(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-09
(45)【発行日】2024-07-18
(54)【発明の名称】支保工装置及び支保工装置構築方法
(51)【国際特許分類】
E03F 7/00 20060101AFI20240710BHJP
【FI】
E03F7/00
(21)【出願番号】P 2020162645
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-06-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】阿部 竜幸
(72)【発明者】
【氏名】瀬沼 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】乙川 貴史
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019019(JP,A)
【文献】特開2011-032719(JP,A)
【文献】特開平11-141740(JP,A)
【文献】特開2018-193733(JP,A)
【文献】特開2013-256854(JP,A)
【文献】特開平02-209694(JP,A)
【文献】特開2013-002133(JP,A)
【文献】特開2003-286742(JP,A)
【文献】特開2020-090878(JP,A)
【文献】特開平07-268853(JP,A)
【文献】特開2017-145844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 7/00
F16L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって
放射状に延びる
複数の棹体
を含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延び
て当接する腹起し部材が架け渡さ
れ、これにより、上記更生管の中心部から放射状に延びるとともに管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部が上記腹起し部材により相互に連結されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されていることを特徴とする支保工装置。
【請求項2】
既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材が架け渡されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されており、
上記各フレームは、その複数の棹体間を繋ぐ架設部材を有することを特徴とす
る支保工装置。
【請求項3】
上記架設部材は、上記足場板が架け渡される第1の支持部材として提供されることを特徴とする請求項2に記載の支保工装置。
【請求項4】
管軸方向に向かい合う上記棹体を繋ぐ第2の支持部材を備え、
上記第2の支持部材は、管軸方向に延びて上記第1の支持部材と交差し上記第1の支持部材を支えることを特徴とする請求項3に記載の支保工装置。
【請求項5】
上記棹体は水平方向に延び、この棹体に上記足場板が架け渡されることを特徴とする請求項1
又は2に記載の支保工装置。
【請求項6】
上記棹体は、水平方向より上方に延び上記第1の支持部材に繋がれており、
上記第1の支持部材は水平方向に延び、この第1の支持部材に上記足場板が架け渡されることを特徴とする請求項3に記載の支保工装置。
【請求項7】
上記棹体は、水平方向より下方に延び上記第2の支持部材に繋がれており、
上記第2の支持部材に支えられる上記第1の支持部材は水平方向に延び、この第1の支持部材に上記足場板が架け渡されることを特徴とする請求項4に記載の支保工装置。
【請求項8】
上記棹体と上記第1の支持部材との間にこれらの繋ぎ位置を調整可能な位置調整手段を備えることを特徴とする請求項3、4、6、7の何れか1項に記載の支保工装置。
【請求項9】
既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材が架け渡されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されており、
上記各フレームは、上記各棹体の基端側に配置される本体を有し、
上記本体は、放射状に延びて先端部に接続凸部が設けられた腕部を複数有し、
上記棹体は、基端部に上記接続凸部に嵌め合わされる受口を有することを特徴とす
る支保工装置。
【請求項10】
上記各フレームは、上記各棹体の基端側に配置される本体を有し、
上記本体は、放射状に延びて先端部に接続凸部が設けられた腕部を複数有し、
上記棹体は、基端部に上記接続凸部に嵌め合わされる受口を有することを特徴とする、請求項1~8の何れか1項に記載の支保工装置。
【請求項11】
既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材が架け渡されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されており、
上記各フレームの複数の上記棹体のうち、水平方向より下側に延びる棹体は、水平方向より上側に延びる棹体より多いことを特徴とす
る支保工装置。
【請求項12】
上記各フレームの複数の上記棹体のうち、水平方向より下側に延びる棹体は、水平方向より上側に延びる棹体より多いことを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載の支保工装置。
【請求項13】
既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材が架け渡されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されており、
上記足場板は異なる高さの位置に複数設けられ、
上記異なる高さの足場板間を連絡する連絡手段が設けられることを特徴とす
る支保工装置。
【請求項14】
上記足場板は異なる高さの位置に複数設けられ、
上記異なる高さの足場板間を連絡する連絡手段が設けられることを特徴とする、請求項1~12の何れか1項に記載の支保工装置。
【請求項15】
既設管の内側に配置された更生管内に支保工装置を構築する方法であって、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって
放射状に延びる
複数の棹体
を含むフレームを、管軸方向に間隔を置いて一対配置するフレーム構築工程を備え、
上記フレーム構築工程は、
管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延び
て当接する腹起し部材を架け渡
し、これにより、上記更生管の中心部から放射状に延びるとともに管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部を上記腹起し部材により相互に連結する、腹起し設置工程と、
管軸方向に向かい合う上記フレーム間に足場板を架け渡す足場設置工程と、
を含むことを特徴とする支保工装置構築方法。
【請求項16】
既設管の内側に配置された更生管内に支保工装置を構築する方法であって、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを、管軸方向に間隔を置いて一対配置するフレーム構築工程を備え、
上記フレーム構築工程は、
管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材を架け渡す腹起し設置工程と、
上記各フレームの複数の棹体を第1の支持部材でつなぐ第1支持部材設置工程と、
管軸方向に向かい合う上記フレーム間に足場板を架け渡す足場設置工程と、
を含み、
上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記第1の支持部材に支持させることを含むことを特徴とする支保工装置構築方法。
【請求項17】
上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記棹体に支持させることを含む、請求項
15に記載の支保工装置構築方法。
【請求項18】
上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記棹体に支持させることを含む、請求項16に記載の支保工装置構築方法。
【請求項19】
上記フレーム構築工程は、上記各フレームの複数の棹体を第1の支持部材でつなぐ第1支持部材設置工程を含み、
上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記第1の支持部材に支持させることを含む、請求項
15又は17に記載の支保工装置構築方法。
【請求項20】
上記フレーム構築工程は、上記第1支持部材設置工程の前に、管軸方向に向かい合う上記棹体を管軸方向に延びる第2の支持部材でつなぐ第2支持部材設置工程を含み、
上記第1支持部材設置工程は、上記第1の支持部材を上記第2の支持部材に支持させることを含む、請求項
16、18、19の何れか1項に記載の支保工装置構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、老朽化した既設管とその内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、更生管内に設置され更生管を支持する支保工装置、及びその構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
老朽化した下水管等の既設管を更生するために、更生管を既設管の内側に配置することは知られている。既設管と更生管との間にはモルタル等の裏込め材が充填され、充填前に、更生管にはこれを支持する支保工装置が設置される。
【0003】
下記特許文献1の支保工装置は、更生管の管軸方向に間隔を置いて配置された複数のフレームを備え、各フレームは更生管の内面に向かって延びる支柱を複数有している。管軸方向に向かい合う支柱の先端部間に腹起し部材が架け渡され、更生管の内周面に宛がわれている。
【0004】
上記支保工装置を用いた既設管の更生作業は、既設管内に更生管を設ける工程、更生管内に支保工装置を設置する工程、既設管と更生管との間に裏込め材を充填する工程、裏込め材を硬化させる工程、支保工装置を撤去する工程、更生管の内面を仕上げる工程等を含んでいる。既設管が長い場合には、これらの工程が繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の支保工装置を用いた既設管の更生作業では、既設管の径が大きい場合、更生管内への支保工装置の設置時と撤去時に足場が必要となり、その都度足場の設置場所を確保して足場を組み立て解体しなければならなかった。また、更生管の上部での裏込め材の充填時とその後の硬化時の状態確認にも足場が必要であり、この足場は、支保工装置の隣り合う支柱と支柱の間の狭いスペースに設けなければならず、足場の設置場所の確保が特に難しかった。
これらの事情は、既設管更生の作業性を悪化させ、作業時間を増大させ、コストを増大させていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題の少なくとも1つを解決するためになされたものであって、本発明の一態様に係る支保工装置は、既設管とこの既設管の内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、上記更生管内に設置され上記更生管を支持する支保工装置において、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを備え、
上記フレームが上記更生管の管軸方向に間隔を置いて一対配置され、管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材が架け渡されており、
管軸方向に向かい合う上記フレームに足場板が架け渡されていることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、支保工装置に足場板を一体化して設けることで、支保工装置とは別個の足場を設ける必要はなく、ひいては別個の足場の設置場所を確保する必要もない。既設管の更生作業においては、頻繁に足場を組み立て解体する手間がなくなる。したがって、既設管更生の作業性を向上させ、作業時間を短縮させ、コストを低減させることができる。
【0009】
好ましくは、上記各フレームは、その複数の棹体間を繋ぐ架設部材を有する。
上記構成によれば、各フレームにおける複数の棹体は相互に連結され、これにより、足場板が架け渡されるフレームを補強することができる。
【0010】
好ましくは、上記架設部材は、上記足場板が架け渡される第1の支持部材として提供される。
上記構成によれば、フレームを補強する架設部材が足場板を架け渡す第1の支持部材を兼ねることで、足場板を一体化した支保工装置の構造を簡単にすることができる。
【0011】
好ましくは、管軸方向に向かい合う上記棹体を繋ぐ第2の支持部材を備え、上記第2の支持部材は、管軸方向に延びて上記第1の支持部材と交差し上記第1の支持部材を支える。
上記構成によれば、第1の支持部材と第2の支持部材が協働することにより、足場板を支える強度を高めることができる。
【0012】
好ましくは、上記棹体は水平方向に延び、この棹体に上記足場板が架け渡されることを特徴とする。
上記構成によれば、より簡単な構造で足場板を架け渡すことができる。
【0013】
好ましくは、上記棹体は、水平方向より上方に延び上記第1の支持部材に繋がれており、上記第1の支持部材は水平方向に延び、この第1の支持部材に上記足場板が架け渡される。
上記構成によれば、フレームの上方に足場板を設けることにより、更生管の上部での作業性を向上させることができる。
【0014】
好ましくは、上記棹体は、水平方向より下方に延び上記第2の支持部材に繋がれており、上記第2の支持部材に支えられる上記第1の支持部材は水平方向に延び、この第1の支持部材に上記足場板が架け渡される。
上記構成によれば、フレームの下方に足場板を設けることにより、この足場板を、これより上方の足場の設置や、支保工装置の構築に利用することができ、更生管の上下方向中間部での作業性の向上にも寄与することができる。
【0015】
好ましくは、上記棹体と上記第1の支持部材との間にこれらの繋ぎ位置を調整可能な位置調整手段を備える。
上記構成によれば、第1の支持部材の高さを調整でき、ひいては足場板の高さを既設管の大きさに合わせて調整することができる。
【0016】
好ましくは、上記各フレームは、上記各棹体の基端側に配置される本体を有し、上記本体は、放射状に延びて先端部に接続凸部が設けられた腕部を複数有し、上記棹体は、基端部に上記接続凸部に嵌め合わされる受口を有する。
上記構成によれば、フレームを容易に組み立てることができる。
【0017】
好ましくは、各フレームの複数の上記棹体のうち、水平方向より下側に延びる棹体は、水平方向より上側に延びる棹体より多い。
上記構成によれば、上側に延びる棹体を少なくして更生管の上部での作業性を向上させることができる。また、裏込め材を充填したときに浮力がより強く働く更生管の下側に棹体を偏在させることにより、更生管の変形の抑制効果を維持又は向上させることができる。
【0018】
好ましくは、上記足場板は異なる高さの位置に複数設けられ、上記異なる高さの足場板間を連絡する連絡手段が設けられる。
上記構成によれば、作業員が異なる高さの足場板間を移動することを可能にし、作業性を高めることができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る支保工装置構築方法は、既設管の内側に配置された更生管内に支保工装置を構築する方法であって、
上記更生管の中心部から管径方向に上記更生管の内面に向かって延びる棹体を複数含むフレームを、管軸方向に間隔を置いて一対配置するフレーム構築工程を備え、
上記フレーム構築工程は、
管軸方向に向かい合う上記棹体の先端部に、上記更生管の内面に沿って延びる腹起し部材を架け渡す腹起し設置工程と、
管軸方向に向かい合う上記フレーム間に足場板を架け渡す足場設置工程と、
を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、足場板が一体化された支保工装置を更生管内に構築することができる。
【0020】
好ましくは、上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記棹体に支持させることを含む。
【0021】
好ましくは、上記フレーム構築工程は、上記各フレームの複数の棹体を第1の支持部材でつなぐ第1支持部材設置工程を含み、上記足場設置工程は、上記足場板を管軸方向に向かい合う上記第1の支持部材に支持させることを含む。
【0022】
好ましくは、上記フレーム構築工程は、上記第1支持部材設置工程の前に、管軸方向に向かい合う上記棹体を管軸方向に延びる第2の支持部材でつなぐ第2支持部材設置工程を含み、上記第1支持部材設置工程は、上記第1の支持部材を上記第2の支持部材に支持させることを含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、既設管更生の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る支保工装置を示す正面断面図であって、
図2のI-I線に沿う図である。
【
図2】上記支保工装置の側面図であって、一部の部材を省略して示す。
【
図3】上記支保工装置の構築方法の一工程を示す図であって、(A)は正面断面図、(B)は一部の部材を省略した側面図である。
【
図4】
図3の次の工程を示す図であって、(A)は正面断面図、(B)は一部の部材を省略した側面図である。
【
図5】
図4の次の工程を示す図であって、(A)は正面断面図、(B)は一部の部材を省略した側面図である。
【
図6】
図5の次の工程を示す図であって、(A)は正面断面図、(B)は一部の部材を省略した側面図である。
【
図7】上記支保工装置の本体と棹体の接続構造を示す要部拡大図であって、(A)は本体と接続管体を分離して示し、(B)は本体と棹体を分離して示す。
【
図8】棹体と架設部材を把持するクランプを示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る支保工装置を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る支保工装置及びその構築方法について、
図1~
図8を参照して説明する。
【0026】
図1において符号1は老朽化した既設管を示す。例示する既設管1は、下水道幹線管渠や発電用送水管などに利用される比較的口径の大きな管であり、円形又はこれに準ずる形状の断面形状を有している。既設管1内には既設管1に沿って延びる更生管2が配置され、既設管1の内面が更生される。更生管2は、既設管1と同心状に設けられており、既設管1の断面形状に類似する断面形状を有している。更生管2の内部には、更生管2を内側から支持する支保工装置3が設けられている。
以下の説明において、特に断らない限り、「管軸方向」は更生管2の軸方向を指し、「管径方向」は更生管2の径方向を指す。
【0027】
<支保工装置>
支保工装置3は、既設管1の内面と、既設管1内に新設された更生管2の外面との間に裏込め材を充填する際に、更生管2内に設置されて更生管2を支持し、更生管2の管径方向内側への変形を抑制するものである。
図1、
図2に示すように、支保工装置3は、管軸方向に配置された一対のフレーム10と、フレーム10間に架け渡され更生管2の内面に沿って延びる腹起し部材20と、フレーム10間に架け渡される足場板30とを備えている。
【0028】
(フレーム)
一対のフレーム10は同じ形状を有している。各フレーム10は、更生管2の中心部に配置される本体11と、本体11から更生管2の管径方向に更生管2の内面に向かって延びる複数(本実施形態では12本)の棹体12と、各棹体12の先端部に設けられる腹起し連結部15とを有している。
【0029】
(フレームの本体)
本体11は、
図1に示すように、環状の多角形状をなす芯部11aを有している。芯部11aは、本実施形態では、正12角形をなしている。本体11は、芯部11aの各辺部の外側に、外方向に延びる筒状の腕部11bを有している。腕部11bには、後述するように、棹体12が接続される。
【0030】
本体11の芯部11aの一辺部の内側には、
図7に示すように、コ字形状の受座11cが設けられ凹部を内方に向けている。
図2に示すように、一対のフレーム10の受座11cは向かい合っており、これら受座11cには、管軸方向に直線状に延びる連結杆40が架け渡され、その両端部が受座11cに固定されている。本体11及び連結杆40は、いずれも金属製の剛性部材により形成されている。
【0031】
(フレームの棹体、棹体と本体の接続構造)
棹体12は、本体11と腹起し連結部15の間に介在し、本体11側の突っ張り部材13と、腹起し連結部15側のジャッキ部14とを有している。
突っ張り部材13は金属製の剛性部材で形成された直線状の角パイプからなり両端に開口13a(
図7(B))を有している。尚、突っ張り部材13を丸パイプで構成してもよい。突っ張り部材13は、上記本体11の腕部11bに接続管体50を介して接続されている。接続管体50は、腕部11b及び突っ張り部材13に摺動可能に挿入されている。
【0032】
腕部11bと突っ張り部材13を接続するためには、
図7に示すように、接続管体50の一端部50aを腕部11bに挿入して他端部50b(接続凸部)を腕部11bから突出させる。次に、他端部50bに突っ張り部材13の基端側(本体11側)の開口13a(受口)を嵌め合わせればよい。よって、フレーム10の組立ては容易になっている。
【0033】
腕部11b、接続管体50の一端部50a、他端部50b、突っ張り部材13の基端部には、それぞれ、軸線と交差方向に対向する外面に孔11x,50p,50q,13xが形成され、軸方向に一定間隔を置いて複数箇所(本実施形態では2箇所ずつ)配置されている。
【0034】
孔11xと孔50pにわたって、及び、孔50qと孔13xにわたって、図示しない締結具が装着されることにより、腕部11aと接続管体50が固定され、接続管体50と突っ張り部材13が固定される。この締結具として、ボルトとナットを用いてもよい。
【0035】
ジャッキ部14は、
図1に示すように、金属製の剛性部材で形成された進退杆14aとハンドル14bとを有している。
進退杆14aは、突っ張り部材13の先端部から同軸上に管径方向外方向に延びている。進退杆14aは突っ張り部材13の先端部に螺合機構により装着されている。すなわち、進退杆14aは外周にねじを有し、突っ張り部材13の先端部に内装されたねじ筒に螺合される。ハンドル14bは、進退杆14aに設けられ進退杆14aを回動させることができる。これにより、進退杆14aは、突っ張り部材13の先端部と更生管2の内面との間で進退可能である。
【0036】
(腹起し連結部)
腹起し連結部15は、進退杆14aの先端部に設けられている。腹起し連結部15は、例えば溝形鋼よりなり、その凹部を外方に向け、進退杆14aの先端部に回転自在に取付けられている。
【0037】
(腹起し部材)
腹起し部材20は、更生管2の内面に沿って管軸方向に延びており、一対のフレーム10の向かい合う腹起し連結部15に架け渡されている。腹起し部材20は、アルミ等の金属により矩形断面の長尺体に形成され、軽量で剛性を有し、中空又は中実に形成されている。腹起し部材20は腹起し連結部15の凹部に嵌まり込んで支持され、腹起し部材20の一側面が更生管2の内面に当接している。
【0038】
上述したように、各フレーム10では、ジャッキ部14により長さ調整可能な棹体12を放射状に張り巡らせ、腹起し部材20を管軸方向に向かい合う棹体12の先端部に連結させて更生管2の内面に当接させている。これにより、既設管1が、円形又はこれに準ずる断面形状のため曲率のある内面であったり、凹凸を有する内面であったりして、更生管2が既設管1に対応する内面を有していても、フレーム10が倒壊したり、回転したりしないようになっている。
【0039】
(架設部材)
各フレーム10を構成する複数の棹体12間には、
図1に示すように、直線状の丸パイプからなる架設部材16a,16b,16c,16d,16e,16fが架け渡されフレーム10を補強している。これら架設部材に角パイプを用いてもよい。
架設部材16aは、隣り合う突っ張り部材13の先端部間に架け渡され、これらを繋いでいる。架設部材16aは、12本存在し、これら12本の架設部材16aは環状をなしている。
【0040】
架設部材16bは、水平方向に延びる一方の(
図1において左側の)突っ張り部材13と垂直方向下方向に延びる突っ張り部材13の中間部間に架け渡されており、4本の突っ張り部材13に跨りこれらを繋いでいる。架設部材16cは、水平方向に延びる他方の(
図1において右側の)突っ張り部材13と垂直方向下方向に延びる突っ張り部材13の中間部間に架け渡されており、4本の突っ張り部材13に跨りこれらを繋いでいる。
【0041】
(第1の支持部材としての架設部材)
架設部材16dは、水平方向より上方に延びる5本の突っ張り部材13に跨るように水平方向に延びており、5本の突っ張り部材13を繋いでいる。架設部材16eは、垂直方向下方向に延びる突っ張り部材13とこれと隣り合う一方の(
図1において左側の)突っ張り部材13とを繋ぎ、水平方向に延びている。架設部材16fは、垂直方向下方向に延びる突っ張り部材13とこれと隣り合う他方の(
図1において右側の)突っ張り部材13とを繋ぎ、水平方向に延びている。架設部材16e,16fは、同じ高さに配置されている。
架設部材16d,16e,16fは、後述するように、向かい合うフレーム10間に架け渡される足場板30を支持する第1の支持部材として提供される。
【0042】
(架設部材と棹体の連結構造)
架設部材16a~16fと棹体12の突っ張り部材13の交差部は、
図8に示す公知のクランプ60により連結することができる。クランプ60は公知のものであり、同一構造をなす第1把持部61と第2把持部62とを有している。これら把持部61,62は相対回動可能に設けられ、把持穴61a,62aを有しており、それぞれ突っ張り部材13と架設部材16a~16fの何れかを着脱可能に把持できる。尚、
図8のクランプ60の把持穴61a,62aは、丸パイプどうしの連結用に形成されているが、角パイプと丸パイプの連結及び角パイプどうしの連結にも、クランプ60と同様の構造を有する公知のクランプであって、パイプの外形に対応する把持穴61a,62aを有するものを用いることにより、連結可能である。
【0043】
クランプ60と、突っ張り部材13及び架設部材16a~16fの何れかとの連結を緩めることにより、架設部材16a~16fを移動させて位置を調整できる。特に、架設部材16d,16e,16f(第1の支持部材)の高さ位置を調整できる。
【0044】
(第2の支持部材)
第1の支持部材としての上記架設部材16e,16fを支持する補助連結杆70(第2の支持部材)について説明する。
架設部材16e,16f(第1の支持部材)と突っ張り部材13の交差部の下方では、直線状の丸パイプからなる3つの補助連結杆70が、一対のフレーム10間に架け渡されている。補助連結杆70は、管軸方向に延び架設部材16e,16fと交差している。これにより補助連結杆70は、架設部材16e,16fを支持し、第2の支持部材として提供されている。尚、補助連結杆70に角パイプを用いてもよい。
【0045】
各補助連結杆70の一端部は、一方のフレーム10の突っ張り部材13に連結され、他端部は、この突っ張り部材13と管軸方向に向かい合う、他方のフレーム10の突っ張り部材13に連結される。補助連結杆70と突っ張り部材13の連結に公知の上記クランプ60等を用いることができる。
【0046】
補助連結杆70と同様の連結構造で補助連結杆70A,70Bが一対のフレーム10間に架け渡され、それぞれ、垂直方向上方向に延びる突っ張り部材13の上端部、及び水平方向に延びる他方の(
図1において右側の)突っ張り部材13の中間部上側に配置されている。
【0047】
(足場板)
足場板30は、既設管1の径の大きさに合わせて上下に層をなして設けることができ、本実施形態では、
図1、
図2に示すように、上段、中段、下段の3つの段にそれぞれ複数配置されている。
【0048】
下段の足場板30は、一対のフレーム10間で管軸方向に向かい合う架設部材16e、及び管軸方向に向かい合う架設部材16fに、架け渡されている。架設部材16eでは、2枚並列の足場板30が2組離間して配置され、一方の組は更生管2寄りの端部に配置されている。架設部材16fでは、2枚並列の足場板30が更生管2寄りの端部に配置されている。
【0049】
中段の足場板30は、一対のフレーム10間で管軸方向に向かい合う水平方向に延びる突っ張り部材13に架け渡されている。一方の(
図1において左側の)突っ張り部材13では、2枚並列及び3枚並列の足場板30が、それぞれ更生管2側及び本体11側に離間して配置されている。他方の(
図1において右側の)突っ張り部材13では、2枚並列の足場板30が、更生管2側に配置されている。
【0050】
上段の足場板30は、一対のフレーム10間で管軸方向に向かい合う架設部材16dに架け渡されている。架設部材16dでは、垂直方向上方向に延びる突っ張り部材13を間にして、その両側に足場板30が1枚ずつ配置され、これらの外側に2枚並列の足場板30がそれぞれ配置されている。
【0051】
各足場板30は平面視矩形状に形成され、その長手は、
図2に示すように、管軸方向に向き合う一対のフレーム10から外側にはみ出る長さに設定されている。各足場板30の架け渡しは、足場板30を向かい合う架設部材16d,16e,16f又は突っ張り部材13に載置することにより、行われる。並列の足場板30どうしの固定、及び、足場板30とこれを支持する架設部材16d,16e,16f又は突っ張り部材13との固定は、番線によって行うことができる。これらの固定を既存の足場板固定金具により行ってもよい。
【0052】
(連絡手段)
異なる高さの位置にある足場板30間には、連絡手段を架け渡すことができる。本実施形態では、連絡手段としてタラップ80が下段と中段の足場板30の間に架け渡されている。タラップ80は、一対の桁材81と、一対の桁材81,81間に架け渡され桁材81の延び方向に沿って複数配置される板状のステップ82とを有する。桁材81の上端部及び下端部は、それぞれ補助連結杆70B,70に架け渡され、公知のクランプ等により連結することができる。
【0053】
<支保工装置の構築方法>
上記支保工装置3を更生管2内に構築する方法について、
図3~
図6を参照して説明する。
支保工装置3の一対のフレーム10は、更生管2の内周面に沿って下側から上側に順次構築され、この構築工程で足場板30は、下段、中段、上段の順に設置される。
【0054】
(腹起し部材の設置1)
図3(A)に示すように、先ず、更生管2内に管軸方向に延びる腹起し部材20を3つ設置する。腹起し部材20は、管軸方向から見たとき、時計の5時、6時、7時の位置に配置される。
次に、本体11の下側の3つの腕部11bに棹体12を接続したサブアセンブリ3aを一対用意し、管軸方向に間隔を置いて配置する。このとき、各棹体12の先端部にある腹起し連結部15に腹起し部材20の端部を支持させている。
【0055】
(第2の支持部材の設置)
向かい合う本体11の各受座11cには、連結杆40を架け渡しその両端部を固定し、管軸方向に向かい合う突っ張り部材13に補助連結杆70(第2の支持部材)を架け渡し連結する。これにより、サブアセンブリ3aは安定する。
【0056】
(下側の第1の支持部材の設置)
図4(A)に示すように、更生管2の周方向に隣り合う突っ張り部材13の先端部に架設部材16aを交差させ連結する。また、補助連結杆70の上に架設部材16e,16f(第1の支持部材)を設置する。架設部材16eは、6時及び7時方向に延びる突っ張り部材13,13にそれぞれ連結された補助連結杆70,70に支持させ、架設部材16fは、6時及び5時方向に延びる突っ張り部材13,13にそれぞれ連結された補助連結杆70,70に支持させる。この状態で架設部材16e,16fをこれらと交差する突っ張り部材13に連結する。
【0057】
(下段の足場板の設置)
足場板30を、管軸方向に向かい合う架設部材16e間と管軸方向に向かい合う架設部材16f間とに架け渡して固定する。これにより、下段の足場板30が設置される。
【0058】
(腹起し部材の設置2)
図5(A)に示すように、各本体11における4時方向及び8時方向に延びる腕部11b,11bにそれぞれ棹体12を接続し、管軸方向に向かい合う棹体12の腹起し連結部15に腹起し部材20の端部を支持させる。同様に、各本体11における3時方向及び9時方向に延びる腕部11b,11bにそれぞれ棹体12を接続し、管軸方向に向かい合う棹体12に設けられた腹起し連結部15に腹起し部材20の端部を支持させる。
これらの棹体12の長さを調整し、腹起し部材20を更生管2の内周面に宛がわせる。その後、3時、4時及び5時、並びに7時、8時及び9時の方向に延びる突っ張り部材13において、更生管2の周方向に隣り合う突っ張り部材13と架設部材16aを交差させ連結する。
【0059】
(中段の足場板の設置)
足場板30を、管軸方向に向かい合う9時方向の突っ張り部材13間と3時方向の突っ張り部材13間に架け渡して固定する。これにより中段の足場板30が設置される。
【0060】
(連絡手段の設置)
下段と中段の足場板30の間にステップ80(連絡手段)を設置するために、管軸方向に向かい合う3時方向に延びる突っ張り部材13間に、補助連結杆70Bを架け渡して連結する。この補助連結杆70B、及び6時方向の突っ張り部材13に連結された補助連結杆70に、それぞれ桁材81の上端部及び下端部を連結する。これにより、ステップ80が設置される。
【0061】
図6に示すように、設置済みの架設部材16aより内側の位置では、架設部材16bを、6時、7時、8時及び9時の方向に延びる突っ張り部材13と交差させ、これら突っ張り部材13に連結する。また、架設部材16cを、3時、4時、5時及び6時の方向に延びる突っ張り部材13と交差させ、これら突っ張り部材13に連結する。
【0062】
各本体11における、10時、11時、12時、1時、2時の方向に延びる各腕部11bに棹体12を接続する。これらの棹体12の突っ張り部材13と、9時及び3時方向の突っ張り部材13とにおいて、更生管2の周方向に隣り合う突っ張り部材13を架設部材16aで繋ぐ。また、管軸方向に向かい合う12時方向に延びる突っ張り部材13間に、補助連結杆70Aを架け渡して連結する。
【0063】
(上側の第1の支持部材の設置)
架設部材16d(第1の支持部材)の長手方向を水平方向に向けた状態で、架設部材16dを、10時、11時、12時、1時、2時の方向に延びる突っ張り部材13と交差させ、これら突っ張り部材13に連結する。
【0064】
(上段の足場板の設置)
足場板30を、管軸方向に向かい合う架設部材16d間に架け渡して固定する。これにより、上段の足場板30が設置される。
【0065】
(腹起し部材の設置3)
管軸方向に向かい合う、10時、11時、12時、1時、2時の方向に延びる棹体12に設けられた腹起し連結部15に、腹起し部材20の端部を支持させる。各棹体12の長さを調整し、腹起し部材20を更生管2の内周面に宛がわせる。これにより、更生管2内に支保工装置3が構築される。
【0066】
<第1実施形態の作用効果>
上記支保工装置3によれば、足場板30が一体化して設けられることで、支保工装置とは別個の足場を設ける必要はなく、ひいては別個の足場の設置場所を確保する必要もなくなる。既設管2の更生作業においては、頻繁に足場を組み立て解体する手間がなくなる。したがって、既設管2更生の作業性を向上させ、作業時間を短縮させ、コストを低減させることができる。
【0067】
中段の足場板30を、棹体12の突っ張り部材13に支持させ、上段及び下段の足場板30を、フレーム10を補強する架設部材16d,16e,16fに支持させることにより、構造が簡素化されている。また、下段の足場板30は、架設部材16e,16f(第1の支持部材)と補助連結杆70(第2の足場板)が協働することにより、支持強度が高められている。
【0068】
下段の足場板30は、これより上方の足場板30の設置を含む支保工装置3の構築に利用することができる。また、更生管2の上下方向中間部での作業性の向上にも寄与することができる。中段、上段の足場板30は、更生管2の上部での作業性を向上させることができる。
【0069】
上段及び下段の足場板30の高さは、足場板30を支持する架設部材16d,16e,16f(第1支持部材)の突っ張り部材13に対する高さを調整することにより、調整することができる。
【0070】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態については、上記実施形態と異なる構成だけを説明することとし、同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
[第2実施形態]
図9は、本発明の第2実施形態を示す。この実施形態においては、各フレームの下向きの棹体の数を上向きの棹体より多くしている。
【0072】
本実施形態の支保工装置4では、本体11の芯部11aは10角形状をなし、水平方向を向く2つの辺部と、上向きの3つの辺部と、下向きの5つの辺部とを有している。上向きの3つの辺部は、それぞれ45度、90度、135度の方向を向いている。下向きの5つの辺部は、それぞれ210度、240度、270度、300度、330度の方向を向いている。したがって、各辺部の腕部11bに接続される棹体12は、水平方向に2本、上向きに等間隔で3本、下向きに等間隔で5本、存在する。
【0073】
本実施形態では、上向きの棹体12の数を少なくして空間を確保し更生管2の上部での作業性を向上させることができる。また、裏込め材を充填したときに浮力がより強く働く更生管2の下側に棹体12を偏在させることにより、更生管2の変形の抑制効果を低下させることがない。
【0074】
また、本実施形態では、隣り合う突っ張り部材13の先端部間に架け渡され環状をなす架設部材16aの内側に、複数(本実施形態では10本)の架設部材16gが設けられている。架設部材16gは、隣り合う突っ張り部材13の中間部間に架け渡され、環状をなし、外側の架設部材16aと同心に形成されている。これにより、環状の架設部材が二重に形成され、各フレーム10の強度はより高められる。
【0075】
尚、本実施形態では、下段の足場板30を支える第1の支持部材としての架設部材16e,16fの何れか(本実施形態では16f)を長くして3つの補助連結杆70(第2の支持部材)に架け渡している。これにより、部品数を減らしている。上段の足場板30を支える第1の支持部材としての架設部材16dは、45度、90度、135度の方向に延びる突っ張り部材13に跨っている。下段及び中段のそれぞれの足場板30は、2枚並列のものが4組左右対称に配置され、上段の足場板30は2枚並列のものが2組左右対称に配置されている。
【0076】
なお、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
上記実施形態では、管軸方向に一対のフレームを設けたが3つ以上のフレームを設けてもよい。
足場板の階数を更生管の口径に合わせて4段以上としてもよく、2段以下としてもよい。
上記実施形態では、足場板をフレームに架け渡すために、足場板を棹体又は第1の支持体に載置したが、足場板の長手方向の端部にフック又はクランプを設け、棹体等に掛止又は連結させてもよい。
上記実施形態では、支保工装置を円形又はこれに準ずる断面形状の更生管内に設置したが、矩形等その他の断面形状の更生管に設置することも可能である。
上記実施形態の支保工装置の構築方法における工程順は、一例であって適宜順序を変えて行うことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、老朽化した既設管とその内側に配置された更生管との間に裏込め材を充填する際に、更生管内に設置され更生管を支持する支保工装置、及びその構築方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 既設管
2 更生管
3,4 支保工装置
3a サブアセンブリ
10 フレーム
11 本体
11a 芯部
11b 腕部
11c 受座
12 棹体
13 突っ張り部材(棹体)
13a 開口(受口)
14 ジャッキ部(棹体)
14a 進退杆
14b ハンドル
15 腹起し連結部
16a,16b,16c,16g 架設部材
16d,16e,16f 架設部材(第1の支持部材)
20 腹起し部材
30 足場板
40 連結杆
50 接続管体
50a 一端部
50b 他端部(接続凸部)
60 クランプ
70 補助連結杆(第2の支持部材)
70A,70B 補助連結杆
80 タラップ(連絡手段)
81 桁材
82 ステップ