(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
A61B 90/80 20160101AFI20240710BHJP
A61B 90/70 20160101ALI20240710BHJP
【FI】
A61B90/80
A61B90/70
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019173782
(22)【出願日】2019-09-25
【審査請求日】2022-09-02
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592245823
【氏名又は名称】エルベ エレクトロメディジン ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Erbe Elektromedizin GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・ネアゴス
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・シェーファー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・エンデルレ
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0230820(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0181917(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0326621(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154617(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0109899(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0125742(US,A1)
【文献】米国特許第04376376(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0164133(US,A1)
【文献】特開2005-262037(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0175433(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0232171(US,A1)
【文献】特開2013-150987(JP,A)
【文献】特開2012-223688(JP,A)
【文献】特開平08-336573(JP,A)
【文献】特開2014-100563(JP,A)
【文献】特表2008-515606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル出口(16)を備えた医療器具(10)と、生成装置(12)と、を備える装置(11)であって、
前記医療器具(10)である器具(10)は、エアロゾルライン(20)によって生成装置(12)に流体的に接続され、
前記生成装置(12)は、前記医療器具(10)によって分配するためのエアロゾルを、ガス流によって液体を蒸発させることによって生成するように構成され、
前記生成装置(12)は、液体およびガスを一緒に混合するための混合ユニット(25)を備え、
前記混合ユニット(25)は、前記混合ユニット(25)に液体を供給するために液体容器(49)に接続され、
前記生成装置(12)は、前記液体を前記液体容器(49)から前記混合ユニット(25)に押し出すために、圧力下のガスのガス圧を利用して前記液体に圧力をかけるように構成され、
前記混合ユニット(25)は、狭窄部(27)を備えたチャネル(26)を有し、
前記チャネル(26)は、前記狭窄部(27)の上流の圧力源(36)に接続され、
前記液体容器(49)は、前記狭窄部による圧力降下によって前記液体を前記液体容器(49)から前記チャネル(26)内に搬送するために、前記狭窄部(27)においておよび/または前記狭窄部(27)の下流で前記チャネル(26)に接続される、
装置(11)。
【請求項2】
前記生成装置(12)と前記エアロゾル出口(16)との間、または前記生成装置(12)と前記器具(16)との間の前記エアロゾルライン(20)の長さは、少なくとも1メートルである、
請求項1に記載の装置(11)。
【請求項3】
前記生成装置(12)は、前記液体が電動ポンプなしで前記生成装置(12)に搬送されるように構成される、
請求項1または2に記載の装置(11)。
【請求項4】
前記生成装置(12)は、電動ポンプなしで前記エアロゾルを前記エアロゾル出口(16)に搬送するように構成される、
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項5】
前記生成装置(12)は、加圧ガス用の供給源(36)としてのガスボトル(36)に接続される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項6】
前記液体は、前記加圧ガスで圧力をかけることができる加圧容器(36)内に含まれる、
請求項5に記載の装置(11)。
【請求項7】
前記生成装置(12)は、前記液体を前記混合ユニット(25)に搬送するために外側から前記液体容器(49)に圧力がかけられるように構成される、
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項8】
前記液体容器(49)は、圧縮されるように構成される、
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項9】
前記液体容器(49)は、加圧容器(45)内に配置され、
前記加圧容器(45)は、加圧ガスを装填可能である、
請求項
8に記載の装置(11)。
【請求項10】
前記ガスの前記ガス圧は、前記液体容器(49)上に直接作用する、
請求項8
または9に記載の装置(11)。
【請求項11】
前記チャネル(26)は、前記狭窄部(27)の上流で、前記圧力源(36)に接続され、
前記生成装置(12)は、前記圧力源を使用して前記液体に圧力をかける、
請求項1から
10のいずれか一項に記載の装置(11)。
【請求項12】
前記圧力源(36)に接続されたライン(35、26)は、前記ライン(35、36)から前記狭窄部(27)にガスを提供し、前記液体に圧力をかけるためのガスを提供するために、前記狭窄部(27)と前記圧力源(36)との間で分岐する、
請求項
11に記載の装置(11)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾルを施与するための医療器具、およびエアロゾルの生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2011/029572号および国際公開第2011/029573号は、器具の遠位端上にヘッドを備える医療器具を開示しており、ここでは、液体、特に生理食塩水、およびガス、例えばCO2が、ガス内で細かく分割された液滴の混合物(エアロゾル)を器具によって分配するために組み合わせられる。
【0003】
公報の欧州特許出願公開第0740926号明細書は、エアロゾルジェット形成構成要素を備える装置を説明している。
【0004】
医療器具、特に医療器具の遠位端上にあるヘッド、またはアプリケータは、清潔で無菌である必要があるため、単回使用を意図することが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、エアロゾルを分配するための器具の改良された概念を述べることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の医療器具、および請求項6に記載のエアロゾルの生成装置によって達成される。
【0007】
本発明の1つの態様では、医療器具が、開示される。本発明による医療器具は、医療器具によってエアロゾルを分配するためのエアロゾル出口を有する。エアロゾルライン、特に好ましくはエアロゾルホースライン(以下、ホースラインとも呼ばれる)によって、器具は、生成装置に流体的に接続され、この生成装置はエアロゾルを生成し、医療器具によってエアロゾルを分配するためにエアロゾルラインにエアロゾルを供給するように構成される。生成装置は、ガス流により液体を気化させることによってエアロゾルを生成するように構成される。
【0008】
本発明による医療器具の実施形態は、例えば、開腹手術または内視鏡、特に腹腔鏡手術のための器具であってよい。
【0009】
実施形態を考慮すると、器具はハンドリングセクションを有し、このハンドリングセクションは、エアロゾル出口を有し、ハンドリングセクションは、エアロゾルライン、例えばエアロゾルホースラインによって生成装置に流体的に接続される。
【0010】
例えば、ハンドリングセクションは、アプリケータまたはハンドグリップ部によって形成され得る。ハンドリングセクションは、医療器具で実施される処置中に医療器具を案内、制御するように、および/または、例えば、エアロゾルの所望の分配方向にエアロゾル出口を配向するように構成される。
【0011】
例えば、医療器具は、エアロゾルを分配するためのプローブであってよく、このプローブは、プローブの遠位端が内視鏡の遠位端上の作業チャネルから突出するように、内視鏡の作業チャネル内に配置されるように構成され得る。出口は、プローブの遠位端上に配置され得る。
【0012】
医療器具は、使用後に医療器具をエアロゾルの生成装置から結合解除して、例えば未使用の医療器具を生成装置に接続するために、生成装置に取り外し可能に接続されることが好ましい。
【0013】
医療器具は、器具内に、例えば器具のハンドリングセクション内に、エアロゾル生成ユニットまで互いに独立してガスおよび液体を搬送するための個別のガスおよび流体のラインが必要とされないような範囲で簡易化され得る。生成装置から器具まで、諸実施形態ではハンドリングセクションまでの好ましくは可撓性のエアロゾルラインで十分となる。当然ながら、医療器具は追加のライン、これもまたガスラインまたは流体ラインおよび/または電気ラインを備えることができ、これらのラインは器具まで、この実施形態ではハンドリングセクションまで繋がることができるが、好ましくは、医療器具内、例えば医療器具のハンドリングセクション内のエアロゾル生成には使用されない。
【0014】
器具内、例えば器具のハンドリングセクション内またはハンドリングセクション上に、エアロゾルを生成するための混合ユニットへの2つの専用ラインを備えた器具とは対照的に、器具内、例えば器具のハンドリングセクション内またはハンドリングセクション上に、エアロゾルを生成するための生成装置が不在である場合、開発および製造コストを低減することが可能である。単回使用製品の場合、開発および製造コストは、特に低くしなければならない。これにより、医療器具は開発および製造に関して特に費用対効果が高くなる。医療器具は、単回使用器具であってよい。
【0015】
好ましくは、エアロゾルラインを用いて、エアロゾルの生成装置と器具との間、諸実施形態では、エアロゾルの生成装置とハンドリングセクションとの間、または生成装置とエアロゾル出口との間に大きな距離を実現することが可能である。好ましくは、生成装置とエアロゾル出口または器具との間のエアロゾルラインの長さは、少なくとも1メートル、特に好ましくは少なくとも2メートルである。
【0016】
器具の使用中、エアロゾルの生成装置は、好ましくは、例えば運搬装置を介してベースによって支持される。生成装置は、例えば、ベースによって支持される運搬装置によって運ばれ得る。そのような実施形態を参照すれば、器具のユーザは、器具の医療用途での使用中、生成装置の重量を自分で運ぶ必要はない。例えば、生成装置は、電極に印加される電気HF出力を提供するデバイス上に配置されてよく、その電極は、本発明の器具の実施形態では、器具内または器具上、例えば、ハンドリングセクション内またはハンドリングセクション上に配置され得る。装置は、例えば運搬装置を介してベースによって支持され得る。
【0017】
器具またはもしある場合ハンドリングセクションは、好ましくは、生成装置に対して移動され得る。生成装置は、医療用途での使用中に器具の移動によって生成装置が器具と共に必ずしも移動されないように、器具、またはもしある場合ハンドリングセクションから結合解除され得る。好ましくは、生成器具は、本発明による器具を備える装置の近位端上に配置される。代替的または追加的に、ハンドリングセクションは、本発明による器具を備える装置の遠位端上に配置される。
【0018】
器具を備えた装置は、電動ポンプなしで液体が生成装置に搬送される場合、特にコスト効果が高く、それと共に特に静かに簡単に制御する。液体を混合ユニットに押し込むことによる液体の受動的な輸送または混合が大気圧を超える圧力によって、および/またベンチュリポンプまたはジェットポンプの原理に基づく吸引によって達成される場合、例えばシリンジポンプまたはローラポンプなどの液体用の能動的搬送ユニットを省略することができる。
【0019】
本発明の別の態様では、エアロゾルを生成することができる生成装置が、述べられる。例えば、生成装置は、本明細書に説明する本発明の器具を備えた装置において使用され得る。しかし、生成装置は、本明細書において説明する本発明の器具の実施形態とは無関係に使用することもできる。本発明による生成装置は、器具によってエアロゾルを分配できるように、例えば開腹手術または内視鏡、特に腹腔鏡手術のために、エアロゾルで器具を装填するために使用され得る。
【0020】
生成装置は、液体およびガスを互いに混合してエアロゾルを生成するための混合ユニットを備える。混合ユニットは、混合ユニットに液体を供給するために液体容器に接続される。生成装置は、液体を液体容器から混合ユニットに押し出すために、大気圧を上回る圧力がかけられたガス(加圧ガス)のガス圧力を使用して液体を加圧するように構成される。そうする際、ガスは、液体表面を直接押すことができる。あるいは、ガスは、容器、例えば液体を含むバッグを押してもよい。ガスは、ピストンまたは膜を押しつけ、ピストンまたは膜はさらに、液体または液体容器、例えばバッグを直接押してもよい。
【0021】
圧縮可能な液体容器、例えば、混合ユニットとの接続のためのポートまで閉じられたバッグが加圧容器内に配置される、本発明による生成装置の実施形態は、液体の供給が、例えば液体容器、例えばバッグ、または液体容器を含む加圧容器の配向に関係無いことを確実にすることができるという利点を有する。
【0022】
好ましくは、液体供給は、液体容器の位置とは関係ない。これは、好ましくは、液体容器の配向および位置に関係なく、液体を供給するための混合ユニットの接続部上に作用する最小液体圧力が常に存在するということで達成される。これは、液体に圧力をかけることによって達成され得る。
【0023】
生成装置が、加圧ガスの供給源として、例えばガスボトルなどの固定式もしくは可動式加圧貯蔵装置、または固定式加圧ガスネットワークに接続される場合、装置は特に簡単である。例えば、CO2がガスとして使用されてよい。好ましくは、供給源は、数バールの圧力のガスを提供するように構成される。
【0024】
エアロゾルを生成するために液体と混合されるガスと、液体を押すように決定されるガスとが、同じガス源から発生する場合、2つの独立したガス源(例えば2つのガスボトル)を提供する必要はない。むしろ、1つのガス源(例えば、1つのガスボトル)で十分であり、前記ガス源は、混合ユニットに供給するために、および液体容器内の液体に圧力をかけるためにガスを送出する。
【0025】
この実施形態では、液体を混合ユニットに搬送するために、外部からの圧力が液体を含む液体容器にかけられる。
【0026】
好ましくは、液体容器は、液体容器を圧力によって圧縮できるようにするために、したがって液体を液体容器から混合ユニットに押し出すために、圧縮されるように構成され、意図される。
【0027】
例えば、液体容器は、バッグであってよい。好ましくは、生成装置が使用される病院内で利用可能であるような標準バッグが使用される。標準的なバッグが使用される場合、装置用の特別な液体容器の充填が省略され得る。例えば、流体は、無菌の等張生理食塩水であってよい。例えば、バッグは、病院内で一般的に使用されるような輸液バッグであってよい。
【0028】
この実施形態では、液体容器は加圧容器内に配置され、その場合、液体を液体容器から混合ユニットに押し出すために加圧容器に圧力がかけられる。加圧容器では、ガスのガス圧力は、液体容器上に直接作用することができる。これにより、生成装置が特に簡単になる。あるいは、圧力は、例えば、膜またはピストン上に作用することができ、この膜またはピストンは液体容器上に作用する。または、液体は、ピストンによって互いに分離された2つの作業チャンバの一方内のシリンダー内に配置され、その場合、他方の作業チャンバは、液体をピストンによって作業チャンバから押し出すために加圧ガスによって加圧される。
【0029】
諸実施形態では、加圧容器の壁が液体が流出するのを防止するという点で、加圧容器自体が液体容器であってよい。圧力は、チャンバ内の流体レベルの上方の加圧ガスによってかけることができ、前記ガスは、液体を加圧容器から押し出すために液体表面と潜在的に接触している。
【0030】
好ましくは、混合ユニットは、液体をガスと混合するためにベンチュリポンプまたはジェットポンプ原理に従って機能する。混合ユニットは、好ましくは、狭窄部を備えたチャネルを備え、その場合、チャネルは、狭窄部の上流の圧力源に接続され、そしてその場合、流体容器は、狭窄部の下流および/または狭窄部のチャネルに接続される。チャネルが狭窄部の上流で加圧ガスによって供給される場合、ガスの流れは加速され、狭窄部内および狭窄部の下流の静圧が狭窄部によって低下する。流体ラインが液体容器から、混合ユニットへの静圧が低下した領域に接続される場合、静圧の低減により、エアロゾルを生成するために加速ガスによって引き寄せられる液体によるチャネルの装填が促進される。
【0031】
チャネルが狭窄部の上流で加圧ガスの同じ圧力源に接続される場合、特に簡単な設計が得られ、この圧力源もまた、液体容器内の液体に圧力をかけて前記液体を混合ユニットに押し入れるように構成される。特に、チャネルは、例えば、ガスボトルまたは加圧ガスネットワーク、例えば、建物、特に病院の建物の加圧ガスネットワークなどの加圧ガス貯蔵装置(固定式または可動式)に接続され得る。その場合、加圧ガス貯蔵装置または加圧ガスネットワークもまた、流体容器内の流体に圧力を加えるように構成される。例えば、チャネルの狭窄部と圧力源との間に、2つのブランチラインを備えたライン分岐点を設けることができ、その場合、一方のブランチラインは狭窄部につながり、他方は加圧容器につながる。生成装置が圧力源に接続されたラインを備え、前記ラインは、ラインから狭窄部にガスを供給し、ガスをもたらして圧力を液体にかけるために、狭窄部と圧力源との間を分岐する場合、そのような分岐点は、好ましくは、混合ユニット内に配置される。圧力源からのガス流は、2つの部分流に分割され、その第1の部分流は、混合ユニットに流れ、第2の部分流は、第2の部分流によって液体に圧力をかけるために液体容器に流れる。
【0032】
装置では、エアロゾルラインを介してエアロゾルを分配するための器具が、本明細書に説明するように生成装置に接続され、その場合、器具が使用されている間、エアロゾルラインおよび生成装置の近位端は、患者の体外にあるままである。エアロゾルラインの近位端は、エアロゾルラインを介してエアロゾルを生成装置によって器具に供給するために、本明細書に説明する生成装置に接続される。
【0033】
本発明による器具および本発明による生成装置、ならびに本発明による装置のさらなる特徴は、従属請求項、ならびに以下の説明および概略図から推測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】エアロゾルの生成のための本発明による生成装置およびこれに接続された本発明によるハンドリングセクションを備えた器具を備えた、本発明による典型的な装置の図である。
【
図2】例えば
図1のような本発明の生成装置において使用することができる、本発明による生成装置の混合ユニットの典型的な一実施形態の図である。
【
図3a】例えば、
図1のような典型的な実施形態による生成装置において使用するための液体容器を含む加圧容器の図である。
【
図3b】例えば、
図1の典型的な実施形態による本発明による生成装置において使用するための液体容器を含む加圧容器の図である。
【
図4】例えば、
図1のような本発明の生成装置の典型的な実施形態において使用することができる本発明による器具の典型的な一実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、エアロゾルの生成のための本発明による生成装置の典型的な一実施形態およびこれに接続された医療器具の典型的な一実施形態を備えた装置の典型的な一実施形態を示す。
【0036】
図4は、医療器具の典型的な一実施形態を示す。医療器具10は、エアロゾルの生成装置12をさらに備える装置11の一部であってよい。
図1は、本発明による典型的な装置11を示す。医療器具10は、医療処置、特に外科処置が実施されている間に器具10を取り扱うためのハンドリングセクション15を備える。ハンドリングセクションは、ハンドル部またはアプリケータとも呼ばれ得る。ハンドリングセクション15は、エアロゾルを所望の領域内に目的を絞った形で分配するためにハンドリングセクション15上に設けられたエアロゾル出口16を配向するために、外科処置中に器具10が取り扱われている間、ユーザによって保持されたハンドリングセクションにおいて把持されるように構成され意図されるものであることが好ましい。チャネル17が、ハンドリングセクション15内に延び、このチャネルは、ハンドリングセクション15の遠位端上に配置されたエアロゾル出口16において環境内で終わり、そのエアロゾル出口から、エアロゾルをフルコーンスプレーSの形で、またはジェットとして分配することができる。エアロゾルのフルコーンスプレーまたはジェットは、例えば、組織構造を切断せずに押し広げることによる準備のために、湿潤、冷却による熱損傷の防止のために、または液体のすすぎまたは煙の除去による視界の改善のために、または煙の形成の最小化のために使用され得る。エアロゾル出口16の上流に、チャネル17は、エアロゾル出口16からの放出前にエアロゾル流を加速するためのノズルを形成する狭窄部18を有する。器具10を作動させるための少なくとも1つの制御要素19が、ハンドリングセクション15上に配置され、この制御要素は、チャネル17を通るエアロゾルの流れを遮断または除去するために使用され得る。これは、例えば、エアロゾル出口16へのエアロゾルの流れを止めるために、ハンドリングセクション内にチャネル17を形成することができる制御要素19を用いてホースまたはチューブをクランプすることによって達成され得る。生成装置12からハンドリングセクション15まで、エアロゾルライン20がつなげ、このエアロゾルラインによって、ハンドリングデバイスのチャネル17、したがってエアロゾル出口16が、生成装置12に流体的に接続される。エアロゾルライン12は、少なくとも1つのセクションでは、ホースラインである。本発明によれば、エアロゾルは、エアロゾルライン20の近位端21上に配置された生成装置12内で生成される。生成装置12は、装置11の近位端を形成する。エアロゾルを生成するために液体とガスをハンドリングセクション15に別々に輸送するためのラインは、こうして省略され得る。
【0037】
生成装置12は、好ましくは、ベンチュリノズルを含む混合ユニット25を備える。
図2は、
図1による典型的な実施形態において使用できるような混合ユニット25の例を示す。混合ユニット25は、ベンチュリノズルを形成するための狭窄部27を有するチャネル26を備える。狭窄部27の上流でチャネル26に加圧ガスを装填するために、混合ユニット25は、加圧ガス用のポートを有する。狭窄部27の下流では、チャネル26は、流体、特に液体をチャネル26に供給するために、流体用の混合ユニット25のポート30に接続される。流体がチャネル26に入るチャネル26の場所31の下流で、混合ユニット25は、エアロゾル用の分配接続部32を有する。分配接続部32は、エアロゾルライン20に接続され、このエアロゾルラインは、器具10のハンドリングセクション15およびエアロゾル出口16につながる。
【0038】
混合ユニット25は、混合ユニット25に供給源36からの加圧ガスを装填するために、第1の加圧ガスライン35によって、加圧ガス、特にCO2の供給源36に接続される。
図1に示すように、供給源36は、例えば、ガスボトルなどの可動式加圧ガス貯蔵装置、または固定式圧力貯蔵装置であってよい。好ましくは、加圧ガス貯蔵装置36と混合ユニット25との間にポンプまたはコンプレッサはないが、加圧ガス貯蔵装置26の圧力は、エアロゾルの生成に十分なものである。狭窄部27に上流において隣接するチャネル26のセクション40と、加圧ガス貯蔵装置36との間には、加圧ガス貯蔵装置36からの圧力を低減するための減圧装置41が存在する。図示の典型的な実施形態では、これは、減圧装置41であり、加圧ガス貯蔵装置36と加圧ガス用の混合ユニット25の接続部42との間に配置される。減圧装置41は、ガスボトル36によって提供されるガス圧力を、チャネル26のセクション40内で数バールまで低減するように構成され、このセクション40は、狭窄部27の上流に隣接する。ガスの一部をチャネル26のセクション40から分岐させて、この部分によって液体を混合ユニット25にまたはその内部に押し込むために、混合ユニット25は、狭窄部27の上流に、容器45に流体的に接続された第2の加圧ガスライン44内にガスを分岐するための分岐点接続部43を備え、この容器を加圧ガスで装填することができる。その結果、容器45は、第2の加圧ガスライン44によって、混合ユニット25と同じ加圧ガス貯蔵装置36に接続される。当然ながら、混合ユニット25と同じ加圧ガス源36から容器45を装填するための分岐点43は、代替として、混合ユニット25と供給源36との間の混合ユニット25の上流に配置されてもよい。
【0039】
本発明による装置11の実施形態は、加圧ガスで装填できるそのような容器45(加圧容器)を備える。ガス圧により、流体、特に加圧容器45内に含まれる生理食塩水は、容器45から混合ユニット25に押し出される。
【0040】
図3aは、加圧容器45の1つの実施形態の例を示している。加圧容器45は、加圧容器にガスを装填するためのポート46と、液体を分配するためのポート47とを有する。装填用のポート46は、第2の加圧ガスライン44に接続される。加圧容器45自体の壁は、液体が流出することを防止する。
図3aによる加圧容器45は、液体容器49をこうして形成し、この液体容器は、液体51で充填レベルまで満たされる。液体レベル53上方のチャンバ52は、装填用のポート46を介して、数バールの圧力下のガスを装填することができ、それにより、ガスは、液体レベル53を直接的に押し、こうして液体51をポート47から押し出して分配する。分配に使用されるポート47は、液体ライン55に接続され、この液体ライン55は、他端で流体用の混合ユニット25のポートに接続される。
【0041】
図3bは、
図3aによる加圧容器45の実施形態の代替である実施形態の一例を示す。
図3aによる実施形態とは異なり、加圧容器45自体は、圧縮可能な液体容器49、例えばバッグ49を含む。バッグ49周りのチャンバ56は、装填用ポート46を介して、数バールのガス圧を有するガスが装填され、それにより、バッグ49が圧縮され、その場合、液体は、ポート47から押し出されて分配される。例えば、バッグ49は、特に装置11が使用される病院で利用可能な生理食塩水用の標準容器であってよい。例えば、バッグは、標準の輸液バッグである。好ましくは、液体を分配するためのポート47は、医療分野で使用される標準的な接続システムと一致するように構成される。例えば、ポートは、ルアーシステムと一致するルアーロックポートであってよい。例えば、液体容器49は、懸架装置61によって加圧容器48の蓋60から加圧容器45の内部に懸架され得る。あるいは、加圧容器45は、流体容器49が、ガスボトルまたは減圧装置41と狭窄部27の上流のチャネル26のセクション40との間のライン35に接続される加圧容器45内に置かれるように構成されてよく、それにより、ガスボトルからの過剰な圧力は、流体容器49、特にバッグ49上に作用することができる。予め充填された流体容器49、例えば病院で利用可能な輸液バッグなどの標準的なバッグを使用する1つの利点は、流体容器49のような加圧容器45の直接充填を省略できることである。混合ユニットに供給される生理食塩水の無菌性を確実にするための予防措置は、臨床用途のための無菌等張生理食塩水の入った標準バッグ49が使用される場合、より簡単である。
【0042】
図3aおよび3bによる典型的な実施形態の代替策を表す典型的な実施形態では、例えば、膜またはピストンが加圧容器(図示せず)のチャンバを分割することが可能であり、その場合、1つのチャンバ容積部は加圧ガスで満たされ、他のチャンバ容積部は流体を含む。圧力は、加圧ガスによって液柱(
図3aのように)または液体容器(
図3bのように)に直接圧力をかける力で、膜またはピストンにかけられる。代替の典型的な実施形態を参照すれば、加圧容器は、
図3aによる典型的な実施形態のように、液体容器を直接形成するか、または
図3bによる典型的な実施形態のように、可撓性(圧縮性)液体容器を含むことができる。
【0043】
液体容器49と、流体用混合ユニット25のポート30上のチャネル26内のオリフィス31との間には、液体容器とチャネル26内のオリフィス31との間の流体ライン55内の圧力を低減するために絞り装置65が配置され得る。そうする際、液体の流量を調整することができる。絞り装置65上に発生する圧力降下が大きいほど、液体の流量は低くなる。そうする際、ガスと液体の混合比を調整することができる。狭窄部の上流の混合ユニット25のチャネルセクション40では、ガス流の静圧は、狭窄部内よりも大きく、その方向に向かって流れが流動的に加速され、その結果、静圧が低下する。
【0044】
生成装置12および/または供給源36は、好ましくは、例えば1つまたは複数の運搬装置を介してベースによって支持される。
【0045】
装置11は、次のように機能する。ラインおよびチャネル内の流れの方向は、図ではラインおよびチャネルの隣または内部の矢印Pによって特定される。
【0046】
混合ユニット25のチャネル26には、例えば2バール以上、例えば約7バールの数バールの圧力で、ガスボトル36によってCO2などのガスが装填される。ハンドリングセクション15上で、ハンドリングセクション25内のチャネル17を形成するラインの通路が空にされると、ガスはチャネル17および第2の加圧ガスライン44を通って加圧容器45に流れ込み、そこで液体を加圧容器45から混合ユニット25に押し出す。これは、ガス圧力が液体バッグ49上に直接作用して(
図3bにより)前記バッグを圧縮し、したがって、流体ライン55から混合ユニット25内のチャネル26までの液体に直接作用するか、または圧力が(
図3aの典型的な実施形態による)液体表面53上に直接作用することで起こり得る。図示および説明する実施形態では、液体51を混合ユニット25に搬送するために、液体容器49が加圧されるという点で、液体51に圧力を加えることができる。
図3bによる実施形態では、液体供給は、加圧容器45のバッグ49の配向とは関係無く確実にされる。混合ユニット25のチャネル26の狭窄部27によって形成されるベンチュリノズルをガスが流れるとき、狭窄部27を形成するチャネル26の最も狭い点は、最大動圧および最小静圧を示す。ガスが混合ユニット25のチャネル26を通って流れるとき、ガスは、チャネルの狭窄部27で加速され、その場合、静圧は低下し、したがって加圧容器45内側の圧力よりも低くなる。その結果、ガスは液体を液体ライン55からガス流に吸い込み、その場合、液体は気化して液滴になり、この液体は、ガス流に沿って運ばれる。狭窄部27の上流に隣接する混合ユニット25のチャネル26のセクション40は、
図3aによる典型的な実施形態では、生理食塩水によって占有される容器45の下側チャンバ50bに接続される。狭窄部27内の静圧と圧力容器45内の圧力との差の結果、生理食塩水は、ガス流内のその下流の狭窄部27に搬送され、そこでガス流と混合される。加圧容器45内の圧力は、狭窄部27に上流の隣接するチャネル26のセクション40内の圧力の関数であり、その理由は、加圧容器45が第2の加圧ガスライン44を介してセクション40に接続されているためである。
【0047】
このようにして生成されたエアロゾルは、混合ユニット25のエアロゾル出口からエアロゾルライン20に入り、ハンドリングセクション15内のチャネル17を通ってハンドリングセクション15上の器具10のエアロゾル出口16に搬送され、ここで分配される。狭窄部18によって形成される、ハンドリングセクション15上のエアロゾル出口16の上流のノズルにおいて、エアロゾルの流れは、ノズルによって加速される。
【0048】
説明する実施形態のように、器具10の近位端21上でエアロゾルの混合が起こる場合、ハンドリングセクション15(エアロゾルアプリケータ)の遠位端へのガス-水混合物の継続的な輸送は、エアロゾルライン20を通すだけで起こることができ、それにより、別のラインは不要となる。例えば、混合ユニット25は、器具10が接続される装置内に配置され得る。ガスおよび流体が合流する装置側混合ユニット25は、例えばY字形状を有することができる。
【0049】
そうする際、液体流の輸送は、好ましくは、受動輸送ユニットを用いて、すなわち、電動ポンプなしで行われ得る。好ましくは、液体容器49と、流体が混合ユニット25内のチャネル26に入る場所31との間に電動ポンプは存在せず、このポンプは、混合ユニット25のチャネル26内で液体を輸送するように構成および意図されるものである。そうする際、本発明の実施形態によれば、例えばガスボトルなどの加圧ガス貯蔵装置36の圧力は、さらに好ましくはジェットポンプを形成し得る混合ユニット25に供給し、他方では、流体容器49から混合ユニット25に流体を押し出すために使用される。例えば、シリンジポンプまたはローラポンプなどの液体用の能動的輸送ユニットを備える装置と比較して、本発明による装置11は、液体容器49と混合ユニット45との間のそのようなポンプが省略される実施形態では、デバイス内の能動的輸送ユニットにかかるコストを節約できるという利点を提供する。この結果、本発明による装置11は、製造および保守が比較的安価であり、したがって比較的より好都合である。さらに、流体の質量流量は、第1の加圧ガスライン35内に加えられる圧力の関数である。したがって、吸引される液体の量もまた、第1の加圧ガスライン35内の圧力の関数である。したがって、提案された輸送は、自己調整を提供する。狭窄部27を有する混合ユニット25によって形成されたジェットポンプの、流体ライン55に対する吸引が強くなるほど、加圧容器45によって圧力をかけることによる流体容器49から流体ライン55内への液体の押し出しはより強くなる。
【0050】
開示されるのは、エアロゾルライン20を介して生成装置12に流体的に接続されたエアロゾル出口16を備えた医療器具10である。生成装置12は、医療器具10によって分配するためのエアロゾルを生成するように構成される。加えて、生成装置12の実施形態では、例えば、本発明による器具10を備えた装置11において使用できる生成装置12が、述べられる。生成装置12は、液体およびガスを一緒に混合するための混合ユニット25を備え、この混合ユニット25は、混合ユニット25に液体を供給するために液体容器49に接続され、その場合、生成装置12は、液体を液体容器49から混合ユニット25に押し出すために、圧力下にあるガスのガス圧を利用して液体に圧力をかけるように構成される。
【符号の説明】
【0051】
10 医療器具
11 装置
12 生成装置
15 ハンドリングセクション
16 エアロゾル出口
17 チャネル
18 狭窄部
19 制御要素
20 エアロゾルライン
21 近位端
25 混合ユニット
26 混合ユニットのチャネル
27 混合ユニットのチャネルの狭窄部
30 ポート
31 場所/オリフィス
32 分配接続
35 第1の加圧ガスライン
36 供給源/加圧ガス貯蔵装置/ガスボトル
40 セクション
41 減圧装置
42 接続部
43 分岐点接続部/分岐点
44 第2の加圧ガスライン
45 容器/加圧容器
46 ポート
47 ポート
48 加圧容器の壁
49 液体容器/バッグ
51 液体
52a チャンバ
52b チャンバ
53 液体レベル
55 液体ライン
56 チャンバ
60 蓋
61 懸架装置
65 絞り装置
S フルコーンスプレーアロゾル
P 矢印