(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】建築板
(51)【国際特許分類】
E04F 13/08 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
E04F13/08 E
(21)【出願番号】P 2020015274
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大段 圭子
(72)【発明者】
【氏名】田井 信博
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-010425(JP,A)
【文献】特開2015-105520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視で四角形に形成されており、その端縁に沿って並ぶ複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、端面に切削された部分を有する第一凸部と、端面に切削された部分を有する第二凸部と、端面に切削された部分を有さない第三凸部と、を含み、
前記第一凸部の前記端面と、前記第二凸部の前記端面と、前記第三凸部の前記端面とが、同一の前記端縁に沿って並んでおり、
前記第二凸部の前記端面の前記切削された部分は、前記第一凸部の前記端面の前記切削された部分よりも小さい、
建築板。
【請求項2】
請求項1において、
前記第一凸部の前記切削された部分の高さは、前記第一凸部の高さと同じであり、
前記第二凸部の前記切削された部分の高さは、前記第二凸部の高さよりも低い、
建築板。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第一凸部の前記切削された部分の陵部の角度は、45度以上80度以下であり、
前記第二凸部の前記切削された部分の陵部の角度は、45度以上80度以下である、
建築板。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項において、
前記第一凸部の前記切削された部分に続く表面は平坦であり、
前記第二凸部の前記切削された部分に続く表面は傾斜面又は曲面である、
建築板。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに1項において、
前記建築板の前記端縁は、原板を切断することにより形成され、
前記原板は切断位置を横切る複数の突条部を備え、
前記切断位置で切断された前記複数の突条部が前記第一凸部又は前記第二凸部の少なくとも一方として形成されている、
建築板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板に関し、より詳細には、複数の凸部を備える建築板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外壁施工構造が記載されている。この外壁施工構造では、外壁板保持能力を有する既存壁に対して、金属胴縁を固定してなる金属下地組と、該金属下地組に留め付けられた複数の外壁板とから構成されている。複数の外壁板は横方向に並べて配置されるため、横方向で隣接する外壁板の間には目地が形成される。そして、この目地には、防水性の向上のために、シーリングを打設することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような外壁板は、目地側の端縁が切削されていることが多く、施工状態で切削面が目立ち、外壁板同士の間の目地が目立つ場合があった。すなわち、切削面は、切削されていない面(非切削面)に比べて、平坦度合いが大きくなるため、光沢等の外観が非切削面と異なり、目地が目立ってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされており、隣接する複数の建築板の間に形成される目地が目立ちにくくなる建築板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る建築板は、正面視で四角形に形成されており、その端縁に沿って並ぶ複数の凸部を備える。前記複数の凸部は、端面に切削された部分を有する第一凸部と、前記第一凸部よりも切削された部分が小さい端面を有する第二凸部と、切削された部分のない端面を有する第三凸部と、を含む。前記第一凸部の前記端面と、前記第二凸部の前記端面と、前記第三凸部の前記端面とが、同一の前記端縁に沿って並んでいる。前記第二凸部の前記端面の前記切削された部分は、前記第一凸部の前記端面の前記切削された部分よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、隣接する複数の建築板の間に形成される目地が目立ちにくくなり、外観が損なわれにくい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に係る建築板の一実施形態を示す一部の斜視図である。
【
図2】
図2Aは、同上の第一凸部を示す底面図である。
図2Bは、同上の第二凸部を示す底面図である。
図2Cは、同上の第三凸部を示す底面図である。
【
図3】
図3は、同上の建築板を横方向に隣接して施工した状態を示す正面図である。
【
図4】
図4は、同上の建築板を製造する際に使用する原板を示す一部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
本実施形態に係る建築板1は、建物の外壁を形成するための外壁板として形成されている。建築板1は、例えば、窯業系サイディングで形成されている。窯業系サイディングは、セメントの硬化物を含む無機質板である。
【0010】
本実施形態に係る建築板1は、正面視で四角形に形成されている。ここで、正面視とは、施工した状態の建築板1を屋外側から見た場合をいう。建築板1は表面が凹凸面に形成されている。ここで、表面とは、施工した状態の建築板1の屋外を向く面をいう。建築板1は複数の凸部9を有することにより、表面が凹凸面に形成されている。すなわち、
図1に示すように、建築板1は、平板状の基板8の表面80に複数の凸部9が突出して形成されている。そして、隣り合う凸部9の間の空間が凸部9よりも凹んだ凹部として形成されている。
【0011】
建築板1は、端縁83に沿って並ぶ複数の凸部9を備えている。建築板1の端縁83は基板8の横方向の端部81の縁で形成されている。ここで、横方向とは、施工した状態の建築板1を正面視した場合の左右方向をいう。建築板1は、右端部と左端部との各々に端縁83を有している。端縁83は横方向と直交する方向(縦方向)に延びている。
【0012】
複数の凸部9は、端縁83に沿って並んで形成されている。すなわち、複数の凸部9が縦方向に並んでいる。縦方向に隣り合う凸部9の間隔は一定のピッチであってもよいし、一定のピッチでなくてもよい。また横方向に隣り合う凸部9の間隔は一定のピッチであってもよいし、一定のピッチでなくてもよい。さらに複数の凸部9は、縦方向の寸法は一定であってもよいし、一定でなくてもよい。また複数の凸部9は横方向に延びるように形成されているが、横方向の寸法は一定であってもよいし、一定でなくてもよい。また複数の凸部9の断面形状(横方向と直交する断面)は、一定であってもよいし、異なっていてもよい。各凸部9の表面は凹凸柄が形成されている。凹凸柄は、梨地状、シボ状、石状、岩状などの細かい凹凸で形成されている。
【0013】
端縁83に沿って並ぶ複数の凸部9は、端面11に切削された部分4を有する第一凸部10を含んでいる。また複数の凸部9は、端面21に切削された部分4を有する第二凸部20と、端面31に切削された部分4を有さない第三凸部30との少なくとも一方を含んでいる。すなわち、端縁83に沿って並ぶ複数の凸部9は、第一凸部10を含み、第二凸部20と第三凸部30の一方又は両方を含んでいる。したがって、本実施形態に係る建築板1は、第一凸部10と第二凸部20とが端縁83に沿って並ぶ形態を含んでいる。また本実施形態に係る建築板1は、第一凸部10と第三凸部30とが端縁83に沿って並ぶ形態を含んでいる。さらに本実施形態に係る建築板1は、第一凸部10と第二凸部20と第三凸部30とが端縁83に沿って並ぶ形態を含んでいる。
【0014】
第一凸部10と第二凸部20と第三凸部30とが端縁83に沿って並ぶ順番は特に限定されず、ランダムである。すなわち、第一凸部10と第二凸部20とが隣り合っていてもよいし、第一凸部10と第三凸部30とが隣り合っていてもよいし、第二凸部20と第三凸部30とが隣り合っていてもよい。また同じ種類の凸部9が連続して並んでもよい。すなわち、第一凸部10と第一凸部10とが隣り合っていてもよいし、第二凸部20と第二凸部20とが隣り合っていてもよいし、第三凸部30と第三凸部30とが隣り合っていてもよい。
【0015】
第一凸部10は、端面11に切削された部分4を有している。また第二凸部20は、端面21に切削された部分を有している。切削された部分4とは、カッターやグラインダーなどで切ったり削ったりした部分のことを意味し、以降、「切削部4」ともいう。一方、切削されていない部分5は、カッターやグラインダーなどで切ったり削ったりしていない部分のことを意味し、以降、「非切削部5」ともいう。切削部4は非切削部5とは性状が異なる。切削部4は切削されているため、非切削部5に比べて、平坦度合いが大きい。したがって、切削部4は非切削部5に比べて光沢等が増しており、光の反射が多くなって非切削部5より目立ちやすい。逆に、非切削部5は平坦度が低く、切削部4よりも光の反射が少なくて目立ちにくい。特に、凸部9の表面に凹凸柄が形成されている場合では、非切削部5には凹凸柄が形成されているため、切削部4と非切削部5との平坦度合いの差が大きくなり、一層、切削部4が目立ちやすくなる。なお、建築板1は、端面11及び端面21以外には切削部4が形成されておらず、端面11及び端面21以外の大部分の表面は非切削部5である。
【0016】
第二凸部20の端面21の切削部(切削された部分)4は、第一凸部10の端面11の切削部(切削された部分)4よりも小さい。言い換えると、第一凸部10の端面11における切削部4は、第二凸部20の端面21における切削部4よりも大きい。ここで、「小さい」とは、端面21における切削部4の面積が、端面11における切削部4の面積よりも小さいことを意味する。すなわち、は、端面11における切削部4の面積は端面21における切削部4よりも大きい。これにより、端面21における切削部4は端面11における切削部4はよりも面積が小さくて目立ちにくい。
【0017】
第一凸部10の端面11には、切削部4が全面にわたって形成されている。すなわち、第一凸部10の端面11の全体が切削面14として形成されており、端面11は非切削部5を有していない。一方、第二凸部20の端面21は一部のみに切削部4が形成されている。すなわち、端面21の全体には切削部4が形成されておらず、端面21の一部のみが切削面24として形成されている。したがって、端面11と端面21とが同面積の場合、端面21に形成した切削部4(切削面24)は、端面11に形成した切削部4(切削面14)より小さくなる。
【0018】
第二凸部20の端面21は、切削部4以外の部分に非切削部5を有する。すなわち、端面21は、切削部4が形成された切削面24と、非切削部5が形成された非切削面25との両方を有している。端面21において、切削面24と非切削面25とは混在していてもよいが、切削面24は非切削面25よりも基板8の表面80に近いほうが好ましい。すなわち、非切削面25は切削面24よりも第二凸部20の表面200に近いほうが好ましい。これにより、施工した状態の建築板1を正面視した場合に、切削面24が非切削面25よりも遠い位置(奥)に位置することになり、切削面24が目立ちにくくなる。
【0019】
第三凸部30の端面31には、非切削部5が全面にわたって形成されている。すなわち、第三凸部30の端面31の全体が非切削面35として形成されており、端面31は切削部4を有していない。したがって、第三凸部30の端面31は第三凸部30の表面300と同等の外観を有している。すなわち、第三凸部30の表面300に凹凸柄が形成されている場合、端面31にも同様の凹凸柄が形成されている。第三凸部30の端面31は、切削されにくくするために、端縁83との間にスペース82を設けて形成されている。
【0020】
このように本実施形態に係る建築板1では、端面11,21,31の外観が異なる第一凸部10、第二凸部20及び第三凸部30が、端縁83に沿って並んでいる。そして、端面11は全面が切削面14で形成されているが、端面21には一部にしか切削面24が形成されておらず、端面31には切削面が形成されていない。したがって、端縁83に並ぶ全部の凸部9の端面全面を切削する場合に比べて、切削された部分を少なくすることができる。よって、建築板1の横方向の端部81に切削部4を形成しても目立たないようにすることができる。このため、
図3に示すように、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置した場合でも、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2が目立ちにくくなる。なお、目地2は、横方向に隣接して建築板1を並べて配置した場合に、各建築板1の端部81(端縁83を含む)の間に形成される隙間であって、縦方向に沿って延びるように形成される。この目地2にはシーリングが設けられて、防水性を向上させる場合がある。
【0021】
また
図3に示すように、建築板1は縦方向に延びる疑似目地3を有することが好ましい。この疑似目地3は、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2のように見える部分である。疑似目地3は横方向で隣り合う凸部9の間に形成した凹溝で形成される。目地2と疑似目地3とを見分けにくくするためには、目地2の目地幅や目地深さなどの形状と、疑似目地3の目地幅や目地深さなどの形状とをほぼ同じに形成することが好ましい。そして、疑似目地3は、プレス成形により形成されるものであり、切削された部分4を有しない。また、本実施形態に係る建築板1では、目地2を構成する端面11、21、31に切削された部分4を少なくしている。したがって、建築板1では目地2と疑似目地3との外観上の差がより少なくなり、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2が一層目立ちにくくなる。
【0022】
図2Aに示すように、第一凸部10の切削された部分4の高さH11は、第一凸部10の高さH10と同じであることが好ましい。また
図2Bに示すように、第二凸部20の切削された部分4の高さH21は、第二凸部20の高さH20よりも低いことが好ましい。このようにすれば、第一凸部10の高さH11と第二凸部20の高さH21とが同じ場合に、第二凸部20の切削面24を非切削面25よりも表面80側に近く形成することができる。すなわち、第二凸部20の非切削面25が表面200の近くに形成することができ、切削面24を目立ちにくくすることができる。したがって、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置することにより、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる。
【0023】
なお、高さH11は、建築板1の厚み方向(表裏方向)において、切削面14の表面80からの突出寸法である。また高さH10は、建築板1の厚み方向において、第一凸部10の表面80からの突出寸法である。同様に、高さH20は、建築板1の厚み方向において、切削面24の表面80からの突出寸法である。高さH21は、建築板1の厚み方向において、第二凸部20の表面80からの突出寸法である。
【0024】
図2Aに示すように、第一凸部10の切削された部分4の陵部111の角度D10は、45度以上80度以下であることが好ましく、より好ましくは、60度以上70度以下である。また、
図2Bに示すように、第二凸部20の切削された部分4の陵部222の角度D20は、45度以上80度以下であることが好ましく、より好ましくは、60度以上70度以下である。ここで、陵部111は、
図1に示すように、第一凸部10において、端面11と底面12との境界部分をいう。底面12は、施工した状態の建築板1において、第一凸部10の下方に向く面である。陵部111の角度D10は、陵部111と表面80との間の角度である。同様に、陵部222は、
図1に示すように、第二凸部20において、端面21と底面22との境界部分をいう。底面22は、施工した状態の建築板1において、第二凸部20の下方に向く面である。陵部222の角度D20は、陵部222と表面80との間の角度である。角度D10と角度D20とは、同じであっても異なっていてもよい。角度D10と角度D20とが同じ場合では、グラインダー等の切削具を一定の角度にして切削作業を行なうことができ、切削作業が行いやすい。
【0025】
角度D10と角度D20とを上記所定の範囲とすることにより、第二凸部20の切削面24を非切削面25よりも表面80側に近く形成することができる。すなわち、第二凸部20の非切削面25が表面200の近くに形成することができ、切削面24を目立ちにくくすることができる。したがって、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置することにより、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる。
【0026】
図2Aに示すように、第一凸部10の切削された部分4に続く表面101は平坦であることが好ましい。なお、ここで、平坦とは、建築板1の板厚方向と直交する方向に平行、または、表面101が表面100に対して傾斜又は曲がっていないという意味であり、表面101には凹凸柄が形成されていてもよい。すなわち、表面101とは、切削面14と近接する表面100の一部分を意味する。また、
図2Bに示すように、第二凸部20の切削された部分4に続く表面は傾斜面又は曲面であることが好ましい。ここで、第二凸部20の切削された部分4に続く表面とは、非切削面25のことを意味し、凹凸柄が形成されている。非切削面25は、表面200から切削面24へとなだらかに変化する傾斜面又は曲面である。
【0027】
このように第一凸部10と第二凸部20とを形成することにより、第二凸部20の表面200と切削面24との境界が、第一凸部10の表面100と切削面14との境界よりも、明確に見えにくくなる。したがって、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置することにより、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる。なお、
図2Cに示すように、第三凸部30の非切削面35も表面300に続くなめらかな傾斜面又は曲面であることが好ましい。
【0028】
本実施形態に係る建築板1は、原板1Aを切断することにより形成することができる。原板1Aは建築板1と同様に、セメントの硬化物を含む無機質板である。
図4に示すように、原板1Aには、横方向に延びる複数の突条部Bが縦方向に並んで形成されている。建築板1は、原板1Aを切断位置Cで切断することにより形成される。切断位置Cは原板1Aの縦方向に沿って設定され、複数の突条部Bを横切るように設定されている。そして、原板1Aの切断された部分が、建築板1の端縁83になる。また突条部Bの切断された端面で、第一凸部10及び第二凸部20の端面11及び21となるべき面が形成される。そして、突条部Bの切断された端面に切削を行なうことにより、第一凸部10の切削面14及び第二凸部20の切削面24が形成される。なお、第三凸部30となるべき突条部Bは、切断されないように、切断位置Cにおいて、途切れている。
【0029】
このようにして建築板1を形成すれば、原板1Aを切断して建築板1を形成するのと同時に、複数の突条部Bを切断することにより第一凸部10又は第二凸部20の一方又は両方も形成することができ、製造しやすい。
【0030】
(変形例)
実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0031】
実施形態では、建築板1がセメントの硬化物を含む窯業系サイディングの場合について説明したが、これに限らず、建築板1は木質系サイディング、樹脂系サイディング、あるいは金属系サイディングであってもよい。
【0032】
実施形態では、建築板1が外壁板である場合について説明したが、これに限らず、建築板1が内壁板、屋根板、天井板などであってもよい。
【0033】
実施形態では、横方向に複数並べて施工する建築板1に場合について説明したが、これに限らず、建築板1は縦方向に複数並べて施工するものであってもよい。
【0034】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る建築板1は、端縁83に沿って並ぶ複数の凸部9を備える。複数の凸部9は、端面11に切削された部分4を有する第一凸部10を含む。また複数の凸部9は、端面21に切削された部分4を有する第二凸部20と、端面31に切削された部分4を有さない第三凸部30との少なくとも一方を含む。第二凸部20の端面21の切削された部分4は、第一凸部10の端面11の切削された部分4よりも小さい。
【0035】
第1の態様によれば、全部の凸部9の端面全面を切削する場合に比べて、切削された部分を少なくすることができ、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置した場合に、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2が目立ちにくくなる、という利点がある。
【0036】
第2の態様に係る建築板1は、第1の態様において、第一凸部10の切削された部分4の高さH11は、第一凸部10の高さH10と同じである。第二凸部20の切削された部分4の高さH21は、第二凸部20の高さH20よりも低い。
【0037】
第2の態様によれば、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置した場合に、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる、という利点がある。
【0038】
第3の態様に係る建築板1は、第1又は第2の態様において、第一凸部10の切削された部分4の陵部111の角度D10は、45度以上80度以下である。第二凸部20の切削された部分4の陵部222の角度D20は、45度以上80度以下である。
【0039】
第3の態様によれば、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置した場合に、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる、という利点がある。
【0040】
第4の態様に係る建築板1は、第1~3のいずれか一つの態様において、第一凸部10の切削された部分4に続く表面101は平坦である。第二凸部20の切削された部分4に続く表面は傾斜面又は曲面である。
【0041】
第4の態様によれば、端縁83同士が隣接するように複数の建築板1を配置した場合に、隣接する複数の建築板1の間に形成される目地2がさらに目立ちにくくなる、という利点がある。
【0042】
第5の態様に係る建築板1は、第1~4のいずれか1つの態様において、建築板1の端縁83は、原板1Aを切断することにより形成される。原板1Aは切断位置Cを横切る複数の突条部Bを備える。切断位置Cで切断された複数の突条部Bが第一凸部10又は第二凸部20の少なくとも一方として形成されている。
【0043】
第5の態様によれば、原板1Aを切断して建築板1を形成するのと同時に、複数の突条部Bを切断することにより第一凸部10又は第二凸部20の少なくとも一方も形成することができ、製造しやすい、という利点がある。
【符号の説明】
【0044】
1 建築板
4 切削された部分(切削部)
5 切削されていない部分(非切削部)
9 凸部
10 第一凸部
101 表面
11 端面
111 陵部
20 第二凸部
21 端面
222 陵部
30 第三凸部
31 端面
83 端縁
1A 原板
B 突条部
C 切断位置
H10 高さ
H11 高さ
H20 高さ
H21 高さ
D10 角度
D20 角度