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特許7518636太陽電池モジュール及び太陽電池モジュール製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール及び太陽電池モジュール製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02S 30/10 20140101AFI20240710BHJP
【FI】
H02S30/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020040679
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021145399
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】中野 邦裕
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-106387(JP,A)
【文献】特開2000-352155(JP,A)
【文献】特開2005-101380(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0206206(US,A1)
【文献】特開2003-031833(JP,A)
【文献】国際公開第2013/168440(WO,A1)
【文献】特開2015-162608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に取り付けられる太陽電池モジュールであって、
太陽電池セルと、
前記太陽電池セルの表面側を覆う表面保護材と、
前記太陽電池セルの裏面側を覆う裏面保護材と、
前記表面保護材と前記裏面保護材との間の前記太陽電池セルの周囲の空間を封止する封止材と、
前記裏面保護材の裏面側に少なくとも一部が配置され、当該太陽電池モジュールを前記構造物に取り付けるための取付形状を有する取付部材と、
を備え、
前記裏面保護材は、前記取付部材と平面視で重複する領域に開口を有し、
前記取付部材は、前記裏面保護材の前記開口から露出する前記封止材によって固定され
前記取付部材は、前記表面保護材の外周部の表面側に配置される表面枠部と、前記表面保護材、前記封止材及び前記裏面保護材の端面に隣接する端面枠部と、前記裏面保護材の裏面側に配置される裏面枠部と、を有し、
前記裏面保護材と前記裏面枠部との隙間の少なくとも一部分には、前記開口から溢れ出た前記封止材が埋められる、太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記取付部材は、樹脂成形品である、請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
構造物に取り付けられる太陽電池モジュールを製造する太陽電池モジュール製造方法であって、
表面保護材と、表側封止材からなる第1シートと、太陽電池セルと、裏側封止材からなる第2シートと、開口を有する裏面保護材とをこの順番に積層する工程と、
前記太陽電池モジュールを前記構造物に取り付けるための取付形状を有し、かつ表面保護材の外周部の表面側に配置される表面枠部と、前記表面保護材、前記表側封止材、前記裏側封止材及び前記裏面保護材の端面に隣接する端面枠部と、前記裏面保護材の裏面側に配置される裏面枠部と、を有する、取付部材を少なくともその一部が前記裏面保護材の開口と平面視で重なるよう配置する工程と、
前記表面保護材、前記第1シート、前記太陽電池セル、前記第2シート及び前記裏面保護材の積層体を熱プレスすることによって、前記表側封止材及び前記裏側封止材を流動化させることで前記表面保護材と前記裏面保護材との間の前記太陽電池セルの周囲の空間を封止すると共に、前記裏面保護材の前記開口から露出する前記裏側封止材により前記取付部材を固定し、かつ前記開口から溢れ出た前記裏側封止材により前記裏面保護材と前記裏面枠部との隙間の少なくとも一部分を埋める工程と、
を備える、太陽電池モジュール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュール及び太陽電池モジュール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の太陽電池セルを、表面保護材と裏面保護材との間に挟み込み、表面保護材と裏面保護材との間の太陽電池セルの周囲の空間を封止材によって封止した太陽電池モジュールが広く利用されている。一般的に、太陽電池モジュールは、専用の架台又は建物や車両等の構造物に取り付けられた状態で使用される。このため、太陽電池モジュールに、構造物に取り付けるための取付部材を設けることがある。このような取付部材は、裏面保護材に接着剤によって固定され得る。
【0003】
特許文献1には、鋼板からなる裏面保護材(補強材)の端部を折り曲げることによって、裏面保護材に太陽電池モジュールを配設するための取付構造を予め形成しておくことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-341031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるように、裏面保護材に予め取付構造を設けておく方法では、裏面保護材のコストが大きくなったり、裏面保護材の重量が大きくなるという不都合がある。また、特許文献1に記載されるように、裏面保護材として鋼板を用いる場合、太陽電池セルと裏面保護材との間にシート状の絶縁材を挟み込むことが好ましく、太陽電池モジュールのコスト及び重量をさらに大きくする。
【0006】
本発明は、取付構造を有する安価で軽量な太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュールは、太陽電池セルと、前記太陽電池セルの表面側を覆う表面保護材と、前記太陽電池セルの裏面側を覆う裏面保護材と、前記表面保護材と前記裏面保護材との間の前記太陽電池セルの周囲の空間を封止する封止材と、前記裏面保護材の裏面側に少なくとも一部が配置される取付部材と、を備え、前記裏面保護材は、前記取付部材と平面視で重複する領域に開口を有し、前記取付部材は、前記裏面保護材の前記開口から露出する前記封止材によって固定される。
【0008】
本発明の一態様に係る太陽電池モジュール製造方法は、表面保護材と、表側封止材からなる第1シートと、太陽電池セルと、裏側封止材からなる第2シートと、開口を有する裏面保護材とをこの順番に積層する工程と、取付部材を少なくともその一部が前記裏面保護材の開口と平面視で重なるよう配置する工程と、前記表面保護材、前記第1シート、前記太陽電池セル、前記第2シート及び前記裏面保護材の積層体を熱プレスすることによって、表側封止材および前記裏側封止材を流動化させることで前記表面保護材と前記裏面保護材との間の前記太陽電池セルの周囲の空間を封止すると共に、前記裏面保護材の前記開口から露出する前記裏側封止材により前記取付部材を固定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取付構造を有する安価で軽量な太陽電池モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュールを示す模式裏面図である。
図2図1の太陽電池モジュールのA-A線断面図である。
図3図1の太陽電池モジュールの製造手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0012】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る太陽電池モジュール1を示す模式裏面図である。また、図2は太陽電池モジュール1の断面図である。
【0013】
太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池ストリング10と、複数の太陽電池ストリング10の表面側を覆う表面保護材20と、複数の太陽電池ストリング10の裏面側を覆う裏面保護材30と、太陽電池ストリング10と表面保護材20との隙間を封止する表側封止材40と、太陽電池ストリング10と裏面保護材30との隙間を封止する裏側封止材50と、裏面保護材30の裏側に固定された取付部材60と、を備える。また、太陽電池モジュール1は、複数の太陽電池ストリング10を電気的に接続する配線材70と、太陽電池モジュール1の外部に電力を出力するために、複数の太陽電池ストリング10の電気的な両端に接続される一対の引出線80と、をさらに備える。
【0014】
太陽電池ストリング10は、複数の太陽電池セル11と、隣接する太陽電池セル11間を接続する複数のインターコネクタ12と、をそれぞれ有する。図示する例において、太陽電池ストリング10は、両面電極型の太陽電池セル11をインターコネクタ12によって直列に接続したものを企図するが、太陽電池セル11は裏面電極型太陽電池セルであってもよい。また、太陽電池ストリング10は、複数の太陽電池セル11の接続方向の一方側の端部を隣接する太陽電池セル11の他方側の裏面に重ねて配置するいわゆるシングリング構造を有するものであってもよい。
【0015】
表面保護材20は、太陽電池ストリング10の表面側を保護する層である。表面保護材20は、例えばガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂などの透明で耐傷性を有する材料から形成される。表面保護材20は、太陽電池モジュール1の形状を保持できる強度を備えるために十分な厚さを有することが好ましい。また、予め所望の形状に成形した表面保護材20を用いることによって、所望の形状の太陽電池モジュール1を得ることができる。
【0016】
また、表面保護材20の表面は、凹凸状に加工されていてもよく、反射防止コーティング層で被覆されていてもよい。このような表面保護材20を用いることによって、表面保護材20が入射する光を反射させにくいので、より多くの光を太陽電池セル11に導き、太陽電池モジュール1の光電変換効率を向上することができる。
【0017】
裏面保護材30は、太陽電池ストリング10の裏面側を保護する層である。裏面保護材30の材質としては、特に限定されるものではないが、水等の浸入を防止する(遮水性の高い)材質が好ましい。具体的には、裏面保護材30は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ポリエチレン(PE)、オレフィン系樹脂、含フッ素樹脂、含シリコーン樹脂等の樹脂等から形成することができる。また、裏面保護材30は、樹脂の層と、例えばアルミニウム箔等の金属の層との積層体としてもよい。このような構成により、裏面保護材30のバリア性を向上することができる。
【0018】
裏面保護材30は、例えば金属層、光拡散材含有層(白色層)等を有し、表面側から入射する光を反射するよう、構成されてもよい。これにより、太陽電池ストリング10を透過又は太陽電池ストリング10の隙間を通過した光を反射して太陽電池ストリング10に戻すことによって光電変換効率を向上することができる。また、裏面保護材30の表側面から見た際の色(光の反射特性)は、個々の太陽電池セル11を識別しにくくして太陽電池モジュール1の美観の低下を防止するために、太陽電池セル11の表側面の色と近似していてもよい。
【0019】
裏面保護材30は、後述する取付部材60と平面視で重複する領域にそれぞれ開口する固定開口31を有する。この固定開口31は、裏側封止材50を裏面側に露出させ、露出する裏側封止材50によって取付部材60を固定する。また、裏面保護材30は、引出線80の一端を太陽電池モジュール1に外側に引き出すために用いられるスリット32を有してもよい。
【0020】
表側封止材40は、裏側封止材50と共に、表面保護材20と裏面保護材30の間の太陽電池セル11の周囲の空間を封止する。表側封止材40及び裏側封止材50は、水分等が浸入して太陽電池ストリング10に接触することを防止する。これにより太陽電池ストリング10、特に太陽電池セル11が劣化することが抑制される。表側封止材40は、透明性を有し、太陽電池ストリング10及び表面保護材20に対する密着性を有する材料から形成される。表側封止材40は、熱プレスにより太陽電池ストリング10と表面保護材20との隙間を封止することができるよう、熱可塑性を有する材料から形成されることが好ましい。具体的には、表側封止材40は、例えばエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/α-オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル/トリアリルイソシアヌレート(EVAT)、ポリビニルブチラート(PVB)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等から形成することができる。
【0021】
裏側封止材50は、表側封止材40と共に太陽電池ストリング10を封止し、水分等により太陽電池ストリング10、特に太陽電池セル11が劣化することを抑制する。このため、裏側封止材50は、表側封止材40と同様の材料、好ましくは同一の材料から形成される。また、裏側封止材50は、上述のように、裏面保護材30の固定開口31から露出して、取付部材60に密着することで、取付部材60を太陽電池モジュール1の裏面側に固定する。
【0022】
取付部材60は、太陽電池モジュール1を例えば架台、車両、建物等の構造物に取り付けるために、所定の取付形状を有する。取付部材60は、裏面保護材30に対向する面に、表側封止材40との密着性を向上するための粗面化構造を有してもよい。また、取付部材60は、裏面保護材30に対向する面に開口し、固定開口31から流出した表側封止材40が入り込んだ状態で固まることによって取付部材60が堅固に固定される凹部又は貫通穴を有してもよい。
【0023】
取付部材60は、樹脂成形品であることが好ましい。これにより、比較的安価に、太陽電池モジュール1を構造物に取り付けるために適切な取付形状を形成することができる。
【0024】
取付部材60は、金属製であってもよいが、裏側封止材50との密着性が高く、太陽電池モジュール1を構造物に堅固に取り付けられるよう十分な強度を有し、射出成形によって成形できるよう熱可塑性を有する樹脂を主成分とすることが好ましい。具体的には、取付部材60の主成分となる樹脂としては、例えばポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を挙げることができる。
【0025】
配線材70及び引出線80としては、周知の構成のものを使用することができる。
【0026】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、表側封止材40及び裏側封止材50によって太陽電池ストリング10を封止する際に、裏側封止材50によって構造物への取付構造を有する取付部材60を固定することができるので、安価に製造することができる。
【0027】
また、取付部材60は、裏面保護材30とは独立して成形されるので、裏面保護材30として比較的薄いシート状の材料を用いることができるので、太陽電池モジュール1は、軽量化が容易である。
【0028】
太陽電池モジュール1は、図3に示す太陽電池モジュール製造方法によって、製造することができる。図3の太陽電池モジュール製造方法は、本発明に係る太陽電池モジュール製造方法の一実施形態である。
【0029】
本実施形態の太陽電池モジュール製造方法は、太陽電池ストリング10を形成する工程(S01:太陽電池ストリング形成工程)と、表面保護材20、表側封止材40からなる第1シートS1、太陽電池ストリング10、裏側封止材50からなる第2シートS2及び裏面保護材30を積層する工程(S02:積層工程)と、取付部材60を裏面保護材30の固定開口31と平面視で重なるよう配置する工程(S03:取付部材配置工程)と、表面保護材20、第1シートS1、太陽電池ストリング10、第2シートS2及び裏面保護材30の積層体を熱プレスする工程(S04:熱プレス工程)と、を備える。
【0030】
(太陽電池ストリング形成工程)
太陽電池ストリング形成工程では、複数の太陽電池セル11を一列に並べると共に隣接する太陽電池セル11をインターコネクタ12で接続することによって、太陽電池ストリング10を形成する。太陽電池セル11とインターコネクタ12とは、例えば半田、導電性接着剤等によって接続することができる。
【0031】
(積層工程)
積層工程では、表面保護材20、第1シートS1、太陽電池ストリング10、第2シートS2及び裏面保護材30をこの積層する。この積層は、裏面保護材30から順番に重ねてもよいが、表面側を下にして、堅固で重量が大きい表面保護材20から順番に重ねることで、比較的正確に各構成要素を配置することができる。この積層工程において配線材70及び引出線80を接続してもよく、後の熱プレス工程における熱による半田のリフロー等によって太陽電池ストリング10に配線材70及び引出線80が接続されるよう、配線材70及び引出線80を所定位置に配置するだけでもよい。
【0032】
(取付部材配置工程)
取付部材配置工程では、取付部材60を、裏面保護材30の裏面側に、平面視で固定開口31と重なるよう配置する。この取付部材配置工程では、複数の取付部材60を治具(不図示)によって保持した状態で積層してもよい。取付部材60を保持する治具は、独立した部材であってもよく、次の熱プレス工程で用いるプレス装置と一体であってもよい。また、治具は、万一、裏面保護材30と取付部材60との隙間から裏側封止材50が漏れ出した場合にも裏側封止材50が触れない形状、又は裏側封止材50が接着しない剥離性を有することが好ましい。これにより、次の熱プレス工程の後で形成された太陽電池モジュール1から治具を取り外すことができる。
【0033】
(熱プレス工程)
熱プレス工程では、積層工程で形成した積層体を加熱しながら加圧することによって、表側封止材40及び裏側封止材50を流動化させることで、表面保護材20と裏面保護材30との間の太陽電池セル11の周囲の空間に表側封止材40及び裏側封止材50を充填すると共に、裏面保護材30の固定開口31から露出する裏側封止材50により取付部材60を固定する。
【0034】
このように、表側封止材40及び裏側封止材50により太陽電池ストリング10を封止することで、太陽電池セル11を水分や酸素から隔離することができるので、太陽電池モジュールの信頼性を向上することができる。
【0035】
熱プレス工程において、取付部材60を裏面保護材30に密着させれば、流動化した裏側封止材50を固定開口31の内部に留めることができる。しかしながら、最終的に表面保護材20と取付部材60との位置関係を担保できれば、裏面保護材30と取付部材60との間に隙間が形成さることで、裏側封止材50が裏面保護材30の裏側に流出してもよい。
【0036】
熱プレスに用いるプレス装置は、少なくとも裏側封止材50の裏面を押圧する部分が変形可能なダイアフラム状であることが好ましい。取付部材60が存在していても、積層体を全体的に加熱及び加圧することができる。これにより、太陽電池セル11間の隙間や太陽電池セル11の凹部の中に表側封止材40又は裏側封止材50を充填して適切に太陽電池セル11を保護することができる。
【0037】
以上のように、本実施形態の太陽電池モジュール製造方法によれば、裏面保護材30とは別に用意した取付部材60を熱プレス工程において裏側封止材50により固定するので、比較的安価に太陽電池モジュール1を製造することができる。
【0038】
<第2実施形態>
図4は本発明の第2実施形態に係る太陽電池モジュール1Aを示す断面図である。以下、図4の太陽電池モジュール1Aについて説明するが、図1の太陽電池モジュール1と同様の構成要素には同じ符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
太陽電池モジュール1Aは、複数の太陽電池ストリング10と、複数の太陽電池ストリング10の表面側を覆う表面保護材20と、複数の太陽電池ストリング10の裏面側を覆う裏面保護材30と、太陽電池ストリング10と表面保護材20との隙間を封止する表側封止材40と、複数の太陽電池ストリング10の裏面側を覆い、外縁近傍に固定開口31を有する裏面保護材30と、太陽電池ストリング10と裏面保護材30との隙間を封止する裏側封止材50と、表面保護材20、表側封止材40、太陽電池ストリング10、裏側封止材50及び裏面保護材30の積層体の外周を取り囲む枠状の取付部材60Aと、複数の太陽電池ストリング10を電気的に接続する配線材70と、複数の太陽電池ストリング10の電気的な両端に接続される一対の引出線80と、を備える。
【0040】
取付部材60Aは、表面保護材20の外周部の表面側に配置される表面枠部61と、表面保護材20、表側封止材40、裏側封止材50及び裏面保護材30の端面に隣接する端面枠部62と、裏面保護材30の裏面側に配置される裏面枠部63と、を有する。つまり、取付部材60Aは、その一部分である裏面枠部63だけが裏面保護材30の裏面側に配置されている。
【0041】
裏面保護材30と裏面枠部63とは離間しており、裏面保護材30と裏面枠部63との隙間の少なくとも一部分を、固定開口42から裏面側に溢れ出た裏側封止材50が埋めている。
【0042】
図4の太陽電池モジュール1Aも、図1の太陽電池モジュール1と同様に、太陽電池ストリング形成工程と、積層工程と、取付部材配置工程と、熱プレス工程と、を備える太陽電池モジュール製造方法によって製造することができる。
【0043】
の太陽電池モジュール1Aの製造に際しては、取付部材配置工程において、取付部材60Aを、その一部である裏面枠部63が裏面保護材30の固定開口31に重なるよう配置する。表面保護材20、第1シートS1、太陽電池ストリング10、第2シートS2及び裏面保護材30の積層体に対して取付部材60Aを配置するために、取付部材60Aは、複数の部分に分割して形成することができる。
【0044】
熱プレス工程では、表面保護材20、第1シートS1、太陽電池ストリング10、第2シートS2及び裏面保護材30の積層体の全体を加熱しながら、この積層体の平面視で取付部材60Aの内側の領域を厚み方向に加圧する。これにより、裏面保護材30の固定開口31からは、裏側封止材50が流出する。特に、端面枠部62が裏側封止材50の側方への流出を防止するため、裏側封止材50は、選択的に固定開口31から流出する。これにより、裏面保護材30と裏面枠部63との間を裏側封止材50によって接続することができる。
【符号の説明】
【0045】
1,1A 太陽電池モジュール
10 太陽電池ストリング
11 太陽電池セル
12 インターコネクタ
20 表面保護材
30 裏面保護材
31 固定開口
32 スリット
40 表側封止材
50 裏側封止材
60,60A 取付部材
61 表面枠部
62 端面枠部
63 裏面枠部
70 配線材
80 引出線
S1 第1シート
S2 第2シート
図1
図2
図3
図4