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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】測色装置
(51)【国際特許分類】
   G01J 3/46 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020037634
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021139747
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000116057
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】藤縄 裕次郎
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-215572(JP,A)
【文献】特開平07-270238(JP,A)
【文献】特開2016-218000(JP,A)
【文献】特開2011-120727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
A61B 5/00 - A61B 5/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びた中空の筒部と、前記筒部の下端から下方に延びた中空の先端筒部と、前記先端筒部の先端に設けられ、測定孔が形成された測定面とを有するケースと、
前記ケース内に配置され、前記測定孔に向かって光を照射する光源と、
前記ケース内に配置され、前記測定孔を通じて媒体から反射した光を受ける受光センサと、
前記測定面と面一である下端面を有し、前記先端筒部の外周面に延設される複数のリブと、
を備え、
前記リブは、上下方向に延びた板状のものであり、
複数の前記リブのうち隣り合う2つの前記リブの間の空間は、側方に向かって開口している、測色装置。
【請求項2】
前記先端筒部の外周面は、前記測定面に向かうにしたがって前記測定面の中心に近づくように傾斜しており、
前記先端筒部の周方向に隣り合う2つの前記リブの間隔は、前記測定面の中心から離れるにしたがって広がっている、請求項1に記載された測色装置。
【請求項3】
前記リブの前記下端面は、前記測定孔の径方向に延びている、請求項1または2に記載された測色装置。
【請求項4】
平面視において、前記測定孔の中心を通り、互いに直交する方向を第1方向と第2方向としたとき、
複数の前記リブには、
前記測定孔を挟んで前記第1方向に延びた第1リブおよび第2リブと、
前記測定孔を挟んで前記第2方向に延びた第3リブおよび第4リブと、
が少なくとも含まれる、請求項1から3までの何れか1つに記載された測色装置。
【請求項5】
複数の前記リブのうち隣り合う2つの前記リブが成す角度は、同じである、請求項1から4までの何れか1つに記載された測色装置。
【請求項6】
複数の前記リブの前記下端面と、前記測定面とを合わせた全体の形状は、線対称である、請求項1から5までの何れか1つに記載された測色装置。
【請求項7】
前記測定面には、前記測定孔を覆った状態の媒体が接触し、
前記測定孔の径方向に沿った前記測定面の長さは、前記測定孔の半径よりも短い、請求項1から6までの何れか1つに記載された測色装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、メディアに印刷された複数のカラーパッチを個々に測色する測色装置が開示されている。この測色装置は、下面に開口部が形成されたヘッドと、ヘッドの周囲に配置され、ヘッドを支持するガイドカバーとを備えている。開口部の下方には、メディアに印刷されたカラーパッチが配置される。ヘッド内には、開口部に光を照射するLEDと、カラーパッチから反射した光を受ける光センサが設けられている。ガイドカバーの下端には、メディアに接触する遮光部材が設けられている。
【0003】
カラーパッチを測色する際、メディアに印刷されたカラーパッチで開口部を覆うように、メディア上に測色装置を配置する。その後、LEDから光が発せられる。LEDから発せられた光は、開口部を通じてカラーパッチに到達する。そして、光は、カラーパッチで反射し、光センサに到達する。反射した光を光センサが検出することで、カラーパッチの測色を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-283848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記測色装置では、メディア上に測色装置を配置したとき、ガイドカバーによってヘッドが支持されることで、測色装置の姿勢が安定する。上記測色装置では、測色するカラーパッチを開口部の下方に配置するように、メディアに対する測色装置の位置合わせを行う。しかしながら、上記測色装置では、ガイドカバーに遮られて、開口部の位置が把握し難く、メディアに対する測色装置の位置合わせが行い難い。上記測色装置において、メディアに対する測色装置の位置合わせを行い易くするために、ガイドカバーを測色装置から取り外すことが考えられる。しかしながら、ガイドカバーを取り外すと、測色装置をメディア上に配置したとき、測色装置の姿勢が安定し難い。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、測色を行う際に、媒体に対する測色装置の位置合わせを行い易く、かつ、媒体上に測色装置を配置したときに、測色装置の姿勢を安定させることが可能な測色装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る測色装置は、ケースと、光源と、受光センサと、複数のリブとを備えている。前記ケースは、上下方向に延びた中空の筒部と、前記筒部の下端から下方に延びた中空の先端筒部と、前記先端筒部の先端に設けられ、測定孔が形成された測定面とを有する。前記光源は、前記ケース内に配置され、前記測定孔に向かって光を照射する。前記受光センサは、前記ケース内に配置され、前記測定孔を通じて媒体から反射した光を受ける。複数の前記リブは、前記測定面と面一である下端面を有し、前記先端筒部の外周面に延設されている。
【0008】
上記測色装置によれば、媒体に吐出されたインクの色濃度を測定する場合、測定面に媒体を接触させるように、測色装置を配置する。このとき、測定面と共に、複数のリブ15の下端面が媒体に接触した状態となる。よって、測定面と共に、複数のリブの下端面によって測色装置を支持することができるため、媒体上のインクの色濃度を測定する際、測色装置の姿勢を安定させることができる。また、上記測色装置によれば、媒体上のインクの色濃度を測定する際、色濃度を測定したい媒体の部分によって測定孔が覆われるように、媒体に対する測色装置の位置合わせを行う。このとき、複数のリブの間の空間から、測定孔の周囲を視認することができる。よって、複数のリブの間の空間から測定孔の位置を確認しながら、媒体に対する測色装置の位置合わせを行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、測色を行う際に、媒体に対する測色装置の位置合わせを行い易く、かつ、媒体上に測色装置を配置したときに、測色装置の姿勢を安定させることが可能な測色装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る測色装置を示す斜視図である。
図2】媒体に印刷された基準チャートを示す図である。
図3】測色装置の底面図である。
図4図3のVI-VI断面に沿った測色装置の断面図である。
図5図3のV-V断面に沿った測色装置の断面図である。
図6】測色装置の先端筒部を示す斜視図である。
図7A】測色装置の底面図である。
図7B】測色装置の光源と受光センサとの位置関係を模式的に示す底面図である。
図8】プリンタを示す斜視図である。
図9】プリンタの内部構成を示す正面図である。
図10】キャリッジ、インクヘッドおよび紫外線照射装置を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。
【0012】
図1は、本実施形態に係る測色装置10を示す斜視図である。図2は、媒体5に印刷された基準チャートCH1の一例を示す図である。図面において、符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味するものとする。ただし、前、後、左、右、上、下は、説明の便宜上定めたものに過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0013】
図1に示す測色装置10は、媒体5(図2参照)に吐出されたインクの色濃度を測定する装置である。ここで、媒体5とは、後述するプリンタ100(図8参照)による印刷が行われる際に使用されるものであり、例えば紙によって形成された記録紙である。しかしながら、媒体5は、記録紙に限定されず、所定の厚みを有する立体物であってもよい。また、媒体5の材質も限定されず、例えばプラスチックなどであってもよい。
【0014】
図2に示す基準チャートCH1は、媒体5に印刷されるものである。基準チャートCH1は、例えばプリンタ100によって印刷される。基準チャートCH1は、複数のパッチPを有する。パッチPとは、所定の色のインク、および、所定の基準濃度で形成されたものである。基準濃度とは、パッチPを印刷する際に、プリンタ100が吐出しようとするインクの色濃度である。
【0015】
この基準濃度と、パッチPを形成するインクの実際の色濃度とは、異なることがあり得る。そのため、ユーザは、測色装置10を使用して基準チャートCH1のパッチPの実際の色濃度を測定する。測色装置10によって測定されたパッチPの色濃度に基づいて、媒体5に吐出されたインクの実際の色濃度が基準濃度となるように、色濃度に関する補正値を決定する。
【0016】
本実施形態では、基準チャートCH1は、第1パッチP100~P110と、第2パッチP200~P210と、第3パッチP300~P310と、第4パッチP400~P410とを有する。本実施形態では、基準チャートCH1は、44個のパッチPによって構成されているが、基準チャートCH1を構成するパッチPの数は特に限定されない。
【0017】
第1パッチP100~P110は、例えばシアンインクによって形成されたパッチである。第1パッチP100~P110のそれぞれの色濃度の基準濃度は、0%~100%の間で、第1パッチP100~P110の順に所定の割合(ここでは10%)の間隔で大きくなっている。例えば第1パッチP100の基準濃度は0%であり、第1パッチP110の基準濃度は100%である。第1パッチP150の基準濃度は50%である。
【0018】
第2パッチP200~P210は、例えばマゼンタインクによって形成されたパッチである。第2パッチP200~P210のそれぞれの色濃度の基準濃度は、0%~100%の間で、第2パッチP200~P210の順に10%の間隔で大きくなっている。第3パッチP300~P310は、例えばイエローインクによって形成されたパッチである。第3パッチP300~P310は、第3パッチP300~P310のそれぞれの色濃度の基準濃度は、0%~100%の間で、第3パッチP300~P310の順に10%の間隔で大きくなっている。第4パッチP400~P410は、例えばブラックインクによって形成されたパッチである。第4パッチP400~P410のそれぞれの色濃度の基準濃度は、0%~100%の間で、第4パッチP400~P410の順に10%の間隔で大きくなっている。
【0019】
以下の説明において、第1パッチP100~P110、第2パッチP200~P210、第3パッチP300~P310、および、第4パッチP400~P410を、単にパッチPという。
【0020】
本実施形態では、第1パッチP100~P110は、所定の方向D1に並んで配置されており、第1パッチP100~P110の列のことを第1パッチ列P1という。同様に、第2パッチP200~P210は、方向D1に並んで配置されており、第2パッチP200~P210の列のことを第2パッチ列P2という。第3パッチP300~P310は、方向D1に並んで配置されており、第3パッチP300~P310の列のことを第3パッチ列P3という。第4パッチP400~P410は、方向D1に並んで配置されており、第4パッチP400~P410の列のことを第4パッチ列P4という。パッチ列P1~P4は、方向D1と平面視において直交する方向D2に並んで配置されている。
【0021】
なお、基準チャートCH1におけるパッチ列の数は、4つに限定されず、3つ以下であってもよいし、5つ以上であってもよい。本実施形態では、基準チャートCH1のパッチPは、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、および、ブラックインクの何れかのインクによって形成されているが、パッチPを形成する色の種類は特に限定されない。
【0022】
次に、図1に示す測色装置10について説明する。本実施形態に係る測色装置10は、媒体5に接触させて、パッチPの色濃度を測定する接触型の装置である。また、測色装置10は、上下方向Zに延びたペン型の装置である。
【0023】
図3は、測色装置10の底面図である。図4図5は、それぞれ図3のVI-VI断面、V-V断面における測色装置10の断面図である。図6は、測色装置10の先端筒部22の斜視図であり、図7Aは、測色装置10の底面図である。図7Bは、測色装置10の光源12と受光センサ13との位置関係を示す底面図である。
【0024】
図4に示すように、測色装置10は、ケース11と、光源12と、受光センサ13と、複数のリブ15とを備えている。図1に示すように、ケース11の形状は、ペン型であり、先端(ここでは下端)部分がテーパー状である。本実施形態では、図4に示すように、ケース11は、筒部21と、先端筒部22と、測定面23とを有している。筒部21は、上下方向Zに延びた円筒形状であり、内部に空間を有している。すなわち、筒部21は、中空のものである。
【0025】
先端筒部22は、筒部21の下端に設けられており、筒部21の下端から下方に延びた中空のものである。先端筒部22の先端には、測定面23が設けられている。先端筒部22は、テーパー状のものであり、先端に向かうほど先細りになっている。言い換えると、先端筒部22の外周面は、下方に向かうにしたがって、測定面23の中心C1に近づくように傾斜している。先端筒部22の断面積(詳しくは、上下方向Zと直交する水平方向の断面積)は、下方に向かうにしたがって小さくなる。ただし、先端筒部22は、テーパー状ではなく、上記のように外周面が傾斜していなくてもよい。先端筒部22の下端部の外径は、例えば筒部21の外径と同じであってもよい。
【0026】
測定面23は、先端筒部22の下端の面を構成している。図2に示すような媒体5に印刷された基準チャートCH1のパッチPの色濃度を測定する際、図4に示すように、測定面23は、媒体5と接触する。言い換えると、測定面23は、媒体5に印刷されたパッチP(図2参照)と接触する。本実施形態では、図3に示すように、測定面23は、リング状である。しかしながら、測定面23の形状は特に限定されない。
【0027】
測定面23には、測定孔25が形成されている。本実施形態では、測定面23の中心C1と、測定孔25の中心C2とが一致するように、測定孔25が測定面23に形成されている。測定孔25は、円形状であるが、測定孔25の形状は特に限定されない。なお、測定孔25の大きさは特に限定されない。例えば、測定孔25は、基準チャートCH1の1つのパッチPよりは小さいとよい。測定孔25は、全体が1つのパッチPによって覆われるほどの大きさであるとよい。
【0028】
本実施形態では、図7Aに示すように、測定孔25の径方向D3(図4参照)における測定面23の長さL1は、測定孔25の半径L2よりも短い。ここで、径方向D3とは、測定孔25の径方向であり、測定面23の径方向でもある。測定孔25を除いた測定面23の面積は、測定孔25の面積よりも小さい。
【0029】
図6に示すように、複数のリブ15は、ケース11の先端筒部22の外周面に延設されている。図4に示すように、リブ15は、上下方向Z、および、測定孔25の径方向D3に広がったものである。本実施形態では、リブ15は、三角形状かつ板状の部材であるが、リブ15の形状は特に限定されない。
【0030】
図6に示すように、複数のリブ15のうち、先端筒部22の周方向に隣り合う2つのリブ15の間には、空間が形成されている。そのため、隣り合う2つのリブ15の間から先端筒部22の外周面が見える。
【0031】
複数のリブ15は、それぞれ下端面16を有している。媒体5に印刷された基準チャートCH1のパッチPの色濃度を測定する際、図4に示すように、下端面16は、測定面23と共に媒体5と接触する。下端面16は、測定面23と面一である。言い換えると、複数のリブ15の下端面16と、測定面23との間には、段差が形成されていない。
【0032】
本実施形態では、複数のリブ15の下端面16は、測定孔25の径方向D3に沿って延びている。図3に示すように、複数のリブ15のうち、先端筒部22の周方向に隣り合う2つのリブ15が成す角度R1は、同じである。このことは、複数のリブ15は、先端筒部22の周方向に沿って等間隔で配置されていることを意味する。複数のリブ15のうち、先端筒部22の周方向に隣り合う2つのリブ15の下端面16の間隔は、測定面23の中心C1から離れるにしたがって徐々に広がっている。
【0033】
本実施形態では、図7Aに示すように、リブ15の下端面16における長さL3は、測定面23の長さL1よりも長い。ただし、リブ15の下端面16の長さL3は、測定面23の長さL1と同じであってもよいし、測定面23の長さL1よりも短くてもよい。また、リブ15の下端面16の長さL3は、測定孔25の直径L5よりも短い。しかしながら、リブ15の下端面16の長さL3は、測定孔25の直径L5よりも長くてもよいし、測定孔25の直径L5と同じであってもよい。また、リブ15の下端面16の長さL3は、測定孔25の半径L2と同じであってもよいし、半径L2よりも短くてもよいし、半径L2よりも長くてもよい。
【0034】
リブ15は、測色装置10を媒体5上に配置したときの測色装置10の姿勢を安定させるために設けられるものである。測定面23の長さL1が長くなる(言い換えると、先端筒部22の下端面の筒状の部分が肉厚になる)ほど、または、測定孔25の直径L5が大きくなるほど、測色装置10の姿勢が安定するため、この場合、リブ15の下端面16の長さL3は短い方が好ましい。一方、測定面23の長さL1が短くなる(言い換えると、先端筒部22の下端面の筒状の部分が肉薄になる)ほど、または、測定孔25の直径L5が小さくなるほど、測色装置10の姿勢が安定しないため、この場合、リブ15の下端面16の長さL3は長い方が好ましい。
【0035】
ここでは、測定面23と、複数のリブ15の下端面16とを合わせた形状は、線対称である。図7Aに示すように、測定面23と、複数のリブ15の下端面16とを合わせた形状は、測定面23の中心C1を通る対称軸A1を軸とした線対称である。
【0036】
リブ15の数は、特に限定されないが、最低でも4つであるとよい。リブ15の数が多ければ多いほど、測色装置10の姿勢は安定するが、隣接するリブ15の間隔が狭くなるため、隣接するリブ15の間から、測定孔25の周囲を視認し難くなる。本実施形態では、リブ15の数を12個にすることで、隣接するリブ15の間から、測定孔25の周囲の視認性を確保しつつ、測色装置10の姿勢の安定化を図ることができる。
【0037】
本実施形態では、複数のリブ15のうちの4つのリブ15を、第1リブ15a、第2リブ15b、第3リブ15c、および、第4リブ15dと称する。以下の説明において、平面視において、測定孔25の中心C2を通り、互いに直交する方向を第1方向D11および第2方向D12とする。第1方向D11および第2方向D12は、共に測定孔25の径方向D3でもある。
【0038】
本実施形態では、図7Aに示すように、第1リブ15aと第2リブ15bとは、第1方向D11に延びている。第1リブ15aと第2リブ15bとは、測定孔25を挟むように、第1方向D11に並んで配置されている。第3リブ15cと第4リブ15dとは、第2方向D12に延びている。第3リブ15cと第4リブ15dとは、測定孔25を挟むように、第2方向D12に並んで配置されている。すなわち、第1リブ15a、第2リブ15b、第3リブ15cおよび第4リブ15dは、先端筒部22におけるテーパー部分(先細りの部分)の外周面から等間隔で放射状に延設されている。
【0039】
ここでは、第1リブ15aと第3リブ15cとの間には、2つのリブ15が先端筒部22の周方向に沿って等間隔で配置されている。同様に、第1リブ15aと第4リブ15dとの間、第2リブ15bと第3リブ15cとの間、第2リブ15bと第4リブ15dとの間には、それぞれ2つのリブ15が先端筒部22の周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0040】
以上、測色装置10のリブ15について説明した。図4に示すように、光源12は、ケース11内に配置されている。光源12は、測定面23に形成された測定孔25に向かって光を照射するものである。上述のように、媒体5に印刷された基準チャートCH1のパッチP(図2参照)の色濃度を測定する際、測定面23に媒体5が接触しており、測定孔25は、媒体5に印刷されたパッチPによって覆われている状態となる。そのため、光源12から発せられた光は、測定孔25を通じて、媒体5に印刷されたパッチPに到達する。
【0041】
なお、光源12の数は特に限定されない。本実施形態では、図7Bに示すように、光源12の数は4つである。ここで、4つの光源12のそれぞれに対して、符号12a、12b、12c、12dを付すこととする。光源12aと光源12bとは、受光センサ13を挟むように、例えば第1方向D11に並んで配置されている。光源12cと光源12dとは、受光センサ13を挟むように、例えば第2方向D12に並んで配置されている。4つの光源12は、先端筒部22の周方向に沿って等間隔で配置されている。
【0042】
光源12は、例えばLEDによって構成されている。光源12は例えば白色を発光する。ただし、光源12の種類は、LEDに限定されず、光源12が発光する光の色は、白色に限定されない。
【0043】
本実施形態では、図4に示すように、ケース11内において、光源12cと測定孔25との間には、光通路31aが設けられ、光源12dと測定孔25との間には、光通路31bが設けられている。光通路31a、31bは、それぞれ光源12c、12dから測定孔25に向かって斜めに延びている。光通路31aは、光源12cと測定孔25とを繋ぐものである。光源12cから発せられた光は、光通路31aを通って測定孔25に到達する。光通路31bは、光源12dと測定孔25とを繋ぐものである。光源12dから発せられた光は、光通路31bを通って測定孔25に到達する。なお、図示は省略するが、光源12aと測定孔25との間、および、光源12bと測定孔25との間には、光通路31a、31bと同様の光通路が設けられている。
【0044】
受光センサ13は、ケース11内に配置され、測定孔25を通じて媒体5から反射した光を受けるセンサである。詳しくは、光源12から発せられた光であって、測定孔25を覆う媒体5に印刷されたパッチPから反射された光を受ける。本実施形態では、受光センサ13は、測定孔25の真上に配置されており、図7Bに示すように、光源12aと光源12bとの間、および、光源12cと光源12dとの間に配置されている。
【0045】
受光センサ13は、パッチPを形成するインクの色の濃度を検出することができるのであれば、その種類は特に限定されない。本実施形態では、受光センサ13は、例えばフォトダイオード、CCDイメージセンサ、または、CMOSイメージセンサである。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、ケース11内において、受光センサ13と測定孔25との間には、反射通路32が設けられている。反射通路32は、光通路31aと光通路31bとの間に配置されており、受光センサ13から測定孔25に向かって直線状に延びている。反射通路32は、受光センサ13と測定孔25とを繋ぐものである。光源12から発せられ、測定孔25を覆うパッチPから反射された光は、反射通路32を通って受光センサ13に到達する。
【0047】
本実施形態では、測色装置10は、制御基板35(図4参照)およびスイッチ36(図1参照)を備えている。制御基板35は、光源12および受光センサ13を制御するものであり、いわゆる制御装置の役割を担う。制御基板35は、光源12および受光センサ13と通信可能に接続されている。制御基板35は、例えば光源12の点灯と消灯の切り替えを行い、受光センサ13が検出した情報を受信する。なお、制御基板35は、プリンタ100(図8参照)などの外部機器と通信可能に接続することが可能である。そのため、測色装置10は、外部機器からの信号を受けて、インクの色濃度の測定をすることが可能である。
【0048】
制御基板35の配置位置は特に限定されない。本実施形態では、制御基板35は、ケース11内に配置されており、光源12および受光センサ13の上方に配置されている。ここでは、制御基板35は、例えばガラス製のプリント基板によって構成されている。しかしながら、制御基板35は、ガラス製に限定されない。
【0049】
本実施形態では、図4に示すように、制御基板35には、記憶部35aが設けられている。記憶部35aは、例えばROMやRAMによって構成されている。記憶部35aには、測色装置10によるインクの色濃度の測定結果などの情報が記憶される。
【0050】
図1に示すスイッチ36は、ユーザが操作するものである。スイッチ36は、ケース11(詳しくは、筒部21の外周面)に配置されており、制御基板35と通信可能に接続されている。ユーザがスイッチ36を押すことで、制御基板35が光源12および受光センサ13を制御し、測色装置10によるインクの色濃度の測定が行われる。
【0051】
以上、本実施形態に係る測色装置10の構成について説明した。次に、測色装置10を使用して、媒体5に印刷された基準チャートCH1のパッチP(図1参照)の色濃度を測定する手順について説明する。ここでは、ユーザが手動で測色装置10を使用して、パッチPの色濃度を測定する。
【0052】
ここでは、まず媒体5に印刷された基準チャートCH1の複数のパッチPのうち、色濃度を測定するパッチPを選択する。選択されたパッチPに、測定面23を接触させるように測色装置10を媒体5上に配置する(図4参照)。このとき、測色装置10のケース11は、媒体5から上方に延びた状態となり、測定孔25は、選択されたパッチPと接触方向で重なり、パッチPに覆われた状態となる。また、このとき、測色装置10の複数のリブ15の下端面16は、測定面23と共に、媒体5に接触した状態となる。そのため、測色装置10は、複数のリブ15によって支持された状態となり、媒体5に対して姿勢が安定する。
【0053】
以上のように、媒体5上に測色装置10を配置した後、ユーザは、測色装置10のスイッチ36(図1参照)を押す。このことで、制御基板35に開始信号が送られ、測定孔25を覆っているパッチPの色濃度の測定が開始される。
【0054】
パッチPの色濃度の測定では、光源12を点灯させることで、光源12から光が発せられる。光源12からの光は、光通路31a、31bなどを通じて測定孔25に到達する。測定孔25に到達した光は、測定孔25を覆うパッチPで反射される。反射された光は、反射通路32を通じて受光センサ13に到達する。受光センサ13は、受光した光の波長や光量などの受光情報を検出する。受光センサ13によって検出された受光情報は、記憶部35aに記憶される。そして、光源12から発せられた光の波長や光量と、受光情報とに基づいて、パッチPの色濃度を測定する。
【0055】
以上のようにして、媒体5に印刷された基準チャートCH1のパッチPの色濃度を測定することができる。なお、パッチPの色濃度の測定結果は、上記外部機器の一例であるプリンタ100(図8参照)や、パーソナルコンピュータに送信することが可能である。上記外部機器は、パッチPの色濃度の測定結果と、パッチPに対する基準濃度とに基づいて、色濃度に関する補正値を算出する。このように算出した補正値を使用して、インクの色濃度を補正することができる。
【0056】
このように、ユーザが測色装置10を手動で使用して、媒体5に印刷された基準チャートCH1の各パッチPの色濃度を測定することができるが、プリンタ100が測色装置10を使用して各パッチPの色濃度を自動で測定することも可能である。
【0057】
図8は、プリンタ100を示す斜視図である。図9は、プリンタ100の内部構成を示す正面図である。図10は、プリンタ100のキャリッジ134、インクヘッド136および紫外線照射装置138を示す底面図である。
【0058】
次に、測色装置10を使用して色濃度を測定することが可能なプリンタ100の構成について、図8図10を参照して、簡単に説明する。図8に示すように、プリンタ100は、プリンタケース110と、フロントカバー120とを備えている。プリンタケース110は、箱状の部材であり、前部に開口117が形成されている。フロントカバー120は、プリンタケース110の開口117を開閉自在に設けられており、プリンタケース110に対して回転可能に支持されている。
【0059】
図9に示すように、プリンタ100は、ガイドレール132と、キャリッジ134と、インクヘッド136と、テーブル150とを備えている。ガイドレール132、キャリッジ134、インクヘッド136およびテーブル150は、プリンタケース110(図8参照)内に設けられている。ガイドレール132は、主走査方向Y(ここでは、左右方向)に延びている。キャリッジ134は、ガイドレール132に摺動自在に設けられている。
【0060】
インクヘッド136は、キャリッジ134に設けられており、キャリッジ134と共に主走査方向Yに移動する。本実施形態では、インクヘッド136の数は4つであり、4つのインクヘッド136から、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよびブラックインクを吐出することが可能である。図10に示すように、各インクヘッド136の下面には、副走査方向X(ここでは前後方向)に並んだ複数のノズル137が形成されており、ノズル137からインクが吐出される。ここでは、キャリッジ134には、インクヘッド136から吐出されたインクを硬化させる紫外線を発する紫外線照射装置138が設けられている。
【0061】
図9に示すように、テーブル150は、媒体5を支持する。テーブル150は、キャリッジ134およびインクヘッド136よりも下方に配置されている。テーブル150に支持された媒体5に向かって、インクヘッド136からインクが吐出される。本実施形態では、テーブル150は、昇降機構152によって上下方向Zに移動可能に構成されている。図示は省略するが、テーブル150は、副走査方向Xに移動可能に構成されている。
【0062】
本実施形態に係るプリンタ100では、キャリッジ134には、ホルダ199が設けられている。ホルダ199には、測色装置10が着脱可能に取り付けられる。本実施形態では、ホルダ199は、キャリッジ134の左部であって、インクヘッド136よりも左方に配置されている。しかしながら、ホルダ199は、キャリッジ134の右部であって、インクヘッド136よりも右方に配置されていてもよい。
【0063】
なお、ホルダ199に測色装置10を取り付ける構成は特に限定されない。本実施形態では、図10に示すように、ホルダ199は、リング状に形成されており、上下に貫通した貫通孔199aを有している。この貫通孔199aに測色装置10のケース11を挿入し、図示しない締結部材によってホルダ199を締め付ける。このことで、測色装置10における、キャリッジ134およびホルダ199に対する上下方向Zの位置が固定される。なお、図10では、測色装置10の図示は省略されている。
【0064】
本実施形態では、プリンタ100で印刷を行うときには、ホルダ199から測色装置10が取り外される。プリンタ100を使用して、媒体5に吐出されたインクの色濃度を測定する際には、ホルダ199に測色装置10が取り付けられる。プリンタ100では、図2に示す基準チャートCH1が印刷された媒体5をテーブル150に支持させる。そして、テーブル150に支持された媒体5に印刷された基準チャートCH1の各パッチPの色濃度を、測色装置10によって測色する。
【0065】
プリンタ100で各パッチPの色濃度を測定する際、まずキャリッジ134に設けられたホルダ199の貫通孔199a(図10参照)に測色装置10のケース11を挿入する。その後、ホルダ199を図示しない締結部材で締め付ける。このことで、ホルダ199に測色装置10を取り付けることができる。なお、ホルダ199に取り付けられた測色装置10(詳しくは、制御基板35(図4参照))は、プリンタ100と通信可能に接続されている。
【0066】
プリンタ100で色濃度を測定する際、ホルダ199に測色装置10が取り付けられた状態で、テーブル150に支持された媒体5に印刷されたパッチPのうち、色濃度を測定するパッチPの真上に、測定孔25が配置するように、テーブル150とキャリッジ134との相対的な位置を変更する。その後、色濃度を測定するパッチPに測定面23を接触させるように、昇降機構152によってテーブル150を昇降させる。
【0067】
そして、測定面23にパッチPが接触した状態で、プリンタ100から測色装置10に開始信号が送られて、パッチPの色濃度の測定が行われる。なお、パッチPの色濃度の測定の手順は、ユーザがスイッチ36を押した後の測色装置10の制御の手順と同じであるとため、ここでの説明は省略する。以上のような手順で、プリンタ100が測色装置10を使用して、媒体5に印刷された各パッチPの色濃度を測定することができる。
【0068】
以上、本実施形態では、図4に示すように、測色装置10は、ケース11と、光源12と、受光センサ13と、複数のリブ15とを備えている。ケース11は、上下方向Zの延びた中空の筒部21と、筒部21の下端から下方に延びた中空の先端筒部22と、先端筒部22の先端に設けられ、測定孔25が形成された測定面23とを有する。光源12は、ケース11内に配置され、測定孔25に向かって光を照射する。受光センサ13は、ケース11内に配置され、測定孔25を通じて媒体5から反射した光を受ける。図6に示すように、複数のリブ15は、測定面23と面一である下端面16を有し、先端筒部22の外周面に延設されている。
【0069】
このことによって、媒体5に吐出されたインクの色濃度を測定する場合、測定面23に媒体5を接触させるように、測色装置10を配置する。このとき、測定面23と共に、複数のリブ15の下端面16が媒体5に接触した状態となる。よって、測定面23と共に、複数のリブ15の下端面16によって測色装置10を支持することができるため、媒体5上のインクの色濃度を測定する際、測定面23のみで支持する場合に比べて、測色装置10の姿勢を安定させることができる。また、本実施形態では、媒体5上のインクの色濃度を測定する際、色濃度を測定したい媒体5の部分(ここでは、パッチP(図2参照))によって測定孔25を覆うようにして、媒体5に対する測色装置10の位置合わせを行う。このとき、複数のリブ15の間の空間から、測定孔25の周囲を視認することができる。よって、複数のリブ15の間の空間から測定孔25の位置を確認しながら、媒体5に対する測色装置10の位置合わせを行うことができる。
【0070】
本実施形態では、図3に示すように、複数のリブ15の下端面16は、測定孔25の径方向D3(図4参照)に延びている。このことによって、図3に示すように、隣り合う2つのリブ15の間隔は、先端筒部22の外周面から離れるにしたがって大きくなる。そのため、隣り合う2つのリブ15の間の空間から、測定孔25の周囲をより視認し易い。
【0071】
本実施形態では、図7Aに示すように、複数のリブ15には、第1リブ15a、第2リブ15b、第3リブ15cおよび第4リブ15dが少なくとも含まれる。第1リブ15aおよび第2リブ15bは、測定孔25を挟んで第1方向D11に延びて配置されている。第3リブ15cおよび第4リブ15dは、測定孔25を挟んで第2方向D12に延びて配置されている。このことによって、測定面23を媒体5に接触させて、測色装置10を媒体5上に配置したとき、第1リブ15a、第2リブ15b、第3リブ15cおよび第4リブ15dによってケース11が支持されているため、測色装置10が四方で支持される。よって、媒体5上のインクの色濃度を測定する際、測色装置10の姿勢をより安定させることができる。
【0072】
本実施形態では、図3に示すように、複数のリブ15のうち隣り合う2つのリブ15が成す角度R1は、同じである。このことによって、複数のリブ15のうち隣り合う2つのリブ15の間隔は、同じになる。よって、どの隣り合う2つのリブ15の間の空間から測定孔25の周囲を見ても、視認性は同じになる。したがって、先端筒部22の周方向の向きを気にすることなく、測定孔25の周囲を視認しながら、媒体5に対する測色装置10の位置合わせを行うことができる。
【0073】
本実施形態では、複数のリブ15の下端面16と、測定面23とを合わせた全体の形状は、線対称である。このことによって、複数のリブ15の下端面16と、測定面23を媒体5に接触させて、測色装置10を媒体5上に配置する際、測色装置10が傾き難くなるため、測色装置10の姿勢をより安定させることができる。
【0074】
本実施形態では、図7Aに示すように、測定面23における測定孔25の径方向D3(図4参照)の長さL1は、測定孔25の半径L2よりも短い。このことによって、測定面23の周端、言い換えると先端筒部22の外周面の位置と、測定孔25の位置とを近づけることができる。よって、先端筒部22の外周面の位置から、測定孔25の位置を推定し易い。よって、先端筒部22の位置を確認することで、媒体5に対する測色装置10の位置合わせを行い易い。
【符号の説明】
【0075】
10 測色装置
11 ケース
12 光源
13 受光センサ
15 リブ
15a 第1リブ
15b 第2リブ
15c 第3リブ
15d 第4リブ
16 下端面
21 筒部
22 先端筒部
23 測定面
25 測定孔
100 プリンタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10