記の表1~3に示す成分を下記の表1~3に示す配合量で配合して、導電材料(異方性導電ペースト)を得た。
【0163】
(2)接続構造体の作製
第2の接続対象部材として、半導体チップ本体(サイズ5×5mm、厚み0.4mm)の表面に、400μmピッチで250μmの銅電極が、エリアアレイにて配置されており、最表面にパッシベーション膜(ポリイミド、厚み5μm、電極部の開口径200μm)が形成されている半導体チップを準備した。銅電極の数は、半導体チップ1個当たり、10個×10個の合計100個である。
【0164】
第1の接続対象部材として、ガラスエポキシ基板本体(サイズ20×20mm、厚み1.2mm、材質FR-4)の表面に、第2の接続対象部材の電極に対して、同じパターンとなるように、銅電極が配置されており、銅電極が配置されていない領域にソルダーレジスト膜が形成されているガラスエポキシ基板を準備した。銅電極の表面とソルダーレジスト膜の表面との段差は、15μmであり、ソルダーレジスト膜は銅電極よりも突出している。
【0165】
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の導電材料(異方性導電ペースト)を厚さ100μmとなるように塗工し、導電材料(異方性導電ペースト)層を形成した。次に、導電材料(異方性導電ペースト)層の上面に半導体チップを電極同士が対向するように積層した。導電材料(異方性導電ペースト)層には、上記半導体チップの重量は加わる。その状態から、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が、昇温開始から5秒後に第1のはんだの液相線温度(融点)となるように加熱した。さらに、昇温開始から15秒後に、導電材料(異方性導電ペースト)層の温度が160℃となるように加熱し、導電材料(異方性導電ペースト)層を硬化させ、接続構造体を得た。加熱時には、加圧を行わなかった。
【0166】
(評価)
(1)第1のはんだ粒子と、第2のはんだ粒子又は金属粒子との配合の有無
得られた導電材料において、第1のはんだ粒子と金属粒子とが含まれているか否か、又は、第1のはんだ粒子と第2のはんだ粒子とが含まれているか否かを確認した。第1のはんだ粒子と、第2のはんだ粒子又は金属粒子との配合の有無を以下の基準で判定した。
【0167】
[第1のはんだ粒子と、第2のはんだ粒子又は金属粒子との配合の有無の判定基準]
○:導電材料中に、第1のはんだ粒子と金属粒子とが含まれているか、又は、第1のはんだ粒子と第2のはんだ粒子とが含まれている
×:導電材料中に、第1のはんだ粒子と金属粒子とが含まれておらず、かつ、第1のはんだ粒子と第2のはんだ粒子とが含まれていない
【0168】
(2)第1のはんだ粒子の液相線温度(融点)、第2のはんだ粒子の液相線温度(融点)及び金属粒子の液相線温度(融点)
導電材料(異方性導電ペースト)に含まれる第1のはんだ粒子と、第2のはんだ粒子又は金属粒子との液相線温度(融点)を、示差走査熱量測定(DSC)により算出した。示差走査熱量測定(DSC)装置としては、SII社製「EXSTAR DSC7020」を用いた。
【0169】
(3)25℃における導電材料の粘度(η25)
得られた導電材料(異方性導電ペースト)の25℃における導電材料の粘度(η25)を、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
【0170】
(4)電極間のブリッジ
得られた接続構造体において、走査型電子顕微鏡により接続部を観察することで、隣接する電極間にブリッジが形成されているか否かを確認した。電極間のブリッジを以下の基準で判定した。
【0171】
[電極間のブリッジの判定基準]
○:電極間のブリッジが形成されていない
×:電極間のブリッジが形成されている
【0172】
(5)はんだサイドボール
得られた接続構造体において、走査型電子顕微鏡により接続部を観察することで、接続部の周囲に直径100μm以上のはんだサイドボール又は直径100μm未満のはんだサイドボールが形成されているか否かを確認した。はんだサイドボールを以下の基準で判定した。
【0173】
[直径100μm以上のはんだサイドボールの判定基準]
○○:接続部の周囲に直径100μm以上のはんだサイドボールが形成されていない
○:接続部の周囲に形成されている直径100μm以上のはんだサイドボールの個数が3個以下
×:接続部の周囲に形成されている直径100μm以上のはんだサイドボールの個数が4個を超える
【0174】
[直径100μm未満のはんだサイドボールの判定基準]
○○:接続部の周囲に形成されている直径100μm未満のはんだサイドボールの個数が3個以下
○:接続部の周囲に形成されている直径100μm未満のはんだサイドボールの個数が4個を超え10個以下
×:接続部の周囲に形成されている直径100μm未満のはんだサイドボールの個数が11個を超える
【0175】
(6)はんだ残り
得られた接続構造体において、第1の接続対象部材と接続部と第2の接続対象部材との積層方向に第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との対向し合う部分をみたときに、隣接する電極間における第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ粒子が配置されている面積の割合Xを評価した。はんだ残りを以下の基準で判定した。
【0176】
[はんだ残りの判定基準]
○○:割合Xが5%未満
○:割合Xが5%以上10%未満
△:割合Xが10%以上30%未満
×:割合Xが30%以上
【0177】
(7)電極上のはんだの配置精度
得られた接続構造体おいて、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Yを評価した。電極上のはんだの配置精度を以下の基準で判定した。
【0178】
[電極上のはんだの配置精度の判定基準]
○○:割合Yが70%以上
○:割合Yが60%以上70%未満
△:割合Yが50%以上60%未満
×:割合Yが50%未満
【0179】
(8)電極上のはんだのばらつき
得られた接続構造体の100個の電極について、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Zを算出した。割合Zの最大値と最小値とから、電極上のはんだのばらつきを以下の基準で判定した。
【0180】
[電極上のはんだのばらつきの判定基準]
○○:割合Zの最大値と最小値との差が30%未満
○:割合Zの最大値と最小値との差が30%以上40%未満
×:割合Zの最大値と最小値との差が40%以上
【0181】
(9)上下の電極間の導通信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を以下の基準で判定した。
【0182】
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
【0183】
(10)隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃及び湿度85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間に、5Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を以下の基準で判定した。
【0184】
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が10Ω以上
○:接続抵抗の平均値が10Ω以上10Ω未満
△:接続抵抗の平均値が10Ω以上10Ω未満
×:接続抵抗の平均値が10Ω未満
【0185】
結果を下記の表1~3に示す。
【0186】
【表1】
【0187】
【表2】
【0188】
【表3】
【0189】
フレキシブルプリント基板、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。
【符号の説明】
【0190】
1,1X…接続構造体
2…第1の接続対象部材
2a…第1の電極
3…第2の接続対象部材
3a…第2の電極
4,4X…接続部
4A,4XA…はんだ部
4B,4XB…硬化物部
11…導電材料
11A…第1のはんだ粒子
11B…熱硬化性成分
11C…第2のはんだ粒子
図1
図2
図3