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特許7518613容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20240710BHJP
   B65B 57/00 20060101ALI20240710BHJP
   B65B 57/02 20060101ALI20240710BHJP
   B65D 1/00 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
B65B57/00 A
B65B57/02 C
B65D1/00 120
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019236693
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021105554
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-07-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000222222
【氏名又は名称】東洋ガラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 寿
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】内藤 弘規
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-226724(JP,A)
【文献】特表2019-517670(JP,A)
【文献】特開2001-116700(JP,A)
【文献】特開2003-107010(JP,A)
【文献】特開2007-24775(JP,A)
【文献】特開昭59-114445(JP,A)
【文献】特開2017-9580(JP,A)
【文献】実開平6-67998(JP,U)
【文献】登録実用新案第3185364(JP,U)
【文献】特開2012-132929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 - 21/958
B65B 57/00 - 57/20
B65D 1/00 - 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の外周面に設けられた装飾部にずれが生じているか否かを検査するための容器検査装置であって、前記容器はガラスびんからなる容器本体を含み、前記装飾部は前記容器本体の外周面に取り付けられた樹脂フィルムであり、
前記容器の側方に配置された反射部と、
前記反射部を介して前記装飾部の上縁又は下縁を主として撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像に基づいて、前記装飾部にずれが生じているか否かを判定する判定装置と
選択的に使用可能な複数種の光源と
を備え、
前記反射部は、前記容器の周方向に互いに離間して配置された第1ミラー及び第2ミラーを含み、
前記撮像部は、前記第1ミラーに対応して配置された第1カメラと、前記第2ミラーに対応して配置された第2カメラとを含み、
高さ位置を調整するように、前記第1ミラー及び前記第1カメラを含む第1ペアと、前記第2ミラー及び前記第2カメラを含む第2ペアとを一体に変位可能に支持する基台
をさらに備え、
前記基台は、
下部基材と、
前記下部基材を支持する複数の脚部と、
前記下部基材の上面に立てられた長手状の支柱と、
前記反射部及び前記撮像部を支持するための支持部と、
前記支柱と前記支持部との間に介在されており、前記支持部を支持するとともに、前記支持部の高さ位置を調整するための位置調整部と
を含んでおり、
前記支持部は、
前記位置調整部に取り付けられた上部基材と、
基端部が前記上部基材の上面に固定され、先端部が前記容器の周方向に互いに離間するように配設された長手状の第1及び第2横腕材と、
前記第1及び第2横腕材の先端に固定され、前記支柱と平行に延在された長手状の第1及び第2縦腕材と
を含んでおり、
前記第1縦腕材の上部に前記第1カメラが取り付けられ、前記第1縦腕材の下部に前記第1ミラーが取り付けられ、
前記第2縦腕材の上部に前記第2カメラが取り付けられ、前記第2縦腕材の下部に前記第2ミラーが取り付けられており、
前記複数種の光源は、
前記容器の上方に配置されたリング状の第1光源、
前記容器の側方に配置されるとともに前記容器にて反射された反射光を前記撮像部に入射させる第2光源、及び
前記容器の側方に配置されるとともに前記容器を透過した透過光を前記撮像部に入射させる第3光源
を含み、
前記第3光源が使用される際に前記第3光源及び前記撮像部の前にそれぞれ配置可能な一対の円偏光板
をさらに備える、
容器検査装置。
【請求項2】
前記基台は、前記反射部及び前記撮像部の傾きを一体に調整可能に前記反射部及び前記撮像部を支持している、
請求項1記載の容器検査装置。
【請求項3】
前記基台は、前記容器を搬送するコンベアに接続されており、前記第1ペアと前記容器との間の光路及び前記第2ペアと前記容器との間の光路が前記コンベアの上面と平行な状態を維持した状態で、前記コンベアに対する前記第1ペア及び前記第2ペアの高さ位置を調整できるように構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の容器検査装置。
【請求項4】
前記第3光源は、青色光を発する、
請求項記載の容器検査装置。
【請求項5】
前記第3光源の不使用時に前記第3光源を覆うカバー
をさらに備える、
請求項又は請求項に記載の容器検査装置。
【請求項6】
前記判定装置は、
前記撮像部から画像のデータの入力を受けた後、前記画像において基準線及び検査領域を設定し、前記基準線は想定される前記装飾部の縁部の延在線に沿って設定され、
前記検査領域中の前記縁部の最も高い位置及び最も低い位置のデータを取得し、前記データは、前記検査領域中の前記縁部の最も高い位置と前記基準線との間の高さ方向に係る座標差である極大値と、前記検査領域中の前記縁部の最も低い位置と前記基準線との間の高さ方向に係る座標差である極小値とを含み、
前記極大値又は前記極小値の絶対値が所定の閾値を超えたとき、前記装飾部にずれが生じていると判定する、
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の容器検査装置。
【請求項7】
前記判定装置は、
前記第1カメラによって撮像された画像と、前記第2カメラによって撮像された画像とにおいて前記データを取得し、
各画像の前記極大値のうち最大の前記極大値である最大値を選定するとともに、各画像の前記極小値のうち最小の前記極小値である最小値を選定し、
前記最大値と前記最小値との差が所定値を超えたとき、前記装飾部にずれが生じているとさらに判定する、
請求項に記載の容器検査装置。
【請求項8】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の容器検査装置を用いて容器の検査を行う工程を含む、
容器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の外周面に設けられた装飾部にずれが生じているか否かを検査するための容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来用いられていたこの種の容器検査装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている装置を挙げることができる。すなわち、従来装置では、容器の側方に配置されたカメラにより容器の装飾部を撮像している。そして、カメラによって撮像された画像に基づき装飾部にずれが生じているか否かが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-176904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラによって撮像される画像に歪みが生じると、装飾部にずれが生じているか否かの判定精度が低くなってしまう。画像に歪みが生じることを避けるためには、容器からカメラをある程度離すことが好ましい。上記のような従来装置では、カメラを容器の側方に配置しているので、容器から撮像部までの距離(光路長又はワーキングディスタンス)を広げようとすると、装置全体の設置スペースが水平方向に広がってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、容器から撮像部までの光路長を広げても装置全体の設置スペースが水平方向に広がることを回避することができる容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法を提供することである。また、本発明の目的の一つは、偏光の方向性を利用して、画像に基づく容器の検査精度を向上できる容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る容器検査装置の一態様は、容器の外周面に設けられた装飾部にずれが生じているか否かを検査するための容器検査装置であって、容器はガラスびんからなる容器本体を含み、装飾部は容器本体の外周面に取り付けられた樹脂フィルムであり、容器の側方に配置された反射部と、反射部を介して装飾部の上縁又は下縁を主として撮像する撮像部と、撮像部によって撮像された画像に基づいて、装飾部にずれが生じているか否かを判定する判定装置と、選択的に使用可能な複数種の光源とを備え、反射部は、容器の周方向に互いに離間して配置された第1ミラー及び第2ミラーを含み、撮像部は、第1ミラーに対応して配置された第1カメラと、第2ミラーに対応して配置された第2カメラとを含み、高さ位置を調整するように、第1ミラー及び第1カメラを含む第1ペアと、第2ミラー及び第2カメラを含む第2ペアとを一体に変位可能に支持する基台をさらに備え、基台は、下部基材と、下部基材を支持する複数の脚部と、下部基材の上面に立てられた長手状の支柱と、反射部及び撮像部を支持するための支持部と、支柱と支持部との間に介在されており、支持部を支持するとともに、支持部の高さ位置を調整するための位置調整部とを含んでおり、支持部は、位置調整部に取り付けられた上部基材と、基端部が上部基材の上面に固定され、先端部が容器の周方向に互いに離間するように配設された長手状の第1及び第2横腕材と、第1及び第2横腕材の先端に固定され、支柱と平行に延在された長手状の第1及び第2縦腕材とを含んでおり、第1縦腕材の上部に第1カメラが取り付けられ、第1縦腕材の下部に第1ミラーが取り付けられ、第2縦腕材の上部に第2カメラが取り付けられ、第2縦腕材の下部に第2ミラーが取り付けられており、複数種の光源は、容器の上方に配置されたリング状の第1光源、容器の側方に配置されるとともに容器にて反射された反射光を撮像部に入射させる第2光源、及び容器の側方に配置されるとともに容器を透過した透過光を撮像部に入射させる第3光源を含み、第3光源が使用される際に第3光源及び撮像部の前にそれぞれ配置可能な一対の円偏光板をさらに備える。
【0008】
本発明に係る容器製造方法は、上述の容器検査装置を用いて容器の検査を行う工程を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法の一態様によれば、撮像部が反射部を介して装飾部を撮像するので、容器から撮像部までの光路長を広げても装置全体の設置スペースが水平方向に広がることを回避することができる。また、本発明の容器検査装置及びそれを用いた容器製造方法の一態様によれば、光源及び撮像部の前に一対の円偏光板が配置されるので、偏光の方向性を利用して、画像に基づく容器の検査精度を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態による容器検査装置の検査対象である容器を示す正面図である。
図2】本発明の実施の形態による容器検査装置を示す側面図である。
図3図2の容器検査装置を示す平面図である。
図4図2の第3光源に関わる構成を示す説明図である。
図5図4の構成の変形例を示す説明図である。
図6図2の反射部及び撮像部を支持する基台を示す側面図である。
図7図6の基台を示す平面図である。
図8図2の撮像部によって撮像された画像の一例を示す説明図である。
図9】本発明の実施の形態による容器製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態による容器検査装置の検査対象である容器1を示す正面図である。本実施の形態では、検査対象である容器1を、飲料が充填されるびんとして説明する。但し、容器1の用途は、飲料の充填に限定されず、他の固形物、半固形物又は液体の収納であってもよい。
【0013】
容器1には、容器本体10及び装飾部11が設けられている。
【0014】
本実施の形態の容器本体10は、透明又は半透明なガラスで形成された有底筒状の部材である。ガラスは、無色の透明ガラスであってもよいが、色ガラスであってもよい。但し、容器本体10は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)等の他の素材によって構成されていてもよい。
【0015】
容器本体10には、口部100、肩部101及び胴部102が設けられている。口部100は、容器本体10の内外を連通する開口を有する筒状の部分であり、容器本体10の上部に設けられている。肩部101は、口部100の下端と胴部102の上端とを接続する部分である。肩部101の内径は、口部100から胴部102に向けて徐々に拡大されている。胴部102は、肩部101の下部に設けられた筒状の部分である。胴部102の内径は、容器本体10の高さ方向に一様とされている。
【0016】
装飾部11は、容器1の外周面に設けられた装飾である。本実施の形態では、容器本体10の外周面に付けられた樹脂フィルムとして装飾部11を説明する。限定はされないが、樹脂フィルムは、熱収縮により容器本体10に巻き付けるか、又は樹脂フィルムの裏面に付着された接着剤により容器本体10に貼り付けることができる。但し、装飾部11は、例えば紙製ラベル、機械加工部又はコーティング等の樹脂フィルム以外の構成であってもよい。機械加工部には、例えばフロスト加工部など、成形後の容器本体10に機械的な加工を加えることで形成されるものが含まれる。コーティングには、容器本体10の外周面に樹脂剤を塗布することで形成される樹脂コーティングが含まれる。
【0017】
装飾部11には、上縁110が設けられている。本実施の形態では、容器本体10の高さ方向に係る肩部101の上部の所定位置において容器本体10の径方向に沿って上縁110が延在するように装飾部11が設けられることが想定されている。しかしながら、例えば装飾部11の上縁110が胴部102に位置するなど、装飾部11の形状及び/又は配置は任意である。容器本体10を水平面に載置したとき、容器本体10の径方向は水平方向と同義であり得る。
【0018】
容器1の製造過程において、装飾部11にずれが生じることがある。装飾部11のずれには、図1において一点鎖線L1で示すように上縁110の高さ位置が所定位置から大きく離れている状態(上縁110の高さ位置が高すぎるか又は低すぎる状態)、及び図1において一点鎖線L2で示すように上縁110が大きく傾いている状態が含まれる。容器1の製造過程において、装飾部11にずれが生じている容器1を発見し、その容器1を次工程に搬送せずに、再検査のため貯めるか又は廃棄することが好ましい。
【0019】
次に、図2は本発明の実施の形態による容器検査装置2を示す側面図であり、図3図2の容器検査装置2を示す平面図である。なお、図面が複雑になることを避けるため、図2及び図3において一部の構成の図示を省略している。
【0020】
図2に示す容器検査装置2は、容器1の装飾部11にずれが生じているか否かを検査するための装置である。図2に示すように、容器検査装置2は、反射部3、撮像部4、判定装置5及び光源部6を含んでいる。
【0021】
反射部3は、光を反射する機器によって構成されるものであり、容器1の側方に配置されている。撮像部4は、反射部3を介して装飾部11を撮像する機器である。判定装置5は、例えば所定のプログラムに基づいて演算処理を行うコンピュータ又は専用回路等によって構成されるものであり、撮像部4によって撮像された画像に基づいて、装飾部11にずれが生じているか否かを判定する。
【0022】
本実施の形態の撮像部4は、主として装飾部11の上縁110を撮像する。本実施の形態では、撮像部4から装飾部11の上縁110まで延びる光路4aが反射部3において折り曲げられている。水平方向に係る容器1と撮像部4との離間距離4bは、光路4aの長さよりも短くされている。これにより、容器1から撮像部4までの光路4aを広げても装置全体の設置スペースが水平方向に広がることを回避することができる。
【0023】
なお、光路4aには、容器1から反射部3までの第1光路4a1と、反射部3から撮像部4までの第2光路4a2とが含まれている。図2では、第1光路4a1が第2光路4a2よりも長いように示しているが、第1光路4a1が第2光路4a2と同じ長さであってもよいし、第2光路4a2が第1光路4a1より長くてもよい。
【0024】
また、本実施の形態の反射部3は、光路4aを直角に折り曲げるように配設されている。しかしながら、反射部3が光路4aを折り曲げる角度は、任意であり、90°未満であってもよいし、90°超であってもよい。反射部3は、傾斜角度が調整可能に設けられることができる。
【0025】
本実施の形態の撮像部4は、反射部3の上方に配置されている。しかしながら、撮像部4は、反射部3の下方に配置されていてもよい。すなわち、反射部3は、光路4aを下方に向けて折り曲げてもよい。撮像部4が反射部3の下方に配置される場合でも、上方に配置する場合と同様に、例えば反射部3が光路4aを折り曲げる角度等の各種条件を任意に変更できる。
【0026】
図3に示すように、本実施の形態の反射部3は、容器1の周方向に互いに離間して配置された複数のミラー31~33を含んでいる。また、本実施の形態の撮像部4は、複数のミラー31~33に対応して配置された複数のカメラ41~43を含んでいる。各カメラ41~43は、対応する各ミラー31~33を介して装飾部11の上縁110を撮像する。
【0027】
より具体的には、反射部3は、容器1の周方向に120°間隔で配置された第1~第3ミラー31~33を含んでいる。また、撮像部4は、第1ミラー31に対応して配置された第1カメラ41、第2ミラー32に対応して配置された第2カメラ42、及び第3ミラー33に対応して配置された第3カメラ43を含んでいる。第1カメラ41は第1ミラー31を介して装飾部11の上縁110を撮像し、第2カメラ42は第2ミラー32を介して装飾部11の上縁110を撮像し、第3カメラ43は第3ミラー33を介して装飾部11の上縁110を撮像する。
【0028】
本実施の形態の容器検査装置2は、各カメラ41~43によって、容器1の全周にわたる装飾部11の上縁110の画像を一時に得ることができるように構成されている。容器1の全周にわたる装飾部11の上縁110の画像を一時に得るとは、容器1の移動を伴わずに容器1の全周にわたる装飾部11の上縁110の画像を得ることを意味し、必ずしも各カメラ41~43による撮像が同時でなくてもよい。
【0029】
仮に、第1~第3ミラー31~33を省略し、容器1の側方に第1~第3カメラ41~43を配置する場合、装置全体の設置スペースが水平方向に大きく広がってしまう。すなわち、反射部3(第1~第3ミラー31~33)により光路4aを折り曲げる構成は、複数のカメラ41~43を用いる場合に特に有用である。但し、反射部3及び撮像部4を構成するミラー及びカメラの数は、任意であり、1、2又は4以上であってもよい。
【0030】
図2に示す光源部6は、撮像部4による装飾部11の上縁110の撮像時に容器1を照らすための構成である。本実施の形態の光源部6は、選択的に使用可能な複数種の光源61~63を含んでいる。複数種の光源61~63は、種別又は方式が互いに異なる光源である。本実施の形態の複数種の光源61~63は、すべてが同時に使用されず、いずれか1つが選択されて使用され得る。
【0031】
本実施の形態の複数種の光源61~63は、容器1の上方に配置されたリング状の第1光源61、容器1の側方に配置されるとともに容器1にて反射された反射光を撮像部4に入射させる第2光源62、及び容器1の側方に配置されるとともに容器1を透過した透過光を撮像部4に入射させる第3光源63を含んでいる。
【0032】
本実施の形態の第1光源61は、円環状に配置された発光素子を有する光源であり、容器1の全周にわたって容器1の上方から容器1を照らすことができる。第1光源61の中心軸は、容器1の中心軸と一致されていることが好ましい。第1光源61からの光は、装飾部11の上縁110を含む容器1の上部で反射されて放射状に広がる。第1光源61は、第1~第3カメラ41~43の撮像に共用することができる。しかしながら、容器1の肩部101の傾斜角度によっては、撮像部4(カメラ41~43)によって撮像される画像に第1光源61が写り込んでしまう場合がある。このような場合、第1光源61を使用せず、第2光源62又は第3光源63が使用されることが好ましい。
【0033】
本実施の形態の第2光源62は、装飾部11の上縁110を含む容器1の上部に対して斜め下方から光を照射するように配置されている。第2光源62は、カメラ41~43毎にそれぞれ設けられる。第2光源62は、第1光源61の代わりに多くの容器1に使用することができる。しかしながら、容器1が変形びん(形状が周方向に一様でないびん)の場合には、変形びんにて第2光源62の光が屈折及び/又は反射して、撮像部4(カメラ41~43)によって撮像される画像に第2光源62の光が不必要に映り込んでしまうことがある。また、装飾部11が透明フィルムの場合、容器本体10と装飾部11の上縁110との境界がわかりにくい。これらのような場合、第1及び第2光源61,62を使用せず、第3光源63が使用されることが好ましい。
【0034】
本実施の形態の第3光源63は、撮像部4との間に容器1が位置するように配置されている。第3光源63は、面光源とすることができる。第3光源63は、カメラ41~43毎にそれぞれ設けられる。限定はされないが、第3光源63は、青色光を発することが好ましい。青色光を用いることで、撮像した画像において装飾部11の上縁110をより鮮明に表すことができるためである。青色光は、波長が430nm以上かつ510nm以下の光、より具体的には波長が450nm以上かつ500nm以下の光と理解することができる。
【0035】
撮像部4から見て容器1の奥に第3光源63が配置される。このため、第1又は第2光源61,62の使用時であっても、撮像部4によって撮像した画像に第3光源63が写り込むおそれがある。本実施の形態の容器検査装置2は、第3光源63の不使用時に第3光源63を覆うカバー64を有している。カバー64によって第3光源63を覆う事で、撮像部4によって撮像した画像に第3光源63が写り込むことを回避することができる。本実施の形態のカバー64は、第3光源63の周囲に設けられた枠体64aの前面に取り付けられたシート(幕)によって構成されており、第3光源63の不使用時に第3光源63の前に垂らすことができるように構成されている。しかしながら、カバー64は、板材等の他の部材によって構成されていてもよい。
【0036】
次に、図4は、図2の第3光源63に関わる構成を示す説明図である。図4に示すように、第3光源63を使用する際には、第3光源63及び撮像部4の前に円偏光板651,652を配置することが好ましい。すなわち、本実施の形態の容器検査装置2は、第3光源63が使用される際に第3光源63及び撮像部4の前にそれぞれ配置可能な一対の円偏光板651,652を有する。図4では、反射部3と撮像部4との間に円偏光板652が配置されるように図示しているが、容器1と反射部3との間に円偏光板652が配置されてもよい。
【0037】
装飾部11が透明フィルムの場合、容器本体10と装飾部11の上縁110の境界がわかりにくい。装飾部11を構成する樹脂等は、偏光の方向性を有する。そこで、上述のように第3光源63及び撮像部4の前に円偏光板651,652を配置することで、装飾部11を透過する透過光と容器本体10(装飾部11以外の容器部分)を透過する透過光との差異をより確実に生じさせることができる。これにより、装飾部11の上縁110を強調した画像をより確実に得ることができる。
【0038】
なお、円偏光板651,652の偏光方向は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。円偏光板651,652の偏光方向が同一であるとは、例えば第3光源63側の円偏光板651が右円偏光を行うものであるとき、撮像部4側の円偏光板652も右円偏光を行うものとすることを意味する。一方、円偏光板651,652の偏光方向が異なっているとは、例えば第3光源63側の円偏光板651が右円偏光を行うものであるとき、撮像部4側の円偏光板652は左円偏光を行うものとすることを意味する。
【0039】
装飾部11を透過した透過光の偏光状態は、透過光が反射部3で反射された際に反転する。円偏光板651,652の偏光方向を同一方向とした場合、実質的に装飾部11のみが明るく映る画像を撮像部4で得ることができる。一方、円偏光板651,652の偏光方向を異なる方向とした場合、実質的に装飾部11のみが暗く映る画像を撮像部4で得ることができる。これらにより、装飾部11の上縁110を強調した画像を得ることができる。実質的に装飾部11のみが明るく映る画像の方が画像処理で装飾部11の上縁110をより精度良く検出できる。従って、円偏光板651,652の偏光方向が同一方向であることが好ましい。
【0040】
円偏光板651,652に代えて、互いに直行する直線偏光を行う直線偏光板を第3光源63及び撮像部4の前に配置してもよい。直線偏光板を用いることで、容器本体10を透過した透過光が撮像部4に到達することを阻害する一方で、装飾部11を透過した透過光が撮像部4に到達することを許容できる。これにより、装飾部11の上縁110を強調した画像を得ることができる。
【0041】
次に、図5は、図4の構成の変形例を示す説明図である。図5に示すように、容器1を透過した透過光を撮像部4に入射させる第3光源63と同様の光源66を用いるとき、光源66と撮像部4の前にそれぞれ円偏光板651,652を配置する構成は、反射部3を用いない場合にも有用である。撮像部4及び光源66は、容器1の側方に配置され得る。反射部3を用いない場合であっても、円偏光板651,652を用いることにより、装飾部11の偏光の方向性を利用して、装飾部11を透過する透過光と容器本体10(装飾部11以外の容器部分)を透過する透過光との差異をより確実に生じさせることができ、装飾部11にずれが生じているか否かの検査精度を向上できる。
【0042】
なお、反射部3を用いない場合、円偏光板651,652の偏光方向を同一方向としたとき、実質的に装飾部11のみが暗く映る画像を撮像部4で得ることができる。一方、円偏光板651,652の偏光方向を異なる方向とした場合、実質的に装飾部11のみが明るく映る画像を撮像部4で得ることができる。反射部3を用いない場合、円偏光板651,652の偏光方向が異なる方向であることが好ましい。
【0043】
次に、図6図2の反射部3及び撮像部4を支持する基台7を示す側面図であり、図7図6の基台7を示す平面図である。なお、図面が複雑になることを避けるため、図6及び図7において一部の構成の図示を省略している。
【0044】
図6に特に示すように、容器1は、容器検査装置2の検査位置までコンベア12によって搬送され得る。図示はしないが、コンベア12には複数の容器1が載置されており、コンベア12は検査位置まで各容器1を順に搬送することができる。
【0045】
検査対象となる容器1の形状は、図6に示す形状に限られず、様々な形状であり得る。検査対象となる容器1によって、装飾部11の上縁110の位置が変わることもある。装飾部11の上縁110の位置に応じて反射部3及び撮像部4の位置を変更することが好ましい。
【0046】
反射部3及び撮像部4の位置を個々に変更できるように構成してもよいが、反射部3及び撮像部4を一体に変位可能とすることで、反射部3及び撮像部4間の位置関係の調整を省略することができる。反射部3及び撮像部4間の位置関係の調整を省略することは、本実施の形態のように反射部3及び撮像部4が複数のミラー及びカメラによって構成される場合に特に有用であるが、反射部3及び撮像部4が1つのミラー及びカメラによって構成される場合にも有用である。
【0047】
本実施の形態の容器検査装置2は、反射部3及び撮像部4を一体に変位可能に支持する基台7を有している。基台7の構成は任意であるが、本実施の形態の基台7は、複数の脚部70、下部基材71、支柱72、位置調整部73、支持部74及び接続部75を含んでいる。
【0048】
脚部70及び下部基材71は、基台7の下部に設けられている。脚部70は、例えば工場の床面等の載置面に置かれる部材であり、下部基材71を支持している。本実施の形態では、下部基材71は平面視矩形の平板状の部材とされており、脚部70は下部基材71の四隅に取り付けられている。本実施の形態の脚部70及び下部基材71は、各脚部70が下部基材71を支持する高さ位置を個々に調整し、下部基材71の傾きを調整できるように構成されている。
【0049】
支柱72は、下部基材71の上面に立てられた長手状の部材である。本実施の形態の支柱72は、平面視矩形の角柱によって構成されており、下部基材71の上面に対して垂直に立てられている。
【0050】
位置調整部73は、支柱72と支持部74との間に介在されており、支持部74を支持するとともに、支持部74の高さ位置を調整するための構成である。本実施の形態の位置調整部73は、固定部730、可動部731及び操作部732を含んでいる。固定部730は、支柱72に固定されている。可動部731は、操作部732の操作に応じて支柱72の高さ方向に変位可能に固定部730に取り付けられている。位置調整部73は、例えばボールネジ等の機器によって構成することができる。
【0051】
支持部74は、反射部3及び撮像部4を支持するための構成である。本実施の形態の支持部74は、上部基材740、第1~第3横腕材741,742,743及び第1~第3縦腕材744,745,746を含んでいる。
【0052】
上部基材740は、位置調整部73に取り付けられた部材である。本実施の形態の上部基材740は、断面L字状の部材によって構成されており、可動部731に接続された縦壁部740aと、縦壁部740aの上端から延出された横壁部740bとを有している。横壁部740bは、下部基材71と平行に延在されていることが好ましい。
【0053】
本実施の形態の上部基材740の下面には、第1光源61が固定されている。第1光源61は、コンベア12上の容器1の直上となるように配置されている。
【0054】
第1~第3横腕材741,742,743は、上部基材740に取り付けられた部材である。図7に特に表れているように、本実施の形態の第1~第3横腕材741,742,743は、それぞれ断面L字状の部材によって構成されており、それぞれの基端部が上部基材740の上面に固定されている。第1~第3横腕材741,742,743は、下部基材71と平行に延在されていることが好ましい。また、第1~第3横腕材741,742,743は、それぞれの先端部がコンベア12上の容器1の周方向に互いに離間するように配設されている。本実施の形態の第1~第3横腕材741,742,743は、それぞれの先端部が容器1の周方向に120°間隔で位置するように配設されている。
【0055】
第1~第3縦腕材744,745,746は、第1~第3横腕材741,742,743の先端部にそれぞれ取り付けられた部材である。本実施の形態の第1~第3縦腕材744,745,746は、それぞれ断面L字状の部材によって構成されており、第1~第3横腕材741,742,743の先端部にそれぞれ固定されている。第1~第3縦腕材744,745,746は、支柱72と平行に延在されていることが好ましい。
【0056】
図6に特に表れているように、本実施の形態では、第1縦腕材744の長手方向に係る中間部が第1横腕材741の先端部に固定されている。第1縦腕材744の上部には第1カメラ41(撮像部4)が取り付けられており、第1縦腕材744の下部には第1ミラー31(反射部3)が取り付けられている。第1ミラー31は、傾斜角度を調整することができるように第1縦腕材744に軸支されている。
【0057】
図6では図示を省略しているが、第2及び第3縦腕材745,746の構成は、図6に示す第1縦腕材744と同様である。すなわち、第2及び第3縦腕材745,746の長手方向に係る中間部が第2及び第3横腕材742,743の先端部にそれぞれ固定され、第2及び第3縦腕材745,746の上部に第2及び第3カメラ42、43(撮像部4)がそれぞれ取り付けられ、第2及び第3縦腕材745,746の下部に第2及び第3ミラー32,33(反射部3)がそれぞれ取り付けられている。第2及び第3ミラー32,33は、傾斜角度を調整することができるように第2及び第3縦腕材745,746に軸支されている。
【0058】
支持部74の各構成は、反射部3及び撮像部4並びに第1光源61と一体に変位可能とされている。すなわち、本実施の形態の基台7では、位置調整部73の操作部732の操作に応じて、反射部3及び撮像部4並びに第1光源61の高さ位置を一体に調整することが可能とされている。なお、本実施の形態の容器検査装置2では、第2及び第3光源62,63は、支持部74に支持されておらず、反射部3及び撮像部4と独立して位置及び姿勢を調整できるように構成している。しかしながら、支持部74に第2及び第3光源62,63がさらに支持されて、反射部3等とともに第2及び第3光源62,63の高さ位置を調整可能としてもよい。
【0059】
また、下部基材71の傾きを調整することにより、反射部3及び撮像部4並びに第1光源61の傾きを一体に調整することができる。すなわち、本実施の形態の基台7は、反射部3及び撮像部4の傾きを一体に調整可能に反射部3及び撮像部4を支持している。反射部3(各ミラー31~33)と容器1との間の第1光路4a1図2参照)がコンベア12の上面と平行となるように反射部3及び撮像部4の傾きを調整することが好ましい。第1光路4a1をコンベア12の上面と平行とすることにより、装飾部11の上縁110の傾きをより正確に検出することができる。第1光路4a1及びコンベア12の上面は水平に対して傾いていてもよい。
【0060】
接続部75は、基台7とコンベア12とを接続するための構成である。すなわち、本実施の形態の基台7は、容器1を搬送するコンベア12に接続されている。接続部75によってコンベア12に接続される基台7の部位は任意であるが、本実施の形態の接続部75は、支柱72をコンベア12に接続している。反射部3及び撮像部4の傾きを調整した後に基台7がコンベア12に接続されることにより、反射部3と容器1との間の第1光路4a1がコンベア12の上面と平行な状態をより確実に維持できる。
【0061】
なお、反射部3(第1~第3ミラー31~33)により光路4aを折り曲げる構成は、第1~第3横腕材741,742,743を短くすることに寄与する。仮に基台7の全体が振動する環境であっても、第1~第3横腕材741,742,743を短くすることで、各カメラ41~43の振動幅を小さくすることができる。
【0062】
次に、図8は、図2の撮像部4によって撮像された画像の一例を示す説明図である。図8では、例えば第1カメラ41等の1つのカメラによって撮像された画像において、装飾部11の上縁110が右上がりに傾いている状態を表している。
【0063】
判定装置5は、撮像部4から画像のデータの入力を受けた後、その画像に基準線50及び検査領域51を設定する。基準線50は、想定される上縁110の延在線に沿って設定され得る。基準線50は、画像中の所定の高さ位置において横方向に延在する直線として設定され得る。検査領域51は、基準線50と容器本体10又は装飾部11の両端とが交わる位置を左端及び右端とする領域とすることができる。検査領域51の左端及び右端は、基準線50と容器本体10又は装飾部11の両端とが交わる位置よりも内側であってもよい。換言すると、基準線50の延在方向に係る検査領域51の幅は、同方向に係る容器本体10又は装飾部11の幅よりも狭くてもよい。
【0064】
判定装置5は、検査領域51中の上縁110の最も高い位置及び最も低い位置のデータを得る処理を行う。これらのデータは、検査領域51中の上縁110の最も高い位置と基準線50との間の高さ方向に係る座標差(以下「極大値」と呼ぶ)、及び検査領域51中の上縁110の最も低い位置と基準線50との間の高さ方向に係る座標差(以下「極小値」と呼ぶ)とすることができる。判定装置5は、これらのデータを得る処理を他のカメラ42,43によって撮像された画像においても行う。
【0065】
判定装置5は、すべてのカメラ41~43の画像においてデータを得る処理を行った後に、上縁110のずれが生じているか否かの判定を行う。
【0066】
判定装置5は、各画像の「極大値」及び「極小値」の絶対値を求めるとともに、それらの絶対値のうち所定の閾値を超えるものがあると判定した場合に、装飾部11のずれが生じていると判定することができる。上縁110が高すぎるか又は低すぎる場所があるためである。
【0067】
また、判定装置5は、各画像の「極大値」のうち最大の「極大値」(以下「最大値」と呼ぶ)を選定するとともに、各画像の「極小値」のうち最小の「極小値」(以下「最小値」と呼ぶ)を選定し、選定された「最大値」と「最小値」との差が所定値を超えると判定した場合に、装飾部11のずれが生じていると判定することができる。所定の基準を超えて上縁110が傾いているためである。
【0068】
次に、図9は、本発明の実施の形態による容器製造方法を示すフローチャートである。図9に示すように、本実施の形態による容器製造方法は、調合工程(ステップS1)、溶解工程(ステップS2)、成形工程(ステップS3)、徐冷工程(ステップS4)、加飾工程(ステップS5)及び検査工程(ステップS6)を含んでいる。
【0069】
調合工程(ステップS1)では、製造すべき容器1の性質に応じて所定比率で原料が調合される。容器本体10がガラスびんであるとき、原料には、例えば珪砂、ソーダ灰、石灰及びカレット等の主原料と、例えば酸化剤、還元剤、清澄材、消色材及び着色剤等の副原料とが含まれる。
【0070】
溶解工程(ステップS2)は、調合工程で調合された原料を溶解する工程である。容器1がガラスびんであるとき、原料をガラス溶解窯にて加熱及び溶解することにより溶融ガラスを生成する。
【0071】
成形工程(ステップS3)は、溶解した原料から容器本体10を成形する工程である。容器1がガラスびんであるとき、溶融ガラスからガラス容器を成形する。粗型にて溶融ガラスからパリソンと呼ばれる中間体を成形し、仕上型にてパリソンからガラス容器を成形することができる。
【0072】
徐冷工程(ステップS4)は、成形工程で成形された容器本体10を徐冷窯に導入し、容器本体10を徐冷する工程である。
【0073】
加飾工程(ステップS5)は、容器本体10に加工を施し装飾部11を形成する工程である。装飾部11が樹脂フィルムであるとき、容器本体10に樹脂フィルムを被せるとともに加熱により樹脂フィルムを収縮させて装飾部11を形成する。
【0074】
検査工程(ステップS6)は、図1図8に基づき説明した容器検査装置2を用いて、装飾部11にずれが生じているか否かを検査する工程である。容器検査装置2の検査位置までコンベア12により容器1を搬送し、反射部3を介して撮像部4が装飾部11を撮像し、撮像部4によって撮像された画像に基づいて、装飾部11にずれが生じているか否かを判定する。装飾部11にずれが生じていないと判定された容器1は、出荷等の次工程に搬送される。一方、装飾部11にずれが生じていると判定された容器1は、次工程に搬送されずに、再検査のため貯められるか又は廃棄される。
【0075】
以上では、容器本体10がガラスびんであるときの容器製造方法について説明したが、例えばPET等の他の素材によって容器本体10が構成されるときには製造工程を任意に変更できる。例えば、容器本体10がPETボトルの場合、徐冷工程(ステップS4)が省略されてもよい。
【0076】
このような容器検査装置2及びそれを用いた容器製造方法によれば、撮像部4が反射部3を介して装飾部11を撮像するので、容器1から撮像部4までの光路長を広げても装置全体の設置スペースが水平方向に広がることを回避することができる。また、容器の側方に撮像部を配置する従来構成と比較して装置全体の設置スペースを小さくすることができる。
【0077】
また、反射部3が容器1の周方向に互いに離間して配置された複数のミラー31~33を含み、撮像部4が複数のミラー31~33に対応して配置された複数のカメラ41~43を含むので、容器1の周方向により広い装飾部11の画像を一時に得ることができる。反射部3(第1~第3ミラー31~33)により光路4aを折り曲げる構成は、複数のカメラ41~43を用いる場合に特に有用である。
【0078】
また、基台7が反射部3及び撮像部4を一体に変位可能に支持するので、装飾部11の上縁110の位置に応じて反射部3及び撮像部4の位置を変更する場合であっても、反射部3及び撮像部4間の位置関係の調整を省略することができる。この構成は、複数のミラー31~33及び複数のカメラ41~43を用いる場合に特に有用である。
【0079】
また、反射部3及び撮像部4の傾きを一体に調整可能に反射部3及び撮像部4を基台7が支持しているので、反射部3と容器1との間の第1光路4a1がコンベア12の上面と平行となるように反射部3及び撮像部4の傾きをより容易に調整でき、装飾部11の上縁110の傾きの検出精度を向上できる。
【0080】
また、容器1を搬送するコンベア12に基台7が接続されているので、反射部3と容器1との間の第1光路4a1がコンベア12の上面と平行な状態をより確実に維持できる。
【0081】
また、選択的に使用可能な複数種の光源61~63が設けられているので、検査対象となる容器1の範囲を広げることができ、利便性を向上できる。
【0082】
また、複数種の光源61~63が、第1光源61、第2光源62及び第3光源63を含むので、検査対象となる容器1の範囲をより確実に広げることができ、より確実に利便性を向上できる。
【0083】
また、第3光源63が青色光を発するので、撮像した画像において装飾部11の上縁110をより鮮明に表すことができ、第3光源63を使用する際の検査精度を向上できる。
【0084】
また、第3光源63の不使用時に第3光源63を覆うカバー64が設けられているので、第3光源63の不使用時に撮像部4が撮像する画像に第3光源63が写り込むことを回避でき、第3光源63の不使用時の検査精度を向上できる。
【0085】
また、第3光源63が使用される際に第3光源63及び撮像部4の前にそれぞれ配置可能な一対の同一方向の円偏光板651,652が設けられるので、装飾部11の偏光の方向性に拘わらず、装飾部11を透過する透過光と装飾部11以外の容器部分を透過する透過光との差異をより確実に生じさせることができ、画像に基づく容器1の検査精度を向上できる。
【0086】
なお、実施の形態では、撮像部4が装飾部11の上縁110を撮像し、上縁110の位置及び/傾きに基づいて装飾部11にずれが生じているか否かを判定するように説明した。しかしながら、例えば装飾部の下縁等の装飾部の他の部位を撮像部が撮像し、その撮像された画像に基づいて装飾部11にずれが生じているか否かを判定してもよい。
【0087】
また、実施の形態で、円偏光板651,652を用いた装置により装飾部11にずれが生じているかを検査するように説明した。しかしながら、図4及び図5に示すような光源及び撮像部の前に円偏光板をそれぞれ配置した装置は、例えば容器本体に失透部位及び/又は異物混入部位が生じているか否か等、装飾部のずれ以外の容器の検査にも利用可能である。
【0088】
失透又は異物周りのガラスひずみは、複屈折を起こし、光の振動方向を変化させる。撮像部側の偏光板を透過する光の振動成分が生じるため、ひずみ又は失透部分だけ光が透過する。すなわち、ひずみ又は失透部分だけ明るい画像が得られる。直線偏光板を用いると、失透の結晶の角度によって、光が失透部分を透過しないことがある。一方、円偏光板を用いると失透の結晶の角度に拘わらず、失透部分の光の透過を許すことができ、失透部分だけ明るい画像をより確実に得ることができる。すなわち、図4及び図5に示すような光源及び撮像部の前に円偏光板をそれぞれ配置した装置により、装飾部のずれ以外であっても、偏光の方向性を利用して、画像に基づく容器の検査精度を向上できる。
【符号の説明】
【0089】
1 容器
10 容器本体
11 装飾部
110 上縁
2 容器検査装置
3 反射部
31~33 第1~第3ミラー(複数のミラー)
4 撮像部
41~43 第1~第3カメラ(複数のカメラ)
5 判定装置
61~63 第1~第3光源(複数種の光源)
651,652 円偏光板(一対の円偏光板)
64 カバー
7 基台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9