(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】蓄電池の運用方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240710BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240710BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240710BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 B
H01M10/44 P
H01M10/48 P
(21)【出願番号】P 2020028709
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000005382
【氏名又は名称】古河電池株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英明
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-128035(JP,A)
【文献】特開2013-254644(JP,A)
【文献】特開2010-159661(JP,A)
【文献】特開2013-51839(JP,A)
【文献】特開2016-81903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生可能エネルギーの発生電力平滑化を目的として併設される蓄電池の運用方法において、
総放電容量
を事前に設定し、
1日当たりに実施される充放電
は放電容量と充電容量が等しいと仮定したもとで、前記蓄電池の第1充電状態から前記第1充電状態よりも低い第2充電状態まで放電し、再び前記第1充電状態に充電するまでの 1サイクルを1日1回実施可能であるとして放電容量
を設定し、
前記事前に設定した総放電容量を前記設定した放電容量で除することで期待寿命期間を
算出し、
前記期待寿命期間
を、前記期待寿命期間の半分以下に相当する一定期間で除した値で
前記事前に設定した総放電容量を除
することで前記一定期間中に使用
できる最大の総放電容量を
算出し、
前記一定期間中は前記最大の総放電容量の範囲内で前記蓄電池を運用する
蓄電池の運用方法。
【請求項2】
前記期待寿命期間のうちの半分の期間が経過する前に、一定期間中に使用される前記最大の総放電容量を減少させる
ことを特徴とする請求項1
に記載の蓄電池の運用方法。
【請求項3】
蓄電池は鉛蓄電池である
ことを特徴とする請求項1
または2に記載の蓄電池の運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生可能エネルギーの発生電力平滑化を目的として併設される蓄電池の運用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムや風力発電システムなどの再生可能エネルギーを用いた発電システムは、太陽光発電の場合は日照量、風力発電の場合は風量によって発電量が変動する為に、電力貯蔵手段としての蓄電池を併設して、再生可能エネルギーの出力電力が不足している場合は蓄電池から補い、余っている場合は蓄電池を充電するなどして出力電力を平滑化することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
再生可能エネルギーの発生電力平滑化を目的として併設される蓄電池は、太陽光発電の場合は日照量、風力発電の場合は風量によって変動する発電量により、運用中の一定期間中に使用される蓄電池の容量が異なってくる。一方、用いられる蓄電池には一般的に期待寿命および期待サイクル数が設けられている。期待寿命は期待サイクル数を年間運用日数で除した年数とする場合がある。期待サイクル数は一定の充放電条件を繰り返し評価された結果から得られるサイクル数であるため、不規則な充放電を伴う再生可能エネルギーの発生電力平滑化用途で使用された場合、一定期間中に充電されたり放電したりの充放電容量に大きなばらつきが生じる。そして、一定期間中の充放電容量が極端に大きくなると蓄電池の劣化が促進され、期待される蓄電池寿命が満足されない可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、これらの課題を解決したもので、再生可能エネルギーの発生電力平滑化を目的として併設される蓄電池の運用方法において、
総放電容量を事前に設定し、
1日当たりに実施される充放電は放電容量と充電容量が等しいと仮定したもとで、前記蓄電池の第1充電状態から前記第1充電状態よりも低い第2充電状態まで放電し、再び前記第1充電状態に充電するまでの1サイクルを1日1回実施可能であるとして放電容量を設定し、
前記事前に設定した総放電容量を前記設定した放電容量で除することで期待寿命期間を算出し、
前記期待寿命期間を、前記期待寿命期間の半分以下に相当する一定期間で除した値で前記事前に設定した総放電容量を除することで前記一定期間中に使用できる最大の総放電容量を算出し、
前記一定期間中は前記最大の総放電容量の範囲内で前記蓄電池を運用する
ことを特徴する蓄電池の運用方法である。
また、本発明の蓄電池の運用方法は、期待寿命期間のうちの半分の期間が経過する前に、一定期間中に使用される最大の総放電容量を減少させる。
【0006】
この様に一定期間中の蓄電池の最大の総放電容量を定め、この範囲内で運用することにより、蓄電池使用容量のバラツキを抑制し、蓄電池の著しい劣化を抑制し得るので、穏やかな劣化により期待寿命を満足することが出来る。また、一定期間中に使用される総放電容量を運用の経過に伴い次第に減少させることにより、より長寿命を提供できる。蓄電池は運用と共に穏やかに劣化していき、蓄電池から取り出せる放電容量も次第に減少してくる。そのため、運用当初から運用終盤まで同じ放電容量で運用した場合、運用終盤では相対的に蓄電池に対する負荷が大きくなり、劣化しやすい傾向となる。一定期間中に使用される総放電容量を運用の経過に伴い減少させることにより、運用中期から終盤でも蓄電池劣化を抑制し、更なる長寿命運用を提供できる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、再生可能エネルギーの出力電力平滑化を目的として併設される蓄電池の運用方法において、一定期間中に使用される最大の総放電容量を定め、該一定期間中の総放電容量はその範囲内で運用することで、長期に渡り蓄電池の容量の低下を抑制することが出来、期待される蓄電池の寿命を達成することが出来る。
【0008】
更に、該一定期間中の総放電容量を運用の経過に伴い次第に減少させることで、更なる長寿命を達成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の実施形態について説明する。公知の鉛合金からなる格子状基板に公知のペースト状活物質を塗布充填してなる鉛蓄電池製造における公知の方法で作製した複数の正極未化成板と負極未化成板とをガラス繊維の不職布からなるガラスマットを介して交互に積層し、同極性の極板の耳部にバーナー方式でストラップ溶接を施して同極性の極板同士を溶接して極板群を製造した。次にこの極板群を、開口部を有するポリプロピレン製の箱状電槽に収納し、開口部にヒートシールにより蓋を溶着した。この蓋の注液口から電解液を極板群の飽和電解液量に対し100%程度の量を注液し、その後充放電を繰り返して電槽化成を行い、更に必要なら補液や補充電をして2V-200Ahの制御弁式鉛蓄電池を作製した。
【0010】
次に作製した制御弁式鉛蓄電池を実際に運用される条件で加速サイクル寿命試験に投入した。1つの試験水準に対して制御弁式鉛蓄電池1個を試験設備に接続し評価した。
【0011】
寿命試験条件は風力発電の風力や太陽光発電の太陽光による発電を模擬したパルスサイクル試験とした。このパルスサイクル試験は運用される条件の蓄電池の充電状態(SOC)を90%とし、放電深度を50%として蓄電池のSOCの範囲を90%~40%の範囲とし、90%の充電状態から40%の充電状態まで放電される場合は、再び90%の充電状態へ充電するまでを1サイクルとした。充電と放電は秒間隔で行われ、90%の充電状態である制御弁式鉛蓄電池を40%の充電状態にまで放電する際は、実際に運用される条件の1.0C10A以下の電流を用い、0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを、制御弁式鉛蓄電池の充電状態が40%になるまで繰り返し、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを繰り返した。この1サイクルに要した時間は4時間だった。従って1日に6サイクルまで実施可能である。そしてこの1サイクルを1日分とした。本実施形態の制御弁式鉛蓄電池の場合の1C10Aは200Aである。
【0012】
パルスサイクル試験を繰り返した際に取り出せる総放電容量は事前の評価から求めた値を用い、その値は511kAhであった。この値は、本実施形態においては200Ahの鉛蓄電池を上記パルスサイクル試験での1サイクルにおける放電容量は140Ah(0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電して、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%にするまでの2時間の放電量は120Ahで、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電して制御弁式鉛蓄電池の充電状態を90%にするまでの2時間の放電量は20Ahで、合計140Ah)であり、511kAhを140Ahで除すると3650で、1日1回の充放電をするとすれば10年間に相当し、これが期待寿命となる。この総放電容量を期待寿命の10年を一定期間である1年で除した値は10であるので、これで総放電容量を除すれば511kAh÷10=51.1kAhとなります。そして、この値を1年間で使用できる最大の総放電容量とし、1年間に相当する期間(365日)における使用において、この最大の総放電容量の51.1kAhの値(100%)となるように0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電して、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%にするまでの2時間繰り返し、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電して制御弁式鉛蓄電池の充電状態を90%にするまで2時間繰り返すことで1日分とし、1年を365日として10年分に相当する試験をした。パルスサイクル試験の放電容量と充電容量が等しいため、充放電効率の影響や蓄電池自体の自己放電量により、サイクル試験を継続していくと僅かながら充電状態(SOC)が低下してしまい、蓄電池電圧が下限電圧1.8Vへ到達してしまう。試験途中で蓄電池の電圧が1.8Vまで低下した場合は、一旦蓄電池を満充電させ、その後充電状態(SOC)を90%へ調整して試験を再開した。蓄電池想定年数1年が経過した蓄電池は容量試験に投入した。容量試験は蓄電池電圧を1.8Vまで放電させ、その容量を放電容量とした。これを定格容量で除して対定格容量比を求めその値が70%を下回った場合は蓄電池寿命と判断した。それ以上であればサイクル試験を継続させた。試験の結果、表1の試験鉛蓄電池の試験1に示す様に想定年数10年経過後の制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の78%であった。これは期待寿命を満足する結果であった。
【0013】
次に、4年目相当までは上記の最大の総放電量での運用をし、その後の5年目から7年目相当の期間を最大の総放電量の90%での運用をし、更にその後の8年目から10年目相当の期間を最大の総放電量の80%での運用をした結果、表1の試験鉛蓄電池の試験2に示す様に試験後の制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の93%であった。これは期待寿命を満足する結果であり、更なる長寿命が期待される結果でもある。なお、最大の総放電量の90%での運用とは、5年目相当の開始以降は総放電容量が90%である45.9kAhになった時点で放電を停止し、再び制御弁式鉛蓄電池をSOC90%の充電状態に戻して5年目の終了とし、満充電及び容量試験後、充電状態(SOC)を90%へ調整して試験を再開した。最大の総放電量の80%での運用とは、8年目相当の開始以降は総放電容量が80%になった時点で上記同様に停止し、以後上記と同じように試験を実施した。
【0014】
一方、1年間に相当する期間における使用において、上記の最大の総放電容量の1.5倍である76.6kAhの値(150%)での運用をし、同様に10年分に相当する試験をした結果、表1の試験鉛蓄電池の試験3に示す様に6年目の終了に相当する時期において、制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の65%になり、期待寿命を満足できない結果となった。なお、この場合の運用は、0.8C10Aで1秒間放電し、0.3C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.75C10Aで1秒間充電し、0.25C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを6年分に相当する期間繰り返した。
【0015】
更に、上記最大の総放電量の150%の値と50%の値で1年毎に交互に運用した場合の試験結果は、表1の試験鉛蓄電池の試験4に示す様に試験後の制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の67%とこれも期待寿命を満足できない結果となった。この場合の総放電量は試験1の場合と変わらないが、放電容量のバラツキが原因で、一定期間中最大の総放電容量が100%を超えた運用がされた為に劣化が加速したと思われる。この場合の150%の運用は前記と同様にし、50%の運用は、0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを、制御弁式鉛蓄電池の充電状態が40%になる2時間繰り返し、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返すことを繰り返し、総放電容量が50%である25.5kAhになった時点で放電を停止して、再び制御弁式鉛蓄電池を90%の充電状態に戻して1年分の終了とした。
【0016】
次に、一定期間を一月とし、期待寿命の10年を一月で除した値は120となり、これで総放電容量を除すると4.2kAhとなり、これを一月の最大の総放電容量とし、一月毎での放電容量がこの最大の総放電容量(100%)となるようにして10年分に相当する試験をした結果、表1の試験鉛蓄電池の試験5に示す様に試験後の制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の86%であった。これは期待寿命を満足する結果である。この場合の運用は、0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返し1日分とし、カレンダー通りの一月の日数に相当する日数充放電し、各月の相当日数に至る前に総放電容量が4.2kAhになった場合はそこで停止し、再び制御弁式鉛蓄電池を90%の充電状態に戻して一月分の終了とした。試験の充放電条件は試験1と同等であるが、試験1と比較して10年目の放電容量が大きい要因として、充電状態100%まで回復させる回復充電の回数が考えられる。一般的にPSOC(部分充電)状態で鉛蓄電池を運用した場合、活物質に放電生成物である硫酸鉛が蓄積し、それが粗大化し、充電しても解消されないサルフェーションと呼ばれる劣化要因によって蓄電池の容量が低下し、最終的には寿命となる。それを抑制するためには、PSOC状態から一度満充電状態とし、活物質をリフレッシュさせる回復充電を定期的に実施することが重要である。一定期間を一月とした場合、容量試験直前に実施する回復充電の回数が、一定期間を1年と比べて多いため、サルフェーションが抑制されたと考える。
【0017】
一定期間を5年とし、期待寿命の10年を5年で除した値は2となり、これで総放電容量を除すると255.5kAhとなり、これを5年の最大の総放電量とし、5年毎での放電容量がこの最大の総放電量(100%)となるようにして10年分に相当する試験をした結果、表1の試験鉛蓄電池の試験6に示す様に試験後の制御弁式鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の71%であった。これは期待寿命を満足する結果である。この場合の運用は、5年間の内の最初の1年目に相当する期間は0.8C10Aで1秒間放電し、0.3C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.75C10Aで1秒間充電し、0.25C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを1年分に相当する期間繰り返し、2年目に相当する期間は0.25C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を75%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.25C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを1年分に相当する期間繰り返し、3年目に相当する期間は1年目相当と同じ運用をし、4年目に相当する期間は2年目相当と同じ運用をし、5年目に相当する期間は、0.6C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.6C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを1年分に相当する期間繰り返した。
【0018】
一定期間を6年とし、期待寿命10年を6年で除した値は1.6となり、これで総放電容量を除すると319.3kAhとなり、これを6年の最大の総放電量とし、6年毎での総放電容量がこの最大の総放電容量(100%)となるようにして10年分に相当する試験をした結果、表1の試験鉛蓄電池の試験7に示す様に試験後の鉛蓄電池の放電容量は定格放電容量の68%になり、期待寿命を満足できない結果となった。なお、後半の7年目以降は残り4年しかないので、最大の総放電容量の67%(4/6)となる。
この場合の運用は、1年目は0.8C10Aで1秒間放電し、0.3C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を40%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.75C10Aで1秒間充電し、0.25C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを1年分に相当する期間繰り返し、2年目は0.25C10Aで1秒間放電し、0.1C10Aで1秒間充電することを2時間繰り返し、制御弁式鉛蓄電池の充電状態を75%とし、次いで、90%の充電状態にもどすべく、0.25C10Aで1秒間充電し、0.1C10Aで1秒間放電することを2時間繰り返して1日分とし、これを1年分に相当する期間繰り返し、以下3年目以降は1年毎に1年目と2年目の運用を繰り返した。なお、全ての試験において、蓄電池の電圧が1.8Vを下回った場合は蓄電池を満充電する回復充電はした。
【0019】
【0020】
表1の試験鉛蓄電池の試験1から4の結果から、一定期間中は最大の放電容量の範囲内で運用することで期待寿命を満足でき、これを超えると期待寿命を満足できないことが分かった。更に試験2の結果から、一定の期間に使用される総放電容量を経過に伴い次第に低下させることで寿命期間の延長が期待できることが分かった。試験5から一定期間の最短期間は1年ではなく、1か月でも問題なく期待寿命を満足することが分かった。この結果から一定期間を日単位として運用しても問題ないことは容易に想定できる。
試験6と7の結果からは、一定期間を期待寿命の半分以下とすることで期待寿命を満足でき、これを超えると期待寿命を満足できないことが分かった。
【0021】
以上の様に、再生可能エネルギーの発生電力の平準化を目的として併設される蓄電池の運用方法を、蓄電池が運用される条件のもとでの充放電を繰り返す事で期待寿命期間中に取り出せる総放電容量を、期待寿命の半分以下に相当するある一定期間で除した値で除して、該一定期間中に使用する最大の総放電容量を定め、該一定期間中は最大の総放電容量の範囲内で運用することにより、期待される蓄電池の寿命を達成することが出来る。更に、該一定期間中の総放電容量を経過に伴い次第に減少させることで、更なる長寿命を達成することが可能となる。
【0022】
尚、上記実施形態では、制御弁式鉛蓄電池を1個だけ用いた場合を示したが、多数の蓄電池を直並列に接続した場合も同様の効果が得られ、更に、蓄電池として電解液を多量に有する所謂液式の鉛蓄電池を用いても同様の効果が得られる。更に、アルカリ蓄電池などのその他の種類の二次電池を用いても同様の効果が得られるものと考える。
【0023】
この様に、再生可能エネルギーの発生電力の平準化を目的として併設される蓄電池の運用方法を、蓄電池が運用される条件のもとでの充放電を繰り返して期待寿命期間中に取り出せる総放電容量を、期待寿命の半分以下に相当するある一定期間で除した値で除して、該一定期間中に使用する最大の総放電容量を定め、該一定期間中は最大の総放電容量の範囲内で運用することにより、期待される蓄電池の寿命を達成することが出来る。更に、一定期間中に使用される総放電容量を運用の経過に伴い次第に減少させることで、寿命の延長を図ることが可能となる。