(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジン用のピストン及びディーゼルエンジン
(51)【国際特許分類】
F02B 23/06 20060101AFI20240710BHJP
F02F 3/26 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
F02B23/06 R
F02B23/06 D
F02B23/06 L
F02B23/06 W
F02B23/06 S
F02F3/26 C
(21)【出願番号】P 2020087389
(22)【出願日】2020-05-19
【審査請求日】2023-04-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 章
(72)【発明者】
【氏名】嶋津 有宏
(72)【発明者】
【氏名】三村 智
(72)【発明者】
【氏名】栗原 崇至
【審査官】永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-507848(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234285(US,A1)
【文献】特表2016-502033(JP,A)
【文献】国際公開第2019/013221(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/177897(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 23/06
F02F 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料噴射ノズルから燃料が直接噴射される燃焼室を有するディーゼルエンジン用のピストンにおいて、
前記燃焼室において最も深い燃焼室底を有する底部と、
前記ピストンの径方向中央に設けられ、前記底部の側から前記燃料噴射ノズルに向かって突出する中央凸部と、
前記底部と前記中央凸部とをつなぎ、断面視で全長にわたって連続的に湾曲する内底湾曲部と、
前記底部から前記ピストンの頂面までの間の周壁の全周にわたって設けられ、前記ピストンの中心線を含む断面視で前記中心線と前記頂面との交点P0に向かって突出する周囲凸部と、
前記底部と前記周囲凸部とをつなぎ、前記断面視で前記交点P0に対し前記燃焼室の外側に向かって湾曲する外底湾曲部と、
前記周囲凸部から径方向外側に向かうに従って前記頂面に近づくように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部から前記頂面に向かって立ち上がる立ち上がり部と、を備え、
前記燃料噴射ノズルからの燃料噴射は、前記ピストンの下降により、前記傾斜部の前記周囲凸部寄りの部位に行われ、
前記燃料噴射ノズルからの燃料噴射は、前記ピストンが上死点にあるとき、前記外底湾曲部の前記周囲凸部寄りの部位に行われ、
前記断面視で、前記中心線と前記立ち上がり部との最短距離をL0、前記傾斜部の延長線及び前記立ち上がり部の延長線の交点と前記頂面との距離をH1、前記交点P0と前記周囲凸部との最短距離をL1、前記中心線と直交する直線と前記傾斜部の延長線とのなす角度をA1としたとき、下記の条件(1)及び(2)を満た
し、
前記断面視で、前記交点P0と前記外底湾曲部との最長距離をL2、前記頂面と前記燃焼室底との距離をH0としたとき、
L0:L2:H0=100:90±5:48±5を満たす
ディーゼルエンジン用のピストン。
(1)L0を100としたとき、L0:H1:L1=100:9±5:83±5
(2)20度≦A1≦40度
【請求項2】
前記断面視で、前記中心線と平行な直線と前記立ち上がり部の延長線とのなす角度をA2とし、前記中心線と平行な直線に対して時計回りを正の角度、反時計回りを負の角度としたとき、
-10度≦A2≦10度を満たす
請求項1に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項3】
前記断面視で、前記内底湾曲部の曲率半径は、前記外底湾曲部の曲率半径よりも大きい
請求項
1又は2に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項4】
前記断面視で、前記頂面と前記中央凸部との最短距離をH2としたとき、
L0:H2=100:10±8を満たす
請求項
3に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項5】
前記断面視で、前記交点P0と前記傾斜部の延長線及び前記立ち上がり部の延長線の交点との距離をL3としたとき、
L1<L2<L3を満たす
請求項
1から
4の何れか一項に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項6】
前記断面視で前記交点P0と前記周囲凸部の頂点とを結ぶ線で前記燃焼室を分割し、分割した前記燃焼室のうち前記頂面の側を第一燃焼室、前記底部の側を第二燃焼室としたとき、
前記燃料噴射ノズルからの燃料噴射は、上死点後-15~5度のとき前記第二燃焼室に向けて行われ、上死点後0~15度のとき前記周囲凸部に向けて行われ、上死点後5~30度のとき前記第一燃焼室に向けて行われる
請求項1から
5の何れか一項に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項7】
前記第一燃焼室の容積を第一容積V1、前記第二燃焼室の容積を第二容積V2としたとき、
45/55≦V2/V1≦55/45を満たす
請求項
6に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項8】
前記ピストンの外径は、90mm以上である
請求項1から
7の何れか一項に記載のディーゼルエンジン用のピストン。
【請求項9】
シリンダと、
前記シリンダの軸方向に移動可能に設けられた請求項1から
6の何れか一項に記載のピストンと、
を備える
ディーゼルエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジン用のピストン及びディーゼルエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンとして、排出ガス規制適応のため、排出ガス中の粒子状物質を捕集するディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF:Diesel Particulate Filter)を装着した構成がある。このような構成においては、エンジンから排出される黒煙によるDPFの閉塞を回避するために、エンジンから排出される黒煙を低減する必要がある。
一方、地球温暖化防止に向けたCO2低減に対する社会的要求は年々増加しており、ディーゼルエンジンの燃料消費率の低減によるCO2排出の低減が要求されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、燃焼室の底壁を形成し燃料噴射ノズルに向かって突出する中央突部と、底壁から頂部までの間の周壁の全周にわたって燃料噴射ノズルに向かう凸状に形成された周囲突部と、周囲突部よりも頂部側で周囲突部よりも径大となった部分から頂部までの範囲の周壁にリエントラント角が設けられた縁部と、を備えた構成が開示されている。
例えば、下記特許文献2には、リエントラント型キャビティを冠面に有するピストンと、キャビティの中心線上に配置された燃料噴射ノズルと、を備えたディーゼルエンジンにおいて、キャビティの入口部において最小径となるリップ部が開口縁よりも下方に位置し、リップ部の上方に、ピストンの外周側に拡大した空間からなるポケット部が形成された構成が開示されている。
例えば、下記特許文献3には、ピストンの冠面に形成されるキャビティが、冠面の径方向中心領域の第1キャビティ部と、第1キャビティ部よりもシリンダ軸方向の深さが浅く径方向外周側に配置される第2キャビティ部との2段構造とされた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-101244号公報
【文献】特許第6241479号公報
【文献】特許第6519633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、縁部のリエントラント角が大きすぎると、燃料噴霧が燃焼室の中央部へ大きく折り返される。この場合、燃料噴霧が液柱(直接噴霧)と干渉し、空気不足による黒煙の増大や燃料消費率の悪化を招く可能性がある。
特許文献2の場合、ピストン冠面におけるポケット部の開口縁の径が、リップ部の径よりも大きすぎると、シリンダ方向(シリンダの径方向外方向)に多量の噴霧が進行する。この場合、燃料の未燃焼や熱エネルギーの損失を招き、燃料消費率の悪化を招く可能性がある。
特許文献3の場合、第2キャビティ部の深さが浅すぎると、第2キャビティ部の面形状に沿って流動する混合気同士が互いに干渉し、空気不足による黒煙の増大や燃料消費率の悪化を招く可能性がある。
【0006】
そこで本発明は、黒煙の発生を少なくし、かつ、燃料消費率を低減することができるディーゼルエンジン用のピストン及びディーゼルエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るディーゼルエンジン用のピストンは、燃料噴射ノズルから燃料が直接噴射される燃焼室を有するディーゼルエンジン用のピストンにおいて、前記燃焼室において最も深い燃焼室底を有する底部と、前記底部から前記ピストンの頂面までの間の周壁の全周にわたって設けられ、前記ピストンの中心線を含む断面視で前記中心線と前記頂面との交点P0に向かって突出する周囲凸部と、前記周囲凸部から径方向外側に向かうに従って前記頂面に近づくように傾斜する傾斜部と、前記傾斜部から前記頂面に向かって立ち上がる立ち上がり部と、を備え、前記燃料噴射ノズルからの燃料噴射は、前記ピストンの下降により、前記傾斜部の前記周囲凸部寄りの部位に行われ、前記断面視で、前記中心線と前記立ち上がり部との最短距離をL0、前記傾斜部の延長線及び前記立ち上がり部の延長線の交点と前記頂面との距離をH1、前記交点P0と前記周囲凸部との最短距離をL1、前記中心線と直交する直線と前記傾斜部の延長線とのなす角度をA1としたとき、下記の条件(1)及び(2)を満たす。
(1)L0を100としたとき、L0:H1:L1=100:9±5:83±5
(2)20度≦A1≦40度
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、黒煙の発生を少なくし、かつ、燃料消費率を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るディーゼルエンジンの一部断面図。
【
図2】実施形態に係るピストンの中心線を含む断面図。
【
図6】実施形態に係る燃料噴射ノズルの噴射角度の説明図。
【
図7】実施形態に係る燃料噴射ノズルの噴孔数の説明図。
【
図8】実施形態に係る燃料噴射ノズルからの燃料噴射制御(上死点後-15~5度のときの燃料噴射)の説明図。
【
図9】
図8に続く、燃料噴射ノズルからの燃料噴射制御(上死点後0~15度のときの燃料噴射)の説明図。
【
図10】
図9に続く、燃料噴射ノズルからの燃料噴射制御(上死点後5~30度のときの燃料噴射)の説明図。
【
図11】実施形態に係るピストンの周囲凸部、傾斜部及び立ち上がり部による作用説明図。
【
図12】実施形態に係るピストンの傾斜部の長さによる作用説明図。
【
図13】実施形態に係るピストンの外底湾曲部による作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。実施形態においては、エンジンの一例として燃料直線噴射式のディーゼルエンジンを挙げて説明する。例えば、ディーゼルエンジンは、ダンプトラック、ブルドーザ、油圧ショベル、ホイルローダ等の各種建設機械や、大型発電機の駆動装置に用いられる。
【0011】
<ディーゼルエンジン>
図1に示すように、ディーゼルエンジン1は、エンジン本体2と、エンジン本体2に燃料を供給する燃料噴射装置3と、を備える。燃料噴射装置3を含むディーゼルエンジン1の各要素は、制御装置4によって制御される。
【0012】
エンジン本体2は、シリンダブロック10、シリンダヘッド11、ピストン12及びクランクシャフト13を備える。
シリンダブロック10の内部には、複数のシリンダ14が設けられる。
シリンダヘッド11は、シリンダブロック10の上部にボルト等の締結部材で固定されている。
ピストン12は、シリンダ14の内部で燃焼した燃焼ガスの圧力を受けてシリンダ14内を往復運動する。ピストン12は、各シリンダ14に対応して複数設けられる。
クランクシャフト13は、ピストン12の往復運動を回転運動に変換する。
【0013】
燃料噴射装置3は、ポンプ20、コモンレール21及び燃料噴射ノズル22を備える。
ポンプ20及びコモンレール21は、シリンダブロック10の外壁に取り付けられている。
ポンプ20は、ディーゼルエンジン1の燃焼室31内に噴射する燃料を高圧で送り出す。ポンプ20には、ポンプ20からの燃料の吐出量を制御する吐出量制御弁23が設けられている。
【0014】
コモンレール21は、ポンプ20で発生した圧力(燃圧)で燃料を蓄積する。コモンレール21には、コモンレール21に蓄積された燃料の圧力を検出する圧力センサ24が設けられている。圧力センサ24の検出信号は、制御装置4に送られる。
燃料噴射ノズル22は、シリンダヘッド11内に配置されている。燃料噴射ノズル22は、コモンレール21からの燃料を各シリンダ内に噴射する。燃料噴射ノズル22には、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御弁25が設けられている。
【0015】
燃料噴射ノズル22は、ピストン12の中心線O上に配置されている。本実施形態では、
図6に示すように、燃料噴射ノズル22からの燃料の噴射角度Bは、139度≦B≦154度の範囲に設定されている。噴射角度Bは、ピストン12の中心線Oと直交する方向から見て、燃料噴射ノズル22から一側方に噴射される燃料の噴霧幅中心(一方の燃料噴霧の中心線)と、燃料噴射ノズル22から他側方に噴射される燃料の噴霧幅中心(他方の燃料噴霧の中心線)とのなす角度に相当する。
【0016】
燃料噴射ノズル22の端部には、燃料を噴射する噴孔が複数設けられている。例えば、
図7に示すように、噴孔の数は、8~12個の範囲に設定される。本実施形態では、噴孔の数は、10個である。燃料噴射ノズル22は、10個の噴孔から燃料を放射状に噴射する。
なお、噴孔の数は、上記に限らず、シリンダ14及びピストン12の口径、噴射される燃料の広がり角等に応じて変更してもよい。
【0017】
制御装置4は、例えばマイクロプロセッサ(MPU:Micro-processing unit)等を備える。
図1に示すように、制御装置4には、ディーゼルエンジン1の回転速度を検出するために、回転センサ26からの回転速度信号N1が入力される。また、制御装置4には、ディーゼルエンジン1の負荷検出のために、アクセルペダルや燃料噴射量設定ダイヤル等からの開度信号N2が入力される。
【0018】
制御装置4は、圧力センサ24の検知信号(コモンレール21に蓄圧された燃料の実圧力Pa)がディーゼルエンジン1の回転速度と負荷に応じて設定された最適なレール圧となるように、吐出量制御弁23に開閉信号S1を出力して吐出量制御弁23の開閉時期を制御する。
また、制御装置4は、ディーゼルエンジン1の回転速度と負荷に応じて設定された燃料噴射時期(噴射開始のタイミング)及び燃料噴射期間(燃料噴射量)に基づいて、燃料噴射制御弁25に制御パルスS2を出力して燃料噴射ノズル22からの燃料噴射を制御する。
【0019】
<ピストン>
図2に示すように、ピストン12は、ピストン12の頂面30においてシリンダヘッド11(
図3参照)に向けて開口する燃焼室31を有する。ピストン12の頂面30は、吸気バルブ及び排気バルブ(不図示)との干渉防止のためのざぐり32を有しない面を意味する。
図5に示すように、ざぐり32は、ピストン12においてシリンダヘッド11(
図3参照)と対向する面に複数(例えば4つ)設けられている。
【0020】
図2に示すように、燃焼室31は、ピストン12の頂面30側からピンボス33側に向けて窪んでいる。燃焼室31は、ピストン12の中心線Oを中心とした回転体形状を有する。
【0021】
図4は、実施形態のピストン12の一部を示す、ピストン12の中心線Oを含む断面図である。
図4においては、断面ハッチを省略している。
ピストン12は、底部40、周囲凸部42、傾斜部43、立ち上がり部44、外底湾曲部45、中央凸部46及び内底湾曲部47を備える。
以下、ピストン12の中心線Oに沿う方向を「軸方向」、中心線Oに直交する方向を「径方向」、中心線O周りの方向を「周方向」とする。
図3に示すように、軸方向は、シリンダ14の軸方向に相当する。
【0022】
図4に示すように、底部40は、燃焼室31において最も深い燃焼室底40aを有する。言い換えると、燃焼室底40aは、底部40のうち軸方向においてピストン12の頂面30から最も離れた部位である。
【0023】
周囲凸部42は、底部40からピストン12の頂面30までの間の周壁41の全周にわたって設けられている。周囲凸部42は、ピストン12の中心線Oを含む断面視(以下単に「断面視」という。)で中心線Oと頂面30との交点P0に向かって突出する。周囲凸部42は、断面視で交点P0に向かって弧状に湾曲している。
【0024】
周囲凸部42の頂点42aは、軸方向において中央凸部46の頂点46aと燃焼室底40aとの間に配置されている。ここで、周囲凸部42の頂点42aは、断面視で周囲凸部42において交点P0に最も近い部位(突出端)を意味する。周囲凸部42の頂点42aは、軸方向(
図4の上下方向)において燃焼室底40aよりも中央凸部46の頂点46aの近くに配置されている。
【0025】
傾斜部43は、断面視で周囲凸部42の頂面30側の部位から径方向外側に向かうに従って頂面30に近づくように直線状に傾斜している。
【0026】
立ち上がり部44は、傾斜部43の径方向外側部から頂面30に向かって立ち上がっている。立ち上がり部44は、断面視で傾斜部43よりも急峻に傾斜して延びる延在部44aと、延在部44aと頂面30とをつなぎ断面視で交点P0に向かって弧状に湾曲する縁部44bと、を有する。
図中符号48は、延在部44aと傾斜部43とをつなぐ連結部を示す。連結部48は、断面視で交点P0に対し燃焼室31の外側に向かって弧状に湾曲している。
【0027】
外底湾曲部45は、底部40の径方向外側部と周囲凸部42の底部40側の部位とをつなぐ部分である。外底湾曲部45は、断面視で交点P0に対し燃焼室31の外側に向かって弧状に湾曲している。
【0028】
中央凸部46は、ピストン12の径方向中央に設けられている。中央凸部46は、底部40の側から燃料噴射ノズル22に向かって突出している。中央凸部46は、断面視で、交点P0に向かって弧状に湾曲している。中央凸部46の頂点46aは、中心線O上に配置されている。
【0029】
内底湾曲部47は、底部40の径方向内側部と中央凸部46の径方向外側部とをつなぐ部分である。内底湾曲部47は、断面視で軸方向において頂面30とは反対側(
図4の下側)であって径方向において外底湾曲部45とは反対側(
図4の中心線Oの側)に向かって弧状に湾曲している。断面視で、内底湾曲部47の曲率半径R1は、外底湾曲部45の曲率半径R2よりも大きい(R1>R2)。
【0030】
<ピストンの寸法等>
図2に示すように、例えば、ピストン12の外径Dは、90mm以上である。本実施形態では、ピストン12の外径Dは、120mm以上130mm以下の範囲(例えば125mm程度)に設定されている。
【0031】
断面視で、交点P0と周囲凸部42の頂点42aとを結ぶ線で燃焼室31を分割し、分割した燃焼室31のうち頂面30の側を第一燃焼室31A、底部40の側を第二燃焼室31Bとする。
第一燃焼室31Aの容積を第一容積V1、第二燃焼室31Bの容積を第二容積V2とする。第一容積V1に対する第二容積V2の比は、45/55≦V2/V1≦55/45を満たす。なお、V2/V1は、48/52≦V2/V1≦52/48を満たすことがより好ましい。
【0032】
図4に示すように、断面視で、中心線Oと直交する直線と傾斜部43の延長線とのなす角度をA1(傾斜部43の角度)とする。このとき、角度A1は、20度≦A1≦40度を満たす。なお、角度A1は、25度≦A1≦35度を満たすことがより好ましい。
【0033】
断面視で、中心線Oと平行な直線と延在部44a(立ち上がり部44)の延長線とのなす角度をA2(立ち上がり部44の角度)とする。断面視で、中心線Oと平行な直線に対して時計回り(右回り)を正の角度、反時計回り(左回り)を負の角度としたとき、角度A2は、-10度≦A2≦10度を満たす。なお、角度A2は、-5度≦A2≦5度を満たすことがより好ましい。本実施形態では、角度A2は、0度≦A2≦5度を満たす。
【0034】
断面視で、中心線Oと立ち上がり部44との最短距離をL0とする。本実施形態では、角度A2が0度≦A2≦5度であるため、距離L0は、立ち上がり部44の傾斜部43寄りの部位と中心線Oとを結ぶ直線の長さに相当する。言い換えると、距離L0は、径方向における中心線Oと立ち上がり部44との最短距離を意味する。
【0035】
断面視で、頂面30と燃焼室底40aとの距離をH0とする。距離H0は、燃焼室31において最も深い部位の深さに相当する。距離L0,H0の比は、L0:H0=100:48±5を満たす。なお、距離L0,H0の比は、L0:H0=48±2を満たすことがより好ましい。
【0036】
断面視で、傾斜部43の延長線及び延在部44aの延長線の交点P1と頂面30との距離をH1とする。距離H1は、軸方向における交点P1と頂面30との間の長さを意味する。距離L0,H1の比は、L0:H1=100:9±5を満たす。なお、距離L0,H1の比は、L0:H1=100:9±2を満たすことがより好ましい。
【0037】
断面視で、交点P0と周囲凸部42との最短距離をL1とする。距離L1は、断面視で周囲凸部42の頂点42aと交点P0とを結ぶ直線の長さを意味する。距離L0,L1の比は、L0:L1=100:83±5を満たす。なお、距離L0,L1の比は、L0:L1=100:83±2を満たすことがより好ましい。
【0038】
断面視で、頂面30と中央凸部46との最短距離をH2とする。距離H2は、断面視で中心線O上において中央凸部46の頂点46aと頂面30とを結ぶ直線の長さを意味する。距離L0,H2の比は、L0:H2=100:10±8を満たす。なお、距離L0,H2の比は、L0:H2=100:10±2を満たすことがより好ましい。
【0039】
断面視で、交点P0と外底湾曲部45との最長距離をL2とする。距離L2は、断面視で外底湾曲部45において交点P0から最も遠い部位(外底湾曲部45の頂点45a)と交点P0とを結ぶ直線の長さを意味する。距離L0,L2の比は、L0:L2=100:90±5を満たす。なお、距離L0,L2の比は、L0:L2=100:90±2を満たすことがより好ましい。
【0040】
断面視で、交点P0と傾斜部43の延長線及び立ち上がり部44の延長線の交点P1との距離をL3とする。距離L1,L2,L3の関係は、L1<L2<L3を満たす。
【0041】
<燃料噴射ノズルからの燃料噴射>
燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン圧縮工程の末期に開始される。燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン12が上死点にあるとき、外底湾曲部45の周囲凸部42寄りの部位に行われる。燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン12の下降により、傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に行われる。
【0042】
図8に示すように、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後-15~5度のとき第二燃焼室31Bに向けて行われる。
図9に示すように、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後0~15度のとき周囲凸部42に向けて行われる。本実施形態では、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後8度のとき周囲凸部42の頂点42aに向けて行われる。
図10に示すように、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後5~30度のとき第一燃焼室31Aに向けて行われる。
【0043】
ここで、最初に第二燃焼室31Bに噴射を開始してから燃料噴霧の中心が周囲凸部42の頂点42aに到達するまでを「燃料噴射前期」、燃料噴霧の中心が周囲凸部42の頂点42aに達してから噴射終了までを「燃料噴射後期」とする。
図8に示すように、燃料噴射前期においては、燃料噴射ノズル22から噴射される燃料の噴霧は、外底湾曲部45の周囲凸部42寄りの部位に向かって噴射される。すると、燃料の噴霧は、外底湾曲部45及び底部40に沿って矢印方向に流れる。したがって、燃料噴射前期においては、殆どの燃料は第二燃焼室31B内に供給され、燃焼する。
【0044】
図10に示すように、燃料噴射後期においては、燃料噴射ノズル22から噴射される燃料の噴霧は、傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に向かって噴射される。すると、燃料の噴霧は、傾斜部43及び立ち上がり部44に沿って矢印方向に流れる。したがって、燃料噴射後期においては、殆どの燃料は第一燃焼室31A内に供給され、燃焼する。
なお、この際の噴霧は、第二燃焼室31Bへの供給段階から連続して噴出されている。
【0045】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態のピストン12は、燃料噴射ノズル22から燃料が直接噴射される燃焼室31を有するディーゼルエンジン1用のピストン12において、燃焼室31において最も深い燃焼室底40aを有する底部40と、底部40からピストン12の頂面30までの間の周壁41の全周にわたって設けられ、ピストン12の中心線Oを含む断面視で中心線Oと頂面30との交点P0に向かって突出する周囲凸部42と、周囲凸部42から径方向外側に向かうに従って頂面30に近づくように傾斜する傾斜部43と、傾斜部43から頂面30に向かって立ち上がる立ち上がり部44と、を備える。燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン12の下降により、傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に行われる。断面視で、中心線Oと立ち上がり部44との最短距離をL0、傾斜部43の延長線及び立ち上がり部44の延長線の交点P1と頂面30との距離をH1、交点P0と周囲凸部42との最短距離をL1、中心線Oと直交する直線と傾斜部43の延長線とのなす角度をA1としたとき、下記の条件(1)及び(2)を満たす。
(1)L0を100としたとき、L0:H1:L1=100:9±5:83±5
(2)20度≦A1≦40度
図11に示すように、本実施形態では、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン12の下降により、傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に行われることで、燃焼室31内には、傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に向かう直接噴霧E1と、傾斜部43及び立ち上がり部44に沿って巻き上がる巻き上がり噴霧E2とが形成される。上記の条件(1)及び(2)を満たすことで、直接噴霧E1と巻き上がり噴霧E2とには、適度な距離が設けられる。すなわち、直接噴霧E1と巻き上がり噴霧E2との干渉が抑制される。これにより、空気を好適に取り込むことができるため、燃焼速度が向上する。したがって、黒煙の発生を少なくし、かつ、燃料消費率を低減することができる。
さらに本実施形態では、ディーゼルエンジン1は、シリンダ14と、シリンダ14の軸方向に移動可能に設けられた上述のピストン12と、を備える。ピストン12は、シリンダヘッド11下面に対向する頂面30を有する。この場合、巻き上がり噴霧E2は、シリンダ14のシリンダヘッド11下面に沿って径方向内方向とシリンダ方向(径方向外方向)とに分かれて進行する。すなわち、立ち上がり部44により、巻き上がり噴霧E2を広範囲に進行させることができる。したがって、空気を有効に利用することができ、黒煙の発生をより一層少なくし、かつ、燃料消費率を更に低減することができる。
また本実施形態では、L0:L1=100:83±5を満たすことで、適度な長さの傾斜部43が得られる。これにより、
図12に示すように、ピストン12の下降により傾斜部43の周囲凸部42寄りの部位に噴射された噴霧E1は、頂面30へ向かう方向(上方)への方向転換を維持する。すなわち、噴霧が底部40へ向かう方向(下方)へ方向転換することを抑制し、既に酸素の残存量が少ない空間へ燃料が導かれることを抑制することができる。したがって、燃焼効率を向上し、黒煙の発生をより一層少なくすることができる。
【0046】
本実施形態では、断面視で、中心線Oと平行な直線と立ち上がり部44の延長線とのなす角度をA2とし、中心線Oと平行な直線に対して時計回りを正の角度、反時計回りを負の角度としたとき、-10度≦A2≦10度を満たす。
そのため、
図11に示すように、A2<-10度の場合と比較して、燃料噴霧が径方向中央方向K1へ大きく折り返されることを抑制することができる。これにより、燃料噴霧と折り返し噴霧との干渉に起因する空気不足による黒煙の増大や燃料消費率の悪化を抑制することができる。
加えて、A2>10度の場合と比較して、シリンダ方向K2(シリンダ14の径方向外方向)に多量の噴霧が進行することを抑制することができる。これにより、燃料の未燃焼や熱エネルギーの損失を抑制し、燃料消費率の悪化を抑制することができる。
【0047】
本実施形態では、底部40と周囲凸部42とをつなぎ、断面視で交点P0に対し燃焼室31の外側に向かって湾曲する外底湾曲部45を更に備える。燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、ピストン12が上死点にあるとき、外底湾曲部45の周囲凸部42寄りの部位に行われる。断面視で、交点P0と外底湾曲部45との最長距離をL2、頂面30と燃焼室底40aとの距離をH0としたとき、L0:L2:H0=100:90±5:48±5を満たす。
そのため、
図13に示すように、燃焼室31内には、外底湾曲部45の周囲凸部42寄りの部位に向かう直接噴霧E1と、外底湾曲部45及び底部40に沿って折り返される折り返し噴霧E3とが形成される。本実施形態の場合、L0:L2:H0=100:90±5:48±5を満たすことで、直接噴霧E1と折り返し噴霧E3とには、適度な距離が設けられる。すなわち、直接噴霧E1と折り返し噴霧E3との干渉が抑制される。これにより、空気を好適に取り込むことができるため、燃焼速度が向上する。したがって、黒煙の発生をより一層少なくし、かつ、燃料消費率を更に低減することができる。
【0048】
本実施形態では、ピストン12の径方向中央に設けられ、底部40の側から燃料噴射ノズル22に向かって突出する中央凸部46と、底部40と中央凸部46とをつなぎ、断面視で湾曲する内底湾曲部47と、を更に備える。断面視で、内底湾曲部47の曲率半径R1は、外底湾曲部45の曲率半径R2よりも大きい(R1>R2)。
そのため、
図13に示すように、内底湾曲部47の曲率半径R1が外底湾曲部45の曲率半径R2以下の場合(R1≦R2)と比較して、直接噴霧E1と折り返し噴霧E3との干渉をより効果的に抑制することができる。これにより、空気をより好適に取り込むことができるため、燃焼速度が更に向上する。したがって、黒煙の発生をより一層少なくし、かつ、燃料消費率を更に低減することができる。
【0049】
本実施形態では、断面視で、頂面30と中央凸部46との最短距離をH2としたとき、L0:H2=100:10±8を満たす。
そのため、燃焼にそれほど関与しない領域を適度に低減することができる。したがって、燃焼効率の向上に寄与する。
【0050】
本実施形態では、断面視で、交点P0と傾斜部43の延長線及び立ち上がり部44の延長線の交点P1との距離をL3としたとき、L1<L2<L3を満たす。
そのため、
図11に示すように、L1<L3<L2の場合と比較して、燃料噴霧が径方向中央方向K1へ大きく折り返されることを抑制することができる。これにより、燃料噴霧と折り返し噴霧との干渉に起因する空気不足による黒煙の増大や燃料消費率の悪化を抑制することができる。
【0051】
本実施形態では、断面視で交点P0と周囲凸部42の頂点42aとを結ぶ線で燃焼室31を分割し、分割した燃焼室31のうち頂面30の側を第一燃焼室31A、底部40の側を第二燃焼室31Bとする。燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後-15~5度のとき第二燃焼室31Bに向けて行われ、上死点後0~15度のとき周囲凸部42に向けて行われ、上死点後5~30度のとき第一燃焼室31Aに向けて行われる。
この構成によれば、第二燃焼室31Bと第一燃焼室31Aとへ燃料噴霧を噴き分けることにより、既燃ガスの存在しない空間へ燃料を噴射することができる。そのため、燃料と空気との接触機会を増やし、燃焼期間を短縮することができる。したがって、黒煙の発生をより一層少なくし、かつ、燃料消費率を更に低減することができる。
【0052】
本実施形態では、第一燃焼室31Aの容積を第一容積V1、第二燃焼室31Bの容積を第二容積V2としたとき、45/55≦V2/V1≦55/45を満たす。
そのため、
図13に示すように直接噴霧E1と折り返し噴霧E3との干渉を抑制するとともに、
図11に示すように直接噴霧E1と巻き上がり噴霧E2との干渉を抑制することができる。これにより、空気を有効に利用することができ、黒煙の発生をより一層少なくし、かつ、燃料消費率を更に低減することができる。
【0053】
本実施形態では、ピストン12の外径Dは、90mm以上である。
そのため、ピストン12の外径Dが90mm未満の場合と比較して、周囲凸部42を高精度で形成することができる。したがって、周囲凸部42の頂点42aを境とした各燃焼室31A,31Bへの燃料噴霧を好適に行うことができる。
【0054】
<その他の実施形態>
上述した実施形態では、角度A2が-10度≦A2≦10度を満たす例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、角度A2は、-10度未満であってもよい。例えば、角度A2は、10度を超えていてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、距離L0,L2,H0の比がL0:L2:H0=100:90±5:48±5を満たす例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、距離L0,L2,H0の比は、上記範囲外に設定されていてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、断面視で内底湾曲部47の曲率半径R1が外底湾曲部45の曲率半径R2よりも大きい例(R1>R2)を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、内底湾曲部47の曲率半径R1は、外底湾曲部45の曲率半径R2以下(R1≦R2)であってもよい。
【0057】
上述した実施形態では、距離L0,H2の比は、L0:H2=100:10±8を満たす例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、距離L0,H2の比は、上記範囲外に設定されていてもよい。
【0058】
上述した実施形態では、距離L1,L2,L3の関係は、L1<L2<L3を満たす例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、距離L1,L2,L3の関係は、L1<L3<L2を満たしてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射は、上死点後-15~5度のとき第二燃焼室31Bに向けて行われ、上死点後0~15度のとき周囲凸部42に向けて行われ、上死点後5~30度のとき第一燃焼室31Aに向けて行われる例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、燃料噴射ノズル22からの燃料噴射のタイミングは、要求仕様に応じて変更することができる。
【0060】
上述した実施形態では、第一容積V1及び第二容積V2の関係は、45/55≦V2/V1≦55/45を満たす例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第一容積V1及び第二容積V2の関係は、上記範囲外に設定されていてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、ピストン12の外径Dが90mm以上である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピストン12の外径Dは、90mm未満であってもよい。
【0062】
上述した実施形態では、周囲凸部42の頂点42aを境にして行われる燃料噴射前期と燃料噴射後期とにおける燃料噴射が連続している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、燃料噴射前期を第一回目の燃料噴射とし、燃料噴射後期を第一回目の燃料噴射とは断続的に行われる第二回目の燃料噴射とする、いわゆるパイロット噴射やアフター噴射を行ってもよい。
【0063】
上述した実施形態では、ピストン12の中心、燃焼室31の中心及び燃料噴射ノズル22の噴射位置が一致している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、ピストン12の中心に対して、燃焼室31の中心及び燃料噴射ノズル22の噴射位置をそれぞれオフセット(偏心)してもよい。
【0064】
上述した実施形態では、燃料噴射時期をエンジン回転速度及びエンジン負荷に応じて制御する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、エンジン回転速度のみや、エンジン負荷のみに基づいて燃料噴射時期を制御してもよい。
【0065】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能であり、上述した実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1…ディーゼルエンジン、12…ピストン、14…シリンダ、22…燃料噴射ノズル、30…頂面、31…燃焼室、31A…第一燃焼室、31B…第二燃焼室、40…底部、40a…燃焼室底、41…周壁、42…周囲凸部、42a…周囲凸部の頂点、43…傾斜部、44…立ち上がり部、45…外底湾曲部、46…中央凸部、47…内底湾曲部、A1…傾斜部の角度(断面視で中心線と直交する直線と傾斜部の延長線とのなす角度)、A2…立ち上がり部の角度(断面視で中心線と平行な直線と立ち上がり部の延長線とのなす角度)、D…ピストンの外径、H0…断面視で頂面と燃焼室底との距離、H1…断面視で交点P1と頂面との距離(断面視で傾斜部の延長線及び立ち上がり部の延長線の交点と頂面との距離)、H2…断面視で頂面と中央凸部との最短距離、L0…断面視で中心線と立ち上がり部の最短距離、L1…断面視で交点P0と周囲凸部との最短距離、L2…断面視で交点P0と外底湾曲部との最長距離、L3…断面視で交点P0と交点P1との距離、O…ピストンの中心線、P0…断面視で中心線と頂面との交点、P1…断面視で傾斜部の延長線及び立ち上がり部の延長線との交点、R1…断面視で内底湾曲部の曲率半径、R2…断面視で外底湾曲部の曲率半径、V1…第一容積、V2…第二容積