(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】生体情報処理装置、および、生体情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20240710BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240710BHJP
A61B 5/022 20060101ALI20240710BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20240710BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
A61B5/02 310Z
A61B5/00 101A
A61B5/022 400E
A61B5/0245 A
A61B5/11 120
(21)【出願番号】P 2020029186
(22)【出願日】2020-02-25
【審査請求日】2022-09-21
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【氏名又は名称】加藤 浩二
(72)【発明者】
【氏名】足立 佳久
(72)【発明者】
【氏名】岩井 敬文
(72)【発明者】
【氏名】昌谷 洋
(72)【発明者】
【氏名】江戸 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】小川 莉絵子
(72)【発明者】
【氏名】富澤 亮太
(72)【発明者】
【氏名】奥村 哲也
【審査官】山口 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/084157(WO,A1)
【文献】特開2002-259572(JP,A)
【文献】特開2002-109063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/02
A61B 5/00
A61B 5/022
A61B 5/0245
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の表示形式である所定情報を表示部に表示させるための指示信号を生成する表示指示部と、
前記表示指示部が前記指示信号を生成すると、センサ部によって取得されたユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報に基づいて前記ユーザの生体情報を測定する生体情報測定部と、
前記生体情報測定部が前記生体情報を測定している期間における、前記センサ部と前記ユーザとの相対速度を演算する相対速度演算部と、
前記相対速度演算部が演算した前記相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定する判定部と、を備え、
前記所定情報は、
ユーザが興味を持つ内容の情報を含み、
フォントサイズが、1px以上16px以下、または、0.75pt以上12pt以下の文字を含む画像であ
り、
前記表示指示部は、前記生体情報の変化のグラフを示す画像を前記所定情報とともに前記表示部に表示させる生体情報処理装置。
【請求項2】
時刻情報を生成する計時部を備え、
前記判定部は、前記相対速度が前記所定の範囲内のときの、前記生体情報と、前記生体情報を測定したときの前記時刻情報とを、順次、対応付けていく、請求項1に記載の生体情報処理装置。
【請求項3】
前記時刻情報が対応付けられた前記生体情報の変動量が所定の範囲であるか否かを監視する変動量監視部を備えている、請求項2に記載の生体情報処理装置。
【請求項4】
前記センサ部を備え、
前記センサ部は、前記ユーザの動画を撮影することで前記センサ情報を取得する、請求項1から3の何れか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項5】
前記相対速度演算部は、前記動画に基づいて、前記相対速度を演算する、請求項4に記載の生体情報処理装置。
【請求項6】
前記生体情報は、血圧値、脈拍数、および、心拍数のうち、少なくとも1つを示す情報を含む、請求項1から5の何れか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項7】
前記所定情報は、複数行の文字同士の行間が1em以上1.5em以下の画像である、請求項1から6の何れか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項8】
前記変動量監視部が監視する前記変動量に応じた情報である価値情報を生成する価値情報生成部を備えている、請求項3に記載の生体情報処理装置。
【請求項9】
前記表示部を備え、
前記価値情報は、前記生体情報の内容に応じた視覚情報を含み、
前記価値情報生成部は、前記視覚情報に基づく画像を前記表示部に表示させる、請求項8に記載の生体情報処理装置。
【請求項10】
音を出力する音出力部を備え、
前記価値情報は、前記生体情報の内容に応じた音情報を含み、
前記価値情報生成部は、前記音情報に基づく音を前記音出力部に出力させる、請求項8または9に記載の生体情報処理装置。
【請求項11】
前記価値情報は、前記ユーザを特定するユーザ特定情報に対応付けられたポイントを示すポイント情報を含み、
前記価値情報生成部は、前記生体情報の変動量が前記所定の範囲以下であれば、前記ポイントを増加させ、前記生体情報の変動量が前記所定の範囲を越えると、前記ポイントを減少または変化させない、請求項8から10の何れか1項に記載の生体情報処理装置。
【請求項12】
所定の表示形式である所定情報を表示部に表示させるための指示信号を生成するステップと、
前記指示信号が生成されると、センサ部によって取得されたユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報に基づいて前記ユーザの生体情報を測定するステップと、
前記生体情報を測定している期間における、前記センサ部と前記ユーザとの相対速度を演算するステップと、
前記相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定するステップとを含み、
前記所定情報は、
ユーザが興味を持つ内容の情報を含み、
フォントサイズが、1px以上16px以下、または、0.75pt以上12pt以下の文字を含む画像であ
り、
前記生体情報の変化のグラフを示す画像を前記所定情報とともに前記表示部に表示させる生体情報処理方法。
【請求項13】
前記相対速度が前記所定の範囲内のときの、前記生体情報と、前記生体情報を測定したときの時刻情報とを順次、対応付けるステップと、
前記時刻情報と対応付けられた前記生体情報の変動量が所定の範囲であるか否かを監視するステップと、
前記変動量に応じた情報である価値情報を生成するステップとを含む、請求項12に記載の生体情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の一態様は、生体情報処理装置、および、生体情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被験者をカメラで撮影したカメラ画像から、当該被験者の脈拍数を計測する計測装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の計測装置によると、被験者が顔などを速く動かしてしまうなど、被験者が、当該被験者を撮影しているカメラに対して、相対速度が速くなるように移動してしまう場合がある。この場合、被験者をカメラで撮影して得られたカメラ画像から計測される脈拍数の精度が低くなってしまう。本開示の一態様は、ユーザが動く速度を抑制することで、高精度にユーザの生体情報を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る生体情報処理装置は、所定の表示形式である所定情報を表示部に表示させるための指示信号を生成する表示指示部と、前記表示指示部が前記指示信号を生成すると、センサ部によって取得されたユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報に基づいて前記ユーザの生体情報を測定する生体情報測定部と、前記生体情報測定部が前記生体情報を測定している期間における、前記センサ部と前記ユーザとの相対速度を演算する相対速度演算部と、前記相対速度演算部が演算した前記相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定する判定部と、を備える。
【0006】
本開示の一態様に係る生体情報処理方法は、所定の表示形式である所定情報を表示部に表示させるための指示信号を生成するステップと、前記指示信号が生成されると、センサ部によって取得されたユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報に基づいて前記ユーザの生体情報を測定するステップと、前記生体情報を測定している期間における、前記センサ部と前記ユーザとの相対速度を演算するステップと、前記相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】実施形態1に係る生体情報処理システムの機能ブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る携帯端末の表示指示部が表示部に表示させる、健康管理アプリケーションの表示画像を表す図である。
【
図4】実施形態1の撮影部が撮影した動画における、ユーザが動く直前の動画の一例を表す図である。
【
図5】実施形態1の撮影部が撮影した動画における、ユーザが動いた後の動画の一例を表す図である。
【
図6】実施形態1の撮影部が撮影した動画に基づいて生体情報測定部が測定した脈波の波形の一例を示す図である。
【
図7】実施形態1の変動量監視部が監視する生体情報の変動の様子を表す図である。
【
図8】実施形態1に係る携帯端末の制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
【
図9】実施形態2に係る携帯端末を含む生体情報処理システムの機能ブロック図である。
【
図10】実施形態2に係る携帯端末の制御部の動作の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面については、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0009】
〔実施形態1〕
【0010】
図1は、実施形態1に係る携帯端末1の正面図である。すなわち、
図1では、携帯端末1を平面視した様子を表している。携帯端末1は、人の生体情報を非接触で測定する生体情報処理装置の一例である。
【0011】
生体情報とは、人の体表から測定可能な生体に関する各種情報であり、例えば、脈波、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報などを挙げることができる。携帯端末1は、例えば、ユーザ(人)の体表が映った動画などの体表の状態変化を示す情報(センサ情報)に基づき、生体情報として、血圧値、脈拍数、および、心拍数の少なくとも1つを含む情報を得る。
【0012】
体表の状態変化を示す情報の一例は、体表が映った動画である。体表が映った動画は、フレーム毎にユーザの血液の流れに基づく体表の色の変化が、体表の状態変化として示されている。なお、以下では、体表の状態変化を示す情報(センサ情報)を、一例として主に体表が映った動画であるものとして説明するが、体表の状態変化を示す情報(センサ情報)は、例えば、ドップラーセンサなどにより得られるユーザの心拍に基づく体動を示す情報などであってもよく、体表が映った動画に限定されない。
【0013】
本実施形態では、例えば、携帯端末1は、ユーザから、特定のアプリケーション(ソフトウェア)を起動させる旨の指示を受けると、当該特定のアプリケーションを起動させることで、後述する、所定の表示形式である所定情報を含む動画および静止画等の画像を表示する。また、例えば、携帯端末1は、当該特定のアプリケーションを起動させると、併せて、ユーザの生体情報の測定を開始する。
【0014】
特定のアプリケーションとは、例えば、ユーザが興味を持つ内容の情報を含むアプリケーションである。ユーザが興味を持つ内容の情報とは、例えば、ユーザの日々の生体情報の変化を管理するための情報、および、日々のニュースに関する情報などを挙げることができる。
【0015】
このように、携帯端末1は、ユーザの生体情報を測定する際に、所定の表示形式である所定情報を含む動画および静止画等の画像を表示することで、携帯端末1とユーザとの相対速度を抑える。これにより、ユーザの生体情報の測定精度を向上させることができる。なお、詳細な説明は後述する。
【0016】
携帯端末1は、本実施形態では、スマートフォンであるものとして説明する。携帯端末1は、人が携帯して持ち運ぶことが可能な程度の大きさおよび重量を有している。携帯端末1は、例えば、片手で把持できる程度の大きさである。なお、携帯端末1は、スマートフォンに限らず、例えば、タブレット、ノートパソコンなどであってもよい。
【0017】
携帯端末1は、例えば、筐体2と、表示部3と、入力部4と、撮影部(センサ部)5と、スピーカ(音出力部)6と、マイク7と、を備えている。本実施形態では、表示部3、入力部4、撮影部5、スピーカ6、および、マイク7は、例えば、同一の筐体2に設けられている。
【0018】
表示部3は、動画および静止画等の画像を表示するためのディスプレイである。表示部3は、動画および静止画等の画像を表示するための領域である表示領域を有する。表示部3は、液晶ディスプレイ、有機EL(electro-luminescence)ディスプレイ等、動画および静止画等の画像を表示可能なディスプレイであればよい。
【0019】
入力部4は、ユーザからの指示である入力を受け付け、当該受け付けた入力に基づく入力信号を生成する入力デバイスである。入力部4は、例えば、透明なタッチセンサであり、表示部3の表示領域と重なるように設けられている。すなわち、例えば、表示部3と入力部4とが一体となり、タッチパネルを構成している。そして、例えば、ユーザの指またはペン等の接触を検出し、検出した位置に応じた入力信号を生成する。なお、入力部4は、タッチセンサに限定されず、例えば、ユーザにより押下されることでユーザからの入力を受け付ける機械的なスイッチなどであってもよい。
【0020】
撮影部5は、ユーザの生体の状態変化を示す情報(センサ情報)を非接触で取得するセンサ部の一例である。撮影部5は、動画および静止画等の画像を撮影するためのカメラ(撮影デバイス)である。撮影部5は、所定のフレームレート(例えば、10~300fps(frame per second))で動画を撮影することによりセンサ情報を得る。例えば、撮影部5は、ユーザの生体情報を測定するためにユーザの体表の動画を撮影する。また、例えば、撮影部5は、携帯端末1とユーザとの相対速度を測定するためにも、ユーザの体表の動画を撮影する。
【0021】
なお、本開示に係るセンサ部は、動画を撮影する撮影部5に限定されず、例えば、マイクロ波レーダーまたはミリ波レーダーなどのドップラーセンサなど、ユーザの生体の状態変化を示す情報(センサ情報)を非接触で取得できる各種センサであってもよい。例えば、ドップラーセンサを用いても、例えばユーザの心拍に基づくユーザの体動の変化を示すセンサ情報など、ユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報を取得することができる。
【0022】
また、本開示に係るセンサ部は、撮影部5およびドップラーセンサなど、複数のセンサを組み合わせた構成であってもよく、当該複数のセンサを組み合わせた構成によって、センサ情報を得てもよい。
【0023】
本開示に係るセンサ部は、ユーザの生体情報を測定するためにセンサ情報を得る。また、例えば、本開示に係るセンサ部は、携帯端末1とユーザとの相対速度を測定するためにも、センサ情報を得る。
【0024】
スピーカ6は、音信号に基づいて音を発生させる音出力デバイスである。マイク7は、例えば、ユーザの声等の携帯端末1の外部の音を入力として受け付けて音信号へ変換する音入力デバイスである。
【0025】
図2は、実施形態1に係る携帯端末1を含む生体情報処理システム100の機能ブロック図である。
図2に示すように、生体情報処理システム100は、例えば、携帯端末1と、サーバ200とを備えている。例えば、携帯端末1は、有線または無線により、サーバ200と通信可能に構成されている。本実施形態では、携帯端末1は、インターネット300を介して、サーバ200と無線により通信可能に構成されている。携帯端末1は、筐体2(
図1参照)内に、さらに、コンピュータである制御部10と、記憶部30と、通信部40とを備えている。
【0026】
サーバ200は、通信部210と、制御部220と、記憶部230とを備えている。サーバ200における通信部210と、携帯端末1における通信部40とは、例えば、インターネット300を介して通信可能に構成されている。制御部220は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成され、サーバ200の各種機能を統括的に制御する。記憶部230は、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)または半導体メモリ等により実現することができる。
【0027】
制御部10は、表示指示部11、相対速度演算部12、生体情報測定部13、計時部14、判定部15、および、変動量監視部16を含む。制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにより構成され、携帯端末1の各種機能を統括的に制御する。
【0028】
記憶部30は、任意の情報を記憶可能な記憶媒体である。記憶部30は、例えば、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)または半導体メモリ等により実現することができる。記憶部30は、携帯端末1の一部として、携帯端末1の内部に固定された記憶媒体であってもよいし、シムカードのような携帯端末1から取り外しが可能な記憶媒体であってもよい。記憶部30には、予めインストールされた、または、携帯端末1と通信可能なサーバ(例えばサーバ200)からインストールされた生体情報処理プログラムが記憶されている。生体情報処理プログラムは、コンピュータである制御部10を、表示指示部11、相対速度演算部12、生体情報測定部13、判定部15、計時部14、および、変動量監視部16として機能させる。
【0029】
また、例えば、記憶部30には、予めインストールされた、または、携帯端末1と通信可能なサーバ(例えばサーバ200)からインストールされた、所定の表示形式である所定情報を含む動画および静止画等の画像を情報として含む特定のアプリケーションを起動するための特定のプログラムが記憶されている。そして、例えば、制御部10は、ユーザからの指示として、入力部4から、特定のアプリケーションを起動する旨の入力信号を受けると、記憶部30を参照し、特定のプログラムを実行すると共に、生体情報処理プログラムを実行する。
【0030】
なお、本実施形態では、制御部10は、携帯端末1内に設けられている。しかし、制御部10は、携帯端末1に内に設けられておらず、携帯端末1と有線または無線により通信可能に接続されたサーバ(例えば、サーバ200)に設けられていてもよい。
【0031】
表示指示部11は、ユーザからの指示として、入力部4から入力信号を取得すると、入力信号に基づいて、表示部3に、動画および静止画等の各種の画像を表示させる。例えば、表示指示部11は、入力部4からの入力信号に基づき、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させるための指示信号を生成する。そして、表示指示部11は、生成した指示信号を表示部3に出力する。これにより、表示指示部11は、表示部3に、所定の表示形式である所定情報を含む画像を表示させる。
【0032】
この所定の表示形式とは、小さいサイズの文字を含めたり、文字数を多くしたりなど、表示部3に表示された画像を、ユーザがある程度じっとして見ないと認識しにくい形式である(
図3を用いて後述する)。このように、表示指示部11は、所定の表示形式である所定情報を含む画像を表示部3に表示させることで、ユーザと携帯端末1との相対速度を抑えることができる。
【0033】
また、表示指示部11は、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させるための指示信号を生成すると、撮影部5に、動画の撮影を開始させるための撮影指示信号(すなわち、センサ情報の取得を開始させるためのセンサ情報取得指示信号)を出力する。これにより、撮影部5は、予め設定された所定のフレームレートにて、ユーザの体表を含む動画の撮影を開始する(センサ情報の取得を開始する)。そして、撮影部5は、撮影した動画を、動画信号として、相対速度演算部12および生体情報測定部13へ出力していく。
【0034】
相対速度演算部12は、表示指示部11が、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させるための指示信号を生成すると、撮影部5から取得した動画(センサ情報)に基づいて、撮影部5とユーザとの相対速度を演算する。例えば、相対速度演算部12は、撮影部5から取得した動画を画像処理することで、撮影部5とユーザとの相対速度を演算する。具体的には、例えば、相対速度演算部12は、撮影部5から取得した動画に含まれるユーザの顔の特徴点(例えば、目、鼻、または、口など)を特定し、当該特定した特徴点が、動画におけるフレーム毎に移動する方向と移動量とを演算することで、撮影部5とユーザとの相対速度を演算する(
図4および
図5を用いて後述する)。
【0035】
そして、相対速度演算部12は、演算した、撮影部5とユーザとの相対速度を示す情報を判定部15へ出力する。
【0036】
生体情報測定部13は、表示指示部11が、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させるための指示信号を生成すると、撮影部5から取得した動画(センサ情報)に基づいて、ユーザの生体情報を測定する。例えば、生体情報測定部13は、撮影部5から取得した動画を画像処理することで、ユーザの生体情報を測定する。具体的には、例えば、生体情報測定部13は、撮影部5から取得した動画に含まれるユーザの顔の一部領域(例えば、額、頬、または、顎などの一部領域)を特定し、特定した一部領域の、動画におけるフレーム毎の状態変化に基づき脈波を測定する(
図4~
図6を用いて後述する)。
【0037】
そして、生体情報測定部13は、測定した脈波から、例えば、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報等を測定することで生体情報を得る。そして、生体情報測定部13は、ユーザの生体情報を示す情報を判定部15へ出力する。
【0038】
ここで、生体情報測定部13は、上述のように、ユーザの生体情報を、例えば、撮影部5から取得した動画を画像処理することで測定する。このため、ユーザを撮影している撮影部5に対し、ユーザが、例えば顔を早く動かした場合、撮影部5により撮影されたユーザの顔の画像がブレるなどにより、撮影部5により撮影された動画に基づいて測定されるユーザの生体情報の精度が低くなってしまう場合がある。
【0039】
そこで、生体情報測定部13は、相対速度演算部12が、例えば、撮影部5から取得した動画に基づいて撮影部5とユーザとの相対速度を演算した期間における、ユーザの生体情報を測定する。換言すると、相対速度演算部12は、生体情報測定部13が、例えば、撮影部5から取得した動画に基づいてユーザの生体情報を演算した期間における、ユーザと撮影部5との相対速度を演算する。
【0040】
これにより、相対速度演算部12が演算した相対速度に基づいて、生体情報測定部13が測定した生体情報の精度が高いか低いかを判定することができる。すなわち、撮影部5から取得した動画に基づいて相対速度演算部12が演算した相対速度が比較的遅い場合は、同じ時刻の動画(換言すると同じ時刻のフレーム)に基づいて生体情報測定部13が測定した生体情報の精度は比較的高いと判断できる。また、撮影部5から取得した動画に基づいて相対速度演算部12が演算した相対速度が比較的速い場合は、同じ時刻の動画(換言すると同じ時刻のフレーム)に基づいて生体情報測定部13が測定した生体情報の精度は比較的低いと判断できる。
【0041】
なお、相対速度演算部12が相対速度を演算するタイミングは、撮影部5からの動画信号の入力の時間間隔毎に演算しても良いし、複数回の動画信号の入力の時間間隔毎に演算してもよいし、生体情報測定部13が生体情報を測定する期間を通じて1回のみ演算するだけであってもよい。
【0042】
また、相対速度演算部12が相対速度の演算を開始するタイミングと、生体情報測定部13が生体情報の測定を開始するタイミングとは、どちらが先でもよい。
【0043】
また、本開示に係るセンサ部が、動画を撮影する撮影部5ではなく、ドップラーセンサなどのユーザの生体の状態変化を示すセンサ情報を非接触で取得できる各種センサの場合、当該センサ情報に基づいて、相対速度演算部12は相対速度を演算し、生体情報測定部13は生体情報を測定する。
【0044】
また、本開示に係るセンサ部が、撮影部5およびドップラーセンサなど、複数のセンサの組み合わせにより構成されている場合、当該複数のセンサの組み合わせにより得られるセンサ情報に基づいて、相対速度演算部12は相対速度を演算してもよいし、生体情報測定部13は生体情報を測定してもよい。
【0045】
計時部14は、現在の時刻を示す時刻情報を生成し、逐次、判定部15へ出力する。判定部15は、計時部14から、現在の時刻を示す時刻情報を、逐次、取得する。
【0046】
また、判定部15は、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲以下であるか否かを判定する。そして、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲以下であれば、そのときの生体情報の測定精度が高いと判断できるため、判定部15は、生体情報測定部13が生体情報を測定した時刻を示す時刻情報として、生体情報測定部13から生体情報を取得したときの時刻情報を、生体情報測定部13から取得した生体情報に対応付ける。そして、判定部15は、時刻情報を対応付けた生体情報を、通信部40を介して、サーバ200の記憶部230に記憶させる。また、判定部15は、時刻情報を対応付けた生体情報を変動量監視部16へ出力する。
【0047】
また、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲を越えていれば、そのときの生体情報の測定精度は低いと判断できるため、例えば、判定部15は、生体情報測定部13から取得した生体情報を、サーバ200の記憶部230に記憶させずに削除する。
【0048】
なお、判定部15は、時刻情報を対応付けた生体情報を、サーバ200の記憶部230ではなく、携帯端末1の記憶部30に出力することで、記憶部30に記憶させてもよい。
【0049】
変動量監視部16は、判定部15によって時刻情報が対応付けられた生体情報を、通信部40を介してサーバ200の記憶部230から取得し、取得した生体情報の変動量が所定の範囲であるか否かを監視する。例えば、変動量監視部16は、時刻情報が順次、対応付けられた生体情報の時刻毎の変動量が、所定の範囲を越えると、例えば、報知処理を行う。
【0050】
すなわち、変動量監視部16は、表示指示部11に、ユーザに報知するための報知情報を出力する。これにより、表示指示部11は、生体情報の変動量が所定の範囲を越えたことを示す画像を、表示部3に表示させる。これにより、生体情報の変動量が所定の範囲を越えたことを、視覚的にユーザに報知することができる。または、変動量監視部16は、音情報を含む報知情報を生成し、スピーカ6を介して音として、生体情報の変動量が所定の範囲を越えたことをユーザに報知してもよい。
【0051】
例えば、変動量監視部16は、同じ日の内の生体情報の時刻毎の変動量を監視したり、別の日の同時刻帯の生体情報の変動量を監視したりしてもよい。生体情報の変動量が小さければユーザの健康状態に変化がないとみなすことができる一方、変動量が所定の範囲を越えるほど、大きい場合は、ユーザの健康状態に何かしら変化があると考えられる。そのように、変動量が所定の範囲を越える場合、変動量監視部16が報知処理を行うことで、ユーザに対し、原因の調査を開始させることができる。
【0052】
なお、変動量監視部16は、時刻情報が対応付けられた生体情報を、サーバ200の記憶部230から取得するのではなく、逐次、判定部15から取得してもよいし、または、記憶部30から取得してもよい。
【0053】
図3を用いて、表示指示部11が表示部3に表示させる、特定のアプリケーションの表示画像の一例について説明する。
図3は、携帯端末1の表示指示部11が表示部3に表示させる、健康管理アプリケーションの表示画像を表す図である。健康管理アプリケーションは、制御部10の表示指示部11が表示部3に表示させる、所定の表示形式である所定情報を含む特定のアプリケーションの一例である。
【0054】
図3に示すように、生体情報管理アプリケーションの表示画像60には、例えば、所定の表示形式である所定情報として、ユーザがある程度、表示画像60をじっとして見ないと認識しにくい形式により表示された複数の欄61が設けられている。各欄61には、ユーザが健康管理アプリケーションを、日々、起動させる動機づけとなるように、例えば、日々のニュース、健康に関する情報など、ユーザが興味を持つ内容が表現されている。
【0055】
ここで、スマートフォンおよびPC(personal computer)のブラウザにおいて、読みやすいフォントサイズとして、16px(12pt)のフォントサイズが用いられている。また、当該ブラウザにおいて、最小のフォントサイズとして1px(0.75pt)が用いられている。
【0056】
そこで、表示画像60に表示された各欄61は、所定の表示形式である所定情報として、フォントサイズが、1px以上16px以下の文字が表示されていることが好ましい。換言すると、表示画像60に表示された各欄61は、所定の表示形式である所定情報として、フォントサイズが、0.75pt以上12pt以下の文字が表示されていることが好ましい。
【0057】
これにより、ユーザは、各欄61に含まれる文字を読むには、表示画像60をじっとして見ないと認識しにくいため、ユーザと撮影部5との相対速度を抑えることができる。
【0058】
また、表示画像60に表示された各欄61に複数行の文字列が画像として表示されている場合、所定の表示形式である所定情報として、複数行の文字同士の行間が1em以上1.5em以下の画像であることが好ましい。これにより、複数行の文字同士の間隔が比較的狭いため、ユーザは、各欄61に含まれる各行の文字を読むには、表示画像60をじっとして見ないと認識しにくい。このため、ユーザと撮影部5との相対速度を抑えることができる。
【0059】
図4および
図5を用いて、相対速度演算部12が、ユーザと撮影部5との相対速度を演算する様子の一例について説明する。
図4は、撮影部5が撮影した動画における、ユーザが動く直前の動画の一例を表す図である。
図5は、撮影部5が撮影した動画における、ユーザが動いた後の動画の一例を表す図である。
【0060】
図4に示すように、相対速度演算部12は、撮影部5から取得した動画63に映っているユーザの顔Uのうち、予め設定された特徴点を特定し、当該特定した特徴点を含む動画63内の領域R1を規定する。
図4では、一例して、相対速度演算部12は、動画63に含まれるユーザの顔Uのうち、予め設定された特徴点として鼻を特定し、当該特定した鼻を含む動画63内の領域R1を規定する。
【0061】
そして、
図5に示すように、動画63内において、ユーザの顔Uが移動すると、規定した領域R1も、矢印X1に示すように、ユーザの顔Uの移動に追従して移動する。
【0062】
ここで、撮影部5は、動画63を、予め設定された所定のフレームレート(10~300fps)で撮影する。そこで、相対速度演算部12は、撮影部5が動画63を撮影する所定のフレームレートと、フレーム間での領域R1の移動方向および移動量とに基づいて、領域R1の動画63内での移動速度、すなわち、撮影部5とユーザとの相対速度を演算する。なお、ユーザの顔Uの移動速度が速すぎて領域R1が追従できない場合は、相対速度演算部12は、相対速度が所定の範囲を越えると判定する。
【0063】
撮影部5は、相対速度演算部12が相対速度の演算に用いる動画63の撮影を、表示部3が、表示領域に、所定の表示形式である所定情報を含む画像(例えば、
図3に示す表示画像60)を表示しているときに行う。
【0064】
表示指示部11は、表示部3に、所定の表示形式である所定情報を含む表示画像60(
図3参照)と共に、撮影部5が撮影した動画63(
図4および
図5参照)も表示させてもよい。
【0065】
または、表示指示部11は、表示部3に、所定の表示形式である所定情報を含む表示画像60と動画63とのうち、表示画像60だけを表示領域に表示させ、動画63は、表示領域に表示させないようにしてもよい。
【0066】
図4~
図6を用いて、生体情報測定部13が、ユーザの生体情報を測定する様子の一例について説明する。
【0067】
図4および
図5に示すように、生体情報測定部13は、撮影部5から取得した動画63に映っているユーザの顔Uのうち、一部の領域R2を特定する。
図4および
図5に示す例では、生体情報測定部13は、動画63に映っているユーザの顔Uのうち、額を領域R2として特定する。
【0068】
そして、生体情報測定部13は、撮影部5が撮影した動画63のフレーム毎の領域R2の状態変化(例えば、フレーム毎の体表の色の変化)に基づいて、脈波を測定する。
【0069】
図6は、撮影部5が撮影した動画63に基づいて生体情報測定部13が測定した脈波の波形の一例を示す図である。生体情報測定部13は、
図6に示す脈波を測定すると、さらに、
図6に示す脈波から、例えば、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報等を測定することで生体情報を得る。
【0070】
図7を用いて、変動量監視部16が監視する生体情報の変動の様子について説明する。
図7は、変動量監視部16が監視する生体情報の変動の様子を表す図である。変動量監視部16は、例えば、通信部40を介して、サーバ200の記憶部230から、時刻情報が対応付けられた生体情報の変動量が所定の範囲内であるか否かを監視する。
【0071】
なお、変動量監視部16は、サーバ200の記憶部230から、時刻情報が対応付けられた生体情報(例えば血圧)の日毎または時刻毎の変動の様子を表す情報を表示指示部11に出力することで、表示指示部11が、日毎または時刻毎の生体情報(例えば血圧)の変化のグラフを示す画像を、表示部3に表示させてもよい。また、この場合、表示指示部11は、日毎または時刻毎の生体情報(例えば血圧)の変化のグラフを示す画像を、表示画像60(
図3参照)の一部の領域として、所定の表示形式である所定情報(例えば、
図3に示す各欄61の文字)共に、表示部3に表示させてもよい。
【0072】
図8は、実施形態1に係る携帯端末1の制御部10の動作の一例を表すフローチャートである。
図8に示すように、携帯端末1は、ステップS11において、ユーザの操作に基づく入力部4からの入力信号に基づき、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させる。次いで、ステップS12において、相対速度演算部12は、撮影部5から取得した動画に基づいて、撮影部5とユーザとの相対速度を演算する。そして、ステップS13において、生体情報測定部13は、撮影部5から取得した動画に基づいて、ユーザの生体情報を測定する。
【0073】
そして、ステップS14において、判定部15は、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0074】
ステップS14において、判定部15は、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲以下であると判定すると(ステップS14のYESの場合)、生体情報測定部13が測定した生体情報と、生体情報測定部13が生体情報を測定したときの時刻情報とを、順次、対応付けていく。そして、判定部15は、例えば、時刻情報を対応付けた生体情報を、通信部40を介して、順次、サーバ200の記憶部230に記憶させていく(ステップS15)。
【0075】
ステップS14において、判定部15は、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲を越えると判定すると(ステップS14のNOの場合)、ステップS12の処理へ戻る。
【0076】
次いで、ステップS16において、変動量監視部16は、通信部40を介して、サーバ200の記憶部230に記憶された、時刻情報が、順次、対応付けられた生体情報の変動量が所定の範囲以下であるか否かを監視する。ステップS16において、変動量監視部16は、時刻情報が、順次、対応付けられた、生体情報の変動量が所定の範囲以下であると判定すると(ステップS16のYESの場合)、次のステップS18の処理に進む。また、ステップS16において、変動量監視部16は、時刻情報が、順次、対応付けられた、生体情報の変動量が所定の範囲を越えると判定すると(ステップS16のNOの場合)、報知処理を行い(ステップS17)、次のステップS18の処理に進む。
【0077】
ステップS18において、制御部10は、入力部4から、生体情報の測定を終了する旨の指示信号を取得すると(ステップS18のYESの場合)、生体情報の測定を終了する。また、ステップS18において、制御部10は、入力部4から、生体情報の測定を終了する旨の指示信号を取得しない場合(ステップS18のNOの場合)、ステップS12の処理へ戻る。
【0078】
このように、携帯端末1における制御部10は、表示指示部11と、生体情報測定部13と、相対速度演算部12と、判定部15とを備えている。表示指示部11は、所定の表示形式である所定情報を表示部3に表示させるための指示信号を生成し、表示部3に出力する。これにより、表示部3は、所定の表示形式である所定情報を、表示領域に表示する。これにより、ユーザに対し、表示領域に表示された所定の表示形式である所定情報をある程度じっくりと視認させることができる。これにより、ユーザは、あまり顔などを動かさなくなり、ユーザと表示部3との相対速度を遅くさせることができる。
【0079】
そして、生体情報測定部13は、表示指示部11が指示信号を生成すると、ユーザの生体情報を測定する。また、相対速度演算部12は、生体情報測定部13が生体情報を測定している期間における、表示部3とユーザとの相対速度を演算する。そして、判定部15は、相対速度演算部12が演算した相対速度が、所定の範囲内であるか否かを判定する。これにより、携帯端末1における制御部10は、相対速度が所定の範囲内のときの生体情報を得ることができる。すなわち、携帯端末1における制御部10は、高精度に測定されたユーザの生体情報を得ることができる。
【0080】
表示部3に表示される所定の表示形式である所定情報は、例えば、ユーザの日々の生体情報の変化を管理するための情報、および、日々のニュースに関する情報など、ユーザが興味を持つ内容の情報を含むことが好ましい。これにより、表示部3に表示された、ユーザが興味を持つ内容の情報をユーザが視認している間に、携帯端末1は、ユーザの生体情報を測定することができる。これにより、ユーザに対する生体情報の測定への負担を少なくすることができるため、ユーザに対し、生体情報の測定を容易に数多く取得させることができる。この結果、携帯端末1は、ユーザの健康状態を、より、正確に把握することができる。
【0081】
なお、本実施形態に係る携帯端末1では、所定の表示形式である所定情報を表示する表示部3と、ユーザを撮影する撮影部5とは、同じ筐体2に設けられることで同一の装置(携帯端末1)として構成されているが、表示部3と、撮影部5とは、有線または無線により通信可能に接続された、別々の装置(互いに分離された装置)として構成されていてもよい。
【0082】
〔実施形態2〕
【0083】
本開示の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0084】
図9は、実施形態2に係る携帯端末1を含む生体情報処理システム100の機能ブロック図である。
図9に示すように、実施形態2においては、制御部10は価値情報生成部17を備え、サーバ200の記憶部230にはユーザ特定情報231、ポイント情報234および健康管理情報233が記憶されている。その他の生体情報処理システム100の機能ブロックは、実施形態1に係る生体情報処理システム100(
図2参照)と同様である。なお、ユーザ特定情報231、ポイント情報234および健康管理情報233は、サーバ200の記憶部230ではなく、携帯端末1の記憶部30に記憶されていてもよい。
【0085】
本実施形態では、変動量監視部16は、サーバ200の記憶部230などから取得した生体情報の変動量が所定の範囲を越えたときに報知処理をする換わりに、変動量が所定の範囲以下であるか、変動量が所定の範囲を越えるかを示す情報を価値情報生成部17へ出力する。
【0086】
価値情報生成部17は、変動量監視部16が監視する生体情報の変動量に応じた情報である価値情報232を生成する。
【0087】
ユーザ特定情報231は、ユーザを特定するために、ユーザ毎に割り当てられる識別情報である。
【0088】
価値情報232は、健康管理情報233とポイント情報234とのうち少なくとも一方を含む情報である。
【0089】
健康管理情報233は、例えば、生体情報(例えば、脈波、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報など)に応じた、視覚情報、および/または、音情報である。具体的には例えば、健康管理情報233は、画像として出力される、および/または、音として出力される、生体情報に応じたニュースやアドバイスなどである。
【0090】
健康管理情報233が視覚情報の場合、変動量監視部16は、生成した健康管理情報233を表示指示部11に出力することで、表示指示部11を介して表示部3に画像として表示させる。また、健康管理情報233が音情報の場合、価値情報生成部17は、生成した価値情報をスピーカ6に出力することで、スピーカ6に音として出力させる。
【0091】
これにより、携帯端末1は、ユーザに対し、ユーザ自身の健康状態に関する有益な情報を提示することができる。
【0092】
健康管理情報233が視覚情報の場合、価値情報生成部17は、健康管理情報233を、健康管理アプリケーションなどの特定のアプリケーションの表示画像の一部に、所定の表示形式である所定情報として表示させてもよい。これにより、表示部3とユーザとの相対速度を遅くすることができ、この結果、生体情報測定部13は、高精度に、生体情報を測定することができる。
【0093】
ポイント情報234は、ユーザ特定情報231に対応付けられたポイントを示す視覚情報である。
【0094】
価値情報生成部17は、変動量監視部16が、生体情報の変動量が所定の範囲以下であるか、生体情報の変動量が所定の範囲を越えるかを判断した結果に基づいて、ポイント情報234が示すポイントを変更する。例えば、変動量監視部16が、生体情報の変動量が所定の範囲以下であると判定すると、価値情報生成部17は、記憶部230に記憶されているポイント情報234のポイントを増加させて更新する。また、例えば、変動量監視部16が、生体情報の変動量が所定の範囲を越えると判定すると、価値情報生成部17は、記憶部230に記憶されているポイント情報234のポイントを変更しないか、または、ポイントを減少させて、更新する。
【0095】
価値情報生成部17は、記憶部230に、ポイント情報234に基づくポイントを、健康管理アプリケーションなどの特定のアプリケーションの表示画像の一部に表示させる。価値情報生成部17は、ポイント情報234に基づくポイントを、特定のアプリケーションの表示画像の一部に、所定の表示形式である所定情報として表示させてもよい。
【0096】
そして、例えば、ユーザは、ポイント情報234が示すポイントに応じて、さまざまな景品などの特典を得ることができる。これにより、ユーザに、生体情報を測定するためのメリットを感じさせ、生体情報を測定する機会を増やすことができる。この結果、携帯端末1は、ユーザの健康状態をより正確に把握することができる。
【0097】
図10は、実施形態2に係る携帯端末1の制御部10の動作の一例を表すフローチャートである。ステップS11~S16の処理までは、
図8を用いて説明した実施形態1に係る携帯端末1の制御部10の動作と同じである。
【0098】
図10に示すように、制御部10は、ステップS11~ステップS16の処理を行う。
【0099】
ステップS16において、変動量監視部16は、サーバ200の記憶部230に記憶された、時刻情報が、順次、対応付けられた生体情報の変動量が所定の範囲以下であると判定すると(ステップS16のYESの場合)、ステップS21において、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、価値情報232を生成して更新する。例えば、ステップS21においては、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、ユーザが興味を持つ内容の健康管理情報233を生成して更新する。また、例えば、ステップS21においては、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、ポイント情報234が示すポイントを増加させたポイント情報234を生成して更新する。
【0100】
また、ステップS16において、変動量監視部16は、サーバ200の記憶部230に記憶された、時刻情報が、順次、対応付けられた生体情報の変動量が所定の範囲を越えると判定すると(ステップS16のNOの場合)、ステップS22において、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、価値情報232を生成して更新する。例えば、ステップS22においては、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、生体情報(例えば、脈波、血圧値、脈拍数、ストレスレベル、心拍数、および、血管の健康状態を示す情報など)の内容に応じた、健康を維持するための内容の健康管理情報233を生成して更新する。また、例えば、ステップS22においては、価値情報生成部17は、記憶部230を参照し、ポイント情報234が示すポイントを維持または減少させたポイント情報234を生成して更新する。
【0101】
次いで、ステップS22において、価値情報生成部17は、ステップS21またはステップS22において生成した価値情報232の内容を、表示部3、および/または、スピーカ6に出力させる。この後、ステップS18の処理へ進む。
【0102】
このように、本実施形態に係る携帯端末1によると、生体情報の変動量が所定の範囲以下であるか否かに応じて、ユーザに、有益な価値情報232の内容を提示することができる。これにより、ユーザに対し、生体情報を測定するためのメリットを感じさせて、生体情報を測定する機会を増やすことができる。この結果、携帯端末1は、ユーザの健康状態をより正確に把握することができる。
【0103】
〔変形例〕
【0104】
本開示における携帯端末1または生体情報処理方法の主体は、コンピュータとして制御部10を備えている。このコンピュータが生体情報処理プログラムを実行することによって、本開示における携帯端末1または生体情報処理方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、生体情報処理プログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、生体情報処理プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、またはLSI(Large Scale Integration)を含む1つまたは複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。生体情報処理プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的記憶媒体に記録される。生体情報処理プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む電気通信回線を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0105】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、上記実施の形態で示した構成と実質的に同一の構成、同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成で置き換えてもよい。
【符号の説明】
【0106】
1 携帯端末(生体情報処理装置)、2 筐体、3 表示部、4 入力部、5 撮影部(センサ部)、6 スピーカ(音出力部)、7 マイク、10 制御部、11 表示指示部、12 相対速度演算部、13 生体情報測定部、14 計時部、15 判定部、16 変動量監視部、17 価値情報生成部、30 記憶部、40 通信部、100 生体情報処理システム、200 サーバ、210 通信部、220 制御部、230 記憶部、231 ユーザ特定情報、232 価値情報、233 健康管理情報、234 ポイント情報