(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/40 20060101AFI20240710BHJP
D06F 33/06 20060101ALI20240710BHJP
【FI】
D06F37/40 A
D06F33/06
(21)【出願番号】P 2020150524
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019209691
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 健浩
(72)【発明者】
【氏名】大八木 淳史
(72)【発明者】
【氏名】奥野 智行
(72)【発明者】
【氏名】浦井 康司
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012323(JP,A)
【文献】特開昭49-50760(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0211164(US,A1)
【文献】特開昭49-89352(JP,A)
【文献】特開2017-18277(JP,A)
【文献】特開2016-36400(JP,A)
【文献】特開2016-36399(JP,A)
【文献】特開2017-99605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/06
D06F 37/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム式洗濯機であって、
洗濯物を出し入れする投入口を前面に有する筐体と、
前記筐体に収容された貯水可能なタブと、
前記投入口に開口を向けた状態で、前記タブの内部に回転可能に収容されたドラムと、
前記ドラムの底部に回転可能に設置されたパルセータと、
前記ドラムおよび前記パルセータの双方を回転駆動する正逆回転可能なモータと、
前記ドラムおよび前記パルセータと前記モータとの間に介在する駆動伝達機構と、
前記モータを低回転で
正逆転方向に駆動させる洗濯モードと、前記モータを高回転で
逆転方向に駆動させる脱水モードとを実行する制御装置と、
を備え、
前記駆動伝達機構は、
前記ドラムおよび前記モータの各々に連結されるプーリーと、これらに掛け渡したベルトとからなる第1駆動伝達要素と、
前記パルセータおよび前記モータの各々に連結されるプーリーと、これらに掛け渡したベルトとからなり、前記第1駆動伝達要素とプーリー比が異なる第2駆動伝達要素と、
を有し、
前記第2駆動伝達要素は更に、正転
方向への
前記モータの駆動力は伝達するが
逆転方向への
前記モータの駆動力は伝達しない一方向クラッチを有し、
前記洗濯モードの実行時には、前記ドラムを回転駆動しながら前記パルセータを回転駆動
および空転させるとともに、前記脱水モードの実行時には、前記ドラムを回転駆動しながら前記パルセータを空転させる、ドラム式洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラムが50rpmで回転するときに、前記パルセータが75~250rpmで回転するように、前記プーリー比が設定されている、ドラム式洗濯機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のドラム式洗濯機において、
前記モータに連結される2つのプーリーが、前記モータの駆動軸に変更可能に固定されている、ドラム式洗濯機。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に前記タブに貯まる水を加熱するヒータを更に備え、
前記ヒータの通電が、前記パルセータが回転駆動されない期間に行われて前記パルセータが回転駆動される期間は行われない、ドラム式洗濯機。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合は、前記モータの回転方向を一時的に逆転させる、ドラム式洗濯機。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合は、前記モータの回転速度を一時的に増加させる、ドラム式洗濯機。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合に、前記モータの回転速度を一時的に増加させる第1の絡まり抑制制御を実行し、
前記第1の絡まり抑制制御で前記モータの駆動電流が所定値を下回らない場合に、前記モータの回転方向を一時的に逆転させる第2の絡まり抑制制御を実行する、ドラム式洗濯機。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に、正転方向に前記ドラムを所定速度で回転させるとともに、前記パルセータを前記ドラムよりも速い速度で回転させる高負荷回転処理、および、逆転方向に前記ドラムを前記所定速度で回転させるとともに、前記パルセータを空転させる低負荷回転処理からなる2つの処理のうち、少なくとも前記高負荷回転処理が行われ、
前記高負荷回転処理での運転期間中に、所定期間の間にわたって計測される前記モータの駆動電流の変化量に関する比較値に基づいて当該モータの過負荷発生の前兆を検知し、当該前兆を検知した場合に、臨時の前記低負荷回転処理が所定時間行われる、ドラム式洗濯機。
【請求項9】
請求項8に記載のドラム式洗濯機において、
前記比較値が、前記所定期間における前記駆動電流の値を平均化して得られる第1比較値、または、前記所定期間における前記駆動電流の値の偏差の絶対値を平均化して得られる第2比較値からなり、
前記第1比較値および前記第2比較値のうち、少なくともいずれか一方が所定値を超えたか否かによって、前記モータの過負荷発生の前兆の有無を判断する、ドラム式洗濯機。
【請求項10】
請求項8または9に記載のドラム式洗濯機において、
前記ドラムが1回転~3回転する期間内に、前記所定期間が設定されている、ドラム式洗濯機。
【請求項11】
請求項10に記載のドラム式洗濯機において、
前記洗濯モードの実行時に、前記高負荷回転処理と前記低負荷回転処理とが、所定の運転期間で交互に行われ、
前記低負荷回転処理よりも前記高負荷回転処理の方が、処理時間が長く設定されている、ドラム式洗濯機。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか1つに記載のドラム式洗濯機において、
前記高負荷回転処理の運転期間内に、臨時の低負荷回転処理が終了した場合には、前記高負荷回転処理を再開する、ドラム式洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示する技術は、ドラムの底部にパルセータを備えたドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドラム式洗濯機の場合、ドラムの回転により、洗濯物が持ち上げられて落ちる機械的作用で洗濯物を洗う、いわゆる「たたき洗い」状の作用に加え、パルセータの回転により、洗濯物を撹拌して摺り合わせる、いわゆる「もみ洗い」状の作用も得られる。従って、パルセータを備えていないドラム式洗濯機よりも、優れた洗浄効果が得られる。
【0003】
ただし、このドラム式洗濯機の場合、ドラムとパルセータとを、それぞれ独立して回転駆動する必要がある。ドラムは、洗い時と脱水時とで、それぞれ、高トルク低回転および低トルク高回転の、広域に対応した高出力な駆動力が求められる。一方、パルセータは、ドラムほどの広域への対応や高出力な駆動力は求められないが、ドラムとは異なる回転数や異なる方向への回転が求められる。
【0004】
このような広域かつ高出力な駆動特性と複雑な回転特性とに対応するため、特許文献1のドラム式洗濯機では、2つのモータが用いられている。具体的には、タブに2つのモータが設置されていて、各モータが、それぞれプーリーおよびベルトを介して、ドラムおよびパルセータの各々と連結されている。
【0005】
開示する技術に関連し、特許文献2には、モータのファン用ではあるが、一方向クラッチを用いた洗濯機が開示されている。
【0006】
特許文献3には、ドラムの底部にパルセータを備えたドラム式洗濯機において、洗濯物の布絡みに起因した駆動モータのロックを防止する技術が開示されている。そのドラム式洗濯機の洗いや濯ぎの工程では、クラッチ機構を用いて、パルセータ(回転翼)をドラムよりも速い速度で同じ方向に回転させながら、その回転方向が交互に変わるように、駆動モータが制御されている。
【0007】
そして、その技術では、その動作中に、駆動モータに入力される電流値が監視されていて、その電流値が、閾値(布絡みに起因して増加した電流値)を超えた場合、所定のほぐし動作を実行するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2018/034432
【文献】特開昭60-129083号公報
【文献】特開2018-33512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のドラム式洗濯機の場合、モータを2つ用いることから、制御系統も個別に設ける必要があるし、製造コストが高い、重量が重い、といった問題がある。
【0010】
しかも、これらモータはタブの後部の偏った位置に配置されることから、重いカウンタウエイトをタブの前部に設置して、タブの重心を調整する必要がある。これらカウンタウエイトにより、特許文献1のドラム式洗濯機は、更に重量や製造コストが増加してしまう。
【0011】
また、パルセータを備えることで洗濯性能は高まるが、それに伴って、洗濯物が絡まり易くなるという問題もある。そして、洗濯物が絡まると、特許文献3にも示されているように、モータの負荷が増大し、モータがロックするおそれがある。また、モータがロックしなくても、消費電力が増加するし、振動や騒音も大きくなる傾向がある。
【0012】
それに対し、特許文献3のように、絡まりの発生を検知するのでは、検知した時には、既にモータの電流や負荷が増大しているので、モータのロック防止はできても、消費電力の増加や振動騒音の問題には対応できない。
【0013】
消費電力の増加や振動騒音を抑制するためには、洗濯物が絡まり始める前に、ほぐし等の処理を行う必要がある。閾値を下げることも考えられるが、そうすると誤動作が増大し、本来の制御が困難になる。
【0014】
そこで開示する技術の主たる目的は、低コストで軽量化と洗濯性能の向上とが実現できるドラム式洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
開示する技術は、ドラム式洗濯機に関する。
【0016】
前記ドラム式洗濯機は、洗濯物を出し入れする投入口を前面に有する筐体と、前記筐体に収容された貯水可能なタブと、前記投入口に開口を向けた状態で、前記タブの内部に回転可能に収容されたドラムと、前記ドラムの底部に回転可能に設置されたパルセータと、前記ドラムおよび前記パルセータの双方を回転駆動する正逆回転可能なモータと、前記ドラムおよび前記パルセータと前記モータとの間に介在する駆動伝達機構と、前記モータを低回転で駆動させる洗濯モードと、前記モータを高回転で駆動させる脱水モードとを実行する制御装置と、を備える。
【0017】
前記駆動伝達機構は、前記ドラムおよび前記モータの各々に連結されるプーリーと、これらに掛け渡したベルトとからなる第1駆動伝達要素と、前記パルセータおよび前記モータの各々に連結されるプーリーと、これらに掛け渡したベルトとからなり、前記第1駆動伝達要素とプーリー比が異なる第2駆動伝達要素と、を有している。前記第2駆動伝達要素は更に、正転または逆転のいずれか一方への駆動力は伝達するが他方への駆動力は伝達しない一方向クラッチを有している。
【0018】
そして、前記洗濯モードの実行時には、前記ドラムを回転駆動しながら前記パルセータを回転駆動または空転させるとともに、前記脱水モードの実行時には、前記ドラムを回転駆動しながら前記パルセータを空転させる。
【0019】
すなわち、このドラム式洗濯機によれば、1つのモータで、ドラムおよびパルセータの双方を回転駆動する。従って、2つのモータを用いる場合に比べて、制御系統は半減し、製造コストも低減する。軽量化もできる。
【0020】
そして、モータは正逆回転可能であり、そのモータの回転をドラムに伝達する第1駆動伝達要素と、そのモータの回転をパルセータに伝達する第2駆動伝達要素とでは、プーリー比が異なるうえに、第2駆動伝達要素は更に一方向クラッチを有している。それにより、低回転高トルクが要求される洗濯モードの実行時には、ドラムを回転駆動しながらパルセータを回転駆動または空転させ、高回転低トルクが要求される脱水モードの実行時には、ドラムを回転駆動しながらパルセータを空転させるように構成されている。
【0021】
一方向クラッチであれば、減速機や変速機に比べると構造は簡単であり、軽量かつ安価である。従って、製造コストの低減および軽量化が促進できる。
【0022】
そして、洗濯モードの実行時には、ドラムは、洗濯物を持ち上げて落とすように回転するので、一般的なドラム式洗濯機と同様に、たたき洗い状の作用が得られる。更にパルセータが回転すれば、それに、パルセータによる「もみ洗い」状の作用も加わる。従って、洗浄効果が向上する。ドラムおよびパルセータは、同じ方向にしか回転しないので、洗濯物に過度な機械的作用が加わるのを抑制できる。洗濯物の絡まりも抑制できる。
【0023】
また、脱水モードの実行時には、一方向クラッチによってパルセータに駆動力が伝達されない方向に、モータは回転駆動される。それにより、ドラムは回転するがパルセータは空転する。従って、モータの駆動力はドラムにのみ用いられるので、モータの負荷を低減でき、1つのモータで対応できる。洗濯物がパルセータに接触しても、一方向クラッチと共にパルセータが空転し、パルセータがドラムと同期して回転するので、洗濯物に強い力が作用することがない。従って、洗濯物の損傷を抑制できる。
【0024】
前記ドラム式洗濯機はまた、前記ドラムが50rpmで回転するときに、前記パルセータが75~250rpmで回転するように、前記プーリー比を設定するのが好ましい。
【0025】
前記ドラム式洗濯機はまた、前記モータに連結される2つのプーリーが、前記モータの駆動軸に変更可能に固定されている、としてもよい。
【0026】
そうすれば、プーリー比を容易に調整できるので、汎用性に優れる。
【0027】
前記ドラム式洗濯機が、前記洗濯モードの実行時に前記タブに貯まる水を加熱するヒータを更に備える場合には、前記ヒータの通電が、前記パルセータが回転駆動されない期間に行われて前記パルセータが回転駆動される期間は行われない、とするのが好ましい。
【0028】
この場合、洗いや濯ぎに用いる水の温度を高めて温水化できるので、洗浄効果を高めることができる。しかし、それには、ヒータへ大きな電流を供給する必要があるが、このドラム式洗濯機では、一つのモータでドラムおよびパルセータの双方を回転駆動するので、これら双方を回転させる方向への駆動時には、モータに大きな電流が供給される。特に、始動時には、双方の負荷が同時に加わるので、瞬間的に電流が急増する。
【0029】
そのため、その方向への回転駆動時に、ヒータへの加熱が加わると、一気に電流量が増加して、電力が不足するおそれがある。対して、その逆方向への回転駆動時には、ドラムのみが回転するので、モータに要求される電流量は小さい。従って、ヒータへの通電を、パルセータが回転駆動されない期間に行い、パルセータが回転駆動される期間は行わないように、ヒータを制御することで、定格電力を超えるような電力消費が回避できるので、一つのモータでドラムおよびパルセータの双方を回転駆動しながら温水化できる。
【0030】
前記ドラム式洗濯機はまた、前記洗濯モードの実行時に、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合は、前記モータの回転方向を一時的に逆転させる、としてもよいし、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合は、前記モータの回転速度を一時的に増加させる、としてもよい。
【0031】
更には、前記洗濯モードの実行時に、前記モータの駆動電流が所定値を超えた場合に、前記モータの回転速度を一時的に増加させる第1の絡まり抑制制御を実行し、前記第1の絡まり抑制制御で前記モータの駆動電流が所定値を下回らない場合に、前記モータの回転方向を一時的に逆転させる第2の絡まり抑制制御を実行する、としてもよい。
【0032】
このドラム式洗濯機の場合、パルセータを備えることで、機械的作用が強化されて洗濯性能は高まるが、それに伴って洗濯物は絡まり易くなる。洗濯物が絡まると、ドラムとパルセータとの間に洗濯物が挟まってロックし易くなる。このドラム式洗濯機では、1つのモータでドラムおよびパルセータの双方を駆動しているので、洗濯物がロックすると、モータが過負荷になり易い。
【0033】
モータの負荷の程度は、モータの駆動電流によって判定できる。従って、例えば、モータの負荷が通常よりも高くなった状態の駆動電流値(一定期間の駆動電流値)を判定の基準値に設定することで、洗濯物が絡まり出したことが検知できる。
【0034】
ドラムの回転数を高めれば、洗濯物の落下位置等、ドラム内での洗濯物の動きが変化する。それにより、洗濯物の絡まりが比較的緩い状態であれば、その絡まりを解すことができる。モータの回転方向を一時的に逆転したりモータの回転速度一時的に増加したりすれば、ドラム内での洗濯物の状態は大きく変化する。それにより、洗濯物の絡まりが普通の程度であれば、その絡まりを解すことができる。従って、洗濯物絡まりを効果的に抑制できるので、高い洗濯性能を安定して確保できる。
【0035】
また更には、前記洗濯モードの実行時に、正転方向に前記ドラムを所定速度で回転させるとともに、前記パルセータを前記ドラムよりも速い速度で回転させる高負荷回転処理、および、逆転方向に前記ドラムを前記所定速度で回転させるとともに、前記パルセータを空転させる低負荷回転処理からなる2つの処理のうち、少なくとも前記高負荷回転処理が行われ、前記高負荷回転処理での運転期間中に、所定期間の間にわたって計測される前記モータの駆動電流の変化量に関する比較値に基づいて当該モータの過負荷発生の前兆を検知し、当該前兆を検知した場合に、臨時の前記低負荷回転処理が所定時間行われる、としてもよい。
【0036】
このドラム式洗濯機では、低負荷回転処理よりは機械的作用が強く、洗濯物の絡まりが発生し易い高負荷回転処理時でも、ドラムおよびパルセータが同じ方向に異なる速度で回転するので、相反回転に比べると機械的作用は弱い。そのため、モータの負荷は比較的小さく、また、その変動も緩やかである。ドラム内での洗濯物の状態も比較的安定している。従って、洗濯物の絡まりも比較的緩やかに発生する傾向がある。
【0037】
そのような点に着目し、本発明者らが検討したところ、高負荷回転処理時での運転期間中の所定期間の間にわたって計測されるモータの駆動電流の変化量に関する比較値に基づいて、モータの過負荷発生の前兆が検知できることを見出した。モータの過負荷発生の前兆を検知することができれば、モータのロックだけでなく、消費電力の増加や振動騒音も抑制できる。
【0038】
具体的には、前記所定期間における前記駆動電流の値を平均化して得られる第1比較値、または、前記所定期間における前記駆動電流の値の偏差の絶対値を平均化して得られる第2比較値からなり、前記第1比較値および前記第2比較値のうち、少なくともいずれか一方が所定値を超えたか否かによって、前記モータの過負荷発生の前兆の有無を判断する、としてもよい。
【0039】
これら第1および第2の比較値により、モータの過負荷発生の前兆の有無が判断できる。そして、いずれか一方のみで判断してもよいが、これら双方を組み合わせることで、過負荷発生の前兆を、より安定して検知することができる。
【0040】
前記ドラムが1回転~3回転する期間内に、前記所定期間を設定するのが好ましい。
【0041】
1回転未満では、瞬時の駆動電流値の変動の影響を大きく受ける。3回転を超えると、洗濯物の状態変化と比較値と関連性の差が大きくなって検知精度が鈍る。所定期間は短すぎても長すぎても、モータの過負荷発生の前兆を検知し難くなる。
【0042】
前記洗濯モードの実行時に、前記高負荷回転処理と前記低負荷回転処理とが、所定の運転期間で交互に行われる場合には、前記低負荷回転処理よりも前記高負荷回転処理の方が、処理時間を長く設定するのが好ましい。
【0043】
モータの過負荷が発生し易いのは、高負荷回転処理の実行時であり、その運転期間が長いほど、モータの駆動電流の変化量を比較的長い時間にわたって、安定して計測することができる。洗濯性能も向上する。
【0044】
前記高負荷回転処理の運転期間内に、臨時の低負荷回転処理が終了した場合には、前記高負荷回転処理を再開する、とよい。
【0045】
高負荷回転処理の方が、機械力が強いので、洗浄効果に優れる。従って、臨時の低負荷回転処理によって過負荷発生が未然に防止できたら、高負荷回転処理を再開することで、洗浄効果の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0046】
開示する技術を適用したドラム式洗濯機によれば、低コストで軽量化と洗濯性能の向上とが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】実施形態のドラム式洗濯機の構造を示す概略断面図である。
【
図3】駆動伝達機構の要部を示す概略断面図である。
【
図4】制御装置と、その主な関連装置との関係を示すブロック図である。
【
図5】洗濯モードの実行時における、ドラムおよびパルセータの各々の回転方向および回転数のタイムチャート(上図)と、それに対応したヒータの通電制御のタイムチャート(下図)とを示す図である。
【
図6】脱水モードの実行時における、ドラムおよびパルセータの各々の回転方向および回転数のタイムチャートを示す図である。
【
図7】洗濯物の絡まり抑制制御の一例を示すフローチャートである。
【
図8】従来の技術において、相反回転するモータの駆動電流の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図9】開示する技術において、モータの駆動電流の経時変化の一例を示すグラフである。
【
図10】モータの過負荷抑制制御の一例を示すフローチャートである。
【
図11】過負荷抑制制御におけるドラム回転数制御値のタイムチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、開示する技術の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
【0049】
<ドラム式洗濯機の構成>
図1に、本実施形態のドラム式洗濯機(以下、洗濯機1ともいう)を示す。洗濯機1は、筐体10、タブ20、ドラム30、パルセータ40、モータ50、駆動伝達機構60、制御装置70などで構成されている。
【0050】
この洗濯機1では、「洗い」や「濯ぎ」などの洗濯物を洗浄する処理に対応した洗濯モードと、濡れた洗濯物から水を取り除く「脱水」の処理に対応した脱水モードとが、設定されたプログラムに従って自動的に行えるように構成されている(全自動式)。
【0051】
(筐体10)
筐体10は、フレームやパネルで構成されていて、箱形状に形成されている。筐体10の前面の略中央には、扉11で開閉される円形の投入口12が形成されている。洗濯物は、この投入口12を通じて出し入れされる。筐体10の前面上部には、スイッチ等が配置された操作部13が設置されている。
【0052】
(タブ20)
タブ20は、貯水可能な有底円筒状の容器からなる。タブ20は、横置きにして、その前部の中央部分に形成されている開口を投入口12と連通させた状態で、筐体10に収容されている。タブ20は、ダンパーなどを介して筐体10に支持されている。洗濯モードの実行時には、タブ20の下部に水が貯留される。
【0053】
タブ20の上方の筐体10内には、外部の給水源から配管を介してタブ20に水を供給する給水装置21が設置されている。給水装置21には、洗剤等を収容する薬剤ケース21aが設けられている。洗濯機1の運転前に、薬剤ケース21aに洗剤や柔軟剤等を投入しておくことで、給水時に、水と共に洗剤等をタブ20に供給することができる。
【0054】
タブ20の下方の筐体10内には、不要になった水を排水する排水装置22が設置されている。更に、この洗濯機1では、タブ20に貯まる水を加熱するヒータ23が、タブ20の下部に設置されている。
【0055】
タブ20の底部には、回転軸Jに一致した状態で前後方向に延びるように、円筒状のアウターシャフト25と、アウターシャフト25に挿通された円柱状のインナーシャフト24とが設置されている(二重シャフト構造)。インナーシャフト24およびアウターシャフト25は、タブ20の底部を貫通し、タブ20の前方および後方に突出している。インナーシャフト24はアウターシャフト25よりも長く、インナーシャフト24の前後の端部は、アウターシャフト25の外方に突出している。
【0056】
インナーシャフト24およびアウターシャフト25は、互いに独立して回転可能に構成されている。アウターシャフト25は、タブ20の底部にベアリングを介して軸支されている。それにより、インナーシャフト24およびアウターシャフト25の各々は、タブ20に対して、互いに独立した状態で回転可能となっている。
【0057】
(ドラム30)
ドラム30は、一端に開口を有し、他端に底部を有する有底円筒状の容器からなる。ドラム30は、タブ20の内寸法よりも僅かに小さく形成されている。ドラム30は、その開口を投入口に向け、底部を後方に向けた状態でタブ20に収容されている。ドラム30は、回転可能な状態でタブ20に支持されている。
【0058】
ドラム30の底部の中心には、アウターシャフト25の前端部分が固定されている。それにより、ドラム30の後部はアウターシャフト25によって支持されていて、ドラム30は回転軸Jを中心に回転可能となっている。ドラム30の周面のほぼ全域には、内外に貫通する多数の脱水孔33が形成されている(
図1では一部のみ表示)。
【0059】
(パルセータ40)
パルセータ40は、略円錐形をした表面を有する円板状の部材からなる。パルセータ40は、その表面をドラム30内に向けた状態で、ドラム30の底部に設置されている。パルセータ40には、その表面上に突出する複数の突出部41が設けられている。これら突出部41は、パルセータ40の中心から半径方向外側に向かって放射状に延びている。各突出部41の横断面は略台形をしている。
【0060】
パルセータ40の中心にインナーシャフト24の前端部分が固定されている。それにより、パルセータ40は、回転軸Jを中心に回転可能となっている。
【0061】
(モータ50)
モータ50は、タブ20の後端の下側に1つ設置されている。モータ50は、その駆動軸51が後方に向けた状態で回転軸Jと略平行するように、位置決めされている。モータ50は、インバータ制御によって回転し、正逆両方向に回転可能に構成されている。
【0062】
モータ50は、鉄、銅、アルミなどを多用しているため、高重量である。そのため、タブ20の後部の偏った位置にモータ50を設置すると、タブ20の重心は、回転軸Jから大きく偏る。偏ったタブ20の重心を調整するため、図示はしないが、タブ20の前部には、高重量なカウンタウエイトが設置されている。
【0063】
仮にモータ50が2つであると、更に高重量になる。そのため、タブ20の重心の偏りも大きくなり、カウンタウエイトの重量も増加する。それに対し、この洗濯機1では、モータ50が1つなので、洗濯機1の総量を軽量化できる。インバータ等、制御系統も半減されるので、よりいっそう軽量化できる。部材コストや組み付け工数も削減できる。
【0064】
この洗濯機1では、1つのモータ50で、ドラム30およびパルセータ40の双方を回転駆動するので、モータ50の性能は、これらの出力に対応するように設定されている。このモータ50の場合、最高出力は、2つのモータ50の最高出力の合計値よりも小さい値となっており、その分でも軽量化されている。
【0065】
(駆動伝達機構60)
駆動伝達機構60は、ドラム30およびパルセータ40と、モータ50との間に介在しており、モータ50が出力する駆動力を、ドラム30およびパルセータ40の各々に伝達する。
【0066】
図1、
図2に示すように、駆動伝達機構60は、タブ20の後方に配置された2つのプーリー(従動プーリー61)と、従動プーリー61の下方に配置された2つのプーリー(駆動プーリー62)と、これらに掛け渡された2本のベルト63,63とで構成されている。
【0067】
2つの従動プーリー61,61は、前後方向に隣接して配置されている(前従動プーリー61fおよび後従動プーリー61r)。前従動プーリー61fは、大径のプーリーであり、アウターシャフト25の後端部分に固定されている。後従動プーリー61rは、小径のプーリーであり、インナーシャフト24の後端部分に固定されている。それにより、前従動プーリー61fは、アウターシャフト25を介してドラム30と連結され、後従動プーリー61rは、インナーシャフト24を介してパルセータ40と連結されている。
【0068】
図3に拡大して示すように、2つの駆動プーリー62,62もまた、前後方向に隣接して配置されている(前駆動プーリー62fおよび後駆動プーリー62r)。前駆動プーリー62fは、小径のプーリーであり、後駆動プーリー62rは、前駆動プーリー62fよりも僅かに大径のプーリーである。これら前駆動プーリー62fおよび後駆動プーリー62rは、モータ50の駆動軸51に着脱可能に固定されることにより、モータ50と連結されている。これら駆動プーリー62f,62rは、取り外して変更可能にするのが好ましい。そうすれば、容易にプーリー比を調整できる。
【0069】
後駆動プーリー62rには、一方向クラッチ64(ワンウェイクラッチ)が組み込まれている。一方向クラッチ64により、後従動プーリー61rは、後方から見た場合に、時計回り方向(CW方向)への駆動力は伝達するが、反時計回り方向(CCW方向)への駆動力は伝達しないように構成されている。なお、一方向クラッチ64は公知の部材であるため、その詳細な説明は省略する。
【0070】
前駆動プーリー62fと前従動プーリー61fとに環状の前ベルト63fが掛け渡され、後駆動プーリー62rと後従動プーリー61rとに環状の後ベルト63rが掛け渡されている。従って、モータ50が出力する駆動力は、前駆動プーリー62f、前従動プーリー61f、および前ベルト63f(第1駆動伝達要素)によってドラム30に伝達され、後駆動プーリー62r、後従動プーリー61r、および後ベルト63r(第2駆動伝達要素)によってパルセータ40に伝達される。
【0071】
前駆動プーリー62fは前従動プーリー61fよりも小径であり、後駆動プーリー62rも後従動プーリー61rよりも小径である。従って、第1駆動伝達要素および第2駆動伝達要素は、いずれもモータ50が出力する回転を減速してドラム30およびパルセータ40の各々に伝達する。
【0072】
第1駆動伝達要素のプーリー比は、第2駆動伝達要素のプーリー比と異なる。第1駆動伝達要素のプーリー比の方が、第2駆動伝達要素のプーリー比よりも大きい。従って、パルセータ40よりもドラム30の方が大きく減速される。パルセータ40よりもドラム30の方が高いトルクが得られる。
【0073】
この洗濯機1では、1つのモータ50で、ドラム30およびパルセータ40に要求される広域かつ高出力な駆動特性と複雑な回転特性とに適切に対応できるように、ドラム30が50rpmで回転するときに、パルセータ40が75~300rpmで回転するように、プーリー比が設定されている。例えば、ドラム30側プーリー比は略1対10とし、パルセータ40側のプーリー比は略1対2~4としてもよい。
【0074】
(制御装置70)
制御装置70は、CPUやメモリ等のハードウエアと、制御プログラム等のソフトウエアとで構成されている。制御装置70は、筐体10内の上部に設置されている。制御装置70は、洗濯機1を総合的に制御し、操作部13で入力される指示に従って、洗濯モードおよび脱水モードを自動的に運転する。
図4に、制御装置70と、その主な関連装置との関係を示す。
【0075】
制御装置70は、操作部13、電流センサ52、モータ50、ヒータ23、給水装置21、排水装置22などと電気的に接続されている。電流センサ52は、モータ50に電流を供給する経路に設置されており、モータ50に供給される電流量を検知して制御装置70に出力する。なお、電流センサ52は、専用のセンシング部材でもよいが、モータ50を制御する基板等を用いて構成してもよい。
【0076】
制御装置70には、機能的な構成として、モータ制御部71、ヒータ制御部72が設けられている。モータ制御部71は、モータ50の駆動を制御する。ヒータ制御部72は、モータ制御部71と協働して、ヒータ23の加熱を制御する。なお、図示は省略するが、制御装置70には、これら以外にも、ドラム30に投入された洗濯物の量を検知する布量検知部、給水装置21や排水装置22の作動を制御する給水制御部や排水制御部なども設けられている。
【0077】
<ドラム式洗濯機の動作>
上述したように、この洗濯機1は、「洗い」や「濯ぎ」の処理に対応した、低回転高トルクの洗濯モードと、「脱水」の処理に対応した、高回転低トルクの脱水モードとを実行する。ドラム30に洗濯物が投入されて、洗濯機1の運転が開始されると、制御装置70は、洗濯物の量を検知した後、洗濯モードを実行し、それに引き続いて脱水モードを実行する。
【0078】
(洗濯モード)
洗濯モードが実行されると、制御装置70は、最初に給水装置21を作動させる。それにより、洗濯物の量に応じた所定量の水が、タブ20に給水される。洗い処理では、洗剤等が給水に伴ってタブ20に投入される。濯ぎ処理では、給水のみが行われる。
【0079】
そうして、制御装置70(モータ制御部71)は、洗濯物の量に応じた所定の期間、定期的に回転方向を切り替えながら、所定の低回転でモータ50を駆動させる。
図5の上段に、洗濯モードの実行時におけるタイムチャートを示す。縦軸は、CWおよびCCWの各方向の回転数であり、実線はドラム30の回転数を、破線はパルセータ40の回転数を、それぞれ示している。
【0080】
ドラム30は、第1駆動伝達要素のプーリー比に従って減速された状態で、モータ50の駆動に伴って、CW方向とCCW方向とに、交互に切り替わりながら回転する。
【0081】
対して、パルセータ40は、CW方向には、第2駆動伝達要素のプーリー比に従って減速された状態で回転するが、CCW方向には、一方向クラッチ64によって駆動力が伝達されないので、空転する。モータ50がCCW方向に回転駆動している時には、パルセータ40は、ドラム30の内部をCCW方向に回転している洗濯物との接触により、CCW方向にランダムに回転する。
【0082】
ドラム30は、洗濯物を持ち上げて落とすように回転するので、一般的なドラム式洗濯機1と同様に、たたき洗い状の作用が得られる。CW方向には、ドラム30よりも高い回転数でパルセータ40が回転するので、それに、パルセータ40による「もみ洗い」状の作用も加わる。従って、洗浄効果が向上する。ドラム30およびパルセータ40は、同じ方向にしか回転しないので、洗濯物に過度な機械的作用が加わるのを抑制できる。洗濯物の絡まりも抑制できる。
【0083】
この洗濯機1では、洗浄効果を高めるために、洗濯モードの実行時に、タブ20に貯まる水を加熱する処理(温水化処理)を実行する。温水化処理は、制御装置70(ヒータ制御部72)が、ヒータ23に通電することによって行われる。その際、ヒータ23へは大きな電流が供給される。
【0084】
一方、この洗濯機1では、一つのモータ50でドラム30およびパルセータ40の双方を回転駆動するので、これら双方を回転させるCW方向への駆動時には、モータ50に大きな電流が供給されている。そのため、CW方向への回転駆動時に、ヒータ23への加熱が加わると、一気に電流量が増加して、電力が不足するおそれがある。
【0085】
対して、CCW方向への回転駆動時には、ドラム30のみが回転するので、CW方向への回転駆動時よりも、モータ50に要求される電流量は小さい。
【0086】
そこで、この洗濯機1では、
図5の下段に示すように、ヒータ23への通電は、パルセータ40が回転駆動されない期間(CCW方向へ回転する期間)に行い、パルセータ40が回転駆動される期間(CW方向へ回転する期間)は行わないように、制御装置70(ヒータ制御部72)がヒータ23を制御する。
【0087】
従って、定格電力を超える電力消費を回避できるので、一つのモータ50でドラム30およびパルセータ40の双方を回転駆動しながら、温水化処理も実行できる。洗濯モードでは、制御装置70が排水装置22を作動させて水を入れ替えながら、洗いおよび濯ぎで、このような温水化処理が複数回実行される。最後にタブ20に貯まる水を排出して、洗濯モードが終了する。
【0088】
(脱水モード)
洗濯モードが終了すると、脱水モードが実行される。脱水モードが実行されると、制御装置70(モータ制御部71)は、所定の期間、CCW方向に、ドラム30を所定の高回転数で回転させる。
図6に、脱水モードの実行時におけるタイムチャートを示す。
【0089】
脱水モードでは、遠心力で洗濯物がドラム30の内周面に張り付いた状態となる所定の回転数まで、ドラム30の回転数は高められる。ドラム30の回転数は、第1駆動伝達要素のプーリー比に従って減速されているので、モータ50は高回転で駆動される。
【0090】
脱水モードの実行により、洗濯物に含まれる水は、脱水孔を通じてタブ20に流出し、排水装置22によって排出される。それにより、洗濯物は脱水される。
【0091】
パルセータ40は、CCW方向には、一方向クラッチ64によって駆動力が伝達されないので、空転する。つまり、パルセータ40は、回転しなかったり回転抵抗の影響で連れ回ったりする。パルセータ40は、ドラム30の内部をCCW方向に回転している洗濯物との接触により、CCW方向にランダムに回転する。洗濯物がパルセータ40に接触しても、パルセータ40が洗濯物と同期して回転するだけで、洗濯物に強い力が作用することがないので、洗濯物の損傷を抑制できる。
【0092】
(洗濯物の絡まり抑制制御)
この洗濯機1の場合、パルセータ40の無い一般的なドラム式洗濯機と比べると、パルセータ40を備えることで、機械的作用が強化されて洗濯性能は高まるが、それに伴って洗濯物が絡まり易くなる。洗濯物が絡まると、ドラム30とパルセータ40との間に洗濯物が挟まってロックし易くなる。
【0093】
この洗濯機1ではまた、1つのモータ50でドラム30およびパルセータ40の双方を駆動しているので、洗濯物がロックすると、モータ50が過負荷になり易い。従って、この洗濯機1で高い洗濯性能を安定して確保するためには、洗濯物の絡まりを抑制するのが好ましい。
【0094】
そこで、この洗濯機1では、洗濯モードの実行時に、洗濯物の絡まりが効果的に抑制できるように、モータ50の制御が工夫されている。この洗濯機1では、洗濯物の絡まりを抑制する制御(絡まり抑制制御)が二段階で行われる。
【0095】
すなわち、モータ50の駆動電流が所定値を超えた場合は、モータ50の回転速度を一時的に増加させる制御(第1の絡まり抑制制御)と、モータ50の駆動電流が所定値を下回らない場合は、モータ50の回転方向を一時的に逆転させる制御(第2の絡まり抑制制御)とが、洗濯モードの実行時に行われる。
【0096】
図7に、制御装置70(モータ制御部71)が行う、洗濯物の絡まり抑制制御の一例を示す。上述したように、制御装置70は、洗濯機1の運転が開始されると、遠心力を利用して洗濯物の量を検知する(ステップS0)。
【0097】
この洗濯機1の場合、特にモータ50の過負荷が発生し易いのは、洗濯モードでモータ50がCW方向に回転している時である。従って、制御装置70は、洗濯機1の運転が洗濯モードであるか否か(ステップS1)、かつ、モータ50がCW方向に回転駆動しているか否か(ステップS2)を判定する。
【0098】
そして、洗濯機1の運転が洗濯モードであり、かつ、モータ50がCW方向に回転駆動していると判定した場合には(ステップS1,S2でYes)、制御装置70は、電流センサ52の検出値に基づいて、モータ50の駆動電流値Iが所定の基準値Is以上であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0099】
基準値Isは、洗濯物が絡まり出して、モータ50の負荷が通常よりも高くなった状態の駆動電流値であり、試験結果等に基づいて、予め制御装置70に設定される。例えば、モータ50の駆動電流の上限値の70~90%程度の値を基準値Isに設定できる。基準値Isは、検知された洗濯物の量に応じて変更してもよい。
【0100】
駆動電流値Iが所定の基準値Is以上でなければ、洗濯物はほとんど絡まっていないので、絡まり抑制制御は実行されない(ステップS3でNo)。一方、駆動電流値Iが所定の基準値Is以上であれば、制御装置70は、モータ50の回転速度を上げる処理(第1の絡まり抑制制御)を実行する(ステップS4)。
【0101】
それにより、ドラム30の回転数が高まるので、洗濯物の落下位置等、ドラム30内での洗濯物の動きが変化する。また、ドラム30およびパルセータ40は、CW方向には異なる回転数で回転しているので、これらの回転数が高まることで、洗濯物への機械的作用も変化する。それにより、洗濯物の絡まりが比較的緩い状態であれば、その絡まりを解すことができる。
【0102】
洗濯物の絡まりが解消できれば、駆動電流値Iは低下する。従って、駆動電流値Iが基準値Isを下回れば(ステップS5でYes)、制御装置70は、モータ50の回転速度を戻す処理を実行する(ステップS6)。
【0103】
第1の絡まり抑制制御では、洗濯物の絡まりが解消できない場合(ステップS5でNo)、つまり、駆動電流値Iが基準値Isを下回らない場合、制御装置70は、モータ50の回転方向を一時的に逆転させる処理(第2の絡まり抑制制御)を実行する(ステップS7)。すなわち、モータ50の回転方向をCW方向からCCW方向に切り替え、所定期間運転する。
【0104】
洗濯物は、逆方向に回転されるので、ドラム30内での状態が大きく変化する。それにより、洗濯物の絡まりが普通の程度であれば、その絡まりを解すことができる。
【0105】
洗濯物の絡まりが解消できれば、駆動電流値Iは低下する。従って、駆動電流値Iが基準値Isを下回れば(ステップS8でYes)、制御装置70は、モータ50の回転方向をCW方向に戻して回転を再開する(ステップS9)。
【0106】
第2の絡まり抑制制御でも洗濯物の絡まりが解消できない、つまり駆動電流値Iが低下しない場合(ステップS8でNo)、モータ50が過負荷になって、適切な処理が行えない。従って、制御装置70は、運転を停止し、アラームを報知する(ステップS10)。
【0107】
なお、この実施形態では、絡まり抑制制御を2段階で行う制御例を示したが、いずれか一方だけを行ってもよい。また、駆動電流値Iを判定する電流値を同じ基準値Isとしたが、個別に設定してもよい。例えば、第2の絡まり抑制制御では、モータ50の駆動電流の上限値を判定値に用いてもよい。
【0108】
<洗濯物の絡まり抑制制御の改良例>
上述した実施形態では、洗濯物の絡まりの発生を検知して、その絡まりを解消させる制御を例示した。具体的には、モータ50の瞬時の駆動電流を所定の基準値Isと比較し、モータ50の瞬時の駆動電流がその基準値Isを超えることで、洗濯物の絡まりが発生したことを検知し、回転数を増加させたり一時的に逆転させたりした。
【0109】
しかし、この場合、モータ50がロックするのを防止できても、駆動電流の増加を検知しているので、消費電力の増加や振動騒音の問題には対応できない。消費電力の増加や振動騒音を抑制するためには、駆動電流が増加する前、つまり、モータ50が過負荷になる前に、その前兆を検知する必要がある。
【0110】
(相反回転、同方向異速度回転)
ところで、洗濯モードにおけるドラム30およびパルセータ40の回転方向としては、相反回転(互いに逆向きに回転)と、同方向異速度回転(同じ方向に異なる速度で回転)とが考えられる。洗浄効果の観点からは、機械力に優れる相反回転の方が有利である。従って、洗濯モードにおけるドラム30およびパルセータ40の回転方向としては、相反回転が用いられる場合が一般的である。
【0111】
しかし、相反回転の場合、モータ50の負荷が大きく、また、その変動も急なため、モータ50の過負荷の前兆を検知することは困難である。しかも、比較的短時間で回転方向が切り換えられるので、洗濯物の状態が絶えず変化して絡まりは発生し難いが、絡まりが発生する場合は、突発的かつ瞬時に発生する。
図8に、相反回転させた場合でのモータの駆動電流の経時変化の一例を示す。
【0112】
相反回転では、CW方向およびCCW方向の両回転方向において、ドラムおよびパルセータが互いに逆方向に回転駆動されるので、各回転方向におけるモータの電流値は大きく、その変動幅も大きい。そして、相反回転させる場合には、その機械力を効率的に洗濯物に作用させるため、比較的短時間の間に、CW方向およびCCW方向の両方向に回転方向が切り換える。そのため、更にその大きな電流値が反転するため、その変動も急である。
【0113】
回転方向を切り換えた直後の駆動電流に大きなピークが認められるが、これはモータの制御に起因したピークであり、モータの過負荷に起因したものではない。図例では、符号Ioで示すピークが、洗濯物の絡まりに起因した過負荷のピークである。相反回転では、このようなピークが、CW方向およびCCW方向の両方向において、突発的に発生する。
【0114】
回転方向が反転すれば、洗濯物の状態が変化するので、モータの過負荷の前兆を検知するためには、回転方向が反転する前に検知する必要がある。しかし、そのために利用できる期間が短いうえに、駆動電流の変動が大きいため、モータの過負荷の前兆を検知することは困難である。
【0115】
一方、同方向異速度回転の場合、相反回転に比べると機械的作用は弱い。そのため、モータの負荷は比較的小さく、また、その変動も緩やかである。ドラム内での洗濯物の状態も比較的安定している。従って、洗濯物の絡まりも、比較的緩やかに、徐々に発生する傾向がある。
【0116】
そのような点に着目し、本発明者らが検討したところ、洗濯物の絡まりに起因したモータ50の過負荷が発生する前に、所定期間の間にわたって計測されるモータ50の駆動電流の変化量に、その前兆となる変化が認められることを見出した。本改良例は、その知見に基づくものである。
【0117】
特に、洗濯機1の場合、一方向クラッチ64の活用により、洗濯モードの実行時には、洗濯物に対する機械的作用が異なるCW方向およびCCW方向の2つの回転方向に交互に切り換える処理が行われる。
【0118】
詳細には、CW方向(正転方向)に、ドラム30を所定速度で回転させるとともにパルセータ40をドラム30よりも速い速度で回転させる処理(高負荷回転処理)と、CCW方向(逆転方向)にドラム30を所定速度で回転させるとともに、パルセータ40を空転させる処理(低負荷回転処理)とが、所定の運転期間で交互に行われる。通常、それぞれの運転期間の長さは、一定である。
【0119】
そのため、
図5に示したように、洗濯性能を高めるために、通常は、機械的作用の小さい低負荷回転処理よりも、機械的作用の大きい高負荷回転処理の方が、処理時間が長く設定されている。これらの処理時間の割合(高負荷回転処理の時間:低負荷回転処理の時間)としては、例えば、6:4~9:1の範囲内であり、7:3以上8:2以下が好ましい。洗濯機1では、7:3に設定されている。
【0120】
そして、モータ50の過負荷が発生し易いのは、高負荷回転処理が行われるCW方向であり、その運転期間が長いため、モータ50の駆動電流の変化量を比較的長い時間にわたって、安定して計測することができる。
【0121】
図9に、洗濯機1におけるモータ50の駆動電流の経時変化の一例を示す。
図9では、特に、CW方向に回転している時、つまり高負荷回転処理時での状態を示している。上述したように、高負荷回転処理および低負荷回転処理の運転期間の割合は7:3であり、洗濯モードの大部分が高負荷回転処理で運転される。
【0122】
図9において、符号AIで示す太実線のグラフは、所定期間における駆動電流値を平均化して得られる平均電流値(第1比較値)の経時変化を表している。符号ADで示す破線のグラフは、所定期間における駆動電流値の偏差の絶対値を平均化して得られる平均偏差値(第2比較値)の経時変化を表している。これら平均電流値および平均偏差値は、所定期間の間にわたって計測されるモータ50の駆動電流の変化量に関する比較値に相当する。
【0123】
具体的には、所定期間は、例えば、ドラム30が1回転~3回転する期間であり、洗濯機1の仕様に応じて適宜設定される。所定期間は短すぎても長すぎても、モータ50の過負荷発生の前兆を検知し難くなる。この期間を通じて電流センサ52で計測されるモータ50の駆動電流の値に基づいて、平均電流値および平均偏差値が、制御装置70において算出される。
【0124】
制御装置70は、所定期間に入力される複数の駆動電流値からその平均値を算出し、平均電流値を取得する。また、入力される前後2つの駆動電流値の偏差(絶対値)を算出し、その偏差からその平均値を算出し、平均偏差値を取得する。なお、これら平均値は算術平均でもよいが、移動平均が好ましい。
【0125】
同方向異速度回転による洗濯の場合、このような所定期間の間にわたって計測されるモータ50の駆動電流の変化量に関する比較値に基づいて、モータ50の過負荷発生の前兆を検知することが可能になる。
【0126】
図9において、符号L1で示す線は、平均電流値に対して設定される第1の閾値(所定値)を示している。符号L2で示す線は、平均偏差値に対して設定される第2の閾値(所定値)を示している。これら閾値は、洗濯機1の仕様に応じて適宜設定される。
【0127】
例えば、
図9において、符号Ioで示すピークが、洗濯物の絡まりに起因した過負荷のピークを示している。この過負荷の前兆として、矢印Y1で示すタイミングで、平均電流値は、第1の閾値を超えており、このタイミングにおいて、その後に発生する過負荷の前兆の有無が判断できる。
【0128】
同様に、この過負荷の前兆として、矢印Y2で示すタイミングで、平均偏差値は、第2の閾値を超えており、このタイミングにおいて、その後に発生する過負荷の前兆の有無が判断できる。そして、このような前兆を検知した場合に、臨時の低負荷回転処理を所定時間行うことで、洗濯物の絡まりの発生を、未然に防止できる。その結果、モータ50の過負荷の発生を効果的に抑制でき、モータ50のロックだけでなく、消費電力の増加や振動騒音についても抑制することができる。
【0129】
(過負荷抑制制御の具体例)
図10に、洗濯機1の制御装置70が行う、そのような過負荷抑制制御の具体例を示す。
図11に、ドラム30の回転数を制御するための制御指示値(ドラム回転数制御値)の経時変化を示す。
【0130】
この洗濯機1の場合、特にモータ50の過負荷が発生し易いのは、洗濯モードでモータ50がCW方向に回転している高負荷回転処理時の運転期間中である。従って、制御装置70は、洗濯機1の運転が洗濯モードであり、モータ50がCW方向に回転駆動している状態(CW駆動モード)か否かを判定する(ステップS30)。
【0131】
そして、CW駆動モードである場合には、制御装置70は、絡まり抑制制御に先立って、過負荷の前兆を検知する制御を実行する。すなわち、制御装置70は、CW駆動モードの実行中は、連続的に、平均電流値および平均偏差値を算出している。そして、制御装置70は、連続的に、その平均偏差値が第2の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS31)。そして、平均偏差値が第2の閾値を超えた場合には、過負荷の前兆があったと判断し、臨時の低負荷回転処理(臨時CCW駆動モード)を行う(ステップS34)。
【0132】
一方、平均偏差値が第2の閾値を超えていない場合には、制御装置70はまた、連続的に、平均電流値が第1の閾値を超えているか否かを判定する(ステップS32)。そして、平均電流値が第1の閾値を超えた場合には、過負荷の前兆があったと判断し、臨時の低負荷回転処理(臨時CCW駆動モード)を行う(ステップS34)。
【0133】
すなわち、平均電流値および平均偏差値のうち、少なくともいずれか一方が対応した閾値を超えたか否かによって、モータの過負荷発生の前兆の有無が判断される。いずれか一方のみで判断してもよいが、これら双方を組み合わせることで、過負荷発生の前兆を、より安定して検知することができる。なお、ステップS31とステップS32の順序は逆であってもよい。
【0134】
一方、平均電流値が第1の閾値を超えていない場合には、制御装置70は、上述した絡まり抑制制御を行う。すなわち、モータ50の瞬時の駆動電流が所定値(基準値Is)を超えたか否かを判定する(ステップS33)。ここでは、第2の絡まり抑制制御として臨時CCW駆動モードを実行する(ステップS34)。その前に、第1の絡まり抑制制御を実行してもよい。
【0135】
臨時CCW駆動モードは、モータ50の過負荷を抑制するために、制御CW駆動モードの運転期間中に臨時で行われる運転モードである。すなわち、臨時CCW駆動モードでは、第2の絡まり抑制制御と同様に、モータ50の回転方向をCW方向からCCW方向に切り替えて、所定期間運転する。CCW方向に回転する低負荷回転処理では、機械的作用は弱いので、消費電力は低く、騒音や振動も少ない。洗濯物の絡まりを、穏やかに解すことができる。
【0136】
具体的には、
図11に示すように、臨時CCW駆動モードが開始されると、制御装置70は、モータ50に対し、CW駆動モードでのドラム回転数制御値を0(ゼロ)にする。そして、ドラム30の慣性による回転を考慮して、所定の待機時間を経た後、CCW駆動モードでのドラム回転数制御値でCCW駆動を開始する。そして、所定期間、CCW駆動モードで運転する。臨時CCW駆動モードの運転期間は、予め、洗濯機1の仕様に応じて設定される。
【0137】
制御装置70は、その間、CW駆動モードの運転期間の終了を判定しており(ステップS35)、CW駆動モードの運転期間内に、臨時CCW駆動モードが終了した場合には(ステップS36でYes)、CW駆動モードを再開する。
【0138】
具体的には、
図11に示すように、臨時CCW駆動モードでのドラム回転数制御値を0にする。そして、所定の待機時間を経た後、CW駆動モードでのドラム回転数制御値でCW駆動を開始し、CW駆動モードを再開する。CW駆動モードの方が機械力は強いので、洗浄効果に優れる。従って、臨時CCW駆動モードの実行によって過負荷発生が未然に防止できたら、CW駆動モードを再開することで、洗浄効果の低下を抑制できる。
【0139】
一方、臨時CCW駆動モードの運転中に、CW駆動モードの運転期間が終了した場合には(ステップS35でYes)、臨時CCW駆動モードに引き続いて、通常のCCW駆動モードの運転を行う(ステップS37)。消費電力が低減でき、運転の安定性を確保できる。そして、通常のCCW駆動モードが終了すれば、通常通りに、CW駆動モードに移行する(ステップS38でYes)。
【0140】
このように、過負荷抑制制御を行うことで、モータ50の過負荷の発生が効果的に抑制できる。その結果、モータ50のロックを未然に防止でき、消費電力の増加や振動騒音も抑制できる。
【0141】
それ以外にも、開示する技術にかかるドラム式洗濯機は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
【0142】
例えば、上述した実施形態では、洗濯モードの実行時に、ヒータによる加熱を行ったが、ヒータによる加熱は行わなくてもよい。また、洗濯モードの実行時に、モータの回転方向を定期的に切り替えたが、CW方向またはCCW方向のみに回転してもよい。CCW方向のみに回転すれば、機械力を抑制できるので、デリケートな衣類などの洗濯に有利である。
【0143】
回転方向を切り替えるタイミングも一例であり、仕様に応じて適宜変更できる。例えば、洗濯モードでは、CW方向とCCW方向とで、洗濯物に与える機械的作用の大きさが異なるので(CW方向>CCW方向)、CW方向に回転する時間を相対的に増やすことで、洗浄効果を高めることができる。逆に、CCW方向に回転する時間を相対的に増やすことで、洗濯物への機械的ダメージを低減した洗濯が行える。従って、時短モードやソフト洗濯モードなど、多様な運転モードの設定も可能である。
【0144】
また、上述した実施形態では、洗濯モードの実行時に、高負荷回転処理と低負荷回転処理とが交互に行われる場合を例示したが、高負荷回転処理だけを行ってもよい。また、洗濯モードの期間のほとんどは高負荷回転処理を行い、低負荷回転処理は部分的に行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0145】
1 洗濯機
10 筐体
12 投入口
20 タブ
23 ヒータ
24 インナーシャフト
25 アウターシャフト
30 ドラム
40 パルセータ
50 モータ
60 駆動伝達機構
61 プーリー(従動プーリー)
62 プーリー(駆動プーリー)
63 ベルト
64 一方向クラッチ
70 制御装置
J 回転軸